説明

レンズ駆動装置、オートフォーカスカメラ及びカメラ付きモバイル端末装置

【課題】簡易な構成で、レンズ支持体を光軸方向への移動及び手振れ補正の移動ができるレンズ駆動装置、オートフォーカスカメラ及びカメラ付きモバイル端末装置の提供を提供する。
【解決手段】レンズ支持体5の外周に巻回した第1コイル19は、光軸方向一方側から見た平面視が四角形状を成しており、第2コイル16a〜16dはレンズ支持体の外周で周方向に90度の間隔をあけて配置し且つ第1コイル19が成す四角形の辺に配置してあると共にレンズ支持体5の径方向外側から見て環状を成しており、第1マグネット17は四角形を成す第1コイル19の各辺に対向して設けてあり且つ内周面を同じ磁極としてあると共に第2コイル16a〜16dが設けてある位置では第2コイル16a〜16dに対向してあり、レンズ支持体を光軸方向へ移動するときには第1コイル19に電流を流し、X―Y方向に移動するときには所定の第2コイル16a〜16dに所定の電流を流す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ駆動装置、オートフォーカスカメラ及びカメラ付きモバイル端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光ピックアップ用アクチュエータにおいて、レンズ支持体の外周面に周方向に90度の間隔をあけて外周側から見て環状を成すコイルを設け、レンズ支持体の径方向外側に各コイルに対向するマグネットを配置して、コイルに通電することにより、レンズ支持体を光軸方向(フォーカス方向)及びトラック方向(X方向)に移動させることが開示されている。
一方、小型カメラにおいては、レンズ支持体を光軸方向に移動させるのみであって、手振れ補正のためにX―Y方向に移動させる場合には、レンズ駆動装置全体を、X方向に駆動するモータ、Y方向に駆動するモータで移動させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−373435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
即ち、小型カメラ用のレンズ駆動装置においては、レンズ支持体の光軸方向(Z方向)への移動及びX―Y方向(手振れ補正)への移動を、レンズ支持体のみを移動させておこなうものは従来なかった。
また、レンズ支持体の光軸方向への移動は、特許文献1の技術を用いることができたとしても、特許文献1の技術ではX方向のみの移動が可能なだけで、手振れ補正(X―Y方向(光軸に直交する面)への移動)ができない。
【0005】
そこで、本発明は、簡易な構成で、レンズ支持体を光軸方向への移動及び手振れ補正の移動ができるレンズ駆動装置、オートフォーカスカメラ及びカメラ付きモバイル端末装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、内周にレンズを支持するレンズ支持体と、内周側にレンズ支持体を移動自在に支持する固定体と、レンズ支持体の外周に巻回した第1コイルと、レンズ支持体の外周で周方向に90度の間隔をあけて配置した少なくとも2つの第2コイルと、固定体に設けた第1マグネットとを備え、第1コイルは光軸方向一方側から見た平面視が四角形状を成しており、第2コイルは第1コイルが成す四角形の辺に配置してあると共にレンズ支持体の径方向外側から見て環状を成しており、第1マグネットは四角形を成す第1コイルの各辺に対向して設けてあり且つ内周面を同じ磁極としてあると共に第2コイルが設けてある位置では第2コイルに対向してあり、レンズ支持体を光軸方向へ移動するときには第1コイルに電流を流し、レンズ支持体を光軸と直交するX―Y方向に移動するときには所定の第2コイルに所定の電流を流すことを特徴とするレンズ駆動装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、固定体は外周側壁を有するヨークを有し、ヨークの外周側壁は光軸方向一方側から見た平面視が四角形状を成し、第1マグネットは四角の環状を成してヨークの外周側壁の内側に嵌めこまれていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、ヨークは、その外周側壁の各角部に、第1コイル及び第2コイルの内周側に位置する内側壁と、内側壁と外周側壁とを連結する連結壁とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の発明において、第1マグネットの各角部には、その内周側に第2マグネットを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置と、レンズ支持体のレンズの結像側に設けた画像センサとを備えることを特徴とするオートフォーカスカメラである。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のオートフォーカスカメラを搭載したことを特徴とするカメラ付きモバイル端末装置である。
