説明

モニタ出力部を改善した防犯用センサ装置

【課題】 コスト高を招くことのない簡単な構成としながらも正確な受信信号レベルをモニタに出力して表示できる防犯用センサ装置を提供する。
【解決手段】 物体検知用の検知波IRの受信信号を処理するセンサ回路を含むセンサ本体41と、センサ本体41の前面を覆う外カバー43とを備える。センサ回路をモニタ29に接続するためのテスタピン18の差込み孔17が、外カバー43の内方で、センサ本体41の上面から上下方向に沿って形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、投光部から出射された検知波を受信する受信部の受光信号の信号レベルを外部のモニタに出力して表示できるモニタ出力機能を備えた防犯用センサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の防犯用センサ装置として、直線的な警戒区域の両端部に、赤外線ビームの投光部と受光部とを設置して、投光器と受光器との間で赤外線ビームを投受光し、赤外線ビームが人体に妨げられるのを検出することで人体を検知する能動型の赤外線検知装置が知られている。この防犯用センサ装置では、投光部および受光部が共にユニット化されたほぼ同一の外観形状を有している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記受光部は、センサ本体の前面側に、投光部から出射された赤外線ビームを受光する受光素子およびこの受光素子に対向配置された光学系がユニットケースに保持された素子ユニットと、受光素子から出力される受光信号を処理するセンサ回路などが設けられ、センサ本体に着脱自在に装着される外カバーにより前記素子ユニットが覆われて保護されている。外カバーの内側で前記素子ユニットの上方には、端子台を兼ねる内部カバーが設けられており、内部カバーの前面には、センサ回路からの受光信号の信号レベルを外部のモニタに出力する際にモニタ側のテスタピンが差し込まれる差込み孔が設けられている。防犯センサ装置の設置時またはメンテナンス時には、外カバーを取り外したのち、内部カバーの差込み孔にテスタピンを挿入してセンサ回路のモニタ出力端子をモニタに接続することにより、センサ回路の受光信号の信号レベルをモニタに表示して、受光部における投光部に対する光軸調整を行うようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−039043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記防犯用センサ装置では、これが取り付けられる壁面のコーナー箇所やポールの側方などに障害物が存在する場合が多いことから、テスタピンの差込み孔を内部カバーの前面側に設けて、障害物に邪魔されずにテスタピンを受光部の前面側の差込み孔から後方へ向けて差し込むように図っている。しかしながら、テスタピンは、素子ユニットの上方側前面に配置された内部カバーの差込み孔に後方に向けて挿入されるので、このテスタピンの接続コードが、素子ユニットの光学系の前方側に垂れ下がることがある。その場合には、接続コードが光学系に入射する赤外線ビームの一部を遮るので、正確な受光信号レベルがモニタに表示されず、光軸調整に手間取ったり、正確な光軸調整が行えないことがある。そこで、作業者が接続コードを手で持って光学系の側方に保持しながら光軸合わせの調整作業を行うことになり、一方の手で接続コードを持ちながら他方の手で調整ダイヤルや調整ねじの操作を行わなければならないので、光軸合わせの作業性が悪くなる。
【0006】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたもので、コスト高を招くことのない簡単な構成としながらも、正確な受信信号レベルをモニタに出力して表示できる防犯用センサ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係る防犯用センサ装置は、物体検知用の検知波の受信信号を処理するセンサ回路を含むセンサ本体と、前記センサ本体の前面を覆う外カバーとを備え、前記センサ回路をモニタに接続するためのテスタピンの差込み孔が、前記外カバーの内方で、前記センサ本体の上面から上下方向に沿って形成されている。
【0008】
