説明

メタルハライドランプ及び紫外線照射装置

【課題】 波長320〜350nmの光照射が必要なプロセスに好適で、余分なフィルタ部材を必要とせずに紫外線照射可能なメタルハライドランプを提供する。
【解決手段】 320〜350nmの波長域の紫外線を照射するメタルハライドランプであって、発光管内に希ガスとハロゲン化インジウムとが封入され、
該発光管は、チタン、セリウム、スズ、及びバナジウムの酸化物が少なくとも1種以上添加された石英ガラス製部材から構成され、前記ランプ点灯時の光透過率が、波長300nm以下で10%未満で、波長325nmで20%以上30%以下、波長350nmで50%以上70%以下、波長400nm以上で90%以上であり、かつ波長320〜370nmでは波長が長波長側へ向かうにつれて光透過率が単調に増加する分光透過率特性を有し、前記ハロゲン化インジウムの封入密度は0.05〜0.2mg/cmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、320〜350nmの波長領域の紫外線照射が求められるプロセスに特に適したメタルハライドランプ及び紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年液晶パネル製造プロセスなどにおいて、プロセスの短縮、高機能化などにより従来の波長365nmを中心とする紫外線よりもエネルギーの大きい短波長側の発光が求められるようになってきている。特に、液晶配向制御工程においては、材料物質の化学反応に必要な光の波長域は320〜350nmと狭く、それ以外の波長域の光は極力抑制することが要求される。
【0003】
そうしたプロセスに対して、従来からメタルハライドランプが用いられ、このランプを搭載した紫外線照射装置が使われてきたが、従来のメタルハライドランプでは、320〜350nmの波長域の発光強度が十分ではなく、また不要な波長域の光をカットするために高価なフィルタガラスを使用しているため、性能、コストの両面で顧客要求を満たすことができないという問題があった。
【0004】
なお、紫外線照射のためのメタルハライドランプは、通常、動作時に高温となるため、水冷ジャケットで覆う必要のある時は、内部に希ガスと発光金属を含む化合物が封入された発光管の外周に、透光性部材で構成したジャケットを配置し、ジャケット内部に通水して発光管の水冷が行なわれている。
【0005】
ところで、従来主流であった鉄のハロゲン化物、あるいは鉄と他の金属のハロゲン化物を封入したメタルハライドランプは、例えば特許文献1の図5に示されているように、鉄(Fe)に帰属される波長350〜400nmの領域における発光が主であり、その領域の短波長側に隣接する上記所要波長領域の発光成分は極めて乏しいという欠点があった。
【0006】
一方、発光領域をこれよりも更に短波長側へ移す試みも行われていて、例えば、特許文献2には、波長300〜340nmにおける発光強度を高めるために、発光金属として亜鉛(Zn)を選択し、発光管内にそのハロゲン化物を封入して製造したメタルハライドランプが開示されている。しかしながら、このランプでは、300〜315nmの波長域にも強い発光成分があり(特許文献2の図2参照)、320〜350nmの波長域の光が求められるプロセスにとっては、幾分短波長の発光成分が強すぎて、適切であるとは言えなかった。
【0007】
そこで、他の金属の発光スペクトルを調査すると、320〜350nmの波長領域で効率よく発光する金属として、インジウム(In)を挙げることができる(特許文献3の図3参照)。しかしながら、インジウムを用いた場合でも、315nm付近の波長域に比較的強い発光は生じるため、メタルハライドランプ発光管や水冷ジャケットの他に、この不要な波長域の光をカットする何らかのフィルタ部材を必要とする欠点は解消していなかった。
【0008】
そこで、この不要な発光成分をカットするために、この波長領域の光を吸収する特性を持つチタン等の金属酸化物が少量添加された石英ガラス製発光管を使用する構成を採用する方策が考えられる。あるいは、構成部材である水冷ジャケットを、チタン等の金属酸化物が少量添加された石英ガラス製円筒で構成する方策が考えられる。これらいずれの方策を採る場合も、余分な構成部材は必要とならない。本発明者は、発光管あるいは水冷ジャケットがこうした構成要件を備えるという条件下で、発光管に封入するインジウム化合物の封入密度と320〜350nmの波長域の積分分光放射照度との相関性を検討して、本発明を創出するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−134710号公報
