作業車
【課題】ゼロ発進または微速走行性能を向上できる共に、負荷の大きい高速移動作業においても、作業能率を簡単に向上できるようにした作業車を提供するものである。
【解決手段】エンジン2の駆動力を伝える油圧変速機構30としての油圧ポンプ28及び油圧モータ29と、前記エンジン2の出力と前記油圧モータ28の出力を合成して変速出力する合成出力軸42を備えた作業車において、前記油圧ポンプ28を正転または逆転制御して、前記合成出力軸42を一方向に変速回転させるように構成したものである。
【解決手段】エンジン2の駆動力を伝える油圧変速機構30としての油圧ポンプ28及び油圧モータ29と、前記エンジン2の出力と前記油圧モータ28の出力を合成して変速出力する合成出力軸42を備えた作業車において、前記油圧ポンプ28を正転または逆転制御して、前記合成出力軸42を一方向に変速回転させるように構成したものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば刈取部及び脱穀部を備えて連続的に穀稈を刈取って脱穀処理するコンバインや田植機・トラクタ・土木建機などの作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ギヤミッションでは高い動力伝達効率となるが、有段変速により操作性を向上し得ない不具合がある。また、油圧式無段変速機構は初速がゼロから発進させるゼロ発進可能な無段変速により優れた操作性を得られるが、動力伝達効率に限界があり、低速での動力損失が大きくなる不具合がある。また、Vベルト及びプーリを用いたベルト式無段変速機構は高効率の無段変速を行えるが、初速がゼロから発進させるゼロ発進を行えない不具合がある。そこでコンバインなど作業車において、スムーズな圃場の出入、ショックの少ない変速動作、クラッチが不要な発進動作、作業または田面などの状況に適応した速度調節などが要求され、高い動力伝達効率、及びゼロ発進可能な無段変速、及び簡単な変速操作が望まれるもので、そのため油圧変速機構に遊星ギヤ機構を組合せて油圧変速機構単体使用での動力損失など無くして、油圧を用いた場合の操作性とギヤ(機構)を用いた場合の高い伝達効率と両立させた複合変速機構を形成する手段がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−127782号公報
【特許文献2】特開昭53−120047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし乍ら、従来この複合変速機構にあっては油圧変速機構を構成する油圧ポンプに可変容量形を用い油圧モータに定容量形を用いて、油圧ポンプの斜板を操作する操作アームが−1から中立を介し+1まで変化させるときに、複合変速機構の出力を0回転から最高回転まで変化させる関係とさせると共に、この複合変速機構の出力を正逆転切換機構で正逆に切換えて、前進及び後進で走行を行う構成とするため、別途正逆転切換機構の設置を必要とするなどの構造上の複雑さがあるばかりでなく、前後進時には前後進操作レバーなどで正逆転切換機構をその都度切換動作させるなどの操作上の煩わしさがあった。
【0005】
そこで、本願発明は、これらの現状を検討して改善を施した作業車を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1の発明は、エンジンの動力を変速して出力する油圧変速機構としての油圧ポンプ及び油圧モータと、前記エンジンの動力と前記油圧モータの変速出力とを合成する遊星ギヤ機構、前記遊星ギヤ機構の合成出力がゼロ乃至最大速の一方向の回転力として伝達される合成出力軸、及びPTO出力軸を有するミッションケースとを備えた作業車において、前記エンジンの動力が伝達される前記油圧ポンプのポンプ軸で前記PTO出力軸を駆動させる一方、変速操作具を中立位置に操作した場合、前記油圧ポンプの斜板傾斜角が最大逆転角になって前記合成出力軸の回転数をゼロにし、車体の移動速度をゼロにするように構成しているというものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の作業車において、前記合成出力軸には、その一方向の回転力を前進、中立、後進の出力に切り換える変速ギヤ機構を備えているというものである。
