説明

リニアモーター式加圧ポンプ及びそれを備えたダイクッション装置

【課題】十分な上方付勢力を発揮できるリニアモーター式加圧ポンプ及びそれを備えたダイクッション装置を提供する。
【解決手段】本体容器1と、本体容器1の内壁に沿って移動可能な可動体2と、本体容器1の内部に連通するように接続されたシリンダ3と、シリンダ3に設けられた固定子7と、シリンダ3の内壁に沿って摺動するピストンヘッド4と、ピストンヘッド4に取り付けられたピストンロッド5と、ピストンロッド5に接続された移動子8と、を備え、作動液Lが本体容器1及びシリンダ3に共通して収容されると共に可動体2及びピストンヘッド4により密閉されており、シリンダ3の断面積が可動体の面積より小さく、且つ固定子7及び移動子8でリニアモーターを構成し、リニアモーターを駆動し、ピストンヘッド4がピストンロッド5を介してシリンダ3内をスライドし、シリンダ3に収容された作動液Lが本体容器1に流出入して、可動体2を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアモーター式加圧ポンプ及びそれを備えたダイクッション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のダイクッション装置は、主として油圧のサーボ弁を制御することでクッション性を得るような構造となっており、ストローク調整機能、ロッキング機能や補助リフト機能を有する装置が併設されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
ところが、上記ダイクッション装置は、ストローク調整機構の他に大掛かりな油圧制御ユニットが必要になるので、装置が極めて複雑であり、コストも高くならざるを得ない。
また、装置間の油圧配管が多数必要になり、実使用に際して保守点検等に多大な手間や工数がかかり、その作業は困難である。
【0004】
これに対し、本発明者は、装置構成の簡素化及びコンパクト化を図ると共に有効にコストダウン等を実現するべく、駆動源としてリニアモーターを備えたダイクッション装置を発明し、特許出願した(特許文献4参照)。
【特許文献1】特開平5−7945号公報
【特許文献2】特開平6−543号公報
【特許文献3】特許第3211904号公報
【特許文献4】特開2006−272456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献4記載のダイクッション装置において、リニアモーターはクッションパッドを上方に付勢する力(以下「上方付勢力」という。)が十分とはいえない。
例えば、大きな上方付勢力が必要な場合には、多数のリニアモーターが必要となり、必然的に装置全体が大型化するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、十分な上方付勢力を発揮できるリニアモーター式加圧ポンプ及びそれを備えたダイクッション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、所定の本体容器と作動液とを用いることにより、リニアモーターの上方付勢力を数倍に増やせることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、(1)本体容器と、該本体容器の内壁に沿って移動可能な可動体と、該本体容器の内部に連通するように接続されたシリンダと、該シリンダに設けられた固定子と、シリンダの内壁に沿って摺動するピストンヘッドと、該ピストンヘッドに取り付けられたピストンロッドと、該ピストンロッドに接続された移動子と、を備え、作動液が本体容器及びシリンダに共通して収容されると共に可動体及びピストンヘッドにより密閉されており、シリンダの断面積が可動体の面積より小さく、且つ固定子及び移動子でリニアモーターを構成し、該リニアモーターを駆動させることにより、ピストンヘッドがピストンロッドを介してシリンダ内をスライドし、シリンダに収容された作動液が本体容器に流出入して、可動体を移動させるリニアモーター式加圧ポンプに存する。
【0009】
本発明は、(2)可動体の面積(A)と、シリンダの断面積(a)との比(A/a)が、1より大きく20以下である上記(1)記載のリニアモーター式加圧ポンプに存する。
【0010】
本発明は、(3)シリンダの一部が本体容器の内部に挿入されている上記(1)記載のリニアモーター式加圧ポンプに存する。
