説明

交流電流供給装置、交流電流供給装置の制御器、及び交流電流供給方法

【課題】 外部交流電源から蓄電池への充電と、交流電源ソケットの使用が重なった場合でも、外部交流電源への過大な電力負荷を防止し、電力損失を最小化する、交流電流供給装置を提供する。
【解決手段】 交流電源から交流−直流変換を経て得られる直流電流を蓄積する電力蓄積手段と、電力蓄積手段から直流−交流変換を経て得られる交流電流を出力する交流電流出力手段とを含み、交流電源からの電力の供給があり、交流電流出力手段を使用する場合に、電力蓄積手段を経ず、交流電源から交流電流出力手段へ交流電流の供給を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電流供給装置、交流電流供給装置の制御器、及び交流電流供給方法に関し、特に、蓄電池を備えた移動装置において、蓄電池は外部交流電源から電力の供給を受けると共に、電力を提供する交流電源ソケットを備える移動装置の交流電流供給装置、交流電流供給装置の制御器、及び交流電流供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、蓄電池を備えた自動車等の移動装置において、一般家庭用の電気器具を使用できるようにするための技術は、広く知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、一般家庭用の電気器具を自動車の車内で使用できる車両用ソケットが開示されている。この車両用ソケットは、自動車のバッテリに接続され、電圧を昇圧するトランスを備えたDC/DCコンバータ電源回路と、このDC/DCコンバータ電源回路に接続し、かつ100Vの一般家庭用の電気器具の家電用プラグに接続する家電用ソケットと、この家電用プラグを装着することに連動するアウトレットスイッチと、を備えている。また、上記DC/DCコンバータ電源回路は、上記アウトレットスイッチにより作動するコンバータ駆動回路を備えている。
【0004】
また、特許文献2では、AC出力およびDC出力を提供する車載用電源装置であって、未知のAC負荷が接続する場合であっても各負荷に適切に電力を供給できるようにする車載用電源装置が開示されている。この車載用電源装置は、自動車の走行に必要な機器にDC電圧を提供するために、所定の電圧を生成するDC/DCコンバータと、DC/DCコンバータにより生成されるDC電圧を交流に変換するDC/ACコンバータを備え、そのAC出力を、コンセントプラグから提供する。また、DC出力およびAC出力の総電力がDC/DCコンバータの最大電力を超えると、DC/ACコンバータによるAC出力を制限するコントローラを備える。
【0005】
また、特許文献3では、車載電源の充電状態の低下を抑制しつつ、商用交流電源の使用をできるだけ確保する車載用電源装置が開示されている。これ以前の技術では、車載電源の充電状態(SOC)が所定範囲を逸脱しないように、車載電源のSOCが所定状態まで低下した場合には、DC/ACインバータの作動を禁止することが行われていた。しかし、本文献で開示された技術では、車両に搭載された高圧バッテリのSOCに基づいて、高圧バッテリからインバータを介してアクセサリコンセントへ供給可能な電力、即ち、アクセサリコンセントに接続される電気製品の消費可能な許容消費電力を算出することにより、商用交流電源の使用をできるだけ確保する。
【0006】
また、特許文献4では、充電装置本体に接続される、ACアダプタもしくはカーバッテリー等の直流電源の出力電圧が、充電装置本体が正常に動作できる許容電圧範囲から外れた場合でも、充電装置自身の故障や直流電源自体の損傷を防止することができる充電装置が開示されている。
【0007】
また、特許文献5では、二次電池からの電力を用いてAC100V出力を行なう電力系統制御装置が開示されている。本文献で開示された技術では、バッテリの充放電電流や充放電積算量などから充放電状態を判定してAC100VインバータによるAC100V出力を制限している。
【0008】
上記先行技術においては、内燃機関の動作により蓄電池へ蓄電する又は外部AC電源から蓄電池へ蓄電するのか違いはあるものの、直流電圧の昇圧変圧器の機能を備えたDC/DCコンバータ電源回路や、直流電圧を交流に変換するDC/AC変換器を備えることにより、一般家庭用の電気器具が一旦蓄電池に蓄積された直流電圧を使用できるようにしている。
【0009】