【特許文献2】特開2010−267403号公報
【特許文献3】特開2009−064725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、波長320nm以下の光が制限され320〜350nmの領域の光の照射が必要とされるプロセスに好適に用いることができると共に、余分なフィルタ部材は別途設置することなく、被照射物に紫外線照射することができるメタルハライドランプを提供することを目的とする。
【0011】
また本発明は、波長320nm以下の光が制限され320〜350nmの領域の光の照射が必要とされるプロセスに好適に用いることができると共に、余分なフィルタ部材は別途設置することなく、被照射物に紫外線照射することができる紫外線照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のメタルハライドランプは、320〜350nmの波長域の紫外線を照射するメタルハライドランプであって、発光管内に希ガスとハロゲン化インジウムとが封入され、
該発光管は、チタン、セリウム、スズ、及びバナジウムの酸化物が少なくとも1種以上添加された石英ガラス製部材から構成され、前記ランプの点灯時に、波長300nm以下の光の透過率は10%未満で光は実質的に透過せず、波長325nmでの光透過率が20%以上30%以下であり、かつ波長350nmでの光透過率が50%以上70%以下であり、波長400nm以上の光は90%以上透過し、かつ波長320〜370nmの範囲では波長が長波長側へ向かうにつれて光透過率が単調に増加する分光透過率特性を有し、前記ハロゲン化インジウムの封入密度は0.05〜0.2mg/cmであることを特徴とする。
【0013】
また本発明のメタルハライドランプは、前記ハロゲン化インジウムを構成するハロゲン元素がヨウ素(I)または臭素(Br)であることを特徴とする。
【0014】
本発明の紫外線照射装置は、発光管内に希ガスと水銀と、封入密度が0.05〜0.2mg/cmであるハロゲン化インジウムとが封入されたメタルハライドランプと、該発光管の外周を、該発光管との間に通水可能に間隙を有して囲繞する水冷ジャケットとを少なくとも備える紫外線照射装置であって、前記水冷ジャケットは、チタン、セリウム、スズ、及びバナジウムの酸化物が少なくとも1種以上添加された石英ガラス製部材から構成され、温度20〜30℃の時に、波長300nm以下の光の透過率は5%未満で光は実質的に透過せず、波長320nmでの光透過率が10%以上20%以下であり、波長340nmでの光透過率が50%以上60%以下であり、かつ波長360nmでの光透過率が70%以上85%以下であり、波長400nm以上の光は90%以上透過し、かつ波長320〜360nmの範囲では波長が長波長側へ向かうにつれて光透過率が単調に増加する分光透過率特性を有することを特徴とする。
【0015】
また本発明の紫外線照射装置は、前記発光管内に封入する前記ハロゲン化インジウムを構成するハロゲン元素がヨウ素(I)または臭素(Br)であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ハロゲン化インジウムを所定封入密度で封入した発光管について、波長300〜400nmにかけての紫外線領域の光透過率が所定条件に規定されているので、発光管は所望の320〜350nmの領域にほぼ匹敵する波長領域にのみ適度な強さの発光帯が出現する発光分光分布を有する光を放射することが出来、従って、余分なフィルタ部材を用いることなく、効率よく紫外線照射を行うことが可能なメタルハライドランプを提供することが出来る。
【0017】
本発明によれば、メタルハライドランプの発光管にハロゲン化インジウムが所定封入密度で封入され、該発光管の外周を囲繞する水冷ジャケットについて、波長300〜400nmにかけての紫外線領域の光透過率が所定条件に規定されているので、発光管から水冷ジャケットを透過して放射される光は、所望の320〜350nmの領域にほぼ匹敵する波長領域にのみ適度な強さの発光帯が出現する発光分光分布を有する光を放射することが出来、従って、余分なフィルタ部材を用いることなく、効率よく紫外線照射を行うことが可能な紫外線照射装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態のメタルハライドランプの外観図である。