【発明の効果】
【0008】
本願発明によると、エンジンの動力を変速して出力する油圧変速機構としての油圧ポンプ及び油圧モータと、前記エンジンの動力と前記油圧モータの変速出力とを合成する遊星ギヤ機構、前記遊星ギヤ機構の合成出力がゼロ乃至最大速の一方向の回転力として伝達される合成出力軸、及びPTO出力軸を有するミッションケースとを備えた作業車において、前記エンジンの動力が伝達される前記油圧ポンプのポンプ軸で前記PTO出力軸を駆動させる一方、変速操作具を中立位置に操作した場合、前記油圧ポンプの斜板傾斜角が最大逆転角になって前記合成出力軸の回転数をゼロにし、車体の移動速度をゼロにするように構成しているから、ゼロ発進時の出力トルクを容易に確保でき、ゼロ発進または微速走行性能を向上できる共に、負荷の大きい高速移動作業においても、高い動力伝達効率の出力を有効に利用して、作業能率を簡単に向上できるものである。
【0009】
また、ゼロ発進可能な無段変速と高い動力伝達効率を、簡単な油圧変速とギヤ組成とで容易に達成でき、走行性能及び変速操作性の向上などを容易に図れるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】コンバインの全体側面図である。
【図2】コンバインの全体平面図である。
【図3】走行駆動系の説明図である。
【図4】遊星ギヤ機構部の説明図である。
【図5】合成出力軸の0回転状態を示す説明図である。
【図6】合成出力軸の最高効率回転状態を示す説明図である。
【図7】合成出力軸の最高回転状態を示す説明図である。
【図8】合成出力軸の回転状態を示す説明図である。
【図9】主変速レバーと油圧変速機構との関係を示す説明図である。
【図10】遊星ギヤ機構の回転説明図である。
【図11】油圧変速機構の出力説明図である。
【図12】伝達ギヤ側の出力説明図である。
【図13】合成出力軸の出力説明図である。
【図14】低速走行のエンジン出力説明図である。
【図15】中速走行のエンジン出力説明図である。
【図16】高速走行のエンジン出力説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1はコンバインの全体側面図、図2は同平面図であり、図中1は左右一対の走行部材である走行クローラ2を装設するトラックフレーム、3は前記トラックフレーム1に架設する機台、4はフィードチェン5を左側に張架し扱胴6及び処理胴7を内蔵している脱穀部、8は刈刃9及び穀稈搬送機構10などを備える刈取部、11は刈取フレーム12を介して刈取部8を昇降させる油圧シリンダ、13は排藁チェン14終端を臨ませる排藁処理部、15は脱穀部4からの穀粒を揚穀筒16を介して搬入する穀物タンク、17は前記タンク15の穀粒を機外に搬出する排出オーガ、18は丸形操向ハンドル19及び運転席20などを備える運転台、21は運転席20下方に設けるエンジンであり、連続的に穀稈を刈取って脱穀するように構成している。
【0012】
また、図中22は走行クローラ2を駆動するミッションケース、23は運転台18左側に設けるサイドコラムであり、主変速レバー24・副変速レバー25・刈取クラッチレバー26・脱穀クラッチレバー27をサイドコラム23に設けている。
【0013】
図3、図4に示す如く、前記ミッションケース22の一側に可変容量形油圧ポンプ28及び油圧モータ29で形成する1組の無段油圧変速機構30を設け、該変速機構30の変速入力用ポンプ軸31をエンジン2に連結させて、エンジン2出力を油圧変速機構30に伝達させると共に、ミッションケース22内に突出させるポンプ軸31に小径の伝達ギヤ32を係合軸支させ、PTO出力プーリ33を有するPTO出力軸34に伝達ギヤ32の動力を伝えるように構成している。
【0014】
また、前記ミッションケース22内に突出させる油圧変速機構30のモータ軸35にサンギヤ36を係合軸支させ、前記の小径の伝達ギヤ32に大径のキャリヤギヤ37を常に噛合させ、サンギヤ36のボス部にキャリヤギヤ37を遊転軸支させるもので、キャリヤギヤ37に3枚のプラネタリギヤ38を軸39を介して回転自在に設け、サンギヤ36にプラネタリギヤ38を噛合させると共に、プラネタリギヤ38に噛合させるリングギヤ40を設け、各ギヤ36・38・40によって遊星ギヤ機構41を形成する。
【0015】