一方、近年、住宅等の交流電源から電力の供給を受ける、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)や電気自動車(EV)の蓄電池の大容量化が進展し、今後ますます、移動装置の蓄電池に蓄えられた電力を一般の電気器具に使用する機会が増加するものと考えられている。
【0010】
しかし、先行技術においては、昇圧変圧器の機能付きDC/DCコンバータ電源回路では負荷の比較的少ない電気器具に限定されている。また、DC/AC変換器を使用する場合、PHEVやEVにあっては交流電源から電力の供給を受ける際に一度AC/DC変換を行っているので、再度DC/AC変換を行い電気器具に電力を提供することは、全体としてエネルギー損失が大きくなってしまう。
【0011】
特に、先行技術においては、外部交流電源から車載の蓄電池へ充電中か充電中でないかの状態にかかわらず、車両の交流電源ソケットから出力される交流電圧は、蓄電池に蓄積された直流電圧をDC/AC変換して供給されることが前提となっている。従って、外部交流電源から車両の蓄電池への充電と車両の交流電源ソケットの使用が同時に行われる場合、外部交流電源から車載の蓄電池へ充電し、それをさらにDC/AC変換して交流電源ソケットから交流電圧を供給することは、2度の電力の変換を伴い、エネルギーの損失が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−301991号公報
【特許文献2】特開2008−1316号公報
【特許文献3】特開2004−282837号公報
【特許文献4】特開2009−60683号公報
【特許文献5】特開2002−374604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的とするところは、蓄電池と交流電源ソケットを備える車両等において、外部交流電源から蓄電池への充電と、交流電源ソケットの使用が重なった場合でも、外部交流電源への過大な電力負荷を防止し、電力損失を最小化する、交流電流供給装置、交流電流供給装置の制御器、及び交流電流供給方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、外部交流電源に接続される交流電源接続端子と、交流電源接続端子からの交流電流を、蓄電池に蓄えるために直流電流に変換する交流−直流変換器と、蓄電池からの直流電流を交流電流に変換する直流−交流変換器と、直流−交流変換器で変換された交流電流又は外部交流電源からの交流電流を出力する交流電源ソケットと、交流電源ソケットと交流電源接続端子を導通、遮断する第一スイッチと、交流電源接続端子と交流−直流変換器を導通、遮断する第二スイッチと、蓄電池と交流電源ソケットを導通、遮断する第三スイッチと、第一スイッチ、第二スイッチ、及び第三スイッチを制御する制御器とを備える交流電流供給装置が提供される。
これによれば、外部交流電源から蓄電池への充電と、交流電源ソケットの使用が重なった場合でも、外部交流電源への過大な電力負荷を防止し、電力損失を最小化する、交流電流供給装置を提供できる。
【0015】
上記課題を解決するために、直流−交流変換器で変換された交流電流又は外部交流電源からの交流電流を出力する交流電源ソケットと、外部交流電源に接続される交流電源接続端子との間を導通又は遮断させる第一スイッチを制御し、交流電源接続端子と、交流電源接続端子からの交流電流を直流電流に変換する交流−直流変換器との間を導通又は遮断させる第二スイッチを制御し、交流−直流変換器で変換された直流電流を蓄える蓄電池と、交流電源ソケットとの間を導通又は遮断する第三スイッチを制御する制御器であって、交流電源ソケットの使用の有無を検出するソケット使用検出器が交流電源ソケットの使用を検出した場合で、かつ、第二スイッチが導通状態である場合に、警告を発する制御器が提供される。
これによれば、外部交流電源から蓄電池への充電と、交流電源ソケットの使用が重なった場合、利用者に注意を促す制御器を提供できる。
【0016】
さらに、第二スイッチが導通状態時に、ソケット使用検出器が前記交流電源ソケットの使用を検出した場合に、第二スイッチを遮断し、第一スイッチを導通することを特徴してもよい。
これによれば、外部交流電源から蓄電池への充電と、交流電源ソケットの使用が重なった場合、外部交流電源への過大な電力負荷を防止し、電力損失を最小化する、制御器を提供できる。
【0017】
さらに、第三スイッチが導通状態時に、交流電源接続端子の使用の有無を検出する交流電源接続端子使用検出器が交流電源接続端子の使用を検出した場合に、第三スイッチを遮断し、第一スイッチを導通することを特徴としてもよい。
