説明

ロッドアンテナの取付構造

【課題】ロッドアンテナ30と無線通信用基板31とを予め接続コード33で接続した状態で、本体ケース2に対して取付け、取り外し作業を容易にする。
【解決手段】ロッドアンテナ30を本体ケース2に穿設された挿通孔34を介して取付する場合、挿通孔34の直径は、ロッドアンテナ30とL型の取付基部32及び取付け用ホルダ36における先端部である円形環体37のみが本体ケース2の内側から通過し得る程度の大きさである。取付基部32から延びる接続コード33に取付け用ホルダ36を予め挿通させる。接続コード33の一端を無線通信用基板31に予め接続する。ロッドアンテナ30とその取付基部32とを本体ケース2の内部側から挿通孔34を介して外に臨ませ、次いで、ロッドアンテナ30の取付基部32に、取付け用ホルダ36を被嵌させると、大径の挿通孔34の隙間を取付け用ホルダ36の先端部で埋めることができる。その後、本体ケース2の内部の固定部にて、取付け用ホルダ36と取付基部32とを止めネジ43にて固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリや親子式電話機等のための無線通信装置に適用されるロッドアンテナの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、親子式電話機における親機、携帯用のテレビジョン受像機、ラジオ受信機等には、受信用または送信用のアンテナとしてロッドアンテナが本体ケースの外側に突出して立設するように取り付けられた構成が周知である。その場合、ロッドアンテナの基部を合成樹脂製の本体ケースに取り付ける構成として、例えば、特許文献1では、ロッドアンテナの円柱状基部の先端にピンを介してロッドアンテナを折り畳み可能に連結する一方、円柱状基部の小径の雄ねじ部のみを本体ケースに穿設された取付孔から本体ケース内に臨ませ、その雄ねじ部を本体ケースの内面にてナット止めして固定するという構成である。
【0003】
特許文献2では、筒軸状であって、中心導体部とホルダ部をネジ嵌合させて一体形成されるアンテナコネクタの外周の一端には、アンテナコネクタの中心軸と平行にカットされた端面を有する半円環部と、無線機の金属製のフレームとネジ嵌合する第1雄ねじ部と、連なって前記フレームに挿通される円筒軸部と、かしめ結合された同軸ケーブルとをアンテナコネクタの基部に有し、このアンテナコネクタを前記フレームの外面側から天面にネジ嵌合するための第2雄ねじ部をアンテナコネクタの上部に有するものとする。そして、このアンテナコネクタを本体ケースに穿設された取付孔に対して、前記フレームの外側から挿入してねじ嵌合した後、半円環部の端面と当接する回転防止板を前記フレームの内面に固定し、その後、アンテナコネクタとの嵌合孔を設けた操作パネル(外ケース)を外側から挿通して前記第2雄ねじ部をナット締めする構成が開示されている。
【特許文献1】実開昭53−84261号公報
【特許文献2】実開平05−41209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、本体ケース内に配置した無線通信用基板に一端を予め半田付け等したケーブルの他端に円環状の取付片を半田付けにて固定しておき、この取付片を雄ねじ部に被嵌させた状態で前記ナット止めするという作業が必要となる。
【0005】
他方、特許文献2の構成では、上述のように必要部品点数が多いのに加えて、ロッドアンテナをさらにアンテナコネクタに連結しなければならず、取り付け(組み付け)、分解の作業に手間取るという問題があった。
【0006】
いずれにしても、無線通信用基板とロッドアンテナとを前もってケーブルで連結することができず、ケーブルの連結作業の手間(時間)が多く掛かり、これも製造コスト高になる原因となるのであった。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決して、簡単な構成でもって、ケーブルの連結等の組付け作業に手間取らないようにしたロッドアンテナの取付構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明のロッドアンテナの取付構造は、取付基部がL型に形成されたロッドアンテナを本体ケースに着脱可能に装着する取付構造であって、大径鍔部が備えられた取付け用ホルダは前記ロッドアンテナの取付基部に被嵌可能に形成され、前記取付基部から延びる接続コードに前記取付け用ホルダを予め挿通させると共に、前記接続コードの一端が無線通信用基板に接続されており、前記本体ケースには、前記ロッドアンテナとその取付基部のみが本体ケースの内側から通過し得る挿通孔が形成され、前記本体ケースの内部には、前記取付け用ホルダと前記取付基部とを固定するための固定部を有するものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のロッドアンテナの取付構造において、前記挿通孔には前記取付け用ホルダの先端部のみが挿通され、且つ前記大径鍔部が本体ケースの内面に当接されるように構成されているものである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のロッドアンテナの取付構造において、前記固定部には前記取付け用ホルダと前記取付基部とがネジ止めされており、そのネジ固定方向が前記挿通孔の軸線と交差する方向であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載のロッドアンテナの取付構造において、前記無線通信用基板には、第2のアンテナ部材が接続コードを介して連結されており、前記本体ケースの内面には、前記第2のアンテナ部材を前記ロッドアンテナと異なる指向方向となりうるように配置固定するための固定部を備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明の構成では、本体ケースに穿設された挿通孔を介して取り付する場合、挿通孔の直径は、ロッドアンテナとそのL型の取付基部及び取付け用ホルダにおける先端部である円形環体のみが本体ケースの内側から通過し得る程度の大きさである。そして、取付基部から延びる接続コードに取付け用ホルダを予め挿通させると共に、接続コードの一端が無線通信用基板に接続されているものであるので、ロッドアンテナとその取付基部とを本体ケースの内部側から挿通孔を介して外に臨ませ、次いで、ロッドアンテナの取付基部に、大径鍔部が備えられた取付け用ホルダを被嵌させると、L型取付基部を通過させる大径の挿通孔の隙間を取付け用ホルダの先端部で埋めることができる。その後、本体ケースの内部の固定部にて、取付け用ホルダと取付基部とを止めネジにて固定すれば良い。ロッドアンテナの取り外しは上記の逆の順序で行える。
【0013】
本発明では、ロッドアンテナと無線通信用基板とを予め接続コードで連結(接続)した状態で、上述のような組み付け、取り外し作業ができるので、ロッドアンテナに関連した複数の部品を予め接続(連結)して1つのユニットとして取り扱いすることができ、これらの部品、ユニットの修理や製品管理、組み立て管理が容易となるという効果を奏する。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、挿通孔には取付け用ホルダの先端部である円形環体のみが挿通し、且つ大径鍔部が本体ケースの内面に当接するように構成されているものであるので、ロッドアンテナの取付基部に、大径鍔部が備えられた取付け用ホルダを被嵌させると、L型取付基部を通過させる大径の挿通孔の隙間を取付け用ホルダの先端部で埋めることができるという効果を奏する。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、前記固定部には前記取付け用ホルダと前記取付基部とがネジ止めされており、ロッドアンテナの取付基部と取付け用ホルダとの固定部における固定方向が挿通孔の軸線と交差する方向であるので、本体ケースの内面に設ける取付支持部の箇所の設定が容易で、広範囲に選択できる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、無線通信用基板には、第2のアンテナ部材が接続コードを介して連結されており、本体ケースの内面には、第2のアンテナ部材をロッドアンテナと異なる指向方向となりうるように配置固定するので、本体ケースを配置する向きを変えても、コードレスの子機との送受信の性能を悪化させることがないという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0018】
図1は本発明の一実施形態に係る多機能装置の外観斜視図、図2は上部ケース(スキャナ部)をハウジング(本体ケース)に対して上開きした状態の斜視図、図3は記録部の要部側断面図、図4はロッドアンテナ及び無線通信用基板等の組み込み前の分解斜視図、図5(a)〜(c)はロッドアンテナを示す図、図6(a)〜(g)は取付け用ホルダを示す図、図7はロッドアンテナ及び無線通信用基板等の組み込み状態を示す斜視図、図8はロッドアンテナの取付け部分を示す要部拡大側断面図である。
【0019】
本実施形態は、画像記録装置の一例である、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能及びコードレス電話機能を備えた多機能装置1(MFD:Multi Fun-ction Device )に本発明を適用したものである。多機能装置1は、図示されていないコンピュータや電話通信網に接続可能であり、このコンピュータや他のファクシミリ装置から送信された画像データや文書データに基づいて、被記録媒体の一例としての記録用紙に画像や文書を記録することができる。また、多機能装置1は、デジタルカメラ等の外部機器と接続されてデジタルカメラから出力される画像データを記録用紙に記録することができる。
【0020】
本実施形態では、図1に示すように、合成樹脂製の本体ケース(ハウジング)2の下部にプリンタ部(記録部)7が備えられている。そして、本体ケース2の底部のカセット収納部(収納空間)に対して、本体ケース2の前側に開口された挿入口2aから挿抜可能(実質上水平方向に出し入れ可能)な給紙カセット3が配置されている。以下、合成樹脂製の本体ケース2の挿入口2aがある側を前側または前方といい、これを基準に装置の前側、左右側、後側(奥側)という。本体ケース2の前面部にはスロット部6が備えられ、このスロット部6にメモリカード等の各種記憶媒体が装填されることによって当該記憶媒体に記憶された画像データ等を記録用紙に記録することも可能である。
【0021】
本体ケース2の上部には、コピー機能やファクシミリ機能における原稿読取などのための画像読取装置(スキャナ部)12が画像読取部ケース12a内に配置されている。そして本体ケース2は、後述する記録部7や給紙カセット3、インクカートリッジの収納部15を収容した合成樹脂製等の内枠体(図示せず)の外側を覆う外装カバー体としての機能も有している。
【0022】
本体ケース2の上側には、画像読取装置12の前方に各種操作ボタンや液晶表示部等を備えた操作パネル部14が設けられており、画像読取装置12と操作パネル部14との平面視投影面積内に、記録部7と排紙部10などが配置される。この排紙部10の一側(図1で右側)であって、本体ケース2の前部側に、インクカートリッジの収納装置15(図2参照))が内蔵されている。そして、本体ケース2の前部側に下端を蝶番を介して上下回動して開閉する蓋体2bにて収納装置15の前面側が覆われている。
【0023】
画像読取装置12の上面には、原稿を載置することができる載置用ガラス板(図示せず)が設けられ、その下側に原稿読取り用のイメージスキャナ装置(CIS:Contact Ima-ge Sensor(図示せず))が図3の紙面と直交する方向(主走査方向、以下、X軸方向といい、主走査方向に延びる軸をX軸という)に往復移動可能に設けられている。
【0024】
上記載置用ガラス板を覆う原稿カバー体13はその後端部(図1及び図2で右奥側)が図示しない蝶番を介して画像読取部ケース12aに対して開閉回動自在に取り付けられている。
【0025】
本実施形態では、図3に示すように、給紙カセット3は、被記録媒体としての例えばA4サイズ、レターサイズ、リーガルサイズ、はがきサイズ等にカットされた用紙Pをその短辺が用紙搬送方向(副走査方向、以下、Y軸方向という)と直交する方向(図3において紙面と直交する方向、主走査方向、X軸方向)に延びるようにして複数枚積層(堆積)されて収納できる形態とする。給紙カセット3の上部には、小サイズの用紙(図示せず)を複数枚堆積させて供給する補助カセット3aがY軸方向に移動可能に装着されている。
【0026】
給紙カセット3の奥側(図3において右側)には、用紙分離用の傾斜分離板8が配置されている。他方、本体ケース2側には、上端部に回動軸を備え、この回動軸を中心として上下方向に回動可能なアーム6aが装着されている。このアーム6aの下端部に設けられた給紙ローラ6と、傾斜分離板8とが協働することにより、給紙カセット3及び補助給紙カセット3aに堆積された被記録媒体である用紙Pが一枚ずつ分離搬送される。分離された用紙Pは上横向きのUターンパス(給送路)9を介して給紙カセット3より後方の上側(高い位置)に設けられた記録部7に給送される。記録部7は、プリンタ機能などを実現するためのインクジェット式の記録ヘッド4が搭載された往復動可能なキャリッジ5等からなる。
【0027】
記録部7にて記録された用紙Pがその記録面を上向きにして排出される排紙部10は、補助給紙カセット3aの上側に形成されており、排紙部10に連通する排紙口10a(挿入口2aの上方、図1参照)が本体ケース2の前面に向かって開口されている。
【0028】
