説明

メモリ性液晶表示装置

【課題】 通常は常に表示を継続するような機器にメモリ正液晶表示装置に用いた場合にも、適切に焼きつき現象を防止することが可能なメモリ性液晶表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 第1の透明基板(11a)、第2の透明基板(11b)、第1及び第2の透明基板の間に挟持されたメモリ性液晶(10)、第1又は第2の透明基板上に形成され前記液晶を駆動するための複数の電極(13a、13b)を有する液晶パネル(20)と、センサ(41、42、43、44、45)と、複数の電極に印加される駆動電圧を制御することによってセンサからの出力に応じて液晶パネルを反転表示させるように制御する表示制御部(21)とを有するメモリ性液晶表示装置(100)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリ性液晶を用いた液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メモリ性液晶は、複数の光学的な状態を有し、電圧を印加しなくても特定の状態を保持し続ける特性(メモリ特性)を有する。したがって、メモリ性液晶を液晶表示装置に用いた場合、電圧を印加しなくても所定の表示を保持し続けるように制御することが可能である。このような特性を利用し、強誘電性液晶等のメモリ性液晶を用いた表示パネルにおいて、表示を変更する必要がある部分にのみ走査電極の駆動を行い、表示を変更する必要が無い部分については走査電極の駆動を行わないように制御することが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかしながら、一般にメモリ性液晶を所定の表示状態のまま放置しておくと、その後表示状態を書き換ようとした時に、前の表示状態が消えずに残ってしまうという焼きつき現象が発生する。このような焼きつき現象を抑えるために、スリープモード時などの操作者が表示を見ない期間に、明表示と暗表示とを周期的に反転させ、焼きつき現象を防止することが知られている(例えば、特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】特開平2−131286号公報(第11、12頁、第12図)
【特許文献2】特開平10−10496号公報(第2、3頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メモリ性液晶表示装置を用いた場合、常に時刻表示を行っているため、焼きつき現象を適切に防止することができなかった。
【0006】
そこで、本発明は、通常は常に表示を継続するような機器にメモリ性液晶表示装置に用いた場合にも、適切に焼きつき現象を防止することが可能なメモリ性液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るメモリ性液晶表示装置は、第1の透明基板、第2の透明基板、第1及び第2の透明基板の間に挟持されたメモリ性液晶、第1又は第2の透明基板上に形成され前記液晶を駆動するための複数の電極を有する液晶パネルと、センサと、複数の電極に印加される駆動電圧を制御することによってセンサからの出力に応じて液晶パネルを反転表示させるように制御する表示制御部とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るメモリ性液晶表示装置では、表示制御部は、液晶パネルの各画素の表示状態を全て反転させるようにして反転表示を行うことが好ましい。ネガポジ反転表示することによって、液晶の焼きつき現象を防止しようとするものである。
【0009】
さらに、本発明に係るメモリ性液晶表示装置では、表示制御部は、液晶パネルの全ての画素の表示状態を、白表示と黒表示のうち、どちらか一方の表示状態となるようにして反転表示を行うことが好ましい。全黒表示又は全白表示することによって、液晶の焼きつき現象を防止しようとするものである。
【0010】
さらに、本発明に係るメモリ性液晶表示装置では、反転表示用の表示データを記憶するためのメモリを有し、表示制御部は、センサからの出力に応じて、反転表示用の表示データを液晶パネルに表示することによって反転表示を行うことが好ましい。反転表示用の表示データを用いて反転表示することによって、液晶の焼きつき現象を防止しようとするものである。
