説明

ロック付き飲料用容器の栓体

【課題】ロック部材に十分な弾性を持たせつつ、十分な剛性も持たせ、さらに外観デザインについての可能性を拡げた飲料用容器の栓体を提供する。
【解決手段】蓋体13を閉状態に保持するロック機構18は第1のアーム部36を備えた略U字形状としたU字ロック21と、U字ロック21と対応する支持部30及び係止受け部33とを有し、U字ロック21は、剛性体のロック外装部材37と、ロック外装部材37に係合される弾性体のロック係止部材40で構成され、ロック外装部材37は、第1のアーム部36に貫通孔44を設け、ロック係止部材40は、第1のアーム部36に対応する第2のアーム部39を備えた略U字形状とし、貫通孔44に外側から挿入されるロック係止突起46を第2のアーム部39両端に備え、ロック係止突起46が蓋体13を閉状態に保持する状態で、係止受け部33の第1の係止突起受部47に弾性を伴って係止されるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック装置を備えた蓋付き飲料用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、容器本体の上部開口に被着される栓体と、該栓体にヒンジにて開閉可能に連結され、栓体の天板に開口する注出口を液密に覆う蓋とを備え、前記ヒンジと反対側に蓋の閉状態を保持するロック構造を備えた飲料容器において、ロック構造は、下側を押圧して回動することで、係止片との係合を解除するロックボタン、栓体に基端を回動自在に設けられ回動により先端が係合片を乗り越えるようにして係合する略U字形状のロック部材を備えたものが知られている。
【0003】
そして、ロック構造では、蓋体を閉状態に保持するためにロック部材を栓体又は蓋体のいずれか一方に係止する必要があり、この係止を達成するためにロック部材側に係合突起を設け、ロック部材が弾性的に変形して栓体又は蓋体のいずれか一方の係止突起受部に係止される(例えば、特許文献1〜4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3620042号公報
【特許文献2】特許第4482940号公報
【特許文献3】特許第4798553号公報
【特許文献4】意匠登録第1369904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載のロック構造の金属製のロック部材では金属製であるため弾性が少なく、操作性が劣るという問題点があった。
【0006】
また、特許文献2〜4記載のロック構造の樹脂製のロック部材では金属製のロック部材に比べて弾性は優れるが、栓体の外部に露出して構成されるために落下などによる衝撃で破損しないように、ある程度の剛性を持たせる必要があり、弾性を持たせつつも落下衝撃などに耐えうる強度を持たせることが困難であった。
【0007】
また、弾性が不十分な場合は、ロック回動時に係止突起が栓体や蓋体を削る、もしくは係止突起部が削られ、係止が緩くなる可能性があった。
【0008】
さらに、略U字形状のロック部材が直接栓体又は蓋体と直接係止するため、印刷や塗装などの加飾方法は剥れる可能性があり、メッキなどは部材の剛性が増すため、十分な弾性が得られずデザイン性が乏しかった。
【0009】
そこで、本願発明は上記した問題点に鑑み、ロック部材に十分な弾性を持たせつつ、十分な剛性も持たせ、さらに外観デザインについての可能性を拡げた飲料用容器の栓体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明では、飲料用容器本体の上部開口部に被着される栓本体と、前記栓本体の一端に蓋ヒンジ部により軸支され、前記栓本体の前記上部開口部を開閉自在に開閉する蓋体と、前記栓本体の他端で前記蓋体を閉状態に保持するロック機構を有する飲料用容器の栓体において、前記ロック機構は栓本体又は蓋体のいずれか一方に回動自在に軸支され、両側に第1のアーム部を備えた略U字形状とし、前記第1のアーム部の両基端にロックヒンジ部を備えたロック部材と、前記ロック部材の回動端点のいずれか一方で前記ロック部材と対応するロック受部とを有し、前記ロック部材は、剛性体のロック外装部材と、前記ロック外装部材に係合される弾性体のロック係止部材で構成され