説明

レンズ交換補助装置

【課題】レンズ鏡筒を安全かつ迅速に交換することができるとともに、レンズ鏡筒の内部の塵埃を除去することができるレンズ交換補助装置を提供すること。
【解決手段】レンズ交換補助装置10は、レンズ交換式カメラ1に装着されるレンズ交換補助装置10であって、カメラ1を着脱可能なカメラ取付部30と、装置内部21に通じる開口部60a,60bと、開口部60a,60bに設けられ、レンズ鏡筒2a,2bを着脱可能なマウント部50a,50bと、塵埃除去機構部70と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ交換式カメラに用いられるレンズ交換補助装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラボディと、カメラボディに対して着脱可能なレンズ鏡筒と、を備えるレンズ交換式カメラが知られている。
このようなレンズ交換式カメラにおいて、レンズ鏡筒を交換する際に、レンズ鏡筒の交換作業に手間取ることや、レンズ鏡筒を誤って落下させてしまうことがある。そのため、レンズ交換式カメラにおいて、レンズ鏡筒を安全かつ迅速に交換することが望まれる。
また、レンズを交換する際に、レンズ鏡筒の内部やカメラボディの内部に、塵埃が入り込むことがある。
【0003】
カメラボディの内部に塵埃が入り込むことに対し、カメラボディの内部に入り込んだ塵埃を吸引することができるカメラ用清掃装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−181375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のカメラ用清掃装置においては、レンズ鏡筒の内部に入り込んだ塵埃がレンズに付着してしまう可能性がある。また、特許文献1に記載のカメラ用清掃装置においては、レンズ鏡筒を安全かつ迅速に交換することについては考慮されていない。
【0006】
本発明は、レンズ鏡筒を安全かつ迅速に交換することができるとともに、レンズ鏡筒の内部の塵埃を除去することができるレンズ交換補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0008】
請求項1に記載の発明は、レンズ交換式カメラ(1)に装着されるレンズ交換補助装置(10)であって、カメラ(1)を着脱可能なカメラ取付部(30)と、装置内部(21)に通じる開口部(60a,60b)と、前記開口部(60a,60b)に設けられ、レンズ鏡筒(2)を着脱可能なマウント部(50a,50b)と、塵埃除去機構部(70)と、を備えること、を特徴とするレンズ交換補助装置(10)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のレンズ交換補助装置(10)であって、前記マウント部(50a,50b)を少なくとも2つ備えること、を特徴とするレンズ交換補助装置(10)である。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のレンズ交換補助装置(10)であって、前記カメラ取付部(30)は、カメラ(1)の三脚取付穴(1a)に取り付け可能であること、を特徴とするレンズ交換補助装置(10)である。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のレンズ交換補助装置(10)であって、前記塵埃除去機構部(70)は、排気口(73)と、前記開口部(60)から前記排気口(73)に空気を送風する送風部(71)と、前記排気口(73)側から前記開口部(60a,60b)側への塵埃の移動を防止する逆流防止弁(72)と、を有すること、を特徴とするレンズ交換補助装置(10)である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレンズ交換補助装置(10)であって、前記塵埃除去機構部(70)は、前記マウント部(50a,50b)と同じ数設けられ、当該マウント部(50a,50b)毎に設けられていること、を特徴とするレンズ交換補助装置(10)である。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のレンズ交換補助装置(10)であって、前記塵埃除去機構部(70)を動作させるための電力は、前記カメラ取付部(30)に取り付けられたカメラ(1)から供給されること、を特徴とするレンズ交換補助装置(10)である。