【0011】
さらに、本発明に係るメモリ性液晶表示装置では、少なくとも液晶パネルに電力を供給するための電源部を有し、表示制御部は、電源部で発生した電圧の極性を反転する機能を有し、センサからの出力に応じて、電源部で発生した電圧の極性を反転することによって反転表示を行うことが好ましい。電圧の極性を反転する機能を用いて、液晶の焼きつき現象を防止しようとするものである。
【0012】
さらに、本発明に係るメモリ性液晶表示装置では、表示制御部は、照度センサが液晶パネルの周囲が暗状態にあることを示す場合にのみ反転表示を行うことが好ましい。照度センサからの出力に応じた液晶パネルの周囲が暗状態にあるか否かの判別を、反転表示を行うための条件の1つとして定めたものである。
【0013】
さらに、本発明に係るメモリ性液晶表示装置では、表示制御部は、水深センサが任意の深さ以上の深さを示す場合にのみ反転表示を行うことが好ましい。水深センサからの出力に応じた液晶パネルの周囲が暗状態にあるか否かの判別を、反転表示を行うための条件の1つとして定めたものである。
【0014】
さらに、本発明に係るメモリ性液晶表示装置では、表示制御部は、受信状態検出センサが電波時計部が時刻情報を受信していないことを示す場合にのみ反転表示を行うことが好ましい。受信状態検出センサからの出力に応じた受信か否かの判別を、反転表示を行うための条件の1つとして定めたものである。
【0015】
さらに、本発明に係るメモリ性液晶表示装置では、表示制御部は、充電状態検出センサが電源部が十分な充電量を有することを示す場合のみ反転表示を行うことが好ましい。充電量検出センサからの出力に応じた充分な充電量があるか否かの判別を、反転表示を行うための条件の1つとして定めたものである。
【0016】
さらに、本発明に係るメモリ性液晶表示装置では、表示制御部は、発電量検出センサが発電量が任意の値より小さくなったことを示す場合のみ反転表示を行うことが好ましい。発電量検出センサは、光発電素子の発電量をモニタしているが、光発電素子に光が当らなくなると発電量が低下することから、照度センサと同様な働きがあることを利用したものである。
【0017】
さらに、本発明に係るメモリ性液晶表示装置では、表示制御部は、センサの出力に応じて、液晶パネルの反転表示を終了し、通常の表示状態へ復帰させるように制御することが好ましい。反転表示を行うための条件が解除されたら、通常の表示状態に復帰させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、通常は常に表示を継続するような機器において、メモリ性液晶表示装置の焼き付け現象を適切に防止することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下図面を参照して、本発明に係る液晶表示装置100について説明する。
【0020】
最初に、強誘電性液晶を例にして、メモリ性液晶について説明する。メモリ性液晶とは、複数の光学的な状態を有し、電圧を印加しなくても特定の状態を保持し続ける特性を有する液晶を言い、例えば強誘電性液晶やコレステリック液晶が該当する。
【0021】
強誘電性液晶分子は、電界等の外部からの影響に応じ、円錐(液晶コーン)の側面に沿って安定した2ヶ所の位置の何れかの位置を取る。強誘電性液晶を一対の基板間に挟持し、液晶表示装置として用いる際には、強誘電性液晶に印加する電圧の極性に応じて、強誘電性液晶分子が前述した安定した2ヶ所のいずれか一方に位置するように制御する。2ヶ所の安定した位置の一方を第1の強誘電状態、他方を第2の強誘電状態と言う。
【0022】
図1に、強誘電性液晶10を用いた液晶パネル20の構成例を示す。図1において、偏光板15a(偏光軸の方向をa)及び15b(偏光軸の方向をb)をクロスニコルに合わせて配置した。また、第2の強誘電状態における強誘電性液晶10の分子の長軸方向を偏光軸aと一致させるように配置した。したがって、第1の強誘電状態の場合の液晶分子の長軸方向は、図1に示されるように、液晶コーンに沿った他の位置となる。
【0023】
