説明

体内情報取得装置および体内情報取得方法

【課題】複数の機能実行部31、32を独立して駆動制御可能なカプセル型内視鏡20を提供する。
【解決手段】カプセル型内視鏡20は、被検体の体内において生体情報を取得するための複数の機能実行部31、32と、複数の機能実行部31、32に電力を供給する電池26と、電池26から、それぞれの機能実行部31、32への電力供給を独立して制御する複数のスイッチMS1、MS2を有する切替部23と、被検体の外部からの制御信号を受信する磁界検知部21と、磁界検知部21が前記制御信号を受信した回数に応じて、切替部23を制御する電力制御部22と、を具備する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の体内において生体情報を取得する体内情報取得装置および体内情報取得方法に関し、特に被検体の外部からの制御信号により、複数の機能実行部への電力供給制御を行う体内情報取得装置および体内情報取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡の分野においてはカプセル型内視鏡が登場している。カプセル型内視鏡は被検者の口から飲み込まれることで体内に導入され、自然排出されるまでの間、胃および小腸などの臓器の内部を蠕動運動に従って移動しながら体内の画像を撮像する。カプセル型内視鏡は画像を撮像する撮像部に加えて、画像データを無線送信する送信ユニットを有する。そして、撮像部が撮像した画像データは、順次、送信ユニットにより送信され、被検者の体外の受信機内に設けられたメモリに蓄積される。観察後は、医者によって、受信機のメモリに蓄積された画像データに基づいて体腔内の画像がモニタに表示され、診断が行われる。
【0003】
ここで、カプセル型内視鏡は、筐体に内蔵した電池等から駆動電力を得るが、生体内に導入された後は、駆動状態を制御することができない。
【0004】
この問題の解決方法として、出願人は特開2005−237460号公報において、直列接続した2つのスイッチにより電源供給を制御する制御部を有するカプセル型内視鏡を開示している。このカプセル型内視鏡は、撮像部の駆動のみ、または、撮像部および送信ユニットの同時駆動のいずれかの動作を、外部からの制御信号により、制御可能である。
【0005】
しかし、このカプセル型内視鏡では送信ユニットだけの駆動はできなかった。言い換えれば、制御部は、複数の機能実行部を、それぞれ独立して駆動制御することはできなかった。
【0006】
また、細長い筐体の前方および後方に、それぞれ撮像部を有し両方向を撮像するカプセル型内視鏡、または、pHセンサもしくは温度センサ等の各種センサを有するカプセル型内視鏡の場合には、複数の機能部を個別に、言い換えれば独立して駆動制御することが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−237460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、複数の機能実行部を独立して駆動制御可能な体内情報取得装置および体内情報取得方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の体内情報取得装置は、被検体の体内において生体情報を取得するための複数の機能実行部と、前記複数の機能実行部に電力を供給する電源と、前記電源から、それぞれの前記複数の機能実行部への電力供給を独立して制御する複数のスイッチを有する切替部と、前記被検体の外部からの制御信号を受信する信号受信部と、前記信号受信部が前記制御信号を受信した回数に応じて、前記切替部を制御する電力制御部と、を具備する。
【0010】
また、本発明の別の一態様の体内情報取得方法は、被検体の体内の情報を取得するための複数の機能実行部を有する体内情報取得装置を、前記被検体の体内に導入する導入工程と、前記被検体の体外から送信された制御信号の受信回数に応じて、前記複数の機能実行部への電力供給を独立して制御する電力供給制御工程と、を具備する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の機能実行部を独立して駆動制御可能な体内情報取得装置および体内情報取得方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態のカプセル型内視鏡を有する内視鏡システムの構成を示す構成図である。
