説明

仕切り装置及び椅子

【課題】煩雑な作業を要することなく、外観品質を向上させること。
【解決手段】複数の基板10を左右方向に並設することによって着座領域Fを前後に仕切るようにした仕切り装置において、並設した複数の基板10の上端面を覆う態様で笠木70を配設し、かつ笠木70と基板10との間を取付ネジ72によって締結した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕切り装置及び仕切り装置の基板前面に背凭れ部を構成した椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
劇場や講堂等のように、複数の椅子が前後左右に整列させた状態で設けられた施設には、各椅子の前方域に仕切り装置を設けるようにしたものがある。仕切り装置は、着座領域を前後に仕切るためのもので、複数の基板を左右方向に並設することによって構成されている。基板は、板状の部材であり、施設の床面に立設した状態で配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の仕切り装置では、基板の後面にテーブル板を設けるとともに、最前列以外の基板に椅子を設けるようにしたものが一般的である。テーブル板は、平板状を成すもので、その上面が水平となる状態で基板の後面に支持されている。椅子は、例えば基板の前面側に着座部及び背凭れ部を設けることによって構成されたもので、仕切り装置の基板がフレーム材として兼用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4302669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、床面に立設した状態の基板にあっては、その上端部の位置を規制することが困難である。従って、単に床面から基板を立設させたのでは、上端面の位置が前後にずれる恐れがあり、外観品質を考慮した場合、好ましいとはいえない。このため、基板を床面に立設させる際には、前後の位置を調整しながら行わなければならず、作業の煩雑化を招来する。特に、基板が木質材によって構成されている場合には、基板に反り等の変形を来している場合があり、上端位置を揃えて多数の基板を左右方向に並設する作業が一層煩雑化することになる。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、煩雑な作業を要することなく、外観品質を向上させることのできる仕切り装置及び椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る仕切り装置は、複数の基板を左右方向に並設することによって着座領域を前後に仕切るようにした仕切り装置において、並設した複数の基板の上端面を覆う態様で笠木を配設し、かつ前記笠木と基板との間を締結したことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上述した仕切り装置において、前記基板の後面には、前記基板に沿った収納位置と、先端部が後方に向かう姿勢で前記基板の後面から突出した使用位置とに移動可能となる態様でテーブル板が支持させてあるとともに、前記基板の後面上端から収納位置に配置されたテーブル板の上方域及び後方域に渡る部位を覆うカバー部材が設けてあり、前記笠木は前記基板の上端から後方に向けて突出し、前記カバー部材の上端面を覆うことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上述した仕切り装置において、前記笠木の下面に凹部を形成し、前記カバー部材の上端部を前記凹部に収容させたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上述した仕切り装置において、前記笠木の上面に、着座領域を特定するための表示領域を設けたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る椅子は、上述した仕切り装置のいずれか一つにおいて、前記基板の前面を背凭れ部として構成するとともに、前記背凭れ部の下端部に着座部を配設し、所定の着座領域を確保して複数の基板を互いに前後に並設した場合に使用位置のテーブル板が後席用のテーブルとして配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、左右方向に並設した基板の上端面を笠木によって覆い、かつ笠木と基板との間を締結するようにしているため、仮に、床面から立設させた際に基板の上端位置が前後にずれていたとしても、笠木によってこれを覆ったり、矯正することができ、外観品質を確保することが可能となる。
【0013】
