説明

ラミネートフィルム貼付ラベルの作成方法

【課題】ラミネートフィルムを貼付したラベルを容易に作成する。
【解決手段】(a)印刷媒体1がセットされたときに、印刷媒体1の先端を先端検出センサS1で検出し、先端位置を基準にして印刷媒体1にラベルaを印刷する。
(b)ラベルの印刷部の下流側で印刷媒体1を切断して排出させる。
(c)排出された印刷媒体1の印刷シートの表面にラミネートフィルム25を手貼りして再びプリンタ3にセットする。
(d)印刷媒体1の先端を先端検出センサS1で検出し、先端を基準にして決められた出力位置でラベルの周囲を所定の形にハーフカットする。
(e)印刷媒体1を排出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離用ベースシート上の印刷シートに印刷した後にラミネートフィルムを貼付し、上記ベースシートから印刷シートとラミネートフィルムとを所定の形にして剥離できるようにするラミネートフィルム貼付ラベルの作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、剥離用ベースシート上に印刷シートを層成した長尺の印刷媒体に印刷するプリンタとして、上記印刷用紙に印刷する印刷部と、印刷シートのみを切断するハーフカット部と、上記印刷媒体を切断するカット部とを備えたものが知られている。上記プリンタは、印刷シートに印刷し、ハーフカットし、さらに印刷媒体を切断する機能までも有するものであるが、このような多機能のプリンタであっても、印刷面の上にラミネートフィルムを貼付することはできなかった。
【0003】
ところが、例えば屋外装置品や自転車などにラベルを貼る場合のように、印刷面を雨や直射日光から保護して耐候性を高めることが必要なこともある。このような場合、従来は印刷媒体に印刷した後に印刷シートの印刷面の上からラミネートフィルムを手貼りし、さらに手作業によりラベル形状にカッターで切断するよりほかに方法がなかった。
【0004】
そこで、これを改善するため、ロール状の印刷媒体を使用するハーフカット機能を備えたプリンタを利用し、最初に印刷媒体に印刷のみを実行させた後、シートを外して印刷面上にラミネートフィルムを貼ってシートの送り穴を利用して再度プリンタにセットし、今度はハーフカットのみを実行させて印刷部をハーフカットさせるという処理によって作業を容易に行なうことが考えられる。
【特許文献1】特開平9−66636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の処理方法では、次のような問題がある。
(イ)プリントのみとハーフカットのみの2回の出力操作をしなければならない。また、プリントとハーフカットを別個に行なうと、出力位置がずれるので、位置合せが非常に面倒である。
(ロ)ハーフカット時に、印刷シートにラミネートフィルムの厚さが加わった分をカットしなければならないので、通常時とラミネートフィルム貼付時とでカット圧を変えなければならない。
(ハ)ラミネートフィルムが貼り付けられた印刷媒体を切断部の鋏で切断すると、ラミネートフィルムの糊が鋏に付着し、詰りや切れ味の悪化を招き、正常に切断できなくなる。
【0006】
本発明は前記問題点を解消することを目的とし、ラミネートフィルムを貼付したラベルを容易に作成することができる、ラミネートフィルム貼付ラベルの作成方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、剥離用ベースシート上に印刷シートを層成したロール状の印刷媒体の先端検出センサと、上記印刷媒体の送り手段と、印刷部と、上記印刷シートのみを切断するハーフカット部と、上記印刷媒体を切断するカット部とを備えたプリンタを使用し、以下の手順により処理することを特徴とする。
(a)上記プリンタに上記印刷媒体がセットされて送り手段により送られたときに、印刷媒体の先端を先端検出センサで検出し、上記先端を基準にして決められた出力位置で上記印刷媒体にラベルを印刷する。
(b)上記ラベルの印刷部の下流側で、上記カット部により上記印刷媒体を切断して排出させる。
(c)排出された印刷媒体の印刷シートの表面にラミネートフィルムを貼って再びプリンタにセットする。
(d)上記プリンタに上記印刷媒体がセットされて送り手段により送られたときに、印刷媒体の先端を先端検出センサで検出し、上記印刷媒体の先端を基準にして決められた出力位置で上記プリンタのハーフカット部により上記ラベルの周囲を所定の形にハーフカットする。
