位置情報補正装置、位置情報補正方法、及びプログラム
【課題】入力された位置情報を、判定された移動方向に基づいて補正することの可能な、新規かつ改良された位置情報補正装置、位置情報補正方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】位置情報補正装置100aは、操作体により指定される入力点の位置情報を取得する入力点取得部101と、上記入力点毎に、上記入力点取得部により取得された位置情報の変位に基づいて上記操作体の移動方向を検出する方向検出部103と、過去に上記入力点取得部により取得された過去の入力点について上記方向検出部により検出された移動方向の多数決をとることにより、現時点で上記入力点取得部により取得された現在の入力点について上記操作体の移動方向を判定する判定部107と、上記方向検出部により検出された移動方向と上記判定部により判定された移動方向とが異なるとき、上記現在の入力点の位置情報を補正する位置情報補正部109と、を有する。
【解決手段】位置情報補正装置100aは、操作体により指定される入力点の位置情報を取得する入力点取得部101と、上記入力点毎に、上記入力点取得部により取得された位置情報の変位に基づいて上記操作体の移動方向を検出する方向検出部103と、過去に上記入力点取得部により取得された過去の入力点について上記方向検出部により検出された移動方向の多数決をとることにより、現時点で上記入力点取得部により取得された現在の入力点について上記操作体の移動方向を判定する判定部107と、上記方向検出部により検出された移動方向と上記判定部により判定された移動方向とが異なるとき、上記現在の入力点の位置情報を補正する位置情報補正部109と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報補正装置、位置情報補正方法、及びプログラムに関し、特にポインティングデバイスにより指定された位置情報を補正する位置情報補正装置、位置情報補正方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばPC(Personal Computer)及びスマートフォンを始めとする情報処理装置の入力装置として、ポインティングデバイスが普及している。ポインティングデバイスの一例としては、タッチパネル、タッチパッド、マウス、トラックポイントなどが挙げられる。このようなポインティングデバイスは、操作体の位置によって指定される入力点の位置情報を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−250770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなポインティングデバイスから入力される入力点の位置情報は、様々な要因によりノイズ成分が含まれる。このため、ユーザが操作体により一定の方向に操作しているつもりであっても、意図する方向とは逆の方向への操作情報が入力されてしまう場合があった。
【0005】
上記事情に鑑みれば、入力された位置情報を移動方向に基づいて補正することの可能な、新規かつ改良された位置情報補正装置、位置情報補正方法、及びプログラムを提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、操作体により指定される入力点の位置情報を取得する入力点取得部と、上記入力点毎に、上記入力点取得部により取得された位置情報の変位に基づいて上記操作体の移動方向を検出する方向検出部と、過去に上記入力点取得部により取得された過去の入力点について上記方向検出部により検出された移動方向の多数決をとることにより、現時点で上記入力点取得部により取得された現在の入力点について上記操作体の移動方向を判定する判定部と、上記方向検出部により検出された移動方向と上記判定部により判定された移動方向とが異なるとき、上記現在の入力点の位置情報を補正する位置情報補正部と、を有する位置情報補正装置が提供される。
【0007】
かかる構成によれば、過去の入力点の移動方向のうちの多数決により操作体の移動方向が判定される。この移動方向は、操作体の過去の移動方向に基づいて多数決により推定された方向である。このため、入力点の位置情報にノイズ成分が含まれる場合であっても、操作体を操作するユーザの意図を反映した位置に補正することができる。
【0008】
また、本開示によれば、操作体により指定される入力点の位置情報を取得し、上記入力点毎に、取得された上記位置情報の変位に基づいて上記操作体の移動方向を検出し、過去に上記入力点取得部により取得された過去の入力点について上記検出された移動方向の多数決をとることにより、現時点で取得された現在の入力点について上記操作体の移動方向を判定し、上記検出された移動方向と上記判定された移動方向とが異なるとき、上記現在の入力点の位置情報を補正する、位置情報補正方法が提供される。
【0009】
また、本開示によれば、コンピュータを、操作体により指定される入力点の位置情報を取得する入力点取得部と、上記入力点毎に、上記入力点取得部により取得された位置情報の変位に基づいて上記操作体の移動方向を検出する方向検出部と、過去に上記入力点取得部により取得された過去の入力点について上記方向検出部により検出された移動方向の多数決をとることにより、現時点で上記入力点取得部により取得された現在の入力点について上記操作体の移動方向を判定する判定部と、上記方向検出部により検出された移動方向と上記判定部により判定された移動方向とが異なるとき、上記現在の入力点の位置情報を補正する位置情報補正部と、を有する位置情報補正装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本開示によれば、入力された位置情報を移動方向に基づいて補正することの可能な、新規かつ改良された位置情報補正装置、位置情報補正方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】タッチセンサに対する操作の一例を示す説明図である。
【図2】検出される位置情報の一例を示すグラフである。
【図3】本開示の第1の実施形態に係る位置情報補正装置の機能ブロック図である。
【図4】第1及び第2の実施形態に係る位置情報補正装置のハードウェア構成図である。
【図5】同実施形態に係る位置情報補正方法の一例を示すフローチャートである。
【図6】同実施形態に係る位置情報補正後の位置情報の一例を示すグラフである。
【図7】同実施形態に係る位置情報補正後の位置情報の他の一例を示すグラフである。
【図8】本開示の第2の実施形態に係る位置情報補正装置の機能ブロック図である。
【図9】同実施形態において用いられる参照領域情報の一例を説明するための説明図である。
【図10】同実施形態に係る位置情報補正方法の一例を示すフローチャートである。
【図11】本開示の第3の実施形態に係る位置情報補正装置の機能ブロック図である。
【図12】同実施形態に係る位置情報補正方法の一例を示すフローチャートである。
【図13】検出される入力点の座標と多数決により決定された移動量による補正後の入力点の座標の一例を示す説明図である。
【図14】図13の例における多数決による移動量決定の一例を示す説明図である。
【図15】検出される入力点の座標と多数決により決定された移動量による補正後の入力点の座標の他の一例を示す説明図である。
【図16】図15の例における多数決による移動量決定の一例を示す説明図である。
【図17】検出される入力点の座標と確率分布により決定された移動量による補正後の入力点の座標の一例を示す説明図である。
【図18】図17の例における多数決による移動量決定の一例を示す説明図である。
【図19】図17の例における多数決による移動量決定の他の一例を示す説明図である。
【図20】図17の例における確率分布による移動量決定の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.概要
2.第1の実施形態
2.1.位置情報補正装置100aの構成例
2.2.位置情報補正装置100aの動作例
2.3.効果の例
3.第2の実施形態
3.1.位置情報補正装置100bの構成例
3.2.位置情報補正装置100bの動作例
3.3.効果の例
4.第3の実施形態
4.1.位置情報補正装置100cの構成例
4.2.位置情報補正装置100cの動作例
4.3.効果の例
【0014】
<1.概要>
まず、図1及び図2を参照しながら、本開示において対象としているポインティングデバイスとしてタッチセンサを一例に挙げ、本開示の概要について説明する。図1は、タッチセンサに対する操作の一例を示す説明図である。図2は、検出される位置情報の一例を示すグラフである。
【0015】
図1に示される操作画面Wに対して、操作体1により矢印に沿った操作が行われた場合を考える。なお、ここで操作画面Wはタッチセンサへの操作を入力するための画面であり、矢印のように一定方向に動かす操作体1に追従して、表示内容がスクロールされる画面が想定される。
【0016】
操作体1によりスクロール操作が行われた場合に、例えば図2に示す位置情報が検出される。図2には、スクロール操作中に検出された12個の入力点P1〜P12の検出された時間と座標値との関係が示される。ここで、座標値は、図1の操作画面Wの上下方向を示す軸上の位置である。また、各点P付近に示される矢印は、位置情報の変位(前回検出された点との座標値の差)に基づいた移動方向を示している。ユーザが一定方向に操作したつもりであっても、検出される位置情報にはノイズ成分が含まれる。図2の場合、全て座標値が増大する方向に移動しているはずである。しかし、検出された入力点Pの中には、前回検出された入力点よりも小さい座標値又は前回検出された入力点と同じ座標値を有する入力点(入力点P7、P8、P11、P12)が含まれている。特に、操作体1の移動速度が小さい場合には、単位時間当たりの位置情報の変位が小さいため、ノイズ成分の影響が大きくなる。
【0017】
位置情報にノイズ成分が含まれる要因には、様々考えられる。例えば、ポインティングデバイスのデバイス特性によりノイズが含まれる場合がある。例えばタッチセンサの場合には、解像度が高いほど精度よく位置を検出することができる。一方、解像度が低いほど位置情報にノイズ成分が含まれやすい。また、静電容量型のタッチセンサは、複数の電極の静電容量の変化に基づいてタッチ位置を検出する入力装置であるが、グリッド境界部分では検出精度が低下する。また、タッチセンサの中心部と外周部とでは、外周部の方がノイズ成分が含まれやすい性質を有する。
【0018】
このようなノイズ成分の影響により、意図した方向と逆向きに変位する位置情報が検出された場合には、意図した方向と逆向きのフィードバック(例えば逆方向へのスクロール動作)が与えられる逆行現象が生じることがある。そこで、本開示の一実施形態に係る位置情報補正装置は、このようなノイズ成分の影響を除くために、ポインティングデバイスを操作するユーザの意図した方向を判定し、判定した方向に基づいて検出された位置情報を補正する。以下に、2つの実施形態を挙げて、この位置情報補正装置について説明する。
【0019】
<2.第1の実施形態>
(2.1.位置情報補正装置100aの構成例)
まず、図3及び図4を参照しながら、本開示の第1の実施形態に係る位置情報補正装置100aの構成について説明する。図3は、本開示の第1の実施形態に係る位置情報補正装置の機能ブロック図である。図4は、第1及び第2の実施形態に係る位置情報補正装置のハードウェア構成図である。
【0020】
なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて位置情報補正装置100a、及び位置情報補正装置100bのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、位置情報補正装置100a、及び位置情報補正装置100bなどを特に区別する必要が無い場合には、単に位置情報補正装置100と称する。
【0021】
まず図3を参照しながら位置情報補正装置100aの機能構成について説明する。位置情報補正装置100aは、ポインティングデバイスを介して入力された位置情報を補正する機能を有する。そして、位置情報補正装置100aは、入力点取得部101と、方向検出部103と、記憶部105と、判定部107と、位置情報補正部109と、表示部111とを主に有する。
【0022】
入力点取得部101は、操作体1により指定される入力点の位置情報(例えば座標値)を取得する機能を有する。ここで操作体1は、例えばポインティングデバイス又はポインティングデバイスを操作するもの(例えばタッチセンサを操作する指)である。入力点取得部101は、取得した位置情報を方向検出部103に供給することができる。
【0023】
方向検出部103は、検出された入力点毎に、入力点取得部101により取得された位置情報の変位に基づいて操作体1の移動方向を検出する機能を有する。方向検出部103は、現時点で入力点取得部101により取得された現在の入力点の位置情報と、現在の入力点の直前に検出された前回の入力点の位置情報との変化の方向を操作体1の移動方向として検出することができる。方向検出部103は、検出した移動方向を、対応する入力点の位置情報と共に記憶部105に記憶する。
【0024】
記憶部105は、データを記憶する機能を有する。記憶部105は、例えば、フラッシュメモリ、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリや、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録媒体であってよい。本実施形態においては、記憶部105は、入力点取得部101により取得された入力点の位置情報の履歴である入力点情報を記憶することができる。
【0025】
判定部107は、過去に取得された過去の入力点について、方向検出部103により検出された移動方向の多数決をとる。そして判定部107は、この多数決により最も多い方向を、現時点で検出された現在の入力点についての操作体1の移動方向と判定することができる。例えば、このとき判定部107は、過去の入力点のうち、新しい方から所定個数分の移動方向の情報を用いてもよい。
