作業車両
【課題】ステアリングハンドルの操作で左右の前輪を操舵する操舵油圧機構において、この操舵油圧機構をエンジン後部のクラッチハウジングの上部に配置することによって、デッドスペースの有効活用を図ると共に、操舵油圧機構をコンパクトに構成する。
【解決手段】ステアリングハンドルの操作で左右の前輪を操舵する操舵油圧機構15をエンジンE後部のクラッチハウジング16上部に配備する。また、前記操舵油圧機構16は、エンジンEのDPF17を装着支持するDPFブラケット18に設置してある。また、操舵油圧機構15とステアリングシャフト8間を繋ぐジョイント部19に2箇所の折れ点を設け、コラム22のチルト中央位置において、それぞれの折れ点の折れ角度が略同一角度となるよう配置してある。
【解決手段】ステアリングハンドルの操作で左右の前輪を操舵する操舵油圧機構15をエンジンE後部のクラッチハウジング16上部に配備する。また、前記操舵油圧機構16は、エンジンEのDPF17を装着支持するDPFブラケット18に設置してある。また、操舵油圧機構15とステアリングシャフト8間を繋ぐジョイント部19に2箇所の折れ点を設け、コラム22のチルト中央位置において、それぞれの折れ点の折れ角度が略同一角度となるよう配置してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トラクタ等の作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ステアリングハンドルより延設したステアリングシャフトにパワステバルブを連設配備した構成のものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−331638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明による場合は、ステアリングハンドルの操作で左右の前輪を操舵する操舵油圧機構をエンジン後部のクラッチハウジングの上部に配置することによって、デッドスペースの有効活用を図ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、ステアリングハンドル(6)の操作で左右の前輪(4),(4)を操舵する操舵油圧機構(15)をエンジン(E)後部のクラッチハウジング(16)上部に配備してあることを特徴とする。
【0006】
上記構成によると、操舵油圧機構(15)の設置にあたっては、クラッチハウジング(16)上部のデッドスペースを有効活用することができ、コンパクトに配置構成することができる。
【0007】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の発明において、前記操舵油圧機構(15)は、エンジン(E)のDPF(17)を装着支持するDPFブラケット(18)に設置してあることを特徴とする。
【0008】
上記構成によると、操舵油圧機構を装着支持するための専用のブラケットを要せず、部品点数の削減が可能となる。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、操舵油圧機構(15)とステアリングシャフト(18)間を繋ぐジョイント部(19)に2箇所の折れ点(19a),(19b)を設け、コラムのチルト中央位置において、それぞれの折れ点の折れ角度(θ1),(θ2)が略同一角度となるよう配置してあることを特徴とする。
【0009】
上記構成によると、ジョイントの折れ点が2箇所でそれぞれの折れ角が略同じであることから、それぞれの折れ点で発生する角速度変化を相殺でき、操作フィーリングが向上する。
【0010】
請求項4記載の本発明は、請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記操舵油圧機構(15)は、後部側が前部側よりも上方に高くなるよう後傾姿勢に保持させてあることを特徴とする。
【0011】
上記構成によると、操舵油圧機構(15)に対するステアリングシャフト(8)の折れ角を小さくすることができ、操作フィーリングが向上するものとなる。
請求項5記載の本発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記操舵油圧機構(15)は、車体中心線(A)に対して左右に位置をずらせて配置してあることを特徴とする。
【0012】