【0011】
本発明は、(4)作動液が油である上記(1)記載のリニアモーター式加圧ポンプに存する。
【0012】
本発明は、(5)固定子がシリンダに内設され、且つ、該シリンダと、前記移動子を案内するためのガイドとによって支持固定されている上記(1)記載のリニアモーター式加圧ポンプに存する。
【0013】
本発明は、(6)クッションパッドと、該クッションパットの上にクッションピンを介して設けられたブランクホルダと、クッションパッドを上方付勢するための駆動源と、を備えるダイクッション装置において、駆動源が、本体容器と、クッションパットの下に接続され、本体容器の内壁に沿って移動可能な可動体と、該本体容器の内部に連通するように接続されたシリンダと、該シリンダに設けられた固定子と、シリンダの内壁に沿って摺動するピストンヘッドと、該ピストンヘッドに取り付けられたピストンロッドと、該ピストンロッドに接続された移動子と、を備えるリニアモーター式加圧ポンプであり、作動液が本体容器及びシリンダに共通して収容されると共に可動体及びピストンヘッドにより密閉されており、シリンダの断面積が可動体の面積より小さく、且つ固定子及び移動子でリニアモーターを構成し、該リニアモーターを駆動させることにより、ピストンヘッドがピストンロッドを介してシリンダ内をスライドし、シリンダに収容された作動液が本体容器に流出入して、可動体を移動させるダイクッション装置に存する。
【0014】
本発明は、(7)固定子がシリンダに内設され、且つ、該シリンダと、移動子を案内するためのガイドとによって支持固定されている上記(6)記載のダイクッション装置に存する。
【0015】
本発明は、(8)上記(6)記載のダイクッション装置を備えるプレス装置に存する。
【0016】
なお、本発明の目的に添ったものであれば上記(1)〜(8)を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明のリニアモーター式加圧ポンプは、リニアモーターを駆動させることにより、ピストンヘッド及びピストンロッドがシリンダ内をスライドし、このピストンロッドの推進力が作動液を伝わって、シリンダに収容された作動液が本体容器に流入し、可動体を押し上げる。
このとき、シリンダの断面積が可動体の面積より小さくなっているので、作動液に伝わるピストンロッドの推進力が、より大きくなって可動体の上方付勢力となる。
したがって、上記リニアモーター式加圧ポンプによれば、十分な上方付勢力を発揮できる。
【0018】
また、上記リニアモーター式加圧ポンプにおいては、装置が簡素化されコンパクトであるので、あらゆる装置に適用できる。また、メンテナンスや保守点検等も容易となる。
【0019】
本発明のリニアモーター式加圧ポンプは、可動体の面積(A)と、シリンダの断面積(a)との比(A/a)が、1より大きく20以下であると、好適な上方付勢力を発揮できる。
【0020】
本発明のリニアモーター式加圧ポンプは、シリンダの一部が本体容器の内部に挿入されていると、装置がよりコンパクトとなる。
【0021】
本発明のリニアモーター式加圧ポンプにおいて、作動液が油であると、作動液の応答性が優れるので、ピストンロッドの推進力を確実に可動体に伝えることができる。
【0022】
本発明のリニアモーター式加圧ポンプは、固定子がシリンダに内設されていると、固定子の取り付け状態がより安定する。
また、シリンダと移動子を案内するためのガイドとによって支持固定されていると、組み付けがし易くなる。
【0023】
本発明のダイクッション装置においては、駆動源が、本体容器と、クッションパットの下に接続され、本体容器の内壁に沿って移動可能な可動体と、該本体容器の内部に連通するように接続されたシリンダと、該シリンダに設けられた固定子と、シリンダの内壁に沿って摺動するピストンヘッドと、該ピストンヘッドに取り付けられたピストンロッドと、該ピストンロッドに接続された移動子と、を備えるリニアモーター式加圧ポンプであり、作動液が本体容器及びシリンダに共通して収容されると共に可動体及びピストンヘッドにより密閉されており、シリンダの断面積が可動体の面積より小さく、且つ固定子及び移動子でリニアモーターを構成し、該リニアモーターを駆動させることにより、ピストンヘッドがピストンロッドを介してシリンダ内をスライドし、シリンダに収容された作動液が本体容器に流出入して、可動体を移動させるので、クッションパッドに対して十分な上方付勢力を発揮できる。
また、ダイクッション装置をコンパクトにできる。
【0024】
本発明のダイクッション装置においては、固定子がシリンダに内設されていると、固定子の取り付け状態がより安定する。
また、シリンダと移動子を案内するためのガイドとによって支持固定されていると、組み付けがし易くなる。
【0025】
本発明のプレス装置は、上述したダイクッション装置を備えるので、クッションパッドに対して十分な上方付勢力を発揮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、必要に応じて図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。
なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0027】
(第一実施形態)
まず、本発明に係るリニアモーター式加圧ポンプの第一実施形態について説明する。
図1は、本発明に係るリニアモーター式加圧ポンプの第一実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るリニアモーター式加圧ポンプ10は、本体容器1と、該本体容器1の内壁に沿って移動可能な可動体2と、該本体容器1の内部に連通するように接続されたシリンダ3と、該シリンダ3に設けられた固定子7と、シリンダ3の内壁に沿って摺動するピストンヘッド4と、該ピストンヘッド4に取り付けられたピストンロッド5と、該ピストンロッド5に接続された移動子8と、を備える。
【0028】
上記本体容器1は、円筒状となっており、内部には可動体2が配設されている。
本体容器1の内部には作動液Lが収容されており、この作動液Lと上記可動体2とは常時接した状態にある。
かかる可動体2は、作動液Lの液面の昇降に従って、本体容器1の内壁に沿って昇降移動が可能である。
【0029】
上記リニアモーター式加圧ポンプ10において、本体容器1の内壁にはストッパー6が設けられている。
このストッパー6は、突然の可動体2の下降を阻止する役割を果たす。
また、本体容器1の底面には、シリンダ3が本体容器1と連通するように接続されている。なお、シリンダ3の断面積は、上記可動体2の面積より小さく設定されている。
【0030】
かかるシリンダ3は、本体容器1の内部に挿入された部分からなる内側部3aと、該内側部3aに連続し本体容器1の外部に突出した部分からなる外側部3bとを有する。
シリンダ3の内側部3aの先端は本体容器1に開口されており、この開口された開口部を介してシリンダ3と本体容器1とが連通している。
すなわち、上記リニアモーター式加圧ポンプ10においては、シリンダ3の開口部から本体容器1内部の作動液Lがシリンダ3の内部の作動液と通じるようになっている。
【0031】
また、上記リニアモーター式加圧ポンプ10において、シリンダ3にはピストンヘッド4が配設されている。
かかるピストンヘッド4は、移動子8に連結されたピストンロッド5を介してシリンダ3内をスライド(摺動)可能となっている。
【0032】
上記リニアモーター式加圧ポンプ10においては、本体容器1の内部に作動液Lが収容され、該作動液Lがシリンダ3の内部の作動液Lと連通されているので、全体としては、作動液Lが、本体容器1、可動体2、シリンダ3、及びピストンヘッド4により区画された空間に密閉されていることになる。
したがって、シリンダ3内において、ピストンヘッド4及びピストンロッド5をスライドさせることにより、可動体2が押し上げられ、或いは押し下げられる。
このとき、作動液Lが、上述したように、密封されているので、ピストンヘッド4の動きが作動液Lを介して可動体2に的確に伝わり、応答性が良い。
【0033】
上記リニアモーター式加圧ポンプ10において、シリンダ3の外側部3bには、コイルからなる固定子7が円筒状に内設されている。
さらに、この固定子7の内側には、磁石を長手方向に沿って有する棒状の移動子8が配置されている。すなわち、固定子7と移動子8とがリニアモーターを構成している。
【0034】
そして、リニアモーターに通電することで移動子8にはローレンツ力に基づくスムースな推進力が働き、この推進力がピストンロッド5を動かす原動力となる。
上記リニアモーター式加圧ポンプ10においては、このリニアモーターを利用したことにより、ピストンロッド5の昇降移動を自由に制御することができる。