【図2】ドープド石英ガラスの分光透過率特性を示す図である。
【図3】本発明の実施形態のメタルハライドランプの発光分光分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
[実施例1]
図1は本発明の実施の形態のメタルハライドランプの外観図である。メタルハライドランプ1は、発光管封体2と、その両端に管軸上で対向配設された一対の電極3、3と、一対の口金4、4と、一対のリード線5、5、などから構成される。発光管封体2内には、希ガスと、水銀と、金属ハロゲン化物が所定量封入される。
【0021】
まず本発明のメタルハライドランプの発光管、または本発明の紫外線ランプ装置に用いられる水冷ジャケットの分光透過率特性について説明する。この発光管または水冷ジャケットの材料は、チタン等の金属酸化物が少量添加された、いわゆるドープド石英ガラスであり、近紫外域における分光透過率曲線の位置、すなわち吸収端の位置が温度上昇とともに長波長側へシフトする温度依存性が知られている。
【0022】
そこで、ドープド石英ガラスの分光透過率特性を測定した。
まずチタン等の金属化合物を0.1ppmオーダーで含有するドープド石英ガラス(厚さ1.5mm)について測定すると、図2に示す通りとなり、破線で示す室温下での特性は、ランプ点灯時の発光管外表面温度である800℃においては、実線で示す特性へシフトした。50%透過率点で見た場合、長波長側へ約25nmのシフトであった。室温下では約290〜350nmに、800℃の高温下では約300〜400nmの範囲にそれぞれ光透過率が大きく変化する領域があり、その変化はいずれも波長の増加と共に光透過率が単調に増加する形態を取っていた。
【0023】
800℃での光透過率は、波長300nm以下では10%未満で実質的に光が透過せず、波長325nmでは20%以上30%以下であり、かつ波長350nmでは50%以上70%以下であり、波長400nm以上の光は90%以上透過する特性を示した。
【0024】
【表1】

【0025】
そこで、発光管封体2の材料として用いるドープド石英ガラス(肉厚1.5mm)が、室温下と800℃程度の高温下でそれぞれ図2に示す分光透過率特性を有するものを使用してメタルハライドランプを試作した。本発明に基づく試作ランプA、B、Cは、発光管封体2内に臭化インジウム(InBr)を封入し、その封入量は封入密度でそれぞれ、0.05mg/cm、0.1mg/cm、0.2mg/cmの3通りとした。共通仕様として、発光管封体2内にアルゴンと水銀を適量封入し、ランプ電力を3.0kW、ランプ負荷を120W/cmとした。
【0026】
[比較例]
比較対象は、従来から知られている、鉄系ハロゲン化物を封入したメタルハライドランプ(比較ランプX)及びヨウ化亜鉛(ZnI)を封入したメタルハライドランプ(比較ランプY)を採用した。
【0027】
すなわち、比較ランプXは、発光管内の封入物が、ヨウ化鉄(FeI)と臭化鉄(FeBr)とから成る鉄系ハロゲン化物と、金属鉄とであり、両者の合計の封入密度は0.16mg/cmとした。その他に微量のヨウ化タリウム(TlI)と適量のアルゴン及び水銀を封入した。発光管封体の材料は、何も微量成分がドープされていない純粋な石英ガラスである。これ以外のランプ仕様は、上記説明の試作ランプと同じである。
【0028】
一方、比較ランプYは、発光管内にヨウ化亜鉛(ZnI)(封入密度0.2mg/cm)と、適量のアルゴン及び水銀とが封入され、それ以外の仕様は比較ランプXと同じである。
【0029】
試作ランプA、B、C、及び比較ランプX、Yについて、波長300〜400nmの領域の発光分光分布を測定したところ、図3に示す通りになった(縦軸は放射照度)。
すなわち、比較ランプXでは、波長350〜400nmの領域に波長365nm付近をピークとする比較的幅広い発光帯があるが、波長320〜350nmの領域には殆ど有力な発光ピークがなかった。また、比較ランプYでは、波長365nm付近をピークとする強い発光帯の他、波長330〜340nmの領域に“二こぶ型”の発光帯が出現したが、ピークはいずれも急峻で、ピークの前後での裾野の広がりは見られなかった。315nm付近にも比較的強い発光ピークが見られた。
【0030】