また、本発明によれば、基板とカバー部材との隙間を笠木によって覆うことが可能となり、テーブル板及びカバー部材を備えた仕切り装置の外観品質を確保することができる。
【0014】
また、本発明によれば、笠木の凹部に収容させることで、カバー部材の上端部の位置が前後にずれていたとしてもこれを覆ったり、矯正することが可能となる。
【0015】
また、本発明によれば、基板の上端面よりも大きな表示領域を確保できる。
【0016】
また、本発明によれば、基板の前面に背凭れ部及び着座部を構成した椅子においても、上述した作用効果を奏することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である仕切り装置及び椅子を後方から見た示した斜視図である。
【図2】図2は、図1に示した仕切り装置及び椅子を前方から見た斜視図である。
【図3】図3は、図1に示した仕切り装置及び椅子の側面図である。
【図4】図4は、図1に示した仕切り装置及び椅子のテーブル板及びカバー部材を省略した状態の平面図である。
【図5】図5は、図1に示した仕切り装置及び椅子のカバー部材を省略した状態を後方から見た分解斜視図である。
【図6】図6は、図1に示した仕切り装置及び椅子に適用するレール部材を示す斜視図である。
【図7】図7は、図1に示した仕切り装置及び椅子の要部を分解して示す断面側面図である。
【図8】図8は、図1に示した仕切り装置及び椅子の断面側面図である。
【図9】図9は、図1に示した仕切り装置及び椅子の断面側面図である。
【図10−1】図10−1は、図1に示した仕切り装置及び椅子のテーブル板を使用位置に配置した状態の要部断面側面図である。
【図10−2】図10−2は、図10−1に示した状態の仕切り装置及び椅子の背面図である。
【図11−1】図11−1は、図1に示した仕切り装置及び椅子のテーブル板を収納位置に配置した状態の要部断面側面図である。
【図11−2】図11−2は、図11−1に示した状態の仕切り装置及び椅子の背面図である。
【図12】図12は、図1に示した仕切り装置及び椅子に適用するカバー部材を外表面側から見た斜視図である。
【図13】図13は、図1に示した仕切り装置及び椅子に適用するカバー部材を内表面側から見た斜視図である。
【図14】図14は、図1に示した仕切り装置及び椅子の基板とカバー部材との上端部に笠木を取り付ける状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る仕切り装置及び椅子の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1及び図2は、本発明の実施の形態である仕切り装置を示したものである。ここで例示する仕切り装置は、劇場や講堂等の施設において、左右に連続した複数の着座領域Fを前後に仕切る場合に適用するものである。本実施の形態では、特に、図3に示すように、前方が低くなる階段状の床面を有した施設を適用対象とし、各段の床面に左右方向に連続した着座領域Fを一列ずつ確保するものを例示している。各段の床面は、高さのみが異なるものであり、いずれも水平方向に沿って延在している。左右方向に連続した各列の着座領域Fは、図4の平面図で示すように、中央部に比べて左右両端部がそれぞれわずかに前方側となるように、後方側に向けて凸となるように湾曲して構成してある。
【0020】
図1〜図3に示すように、仕切り装置は、仕切るべき着座領域Fの前方域であって、一段下の床面の後方となる位置にそれぞれ基板10を備えている。基板10は、木質材によって矩形の平板状に構成したもので、湾曲した着座領域Fに沿って互いに左右方向に並設してある。図3に示すように、個々の基板10は、上方に向けて後方に傾斜し、後傾した姿勢で立設している。基板10の傾斜角度は、すべての仕切り装置において互いに同一である。
【0021】
図4及び図5に示すように、基板10には、それぞれの後面に左右方向に沿って上下一対のレール部材20が取り付けてある。レール部材20は、図5及び図6に示すように、長尺の平板状を成すレール基部21の上下両側縁部に係合厚肉部22を一体に成形した部材であり、アルミニウムやアルミニウム合金製の押し出し形材によって一様な横断面形状を有するように構成してある。係合厚肉部22は、レール基部21の両外表面から突出する態様で形成した板厚の大きな部分であり、レール基部21の外表面から突出した部分にそれぞれ一対の嵌合溝22aを有するとともに、両側縁面にピン嵌合溝22bを有している。嵌合溝22aは、係合厚肉部22において互いに対向する部位に形成した一条の凹所であり、レール部材20の全長に渡って形成してある。ピン嵌合溝22bは、係合厚肉部22の側縁面に開口する凹所であり、開口側の幅が奥方の幅よりもわずかに狭くなるように形成してある。
【0022】
