説明

ワゴン、およびワゴン付き机

【課題】ワゴン本体の上面から外した補助箱を、紛失することのないように、また机の天板の高さ調節その他の妨げとなることのないように、ワゴン本体自体に装着しうるようにしたワゴン、およびそのワゴンを、体裁よく、また使い勝手のよいように収容しうるようにしたワゴン付き机を提供する。
【解決手段】箱状のワゴン本体3の上面に、補助箱4を載置するか、または着脱自在に設け、かつワゴン本体3の後面に、上面から外した補助箱4を装着しうる取付部20を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワゴン、およびワゴン付き机に関する。
【背景技術】
【0002】
学習机等、子供の成長に合わせて天板の高さを調節し得るようになっている机における天板の下方に収容して使用するようにしたワゴンにおいては、天板を低い位置に取り付けた際に、天板と干渉しないようにするため、ワゴン本体を構成する主箱の上面に、補助箱を載置し、この補助箱を分割して、ワゴン以外の部位に収容しうるようにしたものがある(例えば、特許文献1または2参照)。
【特許文献1】特開2006−212106号公報
【特許文献2】特開2007−75275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、例えば特許文献1および2に記載されているものにおいては、主箱の上面から外した補助箱を、机の他の部位に収容できなかったり、また収容したくないことがある。
このような場合には、補助箱を、倉庫その他の場所に保管せざるを得ず、そのため、保管場所を失念したり、補助箱を紛失したりするおそれがある。
【0004】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、ワゴン本体の上面から外した補助箱を、紛失することのないように、また机の天板の高さ調節その他の妨げとなることのないように、ワゴン本体自体に装着しうるようにしたワゴンと、そのワゴンを、体裁よく、また使い勝手のよいように収容しうるようにしたワゴン付き机を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) ワゴンにおいて、箱状のワゴン本体の上面に、補助箱を載置するか、または着脱自在に設け、かつ前記ワゴン本体の後面に、上面から外した前記補助箱を装着しうる取付部を設ける。
【0006】
このような構成とすると、ワゴン本体の上面から外した補助箱を、ワゴン本体の後面に設けた取付部に装着することができるので、補助箱を紛失したり、補助箱の保管場所を失念したりするおそれがない。
【0007】
(2) 上記(1)項において、補助箱に、ワゴン本体の上面と後面の取付部とに共通して結合しうる結合手段を設ける。
【0008】
このような構成とすると、同一の結合手段をもって、補助箱を、ワゴン本体の上面に取り付けたり、またはワゴン本体の後面の取付部に取り付けたりすることができ、使い勝手がよい。また、部品点数を削減することができる。
【0009】
(3) 上記(1)または(2)項において、ワゴン本体の下端にキャスタを設けることにより、ワゴン本体が床面上を移動しうるようにするとともに、ワゴン本体の上面に装着したときの補助箱の後面に補助キャスタを設け、前記補助箱をワゴン本体の後面の取付部に、前記補助箱の後面が下方を向くようにして装着したとき、前記補助キャスタが接床するようにする。
【0010】
このような構成とすると、補助箱をワゴン本体の後面の取付部に装着したとき、補助箱の後面に設けた補助キャスタが接床するので、補助箱を安定よく支持することができる。
【0011】
(4) 上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、ワゴン本体および補助箱を、前面が開口する箱状とし、各前面開口部に、引出しを前方に出し入れ自在として装着する。
【0012】
このような構成とすると、ワゴンの使い勝手をよくすることができるとともに、補助箱をワゴン本体の後面の取付部に装着したとき、引出しの前面板が、上方を向いた補助箱の開口部を閉塞し、塵埃が補助箱内に侵入するのを防止することができる。
【0013】
(5) 上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、補助箱の左右方向の幅を、ワゴン本体の左右方向の幅と同一とするとともに、ワゴン本体の上面に装着したときの補助箱の前後方向の奥行き寸法を、ワゴン本体の上面の奥行き寸法および取付部であるワゴン本体の後面の上下寸法と同一とする。