、前記ロック外装部材は、前記第1のアーム部の両側に貫通孔を設け、前記ロック係止部材は、前記ロック外装部材の前記第1のアーム部に対応する両側に第2のアーム部を備えた略U字形状とし、前記貫通孔に外側から挿入されるロック係止突起を前記第2のアーム部両端に内側方向に備え、前記ロック係止突起が少なくとも前記蓋体を閉状態に保持する状態で、前記栓本体又は前記蓋体のいずれか一方に設けられた前記ロック受部の係止突起受部に弾性を伴って係止されることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明では、前記ロック係止部材が、前記ロック外装部材の外面に設けられた係合部に弾性的に係合されることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明では、前記ロック外装部材の一部に切欠部を設け、前記切欠部から前記ロック係止部材の一部が露出していることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明では、前記切欠部を、前記ロック外装部材の略U字形状の内周面に貫通して形成し、前記ロック係止部材を着脱自在に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1記載の発明によれば、ロック部材を、剛性体のロック外装部材と、弾性体のロック係止部材の2部品構成とし、それぞれに特化した機能を持たせることで、ロック係止時の十分な弾性を持たせつつ、落下衝撃などに耐えうる十分な剛性を持たせることが可能である。さらに、ロック外装部材の第1のアーム部両側の貫通孔に、ロック係止部材のロック係止突起を外側から挿入することで、ロック係止突起がロック受部に係止する際に弾性体であるロック係止部材の第2のアーム部が外側に変形し易くなるため、ロック部材の回動時にロック係止突起が栓本体や蓋体を削る、もしくはロック係止突起が削られて係止が緩くなることを避けることが出来る。また、ロック係止部材がロック外装部材に係合されるため、ロック係止部材を外側から容易に外すことが出来ず、お手入れ時に外れて紛失することがない。また、ロック外装部材はロック部材の回動時に栓本体や蓋体と直接係止しないため、塗装や印刷などの加飾を施しても剥れる心配がなく、メッキなどの処理により部品の剛性が向上し、弾性が低下しても、係止動作の確実性に影響を及ぼさない。
【0015】
本発明の請求項2記載の発明によれば、ロック係止部材がロック外装部材に弾性的に係合することで、組立が容易である。
【0016】
本発明の請求項3記載の発明によれば、ロック外装部材の一部に切欠部を設けて、ロック係止部材を外部に露出させることで、外観デザインの可能性を拡げることができる。
【0017】
本発明の請求項4記載の発明によれば、ロック外装部材の略U字形状の内周面に貫通して切欠部を構成することで、貫通された切欠部よりロック係止部材を押し上げて外すことが可能で、ロック係止部材が劣化した場合でも部品交換が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1に係る飲料用容器の側面図である。
【図2】同上、飲料用容器の断面図である。
【図3】同上、U字ロックが第1の位置にある状態を示す栓体の斜視図である。
【図4】同上、図3における栓体のロック機構付近の断面図である。
【図5】同上、図3における栓体の側面図である。
【図6】同上、図3における栓体の全体断面図である。
【図7】同上、U字ロックが第2の位置にある状態を示す栓体の斜視図である。
【図8】同上、図7における栓体のロック機構付近の断面図である。
【図9】同上、図7における栓体の側面図である。
【図10】同上、図7における栓体の全体断面図である。
【図11】本発明の実施例2に係る飲料用容器の栓体を示す正面図である。
【図12】同上、栓体の全体断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0020】
図1〜図10は実施例1を示すもので、飲料用容器としての携帯用魔法瓶1は、片手で持てる大きさの金属製の容器本体2と、該容器本体2の上部開口部である開口端部2Aに被着される合成樹脂製の栓体3とを備えている。容器本体2は、内筒4と外筒5の開口端部2Aの縁を一体に接合し、内筒4と外筒5との間の空間を真空の断熱層6となした断熱二重構造で、外筒5の上部外周の方部には、肩部材7が外嵌されており、この肩部材7の上部外周に栓体3を螺着するための雄螺子部8が形成されている。