【図2】第1実施形態のカプセル型内視鏡の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】公知のカプセル型内視鏡の電力供給系の模式図である。
【図4】第1実施形態のカプセル型内視鏡の電力供給系の模式図である。
【図5】第2実施形態のカプセル型内視鏡を有する内視鏡システムの構成を示す構成図である。
【図6】第2実施形態のカプセル型内視鏡の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】第3実施形態のカプセル型内視鏡を有する内視鏡システムの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態の体内情報取得装置であるカプセル型内視鏡20および体内情報取得方法について説明する。図1に示すように、カプセル型内視鏡20と、体内に導入されたカプセル型内視鏡20の動作を体外から制御する磁界発生装置10とは、体内観察システムである内視鏡システム1を構成している。磁界発生装置10は、制御信号である直流磁界パルスを発生する磁界発生部11を有する。
【0014】
カプセル型内視鏡20は、機能実行ユニット25と、電池26と、信号受信部である磁界検知部21と、切替部23と、電力制御部(以下「制御部」ともいう)22と、を有する。機能実行ユニット(FES)25は、複数の機能実行部(第1の機能実行部31、第2の機能実行部32)と、を有し、被検体の体内の画像を撮像し撮像画像を外部に無線送信する。
【0015】
電池26は機能実行ユニット25に駆動電力を供給する電源である。信号受信部である磁界検知部21は、磁界発生装置10から入力される制御信号である直流磁界信号を検知し、検知した磁界に応じた内部信号を出力する。
【0016】
切替部23は、複数のスイッチ(第1のスイッチ33と第2のスイッチ34)を有する。第1のスイッチ33は、電池26から第1の機能実行部31への電力供給を制御する電力スイッチMS1であり、第2のスイッチ34は、電池26から第2の機能実行部32への電力供給を制御する電力スイッチMS2である。第1のスイッチ33および第2のスイッチ34は、例えば、P−MOSトランジスタであり、ソースは電池26に、ドレインはカプセル型内視鏡20の主機能部である機能実行ユニット25に、ゲートは制御部22に接続されている。
【0017】
電力制御部22は磁界検知部21から入力される内部信号、すなわち、磁界検知部21が制御信号を受信した回数に応じて、切替部23をトグル的に制御する。
【0018】
信号受信部である磁界検知部21は、リードスイッチ(S1)27と抵抗(R1)28とを有する。リードスイッチ27は2本の強磁性体リードが一端に隙間を持って相対しガラス管の中に封入されている。リードスイッチ27は外部から所定閾値以上の磁界が印加されると、各リードにN極またはS極が誘導され、この磁気吸引力により2本のリードが短絡状態となる。そして磁界が閾値未満になると、リードの弾性により、リードスイッチ27は開放状態となる。抵抗28は、リードスイッチ27開放時に制御部22への入力電圧をLowレベルにするためのプルダウン抵抗である。
【0019】
磁界検知部21は磁界を検知していないときはリードスイッチ27が開放状態のため、ノードN1に接地電圧(L)レベルの信号を出力する。そして磁界検知部21は磁界を検知するとリードスイッチ27が短絡状態となるため、ノードN1に電池26からの電源電圧(H)レベルの信号を出力する。以下、ノードN1に出力される信号を、内部信号と呼ぶ。磁界発生部11が発生する直流磁界はパルス信号であるために、内部信号は、電源電圧レベル/接地電圧レベルのパルス信号である。
【0020】
制御部22は、入力端子(CK端子)に内部信号が入力される、2つのD型フリップフロップ回路29、30を有する。第1のフリップフロップ回路(以下「FF1」ともいう)29の出力(Q端子)は、第1のスイッチ(MS1)33のゲートに入力されており、第2のフリップフロップ回路(以下「FF2」ともいう)30の出力(Q端子)は、第2のスイッチ(MS2)34のゲートに入力されている。すなわち、複数のスイッチ33、34のそれぞれは、複数の機能実行部31、32のそれぞれと電池26との間に並列に配設されている。
【0021】