【0014】
このような構成とすると、補助箱をワゴン本体の上面に装着したときも、後面に装着したときも、補助箱がワゴン本体から、側方、並びに前後および上下方向はみ出すことがなく、体裁がよく、また補助箱が、ワゴンの移動の妨げとなることがない。
【0015】
(6) 天板を、支持体に高さ調節可能として装着し、かつ前記天板の下方に、上記(1)〜(5)項のいずれかに記載のワゴンを収容してなるワゴン付き机において、前記支持体における天板より後方の部分に後面板を設け、この後面板の前面における前記天板を最も低い位置に装着したときの天板より下方で、かつワゴン本体の上面より高い位置に、前方に向かって突出し、かつ前端がワゴン本体の上面に装着したときの補助箱の後面に当接することにより、ワゴンを、予め定めた前後方向の定位置に停止させるようにしたストッパを設ける。
【0016】
このような構成とすると、ワゴンを机の天板の下方に潜入させたとき、ワゴンを、予め定めた前後方向の定位置に停止させることができ、必要以上に奥まった位置まで移動することがなく、体裁および使い勝手がよい。
上記定位置は、ワゴンの前面と、机における支持体の前面、または天板の前端とが同一面となるような位置とするのが好ましい。
【0017】
(7) 上記(6)項において、ストッパの前後方向の寸法を、ワゴン本体の後面に装着したときの補助箱の前後方向の寸法とほぼ同一とし、ワゴン本体の後面に装着した補助箱の後面が、ストッパの下方において、後面板に当接したときのワゴン本体の前後方向の停止位置が、ワゴン本体の上面に装着した補助箱の後面がストッパの前端に当接したときのワゴン本体の定位置とほぼ等しくなるようにする。
【0018】
このような構成とすると、補助箱をワゴン本体の上面に配置したときも、後面に配置したときも、ともに補助箱を定位置に停止させることができ、体裁および使い勝手がよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、ワゴン本体の上面から外した補助箱を、紛失することのないように、また机の天板の高さ調節その他の妨げとなることのないように、ワゴン本体自体に装着しうるようにしたワゴン、およびそのワゴンを、体裁よく、また使い勝手のよいように収容しうるようにしたワゴン付き机を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明のワゴンの一実施形態における補助箱を、ワゴン本体の上面に取り付けようとするときの分解斜視図、図2は、同じく、補助箱をワゴン本体の後面に取り付けようとするときの分解斜視図である。
【0021】
ワゴン1は、下端に設けた複数キャスタ2により、床面上を移動しうるようにした、前面が開口する箱状のワゴン本体3の上面に、前面が開口する高さの低い箱状の補助箱4を、結合手段である適宜のノックダウン金具5をもって、着脱自在に取り付けたものである。
【0022】
ノックダウン金具5は、図7に示すように、ワゴン本体3の上面四隅部に設けたねじ孔6に螺合する雄ねじ部7を、大径軸部8の下端に有し、かつ大径軸部8の上端に、小径軸部9を介して、下向半球状の大径頭部10が連設された連結ボルト11と、ねじ孔6の上方において、補助箱4の側面の対応部分に設けられた内方を向く円形孔12に回転自在に嵌合され、かつ外周面に、連結ボルト11の大径頭部10が嵌合しうる大径孔13、およびそれに連続し、連結ボルト11の小径軸部9が挿通しうる程度の幅とした円周方向を向くスリット14が設けられ、さらに外端面にすり割り15が設けられた、外端面が閉塞された横向短円筒状の回転金具16とからなっている。
回転金具16における円筒部分の外周壁の厚さは、大径孔13が設けられた部分が最も薄く、かつ大径孔13から離れるにしたがって厚くなるように形成されている。
【0023】
連結ボルト11の雄ねじ部7を、ワゴン本体3の上面におけるねじ孔6に螺合することにより、連結ボルト11をワゴン本体3の上面に突設させ、その上方から、大径孔13が真下を向くようにして、回転金具16を円形孔12に装着した補助箱4を下降し、連結ボルト11の大径頭部10を回転金具16の大径孔13に嵌合させた後、回転金具16を所要角度回転させることにより、回転金具16によって連結ボルト11を引き締めて、補助箱4をワゴン本体3に強固に結合させることができるようになっている。
【0024】
なお、結合手段は、このようなノックダウン金具5に限るものではなく、単なるボルト、その他の結合具を用いることもできる。