さらに、前記サンギヤ36とミッションケース22に合成出力軸42の両端を回転自在に軸支させ、前記リングギヤ40を合成出力軸42に係合軸支させるもので、図11乃至図13に示す如く油圧変速機構30の油圧ポンプ28及び油圧モータ29の無段油圧変速出力である正逆回転出力と、伝達ギヤ32及びキャリヤギヤ37の回転出力(一方向の一定回転)とを、遊星ギヤ機構41のデフ作用によって合成し、ゼロ乃至最大速の一方向の回転力として合成出力軸42に伝える。
【0016】
また、前記合成出力軸42を1対のギヤ43を介して副変速ギヤ軸44に連結させると共に、副変速ギヤ部44aを構成する1対の低速ギヤ45及び高速ギヤ46を介して駐車ブレーキ47を有する駐車ブレーキ軸48に副変速ギヤ軸44を連結させ、左右サイドクラッチ49・50を有する左右サイドクラッチ軸51・52、左右伝達軸53・54を介して左右前車軸55・56に駐車ブレーキ軸48を連結させて、走行クローラ2の駆動スプロケット57を駆動して車体の前後進及び左右旋回を行うように構成している。
【0017】
そして図3、図5乃至図9に示す如く、前記油圧ポンプ28及び油圧モータ29の斜板58・59に制御軸60・61を介して油圧変速操作アーム62・63を連結させ、該アーム62・63をロッドなどを介し主変速レバー24に連結させて、主変速レバー24の操作でもって斜板58・59の傾斜角を変更して合成出力軸42の回転制御を行うように構成している。
【0018】
そして、主変速レバー24を中立位置Nと前進最高速位置F2間で操作する場合には、油圧モータ29の斜板59の傾斜角θaを一定保持させた状態で油圧ポンプ28の斜板58の傾斜角のみを最大逆転角−αから最大正転角+α間で変化させて車体の移動速度を0から最高速度V2まで変速させる前進走行を行う一方、主変速レバー24を中立位置Nと後進最高速位置R間で操作する場合には、油圧ポンプ28の斜板58の傾斜角を最大逆転角−αに保った状態で、油圧モータ29の斜板59のみを一定傾斜角θaと低速側(斜板59を立てる方向)の一定傾斜角θbとの間で変化させて車速の移動速度を0から最高速度V1まで変速させる後進走行を行う。
【0019】
つまり、図5、図9に示す如く、主変速レバー24を中立位置Nに操作し、油圧ポンプ28斜板58を傾斜角−α、油圧モータ29斜板59を傾斜角θaで油圧変速機構30を駆動するとき、図10(1)に示す如く、サンギヤ36は最高回転で時計回りに逆転してプラネタリギヤ38を反時計回りに自転させる動作を行わせると同時に、また伝達ギヤ32によってキャリヤギヤ37を回転させることにより、プラネタリギヤ38を時計方向に公転させて反時計回りに自転させる動作を行わせ、リングギヤ40の回転をゼロにし、合成出力軸42を停止維持する(図9のA位置、移動速度は0)。
【0020】
また図6に示す如く、主変速レバー24を前進1速位置F1に操作し、油圧ポンプ28の斜板58を傾斜角0(立設状態)、油圧モータ29の斜板59を傾斜角θaで油圧変速機構30を駆動するとき、図10(2)に示す如く、サンギヤ36は停止し、伝達ギヤ32によってキャリヤギヤ37を回転させ、プラネタリギヤ38を時計方向に自転させ乍ら時計方向に公転させ、伝達ギヤ32のギヤ動力により合成出力軸42を回転させる(図9のB位置、移動速度は前進V1位置で、最高効率状態)。
【0021】
さらに図7に示す如く、主変速レバー24を前進2速位置F2に操作し、油圧ポンプ28の斜板58を傾斜角+αで油圧モータ29の斜板59を傾斜角θaで油圧変速機構30を駆動するとき、図10(3)に示す如く、サンギヤ36は最高回転で反時計回りに正転し、プラネタリギヤ38を時計方向に自転させ乍ら伝達ギヤ32でキャリヤギヤ37を回転させることによって時計方向に公転させ、サンギヤ36からの油圧変速力と伝達ギヤ32動力を加算して合成出力軸42を回転させる(図9のC位置、移動速度は前進V2位置で、最高速状態)。
【0022】
また図8に示す如く、主変速レバー24を後進位置Rに操作し、油圧ポンプ28の斜板58を傾斜角−αで油圧モータ29の斜板59を傾斜角θb(θb<θa)で油圧変速機構30を駆動するとき、図10(1)の状態より油圧モータ29(サンギヤ36)の回転が減速し、合成出力軸42の回転は前進時の正転状態より逆転する(図9のD位置、移動速度は後進V1位置で後進走行状態)。
【0023】