そのため、上記リニアモーター式加圧ポンプ10は、ピストンヘッド4や可動体2の昇降移動の制御が簡単に行える。
【0035】
また、上記リニアモーター式加圧ポンプ10において、シリンダ3の外側部3bの末端にはガイド9が設けられている。
これにより、移動子8は固定子7に接触することなく円滑に案内される。
ここで、上記固定子7は、シリンダ3に内設されると共に、ガイド9により支持固定されている。
したがって、上記リニアモーター式加圧ポンプ10は、固定子7の取り付け状態がより安定し、組み付けもし易くなる。
【0036】
図2は、図1に示すリニアモーター式加圧ポンプのI−I線断面図である。
図2に示すように、上記リニアモーター式加圧ポンプ10において、シリンダ3は上記本体容器1の底面の略中央に設けられており、中空円筒状の形状である。
このため、本体容器1は耐圧性に優れる。
【0037】
なお、上記リニアモーター式加圧ポンプ10が、圧力の伝達によりピストンヘッド4の昇降移動を可動体2の昇降移動に変える構造であるため、圧力伝達が的確に行えるのであればシリンダ3の設ける位置は、本体容器1の底面に対して、必ずしも中央である必要はなく、原則的には、制限されない。
【0038】
次に、本実施形態に係るリニアモーター式加圧ポンプ10の作動について説明する。
まず、リニアモーターを駆動させることにより、移動子8に推進力が生じ、移動子8が接続されたピストンロッド5と共に移動する。
例えば、ピストンロッド5を上昇移動させた場合、ピストンロッド5と共にピストンヘッド4がシリンダ3の内壁に沿って摺動する。
このとき、シリンダ3内に収容されている作動液Lは、ピストンヘッド4の上昇移動により、シリンダ3の流動部3aの開口部から本体容器1内に流出される。
なお、作動液Lが流出される力は上記推進力に基づくものである。
【0039】
そうすると、本体容器1内の作動液Lが増量され、作動液Lにより可動体2が押し上げられる。
すなわち、可動体2が本体容器1の内壁に沿って上昇する。
なお、作動液Lが可動体2を押し上げる力(上方付勢力)は、上記推進力が作動液を伝わったものである。
また、シリンダ3の断面積が可動体2の面積より小さくなっているので、圧力伝達により作動液Lに伝わるピストンロッド5の推進力が、より大きくなって可動体2を押し上げる力(上方付勢力)となる。
【0040】
一方、ピストンロッド5を下降移動させた場合は、ピストンロッド5と共にピストンヘッド4がシリンダ3の内壁に沿って摺動する。
このとき、シリンダ3内に収容されている作動液Lは、ピストンヘッド4の下降移動により、本体容器1内からシリンダ3の流動部3aの開口部を介してシリンダ3の流動部3a内に流入される。
【0041】
そうすると、本体容器1内の作動液Lが減量され、可動体2が下がる。
すなわち、可動体2が本体容器1の内壁に沿って下降する。
【0042】
ところで、ピストンロッド5と共にピストンヘッド4が下降するのは、リニアモーターの移動子8を原動とするものであるが、例えば、リニアモーターが故障してピストンヘッド4がフリーとなり、可動体2が突然、下降(落下)するような事態が生じる場合が想定される。
このような事態に対する対策として、本体容器1の内壁にはストッパー6が設けられている。
このストッパー6は、シリンダ3が本体容器1に挿入されている上端の位置より高い位置に設けられており、可動体2が下降しても、このストッパー6で阻止され可動体2はシリンダ3には突き当たらない。
【0043】
ここで、推進力と上方付勢力との関係について説明する。
リニアモーターの駆動により生じる推進力fを、シリンダ3の断面積(ピストンヘッド4の断面積)をa、可動体の面積をA、上方付勢力をFとした場合、シリンダ3の断面積aの単位面積あたりに作用する推進力は、リニアモーターの駆動により生じる推進力fをシリンダ3の断面積aで除したf/aである。
このf/aが作動液L全体に伝わることになるので、可動体2に伝わる上方付勢力Fは、f/aに可動体の面積Aを乗じたf・A/aとなる。
【0044】
したがって、A/a(断面比)の値が大きいほど、すなわち、シリンダ3の断面積aが可動体2の面積Aより小さくなっているほど、推進力を大きな上方付勢力に変えることができる。
【0045】
以上より、本実施形態に係るリニアモーター式加圧ポンプ10によれば、十分な上方付勢力を発揮できる。
