説明

ロータリ耕耘機

【課題】上げ下げされる可動部を複数備えたロータリ耕耘機において、各可動部を電動モータによって上げ下げさせるに際して、コスト低下、重量軽減、誤操作防止を図る。
【解決手段】可動部28,9,8を上げ下げさせるための可動部操作装置33L,85,108を各可動部28,9,8に対してそれぞれ設け、各可動部操作装置33L,85,108は、可動部28,9,8を上げ下げさせるべく軸芯廻りに回転操作される回転操作杆を備え、各回転操作杆の軸芯方向一端側に、該回転操作杆を電動モータ56によって回転駆動させるべく、該電動モータ56の出力軸62を嵌脱自在に嵌合させるための嵌合部を設け、各可動部操作装置33L,85,108の回転操作杆の嵌合部を、一つの電動モータ56の出力軸62を嵌合できるよう形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の牽引車輌に装着されて圃場を耕耘するロータリ耕耘機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータリ耕耘機として特許文献1にて開示されたものがある。このロータリ耕耘機は、トラクタの後部に三点リンク機構を介して装着される機枠と、圃場を耕耘する耕耘部と、この耕耘部を覆う耕耘カバーと、ゲージ輪や培土器等の農器具が取り付けられる揺動支持フレームとを備えている。
機枠は、ギヤケースから左右にサポートフレームを突設すると共に、左側サポートアームの突出端部に伝動ケースの上部を取付固定し、右側サポートアームの突出端部にサイドフレームの上部を取付固定して門型に構成されてなる。
【0003】
耕耘部は、機枠の伝動ケースとサイドフレームの下部間に左右軸廻りに回転自在に支架された爪軸と、該爪軸上に取り付けられた多数の耕耘爪とを備えてなり、ギヤケースに備えられたPIC軸に入力された動力をギヤケース内に設けられたベベルギヤ伝動機構を介して左側サポートアーム内の伝動軸に伝動すると共に該伝動軸から伝動ケース内のチェーン伝動機構を介して爪軸に伝達し、該爪軸を回転駆動するよう構成されている。
【0004】
耕耘カバーは、耕耘部の上方を覆う上部カバーと、耕耘部の後方を覆う後部カバーとを備え、後部カバーは、その前端側(上端側)が上部カバーの後端側に左右軸廻りに回動自在に枢支されていて左右軸廻りに上下動自在とされている。
揺動支持フレームは、左右各サポートフレームに前端側が左右軸廻りに回動自在に枢支連結された左右一対の支持アームと、左右支持アームの前後方向中途部を連結する連結杆と、左右支持アームの後端に固着された左右方向のツールバーとを備えてなる。
【0005】
この揺動フレームのツールバーに、ゲージ輪や培土器が取り付けられる。
培土器は、ツールバーに左右軸廻りに回動自在に支持されていて、対地作業を行う作業位置と、この作業位置から左右軸廻りに上方に回動させた非作業位置とに位置変更自在とされている。
この培土器は、昇降操作装置によって上下に回動操作自在とされ、該昇降操作装置は、培土器を上げ下げさせるべく軸芯廻りに回転操作される回転操作杆と、この回転操作杆を回転駆動する電動モータとを備えていて、電動モータによって回転操作杆を回転操作することにより、培土器の上げ下げ作業の労力を軽減させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−72957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記ロータリ耕耘機にあっては、上げ下げされる可動部としては、培土器だけでなく、ゲージ輪(後2輪)をも取り付けることができる揺動支持フレームや後部カバーがあるが、これら揺動支持フレーム、後部カバーも、作業者の労力軽減を図る為、電動モータの駆動力によって上げ下げすることが考えられている。
この場合、培土器と、揺動支持フレームと、後部カバーとの各々に対して電動モータを有する昇降操作装置を設けると、コストアップを招くと共に重量アップとなる。また、トラクタ側に前記電動モータを入り・切りするスイッチを設けて電動モータの駆動を遠隔操作する場合、スイッチが複数存在することにより誤操作することが考えられる。
【0008】
そこで、本発明は、前記問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、上げ下げされる可動部を複数備え、この可動部を上げ下げさせるための可動部操作装置を各可動部に対してそれぞれ設け、各可動部操作装置は、可動部を上げ下げさせるべく軸芯廻りに回転操作される回転操作杆を備え、この回転操作杆を回転駆動する電動モータを備え、各回転操作杆の軸芯方向一端側に、該回転操作杆を前記電動モータによって回転駆動させるべく、該電動モータの出力軸を嵌脱自在に嵌合させるための嵌合部を設け、前記各可動部操作装置の回転操作杆の嵌合部が一つの電動モータの出力軸を嵌合できるよう形成されていることを特徴とする。
【0010】
これによると、一つの電動モータで操作することができるので、該電動モータを付け替えるだけで夫々の可動部材を無理なく動かすことができるものでありながら、可動部を間違えることなく操作することができる。
また、各可動部操作装置の回転操作杆は、軸芯方向一端側の前記嵌合部が前側を向くように配置されているのがよい。
【0011】
これにより、一の回転操作杆から他の回転操作杆へと電動モータを付け替える際において、回転操作杆の前側(同じ側)で該モータの付替え作業が行え、例えば、トラクタの運転席側、若しくはロータリ耕耘機の後方側に廻ったりすることなく電動モータの着脱操作をすることができる。
また、前記電動モータに、可動部操作装置側に設けた抜止め部に係合して出力軸の嵌合部からの抜け止めをするための係合部材と、可動部操作装置側に設けた回止め部に係合して電動モータの本体部分の出力軸廻りの回転を規制する回転規制部材とを設け、
各可動部操作装置の抜止め部及び回止め部が、一つの電動モータの係合部材及び回転規制部材を係合することができるよう形成されているのがよい。
【0012】
これによれば、電動モータの抜け止めや回止めが簡単な構成でできる。
また、トラクタの後部に着脱自在に装着される機枠を備え、この機枠に、不使用時に電動モータを保持する保持部材を設けてもよい。