また、補助箱4は、結合手段を用いずに、単にワゴン本体3の上面に載置するだけとすることもある。
【0025】
ワゴン本体3および補助箱4の前面開口部には、引出し17、18、19が、前方に出し入れ自在として装着されている。
【0026】
ワゴン本体3の後面は、ワゴン本体3の上面から外した補助箱4を、図2に示すように、前面開口部およびそこに装着された引出し7の前面板19aが上方を向くようにして装着しうる取付部20としてある。
【0027】
取付部20であるワゴン本体3の後面四隅部には、ワゴン本体3の上面におけるのと同様のねじ孔6(図示略)が設けられており、このねじ孔6に連結ボルト11の雄ねじ部7を螺合することにより、補助箱4を、ワゴン本体3の上面に取り付けたときと同一のノックダウン金具5をもって、着脱自在に取り付けることができるようになっている。
【0028】
補助箱4の左右方向の幅は、ワゴン本体3の左右方向の幅と同一としてあり、またワゴン本体3の上面に装着したときの補助箱4の前後方向の奥行き寸法は、ワゴン本体3の上面の奥行き寸法および取付部8であるワゴン本体3の後面の上下寸法と同一としてある。
【0029】
ワゴン本体3の上面に装着したときの補助箱4の後面には、キャスタ2と同様の補助キャスタ21が設けられており、補助箱4をワゴン本体3の後面の取付部20に、補助箱4の後面が下方を向くようにして装着したとき、補助キャスタ21が接床するようにしてある。
【0030】
図3〜図6は、上記ワゴン1を、学習用の机22に、その一部として用いた、本発明のワゴン付き机の一実施形態を示す。
この机22は、天板23と、この天板23を高さ調節可能として支持する枠体状の支持体24とを備えている。
【0031】
支持体24は、4本の脚杆25と、前後の脚杆25、25の上端部同士、および下端部同士を連結する前後連結杆26、27と、後部の脚杆25、25の上端部同士を連結する横連結杆28と、前後の脚杆25、25のほぼ上半部間に架設した左右1対の側板29、29と、後部の脚杆25、25のほぼ上半部間に架設した後面板30とを備えている。
【0032】
左右の側板29、29の前後部には、複数の高さ調節孔31が、上下方向に適宜の間隔をもって、かつ互いに対応するものが等高をなすようにして設けられており、天板23を側板29に固定するボルトその他の固定具(図示略)を、どの段の高さ調節孔31に係合させるかによって、天板23の高さを所要範囲に亘って段階的に調節することができるようになっている。
【0033】
ワゴン1は、この机22における天板23の下方に収容して使用される。
支持体24における天板23より後方の後面板30の前面には、天板23を最も低い位置に装着したときの天板23より下方で、かつワゴン本体3の上面より高い位置に、前方に向かって突出し、かつ前端がワゴン本体3の上面に装着したときの補助箱4の後面に当接することによって、ワゴン1を、予め定めた前後方向の定位置に停止させるようにした水平板状のストッパ32が固着されている。
【0034】
この予め定めた前後方向の定位置とは、例えば、図4に示すように、ワゴン1の前面と、机22における支持体24の前面、または天板23の前端(図4に示す例では、支持体24の前面と天板23の前端とは、同一面としてあるが、それらを異ならせたときには、そのいずれか一方)とが同一面となるような位置とするのが好ましい。
【0035】
ストッパ32の前後方向の寸法は、図6に示すように、ワゴン本体1の後面に装着したときの補助箱4の前後方向の寸法とほぼ同一とし、ワゴン本体1の後面に装着した補助箱4の後面が、ストッパ32の下方において、後面板30の前面に当接したときのワゴン本体1の前後方向の停止位置が、ワゴン本体1の上面に装着した補助箱4の後面がストッパ32の前端に当接したときのワゴン本体1の定位置とほぼ等しくなるようにしてある。
【0036】
したがって、補助箱4をワゴン本体1の上面に配置したときも、後面に配置したときも、ともに補助箱を定位置に停止させることができ、体裁および使い勝手がよい。
【0037】
また、補助箱4をワゴン本体3の後面の取付部に装着したとき、補助箱4の後面に設けた補助キャスタ21が接床することにより、補助箱4を安定よく支持することができる。
【0038】
本発明は、上記実施形態に限定されるもではなく、例えば、次のような変形した態様での実施が可能である。
(1) 後面板30を省略し、ストッパ32の左右の端部を、両側板29、29に固着して、ストッパ32を、両側板29、29により支持する。また、このとき、ストッパ32の後端部より、垂下片(図示略)を設け、この垂下片に、ワゴン本体1の後面に装着した補助箱4の後面が当接するようにする。