【0026】
位置情報補正部109は、方向検出部103により検出された移動方向と判定部107により判定された移動方向とが異なる場合に、現在の入力点の位置情報を補正する機能を有する。このとき位置情報補正部109は、現在の入力点の直前に取得された前回の入力点の位置情報に基づいて、現在の入力点の位置情報を補正することができる。位置情報補正部109は、現在の入力点の位置情報が、前回の入力点の位置情報と等しくなるように、現在の入力点の位置情報を補正することができる。或いは、位置情報補正部109は、前回の入力点よりも、判定部107により判定された移動方向側に移動するように現在の入力点の位置情報を補正することができる。このとき位置情報補正部109は、入力点の移動履歴から、現在の入力点の位置を推定することにより現在の入力点の位置情報を補正してもよい。
【0027】
表示部111は、例えば表示装置と表示装置が表示する表示画面を生成する表示制御部とを含み、ユーザに表示画面を提供する機能を有する。表示部111は、位置情報補正部109により補正された位置情報に基づいた画面を表示することができる。
【0028】
以上、本実施形態に係る位置情報補正装置100aの機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置がこれらの機能を実現する処理手順を記述した制御プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体から制御プログラムを読出し、そのプログラムを解釈して実行することにより行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0029】
なお、上述のような本実施形態に係る位置情報補正装置100aの各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作成し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0030】
次に、図4を参照しながら本開示の第1〜第3の実施形態に係る位置情報補正装置100のハードウェア構成の一例について説明する。
【0031】
位置情報補正装置100は、表示装置121と、タッチセンサ123と、不揮発性メモリ125と、RAM(Random Access Memory)127と、CPU(Central Processing Unit)とを主に有する。表示装置121とタッチセンサ123とは、積層して設けられてよい。
【0032】
表示装置121は、情報を出力する出力装置の一例である。表示装置121は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)装置、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting Diode)装置などであってよい。
【0033】
タッチセンサ123は、ポインティングデバイスの一例であって、表示装置121に重ねて設けられ、タッチセンサ123の操作面に接触又は近接する操作体の位置を検出する位置検出装置である。操作体は、例えば典型的にはユーザの指であり、ユーザが操作情報を入力するために用いられる。タッチセンサ123は、操作面に対する操作体の二次元位置を検出してもよいし、三次元位置を検出してもよい。
【0034】
不揮発性メモリ125は、CPU129が使用するプログラムや各種の演算パラメータ等を記憶する。不揮発性メモリ125は、例えばROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等の記憶媒体を用いることができる。
【0035】
RAM127は、CPU129の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変換するパラメータ等を一時記憶する。CPU129は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って状態判定装置100内の動作全般を制御する。また、CPU129は、マイクロプロセッサであってもよい。なお、これらのハードウェアはCPUバスなどから構成されるホストバスにより相互に接続されている。
【0036】
以上説明したハードウェア構成は、図1に示した各機能を実現するための構成例である。例えば、表示装置121をCPU129の実行する表示制御プログラムが制御することにより表示部113の機能を実現することができる。また、タッチセンサ123により入力点取得部101の機能を実現することができる。
【0037】
(2.2.位置情報補正装置100aの動作例)
以上説明された構成により実現される位置情報補正装置100aの動作例について、次に図5を参照しながら説明する。図5は、同実施形態に係る位置情報補正方法の一例を示すフローチャートである。
【0038】
まず、入力点取得部101が、入力点を検出して位置情報を取得する(S101)。そして、方向検出部103が、前回の入力点の位置情報と比較することによって、移動方向を検出する(S103)。そして方向検出部103は、入力点の位置情報と検出した移動方向とを入力点情報に記録する(S105)。
【0039】
そして次に、判定部107は、過去の入力点の移動方向の多数決を取ることにより、操作体1の移動方向を判定する(S107)。現在の入力点について、方向検出部103による移動方向の検出と判定部107による移動方向の判定とが終わると、次に位置情報補正部109が方向検出部103の検出した移動方向と判定部107の判定した移動方向とが異なるか否かを判断する(S109)。
【0040】
ステップS109の判断において、方向検出部103により検出された移動方向と判定部107により判定された移動方向とが異なる場合には、位置情報補正部109は、現在の入力点の位置情報を補正する(S111)。ここでは、位置情報補正部109は、現在の入力点の位置情報が前回の入力点の位置情報と等しくなるように現在の入力点の位置情報を補正する。一方、ステップS109の判断において、方向検出部103により検出された移動方向と判定部107により判定された移動方向とが同じ場合には、ステップS111は省略される。
【0041】
そして、入力点取得部101は、次の入力点が検出されたか否かを判断し(S113)、次の入力点が検出された場合にはステップS101に戻る。一方、次の入力点が検出されなかった場合には、処理は終了される。
【0042】
(2.3.効果の例)
ここで、本実施形態に係る位置情報補正装置100aによる位置情報補正の効果の一例について図6を参照しながら説明する。図6に示されるように、入力点の位置情報に含まれるノイズの影響により本来意図した移動方向とは逆向きの移動方向に検出されたP7、P8、P11、P12は、前回の入力点の位置情報と等しくなるように補正される(補正後の入力点はP7c,P8c,P11c,P12c)。かかる補正により、位置情報が本来意図した移動方向に対して逆行してしまう可能性を低減することができる。
【0043】
なお、本実施形態においては、操作面の上下方向のいずれであるかを判定する例について説明したが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、過去の入力点からおおよその移動方向を算出して、この移動方向への射影成分について多数決をとることにより、任意の方向に対して本技術を適用することができる。
【0044】
<3.第2の実施形態>
ところで、上述の第1の実施形態の構成では、過去の入力点のうち、新しいものから所定個数分の移動方向の情報を用いて多数決により操作体1の移動方向が判定された。かかる構成においては、図7に示される現象が発生する可能性がある。図7は、第1の実施形態に係る位置情報補正後の位置情報の他の一例を示すグラフである。
【0045】
図7に示されるように、入力点P31〜P43が検出された場合に、ユーザは実際にはP31〜P40の検出時点において座標値が増大する方向に操作体1を移動させ、P40〜P43の検出時点においては座標値が減少する方向に操作体1を移動させているとする。ところが、過去の入力点の移動方向の多数決が単純に行われると、実際には座標値が減少する方向に移動している入力点P41〜P43は、P41c、P42c,P43cに補正されることがある。このような現象を抑制するための本開示の第2の実施形態に係る位置情報補正装置100bについて、次に説明する。
【0046】
(3.1.位置情報補正装置100bの構成例)
ここで図8を参照しながら本開示の第2の実施形態に係る位置情報補正装置100bの構成例について説明する。図8は、本開示の第2の実施形態に係る位置情報補正装置の機能ブロック図である。第2の実施形態に係る位置情報補正装置100bは、第1の実施形態に係る位置情報補正装置100aと比較して、参照領域設定部106の構成を有し、判定部107が参照領域内に含まれる過去の入力点の移動方向の情報について多数決をとる点において相違する。
【0047】
位置情報補正装置100bは、ポインティングデバイスを介して入力された位置情報を補正する機能を有する。そして、位置情報補正装置100bは、入力点取得部101と、方向検出部103と、記憶部105と、参照領域設定部106と、判定部107と、位置情報補正部109と、表示部111とを主に有する。
【0048】
入力点取得部101は、操作体1により指定される入力点の位置情報(例えば座標値)を取得する機能を有する。ここで操作体1は、例えばポインティングデバイス又はポインティングデバイスを操作するもの(例えばタッチセンサを操作する指)である。入力点取得部101は、取得した位置情報を方向検出部103に供給することができる。
【0049】
方向検出部103は、検出された入力点毎に、入力点取得部101により取得された位置情報の変位に基づいて操作体1の移動方向を検出する機能を有する。方向検出部103は、現時点で入力点取得部101により取得された現在の入力点の位置情報と、現在の入力点の直前に検出された前回の入力点の位置情報との変化の方向を操作体1の移動方向として検出することができる。方向検出部103は、検出した移動方向を、対応する入力点の位置情報と共に記憶部105に記憶することができる。
【0050】
記憶部105は、データを記憶する機能を有する。記憶部105は、例えば、フラッシュメモリ、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリや、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録媒体であってよい。本実施形態においては、記憶部105は、入力点取得部101により取得された入力点の位置情報の履歴である入力点情報を記憶することができる。また記憶部105は、判定部107が移動方向を判定する際に用いる過去の入力点の参照範囲を決めるための参照領域についての情報である参照領域情報を記憶することができる。
【0051】
参照領域設定部106は、現在の入力点を含む参照領域を設定する機能を有する。この参照領域設定部106は、タッチセンサのデバイス特性に応じたサイズの参照領域を設定してもよい。具体的には、参照領域設定部106は、参照領域情報中に予め記述された参照領域の基準サイズに基づいて参照領域のサイズを決定してもよい。この基準サイズは、タッチセンサの解像度に応じて解像度が低いほど大きい値であることが好ましい。さらに、参照領域情報には、タッチセンサ中の位置と対応づけられた参照領域のサイズの情報が含まれていてもよい。この場合、参照領域設定部106は、参照領域情報に基づき、検出された入力点の位置に応じたサイズの参照領域を設定することができる。このとき参照領域のサイズは、ノイズの含まれやすい位置、例えばタッチセンサのグリッドに近い位置ほど大きくされることが好ましい。
【0052】
ここで図9を参照しながら、静電容量型タッチセンサが用いられる場合の参照領域のサイズ調整について説明する。図9は、同実施形態において用いられる参照領域情報の一例を説明するための説明図である。静電容量型のタッチセンサは、図9に示されるように、X方向に並べられた複数のX電極11を含む第1電極群10と、Y方向に並べられた複数のY電極21を含む第2電極群20とが重ねられ、かかる構成のタッチセンサ上に操作体1が接近又は接触することによって、それぞれの電極において検出される静電容量の変化に基づいて操作体の位置情報が検出される。かかる構成のタッチセンサにおいては、電極の中心に近い領域Aよりも、電極間の境界に近い領域Bの方が検出する位置情報にノイズを含みやすい。このため、ノイズが含まれやすい位置、即ちグリッド境界に近い位置ほど参照領域のサイズが小さくなるように参照領域情報が定められることが好ましい。参照領域設定部106は、上記基準サイズを基準として、タッチセンサ上の位置に応じて参照領域のサイズを調整してもよい。
【0053】
判定部107は、参照領域内に含まれる過去の入力点について、方向検出部103により検出された移動方向の多数決をとる。そして判定部107は、この多数決により最も多い方向を、現時点で検出された現在の入力点についての操作体1の移動方向と判定することができる。また、判定部107は、設定された参照領域内に含まれる過去の入力点が存在しない場合には、方向検出部103により検出された移動方向を操作体1の移動方向であると判定してもよい。
【0054】
位置情報補正部109は、方向検出部103により検出された移動方向と判定部107により判定された移動方向とが異なる場合に、現在の入力点の位置情報を補正する機能を有する。このとき位置情報補正部109は、現在の入力点の直前に取得された前回の入力点の位置情報に基づいて、現在の入力点の位置情報を補正することができる。位置情報補正部109は、現在の入力点の位置情報が、前回の入力点の位置情報と等しくなるように、現在の入力点の位置情報を補正することができる。或いは、位置情報補正部109は、前回の入力点よりも、判定部107により判定された移動方向側に移動するように現在の入力点の位置情報を補正することができる。このとき位置情報補正部109は、入力点の移動履歴から、現在の入力点の位置を推定することにより現在の入力点の位置情報を補正してもよい。
