説明

ヤーコンシロップの製造方法及び該製造方法によって得られるヤーコンシロップ

【課題】フラクトオリゴ糖の含有量が高いヤーコンシロップを効率的に得るヤーコンシロップの製造方法及び該製造方法によって得られるヤーコンシロップを提供する。
【解決手段】ヤーコンシロップは、収穫されたヤーコン芋を洗浄するステップS1と、該洗浄されたヤーコン芋の表皮が損傷していないもの又は損傷が極小のものを選んで凍結保存するステップS2と、該凍結保存されたヤーコン芋を解凍するステップS3を経た後に蒸煮処理するステップS4、若しくは該凍結保存されたヤーコン芋をそのまま蒸煮処理するステップS4と、該蒸煮されたヤーコン芋を嗜好性に応じて搾汁若しくは常温放置で糖液を回収するステップS7と、該回収された糖液を加熱処理するステップS6,S8とを経て製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヤーコンからシロップを得る製造方法及び該製造方法によって得られるヤーコンシロップに関する。
【背景技術】
【0002】
ヤーコン(Smallanthus sonchifolius)は、南米アンデス原産のキク科の植物で、日本へは1984年にニュージーランドを経て渡来し、それ以降、各地で栽培されるようになった。ヤーコンはさつまいもと同様な外観を示すが、その栄養素はほとんどが糖類、とくにフラクトオリゴ糖で占められていることが特徴である。
【0003】
しかしながら、ヤーコンにはフラクトオリゴ糖を分解する酵素であるフラクタン−1−エキソヒドロラーゼ(EC 3.2.1.80)を含んでおり、ヤーコンを剥皮したり、破砕等のカットをするとヤーコン芋中の組織が破壊され、上記酵素がフラクトオリゴ糖に作用することで、フラクトオリゴ糖が急激に減少する。フラクトオリゴ糖を分解せずに加工処理し、加工処理時及び貯蔵時の栄養分解を抑制できるヤーコンの加工法は例えば特許文献1で知られている。
【0004】
また、ヤーコン本来の優れた風味を有するヤーコンジュースを、高濃度の変色防止剤を添加することなく、歩留まりよく得る方法も特許文献2で知られている。
【0005】
一方生鮮ヤーコンを一定時間加熱処理することによって、破砕時に生じるヤーコンの変色を防止することも特許文献3で知られている。
【0006】
さらに特許文献4には、ヤーコンシロップ等を加工する前段階のヤーコン芋を粉砕及び他の食物原料と混合する際の搾汁の色調を安定化させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−262816号公報
【特許文献2】特開2002−119262号公報
【特許文献3】特許3044337号公報
【特許文献4】特開2001−252038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1には水洗いしたヤーコンを−20〜0℃の温度で0.5〜5時間冷凍し凍結させることは開示されているものの、フラクトオリゴ等を分解せずに加工し、ヤーコンを安定な状態で保持させるため乾燥させることが記載されているだけで、フラクトオリゴ糖を搾汁してシロップを得ることの記載はない。
【0009】
特許文献2、3に記載のヤーコン搾汁液は、酸化防止剤を加える必要があること、また剥皮又は破砕や粉砕工程など、フラクタン−1−エキソヒドロラーゼの酵素活性が高くなる作業が入るため、作業技術の違いが、フラクトオリゴ糖の含量に変動を及ぼし、品質の高いヤーコンシロップを効率的に得られないのが実状である。また、このようなシロップの素となるヤーコン搾汁液の製造の際には、不活性ガスの噴霧装置や瞬間加熱破砕装置などの専用設備を準備する必要があり、これらの処置を怠ると、たちまちオリゴ糖の分解が発生し、ヤーコンに特有のフラクトオリゴ糖がリッチなシロップの製造ができないという問題があった。
【0010】
特許文献4はヤーコン芋を粉砕および他の食物と混合する際の搾汁の色調を安定化させるもので、ヤーコン芋を冷凍凍結させて糖液を搾汁することの記載はない。
【0011】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、フラクトオリゴ糖の含有量が高いヤーコンシロップを効率的に得る製造方法及び該製造方法によって得られるヤーコンシロップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は以下により達成される。