上記構成によると、車体中心と操舵油圧機構の中心をずらすことで、ジョイントの折れ点間距離を拡大することができ、2箇所の折れ点間にスライド構成を織り込むことが可能となり、フロアの揺れに対応可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上要するに、請求項1記載の本発明によれば、操舵油圧機構をクラッチハウジングの上部に設置したので、クラッチハウジング上部のデッドスペースを有効活用することができ、コンパクトに配置構成することができる。
【0014】
請求項2記載の本発明によれば、請求項1記載の効果に加えて、操舵油圧機構はDPFブラケットに設置するようにしたので、操舵油圧機構を装着支持するための専用のブラケットが不要となり、部品点数の削減を図ることができる。
【0015】
請求項3記載の本発明によれば、請求項1又は請求項2記載の効果に加えて、ジョイントの折れ点が2箇所にあってそれぞれの折れ角が略同じであるため、それぞれの折れ点で発生する角速度変化を相殺することができ、操作フィーリングを向上させることができる。
【0016】
請求項4記載の本発明によれば、請求項1又は請求項2又は請求項3記載の効果に加えて、操舵油圧機構を後傾姿勢に支持することで、操舵油圧機構に対するステアリングシャフトの折れ角を小さくすることができ、操作フィーリングの向上を図ることができる。
【0017】
請求項5記載の本発明によれば、請求項1〜4のいずれか一つに記載の効果に加えて、車体中心と操舵油圧機構の中心位置を左右方向にずらすことで、ジョイントの折れ点間距離を拡大することができ、これにより2箇所の折れ点間にスライド構成を織り込むことが可能となり、フロアの揺れに対して充分に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】トラクタの側面図
【図2】同上要部の平面図
【図3】同上要部の側面図
【図4】同上要部の側面図
【図5】同上一部の側面図
【図6】安全フレームの要部の側面図
【図7】同上要部の平面図
【図8】同上要部の背面図
【図9】安全フレーム回動部のガタ防止機構を示す要部の平面図
【図10】安全フレームの要部の背断面図
【図11】同上要部の側面図
【図12】図10のA矢視図
【図13】安全フレーム要部の背断面図
【図14】安全フレーム要部の背面図
【図15】同上要部の側面図
【図16】安全フレーム要部の側面図
【図17】安全フレーム要部の側面図
【図18】安全フレーム要部の一部破断せる背面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、トラクタを示すものであり、この走行車体1前部のボンネット2内部にエンジンEを搭載し、このエンジンEの回転動力をミッションケース3内の変速装置に伝え、この変速装置で減速された回転動力を前輪4及び後輪5とに伝えるようにしている。エンジンEの後方に前輪4,4を操舵するステアリングハンドル6が装備され、更に、その後方には運転席7が設置されている。
【0020】
車体1の後部側には、リフトシリンダ9の作動で上下回動するリフトアーム10によって昇降するロータリ作業機Rが配備されている。
ハンドルポスト11の側部には、車両の前後進を切り替える前後進レバー12が設けられている。また、運転席7の側部には、ロータリ作業機Rの対地高さを設定するポジションレバー13、走行速度を変速制御する変速レバー14などが設置されている。
【0021】
左右の前輪4,4を操舵する操舵油圧機構15は、エンジンE後部のクラッチハウジング16の上部に配備し、エンジンEの上部に設置されたDPF(煤除去装置)17を支持するDPFブラケット18に油圧機構取付部材20を介して取付支持している。ステアリングシャフト8は、ステアリングコラム22内に回転自在に支持されている。ステアリングハンドル6は、チルト機構により前後に傾倒可能に構成してあり、運転者の体格等に合わせて調整できるようになっている。
【0022】
操舵油圧機構15とステアリングシャフト8間を繋ぐジョイント部19は、2箇所の折れ点19a,19bをもつユニバーサルジョイント19,19にて構成して設け、そして、図4に示すように、ステアリングコラムのチルト中央位置Yにおいて、それぞれの折れ点19a,19bの折れ角度θ1,θ2が略同一角度となるよう配置している。
【0023】
また、前記操舵油圧機構15は、後部側が前部側よりも上方に高くなるように側面視で傾斜角α(5°〜15°)を保持する構成とし、更には、平面視で車体中心線Aに対して操舵油圧機構の中心線Bが左側又は右側に偏倚するよう適宜に位置をずらせて配置した構成としている。
【0024】
図5に示すように、操舵油圧機構15の取付部材20に、シャフト8のシャフトホルダ21を別部品として、フロア搭載後に取り付けできるように構成しておくと、組み立ての容易化を図ることができるが、油圧機構取付部材20とシャフトホルダ21を一体化構成にすることもでき、これによる場合は部品点数の削減が可能となる。
【0025】
なお、フロアのシャフト貫通部にブーツを装着するが、このブーツを延長して操舵油圧機構の合わせ部をカバーするように構成することで、操舵油圧機構の合わせ部への水の浸入を防止することができる。
【0026】
図6〜図8に示す実施例は、安全フレーム25の上部にアッパフレームが可倒できるように軸支した支点軸支点ピン26の下側にU字型のクサビプレート27を設け、そのクサビプレートを後端からのノブボルト28により押し込んでガタを防止する構造で、可倒時のクサビプレートの外れ防止のためにノブボルトのネジ部からU字状の係止プレート29を設けた構成としている。かかる構成によると、クサビプレートの脱落防止とノブボルト先端部でのクサビプレートの磨耗防止効果が期待できる。
【0027】
また、図9例では、安全フレームの上部にアッパフレームが可倒できるように支点ピン26の抜き差しを可能とし、そのピンのガタ防止構造としてフレームの後方より調整式のノムボルト28を設け、その前方にはアッパフレームのブラケット下面の形状に合わせたU字状のガタ止めプレート30を配置すると共に、該ガタ止めプレート30にU型の抜け防止プレート31をノムボルト28側より設け、ノブボルトを回して押し込むと、ピンのガタを確実に防止することができる。
【0028】
図10及び図11例は、安全フレーム25のアンダフレーム25aに対するアッパフレーム25bを固定するときのガタ止め手段として、アッパフレーム25bの下端エッジ部25b1と、アンダフレーム25aの上部ブラケット32との間には、該上部ブラケット32に架設したスライド軸33に対して左右方向にスライド可能な2個のテーパーブロック34,34を設け、テーパーブロックのテーパー面を前記アッパフレーム25bの下端エッジ部25b1に強く押し付けてアッパフレーム25bのガタを防止するように構成している。
【0029】
そして、左右のテーパーブロック34,34間には圧縮スプリング35を介装することで、この圧縮スプリングの反発力を利用して左右のテーパーブロックを外側へ押し広げて制動力を高めるようにしている。従来は、アッパフレームとアンダフレームとの間にストッパゴム等を設置してガタ止めするようにしていたが、ストッパゴムの劣化に伴いガタが増大するものであった。本例によると、アッパフレームのガタを効果的に防止することができる。
【0030】
また、図12に示すように、ガタ止め解除機構の一例として、前記テーパーブロック34,34の外側面にV溝39を設け、このV溝39には、ガタ止め解除レバー40と一体回動可能なスライド軸33に対して直交する方向に突設したロールピン41を挿入しておき、ガタ止め解除レバー40を回動させることで、テーパーロック34,34を互いに内側方向へ押し縮め、ガタ止めを解除する構成としている。前記ガタ止め解除レバー40に対し、トルクスプリング42を併設しておくと、当該レバーがガタ止め有効側で常に弾圧保持されるようになる。
【0031】
なお、図10、図11中、36はロックピン、37a,37bはロック穴、38はロックレバーであって、ロックレバー38によりロックピン36を抜いてロック穴37aから37b又はロック穴37bから37aに差し替えることによってアッパフレーム25aを直立姿勢から倒伏姿勢、又はその逆に姿勢変更してロックするようになっている。
【0032】
図13例では、テーパーブロック34とアッパフレーム25bの下端エッジ25b1との間にローラー43を介在させている。
図14及び図15に示す実施例は、安全フレーム構成において、テーパーブロック34を、機体の後方又は前方にスライドさせる手段として、テーパーブロック34に雌ねじ44を設け、これにノブボルト28を挿入し、ノブボルトの回転操作によりテーパーブロック34をスライドさせる構成としている。
【0033】
また、ノブボルト28のノブ部(操作ハンドル部)28aは、車体前方側に配置しておくと、運転席側からの操作が容易にでき、車体後方側に配置しておくと車体後方からの操作が容易にできる。ノブ部を車体前方側と後方側とにそれぞれ設けるものであってもよい。
【0034】
図16例においては、アッパフレーム25bの下端エッジ25b1に対し、板ばね45によって押し付け、アッパフレーム25bのガタを防ぐように構成している。この板ばね45は、アッパフレーム25bの支点軸26に装着している。
【0035】