【0055】
表示部111は、例えば表示装置と表示装置が表示する表示画面を生成する表示制御部とを含み、ユーザに表示画面を提供する機能を有する。表示部111は、位置情報補正部109により補正された位置情報に基づいた画面を表示することができる。
【0056】
以上、本実施形態に係る位置情報補正装置100bの機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置がこれらの機能を実現する処理手順を記述した制御プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体から制御プログラムを読出し、そのプログラムを解釈して実行することにより行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0057】
なお、上述のような本実施形態に係る位置情報補正装置100bの各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作成し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0058】
(3.2.位置情報補正装置100bの動作例)
以上説明された構成により実現される位置情報補正装置100bの動作例について、次に図10を参照しながら説明する。図10は、同実施形態に係る位置情報補正方法の一例を示すフローチャートである。
【0059】
まず、入力点取得部101が、入力点を検出して位置情報を取得する(S201)。そして、方向検出部103が、前回の入力点の位置情報と比較することによって、移動方向を検出する(S203)。そして方向検出部103は、入力点の位置情報と検出した移動方向とを入力点情報に記録する(S205)。
【0060】
そして次に、参照領域設定部106は、過去の入力点のうち、移動方向の判定に用いる入力点の範囲を定める参照領域を設定する(S206)。このとき参照領域設定部106は、現在の入力点を基準として参照領域の位置を設定する。そして参照領域設定部106は、デバイス特性に応じた所定の基準サイズの参照領域を設定してもよい。また、参照領域設定部106は、上記基準サイズを基準として、現在の入力点の位置に応じて参照領域のサイズを調整してもよい。このとき、入力点の位置がタッチセンサのグリッド境界に近いほど参照領域が大きくなるようにすることが好ましい。
【0061】
そして次に、判定部107は、設定された参照領域内に含まれる過去の入力点の移動方向の多数決を取ることにより、操作体1の移動方向を判定する(S207)。このとき判定部107は、設定された参照領域内に含まれる過去の入力点が存在しない場合には、方向検出部103により検出された移動方向を操作体1の移動方向であると判定してもよい。現在の入力点について、方向検出部103による移動方向の検出と判定部107による移動方向の判定とが終わると、次に位置情報補正部109が方向検出部103の検出した移動方向と判定部107の判定した移動方向とが異なるか否かを判断する(S209)。
【0062】
ステップS209の判断において、方向検出部103により検出された移動方向と判定部107により判定された移動方向とが異なる場合には、位置情報補正部109は、現在の入力点の位置情報を補正する(S211)。ここでは、位置情報補正部109は、現在の入力点の位置情報が前回の入力点の位置情報と等しくなるように現在の入力点の位置情報を補正する。一方、ステップS209の判断において、方向検出部103により検出された移動方向と判定部107により判定された移動方向とが同じ場合には、ステップS211は省略される。
【0063】
そして、入力点取得部101は、次の入力点が検出されたか否かを判断し(S213)、次の入力点が検出された場合にはステップS201に戻る。一方、次の入力点が検出されなかった場合には、処理は終了される。
【0064】
(3.3.効果の例)
本実施形態に係る位置情報補正装置100bは、第1の実施形態に係る位置情報補正装置100aの構成に加えて、過去の入力点のうち、移動方向の判定に用いる範囲を参照領域内に含まれる入力点に限定する構成を有する。このとき参照領域は現在の入力点を基準として設定される。このため、判定部107が判定に用いる過去の入力点は、現在の入力点の近傍に限定される。かかる構成により、移動方向に変化が変化したときの誤検出を低減することができる。
【0065】
<4.第3の実施形態>
(4.1.位置情報補正装置100cの構成例)
上記第1及び第2の実施形態においては、過去の入力点の移動方向に基づいて、操作体1の移動方向が判定された。第3の実施形態に係る位置情報補正装置100cは、さらに過去の入力点の移動量に基づいて、現在の入力点の移動量を推定する。
【0066】
かかる機能を有する位置情報補正装置100cの構成について、図11を参照しながら説明する。図11は、本開示の第3の実施形態に係る位置情報補正装置100cの機能ブロック図である。
【0067】
位置情報補正装置100cは、入力点取得部101と、方向取得部103と、記憶部105と、参照領域設定部106と、判定部107と、移動量決定部108と、位置情報補正部109と、表示部111とを主に有する。すなわち、位置情報補正装置100cは、第2の実施形態に係る位置情報補正装置100bの構成に移動量決定部108の機能を加えた構成を有する。
【0068】
入力点取得部101は、操作体1により指定される入力点の位置情報(例えば座標値)を取得する機能を有する。ここで操作体1は、例えばポインティングデバイス又はポインティングデバイスを操作するもの(例えばタッチセンサを操作する指)である。入力点取得部101は、取得した位置情報を方向検出部103に供給することができる。
【0069】
方向検出部103は、検出された入力点毎に、入力点取得部101により取得された位置情報の変位に基づいて操作体1の移動方向を検出する機能を有する。方向検出部103は、現時点で入力点取得部101により取得された現在の入力点の位置情報と、現在の入力点の直前に検出された前回の入力点の位置情報との変化の方向を操作体1の移動方向として検出することができる。方向検出部103は、検出した移動方向を、対応する入力点の位置情報と共に記憶部105に記憶することができる。
【0070】
記憶部105は、データを記憶する機能を有する。記憶部105は、例えば、フラッシュメモリ、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリや、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録媒体であってよい。本実施形態においては、記憶部105は、入力点取得部101により取得された入力点の位置情報の履歴である入力点情報を記憶することができる。また記憶部105は、判定部107が移動方向を判定する際に用いる過去の入力点の参照範囲を決めるための参照領域についての情報である参照領域情報を記憶することができる。
【0071】
参照領域設定部106は、現在の入力点を含む参照領域を設定する機能を有する。この参照領域設定部106は、タッチセンサのデバイス特性に応じたサイズの参照領域を設定してもよい。具体的には、参照領域設定部106は、参照領域情報中に予め記述された参照領域の基準サイズに基づいて参照領域のサイズを決定してもよい。この基準サイズは、タッチセンサの解像度に応じて解像度が低いほど大きい値であることが好ましい。さらに、参照領域情報には、タッチセンサ中の位置と対応づけられた参照領域のサイズの情報が含まれていてもよい。この場合、参照領域設定部106は、参照領域情報に基づき、検出された入力点の位置に応じたサイズの参照領域を設定することができる。このとき参照領域のサイズは、ノイズの含まれやすい位置、例えばタッチセンサのグリッドに近い位置ほど大きくされることが好ましい。
【0072】
判定部107は、参照領域内に含まれる過去の入力点について、方向検出部103により検出された移動方向の多数決をとる。そして判定部107は、この多数決により最も多い方向を、現時点で検出された現在の入力点についての操作体1の移動方向と判定することができる。また、判定部107は、設定された参照領域内に含まれる過去の入力点が存在しない場合には、方向検出部103により検出された移動方向を操作体1の移動方向であると判定してもよい。
【0073】
移動量決定部108は、過去の入力点の移動量に基づいて、現在の入力点の移動量を決定する機能を有する。このとき、移動量決定部108は、過去の入力点の移動量について多数決を取ることにより現在の入力点の移動量を決定してもよい。このとき、移動量決定部108は、近似された移動量の値を用いて多数決をとることができ、この近似の幅を移動量のばらつきの度合いに応じて変更してもよい。また、移動量決定部108は、操作体1が等速運動をしていて、各点における誤差を正規分布とすることを前提として、現在の移動量の確率分布を考えることにより現在の入力点の移動量を決定してもよい。この移動量決定の詳細については、後述される。
【0074】
位置情報補正部109は、方向検出部103により検出された移動方向と判定部107により判定された移動方向とが異なる場合に、現在の入力点の位置情報を補正する機能を有する。このとき位置情報補正部109は、現在の入力点の直前に取得された前回の入力点の位置情報に基づいて、現在の入力点の位置情報を補正することができる。位置情報補正部109は、現在の入力点の位置情報が、前回の入力点の位置情報と等しくなるように、現在の入力点の位置情報を補正することができる。或いは、位置情報補正部109は、前回の入力点よりも、判定部107により判定された移動方向側に移動するように現在の入力点の位置情報を補正することができる。このとき位置情報補正部109は、入力点の移動履歴から、現在の入力点の位置を推定することにより現在の入力点の位置情報を補正してもよい。
【0075】
位置情報補正部109は、さらに移動量決定部108により決定された移動量を用いて、現在の入力点の位置情報を補正する機能を有する。位置情報補正部109は、全ての入力点について、移動量決定部108により決定された移動量を用いて位置情報を補正してもよい。或いは、位置情報補正部109は、方向検出部103により検出された移動方向と判定部107により判定された移動方向とが異なる場合に、移動量決定部108により決定された移動量を用いて位置情報を補正してもよい。
【0076】
表示部111は、例えば表示装置と表示装置が表示する表示画面を生成する表示制御部とを含み、ユーザに表示画面を提供する機能を有する。表示部111は、位置情報補正部109により補正された位置情報に基づいた画面を表示することができる。
【0077】
以上、本実施形態に係る位置情報補正装置100cの機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置がこれらの機能を実現する処理手順を記述した制御プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体から制御プログラムを読出し、そのプログラムを解釈して実行することにより行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0078】
なお、上述のような本実施形態に係る位置情報補正装置100cの各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作成し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0079】
(4.2.位置情報補正装置100cの動作例)
以上説明された構成により実現される位置情報補正装置100cの動作例について、次に図12を参照しながら説明する。図12は、同実施形態に係る位置情報補正方法の一例を示すフローチャートである。
【0080】
まず、入力点取得部101が、入力点を検出して位置情報を取得する(S301)。そして、方向検出部103が、前回の入力点の位置情報と比較することによって、移動方向を検出する(S303)。そして方向検出部103は、入力点の位置情報と検出した移動方向とを入力点情報に記録する(S305)。
【0081】
そして次に、参照領域設定部106は、過去の入力点のうち、移動方向の判定に用いる入力点の範囲を定める参照領域を設定する(S306)。このとき参照領域設定部106は、現在の入力点を基準として参照領域の位置を設定する。そして参照領域設定部106は、デバイス特性に応じた所定の基準サイズの参照領域を設定してもよい。また、参照領域設定部106は、上記基準サイズを基準として、現在の入力点の位置に応じて参照領域のサイズを調整してもよい。このとき、入力点の位置がタッチセンサのグリッド境界に近いほど参照領域が大きくなるようにすることが好ましい。
【0082】
そして次に、判定部107は、設定された参照領域内に含まれる過去の入力点の移動方向の多数決を取ることにより、操作体1の移動方向を判定する(S307)。このとき判定部107は、設定された参照領域内に含まれる過去の入力点が存在しない場合には、方向検出部103により検出された移動方向を操作体1の移動方向であると判定してもよい。現在の入力点について、方向検出部103による移動方向の検出と判定部107による移動方向の判定とが終わると、次に位置情報補正部109が方向検出部103の検出した移動方向と判定部107の判定した移動方向とが異なるか否かを判断する(S309)。
【0083】
ステップS309の判断において、方向検出部103により検出された移動方向と判定部107により判定された移動方向とが異なる場合には、移動量決定部108は、過去の入力点の移動量に基づいて、現在の入力点の移動量を決定する(S310)。
