説明

余白断裁片の排出機構および掃き落とし機構を備えた枚葉紙搬送断裁装置

【課題】枚葉紙を縦・横方向に断裁する場合に発生する余白部分の断裁片は、その排出経路で滞留が発生することがある。また、余白断裁片が刃面に残留して後続の断裁が不良となることがある。余白断裁片の排出経路での排出を円滑にして余白断裁片の滞留を予防し、更には、幅の狭い余白断裁片の断裁刃上での残留を阻止する手段を提供する。
【解決手段】余白断裁片の排出経路に迫り出して設置される断裁片排出機構10によって余白断裁片を摩擦搬送するとともに掻き落とす。また、後端余白断裁片掃き落とし機19により断裁刃上に残留する余白断裁片を掃き落とす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枚葉紙の給紙方向を横切る方向(以下、給紙横方向と称す)、もしくは給紙方向(以下、給紙縦方向と称す)との2方向で断裁し、給紙された枚葉紙の寸法と異なる寸法の断裁紙、もしくは複数以上に分割された断裁紙を得る装置に関し、給紙横方向断裁の際に発生する余白断裁片の排出滞留、詰まりを解消する余白断裁片の排出機構、および断裁機固定下刃上に残留する余白断裁片の掃き落とし機能を備えた枚葉紙断裁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は断裁装置の構造を模式的に示している。従来の技術では、枚葉紙1を断裁機上流側のローラー対2で断裁機4の方向へ繰り出し、断裁機4からの繰り出し量によって断裁長さが決定され、断裁時に断裁機下流側のローラー対3で支持されていた断裁紙は、断裁後、仕上り断裁紙として断裁機下流側のローラー対3で排出されるが、断裁時に断裁機下流側のローラー対3で支持されることのない長さの短い余白断裁片は断裁機4と断裁機下流側ローラー対3の間に落下する。また、断裁時に枚葉紙後端が断裁機上流側のローラー対2で支持されることなく断裁機4の上流側に残っていれば、その部分は余白断裁片として断裁機4と断裁機上流側ローラー対2の間に落下する。いずれの場合も、余白断裁片の自然落下のみによって確実な排出を期待することは困難であって、時として断裁片の詰まりを発生することがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
余白断裁片は断裁機と上流側、もしくは下流側ローラー対との間の間隙からの自然落下によって系外へ排出されるが、上流側ローラー対と下流側ローラー対との距離はローラーで搬送し得る用紙長さより短い必要があり、余白断裁片の自然落下に供される間隙の幅が制限されるとともに、余白断裁片の排出経路にはローラー、断裁機等の装置構成要素が迫出し、余白断裁片排出の障害となっている。
【0004】
余白断裁片が常に平板状であれば、排出経路側面の平滑化によって余白断裁片の突起部等への引っ掛かりを防止し、更には、落下投影面を小さくするために余白断裁片の端部を下方に向けるガイド板を設ける等の対策によって余白断裁片の確実な排出を期待することができる。
【0005】
しかし、余白断裁片は常に平板状であるとは限らず、余白断裁片の形状はカールによる曲がり、あるいは断裁によるコイル状の捻じれ等を生じていることがあり、落下投影面が大きくなった結果、余白断裁片の排出経路途中での滞留、詰まりが発生することがある。
【0006】
加えて、余白断裁片はその重量に比して剛度が高く、一度排出が滞るとその自重だけで排出の滞りを落下、解消することが困難となる。
【0007】
更に加えて、余白断裁片の長さが著しく短い場合には、余白断裁片が断裁機下刃から自然落下することが出来ずに断裁機上に残留することがある。
【0008】
本発明は、上記各点に鑑みてなされたものであり、余白断裁片の排出をより円滑、且つ確実に行う方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、断裁機上流側ローラー対と断裁機の間、もしくは断裁機下流側ローラー対と断裁機の間、あるいはその両方に、余白断裁片を掻き落とす回転体による断裁片排出機構を配し、余白断裁片を強制的に排出することを特徴としている。
