説明

二輪車の前輪装置

【課題】二輪車のハンドルを切ったときの回転角度の制限が少なくなるようにすることができるようにした二輪車の前輪装置を提供する。
【解決手段】左右の支持フレーム35a,35bの下端部に、片持ち構造の左右前輪40a,40bとを狭い間隔で独立して対向するよう支持して成る左右フロントフォーク30a,30bと、左右の支持フレーム35a,35bの上端部36を支持するとともに、二輪車のハンドル側に連結される上端機構50とを具備し、上端機構50は、二輪車のハンドル側に連結される連結部材51の中央部から支持アーム55を前方に延ばし、支持アーム55の先端部に前記左右の支持フレーム35a,35bの上端部36を固結支持し、左右の支持フレーム35a,35bが二輪車のフロントフェンダ15の前縁部16から離れるよう配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車のフロントフェンダ内に納まるよう装着される二輪車の前輪装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術としては、例えば特開2006−248289号公報、または図3に示すようなものがある。
【0003】
すなわち、図3に示すように、従来の二輪車の前輪装置は、緩衝機構1を有する右フロントフォーク2と左フロントフォーク3とを、上端機構4の連結部材5で相互に連結して下方に延ばし、両フロントフォーク2,3の下端内側に、狭い間隔で対向する右前輪6および左前輪7を支持したものである。
【0004】
【特許文献1】特開2006−248289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の技術では、右フロントフォーク2と左フロントフォーク3とが、上端機構4の連結部材5で相互に連結して下方に延ばされているので、右フロントフォーク2と左フロントフォーク3との外縁が二輪車のフロントフェンダの前縁部に近く、二輪車のハンドルを切ったときの回転角度が制限され、二輪車のフロントフェンダ内に納まるよう装着する二輪車の車体が制限され、自由度が低いという問題点があった。
【0006】
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、左右の支持フレームが二輪車のフロントフェンダの前縁部から離れるよう配置し、二輪車のハンドルを切ったときの回転角度の制限が少なくなるようにすることができるようにした二輪車の前輪装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]二輪車のフロントフェンダ(15)内に納まるよう装着される二輪車の前輪装置(20)であって、
左右の支持フレーム(35a,35b)の下端部に、片持ち構造の右前輪(40a)および左前輪(40b)とを狭い間隔で独立して対向するよう支持して成る右フロントフォーク(30a)および左フロントフォーク(30b)と、左右の支持フレーム(35a,35b)の上端部(36)を支持するとともに、二輪車のハンドル側に連結される上端機構(50)とを具備し、
前記上端機構(50)は、二輪車のハンドル側に連結される連結部材(51)の中央部から支持アーム(55)を前方に延ばして成り、
前記支持アーム(55)の先端部に前記左右の支持フレーム(35a,35b)の上端部(36)を固結支持し、前記左右の支持フレーム(35a,35b)が二輪車のフロントフェンダ(15)の前縁部(16)から離れるよう配置したことを特徴とする二輪車の前輪装置(20)。
【0008】
[2]前記左右の支持フレーム(35a,35b)は逆U字形に一体的に構成され、逆U字形の頂部(37)の中心位置に前記連結部材(51)の中央部から前方に延びる支持アーム(55)を固結したことを特徴とする項1に記載の二輪車の前輪装置(20)。
【0009】
[3]二輪車のハンドル側に連結される前記連結部材(51)の両端部(53a,53b)と左右の前輪(40a,40b)との間に緩衝機構(60)が設けられていることを特徴とする項1に記載の二輪車の前輪装置(20)。
【0010】
[4]前記連結部材(51)の中央部から前方に延びる支持アーム(55)は、2本のパイプ部材であることを特徴とする項1または2に記載の二輪車の前輪装置(20)。
【0011】
前記本発明は次のように作用する。
二輪車の前輪装置(20)は二輪車の車体前部のフロントフェンダ(15)内に納まるよう装着される。
【0012】