【0021】
前記栓体3は、肩部材7の上部外周を囲繞する筒状部9に雌螺子部10が形成され、この雌螺子部10を肩部材7の雄螺子部8に螺着して容器本体2の開口端部2Aに装着される栓本体11を備える。この栓本体11の一側に設けた取付部12には、蓋体13が蓋ヒンジ部14を介して回動自在に結合され、蓋ヒンジ部14に巻き掛けられたOリング等の弾性体15にて開方向に付勢されており、弾性体15は、一端を栓本体11の取付部12の取付受け部16に係止すると共に、他端を蓋体13の取付受け部17に係止している。そして、弾性体15は、蓋体13を閉状態から180度以上上下方向に回動してその位置で保持する力を有している。また、一側の蓋ヒンジ部14に対して、容器本体2の口部中心を軸芯(図示せず)としたとき180度の位置に、すなわち蓋ヒンジ部14と径方向に対向する位置である他側には、蓋体13の先端を係止して蓋閉状態に保持するロック機構18が設けられている。
【0022】
栓本体11は、筒状部9の上面に、容器本体2の開口端部2Aを覆う天板19を設けた逆有底筒状に形成されており、筒状部9の一側部には、ロック機構18の構成部材であるシーソ式のロックボタン20とU字ロック21とが設けられている。また、天板19の他側寄りには飲み口22が突設されている。
【0023】
前記飲み口22は、前記天板19から飲用者が口に含むのに適した太さで蓋体13に覆われる高さの略円柱状に突設されており、その内部を飲料の注出口22Aとしている。図6に示すように、飲み口22の上端面22Bは、飲み口22の中心軸と直交する線Lよりも蓋ヒンジ部14側が角度θ1分低くなるように傾斜していて、蓋体13の蓋体内側天面13Aと略同じ角度で、ロック機構18側が高く蓋ヒンジ部14側が低いテーパ状に形成されている。そして、飲み口22の上部は、閉蓋時に蓋体13に装着したパッキン23で封止できるようになっている。
【0024】
また、図1に示すように、栓本体11の筒状部9の内側に、容器本体2の開口端部2Aと栓体3の間を水密に止水する止水用パッキン24が設けられる。この止水用パッキン24は、エラストマー、ゴム或いは弾性合成樹脂によって形成され、栓本体11の内面に設けられた止水用パッキン24の取付用の凹部25に着脱可能に取り付けられるものであって、この止水用パッキン24の取り付け用の凹部25は、平面が栓本体11と同心円状な円環状に設けられるものであり、雌螺子部10と天板19との上下方向の間で筒状部9に沿っており、下方向を開口している。そして、この凹部25を形成するための内側に設けられる内壁26は、ほぼ凹部25の横幅程度の距離まで下方へ延出して栓本体11に形成されている。
【0025】
前記止水用パッキン24は、容器本体2の開口端部2Aと前記凹部25との間に介在するパッキン本体である止水突起部24Aと、止水突起部24Aから下方へ延出する下方延出壁24Bと、下方延出壁24Bの下端から内向きに延出する内向き延出面24Cとからなる。止水突起部24Aは開口端部2Aと、栓本体11の凹部25にそれぞれ下面及び上面で接して止水するもので、その平面は円環状で、縦断面はほぼ矩形であって、その外周面の上下方向の中央には溝24Dが内向きに全周にわたって設けられ、止水突起部24Aが外側が開口した断面略コ字状に形成されている。下方延出壁24Bは前記内壁26の外面に沿って配置され、内向き延出面24Cは内壁26の下端に沿い、内向き延出面24Cの下面が、前記止水用パッキン24を凹部25へ取り付ける場合の押ししろ部に形成され、前記内向き延出面24Cが、前記止水用パッキン24を取り外す場合のつかみしろに形成されている。
【0026】
