説明

ロードポート装置及び被処理物の検出方法

【課題】 ポッド最上段の予備位置にウエハを収容した場合であっても好適なウエハマッピングを可能なロードポート装置を提供する。
【解決手段】 センサを支持するマッピングフレームを、ポッド内のウエハの重ね合わせ方向に沿った第一の方向に駆動する第一の駆動手段と、センサがマッピングを行い始める側で鋭角を形成するように第一の方向と交錯する第二の方向に駆動する第二の駆動手段とにより駆動することとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造プロセス等において、ポッドと呼ばれる密閉型の搬送容器の内部に保持された被処理物であるウエハを半導体処理装置間で移載する、或いはウエハを該半導体処理装置より該ポッドに移載する際に用いられる所謂FIMS(Front-Opening Interface Mechanical Standard)システム、即ちロードポート装置に関する。より詳細には、付随するポッド内部のウエハ等の有無を検知するマッピング機構に特徴を有するロードポート装置、及びウエハ等、被処理物の有無を検出する方法である所謂マッピング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスは、近年では各種処理装置の内部、ウエハを収容して各処理装置間でのウエハ搬送を可能とするポッド、及び該ポッドより各処理装置への基板の受け渡しを行う微小空間、の3空間のみを高清浄状態に保つことで、プロセスを通じての清浄度の管理を行う手法が一般的となっている。このようなポッドは、ウエハを内部に収容し且つ一側面にウエハ挿脱用の開口を有する本体部と、該開口を閉鎖してポッド内部を密閉空間とする蓋と、から構成される。また、該微小空間は、前述したポッドの開口と対向可能な開口部と、該開口部と向かい合い半導体処理装置側に配置される第二の開口部と、を有する。
【0003】
ロードポート装置は、この開口部が形成された隔壁となる部材即ちサイドベースと称呼される壁と、該開口部を閉鎖するドアと、該ドアの動作を司るドア駆動機構と、ポッドが載置される載置テーブルと、から構成される。載置台は、ポッドの開口と開口部とを向かい合わせるようにポッドを支持可能であり、且つポッドと共に蓋をドアと近接或いは離間させる。ドアは、ポッドの蓋を保持可能であり、ドア駆動機構によって蓋を保持した状態で開口部を開放、閉鎖すると共に、開口部と第二の開口部との間の空間より下方に退避或いは該空間への侵入をさせられる。微小空間内にはロボットが配置され、該ロボットは開口部−ポッド開口を介してポッド内部に対する侵入及び退避が可能であって、第二の開口部も介して該ポッド内部と該半導体処理装置との間でウエハの移載を行う。また、特許文献1に示されるように、ポッドに対してのウエハ挿脱時には、ポッド内にセンサが進入且つウエハの並置方向にセンサを移動させて各段のウエハの有無を調べる所謂ウエハマッピングの操作が為される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4246420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、1つのポッドあたりの基板処理数を最大化すべく、通常25枚のウエハを収容するポッドの本来予備用の最上段にもう一枚のウエハを収容させる試みが為されている。この場合、最上段のウエハとポッドの上側内壁との隙間が狭くなる。しかし、最上段を使用した場合には、マッピング操作時に当該段のウエハを検知するためにはポッド内壁に極めて近い位置でセンサのポッド内への挿入を行う必要がある。このため、センサと内壁の接触を避ける観点からセンサの挿入をゆっくりと行う必要があり工程時間の長時間化が懸念される。特にセンサの昇降、進退等の動作を所謂シリンダ駆動によって行う場合には、単純にこれら動作の同期を図ることが困難であることから、接触防止のための動作精度の向上と動作時間の短縮との両立が困難であった。
【0006】