【0084】
そして位置情報補正部109は、現在の入力点の位置情報を補正する(S311)。ここで、位置情報補正部109は、移動量決定部108により決定された移動量を用いて、現在の入力点の位置情報を補正する。一方、ステップS309の判断において、方向検出部103により検出された移動方向と判定部107により判定された移動方向とが同じ場合には、ステップS311は省略される。
【0085】
そして、入力点取得部101は、次の入力点が検出されたか否かを判断し(S313)、次の入力点が検出された場合にはステップS301に戻る。一方、次の入力点が検出されなかった場合には、処理は終了される。
【0086】
ここで、ステップS310の移動量決定処理の一例について、図13及び図14を参照しながら詳細に説明する。図13は、検出される入力点の座標と多数決により決定された移動量による補正後の入力点の座標の一例を示す説明図である。図14は、図13の例における多数決による移動量決定の一例を示す説明図である。
【0087】
検出された入力点が図13に示される座標値を有するとき、移動量決定部108は、過去の入力点(サンプリング数0〜9)の移動量を用いて現在の入力点P51(サンプリング数10)の移動量を決定する。このとき、移動量決定部108は、過去の入力点の移動量について多数決をとることにより、現在の入力点P51の移動量を決定することができる。この場合、図14に示されるように、頻度が最も高い移動量「2」を現在の入力点の移動量としてもよい。この場合、位置情報補正部109は、入力点P51を入力点P51cに示されるように補正することができる。
【0088】
また、ステップS310の移動量決定処理の他の一例について、図15及び図16を参照しながら説明する。図15は、検出される入力点の座標と多数決により決定された移動量による補正後の入力点の座標の他の一例を示す説明図である。図16は、図15の例における多数決による移動量決定の一例を示す説明図である。
【0089】
検出された入力点が図15に示される座標値を有するとき、移動量決定部108は、過去の入力点(サンプリング数0〜9)の移動量を用いて現在の入力点P53(サンプリング数10)の移動量を決定する。このとき、移動量決定部108は、過去の入力点の移動量のばらつき度合いに応じた刻み幅で移動量の多数決をとってもよい。移動量のばらつきがあるときには、刻み幅が細かすぎると移動量の傾向が表れない場合もあるが、適切な刻み幅を選択することにより全体の傾向が表れる場合がある。この場合、図16の上図に示されるように移動量1毎に多数決をとるよりも、移動量2毎に多数決を取るほうが移動量の傾向が明らかとなるため、移動量決定部108は、移動量「2」を現在の入力点の移動量とすることができる。
【0090】
また、ステップS310の移動量決定処理の他の一例について、図17〜図20を参照しながら説明する。図17は、検出される入力点の座標と確率分布により決定された移動量による補正後の入力点の座標の一例を示す説明図である。図18は、図17の例における多数決による移動量決定の一例を示す説明図である。図19は、図17の例における多数決による移動量決定の他の一例を示す説明図である。図20は、図17の例における確率分布による移動量決定の一例を示す説明図である。
【0091】
例えば操作体1が等速運動しており、移動量が2であり、各点が2のノイズを含む場合には、各入力点の座標値は図17に示されるように検出される場合がある。このとき、例えば過去の入力点の移動量の多数決を取る方法では、図18に示されるように移動量にばらつきがあるため移動量の傾向を掴むのが困難である。また、刻み幅を変えた場合であっても、図19に示すように正しい移動量の傾向を掴むことは困難である。
【0092】
そこで、移動量決定部108は、移動量の確率分布を用いて現在の入力点の移動量を決定してもよい。このとき移動量決定部108は、下記の数式(1)〜数式(3)を用いて現在の入力点の移動量の確率分布を算出し、この確率分布に基づいて最も確率分布の値が高い移動量を現在の入力点の移動量としてもよい。
【0093】
【数1】
【0094】
ここで、f(vj)は、vjとなる確率であり、Nsampleは、参照するサンプル数であり、xjは、j番目の座標であり、vjは、j番目の速度であり、σxjは、j番目の座標におけるノイズ量であり、σvjは、j番目の速度の誤差である。
【0095】
確率分布を算出すると、図20に示されるようになり、安定的に移動量を導くことができる。この場合には、移動量決定部108は、確率分布の値が最も高い移動量「2」を現在の入力点の移動量とすることができる。
【0096】
(4.3.効果の例)
かかる構成により、位置情報補正装置100cは、過去の入力点の移動量に基づいて現在の入力点の移動量を決定することができる。スクロール操作などで、ユーザが一定の方向に一定速度で操作体1を動かすことを意図している場合であっても、検出される入力点の位置情報にはノイズが含まれることが多いが、上記構成により、位置情報補正装置100cは、ユーザが意図する移動方向及び移動量の操作入力を機器操作に反映することができる。
【0097】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)操作体により指定される入力点の位置情報を取得する入力点取得部と、
前記入力点毎に、前記入力点取得部により取得された位置情報の変位に基づいて前記操作体の移動方向を検出する方向検出部と、
過去に前記入力点取得部により取得された過去の入力点について前記方向検出部により検出された移動方向の多数決をとることにより、現時点で前記入力点取得部により取得された現在の入力点について前記操作体の移動方向を判定する判定部と、
前記方向検出部により検出された移動方向と前記判定部により判定された移動方向とが異なるとき、前記現在の入力点の位置情報を補正する位置情報補正部と、
を備える、位置情報補正装置。
(2)前記現在の入力点を含む参照領域を設定する参照領域設定部、
をさらに備え、
前記判定部は、前記参照領域内に含まれる過去の入力点の移動方向に基づき、前記操作体の移動方向を判定する、前記(1)に記載の位置情報補正装置。
(3)前記入力点取得部は、タッチセンサに接触又は近接した前記操作体の位置情報を取得し、
前記参照領域設定部は、前記タッチセンサのデバイス特性に応じたサイズの前記参照領域を設定する、前記(2)に記載の位置情報補正装置。
(4)前記参照領域設定部は、前記タッチセンサの解像度に応じた所定サイズの前記参照領域を設定する、前記(2)または(3)に記載の位置情報補正装置。
(5)前記タッチセンサは、静電容量型のタッチセンサであり、
前記参照領域設定部は、前記タッチセンサのグリッド境界に近いほど参照領域のサイズを大きくする、前記(2)〜(4)のいずれかに記載の位置情報補正装置。
(6)前記位置情報補正部は、前記現在の入力点の直前に取得された入力点の位置情報に基づいて、前記現在の入力点の位置情報を補正する、前記(1)に記載の位置情報補正装置。
(7)前記位置情報補正部は、前記現在の入力点の位置情報が当該入力点の直前に取得された入力点の位置情報と等しくなるように前記位置情報を補正する、前記(6)に記載の位置情報補正装置。
(8)過去の入力点の移動量に基づいて、前記現在の入力点の移動量を決定する移動量決定部、をさらに備え、
前記位置情報補正部は、前記移動量決定部により決定された移動量を用いて、前記現在の入力点の位置情報を補正する、前記(1)に記載の位置情報補正装置。
(9)前記移動量決定部は、前記過去の入力点の移動量の多数決をとることにより、前記現在の入力点の移動量を決定する、前記(8)に記載の位置情報補正装置。
(10)前記移動量決定部は、前記過去の入力点の移動量のばらつき度合いに応じた刻み幅で前記過去の入力点の移動量の多数決をとることにより、前記現在の入力点の移動量を決定する、前記(9)に記載の位置情報補正装置。
(11)前記移動量決定部は、前記過去の入力点の移動量に基づいて、前記現在の入力点の移動量の確率分布を算出し、前記確率分布が最も高くなる移動量を前記現在の入力点の移動量とする、前記(8)に記載の位置情報補正装置。
(12)操作体により指定される入力点の位置情報を取得し、
前記入力点毎に、取得された前記位置情報の変位に基づいて前記操作体の移動方向を検出し、
過去に前記入力点取得部により取得された過去の入力点について前記検出された移動方向の多数決をとることにより、現時点で取得された現在の入力点について前記操作体の移動方向を判定し、
前記検出された移動方向と前記判定された移動方向とが異なるとき、前記現在の入力点の位置情報を補正する、位置情報補正方法。
(13)コンピュータを、
操作体により指定される入力点の位置情報を取得する入力点取得部と、
前記入力点毎に、前記入力点取得部により取得された位置情報の変位に基づいて前記操作体の移動方向を検出する方向検出部と、
過去に前記入力点取得部により取得された過去の入力点について前記方向検出部により検出された移動方向の多数決をとることにより、現時点で前記入力点取得部により取得された現在の入力点について前記操作体の移動方向を判定する判定部と、
前記方向検出部により検出された移動方向と前記判定部により判定された移動方向とが異なるとき、前記現在の入力点の位置情報を補正する位置情報補正部と、
を備える、位置情報補正装置として機能させるためのプログラム。
【0098】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本技術はかかる例に限定されない。本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0099】
例えば、上記実施形態では、ポインティングデバイスとしてタッチセンサを例に挙げたが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、マウスや、各種センサを用いたポインティングデバイス全般に適用することができる。
【0100】
尚、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0101】
100 位置情報補正装置
101 入力点取得部
103 方向検出部
105 記憶部
106 参照領域設定部
107 判定部
108 移動量決定部
109 位置情報補正部
111 表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報補正装置、位置情報補正方法、及びプログラムに関し、特にポインティングデバイスにより指定された位置情報を補正する位置情報補正装置、位置情報補正方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばPC(Personal Computer)及びスマートフォンを始めとする情報処理装置の入力装置として、ポインティングデバイスが普及している。ポインティングデバイスの一例としては、タッチパネル、タッチパッド、マウス、トラックポイントなどが挙げられる。このようなポインティングデバイスは、操作体の位置によって指定される入力点の位置情報を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−250770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなポインティングデバイスから入力される入力点の位置情報は、様々な要因によりノイズ成分が含まれる。このため、ユーザが操作体により一定の方向に操作しているつもりであっても、意図する方向とは逆の方向への操作情報が入力されてしまう場合があった。
【0005】
上記事情に鑑みれば、入力された位置情報を移動方向に基づいて補正することの可能な、新規かつ改良された位置情報補正装置、位置情報補正方法、及びプログラムを提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、操作体により指定される入力点の位置情報を取得する入力点取得部と、上記入力点毎に、上記入力点取得部により取得された位置情報の変位に基づいて上記操作体の移動方向を検出する方向検出部と、過去に上記入力点取得部により取得された過去の入力点について上記方向検出部により検出された移動方向の多数決をとることにより、現時点で上記入力点取得部により取得された現在の入力点について上記操作体の移動方向を判定する判定部と、上記方向検出部により検出された移動方向と上記判定部により判定された移動方向とが異なるとき、上記現在の入力点の位置情報を補正する位置情報補正部と、を有する位置情報補正装置が提供される。
【0007】
かかる構成によれば、過去の入力点の移動方向のうちの多数決により操作体の移動方向が判定される。この移動方向は、操作体の過去の移動方向に基づいて多数決により推定された方向である。このため、入力点の位置情報にノイズ成分が含まれる場合であっても、操作体を操作するユーザの意図を反映した位置に補正することができる。
【0008】
また、本開示によれば、操作体により指定される入力点の位置情報を取得し、上記入力点毎に、取得された上記位置情報の変位に基づいて上記操作体の移動方向を検出し、過去に上記入力点取得部により取得された過去の入力点について上記検出された移動方向の多数決をとることにより、現時点で取得された現在の入力点について上記操作体の移動方向を判定し、上記検出された移動方向と上記判定された移動方向とが異なるとき、上記現在の入力点の位置情報を補正する、位置情報補正方法が提供される。
【0009】