記録部7は、図3に示すように、上面開放された枠状のメインフレーム21における左右一対の側板(図示せず)にて支持され、X軸方向(主走査方向)に延びる横長の板状(プレート状)の第1ガイド部材22、第2ガイド部材23と、これら両ガイド部材22、23に跨がって摺動自在に支持(搭載)されて往復移動可能に構成されたキャリッジ5と、記録ヘッド4が搭載されたキャリッジ5を往復移動させるために第2ガイド部材23の上面にそれと平行状にて、プーリに巻回配置された無端ベルトとしてのタイミングベルトと(図示せず)、そのタイミングベルトを駆動するCR(キャリッジ)モータ(実施形態ではDCモータであるが、ステッピングモータ等他のモータでもよい。図示せず)と、記録ヘッド4の下面側にて搬送される用紙Pを支持する板状のプラテン26と、主走査方向に沿って延びるように配置されてキャリッジ5のX軸方向(主走査方向)の位置とその方向の移動速度を検知するための光学式リニアエンコーダの構成部品であるテープスケール(図示せず)等を備える。なお、プラテン26上で用紙Pが通過する方向での用紙搬送方向(矢印A方向、図3参照)の上流側に、第1ガイド部材22が配置され、下流側に第2ガイド部材23が配置されることになる。
【0029】
また、プラテン26を挟んで搬送上流側にレジストローラ対27が配置されている。このレジストローラ対27は用紙Pを記録ヘッド4の下面のノズル面とプラテン26との隙間に搬送する。プラテン26の下流側には、用紙Pの上面に接する拍車28bと下面側の駆動する排紙ローラ28aとが配置されている。この排紙ローラ28aと拍車28bとは記録済みの用紙Pを排紙部10へと搬送する。
【0030】
次に、図4〜図8を参照しながら、本発明に係るロッドアンテナ30及び無線通信用基板31の取付構造について説明する。図4及び図7では、本体ケース2を天地逆にして示している。ロッドアンテナ30は、多機能装置1から離れた位置で通話するためのコードレス電話機(送受話器及びテンキー等の入力部を備えたハンドセット、図示せず)に対して送信電波を発信し且つ受信電波を受信するためのものである。本実施形態のロッドアンテナ30は図1、図5等に示されているように、丸軸状のロッド部30aと、このロッド部30aの下端が連結された側面視L型の取付基部32とからなり、この取付基部32のうち、ロッド部30aの軸線と直交する方向に延びる外筒32aに対して短い長さの内筒32bが丸軸状の外筒32aの軸線回りに略180度程度回動可能に嵌挿されている。そして、取付基部32のコーナ部の内角から外角までの対角線方向の寸法D1(図5(a)参照)は、本体ケース2の縦板部、実施形態では、左右側板2cのうちの一方の側板2cであって、後側板2dに近い部位に穿設された挿通孔34の直径D2(図8参照)より若干小さく設定されている。
【0031】
この構成により、ロッドアンテナ30のロッド部30aが多少長くても、このロッド部30aの先端側を本体ケース2の内側から挿通孔34に挿入し、取付基部32のL型のコーナ箇所を挿通孔34から外に出すことが簡単にできる。
【0032】
取付基部32における内筒32bの一端にはネジ止めのための孔32dを有する矩形状の台座32cが一体的に形成され、また、内筒32bの一端から接続コード(ケーブル)33が延びている。この接続コード33の他端は無線通信用基板31の所定箇所に半田付け等にて固定されている。ここで、無線通信用基板31は、電話回線などの通信網を介して他の電話装置やファクシミリ装置との間で会話(信号)やファクシミリデータの送受信を可能にするためのNCU(ネットワークコントロールユニット)基板である。そして、無線通信用基板31の電子部品が搭載されている側は、電磁波を遮蔽するための金属板製のカバー体35にて覆われている(図4参照)。
【0033】
次に、図6を参照して取付け用ホルダ36の構成が詳細に説明される。取付け用ホルダ36は、ロッドアンテナ30の取付基部32に被嵌された状態で本体ケース2における上記挿通孔34に嵌め込まれることによりロッドアンテナ30を本体ケース2に対して着脱可能に取り付けるためのホルダである。この取付け用ホルダ36は、取付基部32における外筒32aに被嵌する円形環体37とその外周に一体形成された大径鍔部37aと、円形環体37の内径部から上記外筒32aの外周にその軸線に沿って延びる門型の枠部38と、円形環体37の外径部から枠部38と略平行に延びる拘束片39とを有する。そして、枠部38の先端片38aの片面は、上記ロッドアンテナ30の取付基部32における台座32cが載置できるように平面状に形成され、先端片38aに穿設された通孔40と台座32cにおける孔32dとが連通するように構成されている。
【0034】
他方、本体ケース2の内部であって天板2eの内面には、上記挿通孔34の近傍位置に、上記取付け用ホルダ36における門型の枠部38の先端片38aの他面を載置するための取付支持部41が一体的に形成されている(図4、図7及び図8参照)。この取付支持部41には、上記先端片38aに穿設された通孔40と台座32cにおける孔32dとを挿通して止めネジ43にて締着するための雌ねじ部42が形成されている(図8参照)。
【0035】
上記の構成によるロッドアンテナ30の本体ケース2に対する組み付け方法を説明する。まず、接続コード33を取付け用ホルダ36の円形環体37の内径部に通した状態で、ロッドアンテナ30と無線通信用基板31とを予め所定長さの接続コード33にて接続しておく。その場合、取付け用ホルダ36の円形環体37側がロッドアンテナ30における取付基部32に先に嵌まる向きにしておく。
【0036】
次いで、ロッドアンテナ30のロッド部30aの先端部を本体ケース2の内面側から挿通孔34に通した後、取付基部32のコーナ部が挿通孔34を通過するとき90度方向転換させることで、挿通孔34と取付基部32における外筒32aとの軸線がほぼ一致することになる。次いで、挿通孔34に対して本体ケース2の内面側から取付け用ホルダ36の円形環体37を差し込むと、大径鍔部37aが挿通孔34の周辺の本体ケース2の内面に当接できることになる。この状態では、取付基部32における外筒32aより大きい直径の挿通孔34の隙間を円形環体37で埋めることができ、外観が向上する。他方、取付け用ホルダ36における先端片38aの片面と取付基部32における台座32cとが重ね合わされることにより、通孔40と孔32dとが連通した状態となっている。この状態で、取付け用ホルダ36における先端片38aの他面が取付支持部41に載せられ、止めネジ43によって先端片38aと台座32cとが取付支持部41に共締めされるのである(図8参照)。
【0037】
次いで、接続コード33の中途部が、本体ケース2の側板2cの内面に形成されている複数箇所のリブ46a,46b,46cの切欠き部(図示せず)等に嵌め込まれて拘束される。その場合、上記内筒32bから延びる接続コード33の中途部が取付け用ホルダ36における円形環体37と拘束片39との間に通されることで、接続コード33の中途部が弛んで位置ずれすることが防止され得る。さらに、無線通信用基板31は本体ケース2の天板2eの内面に所定箇所にネジ止めされるのである(図7参照)。
【0038】
本実施形態では、上記ロッドアンテナ30の指向方向と異なる指向方向の電波を効率良く送受信するための第2アンテナ部材44が多機能装置1に搭載されるため、図4に示されるように、無線通信用基板31と第2アンテナ部材44とは予め接続されている。本実施形態では、第2アンテナ部材44は扁平な板状である。そして、第2アンテナ部材44は本体ケース2の後側板2dの内面に形成されているリブ46e,46fの切欠き部に差し込まれる。そして、接続コード45の中途部も上記の複数箇所のリブ46a,46b,46cの切欠き部(図示せず)等に嵌め込まれて拘束され、位置固定されるのである。
【0039】
なお、取付け用ホルダ36における円形環体37と拘束片39との間に接続コード33、45の中途部が通過されて拘束されることで、接続コード33、45が自由に位置ずれするのを防止することができる。また、本体ケース2の側板2c等の内面に近接させて接続コード33、45が配線されることにより、ロッドアンテナ30や第2アンテナ部材44は他の電子部品からのノイズを拾い難くなる。
【0040】
上述のように、本発明のロッドアンテナ30の取付構造は、取付基部32がL型に形成されたロッドアンテナ30が本体ケース2に穿設された挿通孔34を介して取り付けられる。この場合、挿通孔34の直径は、ロッドアンテナ30とそのL型の取付基部32及び取付け用ホルダ36における先端部である円形環体37のみが本体ケース2の内側から通過し得る程度の大きさである。そして、取付基部32から延びる接続コード33に取付け用ホルダ36を予め挿通させると共に、接続コード33の一端が無線通信用基板31に接続されている。そのため、ロッドアンテナ30とその取付基部32とを本体ケース2の内部側から挿通孔34を介して外に臨ませ、次いで、ロッドアンテナ30の取付基部32に、大径鍔部37aが備えられた取付け用ホルダ36を被嵌させると、L型取付基部32を通過させる大径の挿通孔34の隙間を取付け用ホルダ36の先端部で埋めることができる。その後、本体ケース2の内部の固定部にて、取付け用ホルダ36と取付基部32とを止めネジ43にて固定すれば良い。ロッドアンテナ30の取り外しは上記の逆の順序で行える。
【0041】
本発明では、ロッドアンテナ30と無線通信用基板31とを予め接続コード33で連結(接続)した状態で、上述のような組み付け、取り外し作業ができるので、ロッドアンテナ30に関連した複数の部品を予め接続(連結)して1つのユニットとして取り扱うことができ、これらの部品、ユニットの修理や製品管理、組み立て管理が容易となるという効果を奏する。
【0042】
