説明

一眼レフレックスカメラのファインダ構造

【課題】レンズ交換のためにボディマウントの開口を開放すると、カメラの外部からミラーボックス内に空気とともに入り込んだ塵芥が保持枠の周りの隙間を経てペンタプリズム側に侵入して焦点板上に付着するおそれがある。
【解決手段】ミラーボックス60は反射ミラーで反射された被写体光束の通過する開口60aを有し、この開口60aに保持枠54が嵌合され、保持枠54は焦点板52で塞がれる開口54eを有している。ミラーボックスの開口60aのペンタプリズム41側の口元の少なくとも一辺に、ミラーボックス60は面取り部60bを有し、保持枠54の外形端の少なくとも一部はミラーボックスの面取り部60bに沿って外向きに張り出した軒状の突部54fとされ、面取り部60bと軒状の突部54fとの間に焦点板52から離れる方向の経路70が規定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一眼レフレックスカメラ、特に、保持枠、焦点板、スクリーン押圧部材をユニット化した一眼レフレックスカメラのファインダ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、一眼レフレックスカメラにおいては、撮影光学系レンズを通過した被写体からの光束を光軸(撮影光学系光軸)上の可動の反射ミラー(メインミラー)で上方に反射させて焦点板(ファインダスクリーン、フォーカシングスクリーン)で結像し、その像(倒立像)を焦点板の上方に位置するペンタプリズム(またはペンタミラー)で左右反転させて、ペンタプリズムの後方に位置する観察光学系を経て正立像の被写体像を観察している。
また、一眼レフレックスカメラは、ミラーボックス前面の開放されたボディマウントの開口に撮影光学系レンズを装着可能となっており、撮影光学系レンズの装着によってレンズ交換がなされる。
【0003】
反射ミラーからの被写体光束が結像した焦点板をCCDやCMOSなどの撮像面と等価の位置に配置するために、ボディマウントからの焦点板の光路長や、観察光学系の光軸(観察光学系光軸)、すなわち反射ミラーによって折り曲げられた撮影光学系光軸に対する焦点板の傾き(観察光学系光軸)を調整する必要がある。
【0004】
たとえば特開2005−017403号公報記載のように、矩形状のスクリーン押圧部材がその上に焦点板を保持し、そのスクリーン押圧部材を一回り大きな矩形状の保持枠(スクリーン本体、ユニット枠)内に下方から装着することにより、焦点板を保持枠、スクリーン押圧部材の間に挟持して焦点板、保持枠、スクリーン押圧部材をユニット化している。そして、ミラーボックスの上面との間隔を厚さの異なる複数のスペーサ(カンザ)で調整してそのユニット(スクリーンユニット)をミラーボックスの上面に位置決めし、それによって焦点板の光路長や傾きを調整している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
保持枠、焦点板、スクリーン押圧部材をユニット化してなるスクリーンユニットがミラーボックスに対して可動であるため、ミラーボックスとの間でスクリーンユニットの周囲、具体的には保持枠の周囲に隙間が僅かとはいえ必ず存在する。しかし、隙間が存在すれば、撮影光学系レンズをミラーボックス前面のボディマウントに装着するためにボディマウントの開口を開放すると、空気(外気)がカメラの外部からミラーボックス内に入り込んで反射ミラー側の空間(焦点板より下方の空間)から保持枠の隙間を経てペンタプリズム側の空間(焦点板より上方の空間、焦点板上の空間)に侵入し、空気とともに侵入した塵芥が焦点板上に付着するおそれがある。特に、ボディマウントの開口や反射ミラーから塵芥を除くためにブロアーなどを使用すると、空気とともに塵芥が保持枠の周りの隙間から焦点板より上方の空間に流れ込んで焦点板上に付着しやすい。
本発明は、焦点板より上方の空間への塵芥の侵入を妨げることのできる一眼レフレックスカメラのファインダ構造の提供を目的としている。
【特許文献1】特開2005−017403号公報
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明によれば、一眼レフレックスカメラのファインダ構造は、ペンタプリズムと、被写体光束を上記ペンタプリズムへ反射する可動の反射ミラーと、前記被写体光束を受けて被写体像を形成する平板状の焦点板と、前記ペンタプリズムを支持するとともに前記反射ミラーを可動に支持し、前記被写体光束を通過させる矩形状の第1の開口を有して前記ペンタプリズムと前記可動反射ミラーとの間に設けられ、該第1の開口の上記ペンタプリズム側の口元の少なくとも一辺に面取り部を持つミラーボックスと、上記焦点板により塞がれる第2の開口を有し、外形端の少なくとも一部がさらに外向きに上記ミラーボックスの面取り部に沿うように軒状に張り出した突部を持ち、上記ミラーボックスの第1の開口の内径に嵌合した保持枠とを具備している。