(e)上記印刷媒体を排出させる。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記ラベルの印刷データとラベルの周囲をハーフカットするハーフカットデータをレイアウトした編集データを1回の出力操作により、前記ラベルの印刷、切断からラミネートフィルムの手貼り作業を経てハーフカットするまでの一連の出力を可能にすることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記ラミネートフィルムの厚さに応じてハーフカット部のカッターのカット圧を調整可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、印刷シートの表面にラミネートフィルムを貼るという作業だけは手作業で行なわなければならないが、それ以外の作業はプリンタで行なうことができる。ラミネートフィルムを貼る作業自体は難しいものではない。したがって、ラミネートフィルムを貼付したラベルを容易に作成することができる。
【0011】
また、ラミネートフィルムを貼る前に印刷媒体を切断するので、カット部の鋏に糊が付着して詰りや切れ味が悪化することがなく、切断機能が劣化することがない。
【0012】
さらに、レイアウトどおりに印刷とハーフカットの出力位置が合うように、各出力前に印刷媒体の先端検出を行なうことによって位置調整を自動化することができるので、印刷とハーフカットの位置合せを自動的に行なうことができる。
【0013】
従来のプリンタにラミネートフィルムのモード設定機能、カット圧補正機能および操作ガイド表示機能を搭載すればよいので、低コストで実現できる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、印刷とハーフカットの2度の出力操作を行なう必要がない。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、ハーフカット部のカッターのカット圧がラミネートフィルムを貼った場合に自動的に増圧されるので、使用者がカット圧の調整変更操作をする必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1はラベルプリンタの1実施例の断面図であって、符号1は印刷媒体で、この印刷媒体1は図2のように両側に沿って対応する穴2が形成されたベースシート1aの上に印刷シート1bを積層したもので、長尺のシート状に形成され、ロール状に巻き取られている。
【0017】
符号3はプリンタを示す。プリンタ3には印刷媒体1の導入部4と排出部5との間に、印刷部6とハーフカット部7とカット部8と送り手段9とともに、印刷媒体1の先端の先端検出センサS1が配置されている。印刷部6の上流側にはシート有無検出センサS2とシート押え10とが印刷媒体1を介して対向配置されている。シート押え10により印刷媒体1は印刷時およびカット時のずれが防止されている。
【0018】
印刷部6はインクリボン11とプリンタヘッド12とプラテン13とから構成されている。但し、印刷部6はインクジェット方式の手段によって構成してもよい。
【0019】
ハーフカット部7は、印刷媒体1の送り手段9の下流側に配置され、上記送り方向に直交する方向に設けられた固定シャフト14に沿ってハーフカット機構を移動可能に設けたものである。ハーフカット機構は、固定シャフト14に移動可能に設けられたキャリア15と、キャリア15に板バネ16を介して支持されたカッターホルダ17と、カッターホルダ17に保持されたカッター18とによって構成されている。キャリア15は図示しないモータによって固定シャフト14の長手方向に沿って移動するように構成されている。そして、印刷媒体1の縦方向の送りとカッター18の横方向の移動とにより、印刷媒体1の印刷シート1bのみを自由にハーフカットできるようになっている。
【0020】
なお、キャリア15には板バネ16を押し下げる調整ネジ19が取り付けられ、(図示しないモータにより)調整ネジ19を回転させて板バネ16を押し下げることによってカット圧を調整する調整手段が設けられている。
【0021】
なお、ハーフカット機構とカット圧調整手段は上述の例に限定されない。他の構成によってもよい。
【0022】
カット部8は印刷媒体1を所定の位置で切断分離するもので、上部の固定刃20と下部の可動刃21とによって構成され、可動刃21は一端の軸を中心に上下に揺動可能に設けられ、固定刃20と可動刃21との間に配置された印刷媒体1に対して可動刃21を上方に鋏のように揺動させて切断する。
【0023】
送り手段9は、スプロケット23とその駆動手段(図示せず)とから構成されている。スプロケット23は印刷媒体1の両側の穴2に係合し、スプロケット23を正逆方向に回転させることにより、印刷媒体1を所定量だけ送り方向に前進、後退移動させることができる。
【0024】
印刷媒体1の先端検出センサS1は、送り手段9の上流側に配置され、印刷媒体1の先端部を検出するものであり、先端を検出することにより印刷位置とハーフカット位置を決定するように設定されている。