また、上記リニアモーター式加圧ポンプ10においては、可動体の面積と、シリンダの断面積との比を調節することにより、上方付勢力の大きさを自由に変えることができる。
さらに、上記リニアモーター式加圧ポンプにおいては、装置が簡素化されコンパクトであるので、あらゆる装置に適用できる。
また、メンテナンスや保守点検等も容易となる。
【0046】
ここで、本実施形態に係るリニアモーター式加圧ポンプ10においては、可動体の面積(A)と、シリンダの断面積(a)との比(A/a)(断面比)は、該リニアモーター式加圧ポンプ10加圧強度の観点から、1より大きく20以下であるであることが好ましい。
なお、このリニアモーター式加圧ポンプ10をダイクッション装置20やそれを備えたプレス装置に適用する場合、断面比(A/a)は、クッションパッド11の挙動に依存するので、2以上5以下であることが好ましい。
【0047】
上記リニアモーター式加圧ポンプ10において、作動液Lとしては、特に限定されないが、例えば、油が用いられる。
この場合、作動液の応答性が優れるので、ピストンロッド5の推進力を確実に可動体2に伝えることができる。
【0048】
上記リニアモーター式加圧ポンプは、ダイクッション装置の駆動源、リフター装置等の用途に好適に用いられる。
【0049】
次に、上記リニアモーター式加圧ポンプを備えるダイクッション装置について説明する。
図3は、本実施形態に係るダイクッション装置の一例を示す断面図である。
図3に示すように、本実施形態に係るダイクッション装置20は、クッションパッド11と、該クッションパット11の上にクッションピン14を介して設けられたブランクホルダ13と、クッションパッド11を上方付勢するための4つの駆動源とを備える。
【0050】
また、上記ダイクッション装置20は、駆動源が、すべて上述したリニアモーター式加圧ポンプ10であり、そのリニアモーター式加圧ポンプ10の可動体12がクッションパット11に接続されている。
【0051】
図4は、図3に示すダイクッション装置のII−II線断面図である。
図3に示すように、上記ダイクッション装置20において、リニアモーター式加圧ポンプ10は、クッションパット11の底面に上下左右均等に設けられている。
【0052】
図3に戻り、上記ダイクッション装置20においては、リニアモーター式加圧ポンプ10を駆動させることにより、可動体12を介してクッションパット11に上方付勢力が付加され、さらに、クッションピン14を介してブランクホルダ13に付加される。
【0053】
本実施形態に係るダイクッション装置20は、上記リニアモーター式加圧ポンプ10を備えるので、クッションパッド11に対して十分な上方付勢力を発揮できる。
また、ダイクッション装置20をコンパクトにできる。
また、リニアモーターの昇降移動の制御が電気的に容易に行えるため、必要となるクッションパッド11の挙動に応じた対応が可能となる。
さらに、ストッパー6を備えることで、万一リニアモーターが故障して可動体が突然下降するような事態が生じても安全である。
さらにまた、ダイクッション装置20は、構造が簡素化されているので、繰り返し加重を受けても故障率が少ない。
【0054】
次に、上記ダイクッション装置20を備えるプレス装置について説明する。
図5は、本実施形態に係るプレス装置の一例を示す断面図である。
図5に示すように、本実施形態に係るプレス装置30は、プレス下型22と、該プレス下型22に対応する形状を有するプレス上型21と、プレス下型22上に載置されたワークWとを有する。
上記プレス上型21はスライド24によって昇降移動可能に支持され、プレス下型22はライナ26の上に固定されたボルスタ27上に載置されている。
なお、上述したクッションピン14は、ボルスタ27の内部を貫通している。
【0055】
また、上記プレス装置30は、ワークWの周縁部をプレス上型21と共に押圧保持するためのダイクッション装置20が配置されている。
すなわち、上記プレス装置30は、プレス下型22とダイクッション装置20のブランクホルダ13との上にワークWが載置され、プレス時にクッションパッド11を上方付勢することによりブランクホルダ13とプレス上型との間にワーク周縁部を保持するようになっている。
なお、かかるダイクッション装置20は、ライナ26を下方から支持するベッド28の内側に収容されている。
【0056】
