説明

作業機械

【課題】ツールホルダに取り付けられる道具を、前記ツールホルダの径方向に位置調整するとともに、遠心力の変化を可及的に阻止し、高精度な作業が効率的に遂行可能にする。
【解決手段】ツールホルダ20には、一端が前記ツールホルダ20に固着される一方、他端が開放端部24aを形成する環状弾性ホルダ部24が装着される。開放端部24a側には、2以上の道具、例えば、中仕上げ刃26a、26b及び仕上げ刃28a、28bが取り付けられる。ツールホルダ20には、前記ツールホルダ20の軸方向に進退して環状弾性ホルダ部24を加圧することにより、開放端部24aを楕円形状に変形可能な加圧機構32が設けられる。開放端部24aが楕円形状に変形すると、中仕上げ刃26a、26bが半径内方に移動する一方、仕上げ刃28a、28bが半径外方に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、スピンドルと一体的に回転可能なツールホルダに、2以上の道具が取り付けられる作業機械に関する。
【背景技術】
一般的に、ツールホルダに取り付けられた道具、例えば、加工工具を介してワークに加工処理を施す工作機械(作業機械)が種々使用されている。例えば、エンジンブロックを構成するシリンダのボーリング加工は、内筒径寸法をミクロンオーダで高精度に加工する必要がある。このため、通常、ボーリング加工は、荒ボーリング加工(荒加工)、中仕上げボーリング加工(中仕上げ加工)及び仕上げボーリング加工(仕上げ加工)の3工程の加工に分けて行われている。
この種のボーリング加工では、特に仕上げボーリング加工において、高精度な加工径を形成しなければならず、単刃による加工が行われている。しかしながら、量産設備による仕上げボーリング加工では、単一の刃先で加工を行うために前記刃先の磨耗が著しく、加工径が小さくなってしまう。従って、刃先磨耗による加工径の変化に応じて前記刃先位置を調整し、一定のボーリング加工径を維持する必要がある。
そこで、例えば、特許文献1に開示されている円筒内面の加工装置を用いることが考えられる。この加工装置は、中ぐり加工用の加工ヘッドの先端外周の互いに対向する位置に、荒加工用の刃具と仕上げ加工用の刃具とをそれぞれ設けるとともに、前記加工ヘッドの中心軸線に直交する方向で且つ、前記仕上げ加工用の刃具から荒加工用の刃具に向かう方向に圧力が付与されることで、同方向に移動変形しつつ前記各刃具を同方向に移動させる弾性ホルダ部を設けたことを特徴としている。そして、この特許文献1では、コンパクトで且つ剛性を有しており、刃具位置の移動(補正)を高精度に行うことができる。
【特許文献1】 特開2003−311517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の加工ヘッドにおいて、磨耗した刃先を調整しようとすると、スピンドルに対して半径方向にボーリングバーが移動する構造となっている。ボーリングバーが半径方向に移動すると、このボーリングバーの重心位置も移動する。このため、加工ヘッドやボーリングバーに発生する遠心力も変動することになる。
近年、シリンダのボーリング加工において、刃具の材種改良により高速加工が可能になるのに伴って、スピンドルの回転数が高くなっている。その結果、ボーリングバーに生じる遠心力の影響を無視することができなくなり、刃先が補正移動しても、遠心力の変化を抑制することが可能なボーリング加工装置が求められている。
本発明はこの種の要請に対応してなされたものであり、ツールホルダに取り付けられる道具を、前記ツールホルダの径方向に位置調整するとともに、遠心力の変化を可及的に阻止し、高精度な作業が効率的に遂行可能な作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
本発明は、スピンドルと一体的に回転可能なツールホルダと、一端が前記ツールホルダに固着される一方、他端が開放端部を形成するとともに、前記開放端部側には、2以上の道具が取り付けられる2以上の取付部と、少なくとも2つの前記取付部に連結されて回転軸線側に延在する梁部が一体に設けられる環状弾性ホルダ部と、前記ツールホルダの軸方向に進退して前記梁部を加圧することにより、前記環状弾性ホルダ部の重心位置を前記回転軸線上に維持した状態で、前記開放端部側を変形させて少なくとも2つの前記道具の前記回転軸線からの距離を調整可能な加圧機構とを備えている。