モバイル端末装置とは、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ノートパソコン等を言う。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、レンズ支持体のフォーカス移動(光軸方向への移動)は、第1コイルに通電することでマグネットとの間で生じるレンズ光軸方向の推力によりレンズ支持体を光軸方向へ移動し、手振れ補正は任意の第2コイルに通電することでマグネットとの間で生じるレンズ支持体の半径方向の推力によりレンズ支持体をX―Y方向に移動して行う。これにより、レンズ支持体をフォーカス移動及び手振れ補正移動ができる。
【0013】
マグネットが光軸方向の移動用とX−Y方向の移動用とを兼ねており、1つの第1コイルと、少なくとも2つの第2コイルとで、レンズ支持体を光軸方向及びXーY方向へ移動できるので、簡易な構成で且つ少ない部品点数で、レンズ支持体をフォーカス移動及び手振れ補正移動ができる。
マグネットは四角形状の第1コイルの辺に対向して配置するので、板状のものを用いることができ構成を簡易にできる。
【0014】
第1コイルを光軸方向一方側から見て四角形の環状としており、第1コイルの四角形の各辺に対応した位置にマグネットを設けているので、第1コイルを円形にしている場合に比較して、第1コイルとマグネットとの間隔を一定にでき且つ対向面積を広く取れるので、レンズ駆動装置の光軸方向の推力を高めることができる。
同様に、第2コイルは、四角形状の第1コイルの辺に配置してあるので、第1コイルを円形にしている場合に比較してマグネットとの間隔を一定にでき且つ対向面積を広くとることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の作用効果を奏すると共に、ヨークは外周側壁を四角形状として、その内周側に第1マグネットを嵌め込んで組み立てできるから、製造が容易である。
また、ヨークによりマグネットの磁束の漏れを低減でき、光軸方向及びX−Y方向の推力を高めることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の作用効果を奏すると共に、四角環状の第1マグネットの角部では、第1マグネット、第1コイル及び第2コイルをヨークの内側壁と外周側壁とで挟んでいるので、角部における磁束密度を高めることができ、第1コイル及び第2コイルに作用する推力を更に高めることができる。また、第1コイル及び第2コイルの全体に亘って略均一な推力を作用させることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は3に記載の作用効果を奏すると共に、ヨークの角部における第1コイル及び第2コイルと、これらに作用する磁束を高めて、光軸方向及びX―Y方向の推力を高めることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれか一項に記載の作用効果を奏するオートフォーカスカメラを提供できる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の作用効果を奏するカメラ付きモバイル端末装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施の形態にかかるレンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図2】第1実施の形態にかかるレンズ駆動装置であって、図5に示すA−B断面図である。
【図3】第1実施の形態にかかるレンズ駆動装置の主要部の水平断面図である。
【図4】図3に示すK部の作用を模式的に示した図である。
【図5】第1実施の形態に係るレンズ駆動装置を前側から見た平面図である。
【図6】第2実施の形態にかかるレンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図7】第2実施の形態にかかるレンズ駆動装置を第1実施の形態の図5に示すAーC位置で切断して示す断面図である。
【図8】第3実施の形態にかかるレンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図9】第3実施の形態にかかるレンズ駆動装置を第1実施の形態の図5に示すAーC位置で切断して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、添付図面を参照して本発明にかかる実施の形態を説明するが、まず添付図面の図1〜図5を参照して本発明の第1実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態に係るレンズ駆動装置1は、携帯電話に組み込まれるオートフォーカスカメラのレンズ駆動装置である。