前記ロック機構18は、第1のロック部材であるボタンたる前記ロックボタン20と、第2のロック部材である前記U字ロック21とを備えたダブルロック構造となっている。ロックボタン20は、上部裏面に係合部27を内向きに突設し、ロックボタン20の上下方向中間部には左右の壁部28,28を内向きに突設し、前記左右の壁部28,28には横向きの第1の軸孔29がそれぞれ穿設されている。また、筒状部9の外周他側には、正面から見て略逆U字状の支持部30が設けられ、この支持部30に設けた水平方向のロック回動軸31により前記ロックボタン20が回動可能に支持され、この回動により上部に設けた前記係合部27が栓体3の内外方向に進退する。そして、蓋体13の回動端、すなわち蓋ヒンジ部14の反対側には、前記係合部27が係止可能な係合片32が左右横向き方向の段部によって設けられ、前記係合片32の上部には略逆U字形状の係止受け部33が設けられ、この係止受け部33の下部が閉蓋時に前記支持部30の上部と連続し、図3及び図7に示すように、それら係止受け部33と支持部30により前記ロックボタン20が囲まれている。
【0027】
また、ロックボタン20と栓本体11の筒状部9との間に復帰用弾性体であるスプリング34を配置し、ロックボタン20にはスプリング34の基端側を取り付ける筒状の取付部35が設けられ、前記スプリング34により係合部27が常時蓋体13のロック状態方向に付勢されている。
【0028】
前記U字ロック21は、左右一対の第1のアーム部36を備えた略U字形状の金属または合成樹脂等の剛性体からなるロック外装部材37と、ロック外装部材37に形成された係合凹部38に弾性的に係合可能に形成され左右一対の第2のアーム部39を備えた略U字形状のエラストマー、ゴム或いは弾性合成樹脂等の弾性体からなるロック係止部材40で構成されており、ロック外装部材37及びロック係止部材40の形状は倒コ字形状等も含む、間隔を有して平行に配置された一対の第1のアーム部36,36の一端同士を連結した形状としている。そして、第1のアーム部36の両基端にある横向きの第2の軸孔41に、前記ロック回動軸31の左右外側への同径な延長軸部42を挿入し、前記ロック回動軸31の延長軸部42を中心として、U字ロック21のロック外装部材37を回動自在に軸支するロックヒンジ部43が設けられている。尚、延長軸部42の外径に対する第2の軸孔41の内径はやや隙間が形成されるような遊嵌状態となって摺動が可能に形成されている。
【0029】
前記係合凹部38は、ロック外装部材37の各第1のアーム部36を外周面から内周面へと貫通して形成された貫通孔44と、この貫通孔44同士をロック外装部材37の外周面に沿って繋ぐようにロック外装部材37において一方の第1のアーム部36から先端、そして他方の第1のアーム部36のそれぞれの外周面に沿って連続して凹設された溝部45とを備えている。
【0030】
ロック係止部材40の第2のアーム部39両端の内側方向には、第1のアーム部36の貫通孔44に外側から係合可能で、第1のアーム部36の内周面より内側に突出するロック係止突起46を備えている。
【0031】
前記U字ロック21のロック外装部材37の先端が上向きの第1の位置にあるとき該U字ロック21のロック外装部材37が前記係止受け部33に外嵌されてロックし、この係止受け部33は表面が上方へ突設するように逆U字形状となって蓋ヒンジ部14と反対側に突設している。そして、係止受け部33は、係合片32の上方に該係合片32を覆うように設けられるものであり、係合片32に対して係止受け部33は前記係合部27の上下方向の厚み程度の間隔を有して可及的に近づくように設けている。すなわち、回動軸31を基点とした係止受け部33の内側33Aまでの距離と、係合部27の上端までの距離が略同一に形成されている。
【0032】
ロック外装部材37が第1の位置にあるとき、係止受け部33の両側面のロック係止突起46に対応する位置に第1の係止突起受部47が凹設されている。そのため、ロック外装部材37が第1の位置にあるとき、係止突起は第1の係止突起受部47に弾性を伴って係止可能に備えている。
【0033】
一方、U字ロック21のロック外装部材37の先端が下向きの第2の位置にあるとき該U字ロック21のロック外装部材37が非外嵌のアンロック状態、すなわちU字ロック21のロック外装部材37が前記係止受け部33に外嵌していない。
【0034】
ロック外装部材37が第2の位置にあるとき、支持部30の両側面のロック係止突起46に対応する位置には第2の係止突起受部49が凹設されている。そのため、ロック外装部材37が第2の位置にあるとき、係止突起は第2の係止突起受部49に弾性を伴って係止可能に備えている。
【0035】