これにより、電動モータの不使用時に電動モータを保持部材に保持させておくことができ、また、可動部の上げ下げ操作を行わないときには、電動モータを保持部に保持させておくことにより、迂闊に可動部を動かさないようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、各可動部操作装置の回転操作杆の嵌合部が一つの電動モータの出力軸を嵌合できるよう構成されているので、一つの電動モータを各可動部操作装置に対して付け替えて使用することにより、該一つの電動モータで各可動部を上げ下げすることができ、可動部操作装置の各々に電動モータを設ける場合に比べて、コスト低下、重量軽減を図ることができる。
【0014】
また、可動部操作装置の各々に電動モータを設けると共に各電動モータの駆動を遠隔操作するようにした場合、電動モータを入り・切りするスイッチが複数存在することにより誤操作することが考えられるが、一つの電動モータを複数の可動部操作装置に対して付け替えて使用することによって、前述した誤操作をする惧れがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ロータリ耕耘機の側面図である。
【図2】ロータリ耕耘機をトラクタに装着した状態の側面図である。
【図3】ロータリ耕耘機の背面斜視図である。
【図4】機枠上部中央側の背面図である。
【図5】弾下装置の側面断面図である。
【図6】弾下装置に駆動装置を装着した状態の平面図である。
【図7】弾下装置に駆動装置を装着した状態の正面図である。
【図8】弾下装置に駆動装置を装着した状態の側面断面図である。
【図9】駆動装置の斜視図である。
【図10】駆動装置の斜視図である。
【図11】(a)は駆動装置の平面一部断面図、(b)は駆動装置の出力軸部分の一部断面図である。
【図12】駆動装置の正面図である。
【図13】ゲージ輪を揺動フレームに取付けた状態の側面図である。
【図14】高さ調整装置の側面断面図である。
【図15】高さ調整装置に駆動装置を装着した状態の平面図である。
【図16】高さ調整装置に駆動装置を装着した状態の正面図である。
【図17】高さ調整装置に駆動装置を装着した状態の側面断面図である。
【図18】培土器操作装置の側面構成図である。
【図19】培土器操作装置の前部の平面断面図である。
【図20】培土器操作装置に駆動装置を装着した状態の平面図である。
【図21】培土器操作装置に駆動装置を装着した状態の側面断面図である。
【図22】(a)は取付状態での保持部材の側面図、(b)は取付状態での保持部材の平面図である。
【図23】保持部材に駆動装置を保持した状態での側面図である。
【図24】保持部材に駆動装置を保持した状態での背面断面図である。
【図25】保持部材に駆動装置を保持した状態での平面概略図である。
【図26】変形例に係る平面図及び側面断面図である。
【図27】他の変形例に係る平面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1〜3において、1はトラクタ2等の牽引車輌の後部に三点リンク機構3等の装着機構を介して昇降可能に装着されるロータリ耕耘機である。
このロータリ耕耘機1は、トラクタ2に三点リンク機構3を介して取り付けられる機枠4と、土壌を耕耘する耕耘部5と、この耕耘部5を覆う耕耘カバー6と、ゲージ輪7や培土器8等の農器具が取り付けられる揺動支持フレーム9とを備えている。
【0017】
三点リンク機構3は、上部の1本のトップリンク11と、下部の左右一対のロワーリンク12とを備え、トップリンク11及び左右各ロワーリンク12の前端側はトラクタ2側に枢着され、トップリンク11と左右各ロワーリンク12の後端側には、連結枠13が取り付けられている。
本実施形態ではサイドドライブ方式のロータリ耕耘機1が例示され、前記機枠4は、左右方向中央部のギヤケース14から左右両側にサポートアーム15を延出すると共に左側サポートアーム15の延出端に伝動ケース16の上部を取り付け、右側サポートアーム15の延出端にサイドフレーム17の上部を取り付けて門型状に主構成されている。
【0018】
ギヤケース14の上部にはトップマスト18が上方突出状に設けられ、このトップマスト18は前後二股状に形成され、該トップマスト18の前上部には前記連結枠13の上部の上係合部が下側から係合する(又はトップリンク11の後端側が直接枢支連結される)上連結ピン19が設けられている。
図4にも示すように、左右の各サポートアーム15にはそれぞれ連結ブラケット20が設けられ、各連結ブラケット20の前部には前記連結枠13の下部の下連結部が後方側から連結される(又はロワーリンク12の後端側が直接枢支連結される)下連結ピン21が設けられている。
【0019】
耕耘部5は、伝動ケース16とサイドフレーム17との下部間に左右方向の軸芯廻りに回転自在に支架された爪軸22と、この爪軸22に取り付けられた多数の耕耘爪23とから構成されている。
トラクタ2のPTO軸24からジョイント軸25を介してギヤケース14のPIC軸26に伝達された動力は、ギヤケース14内のベベルギヤ伝動機構に入力されると共に該ベベルギヤ伝動機構から左側サポートアーム15内の伝動軸、伝動ケース16内のチェーン伝動機構を経て爪軸22に伝達され、爪軸22が矢示A方向に回転駆動されることにより、耕耘部5が回転駆動されるように構成されている。
【0020】
耕耘カバー6は、耕耘部5の上方を覆う上部カバー27と、耕耘の後方を覆う後部カバー28とを備えている。後部カバー28は上端側が上部カバー27の後端側に回動支軸29を介して左右方向の軸芯廻りに回動自在に枢支されていて、前記回動支軸29の軸芯廻りに上下揺動自在とされている。
前記後部カバー28は、本実施形態では、上端側が前記回動支軸29を介して枢支されたカバー本体と、このカバー本体の下端側に着脱自在に取り付けられた整地カバーとを有する。
【0021】
また、後部カバー28は下端側が接地して耕耘部5で耕耘された圃場を整地する。
左右の各サポートアーム15には前ブラケット31が設けられ、後部カバー28の背面には前記左右の前ブラケット31に対応して左右一対の後ブラケット32が設けられ、左右同じ側にある前ブラケット31と後ブラケット32とにわたって、後部カバー28を下方(接地方向)に付勢する弾下装置33L,33Rが設けられている。
【0022】
前ブラケット31は、下端側がサポートアーム15に固着された左右の側壁31aと、左右側壁31aの後縁下部側を連結する連結壁31bとから構成され、前記連結ブラケット20の左右方向外方側に配置されている。
なお、前ブラケット31は左右の側壁31a(板材)のみで構成してもよい。
後ブラケット32は左右一対の板材によって構成されている。
【0023】