2つのD型フリップフロップ回路29、30を有する電力制御部22は、第1の機能実行部31と、第2の機能実行部32と、を4つの状態に制御可能である。すなわち、(状態A)第1の機能実行部OFF/第2の機能実行部OFFと、(状態B)第1の機能実行部ON/第2の機能実行部OFFと、(状態C)第1の機能実行部OFF/第2の機能実行部ONと、(状態D)第1の機能実行部ON/第2の機能実行部ONと、の4つの状態である。言い換えれば、切替部23は機能実行部31、32への電力供給を独立して制御する。
【0022】
第1の機能実行部31は、被検体の体内を撮影するときに撮像領域を照射する照明部31Aと体内を撮像する撮像部31Bとを有する。第2の機能実行部32は撮像信号を体外へ無線送信する送信部32Aを有する。
【0023】
次に。図2のタイミングチャートに沿って、カプセル型内視鏡20の動作を説明する。なお、FF1(29)およびFF2(30)は、立ち上がりエッジ動作として説明する。
【0024】
<T0〜T1> 状態A:導入工程
カプセル型内視鏡20が被検者による嚥下により体内に導入される。このとき、リードスイッチ(S1)27はOpen(OFF)状態であるため、ノードN1は接地電圧レベル(L)であり、FF1(29)およびFF2(30)のQ出力は、Hレベルであり、MS1(33)およびMS2(34)のソース/ドレイン間には電流が流れない。このため、第1の機能実行部(FES1)31および第2の機能実行部(FES2)32は、OFF状態に制御されている。
【0025】
<T1〜T2> 状態B
磁界発生装置10の磁界発生部11が発生した直流磁界が、カプセル型内視鏡20のリードスイッチ27に印加されると、リードスイッチ27はON(短絡)状態となり、リードスイッチ27がONしている期間のみ、ノードN1は電源電圧レベルのHレベルとなる。ノードN1がHレベルになると、FF1(29)のQ出力はHレベルからLレベルに反転し、MS1(33)がONとなり、第1の機能実行部31は電池26からの電力が供給されるためにON(稼働)状態となる。
【0026】
このとき、FF2(30)のCK端子はHレベルからLレベルに反転するが、Q出力はHレベルを維持するため、第2の機能実行部(FES2)32はOFF(停止)状態のままである。すなわち、状態Bでは、第1の機能実行部31はON状態、第2の機能実行部31はOFF状態である。
【0027】
<T2〜T3> 状態C
2回目の磁界パルスがリードスイッチ27に印加されると、再度、リードスイッチ27はON状態となる。そして、FF1(29)のQ出力はLレベルからHレベルに反転し、第1の機能実行部31はOFF状態となる。一方、FF2(30)のCK端子はLレベルからHレベルに反転し、Q出力はHレベルからLレベルに反転するため、第2の機能実行部(FES2)32はON状態となる。すなわち、状態Cでは、第1の機能実行部31はOFF状態、第2の機能実行部31はON状態である。
【0028】
<T3〜T4> 状態D
3回目の磁界パルスがリードスイッチ27に印加されると、リードスイッチ27は、またON状態となる。このとき、FF1(29)のQ出力はHレベルからLレベルに反転するため、第1の機能実行部(FES2)31はON状態のままである。一方、FF2(30)Q出力はLレベルを維持するため、第2の機能実行部(FES2)32はON状態のままである。すなわち、状態Dでは、第1の機能実行部31および第2の機能実行部31が、ON状態である。
【0029】
<T4〜> 状態A
4回目の磁界パルスがリードスイッチ27に印加されると、リードスイッチ27はON状態となる。そして、FF1(29)のQ出力はLレベルからHレベルに反転し、第1の機能実行部31はOFF状態となる。一方、FF2(30)のCK端子はHレベルからLレベルに反転し、Q出力はLレベルからHレベルに反転するため、第2の機能実行部(FES2)32はOFF状態となる。すなわち、第1の機能実行部31および第2の機能実行部(FES2)32がOFF状態の状態Aに戻る。
【0030】
カプセル型内視鏡20では、磁界の印加回数に応じて、第1の機能実行部31と第2の機能実行部32とが、それぞれ単独に動作または同時に動作する状態に制御することができる。言い換えれば、カプセル型内視鏡20は切替部23の状態により、複数の機能実行部31、32を独立して駆動制御可能である。
【0031】
次に、図3および図4を用いて、本実施形態のカプセル型内視鏡20における電力消費量を、公知のカプセル型内視鏡と比較する。図3は、公知のカプセル型内視鏡の電力供給系の模式図であり、図4は本実施形態のカプセル型内視鏡20の電力供給系の模式図である。
【0032】
すでに説明したように切替部23のスイッチMS1(33)およびスイッチMS2(34)は、例えば、P−MOSトランジスタである。ソース/ドレイン間は、導通状態となっても所定の抵抗値RONを有する抵抗体である。
【0033】
このため、図3に示す公知のカプセル型内視鏡では、第2の機能実行ユニット25に流れる電流は、電池26からスイッチMS1(33)およびスイッチMS2(34)を経由する。すなわち、2つの抵抗による電力消費が発生する。
【0034】
これに対して、図4に示すカプセル型内視鏡20では、第2の機能実行ユニット25に流れる電流は、電池26からスイッチMS2(34)だけを経由する。すなわち、1つの抵抗による電力消費しか発生しない。
【0035】
このため、カプセル型内視鏡20は、電力消費量が公知のカプセル型内視鏡よりも少なく、長時間動作が可能である。
【0036】
以上の説明のように、本実施形態のカプセル型内視鏡20および体内情報取得方法は、複数の機能実行部31、32への電力供給を独立して制御するため、多様な状況に対応することが可能である。さらにカプセル型内視鏡20および体内情報取得方法は、スイッチ導通時の抵抗による電力消費が少ないため、電池容量を増やすことなく長時間動作が可能である。
【0037】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態の体内情報取得装置であるカプセル型内視鏡20Aおよび体内情報取得方法について説明する。本実施形態のカプセル型内視鏡20Aおよび体内情報取得方法は、第1実施の形態のカプセル型内視鏡20および体内情報取得方法と類似しているため、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0038】
第1実施形態の体内観察システムである内視鏡システム1では外部信号として直流磁界を用いたが、本実施形態の内視鏡システム1Aは、外部信号として交流磁界を用いる。すなわち、図5に示すように、内視鏡システム1Aは、交流磁界を発生する交流磁界発生部11Aを有する交流磁界発生装置10Aと、交流磁界検知部21Aを有するカプセル型内視鏡20Aと、を具備する。
【0039】
内視鏡システム1Aのカプセル型内視鏡20Aの交流磁界検知部21Aは、交流磁界発生装置10Aからの制御信号である交流磁界信号を受信する受電部45と検波部43とを有する。受電部45が受信した交流磁界信号は、検波部43において直流信号に変換され電力制御部22に送信される。受電部45は、受電コイル45Aとコンデンサ45Bとを有する。受電コイル45Aとコンデンサ45Bとは、印加される交流磁界の周波数に共振する共振回路を構成している。検波部43は受電部45が受信した交流信号を整流するダイオード48と、これを平滑する平滑用コンデンサ47と、平滑用コンデンサ47に充電された電荷を放電する抵抗44とを有する。すなわち、検波部43は交流信号を整流/平滑処理し、制御部22に対し交流磁界の印加に応じた信号を伝達する。
【0040】
図6に示すように交流磁界発生期間のみノードN2にはHレベル信号が出力され、Hレベル信号が電力制御部22へ伝達される。その後の動作については第1の実施の形態と同様である。
【0041】
カプセル型内視鏡20Aは受信した交流磁界を電磁変換し直流電圧の信号を得るために、交流磁界検知部21Aが磁界を検知するための電源は不要である。
【0042】
以上の説明のように、本実施形態のカプセル型内視鏡20Aは第1実施形態のカプセル型内視鏡20と同様の効果を有する。さらに、カプセル型内視鏡20Aは外部信号として交流磁界を用いるため、直流磁界をリードスイッチ27で検知するカプセル型内視鏡20よりも小型化および省電力化が可能である。すなわち、交流磁界検知部21Aはリードスイッチ27よりも高感度、すなわち微弱な磁界を検知できるためである。さらに交流磁界検知部21Aは、磁界を検知するための電力が不要であるため、カプセル型内視鏡20Aは、カプセル型内視鏡20よりも長時間動作が可能である。
【0043】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態の体内情報取得装置であるカプセル型内視鏡20Bおよび体内情報取得方法について説明する。本実施形態のカプセル型内視鏡20Bおよび体内情報取得方法は、第1実施の形態のカプセル型内視鏡20および体内情報取得方法と類似しているため、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0044】
図7に示すように、内視鏡システム1Bのカプセル型内視鏡20Bの機能実行ユニット25Bは第1の機能実行部31および第2の機能実行部32だけでなく、第3の機能実行部36〜第nの機能実行部25nを有し、する。ここで、nは3以上、好ましくは4以上である。nの上限はカプセル型内視鏡の仕様により決定されるが、たとえば10である。
【0045】
そして電力制御部22Bは、n個(n≧3)のD型フリップフロップ回路を有し、切替部23Bは、それぞれの機能実行部31〜25nへの電力供給を制御するn個の電力スイッチMS1(33)〜MSn(23n)を有する。
【0046】
例えば、3個のD型フリップフロップ回路を有する電力制御部22Bは、8(2)個の状態に切替部23Bを制御可能である。すなわち(1)第1の機能実行部OFF/第2の機能実行部OFF/第3の機能実行部OFFと、(2)第1の機能実行部ON/第2の機能実行部OFF/第3の機能実行部OFFと、(3)第1の機能実行部OFF/第2の機能実行部ON/第3の機能実行部OFFと、(4)第1の機能実行部OFF/第2の機能実行部OFF/第3の機能実行部ONと、(5)第1の機能実行部ON/第2の機能実行部ON/第3の機能実行部OFFと、(6)第1の機能実行部ON/第2の機能実行部OFF/第3の機能実行部ONと、(7)第1の機能実行部OFF/第2の機能実行部ON/第3の機能実行部ONと、(8)第1の機能実行部ON/第2の機能実行部ON/第3の機能実行部ONと、の状態に切替部23Bは制御可能である。
【0047】
すなわち、n個のD型フリップフロップ回路を有する電力制御部は、(2)個の状態に複数の電力スイッチ(機能実行部)を制御可能である。
【0048】
例えば、第1の機能実行部31は、体内においてカプセル型内視鏡20Bの進行方向、すなわち前方を照明する照明部と、同方向を撮像する撮像部とを有する。そして、第2の機能実行部32は、体内において第1の機能実行部とは反対方向、すなわち後方を照明する照明部と、同方向を撮像する撮像部とを有する。そして、第3の機能実行部36は、体内を撮像した撮像信号を体外へ無線送信する無線送信部を有する。
【0049】
カプセル型内視鏡20Bは第1の機能実行部31と第3の機能実行部36とを同時動作させた場合、進行方向を撮像し、撮像画像を無線送信部を介して体外へ無線送信することが可能である。また、カプセル型内視鏡20Bは、第2の機能実行部32と第3の機能実行部36とを同時動作させた場合、進行方向とは反対方向(進行反対方向)を撮像し、撮像画像を無線送信部を介して体外へ無線送信することが可能である。さらに、カプセル型内視鏡20Bは、第1〜第3の機能実行部31、32、36を全て同時動作させた場合、進行方向および進行反対方向の両方を撮像し、それぞれの撮像画像を無線送信部を介して体外へ無線送信することが可能である。
【0050】
カプセル型内視鏡20Bは機能実行部として、例えば体内の温度を測定する温度センサ機能部、体液のpH値を測定するpHセンサ機能部、または体内へ薬を運搬するドラッグデリバリ機能部などを有することができる。
【0051】
なお、複数の機能実行部の少なくともいずれかは、独立したハードウエアではなく、ソフトウエアがCPU等により実行されることにより機能を発揮するものであってもよい。
【0052】
すなわち、本実施形態のカプセル型内視鏡20Bは、第1実施形態のカプセル型内視鏡20が有する効果に加えて、3以上の機能実行部ごとの単独動作または複数の機能実行部の組み合わせ動作状態を作り出すことができるため、より多様な状況に対応することが可能である。
【0053】
さらにカプセル型内視鏡20Bはn個(n≧3)のスイッチを有するが、スイッチのオン抵抗による電圧降下を抑えることができるため、電池容量を増やすことなく長時間動作が可能である。すなわち、カプセル型内視鏡20Bは、n個のスイッチを有するが、それぞれの機能実行部に流れる電流は1つのスイッチの抵抗による電力消費しか生じない。
【0054】
なお、上記説明では、外部信号として直流磁界または交流磁界を用いた例を示したが、外部信号はこれに限るものではなく、超音波信号、または無線信号のいずれかひとつ、または2以上の組み合わせを用いてもよい。