これによれば、交流電源ソケットの使用中に外部交流電源から蓄電池への充電が開始された場合でも、外部交流電源への過大な電力負荷を防止し、電力損失を最小化する、制御器を提供できる。
【0018】
さらに、交流電源接続端子の使用の有無を検出する交流電源接続端子使用検出器が交流電源接続端子の使用を検出し、かつ、交流電源ソケットの使用の有無を検出するソケット使用検出器が交流電源ソケットの使用を検出した場合に、第一スイッチを導通し、第二スイッチを遮断し、第三スイッチを遮断し、交流電源接続端子使用検出器が交流電源接続端子の使用を検出せず、かつ、ソケット使用検出器が交流電源ソケットの使用を検出した場合に、第一スイッチを遮断し、第二スイッチを遮断し、第三スイッチを導通し、交流電源接続端子使用検出器が交流電源接続端子の使用を検出し、かつ、ソケット使用検出器が交流電源ソケットの使用を検出しない場合に、第一スイッチを遮断し、第二スイッチを導通し、第三スイッチを遮断することを特徴としてもよい。
これによれば、交流電源ソケットの使用中に外部交流電源から蓄電池への充電が開始された場合や、外部交流電源から蓄電池への充電が行われているときに交流電源ソケットが使用され始められた場合でも、外部交流電源への過大な電力負荷を防止し、電力損失を最小化する、制御器を提供できる。
【0019】
別の観点によれば、上記課題を解決するために、交流電源から交流−直流変換を経て得られる直流電流を蓄積する電力蓄積手段と、電力蓄積手段から直流−交流変換を経て得られる交流電流を出力する交流電流出力手段と、を含む交流電流を供給する交流電流供給方法において、交流電源からの電力の供給があり、交流電流出力手段を使用する場合に、電力蓄積手段を経ず、交流電源から交流電流出力手段へ交流電流の供給を行う交流電流供給方法が提供される。
これによれば、外部交流電源から蓄電池への充電と、交流電源ソケットの使用が重なった場合でも、外部交流電源への過大な電力負荷を防止し、電力損失を最小化する、交流電流供給方法を提供できる。
【0020】
さらに、交流電源からの交流電流出力手段へ交流電流の供給を行う前に、利用者に選択させるための選択提供手段を有することを特徴としてもよい。
これによれば、外部交流電源から蓄電池への充電と、交流電源ソケットの使用が重なった場合、利用者に注意を促し、制御の方法を利用者に選択させることのできる交流電流供給方法を提供できる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、蓄電池と交流電源ソケットを備える車両等において、外部交流電源から蓄電池への充電と、交流電源ソケットの使用が重なった場合でも、外部交流電源への過大な電力負荷を防止し、電力損失を最小化する、交流電流供給装置、交流電流供給装置の制御器、及び交流電流供給方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る第一実施例のブロック図。
【図2】本発明に係る第一実施例における普通充電時の状態を示すブロック図。
【図3】本発明に係る第一実施例における交流電源ソケット使用時の状態を示すブロック図。
【図4】本発明に係る第一実施例における交流電源接続端子と交流電源ソケットが同時に使用される時の状態を示すブロック図。
【図5】本発明に係る第一実施例の制御器の制御方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施例について説明する。
(第一実施例)
図1は、本発明に係る第一実施例における交流電流供給装置1のブロック図を示す。この交流電流供給装置1は、車両2に備えられている。車両2は典型的には自動車であるが、これに限られず、交流電流供給装置1は、電車等を含む車両一般、船舶、航空機などの移動装置、自ら動くことはないが収容物のために蓄電池を備えたコンテナ、停電の時のために蓄電池を備えた自動販売機など、蓄電池を備え、その蓄電池から他の電気器具に電力を提供できる物すべてに適用できる。
【0024】
交流電流供給装置1は、交流電源接続端子10を通して、住宅等に備えられた外部交流電源3から電力の供給を受けることができる。外部交流電源3は、通常、電力系統に接続された100V又は200Vの商用電源である。
交流電流供給装置1は、交流電源接続端子10が外部交流電源3に接続されると、電力の供給を受けることのできる状態となる。交流電源接続端子10からの交流電流は、第二スイッチ70を経て、交流−直流変換器20に至る。
【0025】