そして、例えば、一般的な入力動力100に対して、ギヤ32の損失が2で、油圧変速の損失が30の条件下において、図14のように、低速で走行時、エンジン2の入力動力を100とし、油圧伝達動力を50にした場合、油圧伝達動力の50がポンプ軸31に戻ってギヤ32側の伝達動力が150になると、ギヤ32の損失が3で、油圧変速機構30の損失が15となり、出力動力が82の割合で得られる。また、図15のように、前記油圧変速機構30の伝達動力をゼロにする中速で走行時、ギヤ32側の伝達動力が100になり、ギヤ32の損失が2となり、出力動力が98の割合で得られる。また、図16のように、高速で走行時、油圧伝達動力が40で、ギヤ32側の伝達動力が60の場合、ギヤ32の損失が1で、油圧変速機構30の損失が12となり、出力動力が87の割合で得られるもので、油圧モータ操作アーム63の角度を設定に保ち、例えば、図11のように、油圧ポンプ変速操作アーム62の角度を−1乃至0乃至1に変化させることにより、モータ軸35が−N乃至0乃至+N回転になるようにし、図12のように、前記アーム62の角度に関係なくギヤ32側をN回転させた場合、図13のように、前記アーム62の角度に対して合成出力軸42が0乃至2N回転になるように、ギヤ32・37及び遊星ギヤ機構41を組成して車体を前進走行させるように構成している。
【0024】
また、油圧ポンプ操作アーム62の角度が−1状態で、油圧モータ操作アーム63の角度を設定より中立側に戻すとき、合成出力軸42が逆転し0乃至N回転となるように設けて、車体を後進走行させるように構成している。
【0025】
以上からも明らかなように、エンジン2の駆動力を伝える油圧変速機構30と伝達ギヤ32の各出力を合成して変速出力する複合変速機構64を備えた作業車において、1組の可変容量形の油圧ポンプ28及び油圧モータ29で油圧変速機構30を形成し、油圧ポンプ28の斜板58角制御によって複合変速機構64の合成出力軸42を正転方向に変速回転させると共に、油圧モータ29の斜板59角制御によって複合変速機構64の合成出力軸42を逆転方向に変速回転させるように設けたことによって、別途複雑な前後進切換機構(正逆転切換機構)など設ける必要なく可変容量形油圧モータ29の斜板59を調節するレバー或いはペダルの簡単な操作で前後進の切換えを容易に行うと共に、ゼロ発進時の出力トルクを容易に確保し微速走行性能を向上させ、しかも負荷の大きい作業においても高い動力伝達効率の出力を有効に利用して作業能率の向上など容易に図ることができる。
【0026】
また、油圧モータ29の斜板58角を一定保持させ、油圧ポンプ28の斜板58角を正逆に制御して複合変速機構64の合成出力軸42を正転方向で変速回転させることによって、油圧ポンプ28の斜板58角を単一のレバーなどによって操作するだけでの簡単な操作で合成出力軸42を一方向(正転)に変速回転させて、前進走行でのスムーズ且つ容易な変速などを容易に可能とさせることができる。
【0027】
さらに、油圧ポンプ28の斜板58角を逆転側最大出力位置(合成出力軸42が0回転)に保持させ、油圧モータ29の斜板58角を設定より中立側に制御して、複合変速機構64の合成出力軸42を逆転方向で変速回転させることによって、油圧モータ29の斜板58角を単一のレバーなどによって操作するだけの簡単な操作で合成出力軸42の反対側一方向(逆転)に変速回転させて、後進走行でのスムーズ且つ容易な変速などを容易に可能とさせることができる。
【0028】
また、油圧ポンプ28の斜板58角制御で前進での走行変速を行うと共に、油圧モータ29の斜板58角制御で後進での走行変速を行うことによって、1組の油圧ポンプ28及び油圧モータ29からなる油圧変速機構30のみを用いて、ゼロ発進や効率良好な出力などを確保した前後進走行を容易に可能とさせて、走行性能を向上させることができる。
【0029】
以上実施例から明らかなように本発明は、エンジン2の駆動力を伝える油圧変速機構30と伝達ギヤ32の各出力を合成して変速出力する複合変速機構64を備えた作業車において、1組の可変容量形の油圧ポンプ28及び油圧モータ29で油圧変速機構30を形成し、油圧ポンプ28の斜板58角制御によって複合変速機構64の合成出力軸42を正転方向に変速回転させると共に、油圧モータ29の斜板59角制御によって複合変速機構64の合成出力軸42を逆転方向に変速回転させるものであるから、別途複雑な前後進切換機構(正逆転切換機構)など設ける必要なく可変容量形油圧モータ29の斜板59を調節するレバー或いはペダルの簡単な操作で前後進の切換えを容易に行うと共に、ゼロ発進時の出力トルクを容易に確保し微速走行性能を向上させ、しかも負荷の大きい作業においても高い動力伝達効率の出力を有効に利用して作業能率の向上など容易に図ることができるものである。