また、図17例では、板ばね45の途中部に、操作レバー46によって回動するレバー軸47に押上げカム48を設けておき、該レバー46の操作により、押上げカム48が板ばね45を持ち上げ、板ばねの弾発作用力をアップするように構成している。
【0036】
アッパフレーム25bの回動支点軸26として、図18に示すように、ボルト・ナットを使用し、アンダフレーム25aの上部ブラケット32はコの字型形状になっており、ボルト26を貫通支持するための二つの貫通穴が設けられている。一方側の貫通穴はボルトの外径と一致し、他方側の貫通穴はボルトに適合する座金より大径の穴とする。そして、大径の穴にはボルトと穴との間を埋めるカラー48を挿入している。
【0037】
この構成によると、ボルトの締付力によって大なる摩擦力を得ることができる。上記こうせいにおいて、カラー48は、ボルトが通る丸穴とし、外形が四角又は台形のプレートで構成する。これによると、ナットの緩み防止が可能となる。
【符号の説明】
【0038】
E エンジン
4 前輪
6 ステアリングハンドル
8 ステアリングシャフト
15 操舵油圧機構
16 クラッチハウジング
17 DPF
18 DPFブラケット
19 ジョイント部
19a ジョイント折れ点
19b ジョイント折れ点
【技術分野】
【0001】
この発明は、トラクタ等の作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ステアリングハンドルより延設したステアリングシャフトにパワステバルブを連設配備した構成のものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−331638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明による場合は、ステアリングハンドルの操作で左右の前輪を操舵する操舵油圧機構をエンジン後部のクラッチハウジングの上部に配置することによって、デッドスペースの有効活用を図ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、ステアリングハンドル(6)の操作で左右の前輪(4),(4)を操舵する操舵油圧機構(15)をエンジン(E)後部のクラッチハウジング(16)上部に配備してあることを特徴とする。
【0006】
上記構成によると、操舵油圧機構(15)の設置にあたっては、クラッチハウジング(16)上部のデッドスペースを有効活用することができ、コンパクトに配置構成することができる。
【0007】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の発明において、前記操舵油圧機構(15)は、エンジン(E)のDPF(17)を装着支持するDPFブラケット(18)に設置してあることを特徴とする。
【0008】
上記構成によると、操舵油圧機構を装着支持するための専用のブラケットを要せず、部品点数の削減が可能となる。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、操舵油圧機構(15)とステアリングシャフト(18)間を繋ぐジョイント部(19)に2箇所の折れ点(19a),(19b)を設け、コラムのチルト中央位置において、それぞれの折れ点の折れ角度(θ1),(θ2)が略同一角度となるよう配置してあることを特徴とする。
【0009】
上記構成によると、ジョイントの折れ点が2箇所でそれぞれの折れ角が略同じであることから、それぞれの折れ点で発生する角速度変化を相殺でき、操作フィーリングが向上する。
【0010】
請求項4記載の本発明は、請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記操舵油圧機構(15)は、後部側が前部側よりも上方に高くなるよう後傾姿勢に保持させてあることを特徴とする。
【0011】
上記構成によると、操舵油圧機構(15)に対するステアリングシャフト(8)の折れ角を小さくすることができ、操作フィーリングが向上するものとなる。
請求項5記載の本発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記操舵油圧機構(15)は、車体中心線(A)に対して左右に位置をずらせて配置してあることを特徴とする。
【0012】
上記構成によると、車体中心と操舵油圧機構の中心をずらすことで、ジョイントの折れ点間距離を拡大することができ、2箇所の折れ点間にスライド構成を織り込むことが可能となり、フロアの揺れに対応可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上要するに、請求項1記載の本発明によれば、操舵油圧機構をクラッチハウジングの上部に設置したので、クラッチハウジング上部のデッドスペースを有効活用することができ、コンパクトに配置構成することができる。