(1)収穫されたヤーコン芋を洗浄するステップと、該洗浄されたヤーコン芋の表皮が損傷していないもの又は損傷が極小のものを選んで凍結保存するステップと、該凍結保存されたヤーコン芋を解凍するステップを経た後に蒸煮処理するステップ、若しくは該凍結保存されたヤーコン芋をそのまま蒸煮処理するステップと、該蒸煮されたヤーコン芋を嗜好性に応じて搾汁若しくは常温放置で糖液を回収するステップと、該回収された糖液を加熱処理するステップとを経て得られるヤーコンシロップの製造方法。
(2)前記(1)に記載のヤーコンシロップの製造方法において、前記凍結保存されたヤーコン芋は、表皮損傷の程度を判定して、損傷がないもの又は損傷が極小のものは解凍するステップへ移行され、それ以外のものはそのまま蒸煮処理するステップへ移行されることを特徴とするヤーコンシロップの製造方法。
(3)ヤーコンの凍結保存は−5℃以下で行われることを特徴とする前記(1)又は(2)記載のヤーコンシロップの製造方法。
(4)ヤーコンの凍結保存は−20〜−80℃以下で、かつ半日以上1ヵ月以内で行われることを特徴とする前記(3)記載のヤーコンシロップの製造方法。
(5)ヤーコンの凍結解凍は常温以下の環境で処理されることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のヤーコンシロップの製造方法。
(6)ヤーコンの凍結解凍は10℃以下の環境で24時間以内に処理されることを特徴とする前記(5)に記載のヤーコンシロップの製造方法。
(7)蒸煮処理は、前記解凍したヤーコン芋に高温の蒸気をあてて行うことを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載のヤーコンシロップの製造方法。
(8)蒸煮処理は60〜100℃に調整された飽和蒸気、又は100℃以上の高温高圧状態にある蒸気を用いて行うことを特徴とする前記(7)に記載のヤーコンシロップの製造方法。
(9)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の製造方法によって得られるヤーコンシロップ。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るヤーコンシロップの製造方法によれば、収穫されたヤーコン芋を冷凍処理し、該凍結物をそのまま、あるいは常温以下の条件で解凍し、得られた該解凍物のいずれかを蒸煮し、その際、生じるヤーコン由来の糖液を回収し、濃縮することで高濃度のフラクトオリゴ糖を含むヤーコンシロップの製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例におけるヤーコンシロップの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の最良の実施形態を、図1に示す製造方法のフローチャートによって説明する。図1示すS1〜S8は、本発明のヤーコンシロップの製造方法において各ステップを意味する記号である。
【0016】
本発明は、収穫直後のフラクトオリゴ糖を豊富に含むヤーコンを用いて製造される。用いるヤーコンの品種としては、フラクトオリゴ糖を豊富に含むペルーA種が望ましいが、その他の品種としてアンデスの雪種、サラダオトメ種、サラダオカメ種を用いてもよい。また、用いるヤーコン芋の形状にはこだわらないが、望ましくは丸い形状よりも細長い形状のものが、フラクトオリゴ糖を豊富に含むヤーコンシロップの調製には向いている。なぜなら、ヤーコン芋はフラクトオリゴ糖の含量が皮付近で中心部の約2倍と高く、フラクトースの結合数(重合度)の高いオリゴ糖も皮付近に集中していることが確認されていて、ヤーコンフラクトオリゴ糖の酸化はヤーコンを収穫した直後から急激に始まることも知られている。したがって、細長いヤーコン芋は、丸い形状のものと比べて表皮面積が増えるため、フラクトオリゴ糖の含有量が高く、良好なヤーコンシロップを得ることに効果的である。
【0017】
ヤーコン芋の洗浄は、図1のS1ステップに示すように、水道水を用いて、土などを手洗いで洗い流せばよいが、その際、皮を傷つけないようにすることが重要で、そのため硬いブラシ等の使用は好ましくない。また、高水圧のノズルを用いてもよいが、その際も皮が剥げないようにする気配りが必要である。いずれにしてもヤーコン芋の表皮を傷つけないで泥等を落とせる手法であればよく、これを総称して洗浄と言う。
【0018】
収穫されたヤーコン芋は図1のフローチャートに示すステップS1で洗浄された後、ステップS2で冷凍庫に入れて凍結させるが、洗浄の際、表皮に損傷が多いものは除外される。すなわち、ヤーコン芋が割れて果肉がはっきり見えるものや、折れているものなどは損傷の程度が大きいと判断し、それ以外のものは損傷が無い若しくは極小と判断する。ここで、凍結温度は−5℃以下になっていればよく、望ましくは、−20〜−80℃で冷凍保存すると、ヤーコン中のフラクトオリゴ糖の分解を最小限に抑えることが可能となる。なお、凍結期間は、半日以上、1か月以内であれば十分であるが、1年以内の冷凍貯蔵でも使用可能である。
【0019】
凍結したヤーコン芋は、表皮の損傷が無いか又は極小の場合に、ステップS3で常温以下の状態で解凍させる。解凍温度は10℃以下になっていればよく、望ましくは、4℃前後の冷蔵庫で24時間以内に処理すると、凍結されたヤーコン芋はフラクトオリゴ糖の減少を抑制しながら解凍される。この操作により、次のステップS4の蒸煮処理後に得られる搾汁液の抽出性が高まる。これは、ヤーコン芋の組織が解凍され、糖液が排出されやすくなるためである。
【0020】
ヤーコンシロップの調製の際、予め、解凍しておくと、ヤーコン搾汁液が得やすくなるが、解凍前あるいは解凍中にヤーコン芋に裂開がみられたり、表皮の損傷がある場合には、ヤーコン芋そのものが空気と触れやすい状態になり、フラクトオリゴ糖の分解が進む恐れがあるため、むしろステップS3の本解凍処理は省略し、ステップS4の蒸煮処理に移行した方がよい。すなわち、収穫後、洗浄されたヤーコン芋は、凍結後、表皮損傷の程度に応じて、解凍処理を行わないで次の蒸煮処理工程に移すことになる。なお、図1には、ステップS2からステップS4へ直接移行する際に、表皮損傷の程度として損傷の少ないものを選ぶプロセスフローを示しているが、本発明では、表皮損傷が無いもの又は極小のものをステップS2から直接ステップS4へ移行しても良い。それによって、処理時間を短くできるという効果が得られる。
【0021】
本発明においては、解凍処理だけではなく、凍結処理前あるいは凍結中においても、ヤーコン芋に裂開がみられたり、表皮の損傷がある場合があるので、図1に示すように、表皮損傷の有無に応じて、ステップS2及びステップS3を省略して、ステップ1を経た洗浄後のヤーコン芋をそのままステップS4の蒸煮処理に移行することもできる。
【0022】
未凍結状態、凍結状態、解凍状態のいずれのヤーコン芋も、すべて蒸煮処理をすることで、ヤーコンシロップの素となる糖液が製造される。すなわち、図1において、ステップS1→ステップS4、ステップS2→ステップS4、及びステップS3→ステップS4のいずれかを経て得られるヤーコンは剥皮せず、切らずにそのまま、蒸し器の中に入れて、蒸気をヤーコン芋にあてる。蒸し器は特別な道具を必要しないが、60〜100℃以下の蒸気を発生させることができるスチーマーを使用するとよい。望ましくは、75℃に調整された飽和蒸気で5時間以上、ヤーコン芋を蒸すと、ヤーコン芋の表面から、糖液が浸出してくるため、受け器をセットし、糖液を回収する。また、100℃以上の高温高圧状態にある蒸気を用いて蒸煮することができる。この処理をヤーコン芋に、1時間程度ほどこすと、ヤーコンの糖液を回収することができる。
【0023】
蒸煮処理中に、ヤーコンから糖液を50%以上、回収することができるが、90%以上の糖液を回収するためには、ステップS5でヤーコン芋より搾汁する必要がある。搾汁する方法としては、その手段を選ばないが、すりおろしは糖液の抽出を著しく高めるが、ヤーコン特有の不快臭が強くなるため、圧搾機等で搾汁するのが好ましく、すりおろす操作に準じる搾汁は望ましくない。
【0024】