【0030】
また、油圧モータ29の斜板58角を一定保持させ、油圧ポンプ28の斜板58角を正逆に制御して複合変速機構64の合成出力軸42を正転方向で変速回転させるものであるから、油圧ポンプ28の斜板58角を単一のレバーなどによって操作するだけでの簡単な操作で合成出力軸42を一方向(正転)に変速回転させて、前進走行でのスムーズ且つ容易な変速などを容易に可能とさせることができるものである。
【0031】
さらに、油圧ポンプ28の斜板58角を逆転側最大出力位置に保持させ、油圧モータ29の斜板58角を設定より中立側に制御して、複合変速機構64の合成出力軸42を逆転方向で変速回転させるものであるから、油圧モータ29の斜板58角を単一のレバーなどによって操作するだけの簡単な操作で合成出力軸42の反対側一方向(逆転)に変速回転させて、後進走行でのスムーズ且つ容易な変速などを容易に可能とさせることができるものである。
【0032】
また、油圧ポンプ28の斜板58角制御で前進での走行変速を行うと共に、油圧モータ29の斜板58角制御で後進での走行変速を行うものであるから、1組の油圧ポンプ28及び油圧モータ29からなる油圧変速機構30のみを用いて、ゼロ発進や効率良好な出力などを確保した前後進走行を容易に可能とさせて、走行性能を向上させることができるものである。
【符号の説明】
【0033】
2 エンジン
28 油圧ポンプ
29 油圧モータ
30 油圧変速機構
42 合成出力軸
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば刈取部及び脱穀部を備えて連続的に穀稈を刈取って脱穀処理するコンバインや田植機・トラクタ・土木建機などの作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ギヤミッションでは高い動力伝達効率となるが、有段変速により操作性を向上し得ない不具合がある。また、油圧式無段変速機構は初速がゼロから発進させるゼロ発進可能な無段変速により優れた操作性を得られるが、動力伝達効率に限界があり、低速での動力損失が大きくなる不具合がある。また、Vベルト及びプーリを用いたベルト式無段変速機構は高効率の無段変速を行えるが、初速がゼロから発進させるゼロ発進を行えない不具合がある。そこでコンバインなど作業車において、スムーズな圃場の出入、ショックの少ない変速動作、クラッチが不要な発進動作、作業または田面などの状況に適応した速度調節などが要求され、高い動力伝達効率、及びゼロ発進可能な無段変速、及び簡単な変速操作が望まれるもので、そのため油圧変速機構に遊星ギヤ機構を組合せて油圧変速機構単体使用での動力損失など無くして、油圧を用いた場合の操作性とギヤ(機構)を用いた場合の高い伝達効率と両立させた複合変速機構を形成する手段がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−127782号公報
【特許文献2】特開昭53−120047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし乍ら、従来この複合変速機構にあっては油圧変速機構を構成する油圧ポンプに可変容量形を用い油圧モータに定容量形を用いて、油圧ポンプの斜板を操作する操作アームが−1から中立を介し+1まで変化させるときに、複合変速機構の出力を0回転から最高回転まで変化させる関係とさせると共に、この複合変速機構の出力を正逆転切換機構で正逆に切換えて、前進及び後進で走行を行う構成とするため、別途正逆転切換機構の設置を必要とするなどの構造上の複雑さがあるばかりでなく、前後進時には前後進操作レバーなどで正逆転切換機構をその都度切換動作させるなどの操作上の煩わしさがあった。
【0005】