図5〜図8において、左側(左右一方)の弾下装置33Lは、前ブラケット31に左右方向の軸芯廻りに回動自在に支持された前ホルダ34と、後ブラケット32に左右方向の軸芯廻りに回動自在に支持された後ホルダ35と、前ホルダ34と後ホルダ35とにわたって設けられた筒体(円筒体)からなる支持杆36と、この支持杆36内に前ホルダ34と後ホルダ35とにわたるように収容され且つ後部側に雄ネジ部37を有する回転操作杆38と、この回転操作杆38の雄ネジ部37に後ホルダ35の後側で螺合するストッパ39と、前記支持杆36に軸芯方向位置変更可能に外嵌されたバネ受け部材40と、このバネ受け部材40と後ブラケット32との間で支持杆36に套嵌されたコイルバネからなる付勢バネ41とを有する。
【0024】
前ホルダ34は、軸芯方向が左右方向に直交し且つ上下方向に交叉するように前ブラケット31の左右側壁31a間に配置された筒状(円筒状)のホルダ本体42と、このホルダ本体42及び前ブラケット31の左右側壁31aを左右方向で貫通する支軸43と、この支軸43の前側で前記ホルダ本体42内に収容されたベアリング44とを有する。
前記ホルダ本体42の後端側は拡開状に形成され、該ホルダ本体42の後端側に支持杆36の前端側が挿入されて固着されている。前ホルダ34の支軸43の左右両側は前ブラケット31の左右の側壁31aに左右方向の軸芯廻りに回動自在に支持され、ホルダ本体42はこの支軸43と一体回動自在とされている。
【0025】
前ホルダ34のホルダ本体42の上部及び下部の前記支軸43の貫通部分には、左右方向中央から左右に膨出する補強部45が設けられている。
上側の補強部45の上面及び下側の補強部45の下面は、左右方向及びホルダ本体42の軸芯方向に沿う平坦面に形成されている。
また、前ホルダ34の上面側には四角ブロック状の抜止め部46が設けられ、この抜止め部46は、上側の補強部45の後部の左右方向中央部分に配置されている。また、抜止め部46の左右幅は上側補強部45の左右幅よりも幅狭に形成されている。
【0026】
後ホルダ35は、軸芯方向が左右方向に直交し且つ上下方向に交叉するように後ブラケット32を構成する左右の板材間に配置された筒状(円筒状)のホルダ本体47と、このホルダ本体47の左右両側に設けられた支軸48とから構成されている。
この後ホルダ35のホルダ本体47には、該ホルダ本体47の前側から支持杆36の後部が軸芯方向相対移動自在に挿通されており、支持杆36の後端側が該ホルダ本体47から後方側に突出状とされている。また、支軸48は左右方向で同じ側にある後ブラケット32を構成する板材に左右方向の軸芯廻り回動自在に支持されていて、該支軸48廻りにホルダ本体47が回動自在とされている。
【0027】
回転操作杆38は支持杆36内に同芯状に挿通されている。また、この回転操作杆38の前部は、前ホルダ34の支軸43及びベアリング44を後方側から挿通していて該前ホルダ34に軸芯廻りに回転自在に支持されている。回転操作杆38の後端部は支持杆36の後端近傍で且つ支持杆36内に位置している。
この回転操作杆38の前端側は、前ホルダ34のホルダ本体42から前方側に突出しており、この突出部分に嵌合部材49が設けられている。
【0028】
この嵌合部材49は筒状に形成され、この嵌合部材49の後部側は回転操作杆38の前端側に外嵌されてピンを介して一体回転自在に取り付けられている。
この嵌合部材49と、前ホルダ34の支軸43の後側で回転操作杆38に貫通したピン51とによって前ホルダ34に対する回転操作杆38の軸芯方向の移動規制がなされている。
【0029】
前記嵌合部材49の前部には、前方側に開放状の六角穴からなる嵌合部52が回転操作杆38と同芯状となるように形成されている。
前記ストッパ39は、支持杆36に後端側から軸芯方向移動自在で且つ軸芯廻りに相対回転不能に嵌合されていると共に、回転操作杆38の雄ネジ部37に螺合する雌ネジ部53を有する。
【0030】
右側(左右他方)の弾下装置33Rは、後ホルダ35と、この後ホルダ35と前ブラケット31とにわたって設けられた筒体(円筒体)からなる支持杆36と、この支持杆36に軸芯方向位置変更可能に外嵌されたバネ受け部材と、このバネ受け部材と後ホルダ35との間で支持杆36に套嵌されたコイルバネからなる付勢バネとを有する。
この右側弾下装置33Rの後ホルダ35は、左側弾下装置33Lの前記後ホルダ35と同様に構成されている。また、右側弾下装置33Rのバネ受け部材と付勢バネは、左側の弾下装置33Lのバネ受け部材40と付勢バネ41と同様であり、図示省略している。
【0031】
右側弾下装置33Rの支持杆36の前端側は、前ブラケット31に左右方向の軸芯廻り回動自在で軸芯方向移動不能に支持されている。この支持杆36の後部は後ホルダ35のホルダ本体47に軸芯方向相対移動自在に挿通されている。
また支持杆36の後端側には、後ホルダ35に接当するストッパ(図示省略)が設けられている。
【0032】
前記構成の弾下装置33L,33Rにあっては、後ホルダ35が支持杆36上を軸芯方向に移動することにより後部カバー28が回動支軸29廻りに上下揺動可能であり、付勢バネ41によって後部カバー28の下端側が接地方向に付勢され、バネ受け部材40の位置を変更することにより、付勢バネ41のバネ力が調整可能とされている。
また、左側の弾下装置33Lの回転操作杆38を、ストッパ39が雄ネジ部37を前方側に螺進するように回転させると、後部カバー28が回動支軸29廻りに上方に持ち上げられ、回転操作杆38の回転を止めると持ち上げた位置で該後部カバー28が保持される。また、回転操作杆38をストッパ39が雄ネジ部37を後方側に螺退するように回転させると、後部カバー28が下げられる。
【0033】
前記後部カバー28が、ロータリ耕耘機1に備えられた、上げ下げされる可動部であり、この可動部を上げ下げさせるための可動部操作装置が左側の弾下装置33Lである。
また、本実施形態のロータリ耕耘機1にあっては、後部カバー28(可動部)の上げ下げの労力を軽減するために、電動モータ56を有する駆動装置57が装備されている。
この駆動装置57は、図9〜12に示すように、駆動源である電動モータ56と、前記左側弾下装置33Lの抜止め部46に係合する係合部材58と、前ブラケット31に係合する回転規制部材59と、カバー部材60とを備えている。
【0034】
電動モータ56は、回転動力を正逆転自在に発生させる本体部分であるモータ本体61と、該モータ本体61の回転動力を出力する出力軸62と、モータ本体61の回転動力を出力軸62に伝達する伝動機構(減速機構)を収容した伝動ケーシング63とを有する。
伝動ケーシング63はモータ本体61の回転動力の出力方向一端側に取付固定されている。この伝動ケーシング63からモータ本体61の回転動力の出力方向に直交する方向に前記出力軸62が突出しており、該出力軸62は伝動ケーシング63に回転自在に支持されている。
