説明

仮設トイレ

【課題】平常時には、物品を備蓄して置くこと自体に意味の有る備蓄倉庫を災害時に転用して得られる仮設トイレを提供する。
【解決手段】基盤4bに便器4aを支持させて成る便器ユニット4の基盤4bを備蓄倉庫の床パネル1a上に載置する。該基盤4bの相対する両側に、固定部片と押え部片を仲介部片で段状に連設して構成した、複数個の取付け金具11を配置する。そして、取付け金具11の前記固定部片を前記床パネル1b上に、前記押え部片を前記基盤4b上にそれぞれ載せて、固定部片に設けた透孔を通じて前記床パネル1bに予め設けたねじ孔に摘み付ボルト10を螺合して前記床パネル1aに前記固定部片を締付けると共に、前記便器4aに連通させた排水ホース8の先端を前記備蓄倉庫の壁パネル1b´を通じて屋外に導出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概し、地震や火災などの災害時に用いる仮設トイレに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の仮設トイレは、トイレ専用の簡易室構成体にトイレに必要な備品を装置して構成しており、前記の簡易室構成体を成形体で構成するもの(例えば、特許文献1)と、必要に応じて部材を組立てて構成するもの(例えば、特許文献2)がある。
【0003】
【特許文献1】特開平11−241390号公報
【特許文献2】特開2003−74200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来例は、いずれも建築現場、道路作業などの戸外の現場で使用するには便利で、必要目的のある現場の場合は当該現場に搬送する時間と労力を確保できるので不都合はないが、地震や火災などの予期しない災害時に直ちに対応できず、また、災害の勃発を予期して予め用意しておくことも考えられるが、トイレ専用のためのものとして用意するのは日常に役立つことがなく、従って、保管する上の利点がないので、災害用として保管、準備する常況にはない。
【0005】
本発明は、斯様な常況を勘案し、平常時には、物品を備蓄して置くこと自体に意味の有る備蓄倉庫を災害時に転用して得られる仮設トイレを提供することを目的として創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
基盤に便器を支持させて成る便器ユニットの基盤を備蓄倉庫の床パネル上に載置し、該基盤の相対する両側に、固定部片と押え部片を仲介部片で段状に連設して構成した、複数個の取付け金具を配置し、該取付け金具の前記固定部片を前記床パネル上に、前記押え部片を前記基盤上にそれぞれ載せて、固定部片に設けた透孔を通じて前記床パネルに予め設けたねじ孔に摘み付ボルトを螺合して前記床パネルに前記固定部片を締付けると共に、前記便器に連通させた排水ホースの先端を前記備蓄倉庫の壁パネルを通じて屋外に導出した構成としたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、災害時に備蓄品を運び出した備蓄倉庫に、便器と排水ホースを組付けて仮設トイレを簡単に得ることができ、物品を備蓄して置くこと自体に意味が有り、備蓄すなわち物品の保管状態から解いたときは価値のなくなる備蓄倉庫を転用して得るものであるから、経済的であり、実用的である。
【実施例】
【0008】
図面は本発明に係る仮設トイレの一実施例を示し、図1は略示平面図、図2は図1の一部拡大図、図3は床板と便器の関係を示す断面図、図4は図3の一部拡大図、図5は摘み付ボルトを外した状態の図4の拡大断面図である。
【0009】
図中、Aは備蓄倉庫を利用した仮設トイレで、仮設トイレAは屋根パネル(図示省略)、床パネル1a、前後の壁パネル1b,1b´および左右の壁パネル1c,1c´で構成した備蓄倉庫A´に、間仕切りパネル2を組付けて区画室3を設け、各区画室3に便器4aおよび排水ホース8を取付けて構成したものである。
【0010】