本発明は以上の状況に鑑みて為されたものであり、ポッド最上段に被処理物たるウエハが存在した場合であっても、マッピング時のポッド内壁とマッピング用のセンサとの接触を防止しつつセンサの動作の高速化が可能なロードポート装置の提供を目的とする。また、センサ動作の高速化を可能とする該ロードポート装置における被処理物の検出方法であるマッピング方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るロードポート装置は、被処理物が挿脱される開口を有して被処理物が所定の重ね合わせ方向に間隔を空けて重なるように収容される密閉容器たるポッドの蓋を開閉して、開口を介してのポッド内に対する被処理物の挿脱の実施を可能とし、且つ被処理物に所定の処理を施す半導体処理装置の取付け面に取り付けられるロードポート装置であって、ポッドが載置可能な載置台と、載置台に載置された状態のポッドの蓋を保持可能であって、取付け面に対して半導体処理装置の内部側から開口部の開閉を行うドアと、ポッド内部の被処理物の有無を検出するセンサと、センサを支持するマッピングフレームと、マッピングフレームを被処理物が重なる所定の重ね合わせ方向に沿った第一の方向に駆動する第一の駆動手段と、マッピングフレームを第一の方向とは斜交する第二の方向に駆動する第二の駆動手段と、を有し、第二の方向は第一の方向に沿う方向とセンサが存在する側で鋭角を形成するように交差することを特徴としている。
【0008】
なお、上述したロードポート装置は、第一の駆動手段によるマッピングフレームの駆動時の状態に応じて第二の駆動手段によるマッピングフレームの駆動の開始時を制御する同期制御手段を更に有することが好ましい。この場合、該同期制御手段は、第一の駆動手段によるマッピングフレームの駆動の減速に応じて第二の駆動手段による前記マッピングフレームの駆動の開始時を制御することが好ましい。また、更に第二の駆動手段は、シリンダにより構成される駆動源からなることがより好ましい。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る被処理物の検出方法は、被処理物が挿脱される開口を有して被処理物が所定の重ね合わせ方向に間隔を空けて重なるように収容される密閉容器たるポッドの蓋を開閉して、開口を介してのポッド内から被処理物を処理する処理装置までの間での被処理物の移動の実施を可能とし、且つポッドの内部に収容された被処理物の有無を検出するロードポート装置における被処理物の検出方法であって、ポッドの蓋取り外して開口を開放し、被処理物の有無を検出するセンサを支持するマッピングフレームを開口の前面に位置させ、マッピングフレームを所定の方向重ね合わせ方向に沿った第一の方向に駆動し、マッピングフレームの第一の方向の移動が終了する前に、第一の方向に沿う方向に対してセンサが存在する側で鋭角を形成するように第一の方向と斜交する第二の方向にマッピングフレームを駆動し、センサを動作させながら第一の方向にマッピングフレームを駆動させることを特徴とする。
【0010】
なお、前述した被処理物の検出方法では、第二の方向へのマッピングフレームの駆動は、第一の方向に沿ったマッピングフレームの駆動時の状態に応じて開始されることが好ましい。この場合、第二の方向へのマッピングフレームの駆動の開始の制御は、第一の方向に沿ったマッピングフレームの駆動の減速に応じて為されることがより好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特にシリンダ駆動のマッピングセンサを用いた場合において、ポッド内最上段に被処理物を収容させた場合であっても、マッピングセンサとポッド上部内壁とが干渉する可能性が低減できる。また、本発明によれば、該干渉の可能性の低減により、センサのポッド内部への挿入速度の高速化を図ることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るロードポート装置にポッドを載置してこれらを側面から見た状態の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示す構成に関して、ドア、マッピングフレーム、マッピングセンサ、及びこれらを駆動するドア駆動機構を抽出して示す図である。
【図3】図2に示す構成における主要物をポッド載置台側から見た状態を示す図である。
【図4】図2に示すドア機構、マッピング機構、及び駆動部取付けベースを更に拡大して示す側面図である。
【図5】ドア機構におけるドア駆動部の主要構成を模式的に示す説明用の図である。
【図6A】ポッド内部に対するマッピングセンサの挿入様式を説明する図である。
【図6B】ポッド内部に対するマッピングセンサの挿入様式を説明する図である。
【図6C】ポッド内部に対するマッピングセンサの挿入様式を説明する図である。