【0022】
このレンズ駆動装置1は、図1に示すように、内周にレンズ(図示せず)を支持するレンズ支持体5と、内周側にレンズ支持体5を移動自在に支持する固定体の一部をなすヨーク3と、ヨーク3の内周で前側スペーサ7(絶縁材)、前側スプリング9、第1マグネット17、後側スペーサ15(絶縁材)、後側スプリング11、端子部材18が順に積み重ねられ、さらにベース8が固定されている。図1及び図2に示すように、レンズ支持体5の外周にはコイル体4が固定され、前側部、後側部にはそれぞれ前側スプリング9、後側スプリング11が固定されている。
【0023】
図1及び図5に示すように、ヨーク3は前側壁3dが前側から見て輪郭が略四角形状を成しており、四角形状の輪郭に沿って外周側壁3aが設けてある。ヨーク3の中心部にはレンズ支持体5が配置される開口部2が設けられている。
図1及び図2に示すように、ヨーク3の内周側には前側スペーサ7が前側壁3dに当接して収納されており、前述のように前側スペーサ7の後側に前側スプリング9、第1マグネット17、後側スペーサ15、後側スプリング11、端子部材18及びベース8がこの順序で固定されて固定体が形成されている。
【0024】
第1マグネット17は、前側から見た平面視が四角環状を成しており、本実施の形態では、4枚の板状マグネット14を枠組みして形成してある。各板状マグネット14は、内周側を同じ磁極としてあり、例えば、内周側をN極とし、外周側をS極としている。各板状マグネット14は、ヨーク3の外周側壁3aの内面に配置される。
【0025】
図1に示すように、レンズ支持体5は、略円筒形状であり、その外周の4箇所に設けた外周面の接線方向に平な取付部5aにコイル体4の内周面が固定されている。レンズ支持体5の外周に固定されているコイル体4は、第1コイル19と第2コイル16a、16b、16c、16dとから構成されている。
第1コイル19は、第1マグネット17に対向しており、第1マグネット17の内周側に配置して、四角環形状を成している。
【0026】
更に、第1コイル19の外周において四角環の各辺部には、4つの第2コイル16a〜16dが配置されている。各第2コイル16a〜16dは、レンズ支持体5の半径方向外側から見て側面視環状を成しており、第1コイル19の各辺の長手方向全体に亘って配置されている。
【0027】
各第2コイル16a〜16dは、第1コイル19の外側面に重ねて配置しており、光軸方向前側の前側辺部22、後側の後側辺部25及び左右側辺部24、26を四角形の第1コイル19の一辺に重ねている。
第1マグネット17は、第2コイル16a〜16dに対面して設けてあり、第1マグネット17の内周側面17aは、第2コイル16a〜16dの各辺部22、25、24、26に対面してあり、四角形状の第1マグネット17の一辺の寸法は第2コイル16a〜16dの周方向の寸法と略同じ寸法としてあると共に第1マグネット17の内周側面17aの面積は、対面する第2コイル16a〜16dの面積と略同じ面積になっている。
【0028】
また、第1マグネット17を構成する各板状マグネット14は、対面する第2コイル16a〜16dを介して第1コイル19に対向している。本実施の形態では、第1マグネット17はその周方向全体で第1コイル19及び第2コイル16a〜16dに対して対向している。
【0029】
第2コイル16a〜16dは、図4に示すように、第1マグネット17の内周面17aのうち前(後)側部から出た磁束線の向きは半径方向内方と前(後)方の成分を持ち、マグネット17の内周面17aから離れるほど前(後)側へカーブする。即ち、磁束線の向きは半径方向内方と前後方向の成分を持つ。
【0030】
例えば、第1コイル19に前方側から見て反時計方向に電流Iを流すと、半径方向内方の鎖交磁束成分が寄与してフレミングの左手の法則により光軸方向前方へ推力が生じ、レンズ支持体5は光軸方向前方へ移動する。第2コイル16aに外方から見て反時計方向に電流Iを流すと、各第2コイル16aの前側辺部22(後側辺部25)では光軸方向前方(後方)の鎖交磁束成分が寄与して半径方向内方へ推力が生じる。同様に、第2コイル16aの右側辺部26、左側辺部24においても半径方向内方へ推力が生じる。そのため、レンズ支持体5は第2コイル16aが半径方向内方へ移動するように移動する。第2コイル16b〜16dも同様である。
【0031】
即ち、第2コイル16a、16cは、マグネット17の磁力線のうち第2コイル16a、16cに直交する成分の磁力と、第2コイル16a、16cに流れる電流によって、フレミングの左手の法則により、図3に示すように、レンズ支持体5の半径方向に推力Xが作用し、第2コイル16b、16dも同様に、レンズ支持体5の半径方向に推力Yが作用する。推力Xと推力Yとは互いに直交している。
