説明

リダンダンシ演算方法及び装置並びにメモリ試験装置

【課題】メモリデバイスの不良救済に要する時間を短縮することができるリダンダンシ演算方法及び装置並びに当該装置を備えるメモリ試験装置を提供する。
【解決手段】リダンダンシ演算装置16は、Xアドレス及びYアドレスからなる二次元アドレスにより個々のメモリセルが特定される複数のメモリセルと、複数の予備セルからなる複数のスペアラインとを備えるDUT30の不良救済を行う上で必要なデータを作成する。このリダンダンシ演算装置16は、DUT30の複数のメモリセルに含まれる不良セルに関する不良セル情報を記憶するフェイルバッファ21と、フェイルバッファ21に記憶された一の不良セルと行アドレス又は列アドレスが同一である他の不良セルについて予備セルへの代替を示す確定フラグが設定されていない場合に、上記一の不良セルについての不良セル情報として確定フラグを設定する処理部24とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリデバイスの不良救済を行う上で必要なデータを作成するリダンダンシ演算方法及び装置並びに当該装置を備えるメモリ試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
RAM(Random Access Memory)等のメモリデバイスは、製造時においてメモリセルに1つでも欠陥があると不良になる。このため、通常は、本来メモリセルとして用いられる部位の周囲に予備のメモリセル(予備セル)を形成しておき、メモリ試験装置の試験で不良(フェイル)が検出された場合に、レーザ等を用いてメモリデバイス内の所定のパターンを切断して欠陥が生じたメモリセル(不良セル)を予備セルで代替して不良を救済することにより、製造歩留まりの低下を防止している。
【0003】
図8は、メモリデバイスに形成されるメモリセル及びその周囲に形成された予備セルを概念的に示す図である。図8において、符号100を付した矩形領域は複数のメモリセルが配列されたメモリセル形成領域を表しており、このメモリセル形成領域100内の個々のメモリセルはXアドレスとYアドレスとによって特定される。メモリセル形成領域100の内部に示した記号「×」は不良セルを表している。
【0004】
図8に示す例では、メモリセル形成領域100の図中右側に複数のXスペアライン101が形成されており、メモリセル形成領域100の図中下側に複数のYスペアライン102が形成されている。尚、1つのXスペアライン101には予備セルがYアドレスの分だけ設けられており、1つのYスペアライン102には予備セルがXアドレスの分だけ設けられている。いま、メモリセル形成領域100内における不良セルが図8に示す通りであるとすると、行R11に配列されたメモリセルを1つのYスペアライン102で代替するととともに、列C11,C12,C13に配列されたメモリセルを3つのXスペアライン101で代替すれば、メモリデバイスの不良を救済することができる。
【0005】
メモリ試験装置は、以上説明したメモリデバイスの不良救済を行う上で必要なデータを作成するリダンダンシ演算装置を備えている。図9は、従来のリダンダンシ演算装置で行われる処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、メモリデバイスに対する試験が終了した後で開始される。処理が開始されると、メモリデバイスの不良救済が可能であるか否かを判断するためのデータを作成する1次確定処理が行われる(ステップS101)。この処理は、予備セル(Xスペアライン101及びYスペアライン102)の数が有限であって常にメモリデバイスの不良を救済できる訳ではないため、救済不可能なメモリデバイスを除外するために行われる。具体的に、この1次確定処理では、メモリデバイスの試験結果によって得られた不良セルの数を求める処理が行われる。
【0006】
次いで、メモリデバイスが救済不可であるか否かが判断される(ステップS102)。具体的には、ステップS101の1次確定処理で求められた不良セルの数が代替可能な予備セル数よりも多いか否か、即ち以下の(1)式が満足されるか否かが判断される。
不良セル数>L×Yアドレス数+M×Xアドレス数−L×M ……(1)
ここで、上記(1)式中の変数LはXスペアライン101の本数であり、変数MはYスペアライン102の本数である。尚、代替されるXスペアライン101及びYスペアライン102の交差部分には2つの予備セルが存在することになるが、この交差部分により代替することができる不良セルは1つのみである。このため、上記(1)式右辺3項により、Xスペアライン101及びYスペアライン102の交差部分の数が減じられている。
【0007】
ステップS102でメモリデバイスが救済可能であると判断された場合(判断結果が「NO」の場合)には、Xスペアライン101及びYスペアライン102を用いて不良セルをどのように代替するかを確定するデータを作成する2次確定処理が行われる。これに対し、ステップS102でメモリデバイスが救済不可であると判断された場合(判断結果が「YES」の場合)には、ステップS103の2次確定処理は行われず一連の処理が終了する。尚、従来のリダンダンシ演算装置の詳細については、例えば以下の特許文献を参照されたい。
【特許文献1】特開2002−367396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近年においては、メモリデバイスの低価格化が進んでおり、試験に要するコストを含めたメモリデバイスの製造コストの低減が要求されている。このため、メモリ試験装置を用いた試験時間及びメモリデバイスの不良救済に要する時間等を極力短縮する必要がある。上述したメモリデバイスの不良救済は製造歩留まりを向上させて製造コストを低減する上で必要不可欠なものであり、メモリデバイスの不良救済を行う場合には救済が可能であるメモリデバイスのみが全数救済されるというのが理想的である。
【0009】
