説明

ライン型草刈りヘッド

草刈りヘッド(1)は刈り取りラインのためのスプール(9)及び刈り取りラインのためのハウジング(3、5)を備えている。ハウジングはスナップカップリングによって相互に可逆的に連結される第一の部分と第二の部分とで構成される。この連結はハウジングの2つの部分を相互的に回転させる環状突出部(21A)と係合する弾性タブ(17)を備え得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈りヘッドさらには特にライン型(line−type)の草刈りヘッドすなわちラインがヘッドハウジング内部でスプールに巻かれていて、ヘッドが回転する際に草木の刈り取りを実行するためにライン端部がヘッドから突出するヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
アマチュア及びプロの両方のレベルでの園芸作業用に、草刈りヘッドは芝草及びその他の草木を切るために一般的に利用されている;それらのヘッドは、ヘッド本体から放射状に突出する刈り取りラインを備えていて、その上に加わる遠心応力及びその軸の周囲のヘッドの急速な回転に起因して草木を刈り取りする。
【0003】
この種のラインヘッドの例は、以下の米国特許に開示されている:米国特許第4097991号、同第4104797号、同第4145809号、同第4161820号、同第4259782号、同第4203212号、同第4274201号、同第4651421号、同第4738085号、同第4805306号、同第4813140号、同第4823465号、同第4882843号、同第4893410号、同第4942664号、同第4959904号、同第4989321号、同第5010649号、同第5526572号、同第5095688号、同第5136782号、同第5295306号、同第5490641号、同第5657542号、同第6141879号、同第6163964号、同第6851191号。
【0004】
前記種類のヘッドの使用中、ヘッドから突出する刈り取りラインは、摩耗して損壊し、従ってそれは必要に応じてスプールから巻き戻されなければならない。
【0005】
刈り取りラインを伸展させるシステムは公知であり、かかるシステムは、その上にラインが巻かれるスプールがスプール自体のハウジングに設けられた二重歯列と共動する歯を開示している。歯は軸方向に角度を有してオフセットされ、そのためそのハウジング内部スプールの交互の軸方向運動がハウジングに関わってスプールの段階的な回転と、その結果としてラインの緩やかな巻戻しとを引き起こす。この種の機構の例は、英国特許第A−2078075号、欧州特許第0203011号、米国特許第4183138号、及び米国特許第4274201号に開示されている。
【0006】
代わって、国際特許第A−0149101号は、スプールの中央部に摺動部材の摺動座部内部に軸方向に角度を有してオフセットされた2つの歯列と共動する歯を設けた弾性摺動部材による伸展構造を備えるスプールを開示している。
【0007】
欧州特許第A−0970596号は、ヘッドのハウジング内部に備えられた2つのオフセット歯列と共動する歯を設けたスプールを備えた草刈りヘッドを開示している。ヘッドは、刈り取りラインを巻き戻す方向でのスプールの段階的な回転に加えて、ヘッドを取り外すことなく従ってそこからスプールを取り外すことなしに刈り取りラインを巻く方向でスプールを回転させるよう構造化されている。これによって刈り取りラインがスプールを取り外す必要なくヘッドに再度実装されるのを可能にする。
【0008】
上述の刈り取りヘッドの大部分で、刈り取りラインのスプールハウジングはスナップ式の弾性システムによって相互に連結される2つの部分から構成される。典型的には、それらのスナップカップリング構造はハウジングの2つの部分のうちの一方に弾性タブを備え、2つの部分のうちの他の一方に得られた溝に差し込まれる、そのため一旦組み立てられるとハウジングの2つの部分は特定の固定された相互的な角度位置に配置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、刈り取りラインハウジングを形成する部分の連結に単純な連結構造を備えまた同時にヘッド内部のスプールが一方或いは他方向にラインを巻戻す/巻取るために容易に回転できる草刈りヘッドを提供することにある。
【0010】