前記ロック回動軸31はロックボタン20の中間部裏側の第1の軸孔29を貫通し、さらに、ロック回動軸31の延長軸部42がアーム部36の両基端の第2の軸孔41に挿入して、1本のロック回動軸31によってロックボタン20とU字ロック21の両方が回動自在に軸支されている。
【0036】
また、係止受け部33の上面に上向きに小凸部50が形成されており、この小凸部50は突起状ではなく、膨出状に形成されている。そして、U字ロック21を真上に向けて回動すると、係止受け部33にある小凸部50上にU字ロック21の先端内面が外嵌することで、その摩擦力でU字ロック21は係止受け部33に係止、固定されて(摩擦力は上記の理由から記載)蓋体13はロックされる。
【0037】
次に前記構成についてその作用を説明する。飲料を収容するときは、まず予め開いている容器本体2の開口より飲料を容器本体2に収容し、次に開口端部2Aに栓体3を取り付けて閉じる。この際にはU字ロック21は下向きとなって第2の位置に配置されている。
【0038】
この後、蓋ヒンジ部14を回動中心として蓋体13を閉じるように回動すると、係合部27の先端の上傾斜面27Aが係合片32の先端の下傾斜面32Aに押され、係合部27が外側に移動するようにロックボタン20が傾動し、さらに、蓋体13を閉じるように蓋体13を押圧すると、係合部27を係合片32が乗り越え、係合片32に係合部27の下部が係止状態となり、蓋体13は栓本体11に対して固定状態となる。
【0039】
そして、蓋体13を栓体3、ひいては容器本体2側に固定するため、U字ロック21をロック回動軸31を回動中心として上向きに回動し、係止受け部33にU字ロック21を係止する。ここで、U字ロック21がロック回動軸31を上向きに回動する際に、係止受け部33と当接するロック係止突起46が外側方向へと押し広げられるように弾性変形するため、ロック外装部材37の第1のアーム部36が外側方向へと押し広げられるような弾性変形を回避する構成となっている。そして、U字ロック21が第1の位置まで回動すると、外側方向へと押し広げられていたロック係止突起46が弾性復元して、第1の係止突起受部47にロック係止突起46が弾性復元力により押し付けられた弾性を伴った係止状態となり、U字ロック21は第1の位置で係止受け部33に対して固定状態となる。
【0040】
一方、U字ロック21によるロック状態を解除するには、ロック回動軸31を回動中心としてU字ロック21を下方へ回動し、下向きの状態でU字ロック21を支持部30に外嵌して固定する。さらに、ロックボタン20のボタン表面部28を押圧してロックボタン20をスプリング34に抗して回動すると係合部27が外側に後退して係合片32から離脱し、ロックが解除され、この結果、弾性体15に付勢されて蓋体13は開方向に回動する。ここで、U字ロック21がロック回動軸31を下向きに回動する際に、支持部30と当接するロック係止突起46が外側方向へと押し広げられるように弾性変形するため、ロック外装部材37の第1のアーム部36が外側方向へ押し広げられるような弾性変形を回避する構成となっている。そして、U字ロック21が第2の位置まで回動すると、外側方向へと押し広げられていたロック係止突起46が弾性復元して、第2の係止突起受部49にロック係止突起46が弾性復元力により押し付けられた弾性を伴った係止状態となり、U字ロック21は第2の位置で支持部30に対して固定状態となる。
【0041】
また、ロック外装部材37の溝部45にロック係止部材40の先端から第2のアーム部39までを弾性的に係合され、ロック係止部材40のロック係止突起46がロック外装部材37の貫通孔44に外側から挿入される構成とすることで、U字ロック21が第1の位置あるいは第2の位置へと回動してロック係止突起46が第1の係止突起受部47あるいは第2の係止突起受部49に係止する際に、ロック係止部材40の第2のアーム部39が外側方向に変形しやすくなっている。また、ロック係止部材40にロック係止突起46がロック外装部材37の係合凹部38に配置されるため、ロック係止部材40が外側から容易に外しにくくなり、ロック係止部材40を誤って紛失することがない。また、弾性体からなるロック係止部材40がロック外装部材37に弾性的に係合されるため、組立性が良い。
【0042】