上記のような構成を有するレール部材20は、図6に示すように、各対を成す嵌合溝22aにそれぞれ連結プレート23を嵌合させ、かつピン嵌合溝22bにそれぞれ連結ピン24を嵌合させることによって互いに連結され、さらに図5及び図7に示すように、基板10の後面に取り付けた上下一対の係合ブラケット25,26により、複数の基板10に渡って水平に配設してある。
【0023】
係合ブラケット25,26は、基板10に取り付けられる係合取付部25a,26aと、基板10から直角方向に突出する態様で係合取付部25a,26aの一端部から屈曲して延在した係合スペーサ部25b,26bと、係合スペーサ部25b,26bの突出端部から係合取付部25a,26aに対向するように屈曲した係合舌片部25c,26cとを有したもので、係合舌片部25c,26cが互いに上下に離反して延在し、かつ係合舌片部25c,26cの先端相互間距離が嵌合溝22aの相互間距離に一致した状態で基板10の後面に取り付けてある。図7からも明らかなように、一対の係合ブラケット25,26は、上方の係合ブラケット25が下方の係合ブラケット26よりも係合スペーサ部25b,26bの突出長さが小さく構成してあるとともに、係合スペーサ部25b,26bに対する係合舌片部25c,26cの屈曲角度が相違しており、互いの係合舌片部25c,26cが同一の鉛直面に沿って配置されるように構成してある。
【0024】
上述した係合ブラケット25,26に対しては、レール部材20の嵌合溝22aに上下一対の係合舌片部25c,26cをそれぞれ挿入させることにより、レール部材20が支持されることになる。これらの係合ブラケット25,26によって取り付けられたレール部材20は、鉛直面に沿って配置される係合舌片部25c,26cにより、平板状を成すレール基部21が鉛直方向に沿った姿勢となり、さらに軸心を中心とする円筒面に沿い、かつ後方に向けて凸となる態様で湾曲する。従って、基板10の後面に取り付けられたレール部材20は、水平方向に沿って配設されることになり、全長に渡って高さ位置が一定となる。この場合、連結プレート23及び連結ピン24によって相互に連結した複数のレール部材20は、一連の部材として取り扱うことが可能である。従って、各レール部材20の端部に対応する部位に係合ブラケット25,26を配設する必要はなく、図4及び図5に示すように、基板10に対してそれぞれの後面のほぼ中央部にのみ係合ブラケット25,26を配設した場合であっても、湾曲した着座領域Fに沿ってレール部材20を湾曲させることが可能である。
【0025】
また、仕切り装置には、図5、図7〜図9に示すように、基板10の後面に木質材によって矩形の平板状に形成したテーブル板30が可動機構40を介して支持させてある。可動機構40は、基板10に対してテーブル板30を移動可能に支持し、テーブル板30が基板10に沿った収納位置と、テーブル板30の先端部が後方に向かう姿勢で基板10の後面から突出した使用位置とに配置させるものである。本実施の形態では、図9に示すように、テーブル板30の過半部を収容することのできる大きさに形成した金属製の枠体41と、この枠体41の内部両側において上下方向にスライド可能に配設したスライダ42とを備え、スライダ42の上端部間にテーブル板30の基端部を左右方向に沿った軸心回りに回転可能に支持させるようにした可動機構40を例示している。
【0026】
図7〜図9に示すように、可動機構40の枠体41には、レール部材20に対応する部位にそれぞれ支持ブラケット43,44が設けてある。支持ブラケット43,44は、枠体41から直角方向に突出した支持スペーサ部43a,44aと、支持スペーサ部43a,44aの延在端部に取り付けた支持舌片部43b,44bとを有したものである。支持舌片部43b,44bは、平板状を成すもので、枠体41を基板10に対して平行に配置した場合に、レール部材20のレール基部21と平行となる状態で支持スペーサ部43a,44aに設けてある。支持舌片部43b,44bの幅は、上述した連結プレート23と同一である。
【0027】
この可動機構40は、支持舌片部43b,44bをレール部材20の嵌合溝22aに挿入させることにより、支持ブラケット43,44及びレール部材20を介して基板10の後面に取り付けられる。基板10の後面に取り付けられた状態においては、図9中の二点鎖線及び図11−1に示すように、テーブル板30を基板10に沿って配置すれば、スライダ42の移動に伴ってテーブル板30を枠体41の内部に出し入れすることが可能である。具体的には、テーブル板30を上方に引き上げれば、図9中の二点鎖線で示すように、スライダ42の上方への移動に伴ってテーブル板30を枠体41から引き出すことができ、一方、テーブル板30を下方に押し下げれば、図11−1に示すように、スライダ42の下方への移動に伴ってテーブル板30の過半部を枠体41の内部に収容させることができる(テーブル板30の収納位置)。