交流−直流変換器20は、外部交流電源3からの交流電流を直流電流に変換する。交流−直流変換器20は、一般に、交流電圧を変更するトランスと整流する整流器により構成されるが、これに限定されず、交流を入力として与えられて直流を出力するものであればよい。出力の直流は、例えば、12Vである。なお、本図では、交流や直流のラインを簡略化して記載しているが、実際は、正電圧線、負電圧線、中性線などから構成される。
交流−直流変換器20により変換された直流電流は、蓄電池30に蓄電される。蓄電池30は、特に限定されず、リチウムイオン蓄電池、ニッケル水素蓄電池、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池、ナトリウム硫黄電池などであってよい。
【0026】
また、交流電流供給装置1は、直流−交流変換器40を備える。直流−交流変換器40は、蓄電池30からの直流電流を交流電流に変換する。直流−交流変換器40は、所謂インバータ装置であり、一般に、整流器とインバータなどから構成されるが、特に限定されず、直流を入力として与えられ交流を出力するものであればよい。
【0027】
また、交流電流供給装置1は、交流電源ソケット50を備える。交流電源ソケット50は、一般的な家庭用電気器具を繋ぐコンセントと同型のものでよい。交流電源ソケット50が出力する交流電流のソースは、2つあり、1つは、蓄電池30に蓄えられた電力を直流−交流変換器40が変換した交流電流であり、もう1つは、外部交流電源3からの交流電流である。これら2つの交流電流は、後述する方法により、切り替えられて、交流電源ソケット50から供給される。
【0028】
また、交流電流供給装置1は、交流電源ソケット50と交流電源接続端子10との間に介在し、両者を導通又は遮断する第一スイッチ60と、交流電源接続端子10と交流−直流変換器20の間に介在し、両者を導通又は遮断する第二スイッチ70と、蓄電池30と交流電源ソケット50の間に介在し、両者を導通又は遮断する第三スイッチ80とを備える。なお、第一スイッチ60と第二スイッチ70は、一体をなした切替スイッチであってもよい。この場合は、初期状態では、第一スイッチ60および第一スイッチ70は、いずれも遮断されている。そして、第一スイッチ60が導通したとき第二スイッチ70は遮断される。逆に、第二スイッチ70が導通したとき第一スイッチ60は遮断される。
【0029】
第二スイッチ70の位置は、遮断すると外部電源の電力が消費されないので交流電源接続端子10と交流−直流変換器20の間としているが、必要に応じて、交流−直流変換器20と蓄電池30の間であってもよい。また、第三スイッチ80の位置は、蓄電池30と交流電源ソケット50の間となっている。このような位置関係により、第三スイッチを遮断すると蓄電池30の電力が消費されない。また、直流−交流変換器40と交流電源ソケット50間に第三スイッチ80を設けることもできる。
【0030】
また、交流電流供給装置1は、制御器90を備える。制御器90は、第一スイッチ60、第二スイッチ70、及び第三スイッチ80の導通・遮断を制御する。制御の方法は後述する。制御器90は、これらのスイッチを制御するための情報として、以下に述べる、ソケット使用検出器130からの情報、交流電源接続端子使用検出器140からの情報、蓄電池30の充電状態(SOC:State of Charge)の情報を用いる。なお、制御器90は、電気回路(ハードウェア)を用い所定の論理を組み立ててもよいし、ROMやRAMの中にロードされたソフトウェア(ファームウェア)で所定の論理を組み立ててもよい。
【0031】
交流電流供給装置1は、交流電源ソケット50の使用の有無を検出するソケット使用検出器130を備える。ソケット使用検出器130は、交流電源ソケット50に電気器具のプラグが挿入されているか否かを検出する物理的な検出、又は、交流電源ソケット50から電気器具に電流が流れているか否かを検出する電気的な検出、いずれの検出方法を有していてもよい。ソケット使用検出器130は、かかる使用状態を検出すると、その使用状態を制御器90に伝達する。
【0032】
また、交流電流供給装置1は、交流電源接続端子10の使用の有無を検出する交流電源接続端子使用検出器140を備える。交流電源接続端子使用検出器140は、交流電源接続端子10が外部交流電源3に挿入されているか否か、即ち、外部交流電源3から電力の供給を受けることのできる状態にある否かを検出する。交流電源接続端子使用検出器140も、ソケット使用検出器130と同様、物理的な検出方法と電気的な検出方法のいずれであってもよい。交流電源接続端子使用検出器140は、かかる使用状態を検出すると、その使用状態を制御器90に伝達する。
【0033】