これに対して、試作ランプA、B、Cではいずれも、波長325nm付近にピークを有する“山型”の発光帯があり、しかもこの発光帯の長波長側は、波長の増加に対してすぐには強度が下がらず、緩やかに強度が低下し波長340nmを超えるあたりまである程度高さを維持して裾野が広がる形態を示していた。一方、320nm以下、350nm以上の波長領域には特に強い発光ピークは見られず、波長315nm付近の発光も低く抑えられていた。つまり、試作ランプA、B、Cでは、発光分光分布において、波長320〜350nmという必要とされる領域にほぼ匹敵する波長領域にのみ適度な強さで発光帯が出現していた。
【0031】
なお、発光分光分布の測定は、発光管の外周に何も装着せずにランプを裸点灯させ分光光度計を用いて行なった。
【0032】
そして、320〜350nmの波長域の積分分光放射照度を比較すると、この波長域における比較ランプXの積分分光放射照度を基準(100%)とする相対値で、表1に示すような結果を得た。すなわち、臭化インジウムの封入量が0.05〜0.2mg/cmの範囲であれば、積分分光放射照度がいずれも120%以上であり、比較ランプXに比べて有意差で高い値を示した。ヨウ化亜鉛(ZnI)を封入した比較ランプYの場合は、同波長域における積分分光放射照度は93%であり、比較ランプXよりも更に低かった。
【0033】
この波長域における積分分光放射照度が、試作ランプの場合、A、B、Cいずれについても比較ランプよりも高い理由は、波長325nm付近の発光ピークの高さよりもむしろ発光ピークの長波長側に広がる発光帯の裾野が寄与していると考えられる。図3に示されているように、発光ピークの高さと裾野の高さとの関係は、発光ピークが高いものは裾野が低く(試作ランプC)、発光ピークが低くても裾野はある程度の高さを維持している(試作ランプA)という関係にあり、同波長域における試作ランプの積分分光放射照度が比較ランプよりも高いレベルにあった。
【0034】
逆に、臭化インジウムの封入量が0.05mg/cm未満であるか又は0.2mg/cmを超える場合には、結果の詳細は省略するが、上記波長域の積分分光放射照度が、比較ランプに比べていずれもほぼ同等で有意差がないか又は若干下回っていた。この理由は、臭化インジウムの封入量が0.05mg/cm未満の場合は、インジウム(In)の発光が十分でない為であり、0.2mg/cmを超える場合は、インジウム(In)原子の自己吸収により320〜350nmの波長域の短波長側の発光効率が低下する為である、と考えられる。
【0035】
次に、こうして作製した試作ランプを光源として紫外線照射装置に搭載し、これら試作ランプの実用上の効果を評価した。紫外線照射装置搭載時は、ランプ発光管の外周に水冷ジャケットが配置され、水冷ジャケットと発光管の間の隙間に通水して発光管の水冷が行われている。この水冷ジャケットは、微量の金属化合物を含まない純粋な石英ガラスから構成される。発光管表面はランプ動作時に絶えず水冷されており、また、発光管からの光の放射は、水冷ジャケットを介して行われる。
【0036】
本発明に基づく試作ランプA、B、Cを光源として搭載した紫外線照射装置を液晶配向制御工程に用いたところ、比較ランプX、Yを使用した場合に比べ、液晶配向制御工程に係る作業時間を20%程度短縮することができ、液晶配向を効率的に行うことができた。一方、臭化インジウムの封入量が0.05mg/cm未満であるか又は0.2mg/cmを超える場合には、液晶配向制御工程に係る時間は短縮できず、改善には繋がらなかった。
【0037】
[実施例2]
前記説明の実施例1の場合は、発光管材料として用いるドープド石英ガラスは、室温下で図2中の破線で示す特性を有するものを採用すればよい。すると、ランプ点灯時に、発光管表面が800℃程度の高温となり、発光管自身が所望の分光透過特性を備えるフィルタ部材となる。
【0038】
ここまでは、ドープド石英ガラスが発光管材料として用いられる場合について説明してきたが、本発明では、ドープド石英ガラスを、発光管封体外周を囲繞する水冷ジャケットに用いてもよい。その場合、発光管材料には純粋石英ガラスを用い、一方、水冷ジャケット(厚さ2.0mm)には、室温下、すなわち20〜30℃で図2中の一点鎖線で示す特性を有するドープド石英ガラスを採用する。紫外線照射装置を構成する場合、発光管と水冷ジャケット以外の構成要素(発光管内封入物、他)は、発光管にドープド石英ガラスを用いた装置の場合と同じとする。
【0039】
図2中の一点鎖線で示す水冷ジャケットの分光透過率特性は、波長300nm以下では5%未満で光は実質的に透過せず、波長320nmでは10%以上20%以下であり、波長340nmでは50%以上60%以下であり、かつ波長360nmでは70%以上85%以下であり、波長400nm以上の光は90%以上透過し、かつ波長320〜360nmの領域で、波長が長波長側へ向かうにつれて光透過率が単調に増加する形態を取った。
【0040】
この分光透過率特性を有するドープド石英ガラスを材料とする水冷ジャケットを装着した純粋石英ガラス製ランプ発光管からの放射光の発光分光分布は、ドープド石英ガラスを材料とする発光管の外周が純粋石英ガラスを材料とする水冷ジャケットで囲繞されている前記説明の実施例1の場合とほとんど有意差はなかった。
【0041】
この実施例2における試作ランプを光源として搭載した紫外線照射装置を液晶配向制御工程に用いたところ、従来例と比較した液晶配向制御工程における作業時間短縮の程度は実施例1と同様であって、配向制御を効率的に行なうことができた。
【0042】
以上説明したように、発光管又は水冷ジャケットのいずれか一方にドープド石英ガラスを用いて波長320〜350nmの領域における光透過率特性に制限を加えることによって、ハロゲン化インジウムを封入したメタルハライドランプからの放射光の発光分光分布を、液晶配向制御等に最適な特性とすることができる。この為、本発明に基づくメタルハライドランプ及び本発明に基づいて構成される紫外線照射装置においては、余分なフィルタ部材を必要としない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、波長320〜350nmの領域の紫外線照射が求められるプロセスに提供する紫外線ランプ、並びにその紫外線ランプを搭載した紫外線照射装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1…メタルハライドランプ
2…発光管
3…電極
4…ベース
5…リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
320〜350nmの波長域の紫外線を照射するメタルハライドランプであって、
発光管内に希ガスと水銀とハロゲン化インジウムとが封入され、
該発光管は、チタン、セリウム、スズ、及びバナジウムの酸化物が少なくとも1種以上添加された石英ガラス製部材から構成され、前記ランプの点灯時に、波長300nm以下の光の透過率は10%未満で光は実質的に透過せず、波長325nmでの光透過率が20%以上30%以下であり、かつ波長350nmでの光透過率が50%以上70%以下であり、波長400nm以上の光は90%以上透過し、かつ波長320〜370nmの範囲では波長が長波長側へ向かうにつれて光透過率が単調に増加する分光透過率特性を有し、
前記ハロゲン化インジウムの封入密度は0.05〜0.2mg/cmであることを特徴とするメタルハライドランプ。
【請求項2】
前記ハロゲン化インジウムを構成するハロゲン元素がヨウ素(I)または臭素(Br)であることを特徴とする請求項1に記載のメタルハライドランプ。
【請求項3】
発光管内に希ガスと水銀と、封入密度が0.05〜0.2mg/cmであるハロゲン化インジウムとが封入されたメタルハライドランプと、該発光管の外周を、該発光管との間に通水可能に間隙を有して囲繞する水冷ジャケットとを少なくとも備える紫外線照射装置であって、
前記水冷ジャケットは、チタン、セリウム、スズ、及びバナジウムの酸化物が少なくとも1種以上添加された石英ガラス製部材から構成され、温度20〜30℃の時に、波長300nm以下の光の透過率は5%未満で光は実質的に透過せず、波長320nmでの光透過率が10%以上20%以下であり、波長340nmでの光透過率が50%以上60%以下であり、かつ波長360nmでの光透過率が70%以上85%以下であり、波長400nm以上の光は90%以上透過し、かつ波長320〜360nmの範囲では波長が長波長側へ向かうにつれて光透過率が単調に増加する分光透過率特性を有することを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項4】
前記発光管内に封入する前記ハロゲン化インジウムを構成するハロゲン元素がヨウ素(I)または臭素(Br)であることを特徴とする請求項3に記載の紫外線照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−204264(P2012−204264A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69674(P2011−69674)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】