二輪車のハンドル側に連結される上端機構(50)の連結部材(51)の中央部から支持アーム(55)が前方に延ばされており、二輪車の車体から離れた支持アーム(55)の先端部に固結支持された左右の支持フレーム(35a,35b)が下方に延びているので、左右の支持フレーム(35a,35b)が二輪車のフロントフェンダ(15)の前縁部(16)から離れている。また、支持アーム(55)の部分は幅が狭くて懐(ふところ)状をなしていて車体との干渉のおそれがない。
【0013】
二輪車のハンドルを切ると右フロントフォーク(30a)および左フロントフォーク(30b)とは一体的に回動する。左右の支持フレーム(35a,35b)が二輪車のフロントフェンダ(15)の前縁部(16)から離れているので、二輪車の車体と干渉しにくく、従来では干渉しているような対象でも干渉することがなく、多種の二輪車車体に対応することができる。
【0014】
右フロントフォーク(30a)および左フロントフォーク(30b)との左右の支持フレーム(35a,35b)の下端部に支持された、狭い間隔で対向している片持ち構造の右前輪(40a)および左前輪(40b)とは、走行時に独立して作動し、二輪車をベースとしながら三輪車として機能する。
【0015】
走行時に緩衝機構(60)は二輪車のハンドル側に連結される前記連結部材(51)の両端部(53a,53b)と左右の前輪(40a,40b)との間にあって、路面の凹凸を吸収して乗り心地を良くする。緩衝機構(60)は支持アーム(55)や支持フレーム(35a,35b)との間に設けられていてもよい。
【0016】
逆U字形に一体的に構成された左右の支持フレーム(35a,35b)は、逆U字形の頂部(37)の中心位置に連結部材(51)の中央部から前方に延びる支持アーム(55)が固結されているので、剛性が高く安定した性能を発揮する。
【0017】
連結部材(51)の中央部から前方に延びる2本のパイプ部材である支持アーム(55)は相互に補完するので衝突時等に同時に破壊しにくく安全性が高い。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる二輪車の前輪装置によれば、右フロントフォークおよび左フロントフォークの左右の支持フレームが二輪車のフロントフェンダの前縁部から離れているので、車体と両フロントフォークとの干渉が少なくなり、装着可能な車体の仕様が広くなり、多種の二輪車車体に対応することができる。また、剛性が増し、操行安定性が向上し、安全性も確実になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面に基づき本発明の好適な一実施の形態を説明する。
図1および図2は本発明の一実施の形態を示している。
二輪車の前輪装置20は、二輪車の車体10のフロントフェンダ15内に納まるよう装着されるものである。
【0020】
二輪車の前輪装置20は、右フロントフォーク30aおよび左フロントフォーク30bとを左右組み合わせて成る。両フロントフォーク30a,30bの、左右の支持フレーム35a,35bの下端部に、片持ち構造の右前輪40aおよび左前輪40bとを狭い間隔で独立して対向するよう支持している。
【0021】
二輪車の前輪装置20の上部には、左右の支持フレーム35a,35bの上端部を支持するとともに、二輪車のハンドル側に連結される上端機構50が設けられている。
【0022】
上端機構50は、二輪車のハンドル側に連結される連結ピン52,52を有する連結部材51の中央部から支持アーム55が前方に延ばされている。支持アーム55は、2本の丸パイプ部材の基端を連結部材51に溶接固着して成る。
【0023】
支持アーム55の先端部には、何れも丸パイプである左右の支持フレーム35a,35bの上端部36を溶接して固結支持し、左右の支持フレーム35a,35bが二輪車のフロントフェンダ15の前縁部16から離れる位置になるよう配置されている。
【0024】
左右の支持フレーム35a,35bは逆U字形に一体的に構成され、逆U字形の頂部37の中心位置に、連結部材51の中央部から前方に延びる支持アーム55が溶接固結されている。
【0025】
二輪車のハンドル側に連結される上端機構50の連結部材51の両端部53a,53bと左右の前輪40a,40bとの間に緩衝機構60が設けられている。
【0026】
次に作用を説明する。
二輪車の前輪装置20は二輪車の車体前部のフロントフェンダ15内に納まるよう装着される。
【0027】
二輪車のハンドル側に連結される上端機構50の連結部材51の中央部から支持アーム55が前方に延ばされており、二輪車のフロントフェンダ15の前縁部16から離れた位置で支持アーム55の先端部に固結支持された左右の支持フレーム35a,35bが下方に延びている。
【0028】
左右の支持フレーム35a,35bが二輪車のフロントフェンダ15の前縁部16から離れており、支持アーム55の部分は幅が狭くて懐状をなしていて車体前部との干渉のおそれはない。
