説明

ロボット

【課題】必要な機能を維持しながらも、よりコンパクトに形成されたロボットを提供する。
【解決手段】胴体2と、胴体2に基端が取り付けられるアーム3,4と、アーム3,4の骨格をなすフレーム部材と、フレーム部材に動力伝達可能に連結され、フレーム部材を旋回駆動させるアクチュエータと、フレーム部材とアクチュエータとの連結部においてのフレーム部材の長手方向と重力方向とのなす角度αが90度よりも小さくなるようにフレーム部材の旋回を制限する旋回制限手段とをそなえて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間に替わって手作業を行なうのに好適なロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より製造業においては、種々の産業用機械によって製造工程の自動化が図られている。しかし、繊細な作業や複雑な作業等、人間の手による作業に頼らざるを得ない作業内容も依然として数多く存在している。
特許文献1には、このような事態を改善して製造工程の自動化をより促進させるために、胴体に取り付けられた2本のアームを協働させることにより、より人間に近い作業を行なえるようにした手作業用のロボットが提案されている。
【特許文献1】特開2005−238350号公報)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような、手作業用のロボットは常に小型化することが求められている。即ち、アームの径(太さ)や長さが大きいと、複数のアームを協働させて作業を行なう場合、複数のアームが互いに干渉してしまうという課題がある。
【0004】
また、既存の工場に人間とロボットとをそのまま置き換えるだけで既存の周辺設備や工場レイアウトを流用して工場の設備やレイアウトの変更にかかる費用や時間を低減するためには、必要な性能を維持したまま、ロボットのサイズを人間と同程度に抑制することが望まれている。
本発明はこのような課題に鑑みて創案されたものであり、必要な機能を維持しながらも、よりコンパクトに形成されたロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するために、本願発明(請求項1)にかかるロボットは、胴体と、前記胴体に基端が取り付けられるアームと、前記アームの骨格をなすフレーム部材と、前記フレーム部材に動力伝達可能に連結され、前記フレーム部材を旋回駆動させるアクチュエータと、前記フレーム部材と前記アクチュエータとの連結部においての前記フレーム部材の長手方向と重力方向とのなす角度αが90度よりも小さくなるように前記フレーム部材の旋回を制限する旋回制限手段とをそなえていることを特徴としている。
即ち、フレーム部材の長手方向が水平であるとき、フレーム部材を旋回させるアクチュエータとフレームとの重心の水平方向距離が最大となるので、重力に抗してフレーム部材の姿勢を保つのに必要なアクチュエータの出力トルクが最大となる。
そこで、フレーム部材の長手方向と重力方向とのなす角度αを90度よりも小さい範囲に制限することで、その分、アクチュエータに求められる出力が低減される。
【0006】
また、前記旋回制限手段は、前記角度αが90度に達しないように前記アクチュエータの駆動を制限することが好ましい(請求項2)。
これにより、フレーム部材を旋回させるアクチュエータに求められる出力トルクが低減されるので、ロボットの搬送可能な重量(可搬重量)にかかる性能を維持しながらも、より小型で低出力なアクチュエータを採用することができる。
【0007】
なお、旋回制限手段は、これに限らず例えば角度αが90度に達しないようにフレーム部材の旋回を機械的に規制するものでもよい。
また、よりシンプルには、角度αが90度であるときのアームの重力による負荷トルクよりもアクチュエータの出力性能を小さく設定することで、角度αが90度に達しないように構成してもよい。
【0008】
また、前記アームは、前記アクチュエータを介して直列に連結される複数の前記フレーム部材を有して構成され、前記旋回制限手段は、前記複数のフレーム部材のうち、最も前記胴体側のフレーム部材に連結されるフレーム部材の旋回を制限することが好ましい(請求項3)。即ち、旋回制限手段は、胴体から数えて2番目に位置するフレーム部材の旋回を制限する。
即ち、胴体側のフレーム部材と次のフレーム部材との間に介在するアクチュエータは胴体の外側に位置するため、ロボットのサイズに与える影響が大きい。また、アームの基端側のフレーム部材及びこれを旋回させるアクチュエータには、アームの先端側のものと比較してアームの自重に起因する負荷トルクが大きく、アクチュエータのサイズも大きくなる。
このため、最も前記胴体側のフレーム部材に連結されるフレーム部材と重力方向とのなす角度αを90度以下に制限することによって、より効果的にロボットを小型化することができる。
【0009】
前記アームは、前記アクチュエータを介して直列に連結される複数の前記フレーム部材を有して構成され、前記旋回制限手段は、前記複数のフレーム部材のうち、最も前記胴体側のフレーム部材の旋回を制限することが好ましい(請求項4)。
即ち、アームの自重に起因する負荷トルクが最も大きいフレーム部材の角度αが90度に達しないように制限することにより、より効果的にアクチュエータの小型化を図ることができる。
【0010】
また、前記アームが、前記胴体に複数取り付けられていることが好ましい(請求項5)。
即ち、アームがよりコンパクトに構成されるので、複数のアームが協働して作業する際にアーム同士が互いに干渉する領域をより低減することができ、ロボットによる作業の自由度や作業効率を向上することができる。
【0011】
また、前記胴体は、前記胴体を支持する基台に対して旋回可能に取り付けられていることが好ましい(請求項6)。
即ち、旋回制限手段によりアームを構成するフレーム部材の動作が制限された場合でも、胴体そのものを旋回されることにより、アームの可能動作範囲の広く確保することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フレーム部材を旋回させるアクチュエータに求められる出力トルクが低減されるので、必要な性能を維持しながら、より小型で低出力なアクチュエータを採用することができる。
そして、小型で低出力のアクチュエータを使用することでアクチュエータに連結されるアーム(フレーム部材)のサイズも小型化することができるので、能力を低下させることなくロボットをよりコンパクトに構成することができる。
これにより、ロボットが使われる作業現場における省スペース化やサイクルタイムの向上を図ることができる。また、アクチュエータを小型化することができるので、ロボットの電力消費を抑制して省エネを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図を参照して説明する。本実施形態はロボットとして2本のアームを胴体の左右にそなえた双腕ロボットに本発明を適用したものである。
図1〜図5はいずれも本発明の一実施形態にかかるロボットを説明するものであり、図1は、本発明の実施例を示す双腕ロボットの全体構成を模式的に示す正面図、図2はアームを水平に伸ばした状態における右側面を一部透視して示す模式図、図3は双腕ロボットの上面図、図4はアームの動作範囲を示す模式的な正面図、図5は図2の状態においてアームの動作範囲を示す模式的な上面図である。
双腕ロボット(ロボット)1は胴体2,アーム(右腕)3,アーム(左腕)4,基台5により構成されている。また、ロボット1はコントローラ(旋回制限手段)6とはケーブル8によって接続されている。
【0014】
基台5は、図示しない工場などのフロアに固設されている。なお、基台5は図示しない走行軸を有する可動テーブルなどに固設して、可動テーブルとともに移動可能に構成してもよい。
基台5は胴体2を回転可能に支持しており、胴体2は、胴体2に内蔵される図示しないアクチュエータによって基台5に対して図中の軸θを回転軸として回転(旋回)するように構成されている。
胴体2の上部には2本のアーム3,4が設けられている。各アームは後述のように多関節のロボットで構成されている。アクチュエータによって旋回駆動して様々な姿勢をとるようになっている。
【0015】
コントローラ6はコンピュータ等により構成されており、各アーム3,4の動作を制御するようになっている。これにより、各アーム3,4がコントローラ6に予め教示された所望の姿勢で動作して作業を行うようになっている。
また、本実施形態では、アーム3及びアーム4の2つのアームをコントローラ6で協調して制御するようになっており、2つのアームを協働させて精度が高く多様な作業を行えるようになっている。
【0016】
以下、アーム3及びアーム4の構成について説明するが、アーム3とアーム4とは、それぞれ左右対称であることを除いて同様に構成されているため、アーム3の構成についてのみ詳細に説明し、アーム4の詳細な説明は省略する。なお、アーム4の構成は添え字をLとして読み変えればよい。