しかしながら、上述した従来のリダンダンシ演算装置は、不良セルの数を基準としてメモリデバイスの救済が可能であるか否かを判断している。このため、例えばメモリセル形成領域100内に不良セルが散在して本来救済不可能なメモリデバイスであっても、不良セルの数が上記(1)式の右辺以下であれば救済が可能であると判断されることがある。この結果、本来実施する必要のない2次確定処理が実施されてメモリデバイスの不良救済に要する時間が長くなるという問題があった。メモリデバイスの不良救済に要する時間は4,5時間程度と長時間であり、メモリデバイスの製造コストを低減するためにもこの時間を極力短縮する必要がある。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、メモリデバイスの不良救済に要する時間を短縮することができるリダンダンシ演算方法及び装置並びに当該装置を備えるメモリ試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のリダンダンシ演算方法は、行アドレス及び列アドレスからなる二次元アドレスにより個々のメモリセルが特定される複数のメモリセルと、複数の予備セルからなる複数のスペアラインとを備えるメモリデバイス(30)の不良救済を行う上で必要なデータを作成するリダンダンシ演算方法において、前記複数のメモリセルに含まれる不良セルを特定する第1ステップ(S11、S12)と、前記第1ステップで特定された前記不良セルと行アドレス又は列アドレスが同一である他の不良セルについて、前記予備セルへの代替を示す確定フラグが設定されているか否かを判定する第2ステップ(S21、S23)と、前記第2ステップで前記確定フラグが設定されていないと判定された場合には、前記第1ステップで特定された前記不良セルについて前記確定フラグを設定する第3ステップ(S24)とを有することを特徴としている。
この発明によると、メモリデバイスが備える複数のメモリセルに含まれる不良セルが特定され、特定された不良セルと行アドレス又は列アドレスが同一である他の不良セルについて予備セルへの代替を示す確定フラグが設定されているか否かが判定され、確定フラグが設定されていないと判定された場合には、特定された不良セルについて確定フラグが設定される。
また、本発明のリダンダンシ演算方法は、少なくとも前記第1ステップにより前記複数のメモリセルに含まれる不良セルの全てが特定されるまで、前記第1ステップから前記第3ステップまでを順に繰り返すことを特徴としている。
また、本発明のリダンダンシ演算方法は、前記第1ステップが、予め前記メモリデバイスの試験を行って得られたフェイル情報(FD)を用いて前記複数のメモリセルに含まれる前記不良セルを特定するステップであることを特徴としている。
また、本発明のリダンダンシ演算方法は、前記第2ステップが、前回以前に行われた前記第1ステップによって特定された他の不良セルのうち、今回行われた前記第1ステップによって特定された前記不良セルと行アドレス又は列アドレスが同一であるものについて、前記確定フラグが設定されているか否かを判定することを特徴としている。
更に、本発明のリダンダンシ演算方法は、前記第3ステップで設定された前記確定フラグの総数が、前記スペアラインの総数よりも多い場合には、前記メモリデバイスの不良救済を行う上で必要なデータの作成処理を省略することを特徴としている。
上記課題を解決するために、本発明のリダンダンシ演算装置は、行アドレス及び列アドレスからなる二次元アドレスにより個々のメモリセルが特定される複数のメモリセルと、複数の予備セルからなる複数のスペアラインとを備えるメモリデバイス(30)の不良救済を行う上で必要なデータを作成するリダンダンシ演算装置(16)において、前記複数のメモリセルに含まれる不良セルに関する不良セル情報を記憶する記憶部(21)と、前記記憶部に記憶された一の不良セルと行アドレス又は列アドレスが同一である他の不良セルについて前記予備セルへの代替を示す確定フラグが設定されていない場合に、前記一の不良セルについての前記不良セル情報として前記確定フラグを設定する処理部(24)とを備えることを特徴としている。
この発明によると、記憶部に記憶された一の不良セルと行アドレス又は列アドレスが同一である他の不良セルについて予備セルへの代替を示す確定フラグが設定されていない場合に、一の不良セルについての不良セル情報として確定フラグが設定される。
また、本発明のリダンダンシ演算装置は、前記不良セル情報が、前記確定フラグに加えて、少なくとも前記不良セルの行アドレス及び列アドレスを含むことを特徴としている。
また、本発明のリダンダンシ演算装置は、前記処理部が、前記記憶部に記憶された前記確定フラグの総数が、前記スペアラインの総数よりも多い場合には、前記メモリデバイスの不良救済を行う上で必要なデータの作成処理を省略することを特徴としている。
更に、本発明のリダンダンシ演算装置は、メモリデバイス(30)のパス/フェイルを示すフェイル情報(FD)を格納するフェイルメモリ(15)を有するメモリ試験装置(1)において、前記フェイルメモリに格納された前記フェイル情報を用いて前記メモリデバイスの不良救済を行う上で必要なデータを作成する上記のリダンダンシ演算装置を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数のメモリセルに含まれる一の不良セルとXアドレス又はYアドレスが同一である他の不良セルについて確定フラグが設定されているか否かを判定し、他の不良セルに確定フラグが設定されていないと判定した場合には、一の不良セルについて確定フラグを設定するようにしている。このため、不良セルに設定された確定フラグの総数とスペアラインの総数との大小関係に応じて2次確定処理を省略することができ、メモリデバイスの不良救済に要する時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態によるリダンダンシ演算方法及び装置並びにメモリ試験装置について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態によるリダンダンシ演算装置及びメモリ試験装置の要部構成を示すブロック図である。図1に示す通り、メモリ試験装置1は、試験パターン発生部11、アドレス変換部12、コンパレータ13、フェイルメモリコントローラ14、フェイルメモリ15、及びリダンダンシ演算装置16を備えており、複数(例えば、数百個)のメモリデバイス(以下、DUT(Device Under Test)という)30の試験を並列して行う。尚、DUT30は、Xアドレス(列アドレス)及びYアドレス(行アドレス)からなる二次元アドレスにより個々のメモリセルが特定される複数のメモリセルと、複数の予備セルからなる複数のスペアラインとを備える。
【0014】
試験パターン発生部11は、DUT30に与える試験パターンD1及び二次元のアドレスA1並びにパス/フェイル判定時に用いる期待値D3を発生する。アドレス変換部12は、所定の変換規則に従って、試験パターン発生部11で発生した二次元のアドレスA1を一次元のアドレスA2に変換する。コンパレータ13は、DUT30から読み出されたデータD2と試験パターン発生部11から出力される期待値D3とを比較してパス/フェイルを示すフェイルデータFDを出力する。フェイルメモリコントローラ14は、フェイルメモリ15に対するフェイルデータFDの書き込み制御及び読み出し制御を行う。フェイルメモリ15は、複数のDUT30の試験結果を示すフェイルデータFDを記憶するものであり、その容量は例えば数百ギガビット程度である。