備蓄倉庫A´は、適宜の地域に設置して、災害時に必要とする日常生活品等の種々の物品を収納、保管し、必要なときは、前壁パネル1b側に設けた扉6を開扉して取出すようになっており、床パネル1aには前記各区画室3に前記便器4aを取付けるためのねじ孔7を設けてあり、後壁パネル1b´には同様に便器4aに連通させる排水ホース8の導出口9を設け、これらねじ孔7および導出口9を特別な閉塞材又は備蓄する物品で必要に応じて閉塞して用いる。
【0011】
なお、備蓄倉庫A´をトイレAに変えるために必要な前記間仕切りパネル2、便器4a或いは排水ホース8その他接続金具等は前記備蓄品と共に倉庫A´に収納保管し、非常時に備蓄品と共に倉庫A´内より適宜取出し、倉庫A´に組付けて仮設トイレAを構成する。
【0012】
そして、災害非常時に、備蓄品と共に間仕切りパネル2等を倉庫A´内より取り出し、間仕切りパネル2を用いた区画室3の形成作業と便器4a等の取付け作業を、同時又は異時に相前後して行い、仮設トイレAを得る。
【0013】
便器4aは基盤4bに支持させて便器ユニット4を構成し、便器ユニット4を基盤4bにおいて倉庫A´の床パネル1aに設けたねじ孔7の近傍に配置し、該ねじ孔7に螺合する摘み付ボルト10と取付け金具11を用いて前記床パネル1aに固着したものである。
【0014】
取付け金具11は、固定部片11aと押え部片11bを仲介部片11cを介して段状に連設して成り、低い一側の固定部片11aを前記床パネル1a上に、高い位置の押え部片11bを便器ユニット4の前記基盤4b上にそれぞれ配置し、固定部片11aに設けた透孔12を通じて前記摘み付ボルト10の先端を床パネル1a側に予め設けた前記ねじ孔7に螺合することによって押え部片11bは基盤4bを床パネル1aとで基盤4bを、相対する両側の2個所において挟持し、基盤4bすなわち便器ユニット4は床パネル1aに固定される。
【0015】
便器4aは有底器体で成り、器内に連通する前記排水ホース8を基端部において図示省略した接続手段で接続し、該排水ホース8の先端側を前記後壁パネル1b´に予め形成した前記導出口9を通じて外部に導出し、タンクその他適宜の貯留装置に連通させることにより備蓄倉庫A´を仮設トイレに変更することができる。
【0016】
なお、間仕切りパネル2の後壁パネル1b´等に対する組付けも、特別な工具を用いずに指先だけで組付けられるようになっているが、本件発明の説明とは関係のない事項なのでその説明は省略する。
【0017】
図示は2種類の便器ユニットを表しているがその一方は手摺付のものを示している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】略示平面図。
【図2】図1の一部拡大図。
【図3】床板と便器の関係を示す断面図。
【図4】図3の一部拡大図。
【図5】摘み付ボルトを外した状態の図4の拡大断面図。
【符号の説明】
【0019】
1a 床パネル
1b,1b´ 壁パネル
1c,1c´ 壁パネル
A´ 備蓄倉庫
2 間仕切りパネル
3 区画室
4 便器ユニット
4a 便器
4b 基盤
5 排水ホース
6 扉
7 ねじ孔
8 排水ホース
9 導出口
10 摘み付ボルト
11 取付け金具
11a 固定部片
11b 押え部片
11c 仲介部片
12 透孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基盤に便器を支持させて成る便器ユニットの基盤を備蓄倉庫の床パネル上に載置し、該基盤の相対する両側に、固定部片と押え部片を仲介部片で段状に連設して構成した、複数個の取付け金具を配置し、該取付け金具の前記固定部片を前記床パネル上に、前記押え部片を前記基盤上にそれぞれ載せて、固定部片に設けた透孔を通じて前記床パネルに予め設けたねじ孔に摘み付ボルトを螺合して前記床パネルに前記固定部片を締付けると共に、前記便器に連通させた排水ホースの先端を前記備蓄倉庫の壁パネルを通じて屋外に導出した、仮設トイレ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate