説明

乳化食品用油脂および乳化食品

【課題】トランス酸が従来の油脂より大幅に低減されていながらも、酸化安定性にも優れ、乳化食品に使用した素材が本来もつ風味や呈味を生かし、添加された着香料をも引き立たせるような乳化食品用油脂およびそれを用いた乳化食品とすることである。
【解決手段】トランス酸を2〜10質量%含有する部分水素添加油脂からなり、総脂肪酸における炭素数18の1価不飽和脂肪酸の含有量が40質量%以上、炭素数18の飽和脂肪酸の含有量が15質量%以下、分子内に二重結合を2以上含む多価不飽和脂肪酸の含有量が20質量%以下、炭素数18の1価不飽和脂肪酸の総質量(A)に占める炭素数18の1価トランス酸量(T)の質量比(T/A)が0.02〜0.1に調製されてなる乳化食品用油脂とし、さらにこの乳化食品用油脂を5〜100質量%含有するマーガリン、ファットスプレッド、クリーム、ドレッシングまたはフラワーペーストからなる乳化食品とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マーガリンやファットスプレッド、クリーム、ドレッシング、フラワーペーストなどの乳化食品に使用する油脂であって、トランス型脂肪酸が低減された部分水素添加油脂からなる乳化食品用油脂に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品には乳化状態である物が多く、油脂と水の2相からなっている。その内、水相からなる微粒子が油相中に分散している油中水型乳化食品には、バター、マーガリンなどがある。他方、油相からなる微粒子が水相中に分散している水中油型乳化食品には、牛乳、クリーム、アイスクリーム、ドレッシング、スープ、たれ(即ち、調味用の汁)などがある。
マーガリンやファットスプレッドのような油中水型乳化食品は、その固形状態を安定に保つこと、その使いやすさ及び滑らかな食感が要求されるため、可塑性に優れた固形脂と液状油が使用され、中でも部分水素添加油脂(以下、硬化油とも称する)は多用されてきた。
【0003】
また、一般にクリームと呼ばれる乳化食品は水中油型乳化食品で、液状のまま使用するものと気泡を含有させて使用するものがある。液状のまま使用するクリームには、コーヒークリームや、最近ではデザート類や調理食品に使用されるクリームもあり、例えばプリンやゼリー等のデザート類にトッピングされている。気泡を含有させて使用するクリームにはホイップクリームがある。いずれも従来は部分水素添加油脂が使用されており、乳化安定性や風味を向上させるという効果をもっていた。
【0004】
近年、トランス脂肪酸を過剰に摂取すると、血液中のLDLコレステロールを上昇させると共にHDLコレステロールを低下させて冠動脈心疾患のリスクを高めることが喧伝されるに至り、これらの乳化食品に使用する部分水素添加油は、油脂中のトランス脂肪酸を極力少なくするべき対策が進められた。
【0005】
まず、トランス酸を低減するには、固形脂として完全水素添加した油脂、いわゆる極度硬化油を使用することが考えられた。しかし、極度硬化油は非常に融点が高いため、従来の部分水素添加油脂ほど乳化食品に多量に使用できず、それでも口溶けが悪くなるので、それを避けるためにより多量の液体油を加えなければならなかった。
【0006】
そこで、パーム油やパーム油の高融点画分あるいはヤシ油、パーム核油等ラウリン系油脂、植物極度硬化油、液状油を種々に組み合わせたエステル交換油が固形脂として用いられるようになってきた。
【0007】
上記エステル交換油をもって部分水素添加油脂に代替しようとすると、乳化食品の性状を従来のものと同等程度にはできるが、酸化安定性や風味が劣っており、乳化食品の構成成分であるバターや生クリーム、粉乳等の乳素材や卵、食酢等各種風味原料を引き立たせることが充分にはできず、また着香料の風味を低減させてしまうことがあった。
【0008】
例えば、マーガリンなど油中水型乳化油脂食品に用いられる可塑性油脂として、炭素数12の飽和脂肪酸を10〜30質量%、炭素数18の飽和脂肪酸を5〜25質量%含有するエステル交換油が知られている(特許文献1)。
【0009】
また、PPP含量が4〜18質量%、PPO+POP含量が15〜55質量%、PPO/POP>1、(PPO+POP)/PPP>1.8である非選択的エステル交換油が知られている(特許文献2)。
【0010】
しかしながら、これらの油脂組成物には、エステル交換油を用い、しかも液状油脂を多く使用している為、風味が不十分である。また、パーム油独特の風味が強く出て、望ましくない。
【0011】
また、コーヒークリームなど水中油型乳化油脂食品には、高オレイン酸含有植物油からなる油脂組成物が知られている(特許文献3、特許文献4)が、これら油脂組成物は乳感に乏しく、しかもべとついた食感が残る。
【0012】
部分水素添加油のようなコク味を付与する方法としては、例えば蒸留したパーム油を0.5〜10質量%含有する可塑性油脂組成物がある(特許文献5)。