図1に示すように、アーム3は、その骨格をなすフレームR1F,フレームR2F,フレームR3F,フレームR4F,フレームR5F及びフレームR6Fの6個のフレーム部材を備えている。
また、図2,図3に示すように、アーム3は、アクチュエータR1A,アクチュエータR2A,アクチュエータR3A,アクチュエータR4A,アクチュエータR5A,アクチュエータR6A及びアクチュエータR7Aの7個のアクチュエータを備えている。そして、胴体2及び各フレーム部材はそれぞれ各アクチュエータを介して直列に連結されている。
【0017】
各アクチュエータR1A〜R7Aは、それぞれ、サーボモータと減速機とが一体となって構成されており、サーボモータの出力軸に減速機が動力伝達可能に接続されている。サーボモータと減速機とを一体形成することにより、アクチュエータがコンパクトに形成されている。
なお、サーボモータは内部にエンコーダを有しており、コントローラ6によって動作を制御されるとともにサーボモータの回転角度をコントローラ6に送信するようになっている。
【0018】
各アクチュエータR1A〜R7Aは全て同様に構成されているが、サーボモータの出力性能(容量)が異なっている。
各アクチュエータR1A〜R7Aは、アクチュエータの位置よりもアーム3の先端側にあるフレーム、アクチュエータ、エンドエフェクタ及びエンドエフェクタで支持するワークや工具などの重量(可搬重量)を重力に抗して支持できるように出力性能が設定されている。
したがって、各アクチュエータR1A〜R7Aの出力性能はアームの先端側(エンドエフェクタ側)のアクチュエータほど小さくなっているか、または胴体2側の直前のアクチュエータと同等となっている。
また、アクチュエータR1A〜R7Aは出力性能が高いもの程サイズが大きくなるため、各アクチュエータR1A〜R7Aのサイズはアームの先端側(エンドエフェクタ側)のアクチュエータほど小さくなっているか、または胴体2側の直前のアクチュエータと同等となっている。
【0019】
さらに、アクチュエータR1A〜R7Aには全て中空穴7が形成されている。中空穴7は、各アクチュエータのR1A〜R7Aの回転軸に沿ってアクチュエータを貫通している。
各アクチュエータR1A〜R7Aの中空穴7は、それぞれ、各アクチュエータR1A〜R7A用の動力ケーブル及び信号ケーブルが挿通され、胴体2の内部へと配線されている。
また、後述するエンドエフェクタの種類によってはエンドエフェクタが用いる流体用の管や、エンドエフェクタ自身の動力ケーブル、信号ケーブルも中空穴7を通じて配線されるようになっている。
【0020】
アクチュエータR7Aのアームの先端側の端部(以下、アーム3,4の先端側の端部を先端部という)には、エンドエフェクタを取付け可能に構成されたエンドエフェクタ取付部R7Eが設けられている。
エンドエフェクタは、ワークを掴み離しして持ち運びするハンドリング用のハンド、Tig溶接やアーク溶接用の溶接トーチ、スポット溶接用のガン、及び、流体塗料を噴射する塗装ガンなどであり、エンドエフェクタ取付部R7Eには用途に応じた種々のエンドエフェクタが取り付け可能となっている。
【0021】
アクチュエータR1Aは、その出力軸(即ち、減速機の出力軸)R1Jが重力方向(上下方向)Gに対して垂直な面(水平面)と平行な方向Hになるように胴体2の内部に固設されており、出力軸R1Aは、最も胴体2側のフレーム部材であるフレームR1Fの胴体2側の端部(以下、胴体2側の端部を基端部という)に動力伝達可能に接続されている。即ち、アーム3の基端は胴体2に取り付けられている。
アクチュエータR2AはフレームR1Fの先端部に取り付けられており、フレームR1Fに支持されている。また、アクチュエータR2Aの出力軸R2Jは出力軸R1Jに対して直交するように配向されており、フレームR2Fの基端部に動力伝達可能に接続されている。即ち、アクチュエータR2Aが回転駆動することによりフレームR2Fが出力軸R2Jを回転軸として旋回するように支持されている。
【0022】
アクチュエータR3AはフレームR2Fの先端部に取り付けられており、フレームR2Fに支持されている。また、アクチュエータR3Aの出力軸R3Jは出力軸R2Jに対して直交するように配向されており、フレームR3Fの基端部に動力伝達可能に接続されている。即ち、アクチュエータR3Aが回転駆動することによりフレームR3Fが出力軸R3Jを回転軸として旋回するように支持されている。