また、梁部は、取付部の内壁に連結されて環状弾性ホルダ部の軸心位置を通る円弧状梁部を構成し、加圧機構により前記円弧状梁部が軸方向に加圧されることによって、開放端部が楕円形状に弾性変形可能に構成されることが好ましい。
さらに、作業機械は、楕円形状に弾性変形する開放端部の短軸側に取り付けられる2つの第1の道具と、前記開放端部の長軸側に取り付けられる2つの第2の道具とを備えることが好ましい。
さらにまた、環状弾性ホルダ部に加圧機構による加圧力が付与されない状態で、第1の道具の周回軌跡は、第2の道具の周回軌跡よりも大径に設定されることが好ましい。
また、加圧機構は、流体圧により環状弾性ホルダ部に加圧力を付与するとともに、前記流体圧による加圧力が付与されない状態で、第1の道具及び第2の道具は、中立位置に自動復帰することが好ましい。
さらに、第1の道具は、ワークの内周面に第1の加工を行う第1加工刃具であり、第2の道具は、前記内周面に前記第1の加工の後に第2の加工を行う第2加工刃具であることが好ましい。
さらにまた、梁部は、取付部の内壁に連結される円弧状梁部を構成し、加圧機構により前記円弧状梁部が軸方向に加圧されることによって、開放端部が三角形状乃至多角形状に弾性変形可能に構成されることが好ましい。
また、三角形状乃至多角形状に弾性変形する開放端部の角部に対応して道具が取り付けられることが好ましい。
【発明の効果】
本発明に係る作業機械では、加圧機構を介して環状弾性ホルダ部が加圧されると、この環状弾性ホルダ部の重心位置を回転軸線上に維持した状態で、開放端部側が変形する。その際、開放端部には、取付部を介して2以上の道具が取り付けられており、2以上の前記道具は、ツールホルダの径方向に位置調整(補正)される。
従って、例えば、楕円形状に弾性変形する開放端部の短軸側に取り付けられる道具同士、又は前記開放端部の長軸側に取り付けられる道具同士は、回転軸心から等距離だけ位置補正されるため、重心が移動することがない。これにより、特に高速回転される際にも、高精度な作業が効率的且つ確実に遂行可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る作業機械である工作機械10の斜視説明図であり、図2は、前記工作機械10の断面説明図である。
工作機械10は、本体部12を備え、この本体部12には、ハウジング14が摺動可能に装着される。ハウジング14には、スピンドル(主軸)16がベアリング18を介して回転可能に設けられると、前記スピンドル16には、ツールホルダ20が着脱自在に取り付けられる。
図2に示すように、ハウジング14には、スピンドル16の軸心に沿ってエアパイプ22が配設され、このエアパイプ22内に、図示しないエア供給源に連通するエア通路22aが形成される。
ツールホルダ20には、一端が前記ツールホルダ20に固着される一方、他端が開放端部24aを形成する環状弾性ホルダ部24が装着される。開放端部24a側には、2以上の道具、例えば、中仕上げ刃(第1加工刃具)26a、26b及び仕上げ刃(第2加工刃具)28a、28bが取り付けられる(図3参照)。ツールホルダ20には、前記ツールホルダ20の軸方向(矢印A方向)に進退して環状弾性ホルダ部24を加圧することにより、開放端部24aを楕円形状に変形可能な加圧機構32が設けられる。
加圧機構32は、エア通路22aに連通する空圧シリンダ部34と、前記空圧シリンダ部34の下流に配置される油圧シリンダ部36とを備える。空圧シリンダ部34は、エア通路22aに連通する空油圧変換室38を有し、この空油圧変換室38に第1ピストン40が摺動自在に配置される。第1ピストン40は、スプリング42を介して油圧シリンダ部36から離間する方向に押圧される。
第1ピストン40のロッド40aは、油圧シリンダ部36を構成する油圧室44に進退自在に配設される。油圧室44には、第2ピストン46が摺動自在に配置される。第2ピストン46のロッド46aは、環状弾性ホルダ部24内に突出して配置される。
環状弾性ホルダ部24は、図2〜図4に示すように、略円柱状を有するとともに、ツールホルダ20の先端に固着される円板状基台部48を設ける。基台部48には、リング体50が設けられ、前記リング体50の開放端部24a側の端部には、中仕上げ刃26a、26bが交換自在に取り付けられる第1バンク部(取付部)52a、52bと、仕上げ刃28a、28bが交換自在に取り付けられる第2バンク部(取付部)54a、54bとが形成される。
環状弾性ホルダ部24は、加圧機構32により矢印A1方向に加圧されると、開放端部24aが楕円形状に弾性変形するとともに、前記開放端部24aの短軸側に中仕上げ刃26a、26bが取り付けられる一方、前記開放端部24aの長軸側に仕上げ刃28a、28bが取り付けられる。
具体的には、第2バンク部54a、54bは、リング体50の内部(回転軸線側)に向かって延在する円弧状梁部56により一体化される。梁部56は、弾性変形可能であり、加圧機構32による加圧力が作用しない状態では、中仕上げ刃26a、26bは、中仕上げ加工径D1に対応する位置に配置する一方、仕上げ刃28a、28bは、前記中仕上げ加工径D1に対応する位置より内方に配置する。
梁部56は、底部56aが第2ピストン46のロッド46aにより軸方向に加圧される際に変形し、第2バンク部54a、54bに取り付けられている仕上げ刃28a、28bは、半径外方に移動して仕上げ加工径D2に対応する位置に配置する。
一方、第1バンク部52a、52bは、梁部56と直接的に繋がっておらず、且つ、第2バンク部54a、54bと90度の位相差を有している。従って、梁部56に矢印A1方向の加圧力が付与されると、第1バンク部52a、52bは、第2バンク部54a、54bとは逆方向、すなわち、半径内方に移動する。このため、第1バンク部52a、52bに取り付けられている中仕上げ刃26a、26bは、半径内方に移動して仕上げ加工径D2に対応する位置より内部に配置する。
このように構成される第1の実施形態に係る工作機械10の動作について、以下に説明する。
先ず、筒体(例えば、エンジンのシリンダブロック)60の穴部60aに、中仕上げ刃26a、26bを介して中仕上げ加工を行う場合、エア通路22aに加圧エアが供給されていない。従って、図5及び図6に示すように、梁部56にロッド46aによる加圧力が付与されないため、中仕上げ刃26a、26bは、中仕上げ加工径D1に対応する位置に配置する一方、仕上げ刃28a、28bは、前記中仕上げ加工径D1に対応する位置より内方に配置する。
そこで、図示しない回転駆動源の作用下に、スピンドル16が回転されると、ツールホルダ20が環状弾性ホルダ部24と一体に回転する。環状弾性ホルダ部24の開放端部24aには、中仕上げ刃26a、26bが中仕上げ加工径D1に対応する位置に配置されている。このため、中仕上げ刃26a、26bは、筒体60の穴部60aに中仕上げ加工を行う一方、仕上げ刃28a、28bは、前記穴部60aの内方に配置されて中仕上げ加工に干渉することがない。
上記のように、穴部60aの中仕上げ加工が終了すると、図示しないエア供給源からエア通路22aに加圧エアが供給される。この加圧エアは、空圧シリンダ部34に供給され、第1ピストン40が空油圧変換室38を矢印A1方向に移動する。従って、第1ピストン40のロッド40aは、油圧シリンダ部36を構成する油圧室44に進入し、油圧を介して第2ピストン46が矢印A1方向に移動することにより、前記第2ピストン46のロッド46aは、環状弾性ホルダ部24を構成する梁部56の底部56aを矢印A1方向に加圧する。
環状弾性ホルダ部24では、梁部56が弾性変形することにより、前記梁部56に一体形成されている第2バンク部54a、54bが半径外方に移動する(図7参照)。その際、第2バンク部54a、54bに取り付けられている仕上げ刃28a、28bは、半径外方に移動して仕上げ加工径D2に対応する位置に配置する(図3参照)。一方、第1バンク部52a、52bに取り付けられている中仕上げ刃26a、26bは、半径内方に移動して前記仕上げ加工径D2に対応する位置より内部に配置する。
そして、スピンドル16の回転作用下に、ツールホルダ20が環状弾性ホルダ部24と一体に回転すると、仕上げ刃28a、28bは、筒体60の穴部60aに仕上げ加工を行う一方、中仕上げ刃26a、26bは、前記穴部60aの内方に配置されて仕上げ加工に干渉することがない。
この場合、第1の実施形態では、加圧機構32を介して環状弾性ホルダ部24が矢印A1方向に加圧されると、前記環状弾性ホルダ部24の開放端部24aが楕円形状に弾性変形している。すなわち、第1バンク部52a、52bに取り付けられている中仕上げ刃26a、26bは、半径内方に同一の寸法だけ移動するとともに、第2バンク部54a、54bに取り付けられている仕上げ刃28a、28bは、半径外方に同一の寸法だけ移動している。
このため、環状弾性ホルダ部24は、この環状弾性ホルダ部24の重心位置を回転軸線上に維持した状態で、中仕上げ刃26a、26b及び仕上げ刃28a、28bが、ツールホルダ20の径方向に位置調整(補正)されている。これにより、ツールホルダ20は、筒体60に対して高精度な加工作業を効率的に遂行可能になるという効果が得られる。