【図6D】ポッド内部に対するマッピングセンサの挿入様式を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について、以下に図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態におけるロードポート装置に関し、ポッド2を載置テーブル上に載置した状態を側面から見た場合の概略構成を示している。また、図2は図1に示す構成に関して、ドア、マッピングフレーム、マッピングセンサ、及びこれらを駆動するドア駆動機構を抽出して示す図であり、図3は図2に示す構成における被処理物をポッド載置台側から見た状態を示す図であり、図4は図2に示すドア駆動機構及びフレーム駆動部を更に拡大して示す側面図である。本形態に係るロードポート装置100は、ロードポート壁101、開口部周囲カバー103、載置台105、下部カバー107、ドア機構110、及びマッピング機構130を有する。なお、図中X軸は載置台105が載置されたポッド2を処理装置200方向に駆動する方向に対応し、Y軸は該X軸と直交してX軸と共に載置台105上のポッド2を支持する平面を規定する方向に対応し、Z軸はXY平面に垂直な方向に対応する。或いはZ軸は、ポッド2内部においてウエハ等被処理物が重ね合わせられる重ね合わせ方向に対応する。本実施形態において、該Z軸は鉛直方向に対応する。
【0014】
ロードポート装置100は、微小空間203を有する処理装置200側の取付け面201に対して、ロードポート壁101を介して固定される。ロードポート壁101には微小空間203における開口部と連通する不図示の連通開口部が設けられ、開口部周囲カバー103は当該連通開口部の周囲を覆って載置台105側に突き出すように配置される。載置台105は取付け面201及びロードポート壁101を挟んで微小空間203の逆側に配置され、ポッド2の開口が該連通開口部と正対するように載置されたポッド2を支持する。ドア機構110及びマッピング機構130は、駆動部取付けベース109に固定される。下部カバー107は載置台105の鉛直下側に配置され、駆動部取付けベース109の昇降動作(図中Z方向に沿った動作)を行う不図示の昇降機構を収容する。
【0015】
ドア機構110は、ドア111、ドアアーム113、及びドア駆動部115を有する。ドア111は前述した連通開口部を閉鎖可能な大きさを有する略平板形状を有し、下方端部においてドアアーム113の一方の端部により支持される。ドア111は載置台105に載置された状態のポッド2の蓋を保持可能であって、取付け面201に対して半導体処理装置側、即ち微小空間203側から開口部の開閉を行う。ドアアーム113は、他方の端部においてドア駆動部115により支持される。ドア駆動部115の構成について、これを模式的に斜視図にて示す図5を参照して以下に説明する。なお、説明の容易可能ために、同図中では実際構成とはその配置をずらせ、且つ後述するドア用駆動源119を点線によって示すこととする。ドア駆動部115は、共にX軸に延在する一対のドア用ガイドレール117、ドア用駆動源119、ドア用スライダ121、ドア用カムフォロア123を有する。一対のドア用ガイドレール117の各々は取付け部材を介して駆動部取付けベース109に固定され、且つドア用スライダ121をX軸に沿って摺動可能に支持する。ドア用スライダ121はドアアーム113を実際に支持しており、該Xドア用スライダ121のX軸に沿った移動に応じてドアアーム113及びドア111の開口部に対する接近及び離間の両動作が為される。
【0016】
また、ドア用スライダ121は、X軸に対して直交する方向に延在して配置されるドア用カム溝121aを有する。ドア用カムフォロア123はドア用カム溝121aに挿貫される。ドア用カムフォロア123はドア用駆動源119によって回動可能に支持されており、該ドア用駆動源119によるドア用カムフォロア123の回転軸はドア用スライダ121に対向する。ドア用駆動源119は、ドア用ガイドレール117と同様に取付け部材を介して駆動部取付けベース109に対して固定される。また、この回転軸はドア用カムフォロア123から離れた位置に配置され、回転軸の回転に応じて該ドア用カムフォロア123は該回転軸の周りを回転、所謂公転移動する。ここで、該回転軸が対向するドア用スライダ121における対向領域を該回転軸に垂直な平面とした場合、該平面はドア用カム溝121aが延在し、且つドア用カムフォロア123によって該ドア用カム溝121aが移動する平面の領域に対応する。なお、本実施形態ではドア用駆動源119として、所謂加圧空気等によって動作するロータリーシリンダを用いている。