図1に示すように、偏光板15a及び15bと強誘電性液晶10を配置し、印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第2の強誘電状態とした場合(強誘電性液晶10の分子の長軸方向が偏光板15aの偏光軸aと一致した場合)、光は透過せず、液晶パネル20は黒表示(非透過状態)となる。また、印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第1の強誘電状態とした場合(強誘電性液晶10の分子の長軸方向が、偏光板15aの偏光軸a及び偏光板51bの偏光軸bの何れとも一致しない場合)、液晶分子の長軸方向が偏光軸に対してある角度を持って傾くため、例えばバックライトからの光が透過し、液晶パネル20は白表示(透過状態)となる。なお、表示を行う場合には、バックライト以外の光源を利用することも可能である。
【0024】
次に、図2を用いて強誘電性液晶10のスイッチング、即ち一方の強誘電状態から他方の強誘電状態への転移について説明する。図2に示す様に、強誘電性液晶10に印加される電圧を増加させ、光透過率が増加し始める電圧値をV1、さらに電圧を増加させ、光透過率の増加が飽和する電圧値をV2(正の閾値)とする。逆に、強誘電性液晶10に印加される電圧を減少させ、光透過率が減少し始める電圧値をV3,さらに電圧を減少させ、光透過率の減少が飽和する電圧値をV4(負の閾値)とする。ここで、光透過率の高い状態が第1の強誘電状態であり、光透過率の低い状態が第2の強誘電状態である。
【0025】
例えば、強誘電性液晶10に、V2以上の電圧値を印加すると、強誘電性液晶は第1の強誘電性状態に転移し、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)、強誘電液晶は第1の誘電性状態を保持する。同様に、強誘電性液晶に、V4以下の電圧値を印加すると、強誘電性液晶は第2の強誘電性状態に転移し、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)、強誘電液晶は第2の誘電性状態を保持する。このように、強誘電性液晶は、正の閾値以上又は負の閾値以下の電圧を印加して、所定の強誘電性状態に転移させた後は、電圧を印加せずとも、そのままの状態を保持することとなる。
【0026】
図3に、本発明に係る液晶パネル20の断面図を示す。液晶パネル20は、図3に示されるように、第1の透明ガラス基板11a、第2の透明ガラス基板11b、第1の透明ガラス基板11a上に設けられた走査電極13a、第2の透明ガラス基板11b上に設けられた信号電極13a、走査電極13a上に塗布され且つラビング処理された高分子配向膜14a、信号電極13b上に塗布され且つラビング処理された高分子配向膜14b、シール部材12、第1及び第2の透明ガラス基板11a及び11bの間に挟持されシール部材12によって封入された強誘電性液晶10、第1の透明ガラス基板11aの外側に設けられた第1の偏光板15a、及び第2の透明ガラス基板11bの外側に設けられた第2の偏光板15b等から構成した。
【0027】
前述した様に、第1の偏光板15aの偏光軸aは、第2の誘電状態にある場合の強誘電性液晶10の分子の長軸方向と一致させた。また、第2の偏光板15bの偏光軸bが、偏光軸aと90°方向が異なるように、第2の偏光板15bを配置した。
【0028】
図3には、便宜上5本の走査電極13aを示したが、本実施形態では、透明導電膜パターンにより構成した40本の走査電極13aを液晶パネル20の全体に渡って配置した。また。図3には明記されていないが、本実施形態では、透明導電膜パターンにより構成した50本の信号電極13bを、走査電極13aと直行するように液晶パネル20の全体に渡って配置した。走査電極13aと信号電極13bが交差する各ポイントが、液晶パネル20の各画素(2000画素)となるように構成した。
【0029】
強誘電性液晶10としては、クラリアント社製の「フェリックス015」を用い、第1及び第2の透明ガラス基板11a及び11bの間に約1.7μmの厚さで挟持した。
【0030】
