説明

ロールシェード装置

【課題】左右のケーブル張力を同期させることができるロールシェード装置を提供する。
【解決手段】ロール部材20の左右の端部に取り付けられたドラム23L,23Rと、各ドラム23L,23Rに基端を取り付けられた線状部材60L,60Rと、操作部材40に配設され線状部材60L,60Rの先端に一端部が取り付けられた弾性部材80L,80Rと、を備えた自動車ルーフのロールシェード構造1であって、弾性部材80L,80Rの他端部同士を連結する連結部材90を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスルーフ用のロールシェード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガラスルーフを備えた車両が普及している。ガラスルーフは、ルーフにおけるガラス領域がサンルーフに比べて広く配置されている。例えば、ガラスルーフでは、フロントシートの上方位置から後部座席の上方位置迄に亘る広い天井領域がガラスで構成されている。そして、ガラスルーフを備えた車両は、広いガラス領域から強い日差しの進入を防止するために、ルーフシェード装置を備えている。
【0003】
ルーフシェード装置として、従来、ロールシェード装置が知られている。
図3は従来のロールシェード装置100を示す斜視図である。ロールシェード装置100は、リアハウジング101と、リアハウジング101の左右の端部から車両前方側へ延出させた左右のレール部材102L,102Rと、左右のレール部材102L,102Rの先端部に両端部を固定されたフロントハウジング103と、を備えている。
リアハウジング101,左右のレール部材102L,102R,フロントハウジング103はそれぞれルーフのガラスの周縁に沿って配置されている。リアハウジング101には、ロール部材120が回転可能に配設されている。
ガラス領域と同じ大きさに展開可能なスクリーン130の基部がロール部材120に取り付けられている。スクリーン130の先端部には、フロントパネル140が取り付けられている。フロントパネル140の中央にはハンドル141が取り付けられている。ロール部材120の左右の端部には、ドラム150L,150Rが取り付けられている。
各ドラム150L,150Rには、ケーブル160の基端が取り付けられている。各ケーブル160は、ドラム150L,150Rからレール先端まで延出し、さらにレール先端で折り返して、フロントパネル140の左右の端部に設けたガイド部170L,170Rに案内されて、先端部がフロントパネル140上に位置している。ケーブル160の先端には、スプリング180L,180Rの一端部が取り付けられている。各スプリング180L,180Rの他端部は、フロントパネル140に設けたピン190に固定されている。
【0004】
ロールシェード装置100では、使用者がハンドル141を把持してフロントパネル140を矢印Aで示すスクリーン開方向に操作すると、ロール部材120を回転させてスクリーン130を巻き取る。ケーブル160はドラム150L,150Rから引き出される。
【0005】
逆に、使用者がハンドル141を把持してフロントパネル140をスクリーン閉方向、すなわち矢印Aとは逆方向に操作すると、スクリーン130がロール部材120から引き出される。この際、ケーブル160はその一部がドラム150L,150Rに巻き取られる。
【0006】
このようなスクリーン130の開閉の際、ケーブル160の端部にスプリング180L,180Rを設けて、ケーブル160に張力を持たせている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、左右のケーブル160に張力を持たせるスプリング180L,180Rがそれぞれ個別設定のため、左右のケーブル160の張力を個別に調整する必要がある。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みて創作されたもので、左右のケーブル張力を同期させることができるロールシェード装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、車幅方向に延出したリアハウジングと、リアハウジングの両端部から車両前方へ延出したレール部材と、左右のレール部材の先端部に連結され車幅方向に延出したフロントハウジングと、回転軸を車幅方向に沿わせてリアハウジングに回転可能に配設されたロール部材と、ロール部材に基端部が取り付けられたスクリーン部材と、スクリーン部材の先端部に取り付けられた操作部材と、ロール部材の左右の端部に取り付けられたドラムと、各ドラムに基端部を取り付けられた線状部材と、操作部材に配設され、線状部材の先端部に一端が取り付けられた弾性部材と、を備えた自動車ルーフのロールシェード構造であって、弾性部材の他端部同士を連結する連結部材を備えたことを特徴としている。
【0010】
本発明の自動車ルーフのロールシェード構造において、前記連結部材を巻回させる巻回部を前記フロントハウジング部に備え、前記線状部材の張力を調整できることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、左右のスプリングを連結部材で繋げたことで、左右のスプリングによって作用する左右のケーブルの張力を同期させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るロールシェード装置の斜視図である。
【図2】図1のロールシェード装置の分解斜視図である。
【図3】従来のロールシェード装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。なお、図中のFrは車両前方を、Upは車両上方を、LHは車両の横幅方向であって左方を示す。
図1は本発明の実施形態に係るロールシェード装置1を示す斜視図であり、図2は図1のロールシェード装置1の分解斜視図である。
【0014】
ロールシェード装置1は、車幅方向に延出したリアハウジング11と、リアハウジング11の左右の端部から車両前方側へ延出させた左右のレール部材12L,12Rと、左右のレール部材12L,12Rの先端部に両端部を固定され車幅方向に延出したフロントハウジング13と、を備えている。リアハウジング11,左右のレール部材12L,12R、フロントハウジング13はそれぞれルーフのガラスの周縁に沿って配置されている。
【0015】