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のレンズ交換補助装置(10)であって、レンズ鏡筒(2a,2b)が前記マウント部(50a,50b)に装着されたことを検知可能な検知部(55a,55b)と、前記検知部(55a,55b)によりレンズ鏡筒(2a,2b)が前記マウント部(55a,55b)に装着されたことが検知された場合に、前記塵埃除去機構部(70)を動作させるように制御する制御部(80)と、を備えることを特徴とするレンズ交換補助装置(10)である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レンズ鏡筒を安全かつ迅速に交換することができるとともに、レンズ鏡筒の内部の塵埃を除去することができるレンズ交換補助装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態のレンズ交換補助装置を示す側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態のレンズ交換補助装置を示す正面図である。
【図3】レンズ交換を行なう手順を説明する図であって、交換用のレンズ鏡筒をレンズ交換補助装置に装着する様子を示す図である。
【図4】レンズ交換を行なう手順を説明する図であって、交換用のレンズ鏡筒をレンズ交換補助装置に装着した状態で、カメラをレンズ交換補助装置に装着する様子を示す図である。
【図5】レンズ交換補助装置に装着したレンズ鏡筒の内部の塵埃を、塵埃除去機構部により除去する様子を説明する図である。
【図6】レンズ交換を行なう手順を説明する図であって、カメラボディ及び交換用のレンズ鏡筒をレンズ交換補助装置に装着した状態で、カメラから取り外したレンズ鏡筒をレンズ交換補助装置に装着する様子を示す図である。
【図7】レンズ交換を行なう手順を説明する図であって、カメラボディ、交換用のレンズ鏡筒及びカメラから取り外したレンズ鏡筒を、レンズ交換補助装置に装着した状態を示す図である。
【図8】レンズ交換を行なう手順を説明する図であって、交換用のレンズ鏡筒をカメラボディに装着する様子を示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態のレンズ交換補助装置を示す正面図である。
【図10】本発明の第3実施形態のレンズ交換補助装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。なお、以下に示す図には、説明と理解を容易にするために、XYZ直交座標系を設けた。この座標系では、カメラ1をレンズ交換補助装置10に装着した状態(図6参照)で、撮影者が光軸を水平として横長の画像を撮影する場合のカメラ1の位置(以下、正位置という)において撮影者から見て左側に向かう方向をXプラス方向とする。また、正位置において上側に向かう方向をYプラス方向とする。さらに、正位置において被写体に向かう方向をZプラス方向とする。
図1は、本発明の第1実施形態のレンズ交換補助装置10を示す側面図である。図2は、本発明の第1実施形態のレンズ交換補助装置10を示す正面図である。
【0012】
第1実施形態のレンズ交換補助装置10は、レンズ交換式のカメラ1(図4参照)に装着されるように構成される。
レンズ交換補助装置10は、図1及び図2に示すように、筐体20と、カメラ取付部30と、カメラ取付機構部40と、2つの補助装置側マウント部50a,50bと、2つのキャップ部材58a,58bと、塵埃除去機構部70と、電源部80と、制御部90とを備える。
【0013】
筐体20は、例えば、金属材料や合成樹脂材料の板材によって、外形が略直方体の箱形に形成されている。筐体20の内部は、板材により区分けされている。筐体20の内部における底面部側には、例えば、1つの塵埃除去空間21が形成されている。
【0014】
レンズ交換補助装置10の底面部には、図2に示すように、下面視で円形の開口部60a,60bが2つ形成されている。2つの開口部60a,60bは、筐体20の底面部において、レンズ交換補助装置10の内部の塵埃除去空間21に通じている。つまり、2つの開口部60a,60bは、塵埃除去空間21を介してつながっている。
【0015】
カメラ取付部30は、カメラ1を着脱可能に構成される。カメラ取付部30は、上方に向けて延びるねじにより構成され、筐体20の上面部から突出するように形成される。カメラ取付部30は、筐体20の上板を貫通して配置される。カメラ取付部30は、垂直方向に延びる軸を中心に回転可能に構成される。
【0016】
カメラ取付部30は、カメラ1の三脚取付穴1a(図4参照)に取り付け可能である。具体的には、カメラ取付部30の上端側の外周面には、雄ねじが形成されている。カメラ取付部30の雄ねじがカメラ1の三脚取付穴1aの内周面に形成された雌ねじに螺合することで、カメラ1は、レンズ交換補助装置10に取り付けられる。
カメラ取付部30の下端は、筐体20の内部において、カメラ取付機構部40に連結される。
【0017】
カメラ取付機構部40は、図1に示すように、筐体20の内部において、筐体20の上板と塵埃除去空間21との間に設けられる。カメラ取付機構部40は、ダイヤル部41と、第1ギア42と、第2ギア43と、を備える。
【0018】
ダイヤル部41は、円板状に形成され、中央部を中心に回転可能に構成されている。ダイヤル部41の外周面は、凹凸状に形成されている。ダイヤル部41は、筐体20の内部において、上方側に配置される。ダイヤル部41のほとんどの部分は、筐体20の内部に配置される。ダイヤル部41の外周面の一部は、筐体20の側面部から外部に突出して配置される。
【0019】
第1ギア42及び第2ギア43は、円板状に形成される。第1ギア42及び第2ギア43の外側面には、ギアが形成される。
第1ギア42は、ダイヤル部41の上方側に配置される。第1ギア42の中央部とダイヤル部41の中央部とは、連結軸411により連結されている。第1ギア42は、ダイヤル部41を回転することで、ダイヤル部41と一体的に回転する。
【0020】
第2ギア43は、第1ギア42と略同一平面上に配置される。第2ギア43は、第1ギア42に隣り合っており、第1ギア42のギアに噛み合っている。第2ギア43は、カメラ取付部30の下方に配置される。第2ギア43の中央部は、カメラ取付部30の下端に連結される。第2ギア43が回転することで、カメラ取付部30は回転する。
【0021】
このように構成されるカメラ取付機構部40は、ダイヤル部41を回転することで、第1ギア42及び第2ギア43を介して、カメラ取付部30を回転させることができる。そして、カメラ取付部30を回転させることで、カメラ取付部30の雄ねじを、カメラ1の三脚取付穴1a(図4参照)の雌ねじに螺合させることができる。
【0022】
2つの補助装置側マウント部50a,50bは、図1及び図2に示すように、2つの開口部60a,60bにそれぞれ設けられる。
補助装置側マウント部50a,50bは、レンズ交換補助装置10とレンズ鏡筒2a,2bとを締結するマウント機構の一部を形成するものである。補助装置側マウント部50a,50bは、カメラ1のカメラ側マウント部1b(図5参照)と同一の構成である。
補助装置側マウント部50a,50bは、レンズ鏡筒2a,2bを着脱可能に構成される。
【0023】
本実施形態においては、補助装置側マウント部50a,50bは、マウント環51a,51b、補助装置側爪部52a,52b、検知スイッチ55a,55b等を備えたバヨネット式のマウントである。
マウント環51a,51bは、開口部60a,60bの周縁部に沿って配置された円環状の部材である。マウント環51a,51bは、例えば、金属材料によって形成されている。
【0024】
補助装置側爪部52a,52bは、マウント環51a,51bの内周面から突出して形成されており、周方向に沿って略等しい間隔で、例えば、3つ設けられている。補助装置側爪部52a,52bは、レンズ鏡筒2a,2bの鏡筒側マウント部3a,3b(図5参照)に機械的に係合することで、レンズ鏡筒2a,2bをレンズ交換補助装置10に保持させるものである。
【0025】
2つのキャップ部材58a,58bそれぞれは、2つのマウント環51a,51bに着脱可能に取り付けられている。キャップ部材58a,58bは、マウント環51a,51bに取り付けられることで、開口部60a,60bを筐体20の外側から塞ぐように構成されている。
【0026】
検知スイッチ55a,55bは、補助装置側マウント部50a,50bにレンズ鏡筒2a,2bが装着されたことを検知可能である。検知スイッチ55a,55bは、ピン状に形成され、マウント環51a,51bから筐体20の外部側に向けて突出して設けられている。
【0027】
検知スイッチ55a,55bは、マウント環51a,51bから筐体20の外部側に突出した突出位置と、マウント環51a,51bに収容された収容位置との間を移動可能に構成される。検知スイッチ55a,55bは、不図示のバネによって突出位置に付勢されている。検知スイッチ55a,55bは、レンズ鏡筒2a,2bがレンズ交換補助装置10に装着された場合に、レンズ鏡筒2a,2bの鏡筒側マウント部3a,3bにより押圧されて、収容位置に移動される。