【0025】
また、上記プリンタには、図示しないが、印刷媒体1上に印刷模様を施すための入力部(キーボード)と、上記入力部からの入力信号に従って上記印刷部6、ハーフカット部7、送り部などを駆動するための制御部(マイクロコンピュータ)24が設けられている。
【0026】
制御部24には、印刷、ハーフカット、カット圧の調整、切断の各モードを任意選択的に実行する機能のほか、ラミネートフィルムのモード設定機能、カット圧補正機能および操作ガイド表示機能が搭載され、図3に示す作成処理方法に基づいてラミネートフィルムを貼着する場合の制御プログラムが組まれている。
【0027】
次に、上記ラミネートフィルム貼付ラベル作成のための処理方法について説明する。
(a)プリンタ3に印刷媒体1がセットされて送り手段9により送られたときに、印刷媒体1の先端を先端検出センサS1で検出し、上記先端を基準にして決められた出力位置で上記印刷媒体1にラベルaを印刷する。後述のように、ラベルaの印刷部とその周囲のハーフカット部分の位置合せを正確にし、出力位置がずれないようにするためである。
(b)上記ラベルの印刷部の下流側で、カット部8により上記印刷媒体1を切断して排出させる。
【0028】
このとき、後のハーフカット工程において印刷媒体1を送り出ししている中で、印刷媒体1の後端が一時的であってもシート有無検出センサS2を越えると、プリンタの作動が停止するので、その分余分のマージン26をとって切断する。
(c)排出された印刷媒体1の印刷シート1bの表面にラミネートフィルム25を手作業で貼って再びプリンタ3にセットする。ラミネートフィルム25の貼付は手作業で行なうが、最近は手貼りしやすいラミネートフィルム25やラミネーターが市販され、困難な作業ではない。
(d)プリンタ3に上記印刷媒体1が再びセットされて送り手段9により送られたときに、印刷媒体1の先端を先端検出センサS1で検出し、上記印刷媒体1の先端を基準にして決められた出力位置で上記プリンタのハーフカット部7により上記ラベルaの周囲bを所定の形にハーフカットする。
【0029】
なお、印刷処理の後の2度目のセットのときは印刷ではなくハーフカットであると制御部24で判断させるようにしても、あるいは使用者に判断させるようにしてもよい。いずれの場合も、印刷とハーフカットの2度の出力操作を行なう必要がないので、作業が非常に楽である。
【0030】
また、ラベルの印刷データとラベルの周囲をハーフカットするハーフカットデータをレイアウトした編集データは、ともに印刷媒体1の先端を基準にして出力されるように設定する。印刷媒体1の送り方向に対して印刷部6はハーフカット部7よりも上流側に配置されているから、印刷部6とハーフカット部7を印刷媒体1の先端から同じ距離で出力させると、印刷部6とハーフカット部7との間の間隔α分だけ位置がずれてしまうことになる。そこで、図4に示されるように、レイアウトどおりに印刷とハーフカットの出力位置が合うように、ハーフカット部7は印刷部6の出力位置よりもαだけ下流位置から出力させるように設定すればよい。
【0031】
さらに、ハーフカット出力時は、ハーフカット機構の調整手段により、予め設定されたカット圧補正量にしたがって自動的にカット圧を補正する。
(e)上記印刷媒体1を装置本体から排出させる。これにより、ラミネートフィルム貼付ラベルの作成が完了する。
【0032】
なお、上記処理方法において、印刷データとラベルの周囲をハーフカットするハーフカットデータをレイアウトした編集データを1回の出力操作により、上記(a)〜(d)工程の印刷、切断からラミネートフィルム25の手貼り作業を経てハーフカットするまでの一連の出力を可能にするのが好ましい。
【0033】
また、上記(b)工程は、印刷出力後に手貼り作業をしやすいように自動的に印刷媒体1を切断するものであるが、このとき、後のハーフカット出力において印刷媒体1を送り出ししている中で、印刷媒体1の終端が一時的であっても先端検出センサS1を越えると、プリンタの作動が停止するので、その分余分のマージンをとって切断する。
【0034】
ハーフカット出力時は、ラミネートフィルム25の厚さに応じてカット部8のカット圧を調整可能とすることにより、使用者がカット圧の調整変更操作をする必要がないが、2度目のセット時に使用者が手作業で調整してもよい。
【0035】
上述の処理方法に基づく操作フローの一例を示せば図5に示すとおりである。
(1) 制御部のモニターの操作ガイド表示画面上のドライバプロパティで「ラミネートフィルム」をONする。「ラミネートフィルム」設定時は、オートカットは無効となる。
(2) 印刷媒体1をプリンタ3にセットし、「プリント+カット枠」をONする。
(3) 印刷媒体1を送り、その先端を検出し、出力開始位置を決めて印刷を実行する。