【0035】
この出力軸62は、伝動ケーシング63に回転自在に支持された基部64と、この基部64から出力軸62の軸芯方向(伝動ケーシング63から突出した方向)に一体的に延出された取付部65と、この取付部65に一体回転自在に外嵌されて抜止めされた筒状の嵌合軸66とから構成されている。
この出力軸62の嵌合軸66は外周面が出力軸62の軸芯と同芯状の六角柱状に形成されており、該嵌合軸66は前記左側弾下装置33Lの回転操作杆38の前端側に設けた前記嵌合部52に回転操作杆38の軸芯方向前側から同芯状に内嵌可能とされている。この嵌合軸66を嵌合部52に内嵌することにより、出力軸62から回転操作杆38に回転動力が伝達可能とされ、該回転操作杆38を軸芯廻りに回転駆動させることができる。
【0036】
前記伝動ケーシング63には、該伝動ケーシング63から出力軸62の突出方向に突出し且つ出力軸62の基部64の周囲に位置する円柱状の取付部67が複数設けられ、この取付部67の突出端側に、板厚方向が出力軸62の軸芯方向に一致するように配置されたベースプレート68がボルト69によって取付固定されている。
図例では、取付部67は3つ設けられ、出力軸62の周方向に等間隔をおいて配置されている。
【0037】
このベースプレート68には出力軸62の嵌合軸66を挿通可能な軸挿通孔70が形成されていて、該軸挿通孔70を出力軸62が挿通している。
前記係合部材58と回転規制部材59は嵌合軸66の周囲に設けられている。
回転規制部材59は一対設けられ、ベースプレート68に一体形成されている。
この一対の回転規制部材59は、ベースプレート68から出力軸62の突出方向(ベースプレート68の板厚方向)に延出されていて、嵌合軸66を挟むように出力軸62の軸芯方向に直交する方向で対向配置されている(一対の回転規制部材59の板厚方向が対向方向に一致している)。
【0038】
また、回転規制部材59は出力軸62の突出端よりも該出力軸62の軸芯方向に突出している。
前記係合部材58は板材によって形成され、出力軸62軸芯方向に直交し且つ回転規制部材59対向方向にも直交する方向で、嵌合軸66の側方に隣接配置されている。
この係合部材58は、出力軸62の軸芯方向に関して長く形成されており、出力軸62の突出端よりも該出力軸62の軸芯方向に突出している。
【0039】
一方、ベースプレート68には前記回転規制部材59の対向方向に平行な方向で対向する一対の枢支壁71が一体形成され、係合部材58の基部側には、各枢支壁71の対向方向内側に位置する被枢支壁72が一体形成されている。
前記一対の枢支壁71及び一対の被枢支壁72を貫通する枢支軸73が設けられ、この枢支軸73を介して、係合部材58が枢支壁71に出力軸62の軸芯方向に直交する方向に平行な軸芯廻りに揺動自在に支持されている。
【0040】
係合部材58には、先端側から基部側に向けて、傾斜状に折曲されてなる指掛け部74と、前記抜止め部46に嵌脱自在に嵌合する嵌合孔75と、第2の嵌合孔76とが並べて形成されている。
また、前記枢支軸73には捩りコイルバネからなるバネ部材77が套嵌されている。このバネ部材77の一端側はベースプレート68に接当し、他端側は係合部材58に接当していて、係合部材58を嵌合軸66に近接させる方向に付勢している。
【0041】
また、係合部材58は嵌合軸66等に接当することにより付勢方向の揺動が規制される。
カバー部材60は、該カバー部材60の一側壁60aを、伝動ケーシング63の取付部67とベースプレート68との間で挟むことにより取り付けられ、該一側壁60aに隣接する2面が開放状とされている。
【0042】
このカバー部材60の前記一側壁60aには、出力軸62の基部64を通すための切欠き78が形成されている。
前記構成の駆動装置57によって後部カバー28の上げ下げを行うには、図6〜8に示すように、先ず、駆動装置57を、嵌合軸66の上側に係合部材58が位置し且つ嵌合軸66の左右両側に回転規制部材59が位置し且つ出力軸62が後方側を向く状態にして、前記回転操作杆38の前方側に配置する。
【0043】
このとき、枢支壁71は出力軸62の上方に位置し且つベースプレート68から後方側に延出して左右方向で対向状であり、被枢支壁72は係合部材58の基部側から上方に延出状であり、枢支軸73の軸芯は左右方向を向いており、係合部材58は左右軸廻りに上下揺動自在で且つ下方に付勢されている。
次に、係合部材58をバネ部材77の付勢力に抗して引き上げて(係合部材58を上方に揺動させて)嵌合軸66から離反させた状態で、出力軸62の嵌合軸66を前記嵌合部52に前方側から挿入する。
【0044】
このとき、左右の回転規制部材59が前ブラケット31にその左右の側壁31aを挟むように嵌合し、回転規制部材59が左右方向で同じ側にある前ブラケット31側壁31aの対向方向外側に位置することにより(回転規制部材59が前ブラケット31側壁31aに係合することにより)、モータ本体61の出力軸62軸芯廻りの回転が規制される。
この前ブラケット31の左右の側壁31aがモータ本体61の出力軸62軸芯廻りの回転を規制する回止め部とされている。
【0045】
この回止め部(前ブラケット31の左右の側壁31a)と前記回転規制部材59とで、モータ本体61の出力軸62軸芯廻りの回転を規制する回転規制手段を構成している。
一方、嵌合軸66を嵌合部52に挿入した後に、係合部材58を下方に揺動させると、嵌合孔75が抜止め部46に嵌合する。これにより、駆動装置57の嵌合軸66が嵌合部52から抜ける方向の移動が規制される(出力軸62の嵌合部52からの抜け止めがなされる)。
【0046】
このとき、係合部材58は、前ホルダ34のホルダ本体42の上側の補強部45の上面に面接触する。また、係合部材58は、バネ部材77によって前ホルダ34のホルダ本体42の上側の補強部45に面接触する方向に付勢されている。
また、駆動装置57を取り外すには、係合部材58をバネ部材77の付勢力に抗して引上げて、抜止め部46から離反させ、この状態で駆動装置57を前方側に移動させて嵌合軸66(出力軸62)を嵌合部52から抜脱させる。
【0047】
前記構成のものにあっては、電動モータ56の出力軸62を左側弾下装置33L(可動部操作装置)の回転操作杆38の嵌合部52に嵌合すると共に係合部材58を揺動させて抜止め部46に係合させるだけで、電動モータ56の出力軸62の嵌合部52からの抜け止めと、電動モータ56の出力軸62軸芯廻りの回転規制とができ、また、係合部材58を揺動させて抜止め部46に対する係合を解除すると共に出力軸62を嵌合部52から離脱させるだけで、電動モータ56が取り外せ、左側弾下装置33L(可動部操作装置)に対する電動モータ56の取付け・取外しを簡単に行うことができる。
【0048】
前記電動モータ56はトラクタ2から電力が給電され、該電動モータ56を駆動するスイッチはトラクタ2の運転席近傍に設けられる。
図13に示すように、前記揺動支持フレーム9は、前後方向に長い左右一対の支持アーム81と、これら左右支持アーム81同士を連結する中間連結部材82と、左右方向に沿って配置されていて左右の支持アーム81の後端側に固定されたツールバー83とから主構成されている。
【0049】
左右の各支持アーム81は、前側の外筒体と該外筒体に後端側から挿入された内筒体とから長さ調整自在に構成され、前記中間連結部材82は前記外筒体同士を連結している。
各支持アーム81の前端側は、機枠4のサポートアーム15に設けられた前記連結ブラケット20の後部に回動支軸84を介して左右方向の軸芯廻りに回動自在に枢支連結されており、揺動支持フレーム9は前記回動支軸84の軸芯廻りに上下揺動自在とされている。
【0050】
前記ツールバー83の左右両側にゲージ輪7が高さ調整自在に且つ着脱自在に取り付けられ、該ツールバー83の左右方向中央側に培土器8が左右方向の軸芯廻りに回動自在で且つ高さ調整自在に取り付けられる。
揺動支持フレーム9を回動支軸84廻りに上げ下げすることにより、ゲージ輪7又は培土器8の高さ調整がなされる。
【0051】
前記トップマスト18と揺動支持フレーム9の中間連結部材82とにわたって、揺動支持フレーム9を上げ下げすることによりツールバー83の高さを調整する高さ調整装置85が設けられている。
前記トップマスト18は左右方向で対向配置された左右一対の前後二股状のプレート18aを相互に連結することにより構成され、揺動支持フレーム9の中間連結部材82には左右一対のブラケット板86が設けられている。
【0052】
図13〜図17において、前記高さ調整装置85は、トップマスト18に左右方向の軸芯廻り回動自在に支持された杆ホルダ87と、ネジ式伸縮構造によって長さ方向伸縮自在に構成された直線状の伸縮杆88と、カバー筒89とを有する。
杆ホルダ87は、トップマスト18の左右プレート18a間の後上部に配置されており、左右両側に左右方向で同じ側にある前記プレート18aに左右方向の軸芯廻りに支持された支軸90を有する。
【0053】
杆ホルダ87には、左右方向に直交し且つ上下方向に交叉する軸芯を有する軸挿通孔91が貫通形成され、該軸挿通孔91の前端側には、ベアリング92が収容されている。
杆ホルダ87の上面は平坦面に形成され、該杆ホルダ87の上面に抜止め部93が設けられている。
この抜止め部93は、杆ホルダ87の上面から上方側に突出する左右一対の突起93aによって構成されている。
【0054】
伸縮杆88は、杆ホルダ87と揺動支持フレーム9の中間連結部材82の左右方向中央部に設けられたブラケット板86とにわたって設けられ、前部の棒状の回転操作杆94と、後部の筒杆95とから構成されている。
前記回転操作杆94の軸芯方向前部は杆ホルダ87の軸挿通孔91及びベアリング92を挿通していて、該回転操作杆94が杆ホルダ87に軸芯廻りに回転自在に支持されている。
【0055】
また、回転操作杆94の軸芯方向後部には雄ネジ部96が形成され、該回転操作杆94の後部側は筒杆95内に軸芯方向前端側から挿入されている。
筒杆95の前端側は縮径されていると共に内周面に回転操作杆94の雄ネジ部96に螺合する雌ネジ部97が形成されている。
また筒杆95の軸芯方向後端側は中間連結部材82に設けた前記ブラケット板86に枢軸98を介して左右方向の軸芯廻り回動自在に枢支連結されている。
【0056】
カバー筒89は、伸縮杆88の前部側に外嵌されており、前端側が杆ホルダ87に固定されている。
図8に示すように、前記回転操作杆94の前端側は、杆ホルダ87から前方側に突出しており、この突出部分に嵌合部材99が設けられている。
この嵌合部材99は筒状に形成され、この嵌合部材99の後部側は回転操作杆94の前端側に外嵌されてピンを介して回転操作杆94に一体回転自在に取り付けられている。
【0057】
この嵌合部材99と、杆ホルダ87の後側に設けられた抜止めプレート100とによって杆ホルダ87に対する回転操作杆94の軸芯方向の移動規制がなされている。
嵌合部材99の前部には、前方側に開放状の六角穴からなる嵌合部101が回転操作杆94と同芯状となるように形成されている。
なお、回転操作杆94は前記抜止めプレート100を軸芯廻りに回転自在に貫通しており、抜け止めプレート100はカバー筒89に回転操作杆94の軸芯廻りに回転不能に係合している。
【0058】
前記構成の高さ調整装置85にあっては、回転操作杆94を軸芯廻りに回転させて雄ネジ部96と雌ネジ部97とを螺合させることにより伸縮杆88が長さ方向に伸縮する。これにより、揺動支持フレーム9が回動支軸84廻りに上下に揺動する。
この揺動支持フレーム9も、ロータリ耕耘機1に備えられた、上げ下げされる可動部であり、該可動部を上げ下げさせるための可動部操作装置が前記高さ調整装置85である。
【0059】
そして、この高さ調整装置85の回転操作杆94も、前述した駆動装置57によって回転駆動可能とされている(後部カバー28を上げ下げする駆動装置57と同じ駆動装置57によって揺動支持フレーム9を上げ下げすることができる)。
すなわち、前記電動モータ56の出力軸62の嵌合軸66は高さ調整装置85の回転操作杆94の前方側の嵌合部101に該回転操作杆94の軸芯方向前側から同芯状に内嵌可能とされ、この嵌合軸66を嵌合部101に内嵌することにより、出力軸62から回転操作杆94に回転動力が伝達可能とされて、該回転操作杆94を軸芯廻りに回転駆動させることができるよう構成されている。
【0060】
また、係合部材58の嵌合孔75は、電動モータ56の出力軸62を嵌合部101に嵌合させた状態で、係合部材58を揺動させることにより、高さ調整装置85側の抜止め部93に対して嵌脱自在に嵌合するよう構成されている。
また、駆動装置57の左右の回転規制部材59は、電動モータ56の出力軸62を嵌合部101に挿入した際に、左右の回転規制部材59がトップマスト18にその左右のプレート18aを挟むように嵌合し、回転規制部材59が左右方向で同じ側にあるトップマスト18のプレート18aの対向方向外側に位置することにより、モータ本体61の出力軸62軸芯廻りの回転が規制されるよう構成されている。
【0061】
このトップマスト18の左右のプレート18aが、モータ本体61の出力軸62軸芯廻りの回転を規制する回止め部とされている。
この回止め部(トップマスト18の左右のプレート18a)と前記回転規制部材59とで、モータ本体61の出力軸62軸芯廻りの回転を規制する回転規制手段を構成している。
【0062】
高さ調整装置85に対する駆動装置57の取付け・取外し操作は、前述した、左側弾下装置33Lに対する駆動装置57の取付け・取外し操作と同様であるので、説明は省略する。
なお、前記高さ調整装置85において、伸縮杆88の前部の回転操作杆を雌ネジ部が形成された筒杆によって構成し、伸縮杆88の後部を雄ネジ部を有する棒材によって構成してもよい。
【0063】
図13〜図21において、前記ツールバー83の中央側には装着具102が着脱自在に取り付けられ、この装着具102は支持ブラケット103を有し、この支持ブラケット103に培土器取付具104が回動支軸105を介して左右方向の軸芯廻りに取り付けられ、この培土器取付具104に設けた取付筒106に、培土器8に設けた取付杆107が上下位置調整自在に取り付けられている。
【0064】
これにより、培土器8は前記回動支軸105廻りに上げ下げ自在とされていて、図1に示す対地作業(畝立て作業等)を行う作業位置と、該作業位置から後ろ回りに180°揺動させた非作業位置とに位置変更自在とされている。
また、培土器8は、培土器操作装置108によって上げ下げ操作される。
この培土器操作装置108は、ネジ式伸縮構造によって長さ方向伸縮自在に構成された直杆状の伸縮杆109と、この伸縮杆109と前記培土器取付具104とを連動連結する連動機構110と、前記装着具102に備えられた取付プレート111に取り付けられたカバー体112と、該カバー体112の前部に設けられた左右一対の支持プレート113と、この支持プレート113に枢支された軸受けホルダ114とを有する。
【0065】
伸縮杆109は軸芯方向一端側が前側を向くように配置されていて前後に長く形成されている。この伸縮杆109は、前側の回転操作杆115と、後側のネジ軸116とを有する。
回転操作杆115は、筒状(円筒状)の杆本体117と、この杆本体117の後端側に設けられた螺合部材118とから主構成されている。
【0066】
螺合部材118は、内周面に雌ネジ119が形成された筒体によって構成され、杆本体117の後端に同芯状で且つ杆本体117に連通するように固着されている。
ネジ軸116は、外周面に雄ネジ120が形成された軸本体121と、この軸本体121の後端側に設けられた連結部122とを有し、ネジ軸116の軸本体121が、回転操作杆115の螺合部材118に後方側から螺合している。また、ネジ軸116の軸本体121は、杆本体117内に挿入可能とされている。
【0067】
前記伸縮杆109は、回転操作杆115を軸芯廻りに回転させて螺合部材118がネジ軸116の軸本体121に螺合することにより該ネジ軸116が螺進・螺退して長さ方向(軸芯方向)に伸縮するよう構成されている。
前記連動機構110は、前記装着具102の取付プレート111にピン123を介して枢着されると共に前記ネジ軸116の連結部122にピン124を介して枢着された回動リンク125と、この回動リンク125に一端側がピン126を介して枢着された連結リンク127と、一端側が前記回動支軸105に固定され他端側に前記連結リンク127の他端側がピン128を介して枢着された回動アーム129とから主構成されている。
【0068】
カバー体112は、前記伸縮杆109及び連動機構110の左右両側に配置された側板130と、この左右側板130を上縁前端から後縁下端にわたって連結する連結板131とから主構成されていて、該カバー体112は、装着具102の取付プレート111に取り付けられている。
支持プレート113は、カバー体112の前端側の左右両側に配置され、後部がカバー体112の側板130に取付固定されている。左右の支持プレート113は、前部の左右対向間隔が後部の左右対向間隔よりも広くなるように折曲形成されている。
【0069】
軸受けホルダ114は、左右支持プレート113間の前部側に配置され、左右両側に設けられた支軸132を介して支持プレート113に左右方向の軸芯廻りに回動自在に支持されている。
軸受けホルダ114は、筒状のホルダ本体133内にベアリング134が取り付けられ、このベアリング134を前記回転操作杆115の杆本体117が挿通しており、該回転操作杆115は前記ベアリング134を介して軸受けホルダ114に軸芯廻りに回転自在で軸芯方向移動不能に支持されている。
【0070】
前記支軸132は、ホルダ本体133の左右両側に設けられたプレート部材135に設けられている。
回転操作杆115の杆本体117の前部は軸受けホルダ114から前方側に突出しており、この杆本体117の前端側の内部には、嵌合部材136が設けられ、該嵌合部材136には、六角孔からなる嵌合部137が杆本体117と同芯状に貫通形成されている。
【0071】
軸受けホルダ114のホルダ本体133の上面には、ブロック状の抜止め部138が設けられている。
この抜止め部138は、背面が下方側に行くに従って後方側に移行する傾斜面とされ、上面が前方側に行くに従って下方側に移行する傾斜面とされている。
また、軸受けホルダ114のホルダ本体133の前面側には、杆本体117の左右両側に位置する左右一対の回止め部139が前方側に突出状に設けられている。
【0072】
左右の回止め部139は左右方向で対向配置されており、各回止め部139の対向方向外側には、左右方向外方及び前方に開放状の嵌合凹部140が形成されている。
前記構成の培土器操作装置108によって培土器8を作業位置から非作業位置に上げるには、先ず、図1、18に示す培土器8が作業位置にある状態から、回転操作杆115を軸芯廻りに回転させてネジ軸116を前方側に螺進させると、回動リンク125の上部側が前方側に引動される。
【0073】
回動リンク125の上部側が前方側に引動されると、連結リンク127を介して回動アーム129が後ろ回りに上方に回動する。これによって、培土器取付具104が回動支軸105廻りに回動して、培土器8が非作業位置へと持ち上げられる。
また、培土器8を非作業位置から作業位置にするには、回転操作杆115を軸芯廻りに回転させてネジ軸116を後方側に螺退させる。
【0074】
この培土器8も、ロータリ耕耘機1に備えられた、上げ下げされる可動部であり、該可動部を上げ下げさせるための可動部操作装置が前記培土器操作装置108である。
そして、この培土器操作装置108の回転操作杆115も、前述した駆動装置57によって回転駆動可能とされている(後部カバー28又は揺動支持フレーム9を上げ下げする駆動装置57と同じ駆動装置57によって培土器操作装置108を上げ下げすることができる)。