【0028】
検知スイッチ55a,55bが収容位置に位置した場合に、不図示の検知回路が短絡されて、検知スイッチ55a,55bからの検知信号は、制御部90に出力される。検知スイッチ55a,55bが突出位置に位置した場合には、不図示の検知回路が開放状態であり、検知信号は、検知スイッチ55a,55bから出力されない。
【0029】
塵埃除去機構部70は、図1及び図2に示すように、筐体20の塵埃除去空間21に設けられる。塵埃除去機構部70は、筐体20の塵埃除去空間21において、一方の補助装置側マウント部50aと他方の補助装置側マウント部50bとの間に、例えば、1つ設けられる。
【0030】
塵埃除去機構部70は、送風部71と、逆流防止弁72と、排気口73と、フィルター74と、塵埃蓄積部75と、を有する。
排気口73は、筐体20の一方の側面板に形成される。排気口73は、複数のスリットを有して構成され、筐体20の内部と外部とを連通する。
【0031】
送風部71は、開口部60a,60bと排気口73との間に配置される。送風部71は、ファン711と、モータ712とを有する。ファン711は、モータ712の駆動により回転する。送風部71は、ファン711が回転することで、筐体の内部21の空気を、開口部60a,60bから排気口73に向かう方向に送風する。
【0032】
フィルター74は、送風部71に対して排気口73とは反対側に配置される。フィルター74には、送風部71により送風された空気が通過する。これにより、フィルター74には、送風部71により送風された空気により移動される塵埃が付着する。フィルター74に付着した塵埃は、一部がフィルター74から脱離されて下方に落下する。
【0033】
塵埃蓄積部75は、フィルター74から落下した塵埃を蓄積する。塵埃蓄積部75は、フィルター74に対して送風部71とは反対側において、フィルター74の下方に配置される。塵埃蓄積部75は、有底で上部側が開放された箱状に形成され、筐体20の側面部から引き出し可能に構成される。
【0034】
逆流防止弁72は、開口部60a,60bとフィルター74との間に配置される。逆流防止弁72は、排気口73側から開口部60a,60b側への塵埃の移動を防止する。
【0035】
電源部80は、図2に示すように、筐体20の内部に収容される。電源部80は、モータ712に電力を供給可能である。電源部80は、例えば、電池により構成される。
【0036】
制御部90は、モータ712に電力を供給するように電源部80を制御して、塵埃除去機構部70を動作させる。制御部90は、例えば、モータ712に一定時間だけ電力を供給するように電源部80を制御する。
制御部90は、検知スイッチ55a,55bによってレンズ鏡筒2a,2bが補助装置側マウント部50a,50bに装着されたことが検知された場合に、塵埃除去機構部70を動作させるように制御する。本実施形態においては、制御部90は、例えば、2つのレンズ鏡筒2a,2bの一方が装着されたことが検知スイッチ55a,55bによって検知された場合に、塵埃除去機構部70を動作させるように制御する。
【0037】
これにより、塵埃除去機構部70は、レンズ交換補助装置10にレンズ鏡筒2a,2bが取り付けられた状態において、レンズ鏡筒2a,2bの内部に入り込んだ塵埃を、筐体20の内部側に移動させることができる。塵埃除去機構部70は、レンズ鏡筒2a,2bの内部に入り込んだ塵埃を、開口部60a,60bを介して、レンズ鏡筒2a,2bの外部である筐体20の内部側に移動させる。
【0038】
次に、本実施形態のレンズ交換補助装置10を用いて、カメラ1のレンズ鏡筒2aを交換する手順について説明する。図3は、レンズ交換を行なう手順を説明する図であって、交換用のレンズ鏡筒2bをレンズ交換補助装置10に装着する様子を示す図である。図4は、レンズ交換を行なう手順を説明する図であって、交換用のレンズ鏡筒2bをレンズ交換補助装置10に装着した状態で、カメラ1をレンズ交換補助装置10に装着する様子を示す図である。図5は、レンズ交換補助装置10に装着したレンズ鏡筒2bの内部の塵埃を、塵埃除去機構部70により除去する様子を説明する図である。図6は、レンズ交換を行なう手順を説明する図であって、カメラボディ4及び交換用のレンズ鏡筒2bをレンズ交換補助装置10に装着した状態で、カメラ1から取り外したレンズ鏡筒2aをレンズ交換補助装置10に装着する様子を示す図である。図7は、レンズ交換を行なう手順を説明する図であって、カメラボディ4、交換用のレンズ鏡筒2b及びカメラ1から取り外したレンズ鏡筒2aを、レンズ交換補助装置10に装着した状態を示す図である。図8は、レンズ交換を行なう手順を説明する図であって、交換用のレンズ鏡筒2bをカメラボディ4に装着する様子を示す図である。
【0039】
本実施形態においては、レンズ交換式カメラ1には、ストラップ5が連結されている(図4参照)。使用者は、例えば、ストラップ5を首等に掛けてカメラ1を首等から吊るした状態で、本発明に係るレンズ交換補助装置10を使用する。
【0040】
まず、図3に示すように、使用者は、交換用のレンズ鏡筒2bを、レンズ交換補助装置10の他方のマウント部50bにあらかじめ装着する。具体的には、使用者は、キャップ部材58bを他方の補助装置側マウント部50bから外して、交換用のレンズ鏡筒2bの鏡筒側マウント部3bを、図4に示すように、他方の補助装置側マウント部50bに取り付ける。
【0041】
本実施形態においては、2つのレンズ鏡筒2a,2bの一方がレンズ交換補助装置10に装着されたことが検知スイッチ55a,55bによって検知された場合に、制御部90は、塵埃除去機構部70を動作させるように制御する。また、制御部90は、一定時間経過後に、モータ712への電力を停止させるように電源部80を制御する。
【0042】
そこで、塵埃除去機構部70の送風部71は、図5に示すように、交換用のレンズ鏡筒2bがレンズ交換補助装置10に装着された場合に、開口部60bから排気口73に向かう方向に、空気を送風する。これにより、レンズ鏡筒2bの内部に入り込んだ塵埃を筐体20の内部側に移動させるように、空気は流動する。
【0043】
このようにして、塵埃除去機構部70は、交換用のレンズ鏡筒2bの内部に入り込んだ塵埃を、筐体20の内部側に移動させることができる。塵埃除去機構部70により移動された塵埃は、フィルター74に付着する。フィルター74に付着した塵埃は、一部がフィルター74から脱離されて、塵埃蓄積部75に蓄積される。塵埃蓄積部75に蓄積された塵埃は、塵埃蓄積部75が筐体20の側面部から引き出されることで、筐体20の外部へ取り出される。
【0044】
本実施形態においては、制御部90は、モータ712に一定時間だけ電力を供給するように電源部80を制御している。そのため、一定時間経過後に、送風部71による空気の送風は停止する。
ここで、開口部60bとフィルター74との間には、逆流防止弁72が設けられている。そのため、排気口73側から開口部60b側への塵埃の移動は、防止される。このように、逆流防止弁72により、レンズ鏡筒2bの内部側には、塵埃が移動しないようになっている。
【0045】
次に、使用者は、例えば、ストラップ5を首等に掛けてカメラ1を首等から吊るした状態で、図4に示すように、レンズ交換補助装置10にカメラ1を装着する。具体的には、使用者は、カメラ1の三脚取付穴1aに、レンズ交換補助装置10のカメラ取付部30を挿入する。その後、使用者は、ダイヤル部41を、カメラ取付部30がカメラ1を装着する方向に回転する。そして、使用者は、第1ギア42及び第2ギア43を介してカメラ取付部30を回転させる。これにより、カメラ取付部30の雄ねじは、カメラ1の三脚取付穴1aの雌ねじに螺合する。
【0046】
続けて、使用者は、図6に示すように、レンズ交換補助装置10に装着されたカメラ1からレンズ鏡筒2aを取り外す。そして、使用者は、キャップ部材58aを一方の補助装置側マウント部50aから外して、取り外したレンズ鏡筒2aを一方の補助装置側マウント部50aに装着する。具体的には、使用者は、取り外したレンズ鏡筒2aの鏡筒側マウント部3aを一方の補助装置側マウント部50aに取り付ける。
【0047】
レンズ交換補助装置10には、図7に示すように、交換用のレンズ鏡筒2bと、カメラ1から取り外したレンズ鏡筒2aと、カメラボディ4と、が装着された状態となる。
ここで、制御部90は、塵埃除去機構部70を動作させるように制御する。また、制御部90は、一定時間経過後に、モータ712への電力を停止させるように電源部80を制御する。
なお、カメラ1から取り外したレンズ鏡筒2aを補助装置側マウント部50aに装着した場合の塵埃除去機構部70の動作については、交換用のレンズ鏡筒2bを補助装置側マウント部50bに装着した場合の塵埃除去機構部70の動作と同様であるため、前述の説明を援用して、その説明を省略する。