しかし、精製が十分でない油脂を添加するため雑味がのこり、添加により色調に変化が生ずるという欠点がある。
【0013】
また、部分水素添加油脂を1〜30質量%含有する油脂組成物であって、該部分水素添加油脂の過酸化物価が0.04〜7である油脂組成物が知られている(特許文献6)。
しかし、油脂を劣化させたものである為に、本来生じてはならない異臭を持つものとなり、油脂加工食品に使用した場合、その食品の持つ本来の風味を損ない、加工後の風味も十分ではなく、トランス酸が低いながらも乳化食品の風味に関して効果的な油脂は得られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2007−215521号公報
【特許文献2】特開2007−177100号公報
【特許文献3】特許4003804号公報
【特許文献4】特開2007−274997号公報
【特許文献5】特開2009−240220号公報
【特許文献6】特開2009−89684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
以上のように従来技術によるパーム系やラウリン系の植物油脂、植物極度硬化油、液状油とを種々に組み合わせたエステル交換油では、酸化安定性や風味が劣っており、乳化食品の構成成分であるバターや生クリーム、粉乳等の乳素材や卵、食酢等各種風味原料を引き立たせることが充分にはできず、また着香料の風味を低減させてしまう問題点があり、この点を改善しようとする種々の工夫もこの問題を充分に解決するに至らなかった。
【0016】
そこで、本願の各請求項に係る発明(以下、本願発明という。)は、上記した問題を解決して、トランス酸が従来の油脂より大幅に低減され、かつ酸化安定性にも優れ、乳化食品に使用した素材の本来の風味や呈味が生かされるように、また添加された着香料を引き立たせるようにした乳化食品用油脂およびそれを用いた乳化食品とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願の発明者らは、乳化食品に用いる油脂として、できるだけトランス酸含有量を少なくするように種々の油脂を部分水素添加し、その条件による効果を検討した結果、従来の硬化油のようにトランス酸を多量に存在させなくても、所定の部分水素添加工程を経ることによって乳化食品の風味をうまく引き出すことができ、その呈味性や風味にも優れた部分水素添加油脂を製造できることを見出した。
そして、トランス酸を極力生成させないように工夫する過程で、特定の脂肪酸構成を持つように水素添加を行った部分水素添加油脂が、上記課題を解決することを見出し、さらには特定のSFC特性を持たせることでより効果的となることにより本願発明を完成させるに至った。
【0018】
すなわち、本願発明では、トランス酸を2〜10質量%含有する部分水素添加油脂からなり、総脂肪酸における炭素数18の1価不飽和脂肪酸の含有量が40質量%以上であり、炭素数18の飽和脂肪酸量が15質量%以下であり、分子内に二重結合を2以上含む多価不飽和脂肪酸量が20質量%以下であり、かつ炭素数18の1価不飽和脂肪酸の総質量(A)に占める炭素数18の1価トランス酸量(T)の質量比(T/A)が0.02〜0.1であるように調製されてなる乳化食品用油脂としたのである。
【0019】
上記したように構成されるこの発明に係る乳化食品用油脂は、トランス酸を極力少なくした部分水素添加油脂であると共に、乳化食品の風味や旨みを引き出す作用を持たせるために、少なくとも総脂肪酸中に炭素数18の1価不飽和脂肪酸を40質量%またはそれ以上含有させ、かつ乳化食品の風味や旨みを悪化させないように、炭素数18の飽和脂肪酸量が15質量%以下に制限している。
【0020】
また、分子内に二重結合を2以上含む多価不飽和脂肪酸量を20質量%以下に制限することによって、酸化安定性を向上させ、油脂の保存時においても風味や旨みを悪化させずに保持することができる。
【0021】
また、炭素数18の1価不飽和脂肪酸の総質量(A)に占める炭素数18の1価トランス酸量(T)の質量比(T/A)が0.02〜0.1であるように調製されており、この調製により、水素を添加した後、反応系から離脱して結果的に水素が付加しなかった脂肪酸の異性化を防御し、トランス酸の生成を極力少なくしている。
【0022】
また、前記課題を解決し、乳化食品の風味や旨みをより引き出すために、上記総脂肪酸中に炭素数18の脂肪酸を70質量%以上含有し、かつ炭素数18の1価不飽和脂肪酸を60質量%以上含有する請求項1に記載の乳化食品用油脂とすることが好ましい。
【0023】
また、乳化食品の風味や旨みをより引き出すために、上記乳化食品用油脂における5℃のSFC(固体脂含量)が20以下であると共に、5℃のSFCと20℃のSFCの差が15以下であり、かつ融点が35℃以下であることが好ましい。