【0029】
二輪車のハンドルを切ると右フロントフォーク30aおよび左フロントフォーク30bとは一体的に回動する。左右の支持フレーム35a,35bが二輪車のフロントフェンダ15の前縁部16から離れているので、一杯にハンドルを切って二輪車の前輪装置20が回動しても、二輪車の車体のフロントフェンダ15の前縁部16と干渉しにくく、従来では干渉しているような対象でも干渉することがなく、多種の二輪車車体に対応することができる。
【0030】
右フロントフォーク30aおよび左フロントフォーク30bの左右の支持フレーム35a,35bの下端部に支持された、狭い間隔で対向している片持ち構造の右前輪40aおよび左前輪40bは、走行時に独立して作動し、二輪車をベースとしながら三輪車として機能する。
【0031】
走行時に緩衝機構60は二輪車のハンドル側に連結される前記連結部材51の両端部53a,53bと左右の前輪40a,40bとの間にあって、路面の凹凸をそれぞれが独立して吸収して乗り心地を良くする。なお、緩衝機構60は支持アーム55や支持フレーム35a,35bとの間に設けられていてもよく、振れに対して作動するものでも良い。
【0032】
逆U字形に一体的に構成された左右の支持フレーム35a,35bは、逆U字形の頂部37の中心位置に連結部材51の中央部から前方に延びる支持アーム55が固結されているので、剛性が高く安定した性能を発揮する。
【0033】
連結部材51の中央部から前方に延びる2本のパイプ部材である支持アーム55は相互に補完するので衝突時等に同時に破壊しにくく安全性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施の形態に係る二輪車の前輪装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る二輪車の前輪装置を二輪車に装着した状態を示す斜視図である。
【図3】二輪車の前輪装置の従来例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
10…車体
15…フロントフェンダ
16…前縁部
20…二輪車の前輪装置
30a…右フロントフォーク
30b…左フロントフォーク
35a…右の支持フレーム
35b…左の支持フレーム
36…上端部
37…頂部
40a…右前輪
40b…左前輪
50…上端機構
51…連結部材
52…連結ピン
53a,53b…端部
55…支持アーム
60…緩衝機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二輪車のフロントフェンダ内に納まるよう装着される二輪車の前輪装置であって、
左右の支持フレームの下端部に、片持ち構造の右前輪および左前輪とを狭い間隔で独立して対向するよう支持して成る右フロントフォークおよび左フロントフォークと、左右の支持フレームの上端部を支持するとともに、二輪車のハンドル側に連結される上端機構とを具備し、
前記上端機構は、二輪車のハンドル側に連結される連結部材の中央部から支持アームを前方に延ばして成り、
前記支持アームの先端部に前記左右の支持フレームの上端部を固結支持し、前記左右の支持フレームが二輪車のフロントフェンダの前縁部から離れるよう配置したことを特徴とする二輪車の前輪装置。
【請求項2】
前記左右の支持フレームは逆U字形に一体的に構成され、逆U字形の頂部の中心位置に前記連結部材の中央部から前方に延びる支持アームを固結したことを特徴とする請求項1に記載の二輪車の前輪装置。
【請求項3】
二輪車のハンドル側に連結される前記連結部材の両端部と左右の前輪との間に緩衝機構が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の二輪車の前輪装置。
【請求項4】
前記連結部材の中央部から前方に延びる支持アームは、2本のパイプ部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の二輪車の前輪装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−149571(P2010−149571A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327497(P2008−327497)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(592253138)向洋産業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】