(4) 余分のマージンをとって送り、カット部8で切断する。(使用者が、切断されて排出された印刷媒体1の印刷シートの表面にラミネートフィルムを貼り、印刷媒体を再びプリンタにセットする。)
(5) モニター画面の「OK」ボタンを押す。使用者がラミネートフィルム貼り作業を完了した後、操作ガイド表示した画面上の「OK」ボタンを押下することでハーフカット出力を開始させる。
(6) 印刷媒体1を送り、その先端を検出する。
(7) 印刷とハーフカットの位置の余白調整をし、出力開始位置を決める。
上述のように、印刷部6とハーフカット部7とは印刷媒体1の送り方向に対して直列に配置されているからである。
(8) ハーフカット機構のカッター14のカット圧を増圧して切り込み深さを調整する。
(9) ハーフカット機構によりラミネートフィルム25と印刷シートとを所定の形にハーフカットする。
(10) 印刷媒体1を排出する。
【0036】
上述のように、印刷シートの表面にラミネートフィルム25を貼るという作業だけは手作業で行なわなければならないが、それ以外の作業はプリンタで行なうことができる。ラミネートフィルムを貼る作業自体は難しいものではない。したがって、ラミネートフィルムを貼付したラベルを容易に作成することができる。
【0037】
また、ラミネートフィルム25を貼る前に印刷媒体を切断するので、カット部の鋏(固定刃20と可動刃21)にラミネートフィルムの糊が付着して詰りや切れ味が悪化することがなく、切断機能が劣化することがない。
【0038】
さらに、レイアウトどおりに印刷とハーフカットの出力位置が合うように、各出力前に印刷媒体1の先端検出を行なうことによって位置調整を自動化することができるので、印刷とハーフカットの位置合せを自動的に行なうことができる。
【0039】
加えて、印刷部とハーフカット部とカット部とを備えるプリンタは従来から知られているものであるから、特別の機能を備えたプリンタによる必要がなく、ラミネートフィルムのモード設定機能、カット圧補正機能および操作ガイド表示機能を搭載して作動を制御するプログラムを変えるだけでよいので、ラミネートフィルム貼付ラベルを低コストで作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係るプリンタの概略斜視図である。
【図2】上記プリンタの一部の平面図である。
【図3】ラミネートフィルム貼付ラベル作成方法を示すフロー図である。
【図4】印刷とハーフカットの出力開始説明図である。
【図5】操作フローの一例の概略説明図である。
【符号の説明】
【0041】
1 印刷媒体
3 プリンタ
S1 先端検出センサ
25 ラミネートフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離用ベースシート上に印刷シートを層成したロール状の印刷媒体の先端検出センサと、上記印刷媒体の送り手段と、印刷部と、上記印刷シートのみを切断するハーフカット部と、上記印刷媒体を切断するカット部とを備えたプリンタを使用し、以下の手順により処理することを特徴とするラミネートフィルム貼付ラベルの作成方法。
(a)上記プリンタに上記印刷媒体がセットされて送り手段により送られたときに、印刷媒体の先端を先端検出センサで検出し、上記先端を基準にして決められた出力位置で上記印刷媒体にラベルを印刷する。
(b)上記ラベルの印刷部の下流側で、上記カット部により上記印刷媒体を切断して排出させる。
(c)排出された印刷媒体の印刷シートの表面にラミネートフィルムを貼って再びプリンタにセットする。
(d)上記プリンタに上記印刷媒体がセットされて送り手段により送られたときに、印刷媒体の先端を先端検出センサで検出し、上記印刷媒体の先端を基準にして決められた出力位置で上記プリンタのハーフカット部により上記ラベルの周囲を所定の形にハーフカットする。
(e)上記印刷媒体を排出させる。
【請求項2】
前記ラベルの印刷データとラベルの周囲をハーフカットするハーフカットデータをレイアウトした編集データを1回の出力操作により、前記ラベルの印刷、切断からラミネートフィルムの手貼り作業を経てハーフカットするまでの一連の出力を可能にする、請求項1記載のラミネートフィルム貼付ラベルの作成方法。
【請求項3】
前記ラミネートフィルムの厚さに応じてハーフカット部のカッターのカット圧を調整可能とした、請求項1記載のラミネートフィルム貼付ラベルの作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−192845(P2006−192845A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−9048(P2005−9048)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】