【0055】
また上記説明は、カプセル型内視鏡を中心に説明したが、本発明の体内観察システムは、消化器液採取用カプセル型医療装置またはカプセル型pHセンサのような各種カプセル型体内観察装置に適用できる。
【0056】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等ができる。
【符号の説明】
【0057】
1、1A…内視鏡システム、10…磁界発生装置、10A…交流磁界発生装置、11…磁界発生部、20、20A、20B…カプセル型内視鏡、21…磁界検知部、21A…交流磁界検知部、22…電力制御部、23…切替部、25…機能実行ユニット、26…電池、27…リードスイッチ、28…抵抗、29…D型フリップフロップ回路、31…第1の機能実行部、31A…照明部、31B…撮像部、32…第2の機能実行部、32A…送信部、33…第1のスイッチ、34…第2のスイッチ、36…第3の機能実行部、37…第3のスイッチ、43…検波部、44…抵抗、45…受電部、45A…受電コイル、45B…コンデンサ、47…平滑用コンデンサ、48…ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の体内において生体情報を取得するための複数の機能実行部と、
前記複数の機能実行部に電力を供給する電源と、
前記電源から、それぞれの前記複数の機能実行部への電力供給を独立して制御する複数のスイッチを有する切替部と、
前記被検体の外部からの制御信号を受信する信号受信部と、
前記信号受信部が前記制御信号を受信した回数に応じて、前記切替部を制御する電力制御部と、を具備することを特徴とする体内情報取得装置。
【請求項2】
前記複数のスイッチのそれぞれが、前記複数の機能実行部のそれぞれと前記電源との間に配設されており、
前記電力制御部が、n個(但し、nは2以上の整数)のフリップフロップ回路を有し、前記切替部を2個の異なる状態に制御することを特徴とする請求項1に記載の体内情報取得装置。
【請求項3】
前記制御信号が、磁界信号であることを特徴とする請求項2に記載の体内情報取得装置。
【請求項4】
前記制御信号が、直流磁界信号であり、
前記信号受信部が、前記直流磁界信号によりON/OFFするリードスイッチであることを特徴とする請求項3に記載の体内情報取得装置。
【請求項5】
前記制御信号が、交流磁界信号であり、
前記信号受信部が、受電部と検波部とを有し、受信した前記交流磁界信号を直流信号に変換し、前記電力制御部に送信することを特徴とする請求項3に記載の体内情報取得装置。
【請求項6】
カプセル型内視鏡であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の体内情報取得装置。
【請求項7】
被検体の体内の情報を取得するための複数の機能実行部を有する体内情報取得装置を、前記被検体の体内に導入する導入工程と、
前記被検体の体外から送信された制御信号の受信回数に応じて、前記複数の機能実行部への電力供給を独立して制御する電力供給制御工程と、を具備することを特徴とする体内情報取得方法。
【請求項8】
前記電力供給制御工程において、前記複数の機能実行部のそれぞれと電源との間に配設された複数のスイッチのそれぞれが制御されることを特徴とする請求項7に記載の体内情報取得方法。
【請求項9】
前記制御信号が、磁界信号であることを特徴とする請求項8に記載の体内情報取得方法。
【請求項10】
前記制御信号が、直流磁界信号であることを特徴とする請求項8に記載の体内情報取得方法。
【請求項11】
前記制御信号が、交流磁界信号であり、
前記信号受信部が、受信した前記交流磁界信号が直流信号に変換されることを特徴とする請求項8に記載の体内情報取得方法。
【請求項12】
体内情報取得装置が、カプセル型内視鏡であることを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の体内情報取得方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−50740(P2012−50740A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196919(P2010−196919)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】