【0024】
トランス酸を極力生成させないように、上記部分水素添加油脂の原料が、ナタネ油、高オレイン酸ナタネ油、高オレイン酸サフラワー油、高オレイン酸サンフラワー油、パーム油およびパーム油の分別油からなる群から選ばれる1種以上の油脂であることが好ましい。
【0025】
また前記課題を解決する上記した部分水素添加油脂は、ニッケル触媒の存在下、60〜90℃で20分以上水素添加された部分水素添加油脂であることが好ましい。
【0026】
そして、前記課題を解決する乳化食品としては、前記得られた乳化食品用油脂を油脂成分中に5〜100質量%含有するマーガリン、ファットスプレッド、クリーム、ドレッシングまたはフラワーペーストからなる乳化食品とすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本願発明では、トランス酸が従来の油脂より大幅に低減され、しかも酸化安定性にも優れ、乳化食品に使用すると素材が本来もつ風味や呈味を生し、添加された着香料を引き立たせるような乳化食品用油脂を提供することが出来る。およびそれを用いた乳化食品は、コクや口溶けもよいものとなる利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本願発明に係る乳化食品用油脂は、トランス酸を2〜10質量%含有する部分水素添加油脂からなり、総脂肪酸における炭素数18の1価不飽和脂肪酸の含有量が40質量%以上、炭素数18の飽和脂肪酸の含有量が15質量%以下、分子内に二重結合を2以上含む多価不飽和脂肪酸の含有量が20質量%以下の乳化食品用油脂である。
【0029】
本願発明に係る乳化食品用油脂は、炭素数18の1価不飽和脂肪酸を多く含有する部分水素添加油脂であり、呈味性を悪化させないように飽和脂肪酸量を制限しており、さらに酸化安定性を向上させるために、多価不飽和脂肪酸含量を可及的に低減させている。
すなわち、炭素数18の1価不飽和脂肪酸が、40質量%未満であり、かつ炭素数18の飽和脂肪酸の含有量が15質量%を越えると、乳化食品の呈味性は、この発明に所期される程度にまで充分に得られないので好ましくない。そのために、炭素数18の1価不飽和脂肪酸は40質量%以上であればよく、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。
また、分子内に二重結合を2以上含む多価不飽和脂肪酸の含有量が20質量%を超えるほど多量であると、酸化安定性が充分でなく、油脂の保存時において風味や旨みを悪化させやすくなって好ましくない。
【0030】
トランス酸の生成を極力少なくするには、脂肪酸中の二重結合に水素が付加した際の異性化を抑えるのと同時に、水素が付加した後に離脱して結果的に水素が付加しなかった脂肪酸の異性化を防御することが重要である。
このことを実現した部分水素添加油脂とするために、炭素数18の1価の不飽和脂肪酸の総量(A)に占めるトランス酸量(T)の質量比(T/A)を0.02〜0.1とするのがよい。
質量比(T/A)を0.02未満にすれば、トランス酸の生成を極力少なくするために好ましいが、精密な制御のみを要求するものとなり食品製造に必要な実用性が伴わない。また、質量比(T/A)0.1を超えるものでは、トランス酸量が、この発明に所期される程度にまで充分に低減されないので好ましくない。
【0031】
この発明における部分水素添加油脂の出発原料として用いる植物油脂は、代表例として、なたね油、米油、ひまわり油、オリーブ油、パーム油等が挙げられる。特に好ましい油脂としては、炭素数18の1価の不飽和脂肪酸を40質量%以上含有し、多価不飽和脂肪酸が少ない油脂であり、その具体例として、なたね油、高オレイン酸なたね油、高オレイン酸サフラワー油、高オレイン酸サンフラワー油、パーム油及びその分別油、及びそれらの2種以上の混合物が望ましい。
【0032】
さらに望ましい油脂としては、高オレイン酸なたね油、高オレイン酸サフラワー油、高オレイン酸サンフラワー油であり、これらの油脂を原料として、部分水素添加を行うことにより、炭素数18の1価不飽和脂肪酸が70質量%以上含有する部分水素添加油脂が得られる。
【0033】
水素添加反応は、通常、ニッケル触媒を0.05〜0.5質量%、水素圧0.05〜0.5MPaの条件で行ない、その際の反応温度は上記の脂肪酸組成を満たす条件であればよく、トランス酸を極力生成させず、しかも飽和脂肪酸が生成されないようにする。そのためには、60〜90℃の温度で20分以上反応させることが望ましい。
反応温度範囲が60℃未満の低温では、トランス酸の生成量は少ないが、水素添加反応が極端に遅くなり実用性が低下して好ましくない。また、反応温度範囲が90℃を超える高温では、トランス異性体の増加する反応速度が速くなり、所期した低トランス酸の部分水素添加油脂の調製が困難になって好ましくない。
【0034】