さらなる本発明の目的及び利点は、以下の説明を読むことから当事者には明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実質的には、有利な実施形態によれば、草刈りヘッドはハウジングを備えていて、ハウジングの内部に少なくとも1つのスプールに巻かれた少なくとも1つの刈り取りラインが配置され得る。ハウジングは、スナップカップリングによって相互に可逆的に連結された第一部分と第二部分とから構成される。前記スナップカップリングは、草刈りヘッドの回転軸の周囲でハウジングの第一部分と第二部分との間に少なくとも1つの相互的な角度運動を可能にするよう構成されている。好ましくは、ハウジングの2つの部分は、それらが相互に関わってあらゆる角度で回転することができるよう角度を有して可動自在である。
【0012】
本発明の特に有利な実施形態によれば、スナップカップリングはまた、ハウジングのこの第一及び第二部分の間で相互的な軸方向運動を可能にするよう構成されている。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、スナップカップリングは、ハウジングの2つの部分のうちの一方にハウジングの他方部分のアンダーカットに係合する弾性タブを設けることで実現される。
【0014】
可能な実施形態によれば、ハウジングの2つの部分の間で制限されない相互的な角度運動を可能にするために、ハウジングを形成する2つの部分のうちの一方と一体型のタブが、ハウジングを形成する2つの部分のうちの他方の外周壁から伸長する連続的な角度射影の形態で実現されるアンダーカットに係合する。
【0015】
有利な実施形態では、ハウジングを形成する2つの部分のうちの一方は、スプールを回転させるために回転機構に捩りを伴って係合され得る。
【0016】
本発明の好ましい実施形態では、ヘッドは刈り取りラインハウジングを形成する2つの部分によって切り離されるスプールを備えている。このスプールは、ハウジングの2つの部分の間に完全に配置されている。これはより簡潔な部片がそれほど複雑でないモールド成形で作られるのを可能にする。しかし、それはまたスプールが刈り取りラインハウジングと一体をなす部分になることも可能であろう。例えば、スプールが刈り取りラインの巻取り座部を画定するフランジのうちの1つを有することができ、フランジは刈り取りラインのコイル或いは複数のコイルが置かれるハウジング内部の閉鎖カバーを形成するよう伸長している。
【0017】
本発明によるさらなる可能で且つ有利な特徴及び実施形態は、以下に2つの実施形態を参照して説明されまた添付の特許請求の範囲に記載される。
本発明は、以下の説明及び本発明の制限されない具体的な実施形態を示す添付図面によってより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による第一の実施形態におけるヘッドをある角度から見た分解斜視図。
【図2】本発明による第一の実施形態におけるヘッドを異なる角度から見た分解斜視図。
【図3】図1及び2におけるヘッドの平面図。
【図4】図3の線IV−IVに沿った縦断面図。
【図5】図3の線V−Vに沿った縦断面図。
【図6】図1〜図5におけるヘッドの斜視図。
【図6A】スプールの分解斜視図。
【図6B】組み込まれたスプールの斜視図。
【図7】本発明によるヘッドの第二の実施形態の分解斜視図。
【図8】本発明によるヘッドの第二の実施形態の異なる角度から見た分解斜視図。
【図9】図7及び8におけるヘッドの平面図。
【図10】図9の線X−Xに沿った縦断面図。
【図11】図9の線XI−XIに沿った縦断面図。
【図12】図7〜図11におけるヘッドの斜視図。
【図13】図7〜図12におけるヘッドのライン巻取りスプールをある角度から見た分解斜視図。
【図14】図7〜図12におけるヘッドのライン巻取りスプールを異なる角度から見た分解斜視図。
【図15】本発明のさらなる実施形態を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明によるヘッドの第一の実施形態は、図1〜図6Bに示されている。全体として符号番号1で示されたヘッドは、図示例では、下方の第一部分3と上方の第二部分5とで形成されるハウジングを備えている。部分3は座部7を画定し、部分5は閉鎖カバーを形成している。その上に刈り取りラインFが巻き取られるスプール9は、部分3と部分5とで形成されるハウジング内部に挿差できる。刈り取りラインは単独であるかまたは複数であることができる。例えば2つの別々の刈り取りラインがスプール9によって分割された2つの円形座部に巻き取られることができる。スプール9の構造は図6A及び6Bを参照して詳細に説明される。
