説明

レゾルバ

【課題】
コスト低減が可能なレゾルバを提供すること。
【解決手段】
ロータ2と磁極部を備えたステータ10とを備え、ロータ2の回転と共に磁極部のギャップパーミアンスが正弦波状に周期変化するようロータ2の形状が定められるレゾルバ1において、所定位置に配置される第1の磁極部11と、該第1の磁極部11に対してギャップパーミアンスの周期変化における90度の位相変化に対応する位置に配置される第2の磁極部12と、同じく180度の位相変化に対応する位置に配置される第3の磁極部13で構成される。磁極部を励磁する励磁コイル20は、第1の磁極部と第3の磁極部とに同方向で同一巻数に巻回され、第2の磁極部には第1の磁極部の励磁コイル20の巻回に対して逆方向で同一巻数に巻回される。出力コイル30は第1の磁極部と第2の磁極部と第3の磁極部とに同方向で同一巻数で巻回される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの回転軸の回転位置検出等に用いられるレゾルバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のレゾルバとして、機械角で360°/n(nは2以上の整数)の角度範囲(電気角における360°)内に4×k個(但しkは1以上の整数)の磁極部を備えており、各磁極部には、複数の磁極部をそれぞれ交互に異なる極性に励磁する励磁巻線(励磁コイル)と、各磁極部のうち一つ置きの磁極部には交互に巻線方向が異なるように巻線導体が巻回されて形成された複数の検出用巻線部が直列に接続されて構成された第1の検出用巻線と、残りの一つ置きの磁極部には交互に巻線方向が異なるように巻線導体が巻回されて形成された複数の検出用巻線部が直列に接続されて構成された第2の検出用巻線とが巻装(巻回)されたnXリラクタンスレゾルバが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、特許文献2には従来のレゾルバ(角度検出器)として、4つの磁極を用いた、上述と同様の構成について説明がされている(例えば、特許文献2の図3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−168652号公報
【特許文献2】特開平8−178611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および特許文献2では、ひとつの磁極部の検出用巻線(出力コイル)からの出力は搬送波(励磁コイルに励磁される励磁電圧)を振幅変調したものであるがその振幅はゼロになることはない。つまり出力コイルからの出力Vは以下の式となる。
【0006】
V=(K+a・sinθ)・sinωt
θは電気角換算されたロータ回転角(θ=n×機械角)、ωは励磁周波数、tは時間、Kは搬送波を振幅変調したその振幅の中央値を示す変圧比、aはロータの回転に伴うVのKからの変化量である。
【0007】
ここで電気角で180度位相がずれている1個おきの出力コイルを逆巻きに接続し、振幅のオフセット:Kをゼロにしている。すなわち、各磁極部(電気角で90度ずつ位相がずれている)を並び順にm=1,2,3・・・と番号を付け、磁極部mにおける出力をVCmであらわすと、VC1とVC3は、
C1=(K+a・cosθ)・sinωt
C3=(K+a・cos(θ+π))・(−sinωt)= −(K−a・cosθ)・sinωt
と表される。
【0008】
ここで、磁極部m=3に巻回された出力コイルは磁極部m=1の出力コイルと逆巻きであることから、磁極部m=1とm=3に巻装された2つの出力コイルを直列接続したときの2個の検出用巻線の両端からの出力V1は、以下の様にKが相殺されて、出力V1の包絡線がsinθで変化する信号とできる。
【0009】
V1=VC1+VC3=2a・sinθ・sinωt
角度信号を得るためにはさらにcosθで振幅変化する出力が必要であるため、上述のm=1、3の磁極部に巻装された出力コイルそれぞれに対して電気角が90度ずれた磁極部(m=2,4)に巻装された出力コイルが必要となる。すなわち、上記と同様にして、
C2=(K+a・cos(θ+π/2))・sinωt=(K−a・sinθ)・sinωt