【0010】
特には回転体が円板、あるいは円柱状の単なる円形では無く、おむすび型、小判型あるいは歯車型等の如き凹凸のある形状で、余白断裁片の排出口への摩擦搬送機能に加えて掻き落としの機能を有することを特徴としている。
【0011】
また更には、回転体外周の全周、もしくは一部にブラシの如き突起物が配列されていることを特徴としている。
【0012】
加えて更には、余白断裁片の長さが短く軽量で、断裁後、断裁機下刃から自然落下できない場合には、これらを掃き落とすためのブラシ、フィルム等の軟質材による掃き落とし機能を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
このように、本発明においては回転体の摩擦搬送によって余白断裁片の排出を促し、余白断裁片の排出経路での滞留を解消することができた。また、回転体外周上への紙粉付着等による余白断裁片摩擦搬送能力の低下を、回転体を凹凸のある形状にし、あるいはその外周上に突起物を配することによって掻き落とし機能を与えることで解決することができた。
【0014】
また、余白断裁片の長さが短く軽量で、断裁後、断裁機下刃から自然落下できない場合には、これらを掃き落とす機能を与えて余白断裁片を排出口へ落下させることで解決することができた。
【実施例1】
【0015】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して説明する。図2は枚葉紙1の先端をシャー断裁機下刃6から下流側ローラー対/断裁機間距離8より短い用紙繰り出し長さ7だけ繰り出した状態を示している。枚葉紙の先端が断裁機下流側ローラー対3によって支持されていないため、この状態でシャー断裁を行うと断裁機より下流側の先端部は余白断裁片となってシャー断裁機下刃6と断裁機下流側ローラー対3の間の間隙に自然落下することとなる。
【0016】
図3はシャー断裁によって前端余白断裁片9がシャー断裁された状態を示している。シャー断裁機下刃6が固定刃、シャー断裁機上刃5が可動刃となって枚葉紙1を断裁し、前端余白断裁片9の断裁面がシャー断裁機上刃5によって押し下げられ、排出が促されている。しかし、下流側ローラー対/断裁機間距離8が前端余白断裁片9の長さに比べて十分に大きくない場合には、前端余白断裁片9の排出経路に張り出して設置される裁断片排出機構10による前端余白断裁片9の排出促進が是非とも必要となる。
【0017】
図4は枚葉紙1の後端がシャー断裁機下刃6の後方へ上流側ローラー対/断裁機間距離13より短い用紙後端残留長さ12だけ残されている状態を示している。用紙先端が断裁機下流側ローラー対3に達するためには、上流側ローラー対/下流側ローラー対間距離11が用紙長さより短い必要があり、結果的に上流側ローラー対/断裁機間距離13の長さが制約される。枚葉紙の後端が断裁機上流側ローラー対2によって支持されていないため、この状態でシャー断裁を行うと、断裁機より上流側の後端は後端余白断裁片となってシャー断裁機下刃6と断裁機上流側ローラー対2の間の間隙に自然落下することとなる。
【0018】
図5はシャー断裁によって後端余白断裁片14がシャー断裁された状態を示している。シャー断裁機は用紙通しの都合上、シャー断裁機下刃6(固定刃)が上流側、シャー断裁機上刃5(可動刃)が下流側となるように配置され、断裁された後端余白断裁片14はシャー断裁機下刃6(固定刃)が排出経路の障害となり、その後端から自然落下を始めるが、後端に対し排出経路上の断裁機上流側ローラー対2などの障害物が排出の妨げとなる。断裁片排出機構10は後端余白断裁片14の排出を、摩擦搬送、機械的掻き落とし等によって促進しこれらの問題を解決することができる。
【0019】
図6は断裁片排出機構10で使用される回転体の形状を例示している。回転体の形状は、外周上の摩擦力が作用する円形回転体15、外周上の凹凸による掻き落とし効果が期待できる小判型回転体16、あるいはおむすび型回転体17、もしくは外周上に突起物を有する回転体18などを例示することができ、これ以外にも歯車型回転体等も使用できる。