特に、シリンダのボーリング加工において、スピンドル16の回転数が高くなっても、中仕上げ刃26a、26b及び仕上げ刃28a、28bの刃先位置補正による遠心力の変化を可及的に抑制することができ、高速加工を良好に行うことができる。
しかも、第1の実施形態では、仕上げ加工を行うために、2つの仕上げ刃28a、28bを備えている。従って、一方の刃、例えば、仕上げ刃28aを先行仕上げ刃とするとともに、他方の刃、例えば、仕上げ刃28bを最終の仕上げ刃とすることができ、該最終の仕上げ刃の取り代を安定した最小取り代として高精度なボーリング加工が遂行可能になる。
さらに、中仕上げ刃26a、26b及び仕上げ刃28a、28bの径方向への補正移動は、梁部56をロッド46aで加圧する際に発生するリング体50の弾性変形により行われている。このため、環状弾性ホルダ部24には、摺動摩擦が惹起されることがなく、補正動作に伴う摺動抵抗がなく、高精度な補正移動が容易に遂行される。特に、ツールホルダ20が高速回転する際には、各部に大きな遠心力が作用するが、摺動抵抗がないために円滑な補正移動が行われるという利点がある。
さらにまた、リング体50の径方向への変形量は、梁部56を加圧する力と比例関係にある。これにより、仕上げ刃28a、28bの補正移動量の調整は、外部コントローラによる圧力制御によって微細にコントロールすることができ、オープンループ方式の制御が可能になる。
なお、第1の実施形態では、加圧機構32が空圧シリンダ部34及び油圧シリンダ部36を備えているが、これに限定されるものではない。例えば、モータの回転作用下に進退する加圧ロッド等が採用可能である。さらに、加圧媒体は、エアの他、クーラント等の種々の媒体が使用される。
また、加圧機構32を介して環状弾性ホルダ部24の梁部56が矢印A1方向に加圧されているが、これに限定されるものではなく、例えば、前記梁部56を矢印A1方向とは反対方向に加圧することにより前記環状弾性ホルダ部24の径を縮小させることができる。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る工作機械を構成する環状弾性ホルダ部70の斜視説明図であり、図9は、前記環状弾性ホルダ部70の正面説明図である。なお、環状弾性ホルダ部70は、第1の実施形態に係る工作機械10に、環状弾性ホルダ部24に代えて使用される。
環状弾性ホルダ部70は、略円柱状を有するとともに、基台部48には、リング体72が設けられる。リング体72の開放端部24a側の端部には、仕上げ刃74a、74b及び74cが互いに等角度(120°)ずつ離間して交換自在に取り付けられるバンク部(取付部)76a、76b及び76cが形成される。
バンク部76a、76b及び76cは、リング体72の内部に向かって延在する円弧状梁部78により一体化される。梁部78は、弾性変形可能であり、第2ピストン46のロッド46aにより軸方向に加圧される際に、リング体72の開放端24aを略三角形状に変形させる。このため、バンク部76a、76b及び76cに取り付けられている仕上げ刃74a、74b及び74cは、半径外方に同一の寸法だけ移動して仕上げ加工径に対応する位置に配置する。
このように構成される第2の実施形態では、梁部78に加圧力が付与されない際には、仕上げ刃74a、74b及び74cは、例えば、中仕上げ加工径D1に対応する位置に配置する。一方、梁部78に加圧力が付与されると、仕上げ刃74a、74b及び74cは、半径外方に同一の寸法だけ移動して仕上げ加工径D2に対応する位置に配置する。
従って、単一の環状弾性ホルダ部70を使用して中仕上げ加工と仕上げ加工とが遂行されるとともに、この環状弾性ホルダ部70の重心位置を回転軸線上に維持した状態で、仕上げ刃74a、74b及び74cが、ツールホルダ20の径方向に位置調整(補正)されている。これにより、ツールホルダ20は、筒体60に対して高精度な加工作業を効率的に遂行可能になるという効果が得られる。
なお、第2の実施形態では、3つの仕上げ刃74a、74b及び74cを3つのバンク部76a、76b及び76cに取り付けて構成しているが、これに限定されるものではない。例えば、4つ以上の仕上げ刃を4つ以上のバンク部に取り付けることもできる。その際、環状弾性ホルダ部は、加圧機構により4角形状以上の多角形状に弾性変形する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る作業機械である工作機械の斜視説明図である。