【0020】
有利な実施形態によれば、スプール9を収容するハウジング下方部分3は、ほぼ円筒状の壁11を備え、壁の外側に嵌合されるのは保護タブ13であり、保護タブ13の目的は刈り取りラインを損壊から保護するためである。タブ13は、好ましくは螺旋の弧を描いて伸長し、従って円筒状の壁11の外部表面の接続地点13Aから実質的に放射状の端部13Bまで徐々に増加する径方向寸法を有し、端部13Bでタブ13は最大径方向寸法を示し、また端部13Bは壁11の孔を通って挿差され且つ刈り取りラインが通過して通るブッシング15のそれぞれに近接している。
【0021】
可能な実施形態によれば、弾性タブ17は、円筒状の壁11に沿って備えられている;それらはヘッド1の回転軸に平行した刻み目17Aによって得られたものである。各弾性タブ17は、壁11の外側に向けて前記壁の上方端部11Aとほぼ同じ高さで突き出ている突出部17Bを有している。各突出部17Bは以下に説明する目的のために面取りされた部分17Cを示している。
【0022】
可能な実施形態によれば、特に図2に見られるように、スプール9のハウジングの部分5は実質的に円筒状の壁21を有し、組み立てられた構成(図4及び5)では、前記円筒城壁21は、円筒状の壁11の外側にその上方端部11Aの近接で前記壁11を包囲して周囲するよう構成されている。円筒状壁21に沿って伸長するのは、放射状に内側に向けて配置された環状突出部21Aであり、スプール9のハウジング部分3及び5が他方の頂部で1つに組み立てられる際に、突出部21Aは連続した円形アンダーカットを形成し、アンダーカットと弾性タブ17が係合する。弾性タブ17の面取りされた部分17Cは、内側に向かうタブ17の変形、及びそれによって連続した環状突出部21Aの背後で突出部17Bのスナップ係合を容易にしている。部分5から部分3を開放するためには、それらを内側に湾曲させタブ17の外側を押すことで充分であって、結果として円形端部21Aから突出部或いは歯17Bを解放する。
【0023】
上述の構成により、部分3及び5は、カバー部分5に関わって予め決定された角度位置にある必要がなく弾性タブ17に起因して相互的にスナップ係合できる。言い換えれば:それらは一旦スナップ組み立てがなされると、円形端部21Aはタブ17が係合する連続したアンダーカットを画定するため、2つの部分3及び5はあらゆる角度ですなわち360°を超えても相互に関わって回転できる。以下に説明されるように、このような角度のある移動度は、刈り取りラインがハウジングの部分3の内側に得られる座部9に配置されたスプール9に関わって巻き取られる或いは巻き戻されるのを可能にしている。
【0024】
例えば示された実施形態では六角形の非環状断面をもつ軸方向座部31は、スプール9のハウジングの部分5に設けられている。角柱形状本体35は、例えば六角形或いは座部31の断面に対応するあらゆる断面でこの座部で捩りを伴って係合され、本体の底部は環状孔33を有している。本体35は、ブラシカッター或いは他の機械の回転ハブにヘッド1を連結するために心棒37と一体になっている。心棒37は、スプール9のハブ9Aの軸方向の孔を通って伸長する下方部分37Bを有している。スプールは、例えばネジ部材39によって或いは別の適当な仕方で心棒37、37Aの上に軸方向に緊締できる。
【0025】
可能な実施形態によれば、スプール9のハウジングの下方部分3は非円形断面をもつ貫通孔3A(図2)を有している。有利な実施形態によれば、孔3Aはスプール9に形成された摺動座部に摺動する仕方で収容される摺動部材43に設けられた溝41に係合する歯3Bを備えている。
【0026】
さらに特には、とりわけ図4、図5、図6A及び図6Bを参照した有利な実施形態によれば、摺動部材43は第一の最内部要素43Aと第二の最外部要素43Bとで形成されている。最内部要素43Aは、特に図6A及び図6Bの分解図で示された実質的に円筒状の形状を有している。前記要素43Aは、非環状貫通孔(図4、図5)を備えた底部壁43Cを有している。有利な実施形態によれば、底部壁43Cの孔は、補足的な溝付きの輪郭を有する摺動部材43の第二の要素43Bに、捩りを伴って連結するのを可能にする溝付きの輪郭を有している。この仕方で、要素43Aの壁43Cの孔にその上方部分を備える要素43Bを挿差することによって、2つの要素43A、43B間の捩りを伴う連結が得られる。
【0027】
摺動部材43の要素43Aは、要素43Aの上方端部に沿って設けられた面取りされた歯で形成される歯43E(図6A)を有している。歯43Eはスプール9の本体に、さらに正確には摺動部材43にもっと正確にはその要素43Aを収容する軸方向座部9B(図4、図5)に設けられた二重歯列と共動する。さらに特には、第一の歯列51はその底部で軸方向座部9Bの内側に設けられている。反対に第二の歯列53(特に図6A参照)は、そこで摺動部材43の要素43Aを保持するために座部9Bを正面で閉じる環状部材55に設けられている。摺動部材の要素43Aは、歯43Eの放射状の寸法が円形部材55の孔55Aの直径よりも大きい事実に起因して座部9Bで保持されている。この部材はヘッドの軸に平行して伸長する弾性突出部57を備えている。示された例では、弾性突出部は数字の上では4つであるが、この数字は変更できる。各弾性突出部57は、弾性タブ57が円形部材55に拘束されている端部と反対側の端部に歯59を有している。歯59はスプール9のノッチ9Dでスナップ係合している(特に図6A参照)。
【0028】
摺動部材43は、圧縮バネ52(特に図4及び図5参照)によってスプール9に作られた摺動座部9Bから突出するよう押され、圧縮バネは、座部9Bと摺動部材43の要素43Aの底部壁43Cとの間で作用する。
【0029】
有利な実施形態では、スプール9は、スプール9の軸方向の伸長に沿って順次配置されたフランジ9X、9Y、及び9Zによって画定された2つ円形座部9Sを備えている。
【0030】
さらに、有利な実施形態によれば、貫通孔9Fはスプールの直径に沿って形成されている(図5)。スプール9の直径孔9Fで心棒37の部分37Bに直径方向に孔を開けることによって、刈り取りラインは孔9Fの両側からほぼ同じ長さでラインを突出させ、孔9F及び心棒37の孔を通って挿差できる。直径孔9Fの入口が案内ブッシング15の孔の正面に置かれるような角度位置にスプール9を位置決めすることで、図5の構成に示されたように、孔9Fと一致する直径に沿ってラインを送ることによって、スプールにラインを緊締する刈り取りラインの適切な長さをブッシング及びスプールを通して挿差することが可能である。この方法では、ヘッドを開くことなく次いで以下に説明される仕方でスプールを回転させることによってスプールにラインを巻き取ることが可能である。
【0031】
心棒37の部分37Bに直径孔が存在しない場合でも、刈り取りラインは(この場合、ラインの2つのセクションで構成される)直径孔9Fの一方の及び他方の部分で緊締されるそれらのセクションの内部端部を備えたスプールにいつでも緊締することができる。各セクションはブッシング15の一方或いは他方を通って相対する端部を伴って挿差される。
【0032】
孔9Fの対向する入口がブッシング15の正面に配置されるようヘッドに関わって角度を有してスプール9を正確に位置決めするためには、有利な実施形態によれば、2つの突出部5Xは部分5に設けられ(図2)また2つの対応する溝9Lはスプールに設けられて(図6A、図6B)そこに突出部5Xは挿差される。この方法によれば、ヘッドに関わってスプールの正確な位置決めのための角度基準の他に、ハウジングを形成する部分3、5とスプールとの間に捩りを伴う連結がさらに得られる。
【0033】
直径孔9Fの近接でスプールの中央フランジ9Yは、図1、図2、図6A、及び図6Bに示されたように、フランジ9X、9Y、及び9Zで画定された2つの座部9Sでスプールの一方または他方部分から突出している部分で巻き取らせるようラインに促す形状で形成されている。
【0034】
上述のヘッドは、スプール9のハウジングを形成する部分3及び5が、相互に関わった2つの部分の回転と、結果としてヘッドを開けてスプール9の周囲にそれを巻き取ることなく外側からの刈り取りラインの装着とを可能にするばかりでなく、それが摩耗した際に緩やかなラインの巻戻しも可能にする構成で、単純で費用のかからない弾性連結システムによって連結されるのを可能にしている。
【0035】
実際、例えば図4及び図5に示す、組み立てられた構成から開始すると、上述のとおり刈り取りラインの適切な長さの部分は、案内ブッシング15を通して直径孔9Fの内側に挿差でき、またこのようなラインの適切な長さ例えば2mは、それぞれの側から突き出るようにされ得る。下方部分3は、そこでスプール9に軸方向に収容された摺動部材43と一体をなす歯43Eの面取りされた形状に起因して、スプール9のハウジングの上方部分5に関わって1つの方向に回転できる。事実、スプールと一体をなす歯53に対してハウジングの部分3に加えられたトルクによって押されるそれらの歯は、スプール9の軸方向座部9Bの内側で、同様の歯43Eの面取りの結果、圧縮バネ52の力に対して軸方向に摺動部材43を或いはさらに正確にはこの摺動部材の要素43Aを押して、このように歯43が歯53を乗り超えることができ、従ってラインの緩やかな巻取りを可能にしている。このラインは、その内側で回転を形成しながら円形座部9Sの一方に直径孔9Fから突出している2つのセクションのうちの一方を配置させ、同時に直径孔9Fの反対側から突出している他のセクションがスプール9の2つの座部9Sのうちの他方に螺旋状に巻き取られる。
【0036】
草木を刈るための適切な長さ例えば10−30cmのラインのセクションがヘッドから、さらに正確にはその案内ブッシング15から両方の部分に突出するまで巻取りは継続される。
【0037】
ヘッドは、そこから突出するラインで草木を刈るよう回転することができる。回転中、ヘッドの様々な要素はお互いに捩りを伴って拘束される。事実、ブラシカッターの駆動ハブからヘッド1が嵌合されるまでの動きを受ける心棒37は、本体35の六角形の(或いは別の非環状断面をもつ)輪郭を通してスプール9のハウジングの上方部分5に捩りを伴って連結される。部分5は、溝9Gに係合される突出部5Xによってスプール9に捩りを伴って連結される。摺動部材43は、その歯43Eを通って環状部材55と一体をなすようにされ、次いでスプール9と一体をなすようにされる歯53に拘束される。この仕方によれば、スプール9及び摺動部材43は相互に一体をなして回転する。摺動部材43の要素43A、43Bは、摺動部材の要素43Aの底部壁43Cの溝付きの輪郭と、対応する要素43Bの上方部分の溝付きの輪郭とによって捩りを伴って拘束され、要素43Bが底部壁43Cの孔に挿差される。要素43Bで溝41によってまた下方部分3の底部壁の孔3Aに作られた溝付きの輪郭3Bによって画定される連結は、下方部分を摺動部材43に、したがってスプール9に捩りを伴って連結する。
【0038】
使用中摩耗し破損する刈り取りラインを伸展させるためには、摺動部材43が圧縮バネ52の作用に対して内側に向かって押し戻させるよう地面に対してヘッドを押すことで充分である。内側に向かう摺動部材43の軸方向運動は、歯43Eをスプールと一体をなす歯53から解放し、摺動部材43の軸移動は歯43Eが歯51の高さに至るまで継続する。歯51及び歯53が角度及び軸方向の両方でオフセットされると、ヘッドから突き出ているライン上の遠心応力の結果として、一方の或いは他方の方向における摺動部材の各運動を伴ってスプール9はそのハウジング3、5に関わって回転する。摺動部材43の各運動のために、歯51と歯53の間の角度のオフセットと等しい回転が起こる。地面に対して繰り返し摺動部材43を押すことによって、スプール9に巻かれた刈り取りライン或いはより正確には刈り取りラインの両端部は、徐々に伸ばされる。
【0039】
図7〜図14は本発明によるヘッドの変更例を示している。同じ符号番号は図1〜図6Bで示された先の実施形態のそれらと同様或いは同等の部分を示している。
【0040】
この第二の実施形態では、スプールは、ヘッドの部分5の円筒状座部103(図8)の内側に設けられた2つの突出部101によってスプール9自体のハウジングの上方部分5と捩りを伴って係合され、またこれらの突出部101はスプール9のハブ9Mに設けられた溝103に係合する(特に図7参照)。
【0041】
有利には金属で作られ六角形のセクションをもつ或いはスプール9のハブ9Mに捩りを伴って連結するのに適当な別の形状をもつインサート107は、スプール9のハブ9Mの内側に挿差され緊締される。インサート107は、ヘッド1が嵌合されるまでブラシカッターの回転軸或いは回転ハブに連結を形成するよう最適に構成され得る。この目的のために、溝を切られた孔、溝を切られたロッド(図示されていない)、或いはあらゆる他の機械連結をヘッドが固定される機械のハブに有することができる。
【0042】
図1〜図6Bに示された実施形態とは違って図7〜図14の実施形態では、摺動部材43は要素43Aを備えるだけであって要素43Bは備えていない。
【0043】
さらに、スプールのハウジングの下方部分3は穿孔されてはいないが、摺動部材43の要素43Aの壁43Cの孔の断面に相対する断面すなわち歯状突起のある輪郭43Dに相対する溝を備えた輪郭をもって、内側に向けて軸3Cがそこから伸長する固形下方壁3Aを表している。このように捩りを伴う連結は、すでに上述された仕方で、摺動部材のハウジング9の下方部分3と摺動部材自体との間で得られ、すでに上述のように、次いでスプール9と一体をなす軸方向に角度を有してオフセットされた2つの歯列51及び53と共動する歯43Eによってスプール9に捩りを伴って連結される。
【0044】
そのため、この場合刈り取りラインの伸展はハウジングの部分3及び5を動かすことで得られ、摺動部材9は相互に関わって軸方向に配置される。この目的のために、上方部分5の円筒状の壁21は、環状突出部21Aと部分3の上方壁との間で下方部分の移動を可能にするのに充分な高さである。
【0045】
上述の実施形態では、ヘッドは3つの主な要素すなわち刈り取りライン(F)のハウジングを形成する2つの部分3、5及び刈り取りラインがその上に巻かれるスプール9を実質的に備えている。しかし、例えば刈り取りラインのハウジングの部分のうちの1つをスプールと一体化させる或いは1つの部片にすることによって、より少ない数の部分或いは要素でヘッドを構成することも可能であろう。図15はこの種の実施形態を示している。同じ符号番号が先の実施形態のそれらと同様或いは同等の部分を示している。
【0046】
図15の実施形態では、スプールのハウジングの部分5は分離した部片として存在しない。それはスプール9のフランジ9Xに置き換えられ、フランジXは最適な形状を有している。特にスプールのフランジ9Xは、刈り取りライン或いはスプール9の残りの部分が配置されるハウジングの、閉鎖カバーを形成するために放射状に伸長している。このフランジはまた、先の実施形態の壁21と機能において同等な実質的に円筒状の壁21を示している。この壁21は、連続したアンダーカットを形成するために内側に向かって面する環状突出部21Aを示していて、そこでハウジングの部分3と一体をなす弾性タブ17は係合することができる。
【0047】
従って、図15の実施形態は少ない数の要素を示しているが、これはモールド成形を設計して製造するのをより困難にしてしまう。モールディング作業を簡潔にするためには、可能な実施形態によれば、円形端部21Aは切り離されて製造され、例えば壁21に溶接或いは接着することができる。
【0048】
図面は本発明の実際の構成により提供された例を示しているに過ぎないのであって、しかしながら本発明の概念の範囲を逸脱することなく形状及び構成において変更できることが理解される。添付の特許請求の範囲におけるすべての参照番号は、説明及び図面を参照して特許請求の範囲を読むことを容易にするためのものであって、特許請求の範囲で示された保護の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0049】
1 ヘッド
3 第一の部分
3A 貫通孔
3B 歯
5 第二の部分
5X 突出部
7 座部
9 スプール
9B 座部
9D ノッチ
9F 直径孔
9G 溝
9L 溝
9M ハブ
9X フランジ
9Y フランジ
9Z フランジ
9S 円形座部
11 円筒状壁
11A 上方端部
13 タブ
15 ブッシング
17 弾性タブ
17A 刻み目
17B 突出部(歯)
17C 面取り部分
21 円筒状壁
21A 環状突出部
31 座部
33 環状孔
35 角柱形状本体
37 心棒
39 ネジ部材
43 摺動部材
43A 要素
43B 要素
43C 底部壁
43D 輪郭
43E 歯
51 歯
52 圧縮バネ
53 歯
55 環状部材
57 弾性突出部
59 歯
101 突出部
103 円筒状座部
107 インサート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈り取りラインのためのスプール及び刈り取りラインのためのハウジングを備える草刈りヘッドにおいて、
前記ハウジングが、スナップカップリングによって相互に可逆的に連結される第一の部分及び第二の部分から構成されるのであって、
前記スナップカップリングが、ハウジングの前記第一の部分と前記第二の部分の間に草刈りヘッドの回転軸の周囲で少なくとも1つの相互的な角度運動を可能にするよう構成されていることを特徴とする草刈りヘッド。
【請求項2】
前記スプールが前記第一部分及び前記第二部分によって形成されるハウジングに収容されていることを特徴とする請求項1に記載の草刈りヘッド。
【請求項3】