また、本開示によれば、コンピュータを、操作体により指定される入力点の位置情報を取得する入力点取得部と、上記入力点毎に、上記入力点取得部により取得された位置情報の変位に基づいて上記操作体の移動方向を検出する方向検出部と、過去に上記入力点取得部により取得された過去の入力点について上記方向検出部により検出された移動方向の多数決をとることにより、現時点で上記入力点取得部により取得された現在の入力点について上記操作体の移動方向を判定する判定部と、上記方向検出部により検出された移動方向と上記判定部により判定された移動方向とが異なるとき、上記現在の入力点の位置情報を補正する位置情報補正部と、を有する位置情報補正装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本開示によれば、入力された位置情報を移動方向に基づいて補正することの可能な、新規かつ改良された位置情報補正装置、位置情報補正方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】タッチセンサに対する操作の一例を示す説明図である。
【図2】検出される位置情報の一例を示すグラフである。
【図3】本開示の第1の実施形態に係る位置情報補正装置の機能ブロック図である。
【図4】第1及び第2の実施形態に係る位置情報補正装置のハードウェア構成図である。
【図5】同実施形態に係る位置情報補正方法の一例を示すフローチャートである。
【図6】同実施形態に係る位置情報補正後の位置情報の一例を示すグラフである。
【図7】同実施形態に係る位置情報補正後の位置情報の他の一例を示すグラフである。
【図8】本開示の第2の実施形態に係る位置情報補正装置の機能ブロック図である。
【図9】同実施形態において用いられる参照領域情報の一例を説明するための説明図である。
【図10】同実施形態に係る位置情報補正方法の一例を示すフローチャートである。
【図11】本開示の第3の実施形態に係る位置情報補正装置の機能ブロック図である。
【図12】同実施形態に係る位置情報補正方法の一例を示すフローチャートである。
【図13】検出される入力点の座標と多数決により決定された移動量による補正後の入力点の座標の一例を示す説明図である。
【図14】図13の例における多数決による移動量決定の一例を示す説明図である。
【図15】検出される入力点の座標と多数決により決定された移動量による補正後の入力点の座標の他の一例を示す説明図である。
【図16】図15の例における多数決による移動量決定の一例を示す説明図である。
【図17】検出される入力点の座標と確率分布により決定された移動量による補正後の入力点の座標の一例を示す説明図である。
【図18】図17の例における多数決による移動量決定の一例を示す説明図である。
【図19】図17の例における多数決による移動量決定の他の一例を示す説明図である。
【図20】図17の例における確率分布による移動量決定の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.概要
2.第1の実施形態
2.1.位置情報補正装置100aの構成例
2.2.位置情報補正装置100aの動作例
2.3.効果の例
3.第2の実施形態
3.1.位置情報補正装置100bの構成例
3.2.位置情報補正装置100bの動作例
3.3.効果の例
4.第3の実施形態
4.1.位置情報補正装置100cの構成例
4.2.位置情報補正装置100cの動作例
4.3.効果の例
【0014】
<1.概要>
まず、図1及び図2を参照しながら、本開示において対象としているポインティングデバイスとしてタッチセンサを一例に挙げ、本開示の概要について説明する。図1は、タッチセンサに対する操作の一例を示す説明図である。図2は、検出される位置情報の一例を示すグラフである。
【0015】
図1に示される操作画面Wに対して、操作体1により矢印に沿った操作が行われた場合を考える。なお、ここで操作画面Wはタッチセンサへの操作を入力するための画面であり、矢印のように一定方向に動かす操作体1に追従して、表示内容がスクロールされる画面が想定される。
【0016】
操作体1によりスクロール操作が行われた場合に、例えば図2に示す位置情報が検出される。図2には、スクロール操作中に検出された12個の入力点P1〜P12の検出された時間と座標値との関係が示される。ここで、座標値は、図1の操作画面Wの上下方向を示す軸上の位置である。また、各点P付近に示される矢印は、位置情報の変位(前回検出された点との座標値の差)に基づいた移動方向を示している。ユーザが一定方向に操作したつもりであっても、検出される位置情報にはノイズ成分が含まれる。図2の場合、全て座標値が増大する方向に移動しているはずである。しかし、検出された入力点Pの中には、前回検出された入力点よりも小さい座標値又は前回検出された入力点と同じ座標値を有する入力点(入力点P7、P8、P11、P12)が含まれている。特に、操作体1の移動速度が小さい場合には、単位時間当たりの位置情報の変位が小さいため、ノイズ成分の影響が大きくなる。
【0017】
位置情報にノイズ成分が含まれる要因には、様々考えられる。例えば、ポインティングデバイスのデバイス特性によりノイズが含まれる場合がある。例えばタッチセンサの場合には、解像度が高いほど精度よく位置を検出することができる。一方、解像度が低いほど位置情報にノイズ成分が含まれやすい。また、静電容量型のタッチセンサは、複数の電極の静電容量の変化に基づいてタッチ位置を検出する入力装置であるが、グリッド境界部分では検出精度が低下する。また、タッチセンサの中心部と外周部とでは、外周部の方がノイズ成分が含まれやすい性質を有する。
【0018】
このようなノイズ成分の影響により、意図した方向と逆向きに変位する位置情報が検出された場合には、意図した方向と逆向きのフィードバック(例えば逆方向へのスクロール動作)が与えられる逆行現象が生じることがある。そこで、本開示の一実施形態に係る位置情報補正装置は、このようなノイズ成分の影響を除くために、ポインティングデバイスを操作するユーザの意図した方向を判定し、判定した方向に基づいて検出された位置情報を補正する。以下に、2つの実施形態を挙げて、この位置情報補正装置について説明する。
【0019】
<2.第1の実施形態>
(2.1.位置情報補正装置100aの構成例)
まず、図3及び図4を参照しながら、本開示の第1の実施形態に係る位置情報補正装置100aの構成について説明する。図3は、本開示の第1の実施形態に係る位置情報補正装置の機能ブロック図である。図4は、第1及び第2の実施形態に係る位置情報補正装置のハードウェア構成図である。
【0020】
なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて位置情報補正装置100a、及び位置情報補正装置100bのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、位置情報補正装置100a、及び位置情報補正装置100bなどを特に区別する必要が無い場合には、単に位置情報補正装置100と称する。
【0021】
まず図3を参照しながら位置情報補正装置100aの機能構成について説明する。位置情報補正装置100aは、ポインティングデバイスを介して入力された位置情報を補正する機能を有する。そして、位置情報補正装置100aは、入力点取得部101と、方向検出部103と、記憶部105と、判定部107と、位置情報補正部109と、表示部111とを主に有する。
【0022】
入力点取得部101は、操作体1により指定される入力点の位置情報(例えば座標値)を取得する機能を有する。ここで操作体1は、例えばポインティングデバイス又はポインティングデバイスを操作するもの(例えばタッチセンサを操作する指)である。入力点取得部101は、取得した位置情報を方向検出部103に供給することができる。
【0023】
方向検出部103は、検出された入力点毎に、入力点取得部101により取得された位置情報の変位に基づいて操作体1の移動方向を検出する機能を有する。方向検出部103は、現時点で入力点取得部101により取得された現在の入力点の位置情報と、現在の入力点の直前に検出された前回の入力点の位置情報との変化の方向を操作体1の移動方向として検出することができる。方向検出部103は、検出した移動方向を、対応する入力点の位置情報と共に記憶部105に記憶する。
【0024】
記憶部105は、データを記憶する機能を有する。記憶部105は、例えば、フラッシュメモリ、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリや、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録媒体であってよい。本実施形態においては、記憶部105は、入力点取得部101により取得された入力点の位置情報の履歴である入力点情報を記憶することができる。
【0025】
判定部107は、過去に取得された過去の入力点について、方向検出部103により検出された移動方向の多数決をとる。そして判定部107は、この多数決により最も多い方向を、現時点で検出された現在の入力点についての操作体1の移動方向と判定することができる。例えば、このとき判定部107は、過去の入力点のうち、新しい方から所定個数分の移動方向の情報を用いてもよい。
【0026】
位置情報補正部109は、方向検出部103により検出された移動方向と判定部107により判定された移動方向とが異なる場合に、現在の入力点の位置情報を補正する機能を有する。このとき位置情報補正部109は、現在の入力点の直前に取得された前回の入力点の位置情報に基づいて、現在の入力点の位置情報を補正することができる。位置情報補正部109は、現在の入力点の位置情報が、前回の入力点の位置情報と等しくなるように、現在の入力点の位置情報を補正することができる。或いは、位置情報補正部109は、前回の入力点よりも、判定部107により判定された移動方向側に移動するように現在の入力点の位置情報を補正することができる。このとき位置情報補正部109は、入力点の移動履歴から、現在の入力点の位置を推定することにより現在の入力点の位置情報を補正してもよい。
【0027】
表示部111は、例えば表示装置と表示装置が表示する表示画面を生成する表示制御部とを含み、ユーザに表示画面を提供する機能を有する。表示部111は、位置情報補正部109により補正された位置情報に基づいた画面を表示することができる。
【0028】
以上、本実施形態に係る位置情報補正装置100aの機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置がこれらの機能を実現する処理手順を記述した制御プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体から制御プログラムを読出し、そのプログラムを解釈して実行することにより行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0029】
なお、上述のような本実施形態に係る位置情報補正装置100aの各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作成し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0030】
次に、図4を参照しながら本開示の第1〜第3の実施形態に係る位置情報補正装置100のハードウェア構成の一例について説明する。
【0031】
位置情報補正装置100は、表示装置121と、タッチセンサ123と、不揮発性メモリ125と、RAM(Random Access Memory)127と、CPU(Central Processing Unit)とを主に有する。表示装置121とタッチセンサ123とは、積層して設けられてよい。
【0032】
表示装置121は、情報を出力する出力装置の一例である。表示装置121は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)装置、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting Diode)装置などであってよい。
【0033】
タッチセンサ123は、ポインティングデバイスの一例であって、表示装置121に重ねて設けられ、タッチセンサ123の操作面に接触又は近接する操作体の位置を検出する位置検出装置である。操作体は、例えば典型的にはユーザの指であり、ユーザが操作情報を入力するために用いられる。タッチセンサ123は、操作面に対する操作体の二次元位置を検出してもよいし、三次元位置を検出してもよい。
【0034】
不揮発性メモリ125は、CPU129が使用するプログラムや各種の演算パラメータ等を記憶する。不揮発性メモリ125は、例えばROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等の記憶媒体を用いることができる。
【0035】
RAM127は、CPU129の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変換するパラメータ等を一時記憶する。CPU129は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って状態判定装置100内の動作全般を制御する。また、CPU129は、マイクロプロセッサであってもよい。なお、これらのハードウェアはCPUバスなどから構成されるホストバスにより相互に接続されている。
【0036】
以上説明したハードウェア構成は、図1に示した各機能を実現するための構成例である。例えば、表示装置121をCPU129の実行する表示制御プログラムが制御することにより表示部113の機能を実現することができる。また、タッチセンサ123により入力点取得部101の機能を実現することができる。
【0037】
(2.2.位置情報補正装置100aの動作例)
以上説明された構成により実現される位置情報補正装置100aの動作例について、次に図5を参照しながら説明する。図5は、同実施形態に係る位置情報補正方法の一例を示すフローチャートである。
【0038】
まず、入力点取得部101が、入力点を検出して位置情報を取得する(S101)。そして、方向検出部103が、前回の入力点の位置情報と比較することによって、移動方向を検出する(S103)。そして方向検出部103は、入力点の位置情報と検出した移動方向とを入力点情報に記録する(S105)。