C4=(K+a・cos(θ+3・π/2))・(−sinωt)=−(K+a・sinθ)・sinωt
V2=VC2+VC4=−2a・cosθ・sinωt
が得られる。従って、sinθ、cosθが得られ、θを演算することができ、ロータ回転角(機械角)を求めることができる。
【0010】
このように、機械角に対する電気角の動きが1倍の場合(1X)上記のように最低4つの磁極、励磁コイル、出力コイルが必要となる。n倍の場合(nX)は、4n個の磁極、励磁コイル、出力コイルが必要となっていた。
【0011】
本発明は、コスト低減可能なレゾルバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する第1の課題解決手段は、回転軸を中心にして回転するロータと、該ロータの周囲に配置されて複数の磁極部を有するステータとを備え、前記磁極部には前記磁極部を励磁する励磁コイルと出力コイルとが巻回され、前記ロータの回転と共に前記磁極部のギャップパーミアンスが正弦波状に周期変化するように前記ロータの形状が定められているレゾルバにおいて、複数の磁極部は、少なくとも、所定位置に配置される第1の磁極部と、該第1の磁極部に対して前記ギャップパーミアンスの周期変化における90度の位相変化に対応する位置に配置される第2の磁極部と、前記第1の磁極部に対して前記ギャップパーミアンスの周期変化における180度の位相変化に対応する位置に配置される第3の磁極部とであり、前記励磁コイルは、前記第1の磁極部と前記第3の磁極部とに同方向で巻回されると共に、前記第2の磁極部には前記第1の磁極部の励磁コイルの巻回に対して逆方向で巻回され、前記出力コイルは、前記第1の磁極部と前記第2の磁極部と前記第3の磁極部とに同方向で巻回されている点である。
【0013】
上記課題を解決する第2の課題解決手段は、前記励磁コイルは、前記第1の磁極部と前記第2の磁極部と前記第3の磁極部とに同一巻数もしくは略同一巻数で巻回され、前記出力コイルは、前記第1の磁極部と前記第2の磁極部と前記第3の磁極部とに同一巻数もしくは略同一巻数で巻回されている点である。
【0014】
上記課題を解決する第3の課題解決手段は、前記第1の磁極部に巻回された出力コイルと前記第2の磁極部に巻回された出力コイルとが直列接続されると共に、該直列接続された前記第1の磁極部に巻回された出力コイルと前記第2の磁極部に巻回された出力コイルとの両端の信号を検出するように構成される点である。
【0015】
上記課題を解決する第4の課題解決手段は、前記第2の磁極部に巻回された出力コイルと前記第3の磁極部に巻回された出力コイルとが直列接続されると共に、該直列接続された前記第2の磁極部に巻回された出力コイルと前記第3の磁極部に巻回された出力コイルとの両端の信号を検出するように構成される点である。
【0016】
上記課題を解決する第5の課題解決手段は、前記第1の磁極部に巻回される励磁コイルと前記第2の磁極部に巻回される励磁コイルと前記第3の磁極部に巻回される励磁コイルとが直列に接続されている点である。
【0017】
上記課題を解決する第6の課題解決手段は、回転軸を中心にして回転するロータと、該ロータの周囲に配置されて複数の磁極部を有するステータとを備え、前記磁極部には前記磁極部を励磁する励磁コイルと出力コイルとが巻回され、前記ロータの回転と共に前記磁極部のギャップパーミアンスが正弦波状に周期変化するように前記ロータの形状が定められているレゾルバにおいて、前記複数の磁極部は、少なくとも、所定位置に配置される第1の磁極部と、該第1の磁極部に対して前記ギャップパーミアンスの周期変化における90度の位相変化に対応する位置に配置される第2の磁極部と、前記第1の磁極部に対して前記ギャップパーミアンスの周期変化における180度の位相変化に対応する位置に配置される第3の磁極部とであり、前記励磁コイルは、前記第1の磁極部と前記第2の磁極部と前記第3の磁極部とに同方向で巻回され、前記出力コイルは、前記第1の磁極部と前記第3の磁極部とに同一巻数で巻回されると共に、前記第2の磁極部には前記第1の磁極部の励磁コイルの巻回に対して逆方向に巻回されている点である。
【0018】