【0028】
これに対して、図9中の二点鎖線で示した状態からテーブル板30の先端部を下方に揺動させると、テーブル板30の基端部側に位置する部分が枠体41に当接することによって揺動が停止され、図9中の実線及び図10−1に示す状態となる。この状態においては、テーブル板30の先端部が後方に向かう姿勢で基板10の後面から突出し、テーブル板30の上面がほぼ水平となり、テーブル板30をテーブルとして使用することが可能となる(テーブル板30の使用位置)。
【0029】
さらに、この状態からテーブル板30の先端部を上方に揺動させ、再び図9中の二点鎖線及び図11−1に示すように、テーブル板30を基板10に沿って配置すれば、押し下げることで枠体41の内部に収容させることができる。尚、図には明示していないが、本実施の形態では、基板10の後面に比べて一回り小さい幅となる可動機構40を適用しており、各基板10の後面にそれぞれ可動機構40を介して個別のテーブル板30を支持させるようにしている。
【0030】
基板10に対するテーブル板30の位置は、レール部材20に対して支持舌片部43b,44bをスライドさせれば、支持ブラケット43,44の位置を変更することで、左右方向に調整することが可能である。この場合、基板10に支持させたレール部材20は、上述したように鉛直方向に沿った軸心を中心とする円筒面に沿って湾曲し、その高さが全長に渡って一定であるため、基板10に対してテーブル板30の位置を変更した場合にも、その上面が傾斜する等の問題を招来することがない。
【0031】
図1〜図3、図7〜図11−2に示すように、基板10の後面に支持させた可動機構40には、テーブル板30を収納した状態においてその上方域及び後方域を覆う大きさのカバー部材50が設けてある。カバー部材50は、図7、図8、図10−1、図12〜図14に示すように、可動機構40及び収納位置に配置されたテーブル板30の上方域を覆う上方カバー部50aと、可動機構40及び収納位置に配置されたテーブル板30の後方域を覆う後方カバー部50bと、上方カバー部50aから上方に向けて延在した化粧カバー部50cとを木質材によって一体に成形したものである。上方カバー部50aと後方カバー部50bとの間及び上方カバー部50aと化粧カバー部50cとの間は、いずれも角部を構成しないように、湾曲させて滑らかに連続させてある。カバー部材50の左右方向に沿った幅は、取付対象となる基板10と同じ大きさである。
【0032】
カバー部材50には、図12〜図14に示すように、可動機構40における枠体41の上面に対向する部位に引出孔51が形成してあるとともに、上方カバー部50aの裏面において引出孔51の両端部に対応する部位に係止板52が設けてある。引出孔51は、テーブル板30を挿通することのできる大きさに形成した貫通孔であり、可動機構40及び収納位置に配置されたテーブル板30を覆った状態において、上述した可動機構40の枠体41に対するテーブル板30の移動を許容するためのものである。係止板52は、上方カバー部50aの裏面から互いに平行となるように板状部材であり、それぞれの下端に係止用切欠52aを有している。係止用切欠52aは、可動機構40における枠体41の両端部に形成した係止用突起41aに嵌合するための凹所である。
【0033】
上記のように構成したカバー部材50は、図7及び図8に示すように、個々の可動機構40に対して係止板52の係止用切欠52aを枠体41の係止用突起41aに嵌合させ、さらに後方カバー部50bの外表面から枠体41に対してネジ53を締結させることにより、枠体41を介して基板10に支持させてある。図14に示すように、基板10に支持させたカバー部材50は、側端縁が互いに当接した状態にあり、隣接するものの内部空間が相互に連通した状態にある。但し、着座領域Fの両端に位置する基板10に支持させたカバー部材50には、基板10との間の内部空間を閉塞するための側板54が設けてある。側板54は、カバー部材50と同様に木質材によって構成したものである。
【0034】
また、カバー部材50を支持させた基板10にあっては、その後面がカバー部材50によって完全に覆われることとなる。従って、カバー部材50に対して仕上げ加工や仕上げ塗装を施しておけば、基板10の後面に対して仕上げ加工や仕上げ塗装を施さなくとも、仕切り装置の外観品質を損ねる恐れがない。
【0035】
ここで、基板10の後面を覆うカバー部材50には、引出孔51が後面側に常時開口した状態となる。そこで、本実施の形態では、テーブル板30の先端部に垂れ部材31を取り付け、テーブル板30を収納位置に配置させた場合に、カバー部材50の引出孔51を垂れ部材31によって覆うように構成してある。垂れ部材31は、カバー部材50と同等の木質材によって湾曲状に構成したもので、テーブル板30を収納位置に配置させた場合に、その湾曲した外表面によって引出孔51を覆うようにしている。但し、テーブル板30を引き上げる際の操作性を考慮し、テーブル板30を収納位置に配置した場合にも、引出孔51の下方部には手を挿入するための隙間が確保してある。すなわち、使用者は、この隙間に手を差し入れて垂れ部材31を把持し、そのまま上方に引き上げれば、収納位置に配置されたテーブル板30を容易に上方に引き出すことが可能である。
【0036】
カバー部材50の内部には、図10−1〜図11−2に示すように、引出孔51よりも基板10に近接した位置に配線プラグ受け60が配設してある。配線プラグ受け60は、プラグ(図示せず)が差し込まれた場合に電源を供給するためのもので、差し込み口61が引出孔51から外部に臨む態様で取付ブラケット62により可動機構40の枠体41を介して基板10に支持させてある。図には明示していないが、配線プラグ受け60に対して電源を供給する電源ケーブル63は、上述した互いに連通するカバー部材50の内部空間を通過して敷設してある。
【0037】
この配線プラグ受け60は、テーブル板30を使用位置に配置させた場合、図10−1及び図10−2に示すように、テーブル板30の上面よりも上方に位置し、差し込み口61が引出孔51を介して外部に露出されることになる。従って、引出孔51を介して配線プラグ受け60にプラグ(図示せず)を差し込むことが可能となり、テーブル板30の上面に載置させたパソコン等の電子機器(図示せず)に対して電源を供給することができる。
【0038】
これに対して、図11−1及び図11−2に示すように、テーブル板30を収納位置に配置した場合には、配線プラグ受け60がテーブル板30によって覆われることになる。従って、この状態においては、配線プラグ受け60にゴミ等の異物が進入する事態を確実に防止し、接続不良等の問題を来す恐れがなくなる。
【0039】
しかも、配線プラグ受け60を覆う部材は、仕切り装置のテーブル板30であるため、プラグ(図示せず)を接続している時であっても紛失することはなく、また別途部品を用意する必要もないため、部品点数の増大に起因してコストが増大する問題を招来することもない。
【0040】
また、配線プラグ受け60は、枠体41を介して基板10に支持させたものであり、カバー部材50との間に連結部分を有していない。従って、メインテナンス時に基板10に対してカバー部材50を着脱させる場合にも、配線プラグ受け60や電源ケーブル63に対して何らの処置を施す必要が無く、その作業をきわめて容易に行うことが可能となる。
【0041】
一方、仕切り装置には、図1及び図2に示すように、基板10の上面に笠木70が配設してある。笠木70は、木質材によって構成したもので、図7〜図9及び図14に示すように、基板10の上端面よりも大きな幅を有し、かつ下端の前方側に平坦な取付面71を有した長尺状に構成してある。この笠木70は、取付面71を介して基板10の上端面に当接させた状態で取付ネジ72を締結することにより、左右方向に沿って並設した複数の基板10の上端部に渡って固定された状態となる。
【0042】
この笠木70には、基板10の上端面よりも後方に突出した部分に凹部73が設けてあるとともに、その上面に表示領域74が構成してある。凹部73は、下方に開口した凹所であり、カバー部材50における化粧カバー部50cの上端部を収容している。表示領域74は、各基板10の上面中央部に対応する部位に設けたもので、後方側の着座領域Fを特定するための表示が記載してある。この表示領域74は、笠木70の上面が基板10よりも大きな幅を有したものであるため、より大きく、明瞭な表示を行うことが可能である。
【0043】
上記のように左右方向に沿って並設した複数の基板10の上端部に笠木70を配設した仕切り装置によれば、基板10の上端面の位置が多少前後にずれていたとしても、笠木70によってこれを覆ったり、矯正して整列させることができるようになる。さらに、笠木70の後方側に突出した下面の凹部73が、カバー部材50における化粧カバー部50cの上端部を収容しているため、基板10の上端と化粧カバー部50cとの間の隙間が不均一であった場合や、化粧カバー部50cの上端位置が上下方向にバラ付いていた場合にも、これらが外部に露出することはなく、煩雑な調整作業を要せずとも、一定の外観品質を確保することが可能となる。
【0044】