また、水素添加反応中には、単に脂肪酸の飽和化という反応が起こるだけでなく、油脂の風味に影響のある種々の微量物質にも変化が生じると考えられ、反応には適度の反応時間を要する。その為、上記温度範囲での20分未満の水素添加反応では微量物質による風味改善効果が十分でない。
前述のように炭素数18の1価不飽和脂肪酸が40質量%以上、好ましくは60質量%以上となり、かつ多価不飽和脂肪酸が20質量%以下であることにより、食品に使用した際に保存時における酸化安定性に優れ、風味にも優れた部分水素添加油脂となる。
【0035】
また、5℃のSFCが20以下で、5℃のSFCと20℃のSFCの差が15以下の融点が35℃以下の部分水素添加油脂で液体油の一部あるいは全てを置き換えることで呈味においてコクが生じ、乳化性も向上する。
前記条件を満足するように調製された油脂は、目的とする乳化食品に応じて最適量使用すればよく、また、その際にトランス酸含量の少ない他の油脂と混合して使用してもよい。
【0036】
この発明における乳化食品の種類は、油脂を油脂成分中に5〜100質量%程度含有するようにして乳化した食品であれば、特に食品の種類を限定するものではなく、例えばマーガリンやファットスプレッド、クリーム、ドレッシング、フラワーペーストは、その効果がよく発揮できるものである。マーガリンやファットスプレッドでは、固形脂の構成成分としても液体油の代わりとしても使用できる。
【0037】
さらに、この発明においては、保形性を強固にするためにエステル交換油やパーム油を使用することができ、クリームとしては、ホイップクリームやコーヒークリーム、アイスクリームなどに用いられ、その際に口中がすっきりする感覚を重視するために、この発明に係る油脂の中でも低融点の油脂を用いることが望ましい。
その他の固形脂としては、エステル交換油やパーム油又はラウリン系油脂を用いるのがよい。なお、ドレッシング、フラワーペーストにおいても同様である。
【0038】
また、本願発明の油脂同士の配合あるいは他の油脂を配合し、本願発明の油脂を5〜100質量%含有させた乳化食品用油脂組成物を予め調整し、これを乳化食品の油相部として使用することもできる。
【実施例】
【0039】
以下の実施例を作製し、その評価は、SFCは基準油脂分析試験法2.2.9固体脂含量(NMR法)にて行ない、融点は基準油脂分析試験法2.2.4.2融点にて行ない、脂肪酸組成は基準油脂分析試験法暫15−2003にて行ない、トランス脂肪酸含有量は基準油脂分析試験法暫17−2007にて分析を行なった。
【0040】
[実施例1]
高オレイン酸なたね油の100質量部に対し、0.25質量部(以下、対油0.25質量%と略記する。)のニッケル触媒(堺化学工業社製 SO-450)を添加し、水素圧力0.3MPa下で攪拌しながら75℃で水素添加反応を行なった。ヨウ素価83で水素添加反応を停止し、触媒を除去後、脱色、脱臭して油脂Aを得た。油脂Aのトランス酸含量、ヨウ素価、組成及び物性値、T/A値、反応時間を表1に示した。
【0041】
[実施例2]
高オレイン酸なたね油をヨウ素価75まで反応を行なったこと以外は、実施例1と同様にして油脂Bを得た。結果は表1中に示した。
【0042】
[実施例3]
なたね油に対油0.25質量%のニッケル触媒(堺化学工業社製 SO-750)を添加し、水素圧力0.3MPa下で攪拌しながら80℃で水素添加反応を行なった。ヨウ素価95で反応を停止した後は実施例1と同様の操作を行ない、油脂Cを得た。結果は表1中に示した。
【0043】
[実施例4]
なたね油とパーム分別油(IV60)を80:20の質量比で混合し、この混合油脂にニッケル触媒(堺化学工業社製 SO-450)を対油0.25質量%添加し、水素圧力0.3MPa下で攪拌しながら80℃で水素添加反応を行ない、表1に示した油脂Dを得た。
【0044】
[実施例5]
パーム油(IV51)にニッケル触媒(堺化学社製 SO-450)を対油0.25質量%添加し、水素圧力0.3MPa下で攪拌しながら75℃で水素添加反応を行ない、表1に示した油脂Eを得た。
【0045】
[比較例1]
実施例1において、高オレイン酸なたね油をヨウ素価60になるまで水素添加反応を行なったこと以外は、全く同様にして油脂Fを得た。結果は表2中に示した。
【0046】
[比較例2]
実施例1において、大豆油をヨウ素価105まで水素添加反応を行なったこと以外は、同様にして油脂Gを得た。結果は表2中に示した。
【0047】
[比較例3]
なたね油にニッケル触媒(堺化学工業社製 SO-750)を対油0.2質量%添加し、水素圧力0.05MPa下で攪拌しながら150℃で水素添加反応を行ない、表2に示した油脂Hを得た。
【0048】
[比較例4]
パーム油(IV51)にニッケル触媒(堺化学工業社製 SO-750)を0.1質量%添加し、水素圧力0.1MPa下で攪拌しながら150℃で水素添加反応を行ない、表2に示した油脂Iを得た。
【0049】