【0039】
そして次に、判定部107は、過去の入力点の移動方向の多数決を取ることにより、操作体1の移動方向を判定する(S107)。現在の入力点について、方向検出部103による移動方向の検出と判定部107による移動方向の判定とが終わると、次に位置情報補正部109が方向検出部103の検出した移動方向と判定部107の判定した移動方向とが異なるか否かを判断する(S109)。
【0040】
ステップS109の判断において、方向検出部103により検出された移動方向と判定部107により判定された移動方向とが異なる場合には、位置情報補正部109は、現在の入力点の位置情報を補正する(S111)。ここでは、位置情報補正部109は、現在の入力点の位置情報が前回の入力点の位置情報と等しくなるように現在の入力点の位置情報を補正する。一方、ステップS109の判断において、方向検出部103により検出された移動方向と判定部107により判定された移動方向とが同じ場合には、ステップS111は省略される。
【0041】
そして、入力点取得部101は、次の入力点が検出されたか否かを判断し(S113)、次の入力点が検出された場合にはステップS101に戻る。一方、次の入力点が検出されなかった場合には、処理は終了される。
【0042】
(2.3.効果の例)
ここで、本実施形態に係る位置情報補正装置100aによる位置情報補正の効果の一例について図6を参照しながら説明する。図6に示されるように、入力点の位置情報に含まれるノイズの影響により本来意図した移動方向とは逆向きの移動方向に検出されたP7、P8、P11、P12は、前回の入力点の位置情報と等しくなるように補正される(補正後の入力点はP7c,P8c,P11c,P12c)。かかる補正により、位置情報が本来意図した移動方向に対して逆行してしまう可能性を低減することができる。
【0043】
なお、本実施形態においては、操作面の上下方向のいずれであるかを判定する例について説明したが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、過去の入力点からおおよその移動方向を算出して、この移動方向への射影成分について多数決をとることにより、任意の方向に対して本技術を適用することができる。
【0044】
<3.第2の実施形態>
ところで、上述の第1の実施形態の構成では、過去の入力点のうち、新しいものから所定個数分の移動方向の情報を用いて多数決により操作体1の移動方向が判定された。かかる構成においては、図7に示される現象が発生する可能性がある。図7は、第1の実施形態に係る位置情報補正後の位置情報の他の一例を示すグラフである。
【0045】
図7に示されるように、入力点P31〜P43が検出された場合に、ユーザは実際にはP31〜P40の検出時点において座標値が増大する方向に操作体1を移動させ、P40〜P43の検出時点においては座標値が減少する方向に操作体1を移動させているとする。ところが、過去の入力点の移動方向の多数決が単純に行われると、実際には座標値が減少する方向に移動している入力点P41〜P43は、P41c、P42c,P43cに補正されることがある。このような現象を抑制するための本開示の第2の実施形態に係る位置情報補正装置100bについて、次に説明する。
【0046】
(3.1.位置情報補正装置100bの構成例)
ここで図8を参照しながら本開示の第2の実施形態に係る位置情報補正装置100bの構成例について説明する。図8は、本開示の第2の実施形態に係る位置情報補正装置の機能ブロック図である。第2の実施形態に係る位置情報補正装置100bは、第1の実施形態に係る位置情報補正装置100aと比較して、参照領域設定部106の構成を有し、判定部107が参照領域内に含まれる過去の入力点の移動方向の情報について多数決をとる点において相違する。
【0047】
位置情報補正装置100bは、ポインティングデバイスを介して入力された位置情報を補正する機能を有する。そして、位置情報補正装置100bは、入力点取得部101と、方向検出部103と、記憶部105と、参照領域設定部106と、判定部107と、位置情報補正部109と、表示部111とを主に有する。
【0048】
入力点取得部101は、操作体1により指定される入力点の位置情報(例えば座標値)を取得する機能を有する。ここで操作体1は、例えばポインティングデバイス又はポインティングデバイスを操作するもの(例えばタッチセンサを操作する指)である。入力点取得部101は、取得した位置情報を方向検出部103に供給することができる。
【0049】
方向検出部103は、検出された入力点毎に、入力点取得部101により取得された位置情報の変位に基づいて操作体1の移動方向を検出する機能を有する。方向検出部103は、現時点で入力点取得部101により取得された現在の入力点の位置情報と、現在の入力点の直前に検出された前回の入力点の位置情報との変化の方向を操作体1の移動方向として検出することができる。方向検出部103は、検出した移動方向を、対応する入力点の位置情報と共に記憶部105に記憶することができる。
【0050】
記憶部105は、データを記憶する機能を有する。記憶部105は、例えば、フラッシュメモリ、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリや、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録媒体であってよい。本実施形態においては、記憶部105は、入力点取得部101により取得された入力点の位置情報の履歴である入力点情報を記憶することができる。また記憶部105は、判定部107が移動方向を判定する際に用いる過去の入力点の参照範囲を決めるための参照領域についての情報である参照領域情報を記憶することができる。
【0051】
参照領域設定部106は、現在の入力点を含む参照領域を設定する機能を有する。この参照領域設定部106は、タッチセンサのデバイス特性に応じたサイズの参照領域を設定してもよい。具体的には、参照領域設定部106は、参照領域情報中に予め記述された参照領域の基準サイズに基づいて参照領域のサイズを決定してもよい。この基準サイズは、タッチセンサの解像度に応じて解像度が低いほど大きい値であることが好ましい。さらに、参照領域情報には、タッチセンサ中の位置と対応づけられた参照領域のサイズの情報が含まれていてもよい。この場合、参照領域設定部106は、参照領域情報に基づき、検出された入力点の位置に応じたサイズの参照領域を設定することができる。このとき参照領域のサイズは、ノイズの含まれやすい位置、例えばタッチセンサのグリッドに近い位置ほど大きくされることが好ましい。
【0052】
ここで図9を参照しながら、静電容量型タッチセンサが用いられる場合の参照領域のサイズ調整について説明する。図9は、同実施形態において用いられる参照領域情報の一例を説明するための説明図である。静電容量型のタッチセンサは、図9に示されるように、X方向に並べられた複数のX電極11を含む第1電極群10と、Y方向に並べられた複数のY電極21を含む第2電極群20とが重ねられ、かかる構成のタッチセンサ上に操作体1が接近又は接触することによって、それぞれの電極において検出される静電容量の変化に基づいて操作体の位置情報が検出される。かかる構成のタッチセンサにおいては、電極の中心に近い領域Aよりも、電極間の境界に近い領域Bの方が検出する位置情報にノイズを含みやすい。このため、ノイズが含まれやすい位置、即ちグリッド境界に近い位置ほど参照領域のサイズが小さくなるように参照領域情報が定められることが好ましい。参照領域設定部106は、上記基準サイズを基準として、タッチセンサ上の位置に応じて参照領域のサイズを調整してもよい。
【0053】
判定部107は、参照領域内に含まれる過去の入力点について、方向検出部103により検出された移動方向の多数決をとる。そして判定部107は、この多数決により最も多い方向を、現時点で検出された現在の入力点についての操作体1の移動方向と判定することができる。また、判定部107は、設定された参照領域内に含まれる過去の入力点が存在しない場合には、方向検出部103により検出された移動方向を操作体1の移動方向であると判定してもよい。
【0054】
位置情報補正部109は、方向検出部103により検出された移動方向と判定部107により判定された移動方向とが異なる場合に、現在の入力点の位置情報を補正する機能を有する。このとき位置情報補正部109は、現在の入力点の直前に取得された前回の入力点の位置情報に基づいて、現在の入力点の位置情報を補正することができる。位置情報補正部109は、現在の入力点の位置情報が、前回の入力点の位置情報と等しくなるように、現在の入力点の位置情報を補正することができる。或いは、位置情報補正部109は、前回の入力点よりも、判定部107により判定された移動方向側に移動するように現在の入力点の位置情報を補正することができる。このとき位置情報補正部109は、入力点の移動履歴から、現在の入力点の位置を推定することにより現在の入力点の位置情報を補正してもよい。
【0055】
表示部111は、例えば表示装置と表示装置が表示する表示画面を生成する表示制御部とを含み、ユーザに表示画面を提供する機能を有する。表示部111は、位置情報補正部109により補正された位置情報に基づいた画面を表示することができる。
【0056】
以上、本実施形態に係る位置情報補正装置100bの機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置がこれらの機能を実現する処理手順を記述した制御プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体から制御プログラムを読出し、そのプログラムを解釈して実行することにより行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0057】
なお、上述のような本実施形態に係る位置情報補正装置100bの各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作成し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0058】
(3.2.位置情報補正装置100bの動作例)
以上説明された構成により実現される位置情報補正装置100bの動作例について、次に図10を参照しながら説明する。図10は、同実施形態に係る位置情報補正方法の一例を示すフローチャートである。
【0059】
まず、入力点取得部101が、入力点を検出して位置情報を取得する(S201)。そして、方向検出部103が、前回の入力点の位置情報と比較することによって、移動方向を検出する(S203)。そして方向検出部103は、入力点の位置情報と検出した移動方向とを入力点情報に記録する(S205)。
【0060】
そして次に、参照領域設定部106は、過去の入力点のうち、移動方向の判定に用いる入力点の範囲を定める参照領域を設定する(S206)。このとき参照領域設定部106は、現在の入力点を基準として参照領域の位置を設定する。そして参照領域設定部106は、デバイス特性に応じた所定の基準サイズの参照領域を設定してもよい。また、参照領域設定部106は、上記基準サイズを基準として、現在の入力点の位置に応じて参照領域のサイズを調整してもよい。このとき、入力点の位置がタッチセンサのグリッド境界に近いほど参照領域が大きくなるようにすることが好ましい。
【0061】
そして次に、判定部107は、設定された参照領域内に含まれる過去の入力点の移動方向の多数決を取ることにより、操作体1の移動方向を判定する(S207)。このとき判定部107は、設定された参照領域内に含まれる過去の入力点が存在しない場合には、方向検出部103により検出された移動方向を操作体1の移動方向であると判定してもよい。現在の入力点について、方向検出部103による移動方向の検出と判定部107による移動方向の判定とが終わると、次に位置情報補正部109が方向検出部103の検出した移動方向と判定部107の判定した移動方向とが異なるか否かを判断する(S209)。
【0062】
ステップS209の判断において、方向検出部103により検出された移動方向と判定部107により判定された移動方向とが異なる場合には、位置情報補正部109は、現在の入力点の位置情報を補正する(S211)。ここでは、位置情報補正部109は、現在の入力点の位置情報が前回の入力点の位置情報と等しくなるように現在の入力点の位置情報を補正する。一方、ステップS209の判断において、方向検出部103により検出された移動方向と判定部107により判定された移動方向とが同じ場合には、ステップS211は省略される。
【0063】
そして、入力点取得部101は、次の入力点が検出されたか否かを判断し(S213)、次の入力点が検出された場合にはステップS201に戻る。一方、次の入力点が検出されなかった場合には、処理は終了される。
【0064】
(3.3.効果の例)
本実施形態に係る位置情報補正装置100bは、第1の実施形態に係る位置情報補正装置100aの構成に加えて、過去の入力点のうち、移動方向の判定に用いる範囲を参照領域内に含まれる入力点に限定する構成を有する。このとき参照領域は現在の入力点を基準として設定される。このため、判定部107が判定に用いる過去の入力点は、現在の入力点の近傍に限定される。かかる構成により、移動方向に変化が変化したときの誤検出を低減することができる。
【0065】
<4.第3の実施形態>
(4.1.位置情報補正装置100cの構成例)
上記第1及び第2の実施形態においては、過去の入力点の移動方向に基づいて、操作体1の移動方向が判定された。第3の実施形態に係る位置情報補正装置100cは、さらに過去の入力点の移動量に基づいて、現在の入力点の移動量を推定する。
【0066】
かかる機能を有する位置情報補正装置100cの構成について、図11を参照しながら説明する。図11は、本開示の第3の実施形態に係る位置情報補正装置100cの機能ブロック図である。
【0067】