上記課題を解決する第7の課題解決手段は、前記励磁コイルは、前記第1の磁極部と前記第2の磁極部と前記第3の磁極部とに同一巻数もしくは略同一巻数で巻回され、前記出力コイルは、前記第1の磁極部と前記第2の磁極部と前記第3の磁極部とに同一巻数もしくは略同一巻数で巻回されている点である。
【発明の効果】
【0019】
第1〜3、6,7の課題解決手段によれば、従来の磁極部、励磁コイル、出力コイルのうち少なくとも1つにおいて必要最低数を4個から3個に減らすことができる。また、機械角で360°/n、すなわちn倍の場合(軸倍角nX)は、4n個必要であった磁極部、励磁コイル、出力コイルのうち少なくとも1つにおいて、その数を3n個に減らすことができる。励磁コイル、出力コイルのうち少なくともいずれか一つの巻回も不要となるため、コイル巻回のためのタクトタイムも短縮できる。
【0020】
第4、第5の課題解決手段によれば、所望する信号を直接的に検出できるため、さらにコスト低減可能なレゾルバとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態におけるレゾルバを正面から見た説明図である。
【図2】励磁コイル、出力コイルの巻回を説明する説明図である。
【図3】出力コイルに発生する波形の一例である。
【図4】別実施形態におけるレゾルバを正面から見た説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
図1に本発明の実施形態のレゾルバ1の全体の構成を示す。本実施形態におけるレゾルバ1は、nXバリアブルリラクタンスレゾルバ(VR形レゾルバ)における1X(n=1)の場合である(機械角=電気角)。
【0024】
図1に示すレゾルバ1の中央には後述する磁性体でできたロータ2が回転し、その周囲には同じく磁性体からなるステータ10が配置される。ステータ10には、後述するロータ2の回転中心に向かって突出した3つの磁極部(第1の磁極部11、第2の磁極部12、第3の磁極部13)が設けられている。磁極部のロータ2側の対向面は、ロータ2の回転中心を中心とした円弧となるよう形成されている。
【0025】
詳細は後述するが、各磁極部には励磁コイル20(第1の励磁コイル21、第2の励磁コイル22、第3の励磁コイル23)と出力コイル30(第1の出力コイル31、第2の出力コイル32、第3の出力コイル33)が巻回されている。この際、励磁コイル20と出力コイル30は、例えば絶縁体ボビンを介して各磁極部に巻回される。
【0026】
ロータ2は、その回転とともに各磁極部においてギャップパーミアンスの円周方向の位置に対する変化が正弦波状に変化するよう外形寸法が設計される。本実施形態では1Xのため、ロータ2の機械角1回転につき、ギャップパーミアンスの円周方向の位置に対する変化が1周期で変化する。
【0027】
3つの磁極部(第1の磁極部11、第2の磁極部12、第3の磁極部13)は、周方向において相互に電気角で90度ずつずらした位置に設けられる。具体的には、図1のように、電気角の角度0度位置に第1の磁極部11、同90度位置に第2の磁極部12、同180度位置に第3の磁極部13が配置される。換言すると、3つの磁極部はロータ2の回転と共に生じるギャップパーミアンスの周期的な変化位相0〜180度において、0度位置から90度おきに配置されている。このような位相関係で3つの磁極部が配置されると共に、第2の磁極部12に隣り合って第1の磁極部11、第3の磁極部13が配置される。
【0028】
励磁コイル20は、各磁極部に対して同一巻数(略同一巻数でもよい)で巻回される。図1に示す第1の励磁コイル21、第2の励磁コイル22、第3の励磁コイル23は、それぞれ第1の磁極部11、第2の磁極部12、第3の磁極部13に巻回される励磁コイル20である。
【0029】
本実施形態における第1の励磁コイル21、第2の励磁コイル22、第3の励磁コイル23の巻回方向と接続、および、第1の出力コイル31、第2の出力コイル32、第3の出力コイル33の巻回方向と接続を図2に示す。
【0030】
図2に記載のように、第1の励磁コイル21と第2の励磁コイル22と第3の励磁コイル23とは直列に接続される。
【0031】
ここで、第2の励磁コイル22は、第1の励磁コイル21及び第3の励磁コイル23の巻回方向に対して逆向きに巻かれる。これは第2の磁極部12における磁気方向を、第2の磁極部12と隣り合う第1の磁極部11及び第3の磁極部13の磁気方向に対して変えるためである。
【0032】
出力コイル30は、各磁極部において同一巻数(略同一巻数でもよい)、同方向で巻回される。図1に示す第1の出力コイル31、第2の出力コイル32、第3の出力コイル33は、それぞれ第1の磁極部11、第2の磁極部12、第3の磁極部13に巻回される出力コイル30である。
【0033】
なお、励磁コイル20の巻数と出力コイル30の巻数とは、同一の場合もあるし、異なる場合もある。
【0034】
図2に記載のように、本実施形態では第1の出力コイル31と第2の出力コイル32とが直列に接続されており、また第2の出力コイル32と第3の出力コイル33とも直列に接続されている。
【0035】
ここで、第1の出力コイル31、第2の出力コイル32、第3の出力コイル33のそれぞれ両端に発生する出力電圧は、ロータ2のギャップパーミアンス変化により励磁周波数の振幅を正弦波形状に変化させたものであるが、磁気抵抗がゼロになることはないために、交流的にオフセットした信号となる。図3に各出力コイル(第1の出力コイル31、第2の出力コイル32、第3の出力コイル33)の両端に発生する出力電圧の波形の一例を示す。
【0036】
次に、ロータ2の回転角度演算について以下説明する。
【0037】
励磁コイルに励磁する励磁電圧VINは、以下の数1式で表される。ここで、Eは励磁電圧の電圧振幅値である。
【数1】

【0038】
励磁電圧VINによる第1の出力コイル31に発生する電圧VC1は、以下の数2式で表される。ここで、θは電気角換算されたロータ回転角(θ=n×機械角)、ωは励磁周波数、tは時間、Kは搬送波を振幅変調したその振幅の中央値を示す変圧比、aはロータの回転に伴うVのKからの変化量である。
【数2】

【0039】
第2の出力コイル32に発生する電圧VC2は、第2の励磁コイル22が逆巻きであることから、以下の数3式で表される。
【数3】

【0040】
第3の出力コイル33に発生する電圧VC3は、以下の数4式で表される。
【数4】

【0041】
となる。
【0042】
ここで、図2に記載されるように、第1の出力コイル31と第2の出力コイル32を直列接続したときの両端の電圧をVOUT1として出力する。すなわち、VOUT1は、数2式と数3式の和となり、以下の数5式となる。
【数5】

【0043】
同様に、第2の出力コイル32と第3の出力コイル33を直列接続したときの両端の電圧をVOUT2として出力する。すなわち、VOUT2は、数3式と数4式の和となり、以下の数6式となる。
【数6】

【0044】
OUT1とVOUT2は、位相がπ/4ずれる以外は従来のレゾルバの出力信号と同じものであり、ロータ2の回転角度(機械角)の演算が可能となる。すなわち、VOUT1とVOUT2との出力信号から従来と同様にして、(θ+π/4)が求められるので、求められた(θ+π/4)から(π/4)を減じてθを求めることが可能になる。別の観点では、θに常にπ/4が加算されているので、座標原点を(−π/4)した位置に取るようにしてもよい。
【0045】
本実施形態のように構成することで、従来と同様のロータ2の回転角度演算のための信号出力を可能にしつつ、従来の磁極部、励磁コイル、出力コイルの必要最低数である4個から3個に減らすことができる。換言すると、本実施形態では電気角で270°位置に相当する磁極部、励磁コイル、出力コイルを無くすことができる。
【0046】
なお、本発明は上記実施形態に限られず種々の変形が可能であり、以下にそれら変形例(別実施形態)を示す。
【0047】
(1)上記実施形態では機械角に対し1倍の電気角を生じさせる1Xの場合であったが、n倍の電気角を生じさせるnXの場合(電気角=n×機械角)も同様に、機械角360度をn分割したものを電気角360度と捉え、その中で電気角で0度、90度、180度の位置に3つの磁極部を構成すればよい。
【0048】
すなわち、nXの場合において、i=1,2・・n, z=1,2,3として、機械角で(z/4)(360・i/n)の角度位置に磁極部を配置すればよい。このことからも分かるように、nXの場合における本発明におけるレゾルバでは、必要な磁極部の総数は3×n個となる。
【0049】