また、交流電流供給装置1は、蓄電池30の過放電や過充電を防止するため、蓄電池30の充電状態(SOC)を検出する充電状態検出器150を備える。充電状態検出器150は、かかる使用状態を検出すると、その使用状態を制御器90に伝達する。充電状態検出器150は、例えば、蓄電池30から出力される電流を積分した結果に基づいて、充電状態を検出する。
また、交流電流供給装置1は、漏電に備え、漏電ブレーカ120を備えてもよい。
【0034】
また、交流電流供給装置1は、利用者へ警告等の表示を行う警告表示部100と、利用者からの操作を受ける操作部110を備える。警告表示部100は、制御器90からの警告指令に従い警告等を表示する。また、操作部110は、例えば、その警告表示を見た利用者がその警告表示に対して行う指示を受けつける。警告表示部100は、LED等のランプで表示してもよいし、液晶表示装置を備えてメッセージを表示してもよい。操作部110はボタン等により操作するものでもよいし、液晶表示装置と一体となったタッチパネルであってもよい
【0035】
図2〜4を参照し、制御器90が、第一スイッチ60、第二スイッチ70、及び、第三スイッチ80に対して行う制御を説明する。図2は、交流電流供給装置1が、外部交流電源3から交流電流を受け、蓄電池30に充電する普通充電時のスイッチの導通・遮断状態を示す。交流電源接続端子使用検出器140は、交流電源接続端子10が外部交流電源3に挿入され、交流電流供給装置1が外部交流電源3から電力の供給を受けることのできる状態にあることを検出すると、制御器90にその状態を伝達する。その伝達を受けた制御器90は第二スイッチを導通させ、その結果交流電流は、矢印で示すように、交流−直流変換器20に流れ、そこで直流電流に変換され、蓄電池30に充電される。なお、他のスイッチは遮断する。
【0036】
図3は、交流電流供給装置1が、交流電源接続端子10が外部交流電源3に挿入されていないときに、交流電源ソケット50を使用した場合のスイッチの導通・遮断状態を示す。ソケット使用検出器130は、家庭用電気器具などのプラグが挿入されたことを検出すると、制御器90にその状態を伝達する。その伝達を受けた制御器90は第三スイッチを導通させ、その結果直流電流は、矢印で示すように、蓄電池30から直流−交流変換器40に流れ、そこで交流電流に変換され、交流電源ソケット50に交流電流を供給する。なお、他のスイッチは遮断する。
【0037】
図4は、交流電源接続端子10と交流電源ソケット50を同時に使用した場合のスイッチの導通・遮断状態を示す。このような状態になるのは、図2に示す普通充電状態の時に、ソケット使用検出器130が交流電源ソケット50に電気器具などのプラグが挿入されたことを検出した場合、又は、図3に示す交流電源ソケット50に電気器具などのプラグが挿入されている状態の時に、交流電源接続端子使用検出器140が交流電源接続端子10が外部交流電源3に挿入されたことを検出した場合である。
【0038】
前者の場合は、制御器90は、第二スイッチ70が導通状態の時に、ソケット使用検出器130が交流電源ソケット50にプラグが挿入されたことを検出した場合に、第二スイッチ70を遮断し、第一スイッチ60を導通する。また、後者の場合、制御器90は、第三スイッチ80が導通状態の時に、交流電源接続端子使用検出器140が交流電源接続端子10が外部交流電源3に挿入されたことを検出した場合に、第三スイッチ80を遮断し、第一スイッチ60を導通する。
また、第一スイッチ60、第二スイッチ70、第三スイッチ80の導通と遮断の条件について、利用者が操作画面において選択することができるようにしてもよい。
【0039】
なお、制御器90は、前者及び後者の両方の場合に、挿入の検出後それぞれのスイッチを導通・遮断する前に、利用者に注意喚起を促すため、警告表示部100に対して警告指令を発してもよい。
【0040】
交流電源接続端子使用検出器140が交流電源接続端子10の使用を検出し、かつ、ソケット使用検出器130が交流電源ソケット50の使用を検出した場合には、制御器90は、第一スイッチ60を導通し、第二スイッチ70を遮断し、第三スイッチ80を遮断する。
【0041】
また、交流電源接続端子使用検出器140が交流電源接続端子10の使用を検出せず、かつ、ソケット使用検出器130が交流電源ソケット50の使用を検出した場合には、第一スイッチ60を遮断し、第二スイッチ70を遮断し、第三スイッチ80を導通する。
【0042】
また、交流電源接続端子使用検出器140が交流電源接続端子10の使用を検出し、かつ、ソケット使用検出器130が交流電源ソケット50の使用を検出しない場合には、第一スイッチ60を遮断し、第二スイッチ70を導通し、第三スイッチ80を遮断する。