【0015】
リダンダンシ演算装置16は、フェイルメモリ15に記憶されたフェイルデータFDを用いてDUT30の不良救済を行う上で必要なデータを作成する。このリダンダンシ演算装置16は、フェイルバッファ21、Xインデックスバッファ22、Yインデックスバッファ23、及び処理部24を備えている。フェイルバッファ21は、DUT30が備える複数のメモリセルに含まれる不良セルに関する不良セル情報を記憶する。
【0016】
図2は、フェイルバッファ21等のメモリマップを示す図であって、(a)はフェイルバッファ21のメモリマップを示す図であり、(b)はXインデックスバッファ22のメモリマップを示す図であり、(c)はYインデックスバッファ23のメモリマップを示す図である。図2(a)に示す通り、フェイルバッファ21は0番地から始まって一意に定まる整数の番地が割り当てられた複数の記憶領域を備えており、1つの記憶領域には1つの不良セルに関する不良セル情報が記憶される。ここで、不良セル情報とは、図2(a)に示す通り、Xアドレス、Yアドレス、Xインデックス値、Yインデックス値、並びにフラグを含む情報である。尚、Xアドレス及びYアドレスのビット数は例えば16ビットであり、Xインデックス値及びYインデックス値のビット数は例えば15ビットであり、フラグのビット数は例えば2ビットである。
【0017】
上記のXアドレス及びYアドレスは、DUT30が備える複数のメモリセルに含まれる不良セルを特定するためのXアドレス及びYアドレスを示す情報である。また、上記のXインデックス値はXアドレスが同一である他の不良セルに関する不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の他の記憶領域に対する相対番地を示す情報であり、Yインデックス値はYアドレスが同一である他の不良セルに関する不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の他の記憶領域に対する相対番地を示す情報である。
【0018】
上記のフラグは、その不良セルを予備セル(スペアライン)で代替するときに、新たなスペアラインが必要になるか否かを示す情報である。図3は、フラグの状態遷移を示す図である。図3に示す通り、フラグは、「00」,「01」,「11」の3つの値を取り得る。フラグの値が「00」の場合は、フラグが無い状態(初期状態)を示しており、その不良セルを予備セル(スペアライン)で代替する可能性が低い(つまり、新たなスペアラインが必要になる可能性が低い)ことを意味する。フラグの値が「01」の場合は、仮確定の状態を示しており、その不良セルを予備セル(スペアライン)で代替するために、新たなスペアラインが仮に必要になることを意味する。
【0019】
また、フラグの値が「11」の場合は、フラグが確定された状態(確定フラグ)を示しており、その不良セルを予備セル(スペアライン)で代替するときには、必ず新たなスペアラインが必要になることを意味する。図3に示す通り、フラグの値は、Xアドレスが同一である他の不良セルの検索(以下、Xインデックス検索という)、及びYアドレスが同一である他の不良セルの検索(以下、Yインデックス検索という)の検索結果に応じて変化する。尚、Xインデックス検索及びYインデックス検索の詳細については後述する。
【0020】
Xインデックスバッファ22は、少なくともDUT30に設けられたメモリセルを特定するためのXアドレスで特定可能な数の記憶領域を備えており、図2(b)に示す通り、各記憶領域には0番地から始まって一意に定まる整数の番地が割り当てられている。このXインデックスバッファ22は、フェイルバッファ21に記憶された不良セル情報のXアドレスに対応する番地に、その不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の番地を示す情報を記憶する。Xインデックスバッファ22に記憶された情報は、Xインデックス検索時に用いられる。
【0021】
Yインデックスバッファ23は、少なくともDUT30に設けられたメモリセルを特定するためのYアドレスで特定可能な数の記憶領域を備えており、図2(c)に示す通り、各記憶領域には0番地から始まって一意に定まる整数の番地が割り当てられている。このYインデックスバッファ23は、フェイルバッファ21に記憶された不良セル情報のYアドレスに対応する番地に、その不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の番地を示す情報を記憶する。Yインデックスバッファ23に記憶された情報は、Yインデックス検索時に用いられる。
【0022】
処理部24は、フェイルメモリコントローラ14を制御してフェイルメモリ15に記憶されたフェイルデータFDの読み出しを行うとともに、読み出したフェイルデータFDを用いてDUT30の不良救済を行う上で必要なデータを作成する処理を行う。具体的には、フェイルデータFDから不良セルを特定し、特定した不良セルに関する不良セル情報をフェイルバッファ21に記憶させるとともに、必要な情報をXインデックスバッファ22及びYインデックスバッファ23に記憶させつつ上述したフラグを設定する処理を行う。そして、設定された確定フラグの総数がスペアラインの総数以下の場合には、DUT30の不良救済を行う上で必要なデータの作成処理(スペアラインを用いて不良セルをどのように代替するかを確定するデータを作成する2次確定処理)を行い、設定された確定フラグの総数がスペアラインの総数よりも多い場合には、DUT30の救済が不可であるとして2次確定処理を省略する。
【0023】
次に、上記構成におけるメモリ試験装置1の動作について説明する。メモリ試験装置1は、まずDUT30の試験を行い、次いでメモリデバイスの不良救済を行う上で必要なデータを作成する処理(リダンダンシ演算)を行う。DUT30の試験が開始されると、まず試験パターン発生部11から試験パターンD1とアドレスA1とが出力されて、試験パターンD1がDUT30に書き込まれる。試験パターンD1の書き込みが終了すると、試験パターン発生部11からアドレスA1と期待値D3とが出力される。
【0024】
試験パターン発生部11から出力されたアドレスA1がDUT30に与えられると、DUT30に予め書き込んだ試験パターンがデータD2として読み出されてコンパレータ13に入力され、試験パターン発生部11から出力された期待値D3と比較されてパス/フェイルが判定され、パス/フェイルを示すフェイルデータFDがフェイルメモリコントローラ14に入力される。また、試験パターン発生部11から出力されたアドレスA1は、アドレス変換部12に出力されて一次元のアドレスA2に変換されフェイルメモリコントローラ14に入力される。フェイルメモリコントローラ14は、アドレスA2で示されるフェイルメモリ15の記憶領域に、コンパレータ13から出力されたフェイルデータFDを書き込む。試験パターン発生部11からアドレスA1及び期待値D3が出力される度に上記の動作が繰り返し行われ、これによりフェイルデータFDがフェイルメモリ15に順次記憶される。
【0025】
DUT30の試験が終了すると、リダンダンシ演算装置16の処理部24は、フェイルメモリコントローラ14を制御してフェイルメモリ15に記憶されたフェイルデータFDを読み出してリダンダンシ演算を行う。図4は、リダンダンシ演算装置16で行われる処理を示すフローチャートである。図4のフローチャートに示す処理は、図9に示すフローチャートのステップS101で行われる1次確定処理に相当する処理である。
【0026】
尚、以下では説明を簡単にするために、図5に示す通り、DUT30が備える複数のメモリセルに4つの不良セルK1〜K4が含まれるとする。図5は、DUT30のメモリセル及びその周囲に形成された予備セルを概念的に示す図である。図5中において、符号Rを付した矩形領域は複数のメモリセルが配列されたメモリセル形成領域を表している。このメモリセル形成領域Rの図中右側には複数のXスペアラインL1が形成されており、メモリセル形成領域Rの図中下側に複数のYスペアラインL2が形成されている。
【0027】
ここで、図5に示す通り、不良セルK1はXアドレスが「10」であってYアドレスが「10」であり、不良セルK2はXアドレスが「20」であってYアドレスが「10」であるとする。また、不良セルK3はXアドレスが「30」であってYアドレスが「10」であり、不良セルK4はXアドレスが「20」であってYアドレスが「20」であるとする。
【0028】
リダンダンシ演算処理が開始されると、リダンダンシ演算装置16の処理部24は、フェイルメモリコントローラ14を制御して、フェイルメモリ15をサーチする(ステップS11)。具体的には、DUT30に対するXアドレス「0」、Yアドレス「0」に相当するフェイルメモリ15のアドレスをアクセスし、そのアドレスで特定される記憶領域に記憶されているフェイルデータFDを読み出す。次いで、処理部24は読み出したフェイルデータFDのフェイルの有無を判断する(ステップS12)。
【0029】
この判断結果が「NO」の場合(読み出したフェイルデータFDがパスである場合)には、処理部24は、サーチアドレスをインクリメントする(ステップS16)。つまり、処理部24は、フェイルメモリ15をサーチするためのアドレスを、DUT30に対するXアドレス「1」、Yアドレス「0」に相当するアドレスに設定する。尚、本実施形態では、DUT30の1つの行に配列されたメモリセルに関するフェイルデータが順に読み出された後で、次の行に配列されたメモリセルに関するフェイルデータが順に読み出されるように、処理部24がフェイルメモリ15をサーチする場合を例に挙げて説明する。
【0030】
次に、処理部24は、フェイルメモリ15のサーチが終了したか否かを判断する(ステップS17)。ここでは、サーチが終了していないため判断結果が「NO」となって、処理はステップS11に戻る。そして、処理部24は、ステップS16で設定したアドレスを用いてフェイルメモリ15をアクセスし、そのアドレスで特定される記憶領域に記憶されているフェイルデータFDを読み出し(ステップS11)、読み出したフェイルデータFDのフェイルの有無を判断する(ステップS12)。処理部24は、ステップS12の判断結果が「YES」になるまで、ステップS16,S17,S11の処理を繰り返す。
【0031】
いま、フェイルメモリ15をサーチするためのアドレスが、DUT30に対するXアドレス「10」、Yアドレス「10」に相当するアドレスになったとすると、読み出されたフェイルデータFDがフェイルであるため、ステップS12の判断結果は「YES」になる。これにより、1つの不良セルK1が特定される。処理部24は、フェイルメモリ15のアクセスに用いているアドレスに対してアドレス変換部12で用いられている変換規則の逆変換を行って、不良セルK1のXアドレス及びYアドレスを取得する(ステップS13)。尚、ここで取得される不良セルK1のXアドレスは「10」であり、Yアドレスは「10」である。
【0032】
次に、処理部24は、不良セルK1に関する不良セル情報を登録する(ステップS14)。具体的には、上記のステップS13で取得した不良セルK1のXアドレス「10」及びYアドレス「10」を、フェイルバッファ21の0番地に記憶させて登録する。登録が終了すると、処理部24は不良セル情報に含まれるフラグの設定を行う(ステップS15)。図6はフラグの設定処理を示すフローチャートであり、図7は、フラグの設定処理を終了した時点におけるフェイルバッファ21、Xインデックスバッファ22、及びYインデックスバッファ23の記憶内容の一例を示す図である。
【0033】
フラグの設定処理が開始されると、まず処理部24は、図6に示す通り、Xインデックス検索を行う(ステップS21)。具体的には、ステップS14においてフェイルバッファ21の0番地に登録された不良セルK1のXアドレス「10」に対応するXインデックスバッファ22の番地(10番地)を検索する。ここでは1つの不良セルK1のみが特定された状態であるため、Xインデックスバッファ22の10番地には初期値が格納されている。このため、処理部24は、Xインデックスバッファ22の10番地の内容を、不良セルK1に関する不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の番地(0番地)に書き換える処理を行う(図7(a)中のXインデックスバッファ22参照)。次に、処理部24は、不良セルK1に関するフラグの仮確定を行う(ステップS22)。具体的には、不良セルK1に関する不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の0番地に、フラグの値として「01」を設定する。
【0034】
フラグの仮確定が終了すると、処理部24はYインデックス検索を行う(ステップS23)。具体的には、ステップS14においてフェイルバッファ21の0番地に登録された不良セルK1のYアドレス「10」に対応するYインデックスバッファ23の番地(10番地)を検索する。ここでは1つの不良セルK1のみが特定された状態であるため、Yインデックスバッファ23の10番地には初期値が格納されている。このため、処理部24は、Yインデックスバッファ23の10番地の内容を、不良セルK1に関する不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の番地(0番地)に書き換える処理を行う(図7(a)中のYインデックスバッファ23参照)。