そこで、本願発明は、これらの現状を検討して改善を施した作業車を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1の発明は、エンジンの動力を変速して出力する油圧変速機構としての油圧ポンプ及び油圧モータと、前記エンジンの動力と前記油圧モータの変速出力とを合成する遊星ギヤ機構、前記遊星ギヤ機構の合成出力がゼロ乃至最大速の一方向の回転力として伝達される合成出力軸、及びPTO出力軸を有するミッションケースとを備えた作業車において、前記エンジンの動力が伝達される前記油圧ポンプのポンプ軸で前記PTO出力軸を駆動させる一方、変速操作具を中立位置に操作した場合、前記油圧ポンプの斜板傾斜角が最大逆転角になって前記合成出力軸の回転数をゼロにし、車体の移動速度をゼロにするように構成しているというものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の作業車において、前記合成出力軸には、その一方向の回転力を前進、中立、後進の出力に切り換える変速ギヤ機構を備えているというものである。
【発明の効果】
【0008】
本願発明によると、エンジンの動力を変速して出力する油圧変速機構としての油圧ポンプ及び油圧モータと、前記エンジンの動力と前記油圧モータの変速出力とを合成する遊星ギヤ機構、前記遊星ギヤ機構の合成出力がゼロ乃至最大速の一方向の回転力として伝達される合成出力軸、及びPTO出力軸を有するミッションケースとを備えた作業車において、前記エンジンの動力が伝達される前記油圧ポンプのポンプ軸で前記PTO出力軸を駆動させる一方、変速操作具を中立位置に操作した場合、前記油圧ポンプの斜板傾斜角が最大逆転角になって前記合成出力軸の回転数をゼロにし、車体の移動速度をゼロにするように構成しているから、ゼロ発進時の出力トルクを容易に確保でき、ゼロ発進または微速走行性能を向上できる共に、負荷の大きい高速移動作業においても、高い動力伝達効率の出力を有効に利用して、作業能率を簡単に向上できるものである。
【0009】
また、ゼロ発進可能な無段変速と高い動力伝達効率を、簡単な油圧変速とギヤ組成とで容易に達成でき、走行性能及び変速操作性の向上などを容易に図れるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】コンバインの全体側面図である。
【図2】コンバインの全体平面図である。
【図3】走行駆動系の説明図である。
【図4】遊星ギヤ機構部の説明図である。
【図5】合成出力軸の0回転状態を示す説明図である。
【図6】合成出力軸の最高効率回転状態を示す説明図である。
【図7】合成出力軸の最高回転状態を示す説明図である。
【図8】合成出力軸の回転状態を示す説明図である。
【図9】主変速レバーと油圧変速機構との関係を示す説明図である。
【図10】遊星ギヤ機構の回転説明図である。
【図11】油圧変速機構の出力説明図である。
【図12】伝達ギヤ側の出力説明図である。
【図13】合成出力軸の出力説明図である。
【図14】低速走行のエンジン出力説明図である。
【図15】中速走行のエンジン出力説明図である。
【図16】高速走行のエンジン出力説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1はコンバインの全体側面図、図2は同平面図であり、図中1は左右一対の走行部材である走行クローラ2を装設するトラックフレーム、3は前記トラックフレーム1に架設する機台、4はフィードチェン5を左側に張架し扱胴6及び処理胴7を内蔵している脱穀部、8は刈刃9及び穀稈搬送機構10などを備える刈取部、11は刈取フレーム12を介して刈取部8を昇降させる油圧シリンダ、13は排藁チェン14終端を臨ませる排藁処理部、15は脱穀部4からの穀粒を揚穀筒16を介して搬入する穀物タンク、17は前記タンク15の穀粒を機外に搬出する排出オーガ、18は丸形操向ハンドル19及び運転席20などを備える運転台、21は運転席20下方に設けるエンジンであり、連続的に穀稈を刈取って脱穀するように構成している。
【0012】
また、図中22は走行クローラ2を駆動するミッションケース、23は運転台18左側に設けるサイドコラムであり、主変速レバー24・副変速レバー25・刈取クラッチレバー26・脱穀クラッチレバー27をサイドコラム23に設けている。
【0013】