【0007】
また、請求項2記載の本発明によれば、上記ミラーボックスの面取り部は、断面が曲面状の形状をしている。
さらに、請求項3記載の本発明によれば、ファインダ内情報表示のための表示板が、上記ペンタプリズムと上記焦点版との間で上記焦点板と平行に設けられている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の本発明では、ミラーボックスの開口(第1の開口)のペンタプリズム側の口元の少なくとも一辺に設けた面取り部と、開口(第2の開口)を焦点板で塞いだ保持枠の外形端が外向きにミラーボックスの面取り部に沿って軒状に張り出した突部とによって焦点板から離れる方向の経路(外向きの経路)が規定される。そのため、撮影光学系レンズの交換のためにミラーボックス前面のボディマウントの開口を開放してカメラの外部から空気(外気)がミラーボックス内に入り込むと、空気はミラーボックスの面取り部と保持枠の軒状の突部とに規定される経路に導かれて焦点板から離れる方向に流れる。従って、焦点板上の空間への塵芥の侵入が妨げられ、焦点板上への塵芥の付着が大幅に減らされる。
【0009】
また、請求項2記載の本発明では、ミラーボックスの面取り部が曲面状の断面形状であるため、空気がミラーボックスの面取り部と保持枠の軒状の突部とに規定される経路に円滑に導かれ、焦点板上の空間への塵芥の侵入が確実に防止される。
さらに、請求項3記載の本発明では、ファインダ内情報表示のための表示板をペンタプリズムと焦点板との間で焦点板と平行に設けているにもかかわらず、ミラーボックス内に入り込んだ空気はミラーボックスの面取り部と保持枠の軒状の突部とに規定される経路に導かれて焦点板から離れる方向に流れ、焦点板上の空間への塵芥の侵入が妨げられて焦点板上への塵芥の付着が大幅に減らされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明では、ミラーボックスはペンタプリズム方向に反射ミラーで反射された被写体光束の通過する開口を有し、この開口に保持枠が嵌合され、保持枠は焦点板で塞がれる開口を有している。ミラーボックスの開口のペンタプリズム側の口元の少なくとも一辺に、ミラーボックスは面取り部を有し、保持枠の外形端の少なくとも一部が面取り部に沿って外向きに軒状に張り出している。
【実施例】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について詳細に説明する。図1は本発明の一実施例に係るファインダ構造を備えた一眼レフレックスカメラの背面外観の斜視図を示す。図2〜図4は図1に示すカメラからその構成部材を順次除去または分離した図を示し、図2では上蓋が除去され、図3ではファインダユニットがさらに分離されて、図4ではスクリーンユニットがさらに分離されている。
【0012】
図1に示すように、一眼レフレックスカメラ10は、カメラ本体20と、カメラ本体の上面を覆う上蓋30とを備えて構成されている。上蓋30を除くとカメラ本体20の上端に配置されたファインダユニット40が臨まれ(図2参照)、ファインダユニットの下方でカメラ本体の内部にスクリーンユニット50が配置されている(図3参照)。
【0013】
図2、図3に示すように、ファインダユニット40は、ペンタプリズム41、観察光学系レンズ43などを備え、これらをユニット化して構成されている。また、図4、図5に示すように、スクリーンユニット50は、焦点板(ファインダスクリーン、フォーカシングスクリーン)52、保持枠(スクリーン本体、ユニット枠)54、スクリーン押圧部材56などを備え、これらをユニット化して構成されている。
【0014】
ユニット化されたスクリーンユニット50の構成は本発明の要部でなく、その基本的な構成は特開2005−017403号公報記載の構成に略等しいため、詳細な説明は省略して概略的に述べるに留める。
なお、撮影光学系光軸に沿った方向で被写体側を前方とし、撮影光学系光軸に沿った方向において被写体側と逆側(シャッタ側)を後方とする。
【0015】
図5は図3の線A−Aに沿った一部破断の断面図を示す。図5に示すように、スクリーン押圧部材56は、対向する2枚の板ばね状の押圧辺56a(図では1枚のみを示す)を含む4枚の枠辺を持つ矩形状の枠体からなり、2枚の押圧辺の中央は凸部状に成形され、この中央の凸部分56a’の上に平板状の焦点板52が保持されている。
【0016】