図4に、本実施形態における液晶表示装置100の概略ブロック構成図を示す。液晶表示装置100は、液晶パネル20、制御部21、駆動電圧波形制御回路22、各走査電極13aに電圧波形を印加するための走査駆動電圧波形発生回路23、各信号電極13bに電圧波形を印加するための信号駆動電圧波形発生回路24、2次電池及び光発電素子26(太陽電池等)を有する電源部25、表示データ記憶部27、RAM30、ROM31、受信アンテナ50及び電波時計部51等を有するように構成した。さらに、液晶表示装置100は、液晶パネル20の周囲の照度を検出するための照度センサ41、液晶パネル20水深を検出するための水深センサ42、電源部25の充電量を検出するための充電量検出センサ43、電源部25の光発電素子26の発電量を検出するための発電量検出センサ44、及び電波時計部51が時刻情報を受信中か否かを検出するための受信状態検出センサ45を含むように構成した。
【0031】
制御部21は、RAM30又はROM31に予め記憶されたプログラムに従い、電波時計部51から受信した時刻情報等を用いて表示データを作成し、表示データ記憶部27に記憶し、さらに時刻情報等が液晶パネル20に表示されるように、駆動電圧波形制御回路に制御信号を出力するように構成した。また、電波時計部51は、所定時間(例えば1日2回)に受信アンテナ50を介して時刻情報を取得し、時刻合わせを自動的に行うように構成した。さらに、図4には明記されないが、各液晶表示装置100の各構成は電源部25から電力供給を受け、制御部21は、充電量検出センサ43によって電源部25の充電量を常に把握できるように、また発電量検出センサ44によって光発電素子26の発電量を常に把握できるように構成した。さらに、制御部21は、液晶パネル20の近傍に配置された照度センサ41からの出力によって、液晶パネル20の周囲が明状態(昼間又は照明に照らされている状態)に置かれているか又は暗状態(夜に照明の無い場所等)に置かれているかを判断できるように構成した。さらに、制御部21は、液晶パネル20の近傍に設けられた水深センサ42からの出力によって、液晶パネル20が、水深何メートルに存在しているのかを判断することができるように構成した。
【0032】
図5に、液晶パネル20の各画素の駆動電圧波形の一例等を示す。図5(a)は1本の走査電極13aに印加される走査電圧波形の一例を示し、図5(b)は1本の信号電極13bに印加される信号電圧波形の一例を示し、図5(c)は(a)及び(b)の合成電圧波形を示し、図5(d)は合成電圧波形(c)が印加された画素の光透過率の一例を示す。
【0033】
図5には2フレーム分の駆動電圧波形が示されており、図中「ON」は白表示、「OFF」は黒表示を示している。ここでは、1回の表示データに基づく表示を実行するために1つの走査期間を利用している。1フレームはリセット期間(Rs)及び走査期間から成り、1走査期間は選択期間(Se)及び非選択期間(NSe)から成る。
【0034】
リセット期間(Rs)において、強誘電性液晶10は、直前の表示状態に拘らず、前半は白表示(透過状態)となる第1の強誘電状態に、後半は黒表示(非透過状態)となる第2の強誘電状態に、強制的にリセットされる。リセット期間(Rs)において、走査電圧波形(a)は前半では+20Vが、後半では−20Vが印加されている。また、信号電圧波形(b)は所定間隔で+5Vと−5Vの電圧が繰り返し印加されることとした。この結果、強誘電性液晶10の画素には、合成電圧波形(c)に応じた電圧、即ちリセット期間(Rs)の前半に正の閾値V2(図2参照)以上の電圧が、後半に負の閾値V4(図2参照)以下の電圧が印加されて、それぞれの強誘電状態にリセットされることとなる。リセット期間を設けることによって、強誘電性液晶を用いた液晶パネルにおいて、良好な表示を持続することが可能となる。
【0035】
所定画素の表示データがON(白表示)の場合には、選択期間(Se)中に正の閾値V2以上の電圧の合成電圧波形(c)が印加され、強誘電性液晶10は白表示(透過状態)となる第1の強誘電状態に選択される。また、非選択期間(NSe)では、この状態が保持され、白表示が持続する。
【0036】
所定画素の表示データがOFF(黒表示)の場合には、選択期間(Se)中に負の閾値V4以下の電圧の合成電圧波形(c)が印加され、強誘電性液晶10は黒表示(非透過状態)となる第2の強誘電状態に選択される。また、非選択期間(NSe)では、この状態が保持され、黒表示が持続する。