【0032】
図3に示すように、第1コイル19はZ駆動部32に接続されており、各第2各コイル16a〜16dはX―Y駆動部33に接続されており、各々駆動部32、33から所定値の電流が通電される。尚、図3において、一点鎖線で示すZ駆動部32と第1コイル19との接続線及びX―Y駆動部33と第2コイル16a〜16dとの接続線は、電流の入力側又は出力側のみの接続を示している。
本実施の形態では、第2コイル16a及び16cと、16b及び16dとが直列に接続されており、2つのコイル16a及び16cで推力Xの方向に、16b及び16dで推力Yの方向に駆動するようになっている。
【0033】
例えば、Z駆動部32では、レンズ支持体5をフォーカス位置へ移動(光軸方向への移動)する場合には、第1コイル19に電流Zを流す。
同様に、手振れ補正をする場合には、X―Y駆動部33では、第2コイル16a及び16cに電流Xを流してX方向にレンズ支持体5を移動させ、第2コイル16b及び16dに電流Yを流してY方向にレンズ支持体5を移動させる。これにより、レンズ支持体5をX―Y方向に移動して手振れ補正を行う。
【0034】
尚、図2及び図4において、符合Z、X、Yは流した電流に基づいて生じる推力の方向と大きさを示している。方向は、Zは光軸方向であり、X及びYは各々光軸方向に直交する二次元の方向を示している。
【0035】
図1に示すように、前側スプリング9は、組み付け前の自然状態が平板状であり、平面視四角環状を成す外周側部9aと、外周側部9aの内周に配置され平面視円弧形状の内周側部9bと、外周側部9aと内周側部9bとを連結する4つの腕部9cとで構成されており、Z方向及びX―Y方向への変形が自在にできるようになっている。
【0036】
後側スプリング11は、組み付け前の自然状態が平板状であり、平面視四角環状を成す外周側部11aと、外周側部11aの内周に配置され平面視円形状の内周側部11bと、外周側部11aと内周側部11bとを連結する4つの腕部11cとで構成されている。
【0037】
前側スプリング9の外周側部9aは、前側スペーサ7と第1マグネット17との間に挟持されており、内周側部9bはレンズ支持体5の前端に固定されている。後側スプリング11の外周側部11aはベース8と後側スペーサ15との間に挟持されており、内周側部11bはレンズ支持体5の後端に固定されている。これにより、レンズ支持体5は前側スプリング9と後側スプリング11とにより、光軸方向(Z方向)及びX―Y方向に移動自在に支持されている。後側スプリング11は2つに分割されており、分割された一方と他方とが各々第1コイル19に接続されて後側スプリン11から直流電流を流すようになっている。
後側スプリング11の外周側部9aにはこれと略同一形状の端子部材18が重ねてあり、外部に接続する給電端子18aから電流を供給するようになっている。
【0038】
そして、第1コイル19に電流を流すことにより、レンズ支持体5が光軸方向前方に移動すると、レンズ支持体5は、前側スプリング9及び後側スプリング11のZ方向の付勢力の合力と、第1コイル19及びマグネット17との間で生じる電磁力とが吊り合う位置で停止する。
【0039】
レンズ支持体5がX―Y方向に移動する場合には、所定の第2コイル16a〜16dに所定値の電流を流すことにより、前側スプリング9及び後側スプリング11のX―Y方向のスプリングの合力と、第2コイル16a〜16dと各対応する第1マグネット17との間で生じる電磁力とが吊り合う位置で停止する。
【0040】
次に、本発明の実施の形態に係るレンズ駆動装置1の組立て、作用及び効果について説明する。レンズ駆動装置1の組み立てに先立って、第1コイル19の外周面に各第2コイル16a〜16dを接着固定してコイル体4を形成し、レンズ支持体5の外周に設けてある取付部5aに固定する。
【0041】
レンズ駆動装置1の組立ては、図1に示すように、ヨーク3の内周側で前側スペーサ7を前側壁3dに当接して配置し、前側スペーサ7の後側に前側スプリング9、第1マグネット17、スペーサ15、端子部材18を重ねて固定した後側スプリング11及びベース8をこの順序で組付ける。
【0042】
そして、対向するコイル16aと16c、16bと16dを直列に形成した第2コイル16a〜16dを第1コイル19に固定したコイル体4を固定したレンズ支持体5を開口部2の後側から挿入して、前側スプリング9の内周側部9bと後側スプリング11の内周側部11bとを固定する。固定は例えば、接着剤により行う。
【0043】
そして、レンズ駆動装置1の組立て終了後、第1コイル19はZ駆動部32に接続し、第2コイル16a〜16dはX―Y駆動部33にを接続する。
【0044】
図2に示すように、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1の駆動は、Z駆動部32がベース8の後端側に設けた画像センサ(図示せず)から受ける高域成分(コントラスト)のピークを比較しつつ、合焦点位置へレンズ支持体5をZ方向へ直線移動して行う。