【0017】
図3は、図2に示す構成における主要物である、ドア111及びマッピングフレーム131を微小空間203側から見た状態を模式的に示す図である。同図に示すように、マッピングフレーム131はドア111の外形よりも大きな枠体であり、ドア111の外側を枠体が囲むように配置される。マッピングフレーム131の枠体の上辺部には、マッピングセンサ133が2個固定される。マッピングセンサ133は枠体の上辺部から連通開口に向かうように突出しており、マッピングフレーム131がロードポート壁101に近づくことにより、該連通開口とポッド2の開口とを介してマッピングセンサ133をポッド2の内部に挿入することが出来る。本形態では所謂光センサをマッピングセンサ133として用いており、実際には光ファイバ等がこれらセンサには付随しているが、説明を容易とするために同図では省略している。
【0018】
次にマッピング機構130について詳述する。マッピング機構130は、前述したマッピングフレーム131及びマッピングセンサ133に加え、該マッピングフレームの下方に接続されてこれを支持するフレーム駆動部135を有する。図4にフレーム駆動部135の動作とそれに伴うマッピングフレーム131の移動位置を点線にて示す。フレーム駆動部135は、前述したドア駆動部115と同様の構成物からなり、具体的には不図示のフレーム用ガイドレール、フレーム用駆動源139、フレーム用スライダ141、及びフレーム用カムフォロア143を有する。なお、以下に述べるようにフレーム駆動部135の構成は基本的にはドア駆動部115に準ずるが、不図示のフレーム用ガイドレールの延在方向がX軸に対して所定の交差角を有し且つ取付け面201(図中Z軸方向に延在する開口部形成面)の鉛直上向きに対して鋭角を形成する所定の方向Dに延在すること、及び不図示のフレーム用カムフォロア143が単一であることが相違する。
【0019】
不図示のフレーム用ガイドレールは駆動部取付けベース109に固定され、且つフレーム用スライダ141を前述した所定の方向Dに沿って摺動可能に支持する。フレーム用スライダ141はマッピングフレーム131を実際に支持しており、該フレーム用スライダ141の所定の方向Dに沿った移動に応じてマッピングフレーム131の上辺部に固定されたマッピングセンサ133のポッド2の開口に対する挿入及び引出しの両動作が為される。また、ポッド2の開口は微小空間203の取付け面201と略平行に位置しており、前述したフレーム用ガイドレールの延在方向に従って、ポッド2の開口に対して所定の仰角を維持してこの挿入及び引出しの動作が為される。
【0020】
フレーム用スライダ141は、所定の方向Dに対して直交する方向に延在して配置されるフレーム用カム溝141aを有する。フレーム用カムフォロア143はフレーム用カム溝141aに挿貫される。フレーム用カムフォロア143はフレーム用駆動源139によって回動可能に支持されており、該フレーム用駆動源139がフレーム用カムフォロア143を回転させる回転中心はフレーム用スライダ141に対向する。フレーム用駆動源139は、不図示のフレーム用ガイドレールと同様に駆動部取付けベース109に対して固定される。また、該回転中心はフレーム用カムフォロア143から離れた位置に配置され、該フレーム用カムフォロア143は該回転中心の周りに回転、所謂公転移動する。ここで、該回転中心が対向するフレーム用スライダ141における対向領域を該回転中心に垂直な平面とした場合、該平面はフレーム用カム溝141aが延在し、且つフレーム用カムフォロア143によって該フレーム用カム溝141aが移動する平面の領域に対応する。なお、本実施形態ではフレーム用駆動源139として、所謂加圧空気等によって動作するロータリーシリンダを用いている。
【0021】
上述したマッピングフレーム131をポッド2内に収容される被処理物の重ね合わせ方向に沿って駆動する不図示の昇降手段は、本発明においてマッピングフレーム131を被処理物が重なる方向に沿った第一の方向に駆動する第一の駆動手段に対応する。また、フレーム駆動部135は、マッピングフレーム131を第一の駆動方向と斜交する第二の方向に駆動する第二の駆動手段に対応する。なお、第二の方向は、第一の方向とは交差してマッピングフレーム131が支持するセンサ133が存在する側において鋭角を形成するように配置されることが好ましい。また、本形態では被処理物の重ね合わせ方向が鉛直方向に一致する例を示しているが、該鉛直方向と異なる方向に重ね合わせることとしても良い。従って、該重ね合わせ方向は所定の重ね合わせ方向として規定されることが好ましい。