【0043】
また、交流電源接続端子使用検出器140が交流電源接続端子10の使用を検出せず、かつ、ソケット使用検出器130が交流電源ソケット50の使用を検出しない場合には、第一スイッチ60を遮断し、第二スイッチ70を遮断し、第三スイッチ80を遮断する。
【0044】
また、制御器90は、充電状態検出器150からの情報により、適宜、交流電源ソケット50の使用時に過放電を防止するために第三スイッチ80を遮断し、また、交流電源接続端子10が外部交流電源3に挿入されている時に過充電を防止するために第二スイッチ70を遮断する。
【0045】
図5を参照し、本実施例における制御器の制御方法を説明する。なお、ステップをSと略して記載する。
S10にて、制御器90は、交流電源接続端子10が外部交流電源3に接続されているかどうかチェックする。接続されている場合、S20にて、制御器90は、交流電源ソケット50にプラグが挿入されているかどうかチェックする。プラグが挿入されていない場合、S30にて、制御器90は、第二スイッチ70を導通し、他のスイッチを遮断する。その結果、外部交流電源3から蓄電池30へ充電が開始される。
【0046】
S40にて、制御器90は、充電状態を監視し、充電終了をチェックする。充電終了するまで、S10、S20、S30を繰り返し、充電終了を検知したら、S50にて、制御器90は、第二スイッチ70を遮断する。
【0047】
S20にてプラグが挿入されていた場合、S60にて、制御器90は、警告を出力する。S70にて、利用者の指示を待ち受け、利用者の指示が蓄電池30への充電を優先する指示である場合、S30にて、制御器90は、第二スイッチ70を導通し、他のスイッチを遮断する。また、利用者の指示が交流電源ソケット50を介した電気器具の使用を優先する指示である場合、S80にて、制御器90は、第一スイッチ60を導通し、他のスイッチを遮断する。その後、S20に戻る。
【0048】
S10にて、交流電源接続端子10が外部交流電源3に接続されていなかった場合、S90にて、制御器90は、蓄電池30の蓄電池容量の残量をチェックする。残量が十分であった場合、S100にて、制御器90は、交流電源ソケット50にプラグが挿入されているかチェックする。挿入されている場合、制御器90は、第三スイッチ80を導通し、他のスイッチを遮断する。その後、S90に戻る。
【0049】
S90にて残量が不十分であった場合及びS100にてプラグが挿入されていない場合、S120にて、制御器90は、すべてのスイッチを遮断する。
【0050】
上記制御方法は、換言すれば、交流電流供給方法である。この交流電流供給方法は、外部の交流電源から交流−直流変換を経て得られる直流電流を蓄積する電力蓄積手段と、この電力蓄積手段から直流−交流変換を経て得られる交流電流を出力する交流電流出力手段とを有して、外部の交流電源からの電力の供給があり、かつ、交流電流出力手段を使用する場合には、電力蓄積手段を経ず、外部の交流電源から交流電流出力手段へ直接交流電流の供給を行う方法である。また、外部の交流電源から交流電流出力手段へ交流電流の供給を行う前に、利用者に選択させるための選択提供手段を有している。
【0051】
本発明において、第一スイッチ60および第二スイッチ70が同時に導通しない。これにより、交流電源ソケット50の使用と蓄電池30への充電が同時に発生せず、車両2における消費電力が外部交流電源3の電力供給容量を超えない。
さらに、本発明において、第二スイッチ70および第三スイッチ80が同時に導通しない。これにより、交流電源ソケット50の使用と蓄電池30への充電が同時に発生せず、車両2における消費電力が外部交流電源の電力供給容量を超えない。
なお、交流―直流変換器20から蓄電池30への電流量を外部交流電源3の電力供給容量を超えないように制限することで、第二スイッチ70および第三スイッチ80が同時に導通させる。このとき、交流電源ソケット50の使用と蓄電池30への充電を同時に発生させることができる。
【0052】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 交流電流供給装置
2 車両
3 外部交流電源
10 交流電源接続端子
20 交流−直流変換器
30 蓄電池
40 直流−交流変換器
50 交流電源ソケット
60 第一スイッチ
70 第二スイッチ
80 第三スイッチ
90 制御器
100 警告表示部
110 操作部
120 漏電ブレーカ
130 ソケット使用検出器
140 交流電源接続端子使用検出器