【0048】
これにより、塵埃除去機構部70は、カメラ1から取り外したレンズ鏡筒2aの内部に入り込んだ塵埃を、筐体20の内部側に移動させることができる。
【0049】
続けて、使用者は、図8に示すように、交換用のレンズ鏡筒2bを、レンズ交換補助装置10から脱離させる。そして、使用者は、レンズ交換補助装置10から脱離させた交換用のレンズ鏡筒2bを、カメラボディ4に装着する。
【0050】
以上、第1実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)レンズ交換補助装置10は、カメラ1を着脱可能なカメラ取付部30と、レンズ鏡筒2a,2bを着脱可能な補助装置側マウント部50a,50bと、塵埃除去機構部70と、を備える。そのため、レンズ交換補助装置10にカメラ1を装着した状態で、レンズ交換補助装置10に対してレンズ鏡筒2aを着脱させることができる。これにより、レンズ交換を安全かつ迅速に行うことができる。
また、使用者は、首から吊り下げたカメラ1にレンズ交換補助装置10を装着した状態で、レンズ交換を行なうことができる。そのため、使用者は、カメラ1及びレンズ交換補助装置10を首から吊り下げた状態で、レンズ鏡筒2a,2bをレンズ交換補助装置10に保持させることができる。これにより、使用者は、レンズ鏡筒2a,2bをレンズ交換補助装置10に装着したときにはレンズ鏡筒2a,2bも首から吊り下げた状態となり、両手を使いやすい状態となるため、レンズ交換を安全かつ迅速に行なうことができる。
また、作業者は、レンズ交換をする際に交換用のレンズ鏡筒2bをレンズ交換補助装置10にあらかじめ装着しておくことで、レンズ鏡筒2bをカバン等から出したりする手間がなくなる。これにより、レンズ交換の作業を迅速に開始することができる。
また、カメラ1から取り外したレンズ鏡筒2aを、レンズ鏡筒2aの内部に通じる開口にキャップ等の蓋をすることなしに、レンズ鏡筒2aの内部に塵埃が入り込むことが抑制された状態で、レンズ交換補助装置10に保持させることができる。これにより、レンズ交換の作業を迅速に終了させることができる。
更に、カメラ1のレンズを交換する際に、塵埃除去機構部70によりレンズ鏡筒2aの内部の塵埃を除去することもできる。
【0051】
(2)レンズ交換補助装置10は、補助装置側マウント部50a,50bを少なくとも2つ備える。そのため、カメラ1から取り外したレンズ鏡筒2aと交換用のレンズ鏡筒2bとの両方を、本発明のレンズ交換補助装置10に装着することができる。これにより、カメラ1から取り外したレンズ鏡筒2a及び交換用のレンズ鏡筒2bのうちのいずれか一方が保持されていない状態を回避することができる。従って、レンズ鏡筒2a,2bを安全かつ迅速に交換することができる。
【0052】
(3)カメラ取付部30は、カメラ1の三脚取付穴1aに取り付け可能である。そのため、三脚取付穴1aを有するカメラ1であれば、カメラ取付部30には、カメラ1を取り付けることができる。従って、一般的なカメラに備えられる三脚取付穴1aを利用して、様々な種類のカメラ1をカメラ取付部30に装着することができる。
【0053】
(4)塵埃除去機構部70は、排気口73と、開口部60a,60bから排気口73に空気を送風する送風部71と、排気口73側から開口部60a,60b側への塵埃の移動を防止する逆流防止弁72と、を有する。そのため、送風部71は、レンズ鏡筒2a,2bを補助装置側マウント部50a,50bに装着した状態で、開口部60a,60bから排気口73に向かう方向に空気を送風することができる。これにより、レンズ鏡筒2a,2bの内部に入り込んだ塵埃を、筐体20の内部側に移動させて除去することができる。
【0054】
(5)レンズ交換補助装置10は、検知スイッチ55a,55bと、検知スイッチ55a,55bによりレンズ鏡筒2a,2bが補助装置側マウント部50a,50bに装着されたことが検知された場合に、塵埃除去機構部70を動作させるように制御する制御部90と、を備える。そのため、レンズ鏡筒2a,2bが補助装置側マウント部50a,50bに装着されたときのみに、レンズ鏡筒2a,2bの内部に入り込んだ塵埃を除去することができる。これにより、消費電力を抑制することができるとともに、レンズ鏡筒2a,2bの内部の塵埃を効率よく除去することができる。
【0055】
(第2実施形態)
次に、本発明のレンズ交換補助装置10の他の実施形態としての第2実施形態及び第3実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、第2実施形態及び第3実施形態の説明にあたって、第1実施形態と同一の構成要件については同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0056】
第2実施形態のレンズ交換補助装置10について説明する。図9は、本発明の第2実施形態のレンズ交換補助装置10を示す正面図である。
第2実施形態のレンズ交換補助装置10は、塵埃除去機構部70a,70bを2つ設けている点において、第1実施形態のレンズ交換補助装置10とは主に異なる。
【0057】
第2実施形態のレンズ交換補助装置10は、図9に示すように、2つの塵埃除去空間21a,21bと、2つの補助装置側マウント部50a,50bと、2つの塵埃除去機構部70a,70bと、を備える。
【0058】
2つの塵埃除去空間21a,21bそれぞれは、前述の第1実施形態の塵埃除去空間21が板材で仕切られることにより形成されている。
2つの補助装置側マウント部50a,50bそれぞれは、2つの塵埃除去空間21a,21bの下方に形成される2つの開口部60a,60bに設けられている。
【0059】
2つの塵埃除去機構部70a,70bそれぞれは、2つの補助装置側マウント部50a,50bに対応する2つの塵埃除去空間21a,21bに設けられる。言い換えると、塵埃除去機構部70a,70bは、2つの補助装置側マウント部50a,50bと同じ数だけ設けられ、補助装置側マウント部50a,50b毎に設けられている。つまり、2つの塵埃除去機構部70a,70bそれぞれは、2つのレンズ鏡筒2a,2bが2つの補助装置側マウント部50a,50bに装着された場合に、レンズ鏡筒2a,2b毎に設けられることとなる。
【0060】
以上、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する他、以下の効果を有する。
(1)2つの塵埃除去機構部70a,70bは、2つの補助装置側マウント部50a,50bと同じ数設けられ、補助装置側マウント部50a,50b毎に設けられている。そのため、2つの塵埃除去機構部70a,70bそれぞれは、補助装置側マウント部50a,50bに装着されたレンズ鏡筒2a,2b毎に設けられる。これにより、塵埃除去機構部70a,70bそれぞれは、レンズ鏡筒2a,2bの内部に入り込んだ塵埃を、補助装置側マウント部50a,50bに装着されたレンズ鏡筒2a,2b毎に、効率よく、除去することができる。
【0061】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態のレンズ交換補助装置10について説明する。図10は、本発明の第3実施形態のレンズ交換補助装置10を示す正面図である。
第3実施形態のレンズ交換補助装置10は、塵埃除去機構部70を動作させるための電力が、カメラ取付部30に取り付けられたカメラ1から供給される点において、第1実施形態のレンズ交換補助装置10とは主に異なる。
【0062】
第3実施形態のレンズ交換補助装置10においては、塵埃除去機構部70を動作させるための電力は、カメラ取付部30に取り付けられたカメラ1から供給されるように構成されている。
図10に示すように、カメラ1は、バッテリーパック6と、カメラ側端子部7とを備える。バッテリーパック6は、カメラ1の内部に収容されている。バッテリーパック6の電力は、カメラ側端子部7を介して、カメラ1の外部に取り出すことが可能である。
【0063】
レンズ交換補助装置10は、補助装置側端子部95と、電源回路部96と、を備える。レンズ交換補助装置10は、補助装置側端子部95を介して、カメラ1のバッテリーパック6からの電力が供給されることが可能である。
【0064】
補助装置側端子部95は、カメラ1がレンズ交換補助装置10に装着された状態において、カメラ側端子部7と接触する。これにより、補助装置側端子部95は、カメラ側端子部7に電気的に接続される。
電源回路部96には、カメラ側端子部7と補助装置側端子部95とが電気的に接続された状態において、カメラ1のバッテリーパック6からの電力が入力される。
制御部90は、検知スイッチ55a,55bにより検知信号が入力された場合に、カメラ1のバッテリーパック6からモータ712に電力を供給するように電源回路部96を制御する。
【0065】
以上、第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する他、以下の効果を有する。