この構成によれば、テスタピンの差込み孔がセンサ本体の上面から上下方向に沿った配置で形成されているので、この差込み孔に差し込まれたテスタピンの接続コードは、センサ本体における上方から左右側方または後方側に導くことができ、従来のようにセンサ本体の前方側に垂れ下がって光学系に入射する検知波の一部を遮る事態が生じない。したがって、差込み孔に取り付けたテスタピンの接続コードを持って邪魔にならない位置に保持する必要もない。これにより、モニタには、常に正確な受信信号レベルを表示させることができ、良好な作業性で光軸合わせの調整作業を行うことができる。
【0009】
また、この種の防犯用センサ装置は、主として不法侵入者を検知する用途に用いることから、起立状態の人体の腰部付近の高さ位置に設定して設置される場合が多い。その場合、テスタピンの差込み孔がセンサ本体の上部前側に設けられた従来のセンサ装置では、腰を屈めて差し込み孔を確認する必要があるために作業性が悪いのに対し、本発明の防犯用センサ装置では、センサ本体の上方から差込み孔を即座に視認してそのままの姿勢でテスタピンを差し込むことができるので、光軸調整の作業性が向上する。これらの効果は、テスタピンの差込み孔の配設位置を変更するだけの簡単な構成で得られるので、コスト高を招かない。
【0010】
本発明において、前記センサ本体は前記センサ回路の端子を保持する端子台を有し、 前記端子台における端子よりも前方の上面に前記差込み孔が上方に向かって開口して設けられている。この構成によれば、差込み孔を、端子台における従来利用されることのなかった端子よりも前方の上面に設けるので、端子台の端子に接続される配線が邪魔になることなく、容易にテスタピンを差込み孔に挿入することができる。
【0011】
また、本発明において、前記端子台に前後方向に貫通した空洞が形成され、前記空洞に前記差込み孔を形成するボスが突出し、前記ボスは下方と後方に開口しており、前記ボスの外周に、前記テスタピンに接触する接触片を有する接続金具が装着され、前記ボスの後方開口から前記差込み孔に向かって、前記接触片が進入している。
【0012】
この構成によれば、センサ本体は、端子台の前後方向に貫通した空洞に突出するボスが下方と後方に開口した形状を有しているので、センサ本体を成形工程で製作する場合、差込み孔を形成するためのボスの内部空間の形成箇所のみにスライド金型を用いるだけで、前後方向への1回の型抜きで成形することができる。また、接続金具をセンサ本体の空洞に後方側から挿入してボスの外周に嵌め込む状態に装着すれば、その接続金具の接触片が、ボスの後方開口から差込み孔内に進入して、差込み孔内に差し込まれるテスタピンに確実に接触するよう配置されるので、センサ装置の製作に際して、接続金具の配設を容易、かつ、確実に行うことができる。しかも、テスタピンが差込み孔に差し込まれるときには、このテスタピンをボスが下方に向けスムーズに進入するようガイドするので、テスタピンを接続金具の接触片に確実に接触させて正確な電気的接続を行えるとともに、接続金具の接触片を、テスタピンの差込み孔への挿抜時に変形されたりするのをボスにより防止することができる。
【0013】
さらに、本発明において、前記端子台における前記ボスの下方に位置する部分に、前記テスタピンの先端に接触して前記テスタピンを上下方向に位置決めする保持壁が形成されている。この構成によれば、ボスの上下方向の長さ寸法を比較的短く設定しながらも、テスタピンの差込み孔への挿入量を正確に規制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の防犯用センサ装置によれば、センサ回路をモニタに接続するためのテスタピンの差込み孔を、センサ本体の上面から上下方向に沿った配置で形成するだけの簡単な構成でありながら、光学系へ入射すべき検知波の一部がテスタピンの接続コードにより遮られるのを確実に防止することができ、常に正確な受信信号レベルをモニタに表示させて、良好な作業性で光軸合わせの調整を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る防犯用センサ装置を示すブロック図である。
この防犯用センサ装置は、直線的な警戒区域の両端側の壁面またはポールに互いの光軸を一致させて相対向する配置で設置される投光部1と受光部2とからなる能動型の赤外線検知装置であり、赤外線ビームIRを人体の検知波として投受光する。前記投光部5および受光部2は、後述するように共にユニット化された構成になっている。
【0016】
投光部1は、投光側素子ユニット11、投光駆動回路12、投光抑制回路13および投光側カバー開閉検知スイッチ14を有している。前記素子ユニット11、投光駆動回路12および投光抑制回路13はそれぞれ複数、例えば一対設けられているが、図1では一つのみを示している。素子ユニット11は、赤外線発光ダイオードなどの発光素子15と近赤外線のような赤外線ビームIRを形成するための投光レンズまたは反射ミラーのような送信側光学系16とを備えて、投光器として構成されている。投光駆動回路12は、発光素子15を所定の周波数で発光駆動してパルス変調波からなる赤外線ビームIRを出射させる。投光側カバー開閉検知スイッチ14は、後述のカバーのセンサ本体に対する開閉を検出する接触型または近接型のスイッチである。投光抑制回路13は、カバー開閉検知スイッチ14がカバーの開放を検出したときに、発光素子15から出射する赤外線ビームIRがカバーによる減衰透過分だけ低減する駆動電力を発光素子15に対し供給するように投光駆動回路12を制御する。
【0017】
一方、受光部2では、受信側素子ユニット21が、受光レンズまたは集光ミラーのような受信側光学系22とフォトトランジスタなどの受光素子23とを備えて、受光器として構成されており、この受信側素子ユニット21は、投光部1からの赤外線ビームIRを受光して、その赤外線受光量に応じた電気信号を出力する。この電気信号は、増幅回路24で増幅されたのち、検波回路25で外乱光が除去されてパルス変調波のみによる受光信号のレベルに応じた信号に変換され、この信号レベルが設定検知レベル以下であるか否かを信号判別回路26で判別される。投光部1からの赤外線ビームIRが不法侵入者により遮られて受光信号レベルが予め設定された検知レベル以下になったときには、信号判別回路26から検知信号が出力されて警報回路27が駆動され、不法侵入者が存在することを報知するための警報信号が警報回路27から、例えば図示しない警備センターへ出力されるようになっている。
【0018】
また、検波回路25は、後述する回路基板におけるモニタ出力端子28に対し配線パターンにより接続されており、前記モニタ出力端子28は、後述するテスタピンが差込み孔に差し込まれることにより、接続コードを介してモニタ29に接続される。これにより、モニタ29には、検波回路25から出力される、素子ユニット21の赤外線受光量に比例した受光信号レベルが表示される。増幅回路24は、素子ユニット21からの受光信号の信号レベルに応じてAGC回路30により利得制御されて、出力が常に一定の信号レベル以下になるように制御される。素子ユニット21、増幅回路24、検波回路25および信号判別回路26もそれぞれ複数、例えば一対設けられているが、図1では一つのみを示している。
【0019】
受光部2は、さらに、受光側カバー開閉検知スイッチ31と受光レベル抑制回路32とを有している。受光側カバー開閉検知スイッチ31は、後述のカバーのセンサ本体に対する開閉を検出する接触型または近接型のスイッチである。受光レベル抑制回路32は、カバー開閉検知スイッチ31がカバーの開放を検出したときに、AGC回路30を介して増幅回路24の利得を下げさせることにより、増幅回路24に対し、素子ユニット21からの受光信号の信号レベルをカバーによる減衰透過分だけ低減して増幅するように制御する。
【0020】
前記投光部1および受光部2は、上述したように共にユニット化されたほぼ同様の構成を有している。そこで、図2(a)〜(c)に示す受光部2を代表として説明する。この受光部2は、図2(b)に示す壁面やポールなどの設置面Sに装着される樹脂製のセンサ本体41と、このセンサ本体41のベース42に着脱自在に装着される樹脂製のカバー43とを有している。
【0021】
受光側の素子ユニット21は、受光レンズからなる上下一対の受信側光学系22がユニットケース45に保持され、そのユニットケース45の内部に、第1の回路基板46が装着されており、各受信側光学系22の後方に位置して受光素子23が第1の回路基板46に実装して配置されている。ベース42に装着された第2の回路基板47には、図1に示した構成のセンサ回路21,24〜28,30〜32が実装されている。
【0022】
ベース42の下端前側に固定された支持部材7には、図2(a)に示すように、正面視でU字形状の保持体8が、鉛直方向を向く縦軸9の回りに回動自在に片持ち式に支持され、その保持体8に、受光側の素子ユニット21が図2(b)に示す左右一対の横軸10の回りに回動自在に取り付けられている。前記縦軸9は例えばねじ体であり、横軸10はピンである。したがって、前記素子ユニット21は、ベース42に対して縦軸9の回りに保持体8を介し回動することによって水平偏向角が可変調整され、かつ、保持体8に対して横軸10の回りに回動することによって上下偏向角が可変調整され、それにより、図1の投光部1の素子ユニット11に対する受信側素子ユニット21の光軸合わせができるようになっている。
【0023】
図2(a)の縦軸9には、保持体8を縦軸9の回りに回転させて素子ユニット21の水平偏向角を調整する操作を行うためのダイヤル35が一体形成されている。また、保持体8の下端近傍の前面側には調整ねじ19が回転自在に支持され、この調整ねじ19は、ユニットケース45の下部に形成された突部(図示せず)にねじ込まれている。したがって、ダイヤル35を回転操作すれば、保持体8を介して素子ユニット21の水平偏向角を調整でき、かつ、調整ねじ19を回転操作すれば、横軸10の周りに回動自在のユニットケース45を介して素子ユニット21の上下偏向角を調整することができる。この光軸調整は公知の照準器36を用いて行われる。
【0024】
前記照準器36は、素子ユニット21のユニットケース45における上下方向の中央部に設けられており、この照準器36は、照準器ケース37に設けられた左右一対ののぞき窓38と、照準器ケース37の前面の左右に設けられた一対の照準孔39と、照準器ケース52内に設けられた左右一対の反射ミラー(図示せず)とを備えている。照準器36は、カバー43を開放した状態で、のぞき窓38からのぞきながらダイヤル35または調整ねじ19を操作して素子ユニット21の水平偏向角または上下偏向角を調整し、前記反射ミラーに映る投光部1の素子ユニット11の像と照準孔39とが重なるように操作することにより、光軸の粗調整を行うようになっている。この粗調整につづいて、図1のモニタ29に表示されている受光信号レベルを見ながら、この受光信号レベルが最大値になるように図2(a)のダイヤル35および調整ねじ19を調整して光軸の微調整を行い、図1のモニタ29に表示される受光信号レベルが所定レベル以上になるまで、つまり受光部2の光軸が投光部1に正確に一致するまで、投光部1および受光部2の光軸調整を必要に応じて複数回繰り返す。なお、図1の投光部1も上述した受光部2とほぼ同様の構成になっている。
【0025】
図2(b)に示すベース42の上部前面側、つまり素子ユニット21の上方箇所にはこの箇所を覆う内部カバー20が取り付けられている。内部カバー20には端子台6が一体形成されている。内部カバー20の内方には、センサ回路の一部を構成する第3の回路基板48が水平方向の配置で保持され、この第3の回路基板48の後端部に、センサ回路の一部が構成された第4の回路基板49が第3の回路基板48に直交して配置され、端子台6の後面に取り付けられている。センサ本体41の平面図である図2(c)に示すように、内部カバー20における端子台6の端子5よりも前方の上面に、左右一対の差込み孔17が、内部カバー20の上方に向かって開口する上下方向の配置で設けられている。
【0026】
図3(a)は図2(c)のIIIA−IIIA線に沿って切断した拡大断面図を示す。同図において、端子台6に取り付けられた第4の回路基板49に、ねじ体を有する端子5が固定されて、端子台6の前方から端子5にアクセス可能になっている。内部カバー20の内側空間には、端子台6の下方箇所を通って前後方向に貫通する空洞33が設けられている。すなわち、空洞33は全面側の開口部60を介して外部に連通している。開口部60は図2(a)に示すように、端子台6の下方箇所の中央部で左右に延びる長方形状になっている。内部カバー20には、空洞33に向け下方に突出し、かつ、上下方向に沿った配置の貫通した丸孔である差込み孔17を内部に形成したボス52と、このボス52における差込み孔17の下端開口の前縁から下方に向けて延出したガイド片53と、このガイド片53の下端に対し隙間を存して位置する水平な保持壁54と、この保持壁54の後端から差込み孔17の後方側孔縁に相対向する向きに僅かに立ち上がった保持片55とが一体形成されている。
【0027】
図3(a)のIII C−III C線に沿った拡大断面図である図3(c)に示すように、前記保持片55は、四角柱状の外観を有する前記ボス52の内部に設けられた差込み孔17を包含する平面視コ字形状を有して、ボス52に対し下方で相対向するように配置されている。したがって、保持片55は、差込み孔17に挿入されたのちにガイド片53に沿って下方へ導かれるテスタピン18を、嵌め入れる状態に受けて保持する。ボス52は下方と後方に開口しており、ボス52の後方開口、すなわち、前方のガイド片53に対向する開口には、後述の接続金具59の接触片59bが挿通される。保持壁54の下面には前記第3の回路基板48の前端部分の上面が重ね合わされ、これにより、第3の回路基板48が位置決め状態に保持されている。
【0028】
前記第3の回路基板48の前端部には、図4に示すように、1枚の導体板から打ち抜き加工および折り曲げ加工を経て形成された接続金具59が装着されている。この接続金具59は、上端部に設けられたコ字形状の支持枠部59aと、この支持枠部59aの下端から斜め前方に向け延びる一対の接触片59b,59bと、後部中央から垂下状態に設けられた接続片59cと、支持枠部59aの左右両端部から下端に向け延出して設けられた左右一対の取付片59d,59dとを有している。この接続金具59は、図3(a)の第3の回路基板48に対し、接続片59cおよび一対の取付片59dを貫通状態に固定して取り付けられている。さらに、接続金具59は、支持枠部59aが前記ボス52における前面側を除く三方の外側面に嵌合することにより、内部カバー20に固定される。この状態で、一対の接触片59bは、ボス52の下方に設けられた前記後方開口から差込み孔17内に進入されている。また、接続金具59の接続片59cは、第3の回路基板48に配線パターンにより形成されたモニタ出力端子28(図1)に電気的に接続されている。
【0029】
前記防犯用センサ装置の設置時またはメンテナンス時には、図1の投光部1の素子ユニット11と受光部2の素子ユニット21との各々の光軸を一致させるための光軸調整が行われる。この光軸調整に際しては、図2(b)のカバー43を取り外したのち、図3(a)に示すように、モニタ29(図1)に接続したテスタピン18を差込み孔17に対し外部上方から挿入すると、図3(b)に示すように、差込み孔17を通過したテスタピン18の先端部が、差込み孔17内に斜め下方に向く配置で進入している接触片59bを外方(後方)へ押し出すように弾性変形させながらガイド片53に沿って下方へ導かれ、先端が保持壁54に当接してテスタピン18の上下方向の位置決めがなされ、この状態で前記先端が保持片55に接触してテスタピン18の傾きが防止されている。このとき、テスタピン18は、弾性変形による復元力で圧接する接触片59bおよび接続片59cを介して、第3の回路基板48に構成された図1のモニタ出力部16に電気的に接続される。したがって、検波回路25から出力される受光信号レベルは、図3(b)の接続金具59、テスタピン18および接続コード56を介して図1のモニタ29に表示される。前述したように、モニタ29の表示を見ながら図2(a)のダイヤル35および調整ねじ19を操作して光軸の微調整を行う。
【0030】
上記構成において、前記受光部2では、図3(a)のテスタピン18の差込み孔17が、センサ本体41に固定された内部カバー20の上面に向かって開口する配置で形成されているので、この差込み孔17に差し込まれたテスタピン18の接続コード56は、図3(b)に示すように、センサ本体41における上方から左右側方または後方側に円滑に導出され、従来のようにセンサ本体の前方側に垂れ下がって光学系に入射する赤外線ビームの一部を遮る事態を避けることができる。したがって、従来のセンサ装置のように差込み孔17に取り付けたテスタピン18の接続コード56を手に持って邪魔にならない位置に保持する必要がない。これにより、モニタ29(図1)には、常に正確な受信信号レベルを表示させることができ、良好な作業性で光軸合わせの調整作業を行うことができる。
【0031】
また、この種の防犯用センサ装置は、主として不法侵入者を検知する用途に用いることから、起立状態の人体の腰部付近の高さ位置に設置されることが多い。このような高さに設置した場合、センサ本体41の上方から差込み孔17を即座に視認できるから、従来のセンサ装置のようにセンサ本体の前面側に設けられた差込み孔を確認するために腰を屈める必要がなく、起立姿勢のままテスタピン18を差込み孔17に容易に差し込むことができる。
【0032】
さらに、差込み孔17が内部カバー20における従来利用されることのなかった端子台6よりも前方の上面に設けられているので、端子台6の端子5に接続された配線(図示せず)が邪魔になることなく、容易にテスタピン18を差込み孔17に挿入することができるので、光軸調整の作業性が一層向上する。しかも、これらの効果は、テスタピン18の差込み孔17の配設位置を変更するだけの簡単な構成で得られるので、コスト高を招かない。
【0033】
図5は、カバー43、ベース42および内部カバー20の差込み孔17に対応する箇所で切断した縦断面図ある。ベース42とは別体に設けられてセンサ本体41に固定された内部カバー20は、図3(a)の開口部60を介して端子台6の下方箇所で前後方向に貫通した空洞33内にボス52が下方に向け突出し、かつ、ボス52の下方に保持壁54が離間して配設されてボス52の下方開口が設けられているとともに、ボス52の下方に保持片55が離間して配設されてボス52の後方開口が設けられている。これにより、樹脂製の内部カバー20を成形工程を経て製作する場合は、差込み孔17を形成するためのスライド金型を用いるだけで、前後方向への1回の型抜きで成形加工することができる。
【0034】
また、図3(b)に示すように、第3の回路基板48を、内部カバー20に対し後方側から挿入して前面壁20aに当接させ、かつ、保持壁54の下面に接触させて位置決め固定すれば、第3の回路基板48に予め取り付けられている接続金具59は、支持枠部59aがボス52の外周3面に嵌まり込んだ状態で固定される。このとき、接触片59bは、ボス52の前記後方開口から差込み孔17内に進入して、差込み孔17内に差し込まれるテスタピン18に確実に接触する配置に確実に保持される。したがって、前記防犯用センサ装置の製作に際して、接続金具59の配設を容易、かつ、正確に行うことができる。
【0035】
しかも、前記防犯用センサ装置では、テスタピン18が差込み孔17に差し込まれるときに、このテスタピン18をボス52およびガイド片53が下方に向けスムーズに進入するようガイドするので、テスタピン21を接続金具59の接触片59bに確実に接触させて正確な電気的接続を行うことができる。また、接続金具59の接触片59bを、テスタピン18の差込み孔17への挿抜時に変形されたりするのをボス52により防止することができる。また、ボス52の下方位置には、テスタピン18の先端に接触してテスタピン18の上下方向の位置決めを行う保持壁54が形成されているから、ボス52の上下方向の長さ寸法を比較的短く設定しながらも、テスタピン18の差込み孔17への挿入量を正確に規制することができる。
【0036】
本発明は、防犯用センサ装置における前記実施形態で例示した受光部5以外に、投光部1にも適用することができる。その場合、投光部1には、受光部2から受光レベルを示す信号を受信してモニタ29に表示させるようにする。本発明はさらに、遠赤外線を検知する受動型の赤外線検知器、超音波、マイクロウェーブなどを使用した防犯用センサ装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係る防犯用センサ装置を示すブロック図である。
【図2】(a)は同上の防犯用センサ装置を示す正面図、(b)は同縦断面図、(c)は平面図である。
【図3】(a)は図2(c)のIIIA−IIIA線に沿って切断した拡大断面図、(b)は(a)の差込み孔にテスタピンを挿入した状態を示す図2(a)のIIIB−IIIB線に沿った拡大断面図、(c)は(a)のIII C−III C線に沿って切断した拡大断面図である。
【図4】同上のセンサ装置に設けた接続金具を示す拡大斜視図である。
【図5】同上のセンサ装置におけるカバー、ベースおよび内部カバーの差込み孔に対応する箇所で切断した縦断面図ある。
【符号の説明】
【0038】
5 端子
6 端子台
17 差込み孔
18 テスタピン
21,24〜28,30〜32 センサ回路
29 モニタ
33 空洞
41 センサ本体
43 カバー(外カバー)
48 第3の回路基板
52 ボス
54 保持壁
59 接続金具
59b 接触片
IR 赤外線ビーム(検知波)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体検知用の検知波の受信信号を処理するセンサ回路を含むセンサ本体と、前記センサ本体の前面を覆う外カバーとを備え、
前記センサ回路をモニタに接続するためのテスタピンの差込み孔が、前記外カバーの内方で、前記センサ本体の上面から上下方向に沿って形成されている防犯用センサ装置。
【請求項2】
請求項1において、前記センサ本体は前記センサ回路の端子を保持する端子台を有し、 前記端子台における端子よりも前方の上面に前記差込み孔が上方に向かって開口して設けられている防犯用センサ装置。
【請求項3】
請求項2において、前記端子台に前後方向に貫通した空洞が形成され、前記空洞に前記差込み孔を形成するボスが突出し、前記ボスは下方と後方に開口しており、前記ボスの外周に、前記テスタピンに接触する接触片を有する接続金具が装着され、前記ボスの後方開口から前記差込み孔に向かって、前記接触片が進入している防犯用センサ装置。
【請求項4】
請求項3において、前記端子台における前記ボスの下方に位置する部分に、前記テスタピンの先端に接触して前記テスタピンを上下方向に位置決めする保持壁が形成されている防犯用センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−309746(P2006−309746A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−92869(P2006−92869)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】