【0037】
図6に、本実施形態における液晶パネル20の表示例を示す。図6(a)は、通常の時刻表示を行っている場合の一例を示している。図中601側が走査電極13a側とし、602が信号電極13b側とした。また、液晶パネル20は、第1の領域611と、第2の領域612とを有するように構成した。本実施形態では、25本の走査電極13aを第1の領域に割り当て、15本の走査電極13aが第2の領域に割り当てた。第1の領域611は、時刻を表示するための時刻表示領域とし、第2の領域612は、AM/PM選択表示、月日表示、曜日表示等の表示を行うための機能表示領域とした。
【0038】
図6(b)は、液晶パネル20の焼き付け防止のためにネガポジ反転した表示、即ち、液晶パネル20の全ての画素の表示状態を反転した表示を行っている。
【0039】
図7に、制御部21が、液晶パネル20を反転表示させるための制御フローの一例を示す。
最初に、制御部21は、照度センサ41からの出力によって、液晶パネル20が、暗状態にあるか否かを判断する(ステップ701)。液晶パネル20が、暗状態にある場合、液晶表示装置100が頻繁に利用されていない状態であると判断し、その期間に後述する反転表示動作を行うように構成した。
【0040】
ステップ701で暗状態であると判断された場合、次に、制御部21は、受信状態検出センサ45の出力に基づいて、電波時計部51が時刻情報を受信中か否かの判断を行う(ステップ720)。電波時計部51が時刻情報を受信している最中は電力を消費しており、反転表示動作によってさらに電力を消費することから、両者を同時期に行わないように構成した。さらに、駆動電圧を印加すると受信時にノイズが発生するため、受信状態中には反転表示を行わないことが好ましい。
【0041】
ステップ702で、さらに時刻情報の受信中では無いと判断された場合には、次に、制御部21は、充電量検出デンサ43の出力に基づいて、電源部25の充電量が十分か否か(例えば、2次電池の出力電圧が1.27V以上あるか否か)の判断を行う(ステップ703)。反転表示動作は、電力を消費することから、液晶表示装置100が暗状態にあり且つ充電量が十分ある場合にのみ、反転表示動作を行うように構成した。
【0042】
ここで制御部21は、通常の表示を行うための通常表示データとともに、ネガポジ反転表示を行うためのネガポジ反転表示データをあらかじめ表示データ記憶部27に作成して記憶させておき、通常表示データからネガポジ反転表示データに切り換えるようにしてネガポジ反転表示を行う。また、表示データ記憶部27を配置する代わりに、制御部21に演算回路を設け、RAM30又はROM30で作成された表示データを、この演算回路によって反転表示データに変換して出力するようにしても構わない。
【0043】
次に、制御部21は、ネガポジ反転表示(図6(b)参照)を1時間継続させ(ステップ704)、その後通常表示(図6(a)参照)を1時間継続させ(ステップ705)、さらにネガポジ反転表示を1時間継続させ(ステップ706)、その後さらに通常表示に復帰させるという反転表示動作が行われるように制御する。このように、ネガポジ反転表示と通常表示を所定時間毎に繰り返すという反転表示動作を行うことによって、強誘電性液晶10の焼き付け現象を防止することができた。
【0044】
上記実施形態では、反転表示動作を、ネガポジ反転表示(1時間)→通常表示(1時間)→ネガポジ反転表示(1時間)という動作としたが、各表示期間や、繰り返しの回数等は、適宜アプリケーションに応じて最適な期間及び回数を選択することができる。
【0045】
また、上記実施形態では、暗状態であり、且つ電波受信中ではない場合であって、且つ充電量が十分にある場合に、反転表示動作を行うように制御したが、暗状態のみ、電波受信中でない場合のみ、又は充電量が十分にある場合のみ、さらにそれらの内の適当な2つの条件を組合せた場合に、反転表示動作を行うように制御しても良い。
【0046】
さらに、上記実施形態では、反転表示動作中には、ネガポジ反転表示(図6(b)参照)を行って液晶の焼き付け防止を図ったが、ネガポジ反転表示の代わりに、液晶パネル20の全ての画素を黒表示(図8(b)参照)するように制御しても良い。なお、通常時に図6(b)に示すような表示方法を採用している場合には、黒表示ではなく、液晶パネル20の全ての画素を白表示とするように制御しても良い。即ち制御部21は、液晶パネル20の全ての画素の表示状態を黒又は白の一方の表示状態となるようにして反転表示を行うように制御しても良い。
【0047】
さらに、上記実施形態では、第1の領域611及び第2の領域612を同時にネガポジ反転表示させるように制御したが、図9(b)に示すように、第2の領域612のみをネガポジ反転表示させるように制御しても良い。なお、第2の領域612は第1の領域611における時刻表示ほど、注意深く注視されることはないので、たとえは、液晶表示装置100の状況に拘らず、1時間間隔で、図9(a)と(b)を周期的に切換えるように構成しても良い。
【0048】
さらに上記の実施形態では、制御部21は、ネガポジ反転表示用のネガポジ反転表示データを用いて反転表示を行ったが、電源部25から表示パネル20に供給される電圧の極性を反転させるようにして反転表示を行うことも可能である。その場合、制御部21は、極性を反転させるための任意の電子回路を用いることができる。
【0049】
さらに、上記の実施形態では所定の条件が満たされると反転表示を行うように制御されるが(図7参照)、制御部21は、各種センサからの出力が反転表示中に変更された場合には、反転表示を終了して、通常の表示状態に復帰するように制御しても良い。例えば、照度センサ41が液晶パネル20の周囲が暗状態となった場合に反転表示を行うが、途中で照度センサ41が明るくなったことを示した場合には、通常の表示状態に復帰するように制御されることもできる。また水深センサ42が任意の深度を越えたことを示した場合反転表示を行うが、(水中)懐中電灯等で照らされた場合、照度センサ41がある照度が得られたことを示して、反転表示を終了し、通常の表示状態に復帰するように制御することもできる。
【0050】
さらに、制御部21は、水深センサ42からの出力を利用して、予め定められた水深(例えば水深10m以上)を越える出力がなされた場合には、周囲が暗くなるので、液晶パネル20が暗状態にあると判断するように制御しても良い。
【0051】
さらに、制御部21は、太陽電池等の光発電素子26の発電量を検出する発電量検出センサ44からの出力を利用して、発電量が規定位以下となった場合に、反転表示するように制御しても良い。光発電素子26の発電量が低下するということは光発電素子26に光が当らないということであって、発電量検出センサ44は、照度センサ41と同様に機能するからである。
【0052】
以上説明したように、本発明に係るメモリ性液晶表示装置では、通常は常に表示を継続するような機器にメモリ性液晶表示装置に用いた場合にも、センサ出力に基づいて、反転表示(ネガポジ反転表示、黒又は白表示等)を行える時期を決定しているので、焼き付け現象を適切に防止することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係わる液晶パネルの構成例を示す図である。
【図2】本発明に用いられるメモリ性液晶の印加電圧と光透過率との関係を示す図である。
【図3】液晶パネルの断面を示す概念図である。
【図4】本発明に係る液晶表示装置のブロック構成図である。
【図5】液晶パネルに印加される駆動電圧波形の一例を示す図である。
【図6】(a)は通常表示の例を示し、(b)は反転表示の一例を示す図である。
【図7】本発明に係る液晶表示装置の表示制御の手順を示すフローチャートである。
【図8】(a)は通常表示の例を示し、(b)は黒表示の例を示す図である。
【図9】(a)は通常表示の例を示し、(b)は反転表示の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
10 強誘電性液晶
11a、11b 透明ガラス基板
13a 走査電極
13b 信号電極
20 液晶パネル
21 表示制御回路
23 走査駆動電圧波形発生回路
24 信号駆動電圧波形発生回路
25 電源部
30 全画像データ用メモリ
31 部分画像用メモリ
41 照度センサ
42 水深センサ
43 充電量検出センサ
44 発電量検出センサ