【0022】
次に、本実施形態に係るロードポート装置、特に本発明の特徴的構成であるマッピング機構130の実際の動作について、マッピングセンサ133の移動位置とポッド開口との位置関係の変化を模式的に示す図6A〜6Dを参照に述べる。なお、マッピングセンサ133はポッド内部の被処理物の有無を検出し、この検出結果を不図示の制御装置等に送信して、半導体処理装置側からの被処理物挿脱の際の動作の基準を提供する。図4において実線で示されるマッピングフレーム131の状態は、ドア111がポッド2の蓋を保持し、ドア機構110が降下動作を開始した状態を示している。また、同図において点線で示されるマッピングフレーム131の状態は、マッピングフレーム131が所定の方向Dに移動されてマッピングセンサ133がポッド2の開口に挿入された状態を示している。
【0023】
図6Aにマッピングセンサ133が動作範囲における上昇端に位置する状態を示す。当該状態は図4におけるマッピングフレーム131、マッピングスライダ141等が実線にて示された状態に対応する。この状態から不図示の昇降機構により駆動部取付けベース109がZ軸方向に沿って下方に移動し、それに伴って、マッピングフレーム131及びこれに支持されるマッピングセンサ133も降下する。この状態を図6Bに示す。マッピングセンサ133が所定の降下位置を通過すると同時に、フレーム駆動部135が動作を開始する。フレーム駆動部135が一の動作端である図4の実線位置の状態から、マッピングセンサ133は所定の方向Dに沿った移動を開始し、図6Cにて実線にて示す位置まで移動する。これによりマッピングセンサ133はポッド2の開口2aよりポッド内部に侵入し、以降ポッド2に収容されるウエハのマッピング操作が行われる。
【0024】
なお、図6Cでは駆動部取付けベース109の降下の影響を排除し、フレーム駆動部135のみによるマッピングセンサ133の変化の様子を示す。なお、実際には、後述する同期制御手段によってマッピングセンサ133の昇降手段による降下とフレーム駆動部135とによる所定の方向Dへの移動(ポッド2内へのマッピングセンサ133の挿入)とは時間的にオーバーラップして行われる。この場合の実際のマッピングセンサ133の動作軌跡を図6Dに示す。当該動作を行うことにより、マッピングセンサ133の上昇端からマッピング操作開始位置までの動作について、ポッド内壁との干渉を抑制しつつ高速化することが可能となる。また、マッピングセンサ133の降下時に、降下方向とは逆向きの上方に傾斜した水平方向の前進動作が行われることにより、降下速度の減速が該前進動作によって促進される。これにより、ポッド2或いはウエハとの干渉を避けつつ、より短い移動軌跡に沿ってマッピングセンサ133を移動させることが可能となる。
【0025】
以上のマッピングセンサの動作時におけるマッピング機構135の実際の諸動作について次に詳述する。図6Aに示す状態において、フレーム用駆動源139であるロータリーシリンダは、回転角度0°の状態にあり、フレーム用カムフォロア143は実線にて示されたフレーム用カム溝141aの図中下端部に位置する。マッピングフレーム131を図6A或いは6Bに示す状態から所定の方向Dに沿って図6Cに示す位置まで移動させる場合、フレーム用駆動源139はフレーム用カムフォロア143を図4における矢印Rに沿って回動させる。フレーム用カムフォロア143がフレーム用カム溝141aに挿貫された状態でこの回動動作が為される。従って、該回動の際にフレーム用カムフォロア143はフレーム用カム溝141a内で下端−上端−下端の移動を為し、当該移動に応じてフレーム用スライダ141を所定の方向Dに沿って移動させる。フレーム用駆動源139が回転角度180°に至ると、フレーム用カムフォロア143は図4に点線にて示されるフレーム用カム溝141aの下端に至る。
【0026】
ここで、フレーム駆動部135の動作開始のタイミングについては、昇降動作と挿入或いは退避動作との同期をとる同期制御手段からの指示に基づいて実施されることが好ましい。同期制御手段としては、例えば更なるセンサを追加し、上昇端位置からのマッピングセンサ133の高さが所定高さとなった時点、ポッド2の開口2aの上部壁の直前を通過した時点、降下開始から所定時間を経過した時点、降下開始から降下終了に置ける所定の割合だけ降下動作が行われた時点、等を検出し、その検出結果に応じて、フレーム駆動部135に動作指示を伝える構成が挙げられる。マッピングフレーム131を第一の方向に沿って駆動している間にフレーム駆動部135の動作開始時を制御する当該構成を配することにより、ポッド2内部へのマッピングセンサ133の挿入を、マッピングフレーム131降下中に、遅滞無く且つ連続的に行うことが可能となる。即ち、ポッド2或いはウエハとの干渉を避けつつ、より短い移動軌跡に沿ってマッピングセンサ133を移動させることが可能となる。また、同期制御手段によるフレーム駆動部135の駆動開始の指示は、昇降手段によるマッピングフレーム131の昇降速度の減速、或いは基準速度に応じて為されることとしても良い。例えば、下降中に減速することなくマッピングセンサ133の前進動作を開始しようとすると、前進方向の速度成分を減じてマッピングセンサ133-ポッド2或いはウエハ間の干渉を回避する必要があり、前進方向の仰角を大きくする等前進方向の速度成分を抑制する必要が生じる。以上に述べた動作を実行させることにより、マッピングセンサ133の前進方向の仰角を小さくすることが出来ることから、前進動作での移動距離を実質的に抑えられ、下降の開始から前進後挿入点到達までの時間を更に短縮することが可能となる。
【0027】
なお、本形態では、上述したように、フレーム用カムフォロア143を矢印Rに沿って回転させる際のフレーム用駆動源139の回転中心を、フレーム用スライダ141に対向する位置に配置している。より詳細には、フレーム用カム溝141a、具体的にはその両内周面が所定の方向D即ちフレーム用スライダ141の移動方向に対して直交し、更には、ロータリーシリンダの回転軌跡回転角度0°及び180°の位置における接線も所定の方向Dと直交することとしている。これにより、マッピングセンサ133の進退における両動作端の各々で、所定の方向Dに沿った意図しない動作を防止することが可能となる。即ち、回転角度範囲0°及び180°の各々がフレーム用スライダ141の動作端部に対応することとなり、該フレーム用スライダ141、ひいてはマッピングセンサ133の停止精度を向上し、安定的に停止させることが容易となる。
【0028】
また、フレーム用カムフォロア143の回転方向R及びその逆方向の移動軌跡における動作では、所定の方向Dに沿った速度成分に応じて、フレーム用スライダ141が移動することとなる。従って、フレーム用スライダ141は、移動範囲における両端の停止位置より最も離れた中央位置で最も早く移動し、両端の停止位置に近づくにつれて移動速度が低下することとなる。このため、停止異常が生じ易い停止位置近傍でのマッピングセンサ133の動作が安定的に行われる。また、フレーム用駆動源139の回転中心の軸とフレーム用カム溝141aとの位置関係より、フレーム用カムフォロア143の移動軌跡の半径を小さく抑えることが可能となり、フレーム用駆動源139のトルクを大きく用いることが可能となる。
【0029】
なお、本実施形態において、フレーム用駆動源139としてロータリーシリンダを用いている。これにより、モータ制御等の電気的な位置制御の場合のような異常時の過負荷の発生は防止できるが、これをモータ制御としても停止位置精度の向上等の効果は得られる。
【0030】
本発明では、マッピングセンサ133の前進方向が水平に対して仰角を有するよう、水平方向に対して所定の角度を有して交差する所定の方向に沿ってマッピングセンサ133を移動することを特徴とする。上述したようにフレーム用駆動源139をロータリーシリンダから構成し、上述したカム機構を用いることが好ましい。しかし、先の特徴を満たす場合、これらの何れか或いは一方を直動型のシリンダタイプの駆動源、モータ等からなる駆動源、及びこれらに応じた駆動機構を用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上述べたように、本発明は半導体処理装置に対して好適に用いるロードポート装置に関している。しかしながら、本発明の利用可能性は当該処理装置に限定されず、例えば液晶ディスプレイのパネルを扱う処理装置等、半導体に準じた各種処理が行われる種々の処理装置に用いられる所謂ロードポート装置に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