【0045】
レンズ支持体5のZ方向への直線移動の際には、第1コイル19に電流値Zを流すことにより生じるマグネット17との間で生じる電磁力と、前側スプリング9及び後側スプリング11との付勢力の合力とが吊り合う位置で停止する。
【0046】
また、レンズ支持体5のX―Y制御(手振れ補正)は、ジャイロモジュール等によりXY方向の手振れ量の大きさを信号として受け、X方向及びY方向の手振れ補正量を演算してレンズ支持体5の移動量X、Yを各々決定して、第2コイル16a、16cと、第2コイル16b、16dとに通電して行う。
【0047】
本実施の形態によれば、レンズ支持体5のフォーカス移動は、第1コイル19に通電することでレンズ支持体を光軸方向に移動し、手振れ補正は任意の第2コイル16a〜16dに所定値の電流を通電することで、レンズ支持体5をX―Y方向に移動して行う。これにより、レンズ支持体5のフォーカス移動及び手振れ補正移動ができる。
【0048】
本実施の形態によれば、第1マグネット17がフォーカス移動用と手振れ補正用のマグネットを兼ねており、この第1マグネット17と、1つの第1コイル19と、4つの第2コイル16a〜16dとで、レンズ支持体5を光軸方向及びXーY方向へ移動できる。そのため、簡易な構成で且つ少ない部品点数で、レンズ支持体5をフォーカス移動及び手振れ補正移動ができる。
【0049】
第1マグネット17及び手振れ補正として機能する第2コイル16a〜16dを前側から見た平面視四角形の各辺部に配置することにより、手振れ補正機能を有しながら、手振れ補正機能を搭載していないレンズ駆動装置と同様なサイズで且つ少ない部品点数でコンパクトな構成にできる。
第1マグネット17は四角形状の第1コイル19の辺に対向して配置するので、板状のものを用いることができ構成を簡易にできる。
【0050】
第1コイル19を光軸方向一方側から見て四角形の環状としており、第1コイル19の四角形の各辺に対応した位置に第1マグネット17を設けているので、第1コイル19を円形にしている場合に比較して、第1コイル19と第マグネット17との間隔を一定にでき且つ対向面積を広く取れるので、レンズ支持体5の光軸方向の推力を高めることができる。
同様に、第2コイル16a〜16dは、四角形状の第1コイル19の辺に配置してあるので、第1コイル19を円形にしている場合に比較して第1マグネット17との間隔を一定にでき且つ対向面積を広くとることができる。
【0051】
ヨーク3は外周側壁3aを四角形状として、その内周側に第1マグネット17を嵌め込んで組み立てできるから、製造が容易である。また、ヨーク3により第1マグネット17の磁束の漏れを低減でき、レンズ支持体5の光軸方向及びX−Y方向の推力を高めることができる。
【0052】
以下に本発明の他の実施の形態を説明するが、以下に説明する実施の形態において、上述の第1実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には同一の符合を付することにより、その部分の説明を省略し、以下の説明では第1実施の形態と主に異なる点を説明する。
図6〜図8を参照して、第2実施の形態にかかるレンズ駆動装置1を説明する。この第2実施の形態では、ヨーク3において開口部2の縁には、前側から見て四角形状のヨーク3の角部に前側壁3dから後側に向けて突設する内側壁3bを設けている。内側壁3bはヨークの角部に対応して4つ設けてあり且つ各内側壁3bの外周側には第2マグネット27が固定されている。この第2実施の形態及び後述する第3実施の形態では、前側壁3dが外周側壁3aと内側壁3bを連結する連結壁となっている。
第2マグネット27は第1マグネット17に対向する側を第1マグネット17の対向する磁極と異なる磁極にしてあり、本実施の形態では、第1マグネット17の内周側がN極であるから、第2マグネット27は外側をS極とし、内側をN極としている。
尚、内側壁3bはレンズ支持体5の外周面に沿って円弧状としてあり、第2マグネット17は、内側面27aをヨークの内側壁に沿って円弧状としてあり、外側面はヨーク3の外周側壁3aに沿って互いに直角な面としてある。
【0053】
この第2実施の形態によれば、ヨーク3の角部では、第1マグネット17及びコイル体4をヨーク3の内側壁3bと外周側壁3aとで挟んでいるので、ヨーク3の角部における磁束密度を高めることができ、コイル体4を構成する第1コイル19及び第2コイル16a〜16dに作用する推力を更に高めることができる。また、第1コイル19及び第2コイル16a〜16d全体に亘って略均一な推力を作用させることができる。
【0054】
更に、ヨーク3の各角部に第2マグネット27を設け、第1コイル19及び第2コイル16a〜16dと、これらに作用する磁束を高めて、光軸方向及びX―Y方向の推力を更に高めることができる。