(1)塵埃除去機構部70を動作させるための電力は、カメラ取付部30に取り付けられたカメラ1から供給される。そのため、レンズ交換補助装置10は、電源部を備える必要がない。これにより、電源部を配置するスペースを削減して、レンズ交換補助装置10をコンパクトに形成することができる。
【0066】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
【0067】
(1)前述の実施形態においては、補助装置側マウント部50a,50bを2つで構成したが、これに制限されない。補助装置側マウント部を、1つで構成してもよいし、3つ以上で構成してもよい。
(2)また、前述の実施形態においては、開口部60a,60b及び補助装置側マウント部50a,50bを筐体20の底面部側に設けたが、これに制限されない。例えば、開口部60a,60b及び補助装置側マウント部50a,50bを筐体20の側面部側に配置するように設けてもよい。
(3)また、前述の実施形態においては、カメラ取付部30をカメラ1の三脚取付穴1aに取り付け可能であるように構成したが、これに制限されない。カメラ取付部30は、例えば、カメラ1に装着された外付けの外部補助バッテリーの部分に取り付け可能であるように構成してもよい。
【0068】
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0069】
1:カメラ、1a:三脚取付穴、2a,2b:レンズ鏡筒、10:レンズ交換補助装置、21:塵埃除去空間、30:カメラ取付部、50a,50b:補助装置側マウント部、55a,55b:検知スイッチ、60a,60b:開口部、70:塵埃除去機構部、71:送風部、72:逆流防止弁、73:排気口、90:制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ交換式カメラに装着されるレンズ交換補助装置であって、
カメラを着脱可能なカメラ取付部と、
装置内部に通じる開口部と、
前記開口部に設けられ、レンズ鏡筒を着脱可能なマウント部と、
塵埃除去機構部と、
を備えること、
を特徴とするレンズ交換補助装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレンズ交換補助装置であって、
前記マウント部を少なくとも2つ備えること、
を特徴とするレンズ交換補助装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のレンズ交換補助装置であって、
前記カメラ取付部は、カメラの三脚取付穴に取り付け可能であること、
を特徴とするレンズ交換補助装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のレンズ交換補助装置であって、
前記塵埃除去機構部は、排気口と、前記開口部から前記排気口に空気を送風する送風部と、前記排気口側から前記開口部側への塵埃の移動を防止する逆流防止弁と、を有すること、
を特徴とするレンズ交換補助装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のレンズ交換補助装置であって、
前記塵埃除去機構部は、前記マウント部と同じ数設けられ、当該マウント部毎に設けられていること、
を特徴とするレンズ交換補助装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のレンズ交換補助装置であって、
前記塵埃除去機構部を動作させるための電力は、前記カメラ取付部に取り付けられたカメラから供給されること、
を特徴とするレンズ交換補助装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のレンズ交換補助装置であって、
レンズ鏡筒が前記マウント部に装着されたことを検知可能な検知部と、
前記検知部によりレンズ鏡筒が前記マウント部に装着されたことが検知された場合に、前記塵埃除去機構部を動作させるように制御する制御部と、
を備えることを特徴とするレンズ交換補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−247579(P2012−247579A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118500(P2011−118500)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】