さらに、本実施の形態の仕切り装置では、図3に示すように、最前列以外の基板10に背凭れ部81及び着座部82を設けて椅子を構成するようにしている。具体的には、図7〜図9に示すように、基板10の前面に背凭れ用のクッション材を配設することによって背凭れ部81を構成し、かつ背凭れ部81の下端部に着座用のクッション材を配設することによって着座部82を構成するようにしている。仕切り装置の後傾した基板10は、その前面にクッション材を貼り付けるだけで、傾斜した椅子の背凭れ部81を構成することが可能である。また、本実施の形態では、着座部82の先端部が跳ね上げ式の椅子を構成し、不必要時に着座部82を跳ね上げた状態に維持することで着座領域Fの通路を拡大するようにしている。上記のようにして椅子を構成した場合、図3に示すように、使用者が基板10の後方側に設けた着座部82に腰掛けた状態でテーブル板30を使用位置に配置すれば、これをテーブルとして使用することが可能となる。
【0045】
以上説明したように、仕切り装置及びこれを用いた椅子によれば、左右方向に並設した基板10の上端面を笠木70によって覆い、かつ笠木70と基板10との間を取付ネジ72によって締結するようにしている。従って、仮に、床面から立設させた際に基板10の上端位置が前後にずれていたとしても、笠木70によってこれを覆ったり、矯正することができ、外観品質を確保することが可能となる。尚、笠木70によって基板10のずれを矯正する場合には、笠木70と基板10との間の複数箇所を取付ネジ72によって締結することが好ましい。また、左右方向に沿って一連となる笠木70は、手摺りとしても機能し、着座領域を移動する際の案内となる。しかも、基板10とカバー部材50との隙間を笠木70によって覆うことが可能となり、テーブル板30及びカバー部材50を備えた仕切り装置の外観品質を確保することができる。さらに、笠木70の凹部73にカバー部材50の上端部を収容させるようにしているため、カバー部材50の上端部の位置が前後にずれていたとしてもこれを覆ったり、矯正することが可能となる。
【0046】
尚、上述した実施の形態では、基板の後面にテーブル板を支持させるようにした仕切り装置を例示しているが、必ずしもテーブル板を支持させる必要はない。
【符号の説明】
【0047】
10 基板
20 レール部材
21 レール基部
22 係合厚肉部
22a 嵌合溝
22b ピン嵌合溝
23 連結プレート
24 連結ピン
25,26 係合ブラケット
25a,26a 係合取付部
25b,26b 係合スペーサ部
25c,26c 係合舌片部
30 テーブル板
31 垂れ部材
40 可動機構
41 枠体
41a 係止用突起
42 スライダ
43,44 支持ブラケット
43a,44a 支持スペーサ部
43b,44b 支持舌片部
50 カバー部材
50a 上方カバー部
50b 後方カバー部
50c 化粧カバー部
51 引出孔
52 係止板
52a 係止用切欠
53 ネジ
54 側板
60 配線プラグ受け
61 差し込み口
62 取付ブラケット
63 電源ケーブル
70 笠木
71 取付面
72 取付ネジ
73 凹部
74 表示領域
81 背凭れ部
82 着座部
F 着座領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を左右方向に並設することによって着座領域を前後に仕切るようにした仕切り装置において、
並設した複数の基板の上端面を覆う態様で笠木を配設し、かつ前記笠木と基板との間を締結したことを特徴とする仕切り装置。
【請求項2】
前記基板の後面には、前記基板に沿った収納位置と、先端部が後方に向かう姿勢で前記基板の後面から突出した使用位置とに移動可能となる態様でテーブル板が支持させてあるとともに、前記基板の後面上端から収納位置に配置されたテーブル板の上方域及び後方域に渡る部位を覆うカバー部材が設けてあり、
前記笠木は前記基板の上端から後方に向けて突出し、前記カバー部材の上端面を覆うことを特徴とする請求項1に記載の仕切り装置。
【請求項3】
前記笠木の下面に凹部を形成し、前記カバー部材の上端部を前記凹部に収容させたことを特徴とする請求項2に記載の仕切り装置。
【請求項4】
前記笠木の上面に、着座領域を特定するための表示領域を設けたことを特徴とする請求項1に記載の仕切り装置。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれか一つに記載の仕切り装置において、前記基板の前面を背凭れ部として構成するとともに、前記背凭れ部の下端部に着座部を配設し、所定の着座領域を確保して複数の基板を互いに前後に並設した場合に使用位置のテーブル板が後席用のテーブルとして配置されることを特徴とする椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−172345(P2012−172345A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33965(P2011−33965)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】