この変形例について説明するために、例えば、機械角に対し電気角が2倍(n=2)である場合のレゾルバ1の構成を図4に示す(ロータは図示せず)。この場合、磁極部の総数は3×2=6個で、その配置は機械角で0度、45度、90度、180度、225度、270度となり、それぞれ図4における磁極部111〜116に対応する。なお、図4における励磁コイル121〜126、出力コイル131〜136は磁極部111〜116に各々巻回されるものである。ここで励磁コイル121〜126の巻回方向は次のようになる。まず、励磁コイル121と励磁コイル123の巻回方向は同方向であり、励磁コイル122の巻回方向は、励磁コイル121と励磁コイル123の巻回方向に対して逆方向となる。同様に、励磁コイル124と励磁コイル126の巻回方向は同方向であり、励磁コイル125の巻回方向は、励磁コイル124と励磁コイル126の巻回方向に対して逆方向となる。
【0050】
本変形例では、4n個必要であった磁極部、励磁コイル、出力コイルの数を3n個に減らすことができる。よって、コストの低減が可能となる。また、励磁コイル、出力コイルの巻回も不要となるため、コイル巻回のためのタクトタイムも短縮できる。
【0051】
(2)上記実施形態ではVOUT1、VOUT2の検出において、直列接続された2つの出力コイルの両端の電圧値を検出したがこれに限定されるものではなく、各出力コイルの電圧値を各々検出してから、それらの検出値を加算等の演算処理をしてもよい。この場合においては、各出力コイルは直列接続されていなくてもよい。
【0052】
(3)上記実施形態では第1の励磁コイル21、第2の励磁コイル22、第3の励磁コイル23を直列接続したが、それに限定されるものではない。例えば、第1の励磁コイル21、第2の励磁コイル22、第3の励磁コイル23を直列に接続せずに、それぞれに励磁電圧を印加できるように構成した場合において、本実施形態のように直列接続した場合に第1の励磁コイル21、第2の励磁コイル22、第3の励磁コイル23に発生する励磁電圧と同じように、第1の励磁コイル21、第2の励磁コイル22、第3の励磁コイル23に励磁電圧を発生させるように構成してもよい。
【0053】
(4)上記実施形態では電気角360度における270度位置の磁極部、励磁コイル、出力コイルを有しない構成としたが、電気角0度、90度、180度、270度位置のうちのいずれかひとつの磁極部、励磁コイル、出力コイルを有しない構成とすることも当然に可能である。
【0054】
(5)上記実施形態ではステータ10において特定位置(電気角で270°)の磁極部を形成しない構成としたがこれに限定されるものではなく、例えば、上記実施形態において、ステータ10に電気角で270度位置の磁極部は形成するが、当該磁極部への励磁コイル20または出力コイル30のいずれか一方もしくは両方の巻回をしない構成としてもよい。このように構成することで従来形状のステータを利用しつつ、電気角で270度位置の励磁コイルまたは出力コイルが不要となるため、コストの低減が可能となる。また、励磁コイル、出力コイルの巻回も不要となるため、コイル巻回のためのタクトタイムも短縮できる。
【0055】
(6)上記実施形態では、第1の出力コイル31、第2の出力コイル32、第3の出力コイル33を同方向に巻回し、第1の励磁コイル21及び第3の励磁コイル23の巻回方向を同じとし、第1の励磁コイル21及び第3の励磁コイル23の巻回方向に対して第2の励磁コイル22の巻回方向を逆向きとし、第2の磁極部における出力方向を変えている。しかしながら、これに限定されるものではなく、上記実施形態と同様の結果を得るために、第1の励磁コイル21、第2の励磁コイル22、第3の励磁コイル23を同方向に巻回し、第1の出力コイル31及び第3の出力コイル33の巻回方向を同じとし、第1の出力コイル31及び第3の出力コイル33の巻回方向に対して第2の出力コイル32の巻回方向を逆向きとしてもよい。
【0056】
なお、上述した(1)〜(6)の変形例を組み合わせて変形することもまた可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 レゾルバ
2 ロータ
10 ステータ
11 第1の磁極部
12 第2の磁極部
13 第3の磁極部
20 励磁コイル
21 第1の励磁コイル
22 第2の励磁コイル