【図2】 前記工作機械の断面説明図である。
【図3】 前記工作機械を構成する環状弾性ホルダ部の正面説明図である。
【図4】 前記環状弾性ホルダ部の斜視説明図である。
【図5】 中仕上げ加工の説明図である。
【図6】 前記中仕上げ加工時の前記環状弾性ホルダ部の正面説明図である。
【図7】 仕上げ加工の説明図である。
【図8】 本発明の第2の実施形態に係る工作機械を構成する環状弾性ホルダ部の斜視説明図である。
【図9】 前記工作機械を構成する環状弾性ホルダ部の正面説明図である。
【符号の説明】
10…工作機械 16…スピンドル
20…ツールホルダ 22a…エア通路
24、70…環状弾性ホルダ部 24a…開放端部
26a、26b…中仕上げ刃 28a、28b、74a〜74c…仕上げ刃
32…加圧機構 34…空圧シリンダ部
36…油圧シリンダ部 50、72…リング体
52a、52b、54a、54b、76a〜76c…バンク部
56、78…梁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピンドルと一体的に回転可能なツールホルダと、
一端が前記ツールホルダに固着される一方、他端が開放端部を形成するとともに、前記開放端部側には、2以上の道具が取り付けられる2以上の取付部と、少なくとも2つの前記取付部に連結されて回転軸線側に延在する梁部が一体に設けられる環状弾性ホルダ部と、
前記ツールホルダの軸方向に進退して前記梁部を加圧することにより、前記環状弾性ホルダ部の重心位置を前記回転軸線上に維持した状態で、前記開放端部側を変形させて少なくとも2つの前記道具の前記回転軸線からの距離を調整可能な加圧機構と、
を備えることを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1記載の作業機械において、前記梁部は、前記取付部の内壁に連結される円弧状梁部を構成し、前記加圧機構により前記円弧状梁部が前記軸方向に加圧されることによって、前記開放端部が楕円形状に弾性変形可能に構成されることを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項2記載の作業機械において、前記楕円形状に弾性変形する前記開放端部の短軸側に取り付けられる2つの第1の道具と、
前記開放端部の長軸側に取り付けられる2つの第2の道具と、
を備えることを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項3記載の作業機械において、前記環状弾性ホルダ部に前記加圧機構による加圧力が付与されない状態で、前記第1の道具の周回軌跡は、前記第2の道具の周回軌跡よりも大径に設定されることを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項4記載の作業機械において、前記加圧機構は、流体圧により前記環状弾性ホルダ部に加圧力を付与するとともに、前記流体圧による加圧力が付与されない状態で、前記第1の道具及び前記第2の道具は、中立位置に自動復帰することを特徴とする作業機械。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1項に記載の作業機械において、前記第1の道具は、ワークの内周面に第1の加工を行う第1加工刃具であり、
前記第2の道具は、前記内周面に前記第1の加工の後に第2の加工を行う第2加工刃具であることを特徴とする作業機械。
【請求項7】
請求項1記載の作業機械において、前記梁部は、前記取付部の内壁に連結される円弧状梁部を構成し、前記加圧機構により前記円弧状梁部が前記軸方向に加圧されることによって、前記開放端部が三角形状乃至多角形状に弾性変形可能に構成されることを特徴とする作業機械。
【請求項8】
請求項7記載の作業機械において、前記三角形状乃至多角形状に弾性変形する前記開放端部の角部に対応して前記道具が取り付けられることを特徴とする作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−34804(P2009−34804A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221765(P2007−221765)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000102865)エヌティーエンジニアリング株式会社 (13)
【Fターム(参考)】