【0014】
請求項2記載の本発明によれば、請求項1記載の効果に加えて、操舵油圧機構はDPFブラケットに設置するようにしたので、操舵油圧機構を装着支持するための専用のブラケットが不要となり、部品点数の削減を図ることができる。
【0015】
請求項3記載の本発明によれば、請求項1又は請求項2記載の効果に加えて、ジョイントの折れ点が2箇所にあってそれぞれの折れ角が略同じであるため、それぞれの折れ点で発生する角速度変化を相殺することができ、操作フィーリングを向上させることができる。
【0016】
請求項4記載の本発明によれば、請求項1又は請求項2又は請求項3記載の効果に加えて、操舵油圧機構を後傾姿勢に支持することで、操舵油圧機構に対するステアリングシャフトの折れ角を小さくすることができ、操作フィーリングの向上を図ることができる。
【0017】
請求項5記載の本発明によれば、請求項1〜4のいずれか一つに記載の効果に加えて、車体中心と操舵油圧機構の中心位置を左右方向にずらすことで、ジョイントの折れ点間距離を拡大することができ、これにより2箇所の折れ点間にスライド構成を織り込むことが可能となり、フロアの揺れに対して充分に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】トラクタの側面図
【図2】同上要部の平面図
【図3】同上要部の側面図
【図4】同上要部の側面図
【図5】同上一部の側面図
【図6】安全フレームの要部の側面図
【図7】同上要部の平面図
【図8】同上要部の背面図
【図9】安全フレーム回動部のガタ防止機構を示す要部の平面図
【図10】安全フレームの要部の背断面図
【図11】同上要部の側面図
【図12】図10のA矢視図
【図13】安全フレーム要部の背断面図
【図14】安全フレーム要部の背面図
【図15】同上要部の側面図
【図16】安全フレーム要部の側面図
【図17】安全フレーム要部の側面図
【図18】安全フレーム要部の一部破断せる背面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、トラクタを示すものであり、この走行車体1前部のボンネット2内部にエンジンEを搭載し、このエンジンEの回転動力をミッションケース3内の変速装置に伝え、この変速装置で減速された回転動力を前輪4及び後輪5とに伝えるようにしている。エンジンEの後方に前輪4,4を操舵するステアリングハンドル6が装備され、更に、その後方には運転席7が設置されている。
【0020】
車体1の後部側には、リフトシリンダ9の作動で上下回動するリフトアーム10によって昇降するロータリ作業機Rが配備されている。
ハンドルポスト11の側部には、車両の前後進を切り替える前後進レバー12が設けられている。また、運転席7の側部には、ロータリ作業機Rの対地高さを設定するポジションレバー13、走行速度を変速制御する変速レバー14などが設置されている。
【0021】
左右の前輪4,4を操舵する操舵油圧機構15は、エンジンE後部のクラッチハウジング16の上部に配備し、エンジンEの上部に設置されたDPF(煤除去装置)17を支持するDPFブラケット18に油圧機構取付部材20を介して取付支持している。ステアリングシャフト8は、ステアリングコラム22内に回転自在に支持されている。ステアリングハンドル6は、チルト機構により前後に傾倒可能に構成してあり、運転者の体格等に合わせて調整できるようになっている。
【0022】
操舵油圧機構15とステアリングシャフト8間を繋ぐジョイント部19は、2箇所の折れ点19a,19bをもつユニバーサルジョイント19,19にて構成して設け、そして、図4に示すように、ステアリングコラムのチルト中央位置Yにおいて、それぞれの折れ点19a,19bの折れ角度θ1,θ2が略同一角度となるよう配置している。
【0023】
また、前記操舵油圧機構15は、後部側が前部側よりも上方に高くなるように側面視で傾斜角α(5°〜15°)を保持する構成とし、更には、平面視で車体中心線Aに対して操舵油圧機構の中心線Bが左側又は右側に偏倚するよう適宜に位置をずらせて配置した構成としている。
【0024】
図5に示すように、操舵油圧機構15の取付部材20に、シャフト8のシャフトホルダ21を別部品として、フロア搭載後に取り付けできるように構成しておくと、組み立ての容易化を図ることができるが、油圧機構取付部材20とシャフトホルダ21を一体化構成にすることもでき、これによる場合は部品点数の削減が可能となる。