【0075】
すなわち、前記電動モータ56の出力軸62の嵌合軸66は培土器操作装置108の回転操作杆115の前方側の嵌合部137に該回転操作杆115の軸芯方向前側から同芯状に内嵌可能とされ、この嵌合軸66を嵌合部137に内嵌することにより、出力軸62から回転操作杆115に回転動力が伝達可能とされて、該回転操作杆115を軸芯廻りに回転駆動させることができるよう構成されている。
【0076】
また、係合部材58の嵌合孔75は、電動モータ56の出力軸62を嵌合部137に嵌合させた状態で、係合部材58を揺動させることにより、培土器操作装置108側の抜止め部138に対して嵌脱自在に嵌合するよう構成されている。
また、駆動装置57の左右の回転規制部材59は、電動モータ56の出力軸62を嵌合部137に挿入した際に、左右の回転規制部材59が軸受けホルダ114に設けた左右の回止め部139を挟むように嵌合し、回転規制部材59が左右方向で同じ側にある回止め部139の嵌合凹部140に前方側から挿入して嵌合することにより、モータ本体61の出力軸62軸芯廻りの回転が規制されるよう構成されている。
【0077】
この回止め部139と前記回転規制部材59とで、モータ本体61の出力軸62軸芯廻りの回転を規制する回転規制手段を構成している。
培土器操作装置108に対する駆動装置57の取付け・取外し操作は、前述した、左側弾下装置33L,33Rに対する駆動装置57の取付け・取外し操作と同様であるので、説明は省略する。
【0078】
なお、前記培土器操作装置108の回転操作杆115をネジ軸で形成し、該ネジ軸を軸芯廻りに回転させることにより伸縮杆109が伸縮するように構成されていてもよい。
前記構成のロータリ耕耘機1にあっては、1つの駆動装置57を、ロータリ耕耘機1に装備された複数の可動部(後部カバー28、揺動支持フレーム9、培土器8)に対して、付け替えて使用することにより、各可動部28,9,8を上げ下げさせる可動部操作装置33L,85,108それぞれに駆動装置57を設ける場合に比べて、コストダウンが図れると共に重量軽減が図れると共に、電動モータ56駆動用のスイッチは1つであるので、電動モータ56駆動用のスイッチが複数存在することに起因する誤操作を防止することができる。
【0079】
また、電動モータ56の出力軸62を回転操作杆38,94,115の嵌合部52,101,137に嵌合すると共に係合部材58を揺動させて抜止め部46,93,138に係合させるだけで、電動モータ56の出力軸62の嵌合部52,101,137からの抜け止めと、電動モータ56の出力軸62軸心廻りの回転規制とができ、また、係合部材58を揺動させて抜止め部46,93,138に対する係合を解除すると共に出力軸62を嵌合部52,101,137から離脱させるだけで、電動モータ56が取り外せ、駆動装置57(電動モータ56)の取付け・取外しを簡単に行うことができる。
【0080】
また、各回転操作杆38,94,115に備えられた嵌合部52,101,137は、前側を向いているので、駆動装置57の付け替えを同じ側で行うことができ、駆動装置57(電動モータ56)の取付け・取外し操作を容易に行うことができる(一の回転操作杆38,94,115から他の回転操作杆38,94,115へと電動モータ56を付け替える際において、回転操作杆38,94,115の前側(同じ側)で電動モータ56の付替え作業が行え、例えば、トラクタ2の運転席側、若しくはロータリ耕耘機1の後方側に廻ったりすることなく電動モータ56の着脱操作をすることができる)。
【0081】
前記ロータリ耕耘機1には、駆動装置57を使用しないときに該駆動装置57を保持しておくための保持部材141が設けられている。
この保持部材141を設けることにより、可動部28,9,8の上げ下げ操作をしない時において、不用意に可動部28,9,8を動かさないようにすることができる。
図22〜図25に示すように、この保持部材141は、前記トップマスト18の左側プレート18aの対向方向外面に設けられている。
【0082】
保持部材141は、左側プレート18aにボルト・ナットによって固定された取付プレート142と、この取付プレート142の左側面に固着された支持台143とを有する。
支持台143は、側壁150aと該側壁150aの前後端縁から右方に延びて取付プレート142に固着された前後壁150b,150cとを有する支持台本体150と、この支持台本体150の側壁150aの上端側に固着された載置部材144とを有する。
【0083】
支持台本体150の側壁150a下部には、該側壁150aを切り起こすことにより左方に突出状に形成された規制片145が設けられている。
載置部材144は、上壁146と、この上壁146の前後縁部の右側から下方側に延出された前後の係合壁147とを有する。
この載置部材144の上壁146の前後方向中央部には、左側から右側へ向けて凹設された出力軸挿通部148が形成されている。
【0084】
また、載置部材144の上壁146の左側の前後は載置部149とされ、前側の載置部149は前側の係合壁147より前方側に突出し、後側の載置部149は後側の係合壁147より後方側に突出している。
前記保持部材141に駆動装置57を保持させるには、先ず、出力軸62が下方を向き且つ回転規制部材59が出力軸62の前後に位置し且つ係合部材58が出力軸62の左側に位置する状態で駆動装置57を保持部材141の上方に配置する。
【0085】
次に、係合部材58を左方に揺動させると共に、出力軸62が出力軸挿通部148を挿通するように駆動装置57を下方移動させる。
すると、出力軸62の前後に位置するボルト69の頭部が前後の載置部149上に接当して受持され、これによって駆動装置57の下方移動が規制される。また、同時に、前側の回転規制部材59が前側の係合壁147の前側で且つ支持台本体150の側壁150a前端側と前側の載置部149との間に位置し、後側の回転規制部材59が後側の係合壁147の後側で且つ支持台本体150の側壁150a後端側と後側の載置部149との間に位置し、これにより、駆動装置57の前後左右の移動規制と倒れとが規制される。
【0086】
そして、駆動装置57が支持台143に支持された状態で、係合部材58を右方に揺動させると、係合部材58の第2の嵌合孔76が規制片145に嵌合し(規制片145が第2の嵌合孔76を挿通し)、これにより、駆動装置57の上方移動が規制される。
以上のようにして、駆動装置57を保持部材141に保持させることができる。