【0035】
次いで、処理部24は、不良セルK1に関するフラグを確定する(ステップS24)。ここでは1つの不良セルK1のみが特定された状態であり、他の不良セルが特定されていないため、処理部24は不良セルK1に関する不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の番地(0番地)に、フラグの値として「11」を設定する。これにより、図7(a)に示す通り、フェイルバッファ21の0番地には、不良セルK1に関する不良セル情報として、Xアドレス「10」、Yアドレス「10」、及びフラグ「11」(確定フラグ)が記憶される。
【0036】
フラグの設定が終了すると、処理部24は、サーチアドレスをインクリメントし(ステップS16)、フェイルメモリ15のサーチが終了したか否かを判断する(ステップS17)。ここでは、サーチが終了していないため判断結果が「NO」となって、処理はステップS11に戻り、処理部24は、ステップS12の判断結果が「YES」になるまで、ステップS11,S16,S17の処理を繰り返す。
【0037】
以上の処理を繰り返すことにより、フェイルメモリ15をサーチするためのアドレスが、DUT30に対するXアドレス「20」、Yアドレス「10」に相当するアドレスになったとすると、読み出されたフェイルデータFDがフェイルであるため、ステップS12の判断結果は「YES」になる。これにより、1つの不良セルK2が特定される。処理部24は、フェイルメモリ15のアクセスに用いているアドレスに対してアドレス変換部12で用いられている変換規則の逆変換を行って、不良セルK2のXアドレス及びYアドレスを取得する(ステップS13)。尚、ここで取得される不良セルK2のXアドレスは「20」であり、Yアドレスは「10」である。
【0038】
次に、処理部24は、不良セルK2に関する不良セル情報を登録する(ステップS14)。具体的には、上記のステップS13で取得した不良セルK2のXアドレス「20」及びYアドレス「10」を、フェイルバッファ21の1番地に記憶させて登録する(図7(b)中のフェイルバッファ21参照)。登録が終了すると、処理部24は不良セル情報に含まれるフラグの設定を行う(ステップS15)。
【0039】
このフラグの設定処理において、図6に示す通り、処理部24はXインデックス検索を行う(ステップS21)。具体的には、ステップS14においてフェイルバッファ21の1番地に登録された不良セルK2のXアドレス「20」に対応するXインデックスバッファ22の番地(20番地)を検索する。ここでは、Xインデックスバッファ22の20番地には初期値が格納されている。このため、処理部24は、Xインデックスバッファ22の20番地の内容を、不良セルK2に関する不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の番地(1番地)に書き換える処理を行う(図7(b)中のXインデックスバッファ22参照)。次に、処理部24は、不良セルK2に関するフラグの仮確定を行う(ステップS22)。具体的には、不良セルK2に関する不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の1番地に、フラグの値として「01」を設定する。
【0040】
フラグの仮確定が終了すると、処理部24はYインデックス検索を行う(ステップS23)。具体的には、ステップS14においてフェイルバッファ21の1番地に登録された不良セルK2のYアドレス「10」に対応するYインデックスバッファ23の番地(10番地)を検索する。ここでは、Yインデックスバッファ23の10番地には、初期値ではなく、不良セルK1に関する不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の番地を示す値「0」が格納されている((図7(a),(b)中のYインデックスバッファ23参照)。このため、処理部24は、Yインデックスバッファ23の10番地に記憶されている値「0」に基づいてフェイルバッファ21の0番地をアクセスしてYインデックス値が初期値であるか否かを判定し、初期値が格納されている場合にはYインデックス値を書き換える。
【0041】
ここでは、フェイルバッファ21の0番地におけるYインデックス値は初期値である。このため、処理部24は、不良セルK2に関する不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の番地(1番地)から不良セルK1に関する不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の番地(0番地)を減算してこれらの相対番地を求め、求めた相対番地をフェイルバッファ21の0番地におけるYインデックス値として書き換える((図7(b)中のフェイルバッファ21参照)。これにより、不良セルK1に関する不良セル情報が格納されたフェイルバッファ21の0番地におけるYインデックス値を参照すれば、不良セルK1とYアドレスが同一である不良セルK2に関する不良セル情報が格納されたフェイルバッファ21の番地(1番地)を参照することが可能となる。
【0042】
次いで、処理部24は、不良セルK2に関するフラグを確定する(ステップS24)。ここでは、上記のステップS23で行われたYインデックス検索によって、Yインデックスバッファ23の10番地からフェイルバッファ21の0番地を示す値「0」が読み出されている。このため、処理部24は、フェイルバッファ21の0番地に格納されたフラグを読み出し、その値が「11」であるか否か(確定フラグが設定されているか否か)を判定する。ここでは、フェイルバッファ21の0番地には確定フラグが設定されているため、処理部24は、ステップS22でフェイルバッファ21の1番地に設定したフラグの値「01」を「00」に書き換える処理を行う。これにより、図7(b)に示す通り、フェイルバッファ21の1番地には、不良セルK2に関する不良セル情報として、Xアドレス「20」、Yアドレス「10」、及びフラグ「00」が記憶される。
【0043】
フラグの設定が終了すると、処理部24は、サーチアドレスをインクリメントし(ステップS16)、フェイルメモリ15のサーチが終了したか否かを判断する(ステップS17)。ここでは、サーチが終了していないため判断結果が「NO」となって、処理はステップS11に戻り、処理部24は、ステップS12の判断結果が「YES」になるまで、ステップS11,S16,S17の処理を繰り返す。
【0044】
以上の処理を繰り返すことにより、フェイルメモリ15をサーチするためのアドレスが、DUT30に対するXアドレス「30」、Yアドレス「10」に相当するアドレスになったとすると、読み出されたフェイルデータFDがフェイルであるため、ステップS12の判断結果は「YES」になる。これにより、1つの不良セルK3が特定される。処理部24は、フェイルメモリ15のアクセスに用いているアドレスに対してアドレス変換部12で用いられている変換規則の逆変換を行って、不良セルK3のXアドレス及びYアドレスを取得する(ステップS13)。尚、ここで取得される不良セルK3のXアドレスは「30」であり、Yアドレスは「10」である。
【0045】
次に、処理部24は、不良セルK3に関する不良セル情報を登録する(ステップS14)。具体的には、上記のステップS13で取得した不良セルK3のXアドレス「30」及びYアドレス「10」を、フェイルバッファ21の2番地に記憶させて登録する(図7(c)中のフェイルバッファ21参照)。登録が終了すると、処理部24は不良セル情報に含まれるフラグの設定を行う(ステップS15)。
【0046】
このフラグの設定処理において、図6に示す通り、処理部24はXインデックス検索を行う(ステップS21)。具体的には、ステップS14においてフェイルバッファ21の2番地に登録された不良セルK3のXアドレス「30」に対応するXインデックスバッファ22の番地(30番地)を検索する。ここでは、Xインデックスバッファ22の30番地には初期値が格納されている。このため、処理部24は、Xインデックスバッファ22の30番地の内容を、不良セルK3に関する不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の番地(2番地)に書き換える処理を行う(図7(c)中のXインデックスバッファ22参照)。次に、処理部24は、不良セルK3に関するフラグの仮確定を行う(ステップS22)。具体的には、不良セルK3に関する不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の2番地に、フラグの値として「01」を設定する。
【0047】
フラグの仮確定が終了すると、処理部24はYインデックス検索を行う(ステップS23)。具体的には、ステップS14においてフェイルバッファ21の2番地に登録された不良セルK3のYアドレス「10」に対応するYインデックスバッファ23の番地(10番地)を検索する。ここでは、Yインデックスバッファ23の10番地には、初期値ではなく、不良セルK1に関する不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の番地を示す値「0」が格納されている((図7(a)〜(c)中のYインデックスバッファ23参照)。このため、処理部24は、Yインデックスバッファ23の10番地に記憶されている値「0」に基づいてフェイルバッファ21の0番地をアクセスしてYインデックス値が初期値であるか否かを判定する。
【0048】
図7(b)を参照すると、フェイルバッファ21の0番地におけるYインデックス値は「1」である。このため、処理部24は、このYインデックス値「1」に基づいてフェイルバッファ21の1番地をアクセスしてYインデックス値が初期値であるか否かを判定する。ここで、図7(b)を参照すると、フェイルバッファ21の1番地におけるYインデックス値は初期値である。このため、処理部24は、不良セルK3に関する不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の番地(2番地)から不良セルK2に関する不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の番地(1番地)を減算してこれらの相対番地を求め、求めた相対番地をフェイルバッファ21の1番地におけるYインデックス値として書き換える((図7(c)中のフェイルバッファ21参照)。これにより、不良セルK2に関する不良セル情報が格納されたフェイルバッファ21の1番地におけるYインデックス値を参照すれば、不良セルK2とYアドレスが同一である不良セルK3に関する不良セル情報が格納されたフェイルバッファ21の番地(2番地)を参照することが可能となる。
【0049】
次いで、処理部24は、不良セルK3に関するフラグを確定する(ステップS24)。ここでは、上記のステップS23で行われたYインデックス検索によって、Yインデックスバッファ23の10番地からフェイルバッファ21の0番地を示す値「0」が読み出されている。また、上記のYインデックス検索によって、フェイルバッファ21の0番地におけるYインデックス値は「1」に設定されている。このため、処理部24は、フェイルバッファ21の0番地及び1番地に格納されたフラグを読み出し、少なくとも一方に確定フラグが設定されているか否かを判定する。ここでは、フェイルバッファ21の0番地には確定フラグが設定されているため、処理部24は、ステップS22でフェイルバッファ21の2番地に設定したフラグの値「01」を「00」に書き換える処理を行う。これにより、図7(c)に示す通り、フェイルバッファ21の2番地には、不良セルK3に関する不良セル情報として、Xアドレス「30」、Yアドレス「10」、及びフラグ「00」が記憶される。
【0050】
フラグの設定が終了すると、処理部24は、サーチアドレスをインクリメントし(ステップS16)、フェイルメモリ15のサーチが終了したか否かを判断する(ステップS17)。ここでは、サーチが終了していないため判断結果が「NO」となって、処理はステップS11に戻り、処理部24は、ステップS12の判断結果が「YES」になるまで、ステップS11,S16,S17の処理を繰り返す。
【0051】
以上の処理を繰り返すことにより、フェイルメモリ15をサーチするためのアドレスが、DUT30に対するXアドレス「20」、Yアドレス「20」に相当するアドレスになったとすると、読み出されたフェイルデータFDがフェイルであるため、ステップS12の判断結果は「YES」になる。これにより、1つの不良セルK4が特定される。処理部24は、フェイルメモリ15のアクセスに用いているアドレスに対してアドレス変換部12で用いられている変換規則の逆変換を行って、不良セルK4のXアドレス及びYアドレスを取得する(ステップS13)。尚、ここで取得される不良セルK4のXアドレスは「20」であり、Yアドレスは「20」である。
【0052】
次に、処理部24は、不良セルK4に関する不良セル情報を登録する(ステップS14)。具体的には、上記のステップS13で取得した不良セルK4のXアドレス「20」及びYアドレス「20」を、フェイルバッファ21の3番地に記憶させて登録する(図7(d)中のフェイルバッファ21参照)。登録が終了すると、処理部24は不良セル情報に含まれるフラグの設定を行う(ステップS15)。