【0025】
なお、フロアのシャフト貫通部にブーツを装着するが、このブーツを延長して操舵油圧機構の合わせ部をカバーするように構成することで、操舵油圧機構の合わせ部への水の浸入を防止することができる。
【0026】
図6〜図8に示す実施例は、安全フレーム25の上部にアッパフレームが可倒できるように軸支した支点軸支点ピン26の下側にU字型のクサビプレート27を設け、そのクサビプレートを後端からのノブボルト28により押し込んでガタを防止する構造で、可倒時のクサビプレートの外れ防止のためにノブボルトのネジ部からU字状の係止プレート29を設けた構成としている。かかる構成によると、クサビプレートの脱落防止とノブボルト先端部でのクサビプレートの磨耗防止効果が期待できる。
【0027】
また、図9例では、安全フレームの上部にアッパフレームが可倒できるように支点ピン26の抜き差しを可能とし、そのピンのガタ防止構造としてフレームの後方より調整式のノムボルト28を設け、その前方にはアッパフレームのブラケット下面の形状に合わせたU字状のガタ止めプレート30を配置すると共に、該ガタ止めプレート30にU型の抜け防止プレート31をノムボルト28側より設け、ノブボルトを回して押し込むと、ピンのガタを確実に防止することができる。
【0028】
図10及び図11例は、安全フレーム25のアンダフレーム25aに対するアッパフレーム25bを固定するときのガタ止め手段として、アッパフレーム25bの下端エッジ部25b1と、アンダフレーム25aの上部ブラケット32との間には、該上部ブラケット32に架設したスライド軸33に対して左右方向にスライド可能な2個のテーパーブロック34,34を設け、テーパーブロックのテーパー面を前記アッパフレーム25bの下端エッジ部25b1に強く押し付けてアッパフレーム25bのガタを防止するように構成している。
【0029】
そして、左右のテーパーブロック34,34間には圧縮スプリング35を介装することで、この圧縮スプリングの反発力を利用して左右のテーパーブロックを外側へ押し広げて制動力を高めるようにしている。従来は、アッパフレームとアンダフレームとの間にストッパゴム等を設置してガタ止めするようにしていたが、ストッパゴムの劣化に伴いガタが増大するものであった。本例によると、アッパフレームのガタを効果的に防止することができる。
【0030】
また、図12に示すように、ガタ止め解除機構の一例として、前記テーパーブロック34,34の外側面にV溝39を設け、このV溝39には、ガタ止め解除レバー40と一体回動可能なスライド軸33に対して直交する方向に突設したロールピン41を挿入しておき、ガタ止め解除レバー40を回動させることで、テーパーロック34,34を互いに内側方向へ押し縮め、ガタ止めを解除する構成としている。前記ガタ止め解除レバー40に対し、トルクスプリング42を併設しておくと、当該レバーがガタ止め有効側で常に弾圧保持されるようになる。
【0031】
なお、図10、図11中、36はロックピン、37a,37bはロック穴、38はロックレバーであって、ロックレバー38によりロックピン36を抜いてロック穴37aから37b又はロック穴37bから37aに差し替えることによってアッパフレーム25aを直立姿勢から倒伏姿勢、又はその逆に姿勢変更してロックするようになっている。
【0032】
図13例では、テーパーブロック34とアッパフレーム25bの下端エッジ25b1との間にローラー43を介在させている。
図14及び図15に示す実施例は、安全フレーム構成において、テーパーブロック34を、機体の後方又は前方にスライドさせる手段として、テーパーブロック34に雌ねじ44を設け、これにノブボルト28を挿入し、ノブボルトの回転操作によりテーパーブロック34をスライドさせる構成としている。
【0033】
また、ノブボルト28のノブ部(操作ハンドル部)28aは、車体前方側に配置しておくと、運転席側からの操作が容易にでき、車体後方側に配置しておくと車体後方からの操作が容易にできる。ノブ部を車体前方側と後方側とにそれぞれ設けるものであってもよい。
【0034】
図16例においては、アッパフレーム25bの下端エッジ25b1に対し、板ばね45によって押し付け、アッパフレーム25bのガタを防ぐように構成している。この板ばね45は、アッパフレーム25bの支点軸26に装着している。
【0035】
また、図17例では、板ばね45の途中部に、操作レバー46によって回動するレバー軸47に押上げカム48を設けておき、該レバー46の操作により、押上げカム48が板ばね45を持ち上げ、板ばねの弾発作用力をアップするように構成している。