[比較例5]
トランス酸が低く、水素添加油脂Aの物性に類似したエステル交換油脂として高オレイン酸なたね油50重量部とヤシ油30重量部とパーム油(IV51)20重量部とを混合した油に0.3重量部のナトリウムメトキシドを加え、70℃で30分混合攪拌してランダムエステル交換反応を行ない、反応後水洗して触媒を除去し、脱色、脱臭して油脂Jを得た。結果は表2に示した。
【0050】
[比較例6]
トランス酸が低く、水素添加油脂Aの物性に類似したエステル交換油脂として、なたね油60重量部とパーム油(IV51)30重量部と極度硬化した大豆油10重量部を混合した油に0.3重量部のナトリウムメトキシドを加え、70℃で30分混合攪拌してランダムエステル交換反応を行ない、反応後水洗して触媒を除去し、脱色、脱臭をして油脂Kを得た。結果は表2に示した。
【0051】
[比較例7]
パーム油(IV51)に0.3重量部のナトリウムメトキシドを加え、70℃で30分混合攪拌してランダムエステル交換反応を行ない、反応後水洗して触媒を除去し、脱色、脱臭をして油脂Lを得た。結果は表2に示した。
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
(液状クリーム)
一般的に液状クリームでトランス酸を低減させるためには液状油脂や従来の硬化油に類似した物性を持つエステル交換油が用いられている。そこで、本願発明の油脂とこれらの油脂を比較した。
【0055】
[実施例6]
油脂Aを油脂組成物として30重量部に対し、蔗糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ社製 S-170)0.15重量部、大豆レシチン0.1重量部、蔗糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ社製 S-570)0.1重量部および香料0.06重量部を混合し、油相部とした。
【0056】
上記油相部に対し、水61.59重量部に、脱脂粉乳4.2重量部、カゼインナトリウム3重量部、第二リン酸水素2カリウム0.5重量部、蔗糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ社製 S-1570)0.2重量部、クエン酸3ナトリウム0.1重量部を溶解した。
前記油相部と水相部とを60〜65℃で混合し、ホモミキサーにより予備乳化した。次に、ホモゲナイザー(イズミフードマシナリ社製)を通して均質圧力15MPa(1次圧)で均質化した後、140℃で4秒間の加熱殺菌を行ない、60℃に冷却して、再び均質圧力10MPa(2次圧)で均質化し、約7℃に冷却して、液状クリームを製造した。評価した結果については、表3中に併記した。
【0057】
[実施例7、8、比較例8〜12]
表3の油脂配合に従って油脂組成物を調整し、実施例6と同様な方法にて液状クリームを製造した。クリームの評価方法は下記に示した方法で行ない、結果は表3中に併記した。
(液状クリームの評価方法)
製造したクリームを5℃で24時間保存を行ない、そのまま食したときの状態を、下記の評価基準で評価した。
【0058】
<フレーバー効果>
○ 程よくフレーバーの香味が感じられる
△ フレーバーの香味を感じるが、やや弱い
× フレーバーの香味が弱い
<コク>
○ 良好
△ 弱い又はややしつこい
× 淡白
<クリーミー感>
○ 良好
△ 弱い
× とがった食感又はべとつく
【0059】
【表3】

【0060】
表3の結果からも明らかなように、本願の各請求項に係る発明の油脂を含む液状クリームは、フレーバーの着香効果を高め、なおかつコク、クリーミー感に優れるものであった。
これに対し、水素添加反応を行なわない液状油脂を用いた比較例8やエステル交換油を用いた比較例9のような液状クリームでは、フレーバーの効果が得られなかった。また、本願発明の各請求項を逸脱した部分水素添加油脂を用いた比較例10〜12もフレーバーの効果が弱く満足いくものではなかった。
【0061】
(ホイップクリーム)
ホイップクリームにおいては、従来、トランス酸が40%以上も含有する硬化油を主に用いられてきたが、トランス酸を低減させるためにラウリン系油脂やパーム系油脂を主たる油脂として用いられるようになり、さらに口溶けを良くするために液状油脂を加えられることがある。そこで本願発明の油脂と液状油脂において比較した。
【0062】
[実施例9]
油脂A30重量部、パーム核油20重量部、パーム核極度硬化油30重量部、及びパーム油中融点部(IV46)20重量部とを混合し、油脂組成物とした。この油脂組成物40.5重量部に大豆レシチン0.2重量部、ステアリン酸モノグリセライド(理研ビタミン社製 ポエムS-100)0.03重量部、蔗糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ社製 S-170)0.05重量部、蔗糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ社製 S-570)0.05重量部、及び香料0.16重量部を溶解させて油相部とした。
【0063】
油相部に対し、水54.81重量部に脱脂粉乳4重量部、蔗糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ社製 S-1170)0.05重量部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.1重量部、グアーガム0.03重量部、キサンタンガム0.02重量部を溶解させて水相部とした。
油相部と水相部とを60〜65℃で混合し、ホモミキサーにより予備乳化した。次に、ホモゲナイザー(イズミフードマシナリ社製)を通して均質圧力8MPa(1次圧)で均質した後、140℃で4秒間の加熱殺菌を行ない、60℃に冷却して、再び均質圧力4MPa(2次圧)で均質化し、約7℃に冷却して、起泡性クリームを製造した。起泡性クリームの評価方法は下記に示した方法で行い、結果は表4に示した。
【0064】
[比較例13]
実施例9の油脂Aに替えて高オレイン酸なたね油を用いたこと以外は同様にして、起泡性クリームを製造した。評価した結果は表4に併記した。
(起泡性クリームの評価方法)
製造した起泡性クリームを5℃で24時間エージングを行なった。ついで1日保存後、約3000ml容量のミキサーに気泡性クリームを400g入れて、クリームが適度な硬さになるまでホイップし、得られたホイップドクリームについて下記の基準で評価した。
【0065】
<フレーバー効果>
○ ほどよくフレーバーの香味が感じられる
× フレーバーの香味が弱い
<口どけ>
○ 良好
× 悪い
<保型性>
ホイップドクリームについて絞り器を使用して造花した後25℃に1時間置き、造花物の組織状態、離水を下記の基準で評価した。
○ 表面がしっかりしてきれいで、離水がほとんどない
× 表面がだれていて、離水が見られる
ホイップドクリームを食したときの状態を下記の基準で評価した。
【0066】
【表4】

【0067】
表4の結果からも明らかなように、本願の各請求項に係る発明の油脂を含む起泡性クリームは、フレーバーの着香効果を十分に高めるものであり、尚且つ優れた口どけを有しながらしっかりした保型性を保つものであった。対して、ホイップクリームの口溶けをよくすべく液状油を添加した比較例13は、フレーバー効果は発揮されず保型性も劣るものであった。
【0068】
(アイスクリーム)
[実施例10]
油脂B50重量部とヤシ油50重量部とを混合し油脂組成物とした。この油脂組成物15重量部にステアリン酸モノグリセライド(理研ビタミン社製 ポエムS-100)0.1重量部、酵素分解レシチン(キリン協和発酵フーズ社製 エルマイザーA)0.2重量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学社製 A-181E)0.2重量部、及び香料0.05重量部を溶解させて油相部とした。
【0069】
油相部に対し、牛乳58.15重量部に脱脂粉乳10重量部、上白糖5重量部、加糖練乳5重量部、液糖5重量部、糖アルコール1重量部、蔗糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ社製 S-1570)0.1重量部、及び結晶セルロース0.2重量部を溶解させて水相部とした。油相部と水相部とを60〜65℃で混合し、ホモミキサーにより予備乳化した。次に、ホモゲナイザー(イズミフードマシナリ社製)を通して均質圧力10MPa(1次圧)で均質した後、120℃で2秒間の加熱殺菌を行ない、60℃に冷却して、再び均質圧力5MPa(2次圧)で均質化し、約7℃に冷却して、アイスクリーム(ラクトアイス)用乳化物を製造した。クリームの評価方法は下記に示した方法で行い、結果は表5に示した。
【0070】
[比較例14]
実施例10の油脂Bに代えて、常温で液体であるパーム分別油(IV60)を用いた以外は同様にしてアイスクリーム(ラクトアイス)用乳化物を製造した。評価した結果は表5に示した。
【0071】
(ラクトアイスの評価方法)
製造したラクトアイス用クリームを5℃で24時間エージングを行なった。このラクトアイス用クリームをアイスクリーマーにてフリージングを行い、得られたラクトアイスについて下記の基準で評価した。
【0072】
<原料由来の風味>
○ 練乳、牛乳の風味が充分感じられる
× 練乳、牛乳の風味が弱い
<フレーバー効果>
○ 程よくフレーバーの香味が感じられる
△ フレーバーの香味を感じるが、やや弱い
× フレーバーの香味が弱い
<口どけ>
○ 良好
△ やや口どけが欠ける状態
× 悪い
【0073】
【表5】

【0074】