このように、上記プレス装置30は、ダイクッション装置20がリニアモーター式加圧ポンプ10を備えるので、クッションパッド11に対して十分な上方付勢力を発揮できる。
また、プレス装置30をコンパクトにできる。
【0057】
(第二実施形態)
次に、本発明に係るリニアモーター式加圧ポンプの第二実施形態について説明する。
図6は、本発明に係るリニアモーター式加圧ポンプの第二実施形態を示す断面図である。
図6に示すように、本実施形態に係るリニアモーター式加圧ポンプ40は、シリンダ3が本体容器内に入ってなく、全体が本体容器1の外部に突出している点で、第一実施形態に係るリニアモーター式加圧ポンプ10と異なる。
【0058】
すなわち、上記リニアモーター式加圧ポンプ40において、外部に突出されたシリンダ3は、本体容器1との接続位置に開口部を有し、本体容器1と連通した構造となっている。
【0059】
本実施形態に係るリニアモーター式加圧ポンプ40においては、十分な上方付勢力を発揮できる。
また、可動体の面積と、シリンダの断面積との比を調節することにより、上方付勢力の大きさを自由に変えることができる。
さらに、装置がコンパクトであるので、あらゆる装置に適用できる。
また、メンテナンスや保守点検等も容易となる。
さらにまた、図6に示すような構造であるので、もしリニアモーターが故障して、可動体が突然下降するようなことがあっても、シリンダに突き当たるようなことがない。
そのためストッパーは省略することができる。
【0060】
(第三実施形態)
次に、本発明に係るリニアモーター式加圧ポンプの第三実施形態について説明する。
図7は、本発明に係るリニアモーター式加圧ポンプの第三実施形態を示す断面図である。
図7に示すように、本実施形態に係るリニアモーター式加圧ポンプ50は、シリンダ43が固定子を兼ねており、ピストンロッド45が移動子を兼ねている点で第一実施形態に係るリニアモーター式加圧ポンプ10と異なる。
【0061】
すなわち、円筒形状のシリンダ43自体がコイルとなっており、ピストンロッド45自体が磁石となっている。
したがって、この場合、シリンダ43とピストンロッド45とによりリニアモーターを構成していることとなる。
なお、固定子に相当するシリンダ43が作動液L中にあるため厳密なシールが要求される。
【0062】
本実施形態に係るリニアモーター式加圧ポンプ50によれば、十分な上方付勢力を発揮できる。
また、上記リニアモーター式加圧ポンプ50においては、可動体の面積と、シリンダの断面積との比を調節することにより、上方付勢力の大きさを自由に変えることができる。
さらに、上記リニアモーター式加圧ポンプにおいては、装置がコンパクトであるので、あらゆる装置に適用できる。
また、メンテナンスや保守点検等も容易となる。
【0063】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0064】
例えば、上述した第一実施形態に係るリニアモーター式加圧ポンプ10においては、本体容器1の形状が、円筒状となっているが、ピストンヘッド4の推進力を可動体2に伝達できるものであれば、それ以外の形状であってもよく、特に限定されない。
【0065】
上記リニアモーター式加圧ポンプ10においては、シリンダ3が、本体容器1の底面の略中央に接続されているが、側面に接続されていてもよい。
また、シリンダ3の数も限定されない。
【0066】
上記リニアモーター式加圧ポンプ10においては、シリンダ3の外側部3bに、円筒状の固定子7が接続されているが、固定子は円筒状に限定されない。
【0067】
上記ダイクッション装置20は、リニアモーター式加圧ポンプ20を4つ有しているが、数に限定は無く、1つであっても、4つ以外の複数であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、本発明に係るリニアモーター式加圧ポンプの第一実施形態を示す断面図である。
【図2】図2は、図1に示すリニアモーター式加圧ポンプのI−I線断面図である。
【図3】図3は、本実施形態に係るダイクッション装置の一例を示す断面図である。
【図4】図4は、図3に示すダイクッション装置のII−II線断面図である。
【図5】図5は、本実施形態に係るプレス装置の一例を示す断面図である。
【図6】図6は、本発明に係るリニアモーター式加圧ポンプの第二実施形態を示す断面図である。
【図7】図7は、本発明に係るリニアモーター式加圧ポンプの第三実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1・・・本体容器
2,12・・・可動体
3,43・・・シリンダ
3a・・・内側部
3b,43b・・・外側部
4・・・ピストンヘッド
5,45・・・ピストンロッド
6・・・ストッパー
7・・・固定子
8・・・移動子
9・・・ガイド
10,40,50・・・リニアモーター式加圧ポンプ
11・・・クッションパッド
13・・・ブランクホルダ
14・・・クッションピン
20・・・ダイクッション装置
21・・・プレス上型
22・・・プレス下型
24・・・スライド
26・・・ライナ
27・・・ボルスタ
28・・・ベッド
30・・・プレス装置
L・・・作動液
W・・・ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体容器と、
該本体容器の内壁に沿って移動可能な可動体と、
該本体容器の内部に連通するように接続されたシリンダと、
該シリンダに設けられた固定子と、
前記シリンダの内壁に沿って摺動するピストンヘッドと、
該ピストンヘッドに取り付けられたピストンロッドと、
該ピストンロッドに接続された移動子と、
を備え、
作動液が前記本体容器及び前記シリンダに共通して収容されると共に前記可動体及び前記ピストンヘッドにより密閉されており、
前記シリンダの断面積が前記可動体の面積より小さく、且つ
前記固定子及び前記移動子でリニアモーターを構成し、該リニアモーターを駆動させることにより、前記ピストンヘッドが前記ピストンロッドを介して前記シリンダ内をスライドし、前記シリンダに収容された前記作動液が前記本体容器に流出入して、前記可動体を移動させることを特徴とするリニアモーター式加圧ポンプ。
【請求項2】
前記可動体の面積(A)と、前記シリンダの断面積(a)との比(A/a)が、1より大きく20以下であることを特徴とする請求項1記載のリニアモーター式加圧ポンプ。
【請求項3】
前記シリンダの一部が前記本体容器の内部に挿入されていることを特徴とする請求項1記載のリニアモーター式加圧ポンプ。
【請求項4】
前記作動液が油であることを特徴とする請求項1記載のリニアモーター式加圧ポンプ。
【請求項5】
前記固定子が前記シリンダに内設され、且つ、該シリンダと、前記移動子を案内するためのガイドとによって支持固定されていることを特徴とする請求項1記載のリニアモーター式加圧ポンプ。
【請求項6】
クッションパッドと、該クッションパットの上にクッションピンを介して設けられたブランクホルダと、前記クッションパッドを上方付勢するための駆動源と、を備えるダイクッション装置において、
前記駆動源が、本体容器と、前記クッションパットの下に接続され、前記本体容器の内壁に沿って移動可能な可動体と、該本体容器の内部に連通するように接続されたシリンダと、該シリンダに設けられた固定子と、前記シリンダの内壁に沿って摺動するピストンヘッドと、該ピストンヘッドに取り付けられたピストンロッドと、該ピストンロッドに接続された移動子と、を備えるリニアモーター式加圧ポンプであり、
作動液が前記本体容器及び前記シリンダに共通して収容されると共に前記可動体及び前記ピストンヘッドにより密閉されており、
前記シリンダの断面積が前記可動体の面積より小さく、且つ
前記固定子及び前記移動子でリニアモーターを構成し、該リニアモーターを駆動させることにより、前記ピストンヘッドが前記ピストンロッドを介して前記シリンダ内をスライドし、前記シリンダに収容された前記作動液が前記本体容器に流出入して、前記可動体を移動させることを特徴とするダイクッション装置。
【請求項7】
前記固定子が前記シリンダに内設され、且つ、該シリンダと、前記移動子を案内するためのガイドとによって支持固定されていることを特徴とする請求項6記載のダイクッション装置。
【請求項8】
請求項6記載のダイクッション装置を備えることを特徴とするプレス装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−280907(P2008−280907A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−125362(P2007−125362)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(000238946)株式会社エイチアンドエフ (57)
【Fターム(参考)】