また、保持枠(クリーン本体、ユニット枠)54は、スクリーン押圧部材56よりも一回り大きな矩形状の枠体からなり、図5には図示されないが、下方に面した段部を有し、スクリーン押圧部材56に保持された平板状の焦点板52の上面をこの段部に押圧させて、スクリーン押圧部材との間に平板状の焦点板を挟持している。
つまり、スクリーン押圧部材の保持辺(板ばね)の中央の凸部分56a’を下方に変形させて押圧辺(板ばね)56aに上方の弾性力を発生させ、この弾性力のもとで焦点板52の上面は保持枠54の段部に押圧されて、焦点板は保持枠、スクリーン押圧部材の間に強固に挟持されている。
【0017】
カメラ本体20の前半部(被写体側)にはミラーボックス60が設けられ、ミラーボックスはその内部に反射ミラー(メインミラー)62を可動に支持し、ミラーボックスの前面は円形状に開口し、ミラーボックスの上面は矩形状に開口されている。そして、ミラーボックス60の前面の円形の開口を囲んでボディマウントが螺着され、ミラーボックス上面の矩形の開口60aの上方でペンタプリズム41がミラーボックスに支持されている。
【0018】
反射ミラー62は、非撮影時(ファインダ観察時)には図4のY軸と平行な撮影光学系光軸上に斜設状態で位置し、ボディマウントに装着された撮影光学系レンズを介した被写体からの光束(被写体光束)を上方に反射させて焦点板52で結像させている。つまり、非撮影時(ファインダ観察時)には、反射ミラー62でペンタプリズム41に反射された被写体光束を焦点板62が受けて、被写体像が焦点板に形成されている。被写体光束はミラーボックス上面の開口60aを通過し、ペンタプリズム41で反射されて観察光学系レンズに至ってファインダ像が観察される。また、撮影時には、撮影光学系光軸上から反射ミラー62が上方に退避するため、被写体光束は反射ミラー背後のシャッタに至る。
【0019】
特開2005−017403号公報記載のような公知の方法でミラーボックスの上面の開口60aをほぼ塞ぐようにミラーボックス60の上面にスクリーンユニット50が位置決めされ、スクリーンユニットの上方にファインダユニット40が配置されている。
【0020】
すなわち、図4に示すように、枠形状からなる保持枠54の左右(図4の矢視X方向が右、反X方向が左)の辺から4つの突出片54aが水平に延出し、この突出片に貫通孔54a’が形成されている。また、ミラーボックス60の上面には、貫通孔54a’と整列する位置にピン60dが上方に延出している。実施例では、設計上の問題から、ミラーボックス60の上面の右端面に2つ、左端面に1つのピン60dが設けられているが、上面の左端面に2つ設けてもよい。
【0021】
さらに、ミラーボックス60の上面右端面の2つのピン60dから等距離の位置でミラーボックスの上面右端面に、上方に延びたねじ穴付のボス60cが形成され、対応する位置でミラーボックスの上面左端面にも同様のねじ穴付ボスが形成されている。薄板リング形状のスペーサ(カンザ)54dをミラーボックス上面のピン60dに嵌装させ、中央部が凸の板ばね54bの挿通孔を介してビス54cがミラーボックス上面のボス60cのねじ穴に螺着される。このとき、カンザの厚さやビス54cの螺着深さなどを調整することにより、ミラーボックス60の上面でのスクリーンユニット50の位置が調整されて、ボディマウントからの焦点板52の光路長や焦点板の傾きが調整される。焦点板52の傾きは、撮影レンズ系光軸に対する接眼レンズ系光軸O1(図5参照)に対応する。
【0022】
枠形状の保持枠54はその中央部に開口54eを有し、この開口54eを下方から塞いで焦点板52が配置されている。
図6は、図5のB部の拡大断面図を示し、図5および図6に示すように、ミラーボックス60は、その上面の開口60aのペンタプリズム側の口元に面取り部60bを有し、保持枠54の外形縁の少なくとも一部は外向きにペンタプリズム側の口元の面取り部60bに対向して軒状に張り出している。すなわち、ペンタプリズム側の口元の面取り部60bに沿うように外形縁の一部が軒状に張り出した突部54fを保持枠54は有して形成されている。
【0023】
ミラーボックスの面取り部60bは、ペンタプリズム側の口元に少なくとも一辺に形成され、実施例では被写体側および被写体側と逆側(結像側)の二辺に形成され、面取り部に対応して保持枠の軒状の突部も被写体側および被写体側と逆側(結像側)の2つの外形縁に形成されている。たとえば、面取り部60bは曲面状の断面形状とされる。
【0024】
ミラーボックス60の上面の開口60aのペンタプリズム側の口元に面取り部60bが形成されるとともに、外向きに軒状に張り出した突部54fが面取り部に沿って外形縁の一部に形成されることにより、ミラーボックス60と保持枠54との間の略T字状分岐において焦点板52から離れる方向の経路(外向きの経路)70が面取り部、軒状の突部の間に規定される。
【0025】