【実施例2】
【0020】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して説明する。図7は枚葉紙1の後端余白断裁片14の長さがシャー断裁機下刃6の幅に比して十分に長くないため長さの短い後端余白断裁片14は自重による自然落下ができず、シャー断裁機下刃6の上向き刃面に取り残されることとなり、後続の断裁に支障をきたす。
【0021】
図8はシャー断裁機下刃6の上に後端余白断裁片掃き落とし機19が装備され、用紙後端がシャー断裁機上刃5の上流側に図7に示されている後端余白断裁片14を断裁するに必要な長さだけ残されている状態を示している。この状態では後端余白断裁片掃き落とし機19が未断裁の用紙後端によって用紙上に押し上げられている。後端余白断裁片掃き落とし機19はピボット点を中心にするか、もしくは柔軟性のある材料で吊り下げられており、自重降下によってシャー断裁機下刃6の刃面を掃うことができる。
【0022】
図9は後端余白断裁片14が断裁された状態を示し、用紙後端による支えを失った後端余白断裁片掃き落とし機19が自重によって垂れ下がって後端余白断裁片14を排出口へ掃き落としている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】 2組のローラー対と断裁機による枚葉紙の断裁
【図2】 断裁機下流側へ用紙前端余白部分を繰り出した状態
【図3】 前端余白が断裁・排出されている状態
【図4】 断裁機上流側に用紙後端余白部分が残されている状態
【図5】 後端余白が断裁・排出されている状態
【図6】 断裁片排出機構で採用される回転体の形状
【図7】 後端余白が断裁され、自然落下できずに断裁機下刃上に残流している状態
【図8】 後端余白断裁片掻き落とし機が装備された状態
【図9】 後端余白断裁片掻き落とし機によって断裁された後端余白断裁片が掃き落とされた状態
【符号の説明】
【0024】
1. 枚葉紙
2. 断裁機上流側ローラー対
3. 断裁機下流側ローラー対
4. 断裁機
5. シャー断裁機上刃
6. シャー断裁機下刃
7. 用紙先端繰り出し長さ
8. 下流側ローラー対/断裁機間距離
9. 前端余白断裁片
10.断裁片排出機構
11.上流側ローラー対/下流側ローラー対間距離
12.用紙後端残留長さ
13.上流側ローラー対/断裁機間距離
14.後端余白断裁片
15.断裁片排出用円形回転体
16.断裁片排出用小判型回転体
17.断裁片排出用おむすび型回転体
18.断裁片排出用突起物を有する回転体
19.後端余白断裁片掃き落とし機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枚葉紙を2組のローラー対によって搬送し、これら2組のローラー対の間に位置する断裁機によって枚葉紙を所定の長さに断裁する装置において、用紙断裁によってこれらのローラー対および断裁機による支えが失われ、断裁機とローラー対との間に自然落下する余白断裁片に対して、余白断裁片排出経路に迫り出してこれらの余白断裁片の排出を促す回転体による余白断裁片排出機構を備えたことを特徴とする枚葉紙断裁装置
【請求項2】
枚葉紙を2組のローラー対によって搬送し、これら2組のローラー対の間に位置する断裁機によって枚葉紙を所定の長さに断裁する装置において、用紙断裁によって発生する余白断裁片の長さが短く軽量で自然落下できずに断裁機固定下刃上に残留し得る余白断裁片に対して、これらの余白断裁片を掃き落とす機構を備えたことを特徴とする枚葉紙断裁装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−240820(P2010−240820A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108409(P2009−108409)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(596170664)ガンサージャパン株式会社 (5)
【Fターム(参考)】