前記第一及び第二部分のうちの一方がスプールと一体をなすことを特徴とする請求項1に記載の草刈りヘッド。
【請求項4】
相互に一体をなす前記部分及び前記スプールが単体モールド成形による部片で製造されることを特徴とする請求項3に記載の草刈りヘッド。
【請求項5】
前記スナップカップリングがハウジングの前記第一及び第二部分の間に相互的な軸方向運動を可能にするよう構成されていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の草刈りヘッド。
【請求項6】
前記スナップカップリングが前記第二部分のアンダーカットに係合する弾性タブをハウジングの第一部分に備えていることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の草刈りヘッド。
【請求項7】
前記第一及び第二部分が草刈りヘッドの回転軸の周囲で相互に関わって角度制限なしに角度をもって可動自在であることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の草刈りヘッド。
【請求項8】
ハウジングの前記部分のうちの一方がスプール回転構造に捩りを伴って連結されることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の草刈りヘッド。
【請求項9】
さらに、前記スプール回転構造に捩りを伴って連結されるハウジングの前記部分が前記構造に軸方向で連結されることを特徴とする請求項8に記載の草刈りヘッド。
【請求項10】
ハウジングの前記第一及び第二部分があらゆる相互的な角度位置で相互に連結可能であることを特徴とする請求項1から9に記載の草刈りヘッド。
【請求項11】
前記部分のうちの一方が前記部分のうちの他方の弾性タブとスナップ係合する環状突出部を備えていることを特徴とする請求項1から10の何れか一項に記載の草刈りヘッド。
【請求項12】
前記環状突出部がハウジングのそれぞれの部分の第一の周囲壁の内面上に設けられていることを特徴とする請求項11に記載の草刈りヘッド。
【請求項13】
組み立てられた構成において、前記第一の周囲壁が前記突出部をその上に設け草刈りヘッドの他の部分の第二の周囲壁の周囲にまたその外側に伸長し、前記弾性タブを前記第二の周囲壁に沿って設けていることを特徴とする請求項12に記載の草刈りヘッド。
【請求項14】
前記第一の周囲壁が草刈りヘッドの軸方向に前記第一及び前記第二部分の間の相互的な軸方向の摺動を可能にする寸法を備えることを特徴とする請求項12または13に記載の草刈りヘッド。
【請求項15】
前記第一部分が前記スプールの座部を形成し、前記第二部分が前記座部のカバーを形成することを特徴とする請求項1から14の何れか一項に記載の草刈りヘッド。
【請求項16】
前記スプールが軸方向座部を備え、摺動部材が前記座部から突出する位置に向かって弾力的に圧力を印加されて前記座部に収容されるのであって;前記摺動部材が、前記スプールの部材に作用してスプールに関わって前記摺動部材の段階的な回転を可能にすることを特徴とする請求項1から15の何れか一項に記載の草刈りヘッド。
【請求項17】
前記摺動部材が第一の歯列及び前記スプールと一体をなす第二の歯列と交互に共動する歯を有し、第一及び第二の歯列が角度をもって軸方向にオフセットされ、前記スプールの前記座部での前記摺動部材の交互の軸方向摺動運動によって前記摺動部材に関わった前記スプールの段階的な回転を可能にすることを特徴とする請求項16に記載の草刈りヘッド。
【請求項18】
前記摺動部材がハウジングの前記第一及び第二部分のうちの一方に捩りを伴って連結されることを特徴とする請求項16または17に記載の草刈りヘッド。
【請求項19】
前記摺動部材に捩りを伴って連結されるハウジングの前記部分が貫通孔を有し、前記貫通孔を通って前記摺動部材が前記スプールのハウジングの外側に突出することを特徴とする請求項18に記載の草刈りヘッド。
【請求項20】
前記摺動部材が捩りを伴って相互に連結される少なくとも2つの要素を備え、2つの要素のうちの1つが前記ハウジングから突出することを特徴とする請求項19に記載の草刈りヘッド。
【請求項21】
前記貫通孔が前記摺動部材の断面の輪郭と捩りを伴って連結する輪郭をもつ非環状断面を有することを特徴とする請求項19または20に記載の草刈りヘッド。
【請求項22】
前記摺動部材に捩りを伴って連結されるハウジングの前記部分が連続する底部壁を有し、前記摺動部材のための捩り連結が前記底部壁の内側に形成されることを特徴とする請求項18に記載の草刈りヘッド。
【請求項23】
前記捩り連結がハウジングの内側に向かって前記底部壁から突出する軸を備え、前記軸が前記摺動部材の孔の断面に相対する輪郭に捩り連結するための輪郭を備えた断面を有し前記軸が前記摺動部材の内側で係合することを特徴とする請求項22に記載の草刈りヘッド。
【請求項24】
前記摺動部材が前記スプールに緊締される円形部材によって前記スプールの前記座部に保持され、角度をもって軸方向にオフセットされた前記スプールの前記第一及び第二の歯列が前記円形部材に形成されることを特徴とする請求項17から23の何れか一項に記載の草刈りヘッド。
【請求項25】
前記円形部材が前記スプールに緊締する複数の弾性タブを有することを特徴とする請求項24に記載の草刈りヘッド。
【請求項26】
前記摺動部材の歯が前記摺動部材から放射状に突出して円形部材と干渉する結果として前記摺動部材が前記円形部材によって保持されることを特徴とする請求項24または25に記載の草刈りヘッド。
【請求項27】
前記摺動部材の前記歯及び/または前記スプールの前記第一及び第二の歯列のうちの1つが外部から印加されたトルクの結果として前記スプールに関わって反対の方向にではなく一方向に前記摺動部材の回転を可能にするよう形成されていることを特徴とする請求項17から26の何れか一項に記載の草刈りヘッド。
【請求項28】
前記摺動部材の歯が一方の側に面取りされた歯を備えていて、前記スプールの前記第一及び第二の歯列によって加えられて外部から前記摺動部材に一方向に印加される回転トルクによって発生する角度のあるスラストが前記摺動部材に軸方向のスラスト及び前記歯からの前記摺動部材の解放を引き起こし、よって前記摺動部材が前記スプールに関わって前記方向で回転でき、しかし一方で前記スプールの前記歯と前記摺動部材の歯との共動によって前記スプールに関わる前記反対方向の前記摺動部材の回転が阻止され、前記反対方向での摺動部材とスプールとの間の相互的段階的回転が前記座部で軸方向に前記摺動部材を摺動させることによって可能であることを特徴とする請求項17から27の何れか一項に記載の草刈りヘッド。
【請求項29】
前記スプールが少なくとも1つの刈り取りラインを緊締するための少なくとも1つの放射状座部を備えていることを特徴とする請求項1から28の何れか一項に記載の草刈りヘッド。
【請求項30】
前記放射状座部が刈り取りラインの通路を確保するために前記スプールを通って完全に通過することを特徴とする請求項29に記載の草刈りヘッド。
【請求項31】
駆動軸のハブに連結する心棒が前記スプール内に伸長し、前記心棒が前記スプールの前記放射状座部と一直線になる直径孔を示していることを特徴とする請求項31に記載の草刈りヘッド。
【請求項32】
前記スナップカップリングがハウジングの第一部分の実質的に円筒状の壁に設けた弾性タブを備え、そこに刈り取りラインの通路用にブッシングが設けられていること、またハウジングの前記第二部分が実質的に円筒状の壁を備え前記ハウジングの第一部分の実質的に円筒状の壁を内側に周囲して、そこから前記弾性タブと共動する内部環状突出部材を突出していることを特徴とする請求項1から31の何れか一項に記載の草刈りヘッド。
【請求項33】
前記スプールと一体をなす刈り取りラインのハウジングの前記部分が前記スプールのフランジで構成され、前記フランジがハウジングを形成する前記2つの部分のうちの他方と一体をなす対応する第二の壁を周囲する実質的に円筒状の外部壁を形成して、前記円筒状の外部壁が第二の壁に拘束される前記弾性タブと共動するアンダーカットを形成する環状突出部を示していることを特徴とする請求項3または4に記載の草刈りヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2010−508840(P2010−508840A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535884(P2009−535884)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【国際出願番号】PCT/IT2007/000752
【国際公開番号】WO2008/053508
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(509127697)
【Fターム(参考)】