以上のように、本実施例では、飲料用容器本体2の上部開口部たる開口端部2Aに被着される栓本体11と、前記栓本体11の一端に蓋ヒンジ部14により軸支され、前記栓本体11の前記開口端部2Aを開閉自在に開閉する蓋体13と、前記栓本体11の他端で前記蓋体13を閉状態に保持するロック機構18を有する飲料用容器の栓体3において、前記ロック機構18は栓本体11又は蓋体13のいずれか一方に回動自在に軸支され、両側に第1のアーム部36を備えた略U字形状とし、前記第1のアーム部36の両基端にロックヒンジ部43を備えたロック部材としてのU字ロック21と、前記U字ロック21の回動端点のいずれか一方で前記U字ロック21と対応するロック受部としての支持部30及び係止受け部33とを有し、前記U字ロック21は、剛性体のロック外装部材37と、前記ロック外装部材37に係合される弾性体のロック係止部材40で構成され、前記ロック外装部材37は、前記第1のアーム部36の両側に貫通孔44を設け、前記ロック係止部材40は、前記ロック外装部材37の前記第1のアーム部36に対応する両側に第2のアーム部39を備えた略U字形状とし、前記貫通孔44に外側から挿入されるロック係止突起46を前記第2のアーム部39両端に内側方向に備え、前記ロック係止突起46が少なくとも前記蓋体13を閉状態に保持する状態で、前記栓本体11又は前記蓋体13のいずれか一方に設けられた支持部30及び係止受け部33の第1の係止突起受部47及び第2の係止突起受部49に弾性を伴って係止されることにより、U字ロック21を、剛性体のロック外装部材37と、弾性体のロック係止部材40の2部品構成とし、それぞれに特化した機能を持たせることで、ロック係止時の十分な弾性を持たせつつ、落下衝撃などに耐えうる十分な剛性を持たせることが可能である。さらに、ロック外装部材37の第1のアーム部36両側の貫通孔44に、ロック係止部材40のロック係止突起46を外側から挿入することで、ロック係止突起46が支持部30及び係止受け部33に係止する際に弾性体であるロック係止部材40の第2のアーム部39が外側に変形し易くなるため、U字ロック21の回動時にロック係止突起46が栓本体11や蓋体13を削る、もしくはロック係止突起46が削られて係止が緩くなることを避けることが出来る。また、ロック係止部材40がロック外装部材37の係合凹部38に係止されるため、ロック係止部材40を外側から容易に外すことが出来ず、お手入れ時に外れて紛失することがない。また、ロック外装部材37はU字ロック21の回動時に栓本体11や蓋体13と直接係止しないため、塗装や印刷などの加飾を施しても剥れる心配がなく、メッキなどの処理により部品の剛性が向上し、弾性が低下しても、係止動作の確実性に影響を及ぼさない。
【0043】
また、前記ロック係止部材40が、前記ロック外装部材37の外面に設けられた係合凹部38に弾性的に係合されることにより、組立が容易である。
【実施例2】
【0044】
以下に他の実施例について説明する。尚、前記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0045】
図11及び図12は実施例2を示しており、ロック外装部材37の先端側の内周部分に切欠部51を形成するとともに、溝部45のロック外装部材37の先端側の形状を外周面から内周面にかけて貫通して形成している。
【0046】
そして、ロック係止部材40の先端の外周面から内周面にかけての長さ寸法H1を、ロック外装部材37の先端の外周面から内周面にかけての長さ寸法H2より大きく形成されているため、ロック外装部材37にロック係止部材40が係合されると、ロック外装部材37の切欠部51からロック係止部材40の先端の内側が露出部52として外部に露出する構成となっている。
【0047】
次に前記構成についてその作用を説明する。ロック外装部材37からロック係止部材40を取り外すときは、切欠部51から露出しているロック係止部材40の露出部52を溝部45を通してロック外装部材37の先端の外側方向へ押し出すと、ロック係止部材40の先端がロック外装部材37の先端の外周面より突出するので、この突出したロック係止部材40の先端をつかむと、ロック係止部材40をロック外装部材37から容易に取り外すことが出来る。ロック外装部材37の一部に切欠部51を設け、この切欠部51がロック係止部材40を露出する窓の役割をすることで、デザインの自由度が広がり、栓体3の外観デザインの向上に寄与する。また、切欠部51から露出した露出部52に使用者の名前などを書くこともできる。