150 充電状態検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部交流電源に接続される交流電源接続端子と、
前記交流電源接続端子からの交流電流を、蓄電池に蓄えるために直流電流に変換する交流−直流変換器と、
前記蓄電池からの直流電流を交流電流に変換する直流−交流変換器と、
前記直流−交流変換器で変換された交流電流又は外部交流電源からの交流電流を出力する交流電源ソケットと、
前記交流電源ソケットと前記交流電源接続端子を導通、遮断する第一スイッチと、
前記交流電源接続端子と前記交流−直流変換器を導通、遮断する第二スイッチと、
前記蓄電池と前記交流電源ソケットを導通、遮断する第三スイッチと、
前記第一スイッチ、前記第二スイッチ、及び前記第三スイッチを制御する制御器と、
を備える交流電流供給装置。
【請求項2】
直流−交流変換器で変換された交流電流又は外部交流電源からの交流電流を出力する交流電源ソケットと、外部交流電源に接続される交流電源接続端子との間を導通又は遮断させる第一スイッチを制御し、
前記交流電源接続端子と、前記交流電源接続端子からの交流電流を直流電流に変換する交流−直流変換器との間を導通又は遮断させる第二スイッチを制御し、
前記交流−直流変換器で変換された直流電流を蓄える蓄電池と、前記交流電源ソケットとの間を導通又は遮断する第三スイッチを制御する制御器であって、
前記交流電源ソケットの使用の有無を検出するソケット使用検出器が前記交流電源ソケットの使用を検出した場合で、かつ、前記第二スイッチが導通状態である場合に、警告を発する制御器。
【請求項3】
前記第二スイッチが導通状態時に、前記ソケット使用検出器が前記交流電源ソケットの使用を検出した場合に、前記第二スイッチを遮断し、前記第一スイッチを導通することを特徴とする請求項2に記載の制御器。
【請求項4】
前記第三スイッチが導通状態時に、前記交流電源接続端子の使用の有無を検出する交流電源接続端子使用検出器が前記交流電源接続端子の使用を検出した場合に、前記第三スイッチを遮断し、前記第一スイッチを導通することを特徴とする請求項2又は3に記載の制御器。
【請求項5】
前記交流電源接続端子の使用の有無を検出する交流電源接続端子使用検出器が前記交流電源接続端子の使用を検出し、かつ、前記交流電源ソケットの使用の有無を検出するソケット使用検出器が前記交流電源ソケットの使用を検出した場合に、前記第一スイッチを導通し、前記第二スイッチを遮断し、前記第三スイッチを遮断し、
前記交流電源接続端子使用検出器が前記交流電源接続端子の使用を検出せず、かつ、前記ソケット使用検出器が前記交流電源ソケットの使用を検出した場合に、前記第一スイッチを遮断し、前記第二スイッチを遮断し、前記第三スイッチを導通し、
前記交流電源接続端子使用検出器が前記交流電源接続端子の使用を検出し、かつ、前記ソケット使用検出器が前記交流電源ソケットの使用を検出しない場合に、前記第一スイッチを遮断し、前記第二スイッチを導通し、前記第三スイッチを遮断する、
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の制御器。
【請求項6】
前記第一スイッチと前記第二スイッチは、一体の切替スイッチであることを特徴とする請求項1に記載の交流電流供給装置。
【請求項7】
交流電源から交流−直流変換を経て得られる直流電流を蓄積する電力蓄積手段と、
前記電力蓄積手段から直流−交流変換を経て得られる交流電流を出力する交流電流出力手段と、を含む交流電流を供給する交流電流供給方法において、
前記交流電源からの電力の供給があり、前記交流電流出力手段を使用する場合に、前記電力蓄積手段を経ず、前記交流電源から前記交流電流出力手段へ交流電流の供給を行う交流電流供給方法。
【請求項8】
前記交流電源からの前記交流電流出力手段へ交流電流の供給を行う前に、利用者に選択させるための選択提供手段をさらに有する請求項7に記載の交流電流供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−178910(P2012−178910A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39683(P2011−39683)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(510123839)オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社 (110)
【Fターム(参考)】