【0053】
このフラグの設定処理において、図6に示す通り、処理部24はXインデックス検索を行う(ステップS21)。具体的には、ステップS14においてフェイルバッファ21の3番地に登録された不良セルK4のXアドレス「20」に対応するXインデックスバッファ22の番地(20番地)を検索する。ここでは、Xインデックスバッファ22の20番地には、初期値ではなく、不良セルK2に関する不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の番地を示す値「1」が格納されている((図7(b)〜(d)中のXインデックスバッファ22参照)。このため、処理部24は、Xインデックスバッファ22の10番地に記憶されている値「1」に基づいてフェイルバッファ21の1番地をアクセスしてXインデックス値が初期値であるか否かを判定する。
【0054】
図7(c)を参照すると、フェイルバッファ21の1番地におけるXインデックス値は初期値である。このため、処理部24は、不良セルK4に関する不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の番地(3番地)から不良セルK2に関する不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の番地(1番地)を減算してこれらの相対番地を求め、求めた相対番地をフェイルバッファ21の1番地におけるXインデックス値として書き換える((図7(d)中のフェイルバッファ21参照)。これにより、不良セルK2に関する不良セル情報が格納されたフェイルバッファ21の1番地におけるXインデックス値を参照すれば、不良セルK2とXアドレスが同一である不良セルK4に関する不良セル情報が格納されたフェイルバッファ21の番地(3番地)を参照することが可能となる。次に、処理部24は、不良セルK4に関するフラグの仮確定を行う(ステップS22)。具体的には、不良セルK4に関する不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の3番地に、フラグの値として「01」を設定する。
【0055】
フラグの仮確定が終了すると、処理部24はYインデックス検索を行う(ステップS23)。具体的には、ステップS14においてフェイルバッファ21の3番地に登録された不良セルK4のYアドレス「20」に対応するYインデックスバッファ23の番地(20番地)を検索する。図7(c)を参照すると、Yインデックスバッファ23の20番地には初期値が格納されている。このため、処理部24は、Yインデックスバッファ23の20番地の内容を、不良セルK4に関する不良セル情報が記憶されているフェイルバッファ21の番地(3番地)に書き換える処理を行う(図7(d)中のYインデックスバッファ23参照)。
【0056】
次いで、処理部24は、不良セルK4に関するフラグを確定する(ステップS24)。ここでは、上記のステップS21で行われたXインデックス検索によって、Xインデックスバッファ22の20番地からフェイルバッファ21の1番地を示す値「1」が読み出されている。このため、処理部24は、フェイルバッファ21の1番地に格納されたフラグを読み出し、確定フラグが設定されているか否かを判定する。ここでは、フェイルバッファ21の1番地には確定フラグが設定されていないため、処理部24は、ステップS22でフェイルバッファ21の3番地に設定したフラグの値「01」を「11」に書き換える処理を行う。これにより、図7(d)に示す通り、フェイルバッファ21の3番地には、不良セルK4に関する不良セル情報として、Xアドレス「20」、Yアドレス「20」、及びフラグ「11」が記憶される。
【0057】
フラグの設定が終了すると、処理部24は、サーチアドレスをインクリメントし(ステップS16)、フェイルメモリ15のサーチが終了したか否かを判断する(ステップS17)。ここでは、サーチが終了していないため判断結果が「NO」となって、処理はステップS11に戻る。以上の処理を繰り返し、図4中のステップS17の判断結果が「YES」になると、一連の処理が終了する。
【0058】
以上の処理によって、図5に示す通り、不良セルK1に対して確定フラグF1が設定されるとともに不良セルK4に対して確定フラグF2が設定されたのに対し、不良セルK2,K3に対しては確定フラグが設定されてはいない。ここで、設定された確定フラグの数は、不良セルの不良救済を行うために必要なスペアラインの数を表している。図5に示す例では、2つの確定フラグF1,F2が設定されているため、不良セルK1〜K4を全て救済するには2本のスペアラインが必要になる。実際、図5を参照すると、Yアドレスが「10」である行に配列されたメモリセルの全てを1本のYスペアラインL2で代替し、Xアドレスが「20」である列に配列されたメモリセルの全てを1本のXスペアラインL1で代替すれば不良セルK1〜K4を全てを救済できることが分かる。
【0059】
以上の処理を終了すると、リダンダンシ演算装置16の処理部24は、設定された確定フラグの総数がスペアラインの総数よりも多いか否かを判断する。ここで、設定された確定フラグの総数がスペアラインの総数以下であると判断した場合には、処理部24はDUT30の不良救済を行う上で必要なデータの作成処理(スペアラインを用いて不良セルをどのように代替するかを確定するデータを作成する2次確定処理)を行う。これに対し、設定された確定フラグの総数がスペアラインの総数よりも多いと判断した場合には、処理部24はDUT30の救済が不可であるとして2次確定処理を省略する。
【0060】
以上説明した本実施形態のリダンダンシ演算装置16は、複数のメモリセルに含まれる一の不良セルとXアドレス又はYアドレスが同一である他の不良セルについて確定フラグが設定されているか否かを判定し、他の不良セルに確定フラグが設定されていないと判定した場合には、一の不良セルについて確定フラグを設定するようにしている。このため、不良セルに設定された確定フラグの総数によって、全ての不良セルの代替に必要となるスペアラインの数を求めることができる。この結果、確定フラグの総数がXスペアラインL1及びYスペアラインL2の総数よりも多い場合には、そのDUT30の救済は不可であると判断して2次確定処理を省略できるため、DUT30の不良救済に要する時間を短縮することができる。具体的には、従来はメモリデバイスの不良救済に4,5時間程度を要していたが、本実施形態では不要な2次確定処理を省略することができるため、1時間程度の時間短縮が可能である。
【0061】