左右のレール部材12L,12Rは、例えば、図2に示すように、後述のスクリーンの左右の端をガイドする案内部材121と、この案内部材121を支持するレール本体部122と、から成る。
リアハウジング11には、ロール部材20が回転可能に配設されている。ロール部材20は、リアハウジング11に固定されたシャフト21と、このシャフト21に回転可能に設けられた筒状のロール本体22と、から構成されている。ロール本体22の回転軸は車幅方向に沿っている。
ロール本体22には、ガラス領域と同じ大きさに展開可能なスクリーン30の基部31が取り付けられている。スクリーン30の先端部32には、操作部材としてのフロントパネル40が取り付けられている。フロントパネル40の中央にはハンドル41が取り付けられている。
ロール本体22の左右の端部には、ドラム23L,23Rが取り付けられている。
レール部材12L,12Rの先端部には、回転部材50が取り付けられている。回転部材50は、ローラー51と、このローラー51を回転可能に支持するベース52と、から成る。ベース52はフロントハウジング13の左右の端部に取り付けられている。
各ドラム23L,23Rには、線状部材としてのケーブル60L,60Rの基端が取り付けられている。
各ケーブル60L,60Rは、ドラム23L,23Rからレール先端まで延出し、さらにレール先端の回転部材50によって折り返している。折り返したケーブル60L,60Rはフロントパネル40の左右の端部に設けたガイド部70L,70Rに案内されて、ケーブル60L,60Rの先端部がフロントパネル40上に位置している。各ケーブル60L,60Rの先端には、弾性部材としてのスプリング80L,80Rの一端部が取り付けられている。
ケーブル60L,60Rのドラム23L,23Rへの巻き取り方向は、スクリーン30のロール本体22への巻き取り方向の逆向きになっている。
【0016】
以上の構成は、従来技術と同様であるが、本発明の実施形態に係るロールシェード装置1では、左右の各スプリング80L,80Rの他端部が、連結部材90で連結されている。
連結部材90は、ケーブル等の線状の部材をループ状に構成したものである。具体的には、一本の線状の部材で環を形成し、この一つのループが一対のスプリング80L,80Rによって左右に引っ張られるよう一対のスプリング80L,80Rの他端部間に配設されている(図1参照)。
フロントパネル40上にはピン91が設けられている。このピン91の頭部には、穴が設けられており、この穴の中を線状の部材が挿通している。
【0017】
ロールシェード装置1では、使用者がハンドル41を把持してフロントパネルを矢印Aで示すスクリーン開方向に操作すると、ロール本体22を回転させてスクリーン30を巻き取る。ケーブル60L,60Rはドラム23L,23Rから引き出される。
【0018】
逆に、使用者がハンドル41を把持してフロントパネル40をスクリーン閉方向、すなわち矢印Aとは逆方向に操作すると、スクリーン30がロール本体22から引き出される。その際、ケーブル60L,60Rはその一部がドラム23L,23Rに巻き取られる。
このようなスクリーン開閉の際、左右のケーブル60L,60Rに作用する張力を同等にすることができる。
また、フロントパネル40に設けたピン91に連結部材90を巻回させることで、左右のケーブル60L,60Rの張力を調整することができる。
【0019】
本発明の実施形態に係るロールシェード装置1によれば、左右のスプリング80L,80Rを連結部材90で繋げたことで、左右のスプリング80L,80Rによって作用する左右のケーブル60L,60Rの張力を同期させることができる。
【0020】
連結部材90をフロントパネル40のピン91に巻回させることでケーブル60L,60Rの張力を調整できるので、個々のロールシェード装置1のケーブル60L,60Rの張力を同等に設定できるため、製品品質を安定させることができる。
【0021】
以上詳述したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施をすることができる。
例えば、線状部材は、ケーブルに限らずワイヤーでもよい。弾性部材は、スプリングに限らず、例えばゴムでもよい。
本発明は、ガラスルーフ用の日よけとして利用する場合に限らず、リアウィンドウガラスの日よけとしても利用できることは勿論である。
上記では、特段、スクリーンの材質を限定していないが、布製、樹脂製などで構成したものを利用できる。
【符号の説明】
【0022】
1 ロールシェード装置
11 リアハウジング
12L,12R レール部材
121 案内部材
122 レール本体部
13 フロントハウジング
20 ロール部材
21 シャフト
22 ロール本体
23L,23R ドラム
30 スクリーン
40 フロントパネル
50 回転部材
51 ローラー
52 ベース
60L,60R ケーブル
70L,70R ガイド部
80L,80R スプリング
90 連結部材
91 ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に延出したリアハウジングと、
上記リアハウジングの両端部から車両前方へ延出したレール部材と、
左右のレール部材の先端部に連結され車幅方向に延出したフロントハウジングと、
回転軸を車幅方向に沿わせて上記リアハウジングに回転可能に配設されたロール部材と、
上記ロール部材に基端部が取り付けられたスクリーン部材と、
上記スクリーン部材の先端部に取り付けられた操作部材と、
上記ロール部材の左右の端部に取り付けられたドラムと、
各ドラムに基端を取り付けられた線状部材と、
上記操作部材に配設され、上記線状部材の先端に一端部が取り付けられた弾性部材と、を備えた自動車ルーフのロールシェード構造であって、
上記弾性部材の他端部同士を連結する連結部材、を備えたことを特徴とする、自動車ルーフのロールシェード構造。
【請求項2】
前記連結部材を巻回させる巻回部を前記フロントハウジング部に備え、
前記線状部材の張力を調整できることを特徴とする、請求項1に記載のロールシェード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−5895(P2011−5895A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149222(P2009−149222)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000108889)ベバスト ジャパン株式会社 (36)