位置情報補正装置100cは、入力点取得部101と、方向取得部103と、記憶部105と、参照領域設定部106と、判定部107と、移動量決定部108と、位置情報補正部109と、表示部111とを主に有する。すなわち、位置情報補正装置100cは、第2の実施形態に係る位置情報補正装置100bの構成に移動量決定部108の機能を加えた構成を有する。
【0068】
入力点取得部101は、操作体1により指定される入力点の位置情報(例えば座標値)を取得する機能を有する。ここで操作体1は、例えばポインティングデバイス又はポインティングデバイスを操作するもの(例えばタッチセンサを操作する指)である。入力点取得部101は、取得した位置情報を方向検出部103に供給することができる。
【0069】
方向検出部103は、検出された入力点毎に、入力点取得部101により取得された位置情報の変位に基づいて操作体1の移動方向を検出する機能を有する。方向検出部103は、現時点で入力点取得部101により取得された現在の入力点の位置情報と、現在の入力点の直前に検出された前回の入力点の位置情報との変化の方向を操作体1の移動方向として検出することができる。方向検出部103は、検出した移動方向を、対応する入力点の位置情報と共に記憶部105に記憶することができる。
【0070】
記憶部105は、データを記憶する機能を有する。記憶部105は、例えば、フラッシュメモリ、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリや、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録媒体であってよい。本実施形態においては、記憶部105は、入力点取得部101により取得された入力点の位置情報の履歴である入力点情報を記憶することができる。また記憶部105は、判定部107が移動方向を判定する際に用いる過去の入力点の参照範囲を決めるための参照領域についての情報である参照領域情報を記憶することができる。
【0071】
参照領域設定部106は、現在の入力点を含む参照領域を設定する機能を有する。この参照領域設定部106は、タッチセンサのデバイス特性に応じたサイズの参照領域を設定してもよい。具体的には、参照領域設定部106は、参照領域情報中に予め記述された参照領域の基準サイズに基づいて参照領域のサイズを決定してもよい。この基準サイズは、タッチセンサの解像度に応じて解像度が低いほど大きい値であることが好ましい。さらに、参照領域情報には、タッチセンサ中の位置と対応づけられた参照領域のサイズの情報が含まれていてもよい。この場合、参照領域設定部106は、参照領域情報に基づき、検出された入力点の位置に応じたサイズの参照領域を設定することができる。このとき参照領域のサイズは、ノイズの含まれやすい位置、例えばタッチセンサのグリッドに近い位置ほど大きくされることが好ましい。
【0072】
判定部107は、参照領域内に含まれる過去の入力点について、方向検出部103により検出された移動方向の多数決をとる。そして判定部107は、この多数決により最も多い方向を、現時点で検出された現在の入力点についての操作体1の移動方向と判定することができる。また、判定部107は、設定された参照領域内に含まれる過去の入力点が存在しない場合には、方向検出部103により検出された移動方向を操作体1の移動方向であると判定してもよい。
【0073】
移動量決定部108は、過去の入力点の移動量に基づいて、現在の入力点の移動量を決定する機能を有する。このとき、移動量決定部108は、過去の入力点の移動量について多数決を取ることにより現在の入力点の移動量を決定してもよい。このとき、移動量決定部108は、近似された移動量の値を用いて多数決をとることができ、この近似の幅を移動量のばらつきの度合いに応じて変更してもよい。また、移動量決定部108は、操作体1が等速運動をしていて、各点における誤差を正規分布とすることを前提として、現在の移動量の確率分布を考えることにより現在の入力点の移動量を決定してもよい。この移動量決定の詳細については、後述される。
【0074】
位置情報補正部109は、方向検出部103により検出された移動方向と判定部107により判定された移動方向とが異なる場合に、現在の入力点の位置情報を補正する機能を有する。このとき位置情報補正部109は、現在の入力点の直前に取得された前回の入力点の位置情報に基づいて、現在の入力点の位置情報を補正することができる。位置情報補正部109は、現在の入力点の位置情報が、前回の入力点の位置情報と等しくなるように、現在の入力点の位置情報を補正することができる。或いは、位置情報補正部109は、前回の入力点よりも、判定部107により判定された移動方向側に移動するように現在の入力点の位置情報を補正することができる。このとき位置情報補正部109は、入力点の移動履歴から、現在の入力点の位置を推定することにより現在の入力点の位置情報を補正してもよい。
【0075】
位置情報補正部109は、さらに移動量決定部108により決定された移動量を用いて、現在の入力点の位置情報を補正する機能を有する。位置情報補正部109は、全ての入力点について、移動量決定部108により決定された移動量を用いて位置情報を補正してもよい。或いは、位置情報補正部109は、方向検出部103により検出された移動方向と判定部107により判定された移動方向とが異なる場合に、移動量決定部108により決定された移動量を用いて位置情報を補正してもよい。
【0076】
表示部111は、例えば表示装置と表示装置が表示する表示画面を生成する表示制御部とを含み、ユーザに表示画面を提供する機能を有する。表示部111は、位置情報補正部109により補正された位置情報に基づいた画面を表示することができる。
【0077】
以上、本実施形態に係る位置情報補正装置100cの機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置がこれらの機能を実現する処理手順を記述した制御プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体から制御プログラムを読出し、そのプログラムを解釈して実行することにより行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0078】
なお、上述のような本実施形態に係る位置情報補正装置100cの各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作成し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0079】
(4.2.位置情報補正装置100cの動作例)
以上説明された構成により実現される位置情報補正装置100cの動作例について、次に図12を参照しながら説明する。図12は、同実施形態に係る位置情報補正方法の一例を示すフローチャートである。
【0080】
まず、入力点取得部101が、入力点を検出して位置情報を取得する(S301)。そして、方向検出部103が、前回の入力点の位置情報と比較することによって、移動方向を検出する(S303)。そして方向検出部103は、入力点の位置情報と検出した移動方向とを入力点情報に記録する(S305)。
【0081】
そして次に、参照領域設定部106は、過去の入力点のうち、移動方向の判定に用いる入力点の範囲を定める参照領域を設定する(S306)。このとき参照領域設定部106は、現在の入力点を基準として参照領域の位置を設定する。そして参照領域設定部106は、デバイス特性に応じた所定の基準サイズの参照領域を設定してもよい。また、参照領域設定部106は、上記基準サイズを基準として、現在の入力点の位置に応じて参照領域のサイズを調整してもよい。このとき、入力点の位置がタッチセンサのグリッド境界に近いほど参照領域が大きくなるようにすることが好ましい。
【0082】
そして次に、判定部107は、設定された参照領域内に含まれる過去の入力点の移動方向の多数決を取ることにより、操作体1の移動方向を判定する(S307)。このとき判定部107は、設定された参照領域内に含まれる過去の入力点が存在しない場合には、方向検出部103により検出された移動方向を操作体1の移動方向であると判定してもよい。現在の入力点について、方向検出部103による移動方向の検出と判定部107による移動方向の判定とが終わると、次に位置情報補正部109が方向検出部103の検出した移動方向と判定部107の判定した移動方向とが異なるか否かを判断する(S309)。
【0083】
ステップS309の判断において、方向検出部103により検出された移動方向と判定部107により判定された移動方向とが異なる場合には、移動量決定部108は、過去の入力点の移動量に基づいて、現在の入力点の移動量を決定する(S310)。
【0084】
そして位置情報補正部109は、現在の入力点の位置情報を補正する(S311)。ここで、位置情報補正部109は、移動量決定部108により決定された移動量を用いて、現在の入力点の位置情報を補正する。一方、ステップS309の判断において、方向検出部103により検出された移動方向と判定部107により判定された移動方向とが同じ場合には、ステップS311は省略される。
【0085】
そして、入力点取得部101は、次の入力点が検出されたか否かを判断し(S313)、次の入力点が検出された場合にはステップS301に戻る。一方、次の入力点が検出されなかった場合には、処理は終了される。
【0086】
ここで、ステップS310の移動量決定処理の一例について、図13及び図14を参照しながら詳細に説明する。図13は、検出される入力点の座標と多数決により決定された移動量による補正後の入力点の座標の一例を示す説明図である。図14は、図13の例における多数決による移動量決定の一例を示す説明図である。
【0087】
検出された入力点が図13に示される座標値を有するとき、移動量決定部108は、過去の入力点(サンプリング数0〜9)の移動量を用いて現在の入力点P51(サンプリング数10)の移動量を決定する。このとき、移動量決定部108は、過去の入力点の移動量について多数決をとることにより、現在の入力点P51の移動量を決定することができる。この場合、図14に示されるように、頻度が最も高い移動量「2」を現在の入力点の移動量としてもよい。この場合、位置情報補正部109は、入力点P51を入力点P51cに示されるように補正することができる。
【0088】
また、ステップS310の移動量決定処理の他の一例について、図15及び図16を参照しながら説明する。図15は、検出される入力点の座標と多数決により決定された移動量による補正後の入力点の座標の他の一例を示す説明図である。図16は、図15の例における多数決による移動量決定の一例を示す説明図である。
【0089】
検出された入力点が図15に示される座標値を有するとき、移動量決定部108は、過去の入力点(サンプリング数0〜9)の移動量を用いて現在の入力点P53(サンプリング数10)の移動量を決定する。このとき、移動量決定部108は、過去の入力点の移動量のばらつき度合いに応じた刻み幅で移動量の多数決をとってもよい。移動量のばらつきがあるときには、刻み幅が細かすぎると移動量の傾向が表れない場合もあるが、適切な刻み幅を選択することにより全体の傾向が表れる場合がある。この場合、図16の上図に示されるように移動量1毎に多数決をとるよりも、移動量2毎に多数決を取るほうが移動量の傾向が明らかとなるため、移動量決定部108は、移動量「2」を現在の入力点の移動量とすることができる。
【0090】
また、ステップS310の移動量決定処理の他の一例について、図17〜図20を参照しながら説明する。図17は、検出される入力点の座標と確率分布により決定された移動量による補正後の入力点の座標の一例を示す説明図である。図18は、図17の例における多数決による移動量決定の一例を示す説明図である。図19は、図17の例における多数決による移動量決定の他の一例を示す説明図である。図20は、図17の例における確率分布による移動量決定の一例を示す説明図である。
【0091】
例えば操作体1が等速運動しており、移動量が2であり、各点が2のノイズを含む場合には、各入力点の座標値は図17に示されるように検出される場合がある。このとき、例えば過去の入力点の移動量の多数決を取る方法では、図18に示されるように移動量にばらつきがあるため移動量の傾向を掴むのが困難である。また、刻み幅を変えた場合であっても、図19に示すように正しい移動量の傾向を掴むことは困難である。
【0092】
そこで、移動量決定部108は、移動量の確率分布を用いて現在の入力点の移動量を決定してもよい。このとき移動量決定部108は、下記の数式(1)〜数式(3)を用いて現在の入力点の移動量の確率分布を算出し、この確率分布に基づいて最も確率分布の値が高い移動量を現在の入力点の移動量としてもよい。
【0093】
【数1】
【0094】
ここで、f(vj)は、vjとなる確率であり、Nsampleは、参照するサンプル数であり、xjは、j番目の座標であり、vjは、j番目の速度であり、σxjは、j番目の座標におけるノイズ量であり、σvjは、j番目の速度の誤差である。
【0095】
確率分布を算出すると、図20に示されるようになり、安定的に移動量を導くことができる。この場合には、移動量決定部108は、確率分布の値が最も高い移動量「2」を現在の入力点の移動量とすることができる。
【0096】
(4.3.効果の例)
かかる構成により、位置情報補正装置100cは、過去の入力点の移動量に基づいて現在の入力点の移動量を決定することができる。スクロール操作などで、ユーザが一定の方向に一定速度で操作体1を動かすことを意図している場合であっても、検出される入力点の位置情報にはノイズが含まれることが多いが、上記構成により、位置情報補正装置100cは、ユーザが意図する移動方向及び移動量の操作入力を機器操作に反映することができる。
【0097】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)操作体により指定される入力点の位置情報を取得する入力点取得部と、