挿通孔34には取付け用ホルダ36の先端部である円形環体37のみが挿通し、且つ大径鍔部37aが本体ケース2の内面に当接するように構成されているものであるので、ロッドアンテナ30の取付基部32に、大径鍔部37aが備えられた取付け用ホルダ36を被嵌させると、L型取付基部32を通過させる大径の挿通孔34の隙間を取付け用ホルダ36の先端部で埋めることができるという効果を奏する。
【0043】
そして、固定部である取付支持部41における前記止めネジ43の固定方向が挿通孔34の軸線と交差する方向であるので、本体ケース2の内面に設ける取付支持部41の箇所の設定が容易で、広範囲に選択できる。
【0044】
無線通信用基板31には、第2アンテナ部材44が接続コード45を介して連結されており、本体ケース2の内面には、第2アンテナ部材44がロッドアンテナ30と異なる指向方向となりうるように配置固定されるので、本体ケースを配置する向きを変えても、コードレスの子機との送受信の性能を悪化させることがないという効果を奏する。
【0045】
本発明は、上記本実施形態の電話機能を有する多機能装置の他、無線信号(電波)を送信また受信する電気製品、例えば、ワイヤレス(コードレス)の子機を有する親子電話機における親機、携帯用のテレビジョン受像機、携帯用のラジオなど、ロッドアンテナを使用する各種の電子機器にも適用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係る多機能装置の外観斜視図である。
【図2】画像読取部を本体ケース対して上開きした状態の斜視図である。
【図3】記録部の要部側断面図である。
【図4】ロッドアンテナ及び無線通信用基板等の組み込み前の分解斜視図である。
【図5】(a)はロッドアンテナの側面図、(b)は正面図、(c)は上面図である。
【図6】(a)及び(b)は取付け用ホルダの斜視図、(c)は(a)図のVIc −VIc 線矢視断面図、(d)は取付け用ホルダの上面図、(e)は(d)図の右側面図、(f)は(d)図の左側面図、(g)は正面図である。
【図7】ロッドアンテナ及び無線通信用基板等の組み込み状態を示す斜視図である。
【図8】ロッドアンテナの取付け部分を示す要部拡大側断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 多機能装置
2 本体ケース
2c 側板
30 ロッドアンテナ
30a ロッド部
31 無線通信用基板
32 取付基部
32a 外筒
32c 台座
32d 孔
33、45 接続コード
34 挿通孔
35 カバー体
36 取付け用ホルダ
37 円形環体
37a 大径鍔部
38 枠部
38a 先端片
39 拘束片
40 通孔
41 固定部としての取付支持部
43 止めネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付基部がL型に形成されたロッドアンテナを本体ケースに着脱可能に装着する取付構造であって、
大径鍔部が備えられた取付け用ホルダは前記ロッドアンテナの取付基部に被嵌可能に形成され、
前記取付基部から延びる接続コードに前記取付け用ホルダを予め挿通させると共に、前記接続コードの一端が無線通信用基板に接続されており、
前記本体ケースには、前記ロッドアンテナとその取付基部のみが本体ケースの内側から通過し得る挿通孔が形成され、
前記本体ケースの内部には、前記取付け用ホルダと前記取付基部とを固定するための固定部を有することを特徴とするロッドアンテナの取付構造。
【請求項2】
前記挿通孔には前記取付け用ホルダの先端部のみが挿通され、且つ前記大径鍔部が本体ケースの内面に当接されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のロッドアンテナの取付構造。
【請求項3】
前記固定部には前記取付け用ホルダと前記取付基部とがネジ止めされており、そのネジ固定方向が前記挿通孔の軸線と交差する方向であることを特徴とする請求項1または2に記載のロッドアンテナの取付構造。
【請求項4】
前記無線通信用基板には、第2のアンテナ部材が接続コードを介して連結されており、
前記本体ケースの内面には、前記第2のアンテナ部材を前記ロッドアンテナと異なる指向方向となりうるように配置固定するための固定部を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のロッドアンテナの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−295108(P2007−295108A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118281(P2006−118281)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】