蒸煮処理後のヤーコンからの糖液回収率を高めるため、搾汁すると効率よく糖液の回収が進むが、より嗜好性のよいヤーコンシロップを調製するためには、搾汁をせず、蒸煮後にステップS7で、そのまま加熱を中止して、室温に戻るまで、放置することでヤーコン糖液の約80%を回収することができる。
【0025】
ヤーコン芋から得られた糖液は、殺菌も兼ねた濃縮を行う。濃縮は、図1に示すS6ステップ又はS8ステップにおいて、高温で加熱しながら、煮詰めていくことでシロップとなる。温度は60℃以上が好ましい。さらに、減圧化、65℃付近で加熱すると、速やかに濃縮が進み、フラクトオリゴ糖を高含有で保持することが可能となるため、より好ましい。本発明では、例えば、常圧で100℃の湯せんで加熱しながら、糖度40〜60°まで濃縮すると、良好なヤーコンシロップが得られる。
【0026】
ヤーコン糖液あるいはシロップ中にヤーコン芋の固形部が混入している場合には、必要に応じて、金網等で濾して固形部を取り除く。その際、例えば、200メッシュの金網等を用いる。また、濾過作業を迅速に行うために、減圧による吸引濾過の方法を採用しても良い。ヤーコンシロップを出荷する際には、所定量を缶または瓶等の容器に詰め、必要な殺菌処理を行った上で出荷する。
【0027】
このようにして得られたヤーコンシロップは、製造過程でヤーコン芋を剥皮しないために、表皮により芋中に空気が入りにくくなるとともに、皮に多く含まれる天然抗酸化物質であるクロロゲン酸やキナ酸等のポリフェノールが蒸煮している間、酸化防止効果を維持することができる。したがって、ヤーコン芋の成分を保護し、かつ芋の組織破壊を防止するため、フラクトオリゴ糖分解酵素の活性が抑制されるとともに、むしろ蒸煮することで、酵素の失活が起こり、フラクトオリゴ糖の含有量の高いヤーコンシロップの製造を効率的に行うことが可能となる。
【0028】
また、収穫されたヤーコン芋を冷凍処理し、常温以下の条件で解凍する場合、得られた該解凍物は、皮に含まれるポリフェノールの効果で酸化を防ぎながら、組織中に含まれるオリゴ糖の抽出性が高められるので、機能性の高いヤーコンシロップの製造が可能となる。
【0029】
そして、本発明に係るヤーコンシロップは、収穫されたヤーコン芋を、冷凍処理し、該凍結物をそのまま、あるいは常温以下の条件で解凍した状態で得られた該解凍物のいずれかを蒸煮し、その際に生じるヤーコン由来の糖液を回収し、糖液を濃縮して得られるので、高濃度のフラクトオリゴ糖を含むヤーコンシロップの製造が可能となる。
【0030】
このようにして得られるフラクトオリゴ糖を多く含むヤーコンシロップは、健康食品、或いは飲料物として信頼性の高いヤーコンシロップとなる。
【0031】
以下、本発明によるヤーコンシロップの製造方法の実施例を説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0032】
[実施例1]
細長い形状を有するヤーコン芋を水洗した後、表皮の損傷が無いか又は極小であるものとして判別したヤーコン芋100部を凍結乾燥機によって、温度−30℃で4日間冷凍し凍結させる。凍結後のヤーコン芋は、再度、表皮に損傷が無いか又は少ないことを点検した後、4℃前後の冷蔵庫内で20時間放置して解凍を行った。引き続いて、75℃に調整された飽和蒸気内で7時間放置して、ヤーコン芋から糖液を50%以上回収した後、さらに、搾汁して糖液回収率を95%に高めた。このようにして得られた糖液を、100℃の湯せんで3時間加熱しながら、糖度が58°になるまで濃縮を行った。濃縮後の糖液は、黒色不透明の粘調な液状シロップであり、フラクトオリゴ糖を高濃度で含有するものであった。
【0033】
[実施例2]
実施例1と同じ方法で解凍処理したヤーコン芋を、表皮の損傷が無いか又は極小であることを確認し、水を有するオートクレーブ中に入れて120℃、約1.2気圧の状態で1時間加熱した。その後、室温に徐々に戻して、ヤーコン芋の蒸煮処理を行った。このヤーコン芋からの糖液回収率は83%であった。このようにして得られた糖液を、約200Torrの減圧下65℃で1時間加熱して、糖度が60°になるまで濃縮を行った。濃縮後の糖液は、黒色不透明の粘調で嗜好性の高い液状シロップであり、フラクトオリゴ糖を高濃度で含有するものであった。
【0034】
[実施例3]
実施例1と同じ方法で凍結処理した後のヤーコン芋について、表皮の損傷はみられるものの損傷が少ないものを選んで、解凍処理を行わないで、そのまま85℃に調整された飽和蒸気内で5時間放置して、ヤーコン芋から糖液を50%以上回収した後、さらに、搾汁して糖液回収率を95%に高めた。このようにして得られた糖液を、100℃の湯せんで3時間加熱しながら、糖度が58°になるまで濃縮を行った。濃縮後の糖液は、黒色不透明の粘調な液状シロップであり、フラクトオリゴ糖を高濃度で含有するものであった。
【0035】
〈用途〉
以上のようにして得られたヤーコンシロップは、黒色不透明で粘度が高く、フラクトオリゴ糖を高濃度で含有する。また、フラクトオリゴ糖が一部分解している場合であっても、分解によって生成されるフラクトースおよびスクロースを含むようになるため、ほどよく甘みがあり、まろやかさがある。そして、ミネラル分を多く含み栄養価が高い。このヤーコンシロップは、加工品の原料としても使用でき、例えば、ペクチンを加えることで、ヤーコンジャムにも応用することができる。また、菓子や料理の材料として用いてもよく、甘味料として種々の製品に添加してもよい。ヤーコンシロップは、低カロリーで虫歯になりにくい豊富なフラクトオリゴ糖を含んでおり、この糖は整腸作用を示すことから、さまざまな砂糖の代替品としての応用が可能となり、これにより、健康状態の維持が可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫されたヤーコン芋を洗浄するステップと、該洗浄されたヤーコン芋の表皮が損傷していないもの又は損傷が極小のものを選んで凍結保存するステップと、該凍結保存されたヤーコン芋を解凍するステップを経た後に蒸煮処理するステップ、若しくは該凍結保存されたヤーコン芋をそのまま蒸煮処理するステップと、該蒸煮されたヤーコン芋を嗜好性に応じて搾汁若しくは常温放置で糖液を回収するステップと、該回収された糖液を加熱処理するステップとを経て得られるヤーコンシロップの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のヤーコンシロップの製造方法において、前記凍結保存されたヤーコン芋は、表皮損傷の程度を判定して、損傷がないもの又は損傷が極小のものは解凍するステップへ移行され、それ以外のものはそのまま蒸煮処理するステップへ移行されることを特徴とするヤーコンシロップの製造方法。
【請求項3】
ヤーコンの凍結保存は−5℃以下で行われることを特徴とする請求項1又は2に記載のヤーコンシロップの製造方法。
【請求項4】
ヤーコンの凍結保存は−20〜−80℃以下で、かつ半日以上1ヵ月以内で行われることを特徴とする請求項3記載のヤーコンシロップの製造方法。
【請求項5】
ヤーコンの凍結解凍は常温以下の環境で処理されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のヤーコンシロップの製造方法。
【請求項6】
ヤーコンの凍結解凍は10℃以下の環境で24時間以内に処理されることを特徴とする請求項5に記載のヤーコンシロップの製造方法。
【請求項7】
蒸煮処理は、前記解凍したヤーコン芋に高温の蒸気をあてて行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のヤーコンシロップの製造方法。
【請求項8】
蒸煮処理は60〜100℃に調整された飽和蒸気、又は100℃以上の高温高圧状態にある蒸気を用いて行うことを特徴とする請求項7に記載のヤーコンシロップの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法によって得られるヤーコンシロップ。

【図1】
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【公開番号】特開2012−147690(P2012−147690A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7006(P2011−7006)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(504203572)国立大学法人茨城大学 (99)
【出願人】(502276112)
【Fターム(参考)】