前記入力点毎に、前記入力点取得部により取得された位置情報の変位に基づいて前記操作体の移動方向を検出する方向検出部と、
過去に前記入力点取得部により取得された過去の入力点について前記方向検出部により検出された移動方向の多数決をとることにより、現時点で前記入力点取得部により取得された現在の入力点について前記操作体の移動方向を判定する判定部と、
前記方向検出部により検出された移動方向と前記判定部により判定された移動方向とが異なるとき、前記現在の入力点の位置情報を補正する位置情報補正部と、
を備える、位置情報補正装置。
(2)前記現在の入力点を含む参照領域を設定する参照領域設定部、
をさらに備え、
前記判定部は、前記参照領域内に含まれる過去の入力点の移動方向に基づき、前記操作体の移動方向を判定する、前記(1)に記載の位置情報補正装置。
(3)前記入力点取得部は、タッチセンサに接触又は近接した前記操作体の位置情報を取得し、
前記参照領域設定部は、前記タッチセンサのデバイス特性に応じたサイズの前記参照領域を設定する、前記(2)に記載の位置情報補正装置。
(4)前記参照領域設定部は、前記タッチセンサの解像度に応じた所定サイズの前記参照領域を設定する、前記(2)または(3)に記載の位置情報補正装置。
(5)前記タッチセンサは、静電容量型のタッチセンサであり、
前記参照領域設定部は、前記タッチセンサのグリッド境界に近いほど参照領域のサイズを大きくする、前記(2)〜(4)のいずれかに記載の位置情報補正装置。
(6)前記位置情報補正部は、前記現在の入力点の直前に取得された入力点の位置情報に基づいて、前記現在の入力点の位置情報を補正する、前記(1)に記載の位置情報補正装置。
(7)前記位置情報補正部は、前記現在の入力点の位置情報が当該入力点の直前に取得された入力点の位置情報と等しくなるように前記位置情報を補正する、前記(6)に記載の位置情報補正装置。
(8)過去の入力点の移動量に基づいて、前記現在の入力点の移動量を決定する移動量決定部、をさらに備え、
前記位置情報補正部は、前記移動量決定部により決定された移動量を用いて、前記現在の入力点の位置情報を補正する、前記(1)に記載の位置情報補正装置。
(9)前記移動量決定部は、前記過去の入力点の移動量の多数決をとることにより、前記現在の入力点の移動量を決定する、前記(8)に記載の位置情報補正装置。
(10)前記移動量決定部は、前記過去の入力点の移動量のばらつき度合いに応じた刻み幅で前記過去の入力点の移動量の多数決をとることにより、前記現在の入力点の移動量を決定する、前記(9)に記載の位置情報補正装置。
(11)前記移動量決定部は、前記過去の入力点の移動量に基づいて、前記現在の入力点の移動量の確率分布を算出し、前記確率分布が最も高くなる移動量を前記現在の入力点の移動量とする、前記(8)に記載の位置情報補正装置。
(12)操作体により指定される入力点の位置情報を取得し、
前記入力点毎に、取得された前記位置情報の変位に基づいて前記操作体の移動方向を検出し、
過去に前記入力点取得部により取得された過去の入力点について前記検出された移動方向の多数決をとることにより、現時点で取得された現在の入力点について前記操作体の移動方向を判定し、
前記検出された移動方向と前記判定された移動方向とが異なるとき、前記現在の入力点の位置情報を補正する、位置情報補正方法。
(13)コンピュータを、
操作体により指定される入力点の位置情報を取得する入力点取得部と、
前記入力点毎に、前記入力点取得部により取得された位置情報の変位に基づいて前記操作体の移動方向を検出する方向検出部と、
過去に前記入力点取得部により取得された過去の入力点について前記方向検出部により検出された移動方向の多数決をとることにより、現時点で前記入力点取得部により取得された現在の入力点について前記操作体の移動方向を判定する判定部と、
前記方向検出部により検出された移動方向と前記判定部により判定された移動方向とが異なるとき、前記現在の入力点の位置情報を補正する位置情報補正部と、
を備える、位置情報補正装置として機能させるためのプログラム。
【0098】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本技術はかかる例に限定されない。本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0099】
例えば、上記実施形態では、ポインティングデバイスとしてタッチセンサを例に挙げたが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、マウスや、各種センサを用いたポインティングデバイス全般に適用することができる。
【0100】
尚、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0101】
100 位置情報補正装置
101 入力点取得部
103 方向検出部
105 記憶部
106 参照領域設定部
107 判定部
108 移動量決定部
109 位置情報補正部
111 表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作体により指定される入力点の位置情報を取得する入力点取得部と、
前記入力点毎に、前記入力点取得部により取得された位置情報の変位に基づいて前記操作体の移動方向を検出する方向検出部と、
過去に前記入力点取得部により取得された過去の入力点について前記方向検出部により検出された移動方向の多数決をとることにより、現時点で前記入力点取得部により取得された現在の入力点について前記操作体の移動方向を判定する判定部と、
前記方向検出部により検出された移動方向と前記判定部により判定された移動方向とが異なるとき、前記現在の入力点の位置情報を補正する位置情報補正部と、
を備える、位置情報補正装置。
【請求項2】
前記現在の入力点を含む参照領域を設定する参照領域設定部、
をさらに備え、
前記判定部は、前記参照領域内に含まれる過去の入力点の移動方向に基づき、前記操作体の移動方向を判定する、請求項1に記載の位置情報補正装置。
【請求項3】
前記入力点取得部は、タッチセンサに接触又は近接した前記操作体の位置情報を取得し、
前記参照領域設定部は、前記タッチセンサのデバイス特性に応じたサイズの前記参照領域を設定する、請求項2に記載の位置情報補正装置。
【請求項4】
前記参照領域設定部は、前記タッチセンサの解像度に応じた所定サイズの前記参照領域を設定する、請求項2に記載の位置情報補正装置。
【請求項5】
前記タッチセンサは、静電容量型のタッチセンサであり、
前記参照領域設定部は、前記タッチセンサのグリッド境界に近いほど参照領域のサイズを大きくする、請求項2に記載の位置情報補正装置。
【請求項6】
前記位置情報補正部は、前記現在の入力点の直前に取得された入力点の位置情報に基づいて、前記現在の入力点の位置情報を補正する、請求項1に記載の位置情報補正装置。
【請求項7】
前記位置情報補正部は、前記現在の入力点の位置情報が当該入力点の直前に取得された入力点の位置情報と等しくなるように前記位置情報を補正する、請求項6に記載の位置情報補正装置。
【請求項8】
過去の入力点の移動量に基づいて、前記現在の入力点の移動量を決定する移動量決定部、をさらに備え、
前記位置情報補正部は、前記移動量決定部により決定された移動量を用いて、前記現在の入力点の位置情報を補正する、請求項1に記載の位置情報補正装置。
【請求項9】
前記移動量決定部は、前記過去の入力点の移動量の多数決をとることにより、前記現在の入力点の移動量を決定する、請求項8に記載の位置情報補正装置。
【請求項10】
前記移動量決定部は、前記過去の入力点の移動量のばらつき度合いに応じた刻み幅で前記過去の入力点の移動量の多数決をとることにより、前記現在の入力点の移動量を決定する、請求項9に記載の位置情報補正装置。
【請求項11】
前記移動量決定部は、前記過去の入力点の移動量に基づいて、前記現在の入力点の移動量の確率分布を算出し、前記確率分布が最も高くなる移動量を前記現在の入力点の移動量とする、請求項8に記載の位置情報補正装置。
【請求項12】
操作体により指定される入力点の位置情報を取得し、
前記入力点毎に、取得された前記位置情報の変位に基づいて前記操作体の移動方向を検出し、
過去に前記入力点取得部により取得された過去の入力点について前記検出された移動方向の多数決をとることにより、現時点で取得された現在の入力点について前記操作体の移動方向を判定し、
前記検出された移動方向と前記判定された移動方向とが異なるとき、前記現在の入力点の位置情報を補正する、位置情報補正方法。
【請求項13】
コンピュータを、
操作体により指定される入力点の位置情報を取得する入力点取得部と、
前記入力点毎に、前記入力点取得部により取得された位置情報の変位に基づいて前記操作体の移動方向を検出する方向検出部と、
過去に前記入力点取得部により取得された過去の入力点について前記方向検出部により検出された移動方向の多数決をとることにより、現時点で前記入力点取得部により取得された現在の入力点について前記操作体の移動方向を判定する判定部と、
前記方向検出部により検出された移動方向と前記判定部により判定された移動方向とが異なるとき、前記現在の入力点の位置情報を補正する位置情報補正部と、
を備える、位置情報補正装置として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
操作体により指定される入力点の位置情報を取得する入力点取得部と、
前記入力点毎に、前記入力点取得部により取得された位置情報の変位に基づいて前記操作体の移動方向を検出する方向検出部と、
過去に前記入力点取得部により取得された過去の入力点について前記方向検出部により検出された移動方向の多数決をとることにより、現時点で前記入力点取得部により取得された現在の入力点について前記操作体の移動方向を判定する判定部と、
前記方向検出部により検出された移動方向と前記判定部により判定された移動方向とが異なるとき、前記現在の入力点の位置情報を補正する位置情報補正部と、
を備える、位置情報補正装置。
【請求項2】
前記現在の入力点を含む参照領域を設定する参照領域設定部、
をさらに備え、
前記判定部は、前記参照領域内に含まれる過去の入力点の移動方向に基づき、前記操作体の移動方向を判定する、請求項1に記載の位置情報補正装置。
【請求項3】
前記入力点取得部は、タッチセンサに接触又は近接した前記操作体の位置情報を取得し、
前記参照領域設定部は、前記タッチセンサのデバイス特性に応じたサイズの前記参照領域を設定する、請求項2に記載の位置情報補正装置。
【請求項4】
前記参照領域設定部は、前記タッチセンサの解像度に応じた所定サイズの前記参照領域を設定する、請求項2に記載の位置情報補正装置。
【請求項5】
前記タッチセンサは、静電容量型のタッチセンサであり、
前記参照領域設定部は、前記タッチセンサのグリッド境界に近いほど参照領域のサイズを大きくする、請求項2に記載の位置情報補正装置。
【請求項6】
前記位置情報補正部は、前記現在の入力点の直前に取得された入力点の位置情報に基づいて、前記現在の入力点の位置情報を補正する、請求項1に記載の位置情報補正装置。
【請求項7】
前記位置情報補正部は、前記現在の入力点の位置情報が当該入力点の直前に取得された入力点の位置情報と等しくなるように前記位置情報を補正する、請求項6に記載の位置情報補正装置。
【請求項8】
過去の入力点の移動量に基づいて、前記現在の入力点の移動量を決定する移動量決定部、をさらに備え、
前記位置情報補正部は、前記移動量決定部により決定された移動量を用いて、前記現在の入力点の位置情報を補正する、請求項1に記載の位置情報補正装置。
【請求項9】
前記移動量決定部は、前記過去の入力点の移動量の多数決をとることにより、前記現在の入力点の移動量を決定する、請求項8に記載の位置情報補正装置。
【請求項10】
前記移動量決定部は、前記過去の入力点の移動量のばらつき度合いに応じた刻み幅で前記過去の入力点の移動量の多数決をとることにより、前記現在の入力点の移動量を決定する、請求項9に記載の位置情報補正装置。
【請求項11】
前記移動量決定部は、前記過去の入力点の移動量に基づいて、前記現在の入力点の移動量の確率分布を算出し、前記確率分布が最も高くなる移動量を前記現在の入力点の移動量とする、請求項8に記載の位置情報補正装置。
【請求項12】
操作体により指定される入力点の位置情報を取得し、
前記入力点毎に、取得された前記位置情報の変位に基づいて前記操作体の移動方向を検出し、
過去に前記入力点取得部により取得された過去の入力点について前記検出された移動方向の多数決をとることにより、現時点で取得された現在の入力点について前記操作体の移動方向を判定し、
前記検出された移動方向と前記判定された移動方向とが異なるとき、前記現在の入力点の位置情報を補正する、位置情報補正方法。
【請求項13】
コンピュータを、
操作体により指定される入力点の位置情報を取得する入力点取得部と、
前記入力点毎に、前記入力点取得部により取得された位置情報の変位に基づいて前記操作体の移動方向を検出する方向検出部と、
過去に前記入力点取得部により取得された過去の入力点について前記方向検出部により検出された移動方向の多数決をとることにより、現時点で前記入力点取得部により取得された現在の入力点について前記操作体の移動方向を判定する判定部と、
前記方向検出部により検出された移動方向と前記判定部により判定された移動方向とが異なるとき、前記現在の入力点の位置情報を補正する位置情報補正部と、
を備える、位置情報補正装置として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−198596(P2012−198596A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60590(P2011−60590)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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