一般的にアイスクリーム用油脂としてはヤシ油及びパーム系油脂が用いられている。表5の結果から明らかなように、本願の各請求項に係る発明の油脂を含むラクトアイスは、練乳や牛乳等の原料の本来持つ風味や味わいを引き立たせ、かつフレーバーの着香効果を高めるものであった。
これに対し、比較例14のようなラクトアイスでは、原料由来の風味が弱く、フレーバーの効果も満足いくものではなかった。
【0075】
(マーガリン、ファットスプレッド)
マーガリン類においては、従来、トランス酸が40%以上も含有する硬化油と液状油との混合油が主に用いられてきたが、トランス酸を低減させるために硬化油の代わりにパーム系油脂あるいはそのエステル交換油を主たる油脂として用いられ、さらに口溶けを良くするために液状油脂を多く加えられるようになってきた。そこで本願発明の油脂を液状油脂あるいはパーム系油脂に置換して用いた場合を比較した。
【0076】
[実施例11]
油脂C50重量部、パーム油(IV51)30重量部、及びパーム分別硬質部(IV33)20重量部とを混合し、油脂組成物とした。この油脂組成物70重量部に大豆レシチン0.2重量部、ステアリン酸モノグリセライド(理研ビタミン社製 ポエムS-100)0.2重量部、香料0.05重量部、及びβカロチン0.002重量部を溶解させて油相部とした。
【0077】
油相部に対し、水27.548重量部に脱脂粉乳1重量部、及び食塩1重量部を溶解させて水相部とした。油相部と水相部とを70℃で混合し、スリーワンモーターにより攪拌混合し、予備乳化した。これをコンビネーター(シュレーダー社製)に通し、急冷捏和してファットスプレッドを製造した。評価した結果について、表6に示した。
【0078】
[比較例15、16]
実施例11の油脂Cに替えてなたね油を用いたこと(比較例15)、または油脂Hを用いたこと(比較例16)以外は、実施例11と同様な方法にてファットスプレッドを製造した。評価した結果について、表6に示した。
(ファットスプレッドの評価方法)
製造したファットスプレッドを冷蔵で一週間保存した後、そのまま食したときの状態を下記の基準で評価した。
<フレーバー効果>
○ ほどよくフレーバーの香味が感じられる
× フレーバーの香味が弱い
<口どけ、塩味>
○ 適度な口どけで、程よい塩味が感じられる
× 口どけが悪く、塩味が弱い
【0079】
【表6】

【0080】
表6の結果から明らかなように、本願の各請求項に係る発明の油脂を含むファットスプレッドは、フレーバーの着香効果を十分に高めるものであり、尚且つ優れた口どけ、塩味を有するものであった。
【0081】
[実施例12]
大豆油60重量部と油脂E40重量部を混合し油脂組成物とした。この油脂組成物57重量部に無塩バター30重量部、大豆レシチン0.2重量部、ステアリン酸モノグリセライド(理研ビタミン社製 ポエムS-100)0.2重量部、及びβカロチン0.002重量部を溶解させて油相部とした。
【0082】
油相部に対し、牛乳10.598重量部に脱脂粉乳1重量部、食塩1重量部を溶解させて水相部とした。油相部と水相部とを60℃で混合し、スリーワンモーターにより攪拌混合し、予備乳化した。これをコンビネーターに通し、急冷捏和してコンパウンドマーガリンを製造した。評価した結果について、表7に示した。
【0083】
[実施例13]
大豆油40重量部、油脂E40重量部、及び油脂A20重量部を混合し油脂組成物とした。この油脂組成物を用いた以外は、実施例12と同様な方法にてコンパウンドマーガリンを製造した。評価した結果について、表7に示した。
【0084】
[比較例17]
実施例12において、油脂Eに替えて油脂Lを用いたこと以外は、実施例12と同様にしてコンパウンドマーガリンを製造した。評価した結果について、表7に示した。
(マーガリンの評価方法)
製造したマーガリンをそのまま食したときの状態を下記の基準で評価した。
【0085】
<油相部の原料由来の風味>
○ バターの風味が充分感じられる
△ バターの風味を感じるが、やや弱い
× バターの風味が弱い
<水相部の原料由来の風味>
○ 牛乳の風味が充分感じられる
△ 牛乳の風味を感じるが、やや弱い
× 牛乳の風味が弱い
【0086】
【表7】

【0087】
表7の結果からも明らかなように、本願の各請求項に係る発明の油脂を含むコンパウンドマーガリンは、乳化食品の特性である油相部、水相部其々に加えられた、特有の風味を持つ原料の味わいをひきたてるものであった。
【0088】
(フラワーペースト)
[実施例14]
パーム油(IV52)50重量部と油脂A50重量部を混合し油脂組成物とした。この油脂組成物18重量部に大豆レシチン0.2重量部、及びステアリン酸モノグリセライド(理研ビタミン社製 ポエムS-100)0.2重量部を溶解させて油相部とした。
【0089】
油相部に対し、水51.5重量部にグラニュー糖15重量部、卵黄5重量部、脱脂粉乳5重量部、コーンスターチ5重量部、及び蔗糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ社製 S-1570)0.1重量部を溶解させて水相部とした。油相部と水相部とを70℃で混合し、ホモミキサーにより、8000rpmで5分間攪拌混合し乳化した。次いで、沸騰湯浴中で5分間加熱した後冷却し、カスタード風味フラワーペーストを得た。得られたフラワーペーストは、卵黄由来の風味が良好で、程よいカスタード風味となった。
【0090】
[比較例18]
実施例14の油脂Aに替えて高オレイン酸なたね油を用いた以外は、実施例14と同様な方法にてカスタード風味フラワーペーストを製造した。得られたフラワーペーストは、卵黄由来の風味が弱く、カスタード風味が感じられなかった。
【0091】
(ドレッシング)
[実施例15]
水22.4重量部に食酢10重量部、グラニュー糖3.5重量部、食塩2.5重量部、グルタミン酸ナトリウム0.5重量部、レモン果汁0.5重量部、キサンタンガム0.3重量部、及びグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学社製 サンソフトA-181E)0.2重量部を溶解させて水相部とした。水相部をホモミキサーにて攪拌しながら、油脂A60重量部に香料0.1重量部添加したものを徐々に加え、8000rpmで5分間攪拌混合し乳化し、ドレッシングを得た。評価した結果について、表8に示した。
【0092】
[比較例19、20]
実施例15の油脂Aに替えて高オレイン酸なたね油を用いたこと(比較例19)、または油脂Kを用いたこと(比較例20)以外は、実施例10と同様にしてドレッシングを得た。評価した結果については、表8に示した。
【0093】
(ドレッシングの評価方法)
得られたドレッシングをそのまま食したときの状態を下記の基準で評価した。
<原料由来の風味>
○ レモンの風味が充分感じられる
△ レモンの風味を感じるが、やや弱い
× レモンの風味が弱い
<フレーバー効果>
○ 程よくフレーバーの香味が感じられる
△ フレーバーの香味を感じるが、やや弱い
× フレーバーの香味が弱い
【0094】
【表8】

【0095】
表8の結果からも明らかなように、本願の各請求項に係る発明の油脂を含むドレッシングは、レモン果汁のような特有の原料の味を引き立たせ、かつフレーバーの着香効果を高めるものであった。これに対し、水素添加反応を行なわない油脂を用いた比較例19や、エステル交換油を用いた比較例20のようなドレッシングでは、原料由来の風味が満足いくものではなく、フレーバーの効果も得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランス酸を2〜10質量%含有する部分水素添加油脂からなり、総脂肪酸における炭素数18の1価不飽和脂肪酸の含有量が40質量%以上、炭素数18の飽和脂肪酸の含有量が15質量%以下、分子内に二重結合を2以上含む多価不飽和脂肪酸の含有量が20質量%以下、炭素数18の1価不飽和脂肪酸の総質量(A)に占める炭素数18の1価トランス酸量(T)の質量比(T/A)が0.02〜0.1に調製されてなる乳化食品用油脂。
【請求項2】
上記総脂肪酸中に炭素数18の脂肪酸を70質量%以上含有し、かつ炭素数18の1価不飽和脂肪酸を60質量%以上含有する請求項1に記載の乳化食品用油脂。
【請求項3】
上記乳化食品用油脂における5℃のSFC(固体脂含量)が20以下であると共に、5℃のSFCと20℃のSFCの差が15以下であり、かつ融点が35℃以下ある請求項1または2に記載の乳化食品用油脂。
【請求項4】
上記部分水素添加油脂の原料が、ナタネ油、高オレイン酸ナタネ油、高オレイン酸サフラワー油、高オレイン酸サンフラワー油、パーム油およびパーム油の分別油からなる群から選ばれる1種以上の油脂である請求項1〜3のいずれかに記載の乳化食品用油脂。
【請求項5】
上記部分水素添加油脂が、ニッケル触媒の存在下、60〜90℃で20分以上水素添加された部分水素添加油脂である請求項1〜4のいずれかに記載の乳化食品用油脂。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の乳化食品用油脂を油脂成分中に5〜100質量%含有するマーガリン、ファットスプレッド、クリーム、ドレッシングまたはフラワーペーストからなる乳化食品。

【公開番号】特開2011−254777(P2011−254777A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133863(P2010−133863)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【特許番号】特許第4768868号(P4768868)
【特許公報発行日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000189970)植田製油株式会社 (18)
【Fターム(参考)】