図5に示すように、焦点板52とペンタプリズム41との間には、ファインダユニット40の構成部材である表示板44、第1、第2の視野マスク45−1、45−2が設けられている。ここで、表示板44はその周りに隙間を残すことなく中空のファインダブロック46に接着剤47で固定されて焦点板52と平行に設けられ、ペンタプリズム側の表示板の面(上面)44aに第1の視野マスク45−1が配置されている。また、ペンタプリズム側のファインダブロック46の面(上面)46aに段部46a’が形成され、この段部に第2の視野マスク45−2が配置され、第1、第2の視野マスク45−1、45−2によって、表示板44の視野範囲を限定している。
表示板44がファインダブロック46に接着剤47で固定されて焦点板52と平行に設けられているため、焦点板52と表示板44とに囲まれた狭い空間S1がペンタプリズム側で焦点板上方に規定される。
【0026】
表示板44と第2の視野マスク45−2との間にプリズム(図示しない)が配置されており、表示用のLCDからの絞り、シャッタ速度などのファイダ内の被写体の撮影情報がプリズムを介して表示板に表示され、焦点板で結像された被写体像とともにファインダで観察される。
【0027】
ミラーボックス60の上面に配置されるスクリーンユニット50は、焦点板52の光路長や傾きを調整する位置決めのためにミラーボックスに対して可動となっている。すなわち、スクリーンユニットの保持枠54はミラーボックスの上面の開口60aの内径に隙間嵌め状態に嵌合されてミラーボックス60内に配置され、図5に示すように、スクリーンユニット50とミラーボックス60との間でスクリーンユニットの周囲、具体的には保持枠54の周囲に隙間Cが存在する。この隙間Cは、僅かなものとはいえ、スクリーンユニット50がミラーボックス60に対して可動であるため避けられない。
【0028】
そのため、撮影光学系レンズの交換のためにミラーボックス前面のボディマウントの開口を開放すると、カメラの外部からミラーボックス60に入り込んだ塵芥が空気(外気)とともに隙間Cを経てペンタプリズム側に流れ、表示板44と焦点板52とに囲まれた空間(焦点板上の空間)S1に侵入して焦点板52の上面に付着するおそれがある。特に、ボディマウントの開口や反射ミラー62(図4参照)から塵芥を除くためにブロアーなどを使用すると、塵芥が空気とともに隙間Cから焦点板上の空間S1に侵入して焦点板上に付着する。
【0029】
しかし、ミラーボックス60の面取り部60b、保持枠の軒状の突部54fの間に焦点板52から離れる方向の経路(外向きの経路)70が規定されているため、隙間Cからペンタプリズム側に流れ込んだ空気は経路70に導かれて実線で示すように焦点板から離れる方向に流れ、焦点板方向への経路(焦点板上の空間S1に通じた経路、内向きの経路)70’への流れは生じない。そのため、撮影光学系レンズの交換のためにミラーボックス前面のボディマウントの開口を開放しても、焦点板上の空間S1への塵芥の侵入が妨げられ、焦点板上への塵芥の付着を大幅に減らすことができる。
【0030】
また、焦点板52から離れる方向の経路70を大量の空気が流れて焦点板から離れる方向の経路70が低圧、焦点板方向への経路70’が高圧となるため、気流の圧力差から図6に2点鎖線で示すような空気の流れが生じて焦点板上の空間S1から塵芥が吸い出され、この点からも焦点板上への塵芥の付着が防止される。
【0031】
ミラーボックス60の面取り部60bの断面形状は、曲面状、直線状、その他の形状とされるが、実施例のように曲線状の断面形状とすれば、塵芥を伴った空気が焦点板から離れる方向の経路70を円滑に流れて焦点板方向への経路70’に流れ込まないため、焦点板上の空間S1への塵芥の侵入が大幅に防止される。
【0032】
保持枠の軒状の突部54fは、保持枠の外形端の少なくとも一部に形成されるが、面取り部60bに沿った外形端の全面に形成することが好ましく、面取り部に沿って外形端の全面に軒状の突部を形成すれば、空気は乱流を生じることなく焦点板から離れる方向の経路70を円滑に流れて、焦点板上の空間S1への塵芥の侵入が確実に防止される。
【0033】
ミラーボックス60に面取り部60bを、面取り部に沿って保持枠54に軒状の突部54fをそれぞれ設けているにすぎず、構成部材が増えるわけでもないから、一眼レフレックスカメラ10の組み立てが複雑化することもない。
また、部材を設けて物理的な押力を保持枠54に加えているわけでなく、なんら外力が保持枠に作用していないから、保持枠54、スクリーン押圧部材56の間に挟持されている焦点板52に位置ずれは生じず、焦点板は正しい位置に維持される。
【0034】
ファイダ内の被写体の撮影情報が表示される表示板44がファインダブロック46に接着剤47で固定されてペンタプリズム41、焦点板52の間で焦点板と平行に設けているため、焦点板52上の空間S1が狭い空間となる。そのため、表示板をペンタプリズムと焦点板との間で焦点板と平行に設けているにもかかわらず、ミラーボックス内に入り込んだ空気はミラーボックスの面取り部と保持枠の軒状の突部とに規定される経路に導かれて焦点板から離れる方向に流れ、焦点板上の空間への塵芥の侵入が妨げられて焦点板上への塵芥の付着が大幅に減らされる。
【0035】
上記のように本発明によれば、ミラーボックス60の面取り部60b、保持枠の軒状の突部54fの間に焦点板52から離れる方向の経路(外向きの経路)70が規定しているため、塵芥を含む空気はこの経路70に導かれて焦点板から離れる方向に流れて、焦点板52上の空間S1への塵芥の侵入が阻止され、焦点板上への塵芥の付着が大幅に減らされる。
【0036】
上述した実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を何等限定するものでなく、本発明の技術範囲内で変形、改造等の施されたものも全て本発明に包含されることはいうまでもない。
【0037】
なお、請求項におけるミラーボックスの第1の開口は実施例ではミラーボックス上面の矩形の開口60aとして、同様に保持枠の第2の開口は開口54eとしてそれぞれ具体化されている。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば、レンズ交換のためにボディマウントの開口が開放される一眼レフレックスカメラに広範囲に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施例に係るファインダ構造を備えた一眼レフレックスカメラの背面外観の斜視図を示す。
【図2】上蓋を除いた一眼レフレックスカメラの背面外観の斜視図を示す。
【図3】ファインダユニットをさらに分離した一眼レフレックスカメラの背面外観の斜視図を示す。
【図4】スクリーンユニットをさらに分離した一眼レフレックスカメラの背面外観の斜視図を示す。
【図5】図3の線A−Aに沿った一眼レフレックスカメラの一部破断の断面図を示す。
【図6】図6のB部の拡大断面図を示す。
【符号の説明】
【0040】
10 一眼レフレックスカメラ
20 カメラ本体
30 上蓋
40 ファインダユニット
41 ペンタプリズム
44 表示板
50 スクリーンユニット
52 焦点板(ファインダスクリーン、フォーカシングスクリーン)
54 保持枠(スクリーン本体、ユニット枠)
54e 開口(第2の開口)
54f 軒状の突部
56 スクリーン押圧部材
60 ミラーボックス
60a 上面の開口(第1の開口)
60b 面取り部
62 反射ミラー
70 焦点板から離れる方向の経路
70’ 焦点板方向の経路(焦点板上の空間に通じた経路)
C ミラーボックス、スクリーンユニット間の隙間
S1 焦点板上の空間(表示板と焦点板とに囲まれた空間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一眼レフレックスカメラのファインダ構造において、
ペンタプリズムと、
被写体光束を上記ペンタプリズムへ反射する可動の反射ミラーと、
前記被写体光束を受けて被写体像を形成する平板状の焦点板と、
前記ペンタプリズムを支持するとともに前記反射ミラーを可動に支持し、前記被写体光束を通過させる矩形状の第1の開口を有して前記ペンタプリズムと前記可動反射ミラーとの間に設けられ、該第1の開口の上記ペンタプリズム側の口元の少なくとも一辺に面取り部を持つミラーボックスと、
上記焦点板により塞がれる第2の開口を有し、外形端の少なくとも一部がさらに外向きに上記ミラーボックスの面取り部に沿うように軒状に張り出した突部を持ち、上記ミラーボックスの第1の開口の内径に嵌合した保持枠と、
を具備していることを特徴とする一眼レフレックスカメラのファインダ構造。
【請求項2】
上記ミラーボックスの面取り部は、断面が曲面状の形状をしている請求項1記載の一眼レフレックスカメラのファインダ構造。
【請求項3】
ファインダ内情報表示のための表示板が、上記ペンタプリズムと上記焦点版との間で上記焦点板と平行に設けられている請求項1または2記載の一眼レフレックスカメラのファインダ構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−288537(P2009−288537A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141264(P2008−141264)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】