45 受信状態検出センサ
51 電波時計部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリ性液晶表示装置であって、
第1の透明基板、第2の透明基板、前記第1及び第2の透明基板の間に挟持されたメモリ性液晶、前記第1又は第2の透明基板上に形成され前記液晶を駆動するための複数の電極を有する液晶パネルと、
センサと、
前記複数の電極に印加される駆動電圧を制御することによって、センサからの出力に応じて、前記液晶パネルを反転表示させるように制御する表示制御部と、
を有することを特徴とするメモリ性液晶表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記液晶パネルの各画素の表示状態を全て反転させるようにして反転表示を行う、請求項1に記載のメモリ性液晶表示装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記液晶パネルの全ての画素の表示状態を、白表示と黒表示のうち、どちらか一方の表示状態となるようにして反転表示を行う、請求項1に記載のメモリ性液晶表示装置。
【請求項4】
さらに、反転表示用の表示データを記憶するためのメモリを有し、
前記表示制御部は、前記センサからの出力に応じて、前記反転表示用の表示データを前記液晶パネルに表示することによって反転表示を行う、請求項1に記載のメモリ性液晶表示装置。
【請求項5】
さらに、少なくとも前記液晶パネルに電力を供給するための電源部を有し、
前記表示制御部は、前記電源部で発生した電圧の極性を反転する機能を有し、前記センサからの出力に応じて前記電源部で発生した電圧の極性を反転することによって反転表示を行う、請求項1に記載のメモリ性液晶表示装置。
【請求項6】
前記センサは、照度センサであり、
前記表示制御部は、前記照度センサが前記液晶パネルの周囲が暗状態にあることを示す場合にのみ前記反転表示を行う、請求項1〜5の何れか一項に記載のメモリ性液晶表示装置。
【請求項7】
前記センサは、水深センサであり、
前記表示制御部は、前記水深センサが前記液晶パネルが任意の深度を越えた場合にのみ前記反転表示を行う、請求項1〜6の何れか一項に記載のメモリ性液晶表示装置。
【請求項8】
さらに、時刻情報を受信するための電波時計部を有し、
前記センサは、前記電波時計部の受信状態を検出する受信状態検出センサであり、
前記表示制御部は、前記受信状態検出センサが前記電波時計部が時刻情報を受信していないことを示す場合にのみ前記反転表示を行う、請求項1〜7の何れか一項に記載のメモリ性液晶表示装置。
【請求項9】
さらに、少なくとも前記液晶パネルに電力を供給するための電源部を有し、
前記センサは、前記電源部の充電状態を検出する充電状態検出センサであり、
前記表示制御部は、前記充電状態検出センサが前記電源部が十分な充電量を有することを示す場合のみ前記反転表示を行う、請求項1〜8の何れか一項に記載のメモリ性液晶表示装置。
【請求項10】
さらに、光により発電を行う光発電素子を有し、
前記センサは、前記光発電素子の発電量を検出する発電量検出センサであり、
前記表示制御部は、前記発電量検出センサが発電量が任意の値より小さくなったことを示す場合のみ前記反転表示を行う、請求項1〜9の何れか一項に記載のメモリ性液晶表示装置。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記センサの出力に応じて、前記液晶パネルの前記反転表示を終了し、通常の表示状態へ復帰させるように制御する、請求項1〜10の何れか一項に記載のメモリ性液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−23481(P2006−23481A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200765(P2004−200765)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000001960)シチズン時計株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】