以上、本発明の実施形態による半導体試験装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、DUT30の1つの行に配列されたメモリセルに関するフェイルデータが順に読み出された後で、次の行に配列されたメモリセルに関するフェイルデータが順に読み出されるように、フェイルメモリ15がサーチされる場合を例に挙げて説明した。しかしながら、フェイルメモリ15のサーチ方法はこの方法に制限されることはなく、例えばDUT30の1つの列に配列されたメモリセルに関するフェイルデータが順に読み出された後で、次の列に配列されたメモリセルに関するフェイルデータが順に読み出されるように、フェイルメモリ15をサーチしても良い。
【0062】
また、上記実施形態では、理解を容易にするために、図6に示すフラグの確定処理(ステップS24)において、フェイルバッファ21に記憶された他の不良セルに設定されたフラグを読み出す場合について説明した。しかしながら、処理に要する時間をより短縮するために、Xインデックス検索(ステップS21)においてXアドレスが同一である他の不良セルに設定されたフラグを読み出し、この読み出し結果を用いてステップS22においてフラグの設定を行い、次いでYインデックス検索(ステップS23)においてYアドレスが同一である他の不良セルに設定されたフラグを読み出して、この読み出し結果を用いてステップS24においてフラグの設定を行うのが望ましい(このときのフラグの状態遷移を図3に示す)。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態によるリダンダンシ演算装置及びメモリ試験装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】フェイルバッファ21等のメモリマップを示す図である。
【図3】フラグの状態遷移を示す図である。
【図4】リダンダンシ演算装置16で行われる処理を示すフローチャートである。
【図5】DUT30のメモリセル及びその周囲に形成された予備セルを概念的に示す図である。
【図6】フラグの設定処理を示すフローチャートである。
【図7】フラグの設定処理を終了した時点におけるフェイルバッファ21、Xインデックスバッファ22、及びYインデックスバッファ23の記憶内容の一例を示す図である。
【図8】メモリデバイスに形成されるメモリセル及びその周囲に形成された予備セルを概念的に示す図である。
【図9】従来のリダンダンシ演算装置で行われる処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1 メモリ試験装置
15 フェイルメモリ
16 リダンダンシ演算装置
21 フェイルバッファ
24 処理部
30 DUT
FD フェイルデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
行アドレス及び列アドレスからなる二次元アドレスにより個々のメモリセルが特定される複数のメモリセルと、複数の予備セルからなる複数のスペアラインとを備えるメモリデバイスの不良救済を行う上で必要なデータを作成するリダンダンシ演算方法において、
前記複数のメモリセルに含まれる不良セルを特定する第1ステップと、
前記第1ステップで特定された前記不良セルと行アドレス又は列アドレスが同一である他の不良セルについて、前記予備セルへの代替を示す確定フラグが設定されているか否かを判定する第2ステップと、
前記第2ステップで前記確定フラグが設定されていないと判定された場合には、前記第1ステップで特定された前記不良セルについて前記確定フラグを設定する第3ステップと
を有することを特徴とするリダンダンシ演算方法。
【請求項2】
少なくとも前記第1ステップにより前記複数のメモリセルに含まれる不良セルの全てが特定されるまで、前記第1ステップから前記第3ステップまでを順に繰り返すことを特徴とする請求項1記載のリダンダンシ演算方法。
【請求項3】
前記第1ステップは、予め前記メモリデバイスの試験を行って得られたフェイル情報を用いて前記複数のメモリセルに含まれる前記不良セルを特定するステップであることを特徴とする請求項2記載のリダンダンシ演算方法。
【請求項4】
前記第2ステップは、前回以前に行われた前記第1ステップによって特定された他の不良セルのうち、今回行われた前記第1ステップによって特定された前記不良セルと行アドレス又は列アドレスが同一であるものについて、前記確定フラグが設定されているか否かを判定することを特徴とする請求項2又は請求項3記載のリダンダンシ演算方法。
【請求項5】
前記第3ステップで設定された前記確定フラグの総数が、前記スペアラインの総数よりも多い場合には、前記メモリデバイスの不良救済を行う上で必要なデータの作成処理を省略することを特徴とする請求項2から請求項4の何れか一項に記載のリダンダンシ演算方法。
【請求項6】
行アドレス及び列アドレスからなる二次元アドレスにより個々のメモリセルが特定される複数のメモリセルと、複数の予備セルからなる複数のスペアラインとを備えるメモリデバイスの不良救済を行う上で必要なデータを作成するリダンダンシ演算装置において、
前記複数のメモリセルに含まれる不良セルに関する不良セル情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された一の不良セルと行アドレス又は列アドレスが同一である他の不良セルについて前記予備セルへの代替を示す確定フラグが設定されていない場合に、前記一の不良セルについての前記不良セル情報として前記確定フラグを設定する処理部と
を備えることを特徴とするリダンダンシ演算装置。
【請求項7】
前記不良セル情報は、前記確定フラグに加えて、少なくとも前記不良セルの行アドレス及び列アドレスを含むことを特徴とする請求項6記載のリダンダンシ演算装置。
【請求項8】
前記処理部は、前記記憶部に記憶された前記確定フラグの総数が、前記スペアラインの総数よりも多い場合には、前記メモリデバイスの不良救済を行う上で必要なデータの作成処理を省略することを特徴とする請求項6又は請求項7記載のリダンダンシ演算装置。
【請求項9】
メモリデバイスのパス/フェイルを示すフェイル情報を格納するフェイルメモリを有するメモリ試験装置において、
前記フェイルメモリに格納された前記フェイル情報を用いて前記メモリデバイスの不良救済を行う上で必要なデータを作成する請求項6から請求項8の何れか一項に記載のリダンダンシ演算装置を備えることを特徴とするメモリ試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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