【0048】
以上のように、本実施例では、前記ロック外装部材37の一部に切欠部51を設け、前記切欠部51から前記ロック係止部材40の一部が外部に露出していることにより、外観デザインの可能性を拡げることができる。
【0049】
また、前記切欠部51を、前記ロック外装部材37の略U字形状の内周面に貫通して形成し、前記ロック係止部材40を着脱自在に配置したことにより、ロック外装部材37の略U字形状の内周面に貫通して切欠部51を構成することで、貫通された切欠部51よりロック係止部材40を押し上げて外すことが可能で、ロック係止部材40が劣化した場合でも部品交換が容易である。
【0050】
尚、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように本発明に係る飲料容器は、ロックボタンとU字ロックとの回動中心に1本のロック回動軸を設けたものを示したが、複数本のものを同一軸線状に配置するようにしてロック回動軸を設けるようにするなど各種の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0052】
2 容器本体
2A 開口端部(上部開口部)
11 栓本体
13 蓋体
14 蓋ヒンジ部
18 ロック機構
21 U字ロック
30 支持部(ロック受部)
33 係止受け部(ロック受部)
36 第1のアーム部
37 ロック外装部材
38 係合凹部(係合部)
39 第2のアーム部
40 ロック係止部材
43 ロックヒンジ部
44 貫通孔
46 ロック係止突起
47 第1の係止突起受部
49 第2の係止突起受部
51 切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料用容器本体の上部開口部に被着される栓本体と、
前記栓本体の一端に蓋ヒンジ部により軸支され、前記栓本体の前記上部開口部を開閉自在に開閉する蓋体と、
前記栓本体の他端で前記蓋体を閉状態に保持するロック機構を有する飲料用容器の栓体において、
前記ロック機構は栓本体又は蓋体のいずれか一方に回動自在に軸支され、両側に第1のアーム部を備えた略U字形状とし、前記第1のアーム部の両基端にロックヒンジ部を備えたロック部材と、
前記ロック部材の回動端点のいずれか一方で前記ロック部材と対応するロック受部とを有し、
前記ロック部材は、剛性体のロック外装部材と、前記ロック外装部材に係合される弾性体のロック係止部材で構成され、
前記ロック外装部材は、前記第1のアーム部の両側に貫通孔を設け、
前記ロック係止部材は、前記ロック外装部材の前記第1のアーム部に対応する両側に第2のアーム部を備えた略U字形状とし、前記貫通孔に外側から挿入されるロック係止突起を前記第2のアーム部両端に内側方向に備え、前記ロック係止突起が少なくとも前記蓋体を閉状態に保持する状態で、前記栓本体又は前記蓋体のいずれか一方に設けられた前記ロック受部の係止突起受部に弾性を伴って係止されることを特徴とするロック付き飲料用容器の栓体。
【請求項2】
前記ロック係止部材が、前記ロック外装部材の外面に設けられた係合部に弾性的に係合されることを特徴とする請求項1記載のロック付き飲料用容器の栓体。
【請求項3】
前記ロック外装部材の一部に切欠部を設け、前記切欠部から前記ロック係止部材の一部が露出していることを特徴とする請求項1又は2に記載のロック付き飲料用容器の栓体。
【請求項4】
前記切欠部を、前記ロック外装部材の略U字形状の内周面に貫通して形成し、前記ロック係止部材を着脱自在に配置したことを特徴とする請求項3記載のロック付き飲料用容器の栓体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−107679(P2013−107679A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254317(P2011−254317)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(591261602)サーモス株式会社 (76)
【Fターム(参考)】