2:ポッド、 100:ロードポート装置、 101:ロードポート壁、 103:開口部周囲カバー、 105:載置台、 107:下部カバー、 109:駆動部取付けベース、 100:ドア機構、 111:ドア、 113:ドアアーム、 115:ドア駆動部、 117:ドア用ガイドレール、 119:ドア用駆動源、 121:ドア用スライダ、 123:ドア用カムフォロア、 130:マッピング機構、 131:マッピングフレーム、 133:マッピングセンサ、 135:フレーム駆動部、 139:フレーム用駆動源、 141:フレーム用スライダ、 143:フレーム用カムフォロア、 200:処理装置、 201:取付け面、 203:微小空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物が挿脱される開口を有して前記被処理物が所定の重ね合わせ方向に間隔を空けて重なるように収容される密閉容器たるポッドの蓋を開閉して、前記開口を介しての前記ポッド内に対する前記被処理物の挿脱の実施を可能とし、且つ前記被処理物に所定の処理を施す半導体処理装置の取付け面に取り付けられるロードポート装置であって、
前記ポッドが載置可能な載置台と、
前記載置台に載置された状態の前記ポッドの前記蓋を保持可能であって、前記取付け面に対して前記半導体処理装置の内部側から前記開口部の開閉を行うドアと、
前記ポッド内部の前記被処理物の有無を検出するするセンサと、
前記センサを支持するマッピングフレームと、
前記マッピングフレームを前記被処理物が重なる前記所定の重ね合わせ方向に沿った第一の方向に駆動する第一の駆動手段と、
前記マッピングフレームを前記第一の方向とは斜交する第二の方向に駆動する第二の駆動手段と、を有し、
前記第二の方向は前記第一の方向に沿う方向と前記センサが存在する側で鋭角を形成するように交差することを特徴とするロードポート装置。
【請求項2】
前記第一の駆動手段による前記マッピングフレームの駆動時の状態に応じて前記第二の駆動手段によるマッピングフレームの駆動の開始時を制御する同期制御手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載のロードポート装置。
【請求項3】
前記同期制御手段は、前記第一の駆動手段によるマッピングフレームの駆動の減速に応じて前記第二の駆動手段による前記マッピングフレームの駆動の開始時を制御することを特徴とする請求項2に記載のロードポート装置。
【請求項4】
前記第二の駆動手段は、シリンダにより構成される駆動源からなることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のロードポート装置。
【請求項5】
被処理物が挿脱される開口を有して前記被処理物が所定の重ね合わせ方向に間隔を空けて重なるように収容される密閉容器たるポッドの蓋を開閉して、前記開口を介しての前記ポッド内から前記被処理物を処理する処理装置までの間での前記被処理物の移動の実施を可能とし、且つ前記ポッドの内部に収容された前記被処理物の有無を検出するロードポート装置における前記被処理物の検出方法であって、
前記ポッドの蓋取り外して前記開口を開放し、
前記被処理物の有無を検出するセンサを支持するマッピングフレームを前記開口の前面に位置させ、
前記マッピングフレームを前記所定の方向重ね合わせ方向に沿った第一の方向に駆動し、
前記マッピングフレームの前記第一の方向の移動が終了する前に、前記第一の方向に沿う方向に対して前記センサが存在する側で鋭角を形成するように前記第一の方向と斜交する第二の方向に前記マッピングフレームを駆動し、
前記センサを動作させながら前記第一の方向に前記マッピングフレームを駆動させることを特徴とする被処理物の検出方法。
【請求項6】
前記第二の方向への前記マッピングフレームの駆動は、前記第一の方向に沿った前記マッピングフレームの駆動時の状態に応じて開始されることを特徴とする請求項5に記載の被処理物の検出方法。
【請求項7】
前記第二の方向への前記マッピングフレームの駆動の開始の制御は、前記第一の方向に沿った前記マッピングフレームの駆動の減速に応じて為されることを特徴とする請求項6に記載の被処理物の検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【公開番号】特開2013−69965(P2013−69965A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208693(P2011−208693)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】