23 第3の励磁コイル
30 出力コイル
31 第1の出力コイル
32 第2の出力コイル
33 第3の出力コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心にして回転するロータと、該ロータの周囲に配置されて複数の磁極部を有するステータとを備え、前記磁極部には前記磁極部を励磁する励磁コイルと出力コイルとが巻回され、前記ロータの回転と共に前記磁極部のギャップパーミアンスが正弦波状に周期変化するように前記ロータの形状が定められているレゾルバにおいて、
前記複数の磁極部は、少なくとも、所定位置に配置される第1の磁極部と、該第1の磁極部に対して前記ギャップパーミアンスの周期変化における90度の位相変化に対応する位置に配置される第2の磁極部と、前記第1の磁極部に対して前記ギャップパーミアンスの周期変化における180度の位相変化に対応する位置に配置される第3の磁極部とであり、
前記励磁コイルは、前記第1の磁極部と前記第3の磁極部とに同方向で巻回されると共に、前記第2の磁極部には前記第1の磁極部の励磁コイルの巻回に対して逆方向で巻回され、
前記出力コイルは、前記第1の磁極部と前記第2の磁極部と前記第3の磁極部とに同方向で巻回されているレゾルバ。
【請求項2】
前記励磁コイルは、前記第1の磁極部と前記第2の磁極部と前記第3の磁極部とに同一巻数もしくは略同一巻数で巻回され、
前記出力コイルは、前記第1の磁極部と前記第2の磁極部と前記第3の磁極部とに同一巻数もしくは略同一巻数で巻回されている請求項1に記載のレゾルバ。
【請求項3】
前記第1の磁極部に巻回された出力コイルと前記第2の磁極部に巻回された出力コイルとが直列接続されると共に、該直列接続された前記第1の磁極部に巻回された出力コイルと前記第2の磁極部に巻回された出力コイルとの両端の信号を検出するように構成される請求項1または2に記載のレゾルバ。
【請求項4】
前記第2の磁極部に巻回された出力コイルと前記第3の磁極部に巻回された出力コイルとが直列接続されると共に、該直列接続された前記第2の磁極部に巻回された出力コイルと前記第3の磁極部に巻回された出力コイルとの両端の信号を検出するように構成される請求項3に記載のレゾルバ。
【請求項5】
前記第1の磁極部に巻回される励磁コイルと前記第2の磁極部に巻回される励磁コイルと前記第3の磁極部に巻回される励磁コイルとが直列に接続されている請求項1乃至4いずれか1項に記載のレゾルバ。
【請求項6】
回転軸を中心にして回転するロータと、該ロータの周囲に配置されて複数の磁極部を有するステータとを備え、前記磁極部には前記磁極部を励磁する励磁コイルと出力コイルとが巻回され、前記ロータの回転と共に前記磁極部のギャップパーミアンスが正弦波状に周期変化するように前記ロータの形状が定められているレゾルバにおいて、
前記複数の磁極部は、少なくとも、所定位置に配置される第1の磁極部と、該第1の磁極部に対して前記ギャップパーミアンスの周期変化における90度の位相変化に対応する位置に配置される第2の磁極部と、前記第1の磁極部に対して前記ギャップパーミアンスの周期変化における180度の位相変化に対応する位置に配置される第3の磁極部とであり、
前記励磁コイルは、前記第1の磁極部と前記第2の磁極部と前記第3の磁極部とに同方向で巻回され、
前記出力コイルは、前記第1の磁極部と前記第3の磁極部とに同一巻数で巻回されると共に、前記第2の磁極部には前記第1の磁極部の励磁コイルの巻回に対して逆方向に巻回されているレゾルバ。
【請求項7】
前記励磁コイルは、前記第1の磁極部と前記第2の磁極部と前記第3の磁極部とに同一巻数もしくは略同一巻数で巻回され、
前記出力コイルは、前記第1の磁極部と前記第2の磁極部と前記第3の磁極部とに同一巻数もしくは略同一巻数で巻回されている請求項6に記載のレゾルバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−5327(P2012−5327A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140822(P2010−140822)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】