前記保持部材141において、規制片145は、係合部材58の嵌合孔75に嵌合させるようにしてもよいが、そうすると、保持部材141の上下方向の寸法が大きくなるが、本実施形態のように、係合部材58に嵌合孔75の基部寄りに第2の嵌合孔76を設け、この第2の嵌合孔76に規制片145を嵌合させるようにすることにより、保持部材141の上下方向の寸法のコンパクト化を図ることができる。
【0087】
本発明は実施形態のものに限定されることはなく設計変更できる。
例えば、前記実施形態では、回転規制部材59は左右一対設けられているが、該回転規制部材59を単一の部材によって構成し、該回転規制部材59を左右の回止め部18a,31a,139間に挿入することにより、モータ本体61の出力軸62軸芯廻りの回転が規制されるよう構成してもよい。
【0088】
また、各回転規制部材59は、回止め部18a,31a,139の対向方向外側に係合するように構成されているが、図26に例示するように、回転規制部材59を、回止め部18aの対向方向外側に係合するように構成してもよい。
また、本実施形態では、出力軸62の嵌合部52,101,137への嵌合動作によって、モータ本体61の出力軸62軸芯廻りの回転が規制されるよう構成しているが、例えば、図27で例示するように、係合部材58の抜止め部138への係合動作によって(係合部材58によって)、モータ本体61の出力軸62軸芯廻りの回転が規制されるよう構成してもよい。
【0089】
係合部材58によってモータ本体61の出力軸62軸芯廻りの回転を規制するように構成することにより、モータ本体61の回止めと抜け止めとを同時に行うことができ、また、部材の削減によるコストダウンも図れる。
図27に示すものにあっては、係合部材58の板幅Wを、トップマスト18の左右プレート18a(左右回止め部)間の間隔に略一致させており、係合部材58を抜止め部138に係合する際に、該係合部材58がトップマスト18の左右プレート18a間に挿入して、モータ本体61の出力軸62軸芯廻りの回転規制が図られるようになっている。
【0090】
したがって、この場合は、係合部材58が回転規制部材59を兼用しており(換言すると、係合部材と回転規制部材とが1つの部材(複数の部材を溶接等によって接合したものを含む)で構成されており)、また、係合部材58と回止め部18aとで、モータ本体61の出力軸62軸芯廻りの回転を規制する回転規制手段が構成されている。
なお、図27では、係合部材と回転規制部材とを1つの部材で構成した例を、高さ調整装置85に採用した例として例示したが、その他の可動部操作装置(左側の弾下装置33L、培土器操作装置108)にも採用してもよい。
【0091】
また、係合部材58に回転規制部材としての機能をもたせることと、係合部材58とは別部材の回転規制部材59を設けることとを併用してもよい。
また、前記構成のロータリ耕耘機1において、上げ下げされる可動部は2以上装備されていればよく、また、本実施形態では、すべての可動部を1つの電動モータ56によって上げ下げする場合について開示したが、3つ以上の可動部を備えている場合であっても、少なくとも2つの可動部を上げ下げするのに、1つの電動モータ56を付け替えることにより可動部を上げ下げできるようになっていればよい。
【0092】
また、3つ以上の可動部を備えている場合であって、2つの可動部を1つの電動モータ56を付け替えることにより上げ下げできるようにした場合、他の可動部は、手動又は他の電動モータによって上げ下げされるように構成される。
また、前記ロータリ耕耘機1にあっては、駆動装置57(電動モータ56)の付け替えの容易化を図るべく、該ロータリ耕耘機1を上昇させてトラクタ2側に近接させた際に、トラクタ2側から駆動装置57の付け替えを行えるように構成することができる。
【符号の説明】
【0093】
4 機枠
8 培土器(可動部)
9 揺動支持フレーム(可動部)
18a プレート(回止め部)
31a 側壁(回止め部)
28 後部カバー(可動部)
33L 弾下装置(可動部操作装置)
38 回転操作杆
46 抜止め部
52 嵌合部
56 電動モータ
59 回転規制部材
61 モータ本体
62 出力軸
85 高さ調整装置(可動部操作装置)
93 抜止め部
94 回転操作杆
101 嵌合部
108 培土器操作装置(可動部操作装置)
115 回転操作杆
137 嵌合部
138 抜止め部
139 回止め部
141 保持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上げ下げされる可動部を複数備え、この可動部を上げ下げさせるための可動部操作装置を各可動部に対してそれぞれ設け、各可動部操作装置は、可動部を上げ下げさせるべく軸芯廻りに回転操作される回転操作杆を備え、この回転操作杆を回転駆動する電動モータを備え、各回転操作杆の軸芯方向一端側に、該回転操作杆を前記電動モータによって回転駆動させるべく、該電動モータの出力軸を嵌脱自在に嵌合させるための嵌合部を設け、前記各可動部操作装置の回転操作杆の嵌合部が、一つの電動モータの出力軸を嵌合できるよう形成されていることを特徴とするロータリ耕耘機。
【請求項2】
各可動部操作装置の回転操作杆は、軸芯方向一端側の前記嵌合部が前側を向くように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のロータリ耕耘機。
【請求項3】
前記電動モータに、可動部操作装置側に設けた抜止め部に係合して出力軸の嵌合部からの抜け止めをするための係合部材と、可動部操作装置側に設けた回止め部に係合して電動モータの本体部分の出力軸廻りの回転を規制する回転規制部材とを設け、
各可動部操作装置の抜止め部及び回止め部が、一つの電動モータの係合部材及び回転規制部材を係合することができるよう形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のロータリ耕耘機。
【請求項4】
トラクタの後部に着脱自在に装着される機枠を備え、この機枠に、不使用時に電動モータを保持する保持部材を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のロータリ耕耘機。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図3】
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【図9】
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【図10】
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