アクチュエータR4AはフレームR3Fの先端部に取り付けられており、フレームR3Fに支持されている。また、アクチュエータR4Aの出力軸R4Jは出力軸R3Jに対して直交するように配向されており、フレームR4Fの基端部に動力伝達可能に接続されている。即ち、アクチュエータR4Aが回転駆動することによりフレームR4Fが出力軸R4Jを回転軸として旋回するように支持されている。
【0023】
アクチュエータR5AはフレームR4Fの先端部に取り付けられており、フレームR4Fに支持されている。また、アクチュエータR5Aの出力軸R5Jは出力軸R4Jに対して直交するように配向されており、フレームR5Fの基端部に動力伝達可能に接続されている。即ち、アクチュエータR5Aが回転駆動することによりフレームR5Fが出力軸R5Jを回転軸として旋回するように支持されている。
アクチュエータR6AはフレームR5Fの先端部に取り付けられており、フレームR5Fに支持されている。また、アクチュエータR6Aの出力軸R6Jは出力軸R5Jに対して直交するように配向されており、フレームR6Fの基端部に動力伝達可能に接続されている。即ち、アクチュエータR6Aが回転駆動することによりフレームR6Fが出力軸R4Jを回転軸として旋回するように支持されている。
【0024】
アクチュエータR7Aはその出力軸R7Jが出力軸R6Jに対して直交するように配向されており、フレームR6Fに支持されている。
また、上述したようにアクチュエータR7Aの先端側の側部にはエンドエフェクタ取付部R7Eが設けられており、アクチュエータR6Aが回転駆動することによりエンドエフェクタ取付部R7Eが出力軸R7Jを回転軸として回転するようになっている。
【0025】
また、コントローラ6は、上述のようにサーボモータの動作を制御する機能に加え、アーム3及びアーム4の各アクチュエータから受信される各サーボモータの回転角度情報に基づいて、最も胴体2側のフレームR1F,L1Fに連結されるフレーム部材であるフレームR2F,L2Fの長手方向(フレーム部材の基端部から先端部へ延在する方向)と重力方向Gとのなす角度αを算出する機能を有している。
そして、この角度αが予め設定された最大角度α0(degree)(0<α0<90°)に達しないようにアクチュエータR2A,L2Aの駆動をそれぞれ制限するようになっている。
【0026】
次に、最大角度α0の値の設定方法について図4を用いて説明する。図4中の点RPは、出力軸R5Jと出力軸R6軸との交点であり、点LPは出力軸R5Jと出力軸R6軸との交点である。そして、図4中の扇形状に示される領域は、各アクチュエータR1A〜R7Aの駆動によって点RP及び点LPの各点が到達しうる範囲(動作範囲)を示している。
即ち、これらの点RP,LPが到達する範囲内であれば、各アーム3,4は少なくとも先端側の2つのアクチュエータR6A,R7A,L6A,L7Aを用いて精度のよい作業を行なうことができるようになっている。
そして、これら2つの動作範囲が重なる領域(斜線部)Cが、各アーム3,4が協調しながら作業を行いやすい作業領域を示している。
この領域Cは、各フレームR1F〜R6F,L1F〜L6Fの各長さやアクチュエータの数量等によって決定される。
【0027】
ところで、図4の状態においてα(degree)が90度であるとき、即ち、アーム3がフロア(水平面)に対して平行となるような状態のとき、アクチュエータR2Aにかかる負荷Tmaxはそれぞれ最大となる。
この負荷Tmaxは以下の式(1)で表される。




ただし、Ma(i)は各アクチュエータR2A〜R7Aの質量、Ag(i)は、各アクチュエータR2A〜R7Aの重心と各アクチュエータR2Aの回転軸R2Jとの水平方向距離、Mf(i)は各フレームR2F〜R7Fの質量、Ag(i)は、各フレームR2F〜R7Fの重心と各アクチュエータR2Aの回転軸R2Jとの水平方向距離。
【0028】
したがって、角度αのときにアクチュエータR2Aにかかる負荷Tαは以下の式(2)によって表される。



【0029】
つまり、アクチュエータR2Aに要求される出力性能は、最大角度α0(degree)(0<α0<90°)のときにアクチュエータR2Aにかかる負荷Tα0(Tα0=Tmax×cosα0)を満たすものであればよい。α0の値が小さく設定されているほど、アクチュエータR2Aに要求される出力性能は小さく設定される。
したがって、最大角度α0は、各アーム3,4が協調しながら作業を行いやすい作業領域である領域Cをすべて確保した上でより小さい値に設定されることが好ましい。
なお、アーム3のアクチュエータR2Aについてした説明はアーム4のアクチュエータL2Aについても同様である。
【0030】
本発明の一実施形態にかかるロボットはこのように構成されているので、アクチュエータR2A,L2Aに要求される出力性能が低くなり低出力で小型のモータを用いることができる。その分電力の消費を抑えることができる。
即ち、従来のロボットは、各アクチュエータが全て360度回転することを前提としており、その分広い動作範囲を満足するために要求されるアクチュエータの出力性能大きかった。しかし、本実施形態では、角度αが予め設定された最大角度α0(degree)(0<α0<90°)に達しないようにアクチュエータR2A,L2Aの駆動をそれぞれ制限するので、アクチュエータR2A,L2Aに要求される出力性能を低く設定することができる。
【0031】
アクチュエータR2A,L2Aが小さく設定されることによりアクチュエータR2A,L2Aに連結されるフレームR1F,R2F,L1F,L2Fも小型化することができる。その結果、搬送可能な重量(可搬重量)にかかる性能を維持しながらも、ロボット1をコンパクトに形成することができ、ロボット1を設置するスペースを小さくすることができる。これにより、工場等の作業現場にロボット1を高密度に配置することができ、工場のラインにおけるサイクルタイムを向上させることができる。
【0032】
これにより、ロボットが使われる作業現場における省スペース化やサイクルタイムの向上を図ることができる。また、アクチュエータを低出力・小型化した分、電力消費を抑制して省エネルギー化を図ることができる。
アクチュエータR2A,L2Aは、胴体2から左右に突出する各フレームR1F,L1Fにより胴体2外側に支持される上、より胴体2側であるため、要求される出力性能が大きくロボット1のサイズに与える影響が大きく、アクチュエータR2A,L2Aのサイズを小型化することで、より効果的にロボット1を小型化することができる。
また、コントローラ6によりフレームR2F,L2Fの長手方向と重力方向Gとのなす角度αが最大角度α0を超えないようにアクチュエータR2A,L2Aの動作が制御されるので、アクチュエータR2A,L2Aの出力性能を超える位置(即ち、角度α0以上の範囲)を目標としてアクチュエータR2A,L2Aが駆動されることがなく、アクチュエータR2A,L2Aが過度に昇温するなどの不都合を回避することができる。
【0033】
また、アーム3,4の太さが小型化されることにより、領域Cにおいてアーム3,4が協働して作業する際にアーム3,4が互いに干渉することを低減することができ、ロボット1の作業の自由度や作業効率を向上することができる。
フレーム部材R2A,L2Aの動作が制限された場合でも、図5に示すように、最も胴体2側のフレームR1F,L1Fを水平にした状態で胴体2を軸θを回転軸として旋回させることにより、アーム3,4の可能動作範囲、及び、各アーム3,4が協調しながら作業を行いやすい作業領域である領域Cを水平方向に広く確保することができる。
【0034】
次に本実施形態の変形例について説明する。本変形例は、コントローラ6の機能を除いて実施形態と同様に構成されており、実施形態と同様である部分については説明を省略し同符号を用いて説明する。
本変形例では、コントローラ6は、最も胴体2側のフレームR1F,L1Fの長手方向と重力方向Gとのなす角度αsを算出する機能を有している。
そして、この角度αsが予め設定された最大角度αs0(degree)(0<αs0<90°)に達しないようにアクチュエータR1A,L1Aの駆動をそれぞれ制限するように設定されている。
【0035】
本発明の実施形態の変形例はこのように構成されているので、要求される出力性能が最も大きいアクチュエータR1A,L1Aを小型化することができ、より効果的にロボット1の小型化を図ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述の実施形態及びその変形例では、2本のアームを有する双腕ロボットを例に説明したが、ロボットに設けられるアームは2本に限らず1本でも3本以上でもよい。
また、アームを構成するフレーム部材及びアクチュエータの数についても上述の実施形態に限定されることなく、適宜設定可能である。
【0036】
旋回制限手段についても実施形態のものに限定されない。例えば、フレーム部材の長手方向と重力方向とのなす角度αが90度に達しないようにフレーム部材の旋回を機械的に規制するものを旋回制限手段として用いてもよい。
また、よりシンプルな旋回制限手段として、アクチュエータの出力性能を上述の式(1)におけるTmaxよりも小さく設定することで、フレーム部材の長手方向と重力方向とのなす角度αが90度に達しないように構成してもよい。
さらに、旋回制限手段により、旋回が制限されるフレーム部材の位置についても適宜適用可能であり、アームを構成するフレーム部材のうちの単数及び複数のいずれのフレーム部材にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態を説明するものであり、双腕ロボットの全体構成を模式的に示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態を説明するものであり、アームを水平に伸ばした状態における右側面を一部透視して示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態を説明するものであり、双腕ロボットの上面図である。
【図4】本発明の一実施形態を説明するものであり、アームの動作範囲を示す模式的な正面図である。
【図5】本発明の一実施形態を説明するものであり、アームの動作範囲を示す模式的な上面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 双腕ロボット(ロボット)
2 胴体
3 アーム(右腕)
4 アーム(左腕)
5 基台
6 コントローラ
7 中空穴
8 ケーブル
R1J,R2J,R3J,R4J,R5J,R6J,R7J 出力軸(回転軸)
R1F,R2F,R3F,R4F,R5F,R6F フレーム(フレーム部材)
R1A,R2A,R3A,R4A,R5A,R6A,R7A アクチュエータ
L1J,L2J,L3J,L4J,L5J,L6J,L7J 出力軸(回転軸)
L1F,L2F,L3F,L4F,L5F,L6F フレーム(フレーム部材)
L1A,L2A,L3A,L4A,L5A,L6A,L7A アクチュエータ
R7E,L7E エンドエフェクタ取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体と、
前記胴体に基端が取り付けられるアームと、
前記アームの骨格をなすフレーム部材と、
前記フレーム部材に動力伝達可能に連結され、前記フレーム部材を旋回駆動させるアクチュエータと、
前記フレーム部材と前記アクチュエータとの連結部においての前記フレーム部材の長手方向と重力方向とのなす角度αが90度よりも小さくなるように前記フレーム部材の旋回を制限する旋回制限手段と、をそなえている
ことを特徴とする、ロボット。
【請求項2】
前記旋回制限手段は、前記角度αが90度に達しないように前記アクチュエータを制御する
ことを特徴とする、請求項1記載のロボット。
【請求項3】
前記アームは、前記アクチュエータを介して直列に連結される複数の前記フレーム部材を有して構成され、
前記旋回制限手段は、前記複数のフレーム部材のうち、最も前記胴体側のフレーム部材に連結されるフレーム部材の旋回を制限する
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のロボット。
【請求項4】
前記アームは、前記アクチュエータを介して直列に連結される複数の前記フレーム部材を有して構成され、
前記旋回制限手段は、前記複数のフレーム部材のうち、最も前記胴体側のフレーム部材の旋回を制限する
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項5】
前記アームが、前記胴体に複数取り付けられている
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項6】
前記胴体は、前記胴体を支持する基台に対して旋回可能に取り付けられている
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−279712(P2009−279712A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135185(P2008−135185)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】