【0036】
アッパフレーム25bの回動支点軸26として、図18に示すように、ボルト・ナットを使用し、アンダフレーム25aの上部ブラケット32はコの字型形状になっており、ボルト26を貫通支持するための二つの貫通穴が設けられている。一方側の貫通穴はボルトの外径と一致し、他方側の貫通穴はボルトに適合する座金より大径の穴とする。そして、大径の穴にはボルトと穴との間を埋めるカラー48を挿入している。
【0037】
この構成によると、ボルトの締付力によって大なる摩擦力を得ることができる。上記こうせいにおいて、カラー48は、ボルトが通る丸穴とし、外形が四角又は台形のプレートで構成する。これによると、ナットの緩み防止が可能となる。
【符号の説明】
【0038】
E エンジン
4 前輪
6 ステアリングハンドル
8 ステアリングシャフト
15 操舵油圧機構
16 クラッチハウジング
17 DPF
18 DPFブラケット
19 ジョイント部
19a ジョイント折れ点
19b ジョイント折れ点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングハンドル(6)の操作で左右の前輪(4),(4)を操舵する操舵油圧機構(15)をエンジン(E)後部のクラッチハウジング(16)上部に配備してあることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記操舵油圧機構(15)は、エンジン(E)のDPF(17)を装着支持するDPFブラケット(18)に設置してあることを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【請求項3】
前記操舵油圧機構(15)とステアリングシャフト(18)間を繋ぐジョイント部(19)に2箇所の折れ点(19a),(19b)を設け、コラムのチルト中央位置において、それぞれの折れ点の折れ角度(θ1),(θ2)が略同一角度となるよう配置してあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の作業車両。
【請求項4】
前記操舵油圧機構(15)は、後部側が前部側よりも上方に高くなるよう後傾姿勢に保持させてあることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の作業車両。
【請求項5】
前記操舵油圧機構(15)は、車体中心線(A)に対して左右に位置をずらせて配置してあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の作業車両。
【請求項1】
ステアリングハンドル(6)の操作で左右の前輪(4),(4)を操舵する操舵油圧機構(15)をエンジン(E)後部のクラッチハウジング(16)上部に配備してあることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記操舵油圧機構(15)は、エンジン(E)のDPF(17)を装着支持するDPFブラケット(18)に設置してあることを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【請求項3】
前記操舵油圧機構(15)とステアリングシャフト(18)間を繋ぐジョイント部(19)に2箇所の折れ点(19a),(19b)を設け、コラムのチルト中央位置において、それぞれの折れ点の折れ角度(θ1),(θ2)が略同一角度となるよう配置してあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の作業車両。
【請求項4】
前記操舵油圧機構(15)は、後部側が前部側よりも上方に高くなるよう後傾姿勢に保持させてあることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の作業車両。
【請求項5】
前記操舵油圧機構(15)は、車体中心線(A)に対して左右に位置をずらせて配置してあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の作業車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−47057(P2013−47057A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186148(P2011−186148)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]