(2) 引出し17、18、19の全部または一部を省略して実施する。
(3) 補助箱4を、上面が開口する箱体とする。
(4) ワゴン本体1の後面の取付部に、補助箱4を、その前端開口部が側方を向くようにして取り付ける。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のワゴンの一実施形態における補助箱をワゴン本体の上面に取り付けようとするときの分解斜視図である。
【図2】同じく、補助箱をワゴン本体の後面に取り付けようとするときの分解斜視図である。
【図3】本発明のワゴン付き机の一実施形態における、天板を最上位とし、かつその下方に、補助箱をワゴン本体の上面に取り付けたワゴンを収容した状態を示す斜視図である。
【図4】図4の要部の拡大縦断側面図である。
【図5】天板を最下位とし、かつその下方に、補助箱をワゴン本体の後面に取り付けたワゴンを収容した状態を示す、図3と同様の斜視図である。
【図6】図5の要部の拡大縦断側面図である。
【図7】図4のVII−VII線拡大縦断正面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ワゴン
2 キャスタ
3 ワゴン本体
4 補助箱
5 ノックダウン金具(結合手段)
6 ねじ孔
7 雄ねじ部
8 大径軸部
9 小径軸部
10 大径頭部
11 連結ボルト
12 円形孔
13 大径孔
14 スリット
15 すり割り
16 回転金具
17、18、19 引出し
19a前面板
20 取付部
21 補助キャスタ
22 机
23 天板
24 支持体
25 脚杆
26 、27 前後連結杆
28 横連結杆
29 側板
30 後面板
31 高さ調節孔
32ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状のワゴン本体の上面に、補助箱を載置するか、または着脱自在に設け、かつ前記ワゴン本体の後面に、上面から外した前記補助箱を装着しうる取付部を設けたことを特徴とするワゴン。
【請求項2】
補助箱に、ワゴン本体の上面と後面の取付部とに共通して結合しうる結合手段を設けた請求項1記載のワゴン。
【請求項3】
ワゴン本体の下端にキャスタを設けることにより、ワゴン本体が床面上を移動しうるようにするとともに、ワゴン本体の上面に装着したときの補助箱の後面に補助キャスタを設け、前記補助箱をワゴン本体の後面の取付部に、前記補助箱の後面が下方を向くようにして装着したとき、前記補助キャスタが接床するようにした請求項1または2記載のワゴン。
【請求項4】
ワゴン本体および補助箱を、前面が開口する箱状とし、各前面開口部に、引出しを前方に出し入れ自在として装着した請求項1〜3のいずれかに記載のワゴン。
【請求項5】
補助箱の左右方向の幅を、ワゴン本体の左右方向の幅と同一とするとともに、ワゴン本体の上面に装着したときの補助箱の前後方向の奥行き寸法を、ワゴン本体の上面の奥行き寸法および取付部であるワゴン本体の後面の上下寸法と同一とした請求項1〜4のいずれかに記載のワゴン。
【請求項6】
天板を、支持体に高さ調節可能として装着し、かつ前記天板の下方に、請求項1〜5のいずれかに記載のワゴンを収容してなるワゴン付き机において、
前記支持体における天板より後方の部分に後面板を設け、この後面板の前面における前記天板を最も低い位置に装着したときの天板より下方で、かつワゴン本体の上面より高い位置に、前方に向かって突出し、かつ前端がワゴン本体の上面に装着したときの補助箱の後面に当接することにより、ワゴンを、予め定めた前後方向の定位置に停止させるようにしたストッパを設けたことを特徴とするワゴン付き机。
【請求項7】
ストッパの前後方向の寸法を、ワゴン本体の後面に装着したときの補助箱の前後方向の寸法とほぼ同一とし、ワゴン本体の後面に装着した補助箱の後面が、ストッパの下方において、後面板に当接したときのワゴン本体の前後方向の停止位置が、ワゴン本体の上面に装着した補助箱の後面がストッパの前端に当接したときのワゴン本体の定位置とほぼ等しくなるようにした請求項6記載のワゴン付き机。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−22620(P2010−22620A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188232(P2008−188232)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】