【0055】
図8及び図9を参照して、第3実施の形態にかかるレンズ駆動装置1を説明する。この第3実施の形態では、ヨーク3の前側壁3dの前側に前側スプリング9及び前側スペーサ7を配置してあり、前側スペーサ7、前側スプリング9、ヨーク3、後側スペーサ15、後側スプリング11及びベース8を磁気シールド29内に収納している。
また、ヨーク3には、コイル体4の角部に対応してコイル体4の内周側に位置する内側壁3bを設けてある。内側壁3bは、コイル体4及び第1マグネット17の形状に沿って、周方向で左右の2面が直角を成している。
【0056】
この第3実施の形態によれば、コイル体4の角部に対応してヨーク3の角部に内側壁を設けているので、ヨーク3の角部における第1コイル19及び第2コイル16a〜16dに作用する磁束を高めて、光軸方向及びX―Y方向の推力を高めることができる。
また磁気シールド29により、外部への磁束の漏れを防止しているので、磁束による周辺の電子機器や電子部品への影響を低減できる。
【0057】
本発明は上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、第2コイル16a〜16dは互いに90度間隔をあけて隣合わせに2つだけ設けても良い。
【0058】
第1マグネット17は、4つの板状マグネット14を枠組することに限らず、枠組しないで、4つの辺に対応させて板状マグネット14を4辺に対応して配置してもよいし、1つの四角環形状のマグネットを用いても良い。
【0059】
第2コイル16a〜16dは、第1コイル19の内周側に配置しても良い。
第2及び3実施の形態において、ヨーク3の内側壁3cは、周方向に亘って連続して設けても良い。
上述した実施の形態において、レンズ駆動装置1は、ズームレンズを備えて、ズーム機能を合わせ持つものであっても良い。
【符号の説明】
【0060】
1 レンズ駆動装置
3 ヨーク
3a 外周側壁
3b 内側壁
3d 前側壁
5 レンズ支持体
16a〜16d 第2コイル
17 第1マグネット
19 第1コイル
27 第2マグネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周にレンズを支持するレンズ支持体と、内周側にレンズ支持体を移動自在に支持する固定体と、レンズ支持体の外周に巻回した第1コイルと、レンズ支持体の外周で周方向に90度の間隔をあけて配置した少なくとも2つの第2コイルと、固定体に設けた第1マグネットとを備え、
第1コイルは光軸方向一方側から見た平面視が四角形状を成しており、第2コイルは第1コイルが成す四角形の辺に配置してあると共にレンズ支持体の径方向外側から見て環状を成しており、第1マグネットは四角形を成す第1コイルの各辺に対向して設けてあり且つ内周面を同じ磁極としてあると共に第2コイルが設けてある位置では第2コイルに対向してあり、レンズ支持体を光軸方向へ移動するときには第1コイルに電流を流し、レンズ支持体を光軸と直交するX―Y方向に移動するときには所定の第2コイルに所定の電流を流すことを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
固定体は外周側壁を有するヨークを有し、ヨークの外周側壁は光軸方向一方側から見た平面視が四角形状を成し、第1マグネットは四角の環状を成してヨークの外周側壁の内側に嵌めこまれていることを特徴とする請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
ヨークは、その外周側壁の各角部に、第1コイル及び第2コイルの内周側に位置する内側壁と、内側壁と外周側壁とを連結する連結壁とを備えることを特徴とする請求項2に記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
第1マグネットの各角部には、その内周側に第2マグネットを備えることを特徴とする請求項2又は3に記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置と、レンズ支持体のレンズの結像側に設けた画像センサとを備えることを特徴とするオートフォーカスカメラ。
【請求項6】
請求項5に記載のオートフォーカスカメラを搭載したことを特徴とするカメラ付きモバイル端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−173713(P2012−173713A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38628(P2011−38628)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000131348)シコー株式会社 (168)
【Fターム(参考)】