図3、図4に示す如く、前記ミッションケース22の一側に可変容量形油圧ポンプ28及び油圧モータ29で形成する1組の無段油圧変速機構30を設け、該変速機構30の変速入力用ポンプ軸31をエンジン2に連結させて、エンジン2出力を油圧変速機構30に伝達させると共に、ミッションケース22内に突出させるポンプ軸31に小径の伝達ギヤ32を係合軸支させ、PTO出力プーリ33を有するPTO出力軸34に伝達ギヤ32の動力を伝えるように構成している。
【0014】
また、前記ミッションケース22内に突出させる油圧変速機構30のモータ軸35にサンギヤ36を係合軸支させ、前記の小径の伝達ギヤ32に大径のキャリヤギヤ37を常に噛合させ、サンギヤ36のボス部にキャリヤギヤ37を遊転軸支させるもので、キャリヤギヤ37に3枚のプラネタリギヤ38を軸39を介して回転自在に設け、サンギヤ36にプラネタリギヤ38を噛合させると共に、プラネタリギヤ38に噛合させるリングギヤ40を設け、各ギヤ36・38・40によって遊星ギヤ機構41を形成する。
【0015】
さらに、前記サンギヤ36とミッションケース22に合成出力軸42の両端を回転自在に軸支させ、前記リングギヤ40を合成出力軸42に係合軸支させるもので、図11乃至図13に示す如く油圧変速機構30の油圧ポンプ28及び油圧モータ29の無段油圧変速出力である正逆回転出力と、伝達ギヤ32及びキャリヤギヤ37の回転出力(一方向の一定回転)とを、遊星ギヤ機構41のデフ作用によって合成し、ゼロ乃至最大速の一方向の回転力として合成出力軸42に伝える。
【0016】
また、前記合成出力軸42を1対のギヤ43を介して副変速ギヤ軸44に連結させると共に、副変速ギヤ部44aを構成する1対の低速ギヤ45及び高速ギヤ46を介して駐車ブレーキ47を有する駐車ブレーキ軸48に副変速ギヤ軸44を連結させ、左右サイドクラッチ49・50を有する左右サイドクラッチ軸51・52、左右伝達軸53・54を介して左右前車軸55・56に駐車ブレーキ軸48を連結させて、走行クローラ2の駆動スプロケット57を駆動して車体の前後進及び左右旋回を行うように構成している。
【0017】
そして図3、図5乃至図9に示す如く、前記油圧ポンプ28及び油圧モータ29の斜板58・59に制御軸60・61を介して油圧変速操作アーム62・63を連結させ、該アーム62・63をロッドなどを介し主変速レバー24に連結させて、主変速レバー24の操作でもって斜板58・59の傾斜角を変更して合成出力軸42の回転制御を行うように構成している。
【0018】
そして、主変速レバー24を中立位置Nと前進最高速位置F2間で操作する場合には、油圧モータ29の斜板59の傾斜角θaを一定保持させた状態で油圧ポンプ28の斜板58の傾斜角のみを最大逆転角−αから最大正転角+α間で変化させて車体の移動速度を0から最高速度V2まで変速させる前進走行を行う一方、主変速レバー24を中立位置Nと後進最高速位置R間で操作する場合には、油圧ポンプ28の斜板58の傾斜角を最大逆転角−αに保った状態で、油圧モータ29の斜板59のみを一定傾斜角θaと低速側(斜板59を立てる方向)の一定傾斜角θbとの間で変化させて車速の移動速度を0から最高速度V1まで変速させる後進走行を行う。
【0019】
つまり、図5、図9に示す如く、主変速レバー24を中立位置Nに操作し、油圧ポンプ28斜板58を傾斜角−α、油圧モータ29斜板59を傾斜角θaで油圧変速機構30を駆動するとき、図10(1)に示す如く、サンギヤ36は最高回転で時計回りに逆転してプラネタリギヤ38を反時計回りに自転させる動作を行わせると同時に、また伝達ギヤ32によってキャリヤギヤ37を回転させることにより、プラネタリギヤ38を時計方向に公転させて反時計回りに自転させる動作を行わせ、リングギヤ40の回転をゼロにし、合成出力軸42を停止維持する(図9のA位置、移動速度は0)。
【0020】
また図6に示す如く、主変速レバー24を前進1速位置F1に操作し、油圧ポンプ28の斜板58を傾斜角0(立設状態)、油圧モータ29の斜板59を傾斜角θaで油圧変速機構30を駆動するとき、図10(2)に示す如く、サンギヤ36は停止し、伝達ギヤ32によってキャリヤギヤ37を回転させ、プラネタリギヤ38を時計方向に自転させ乍ら時計方向に公転させ、伝達ギヤ32のギヤ動力により合成出力軸42を回転させる(図9のB位置、移動速度は前進V1位置で、最高効率状態)。
【0021】
さらに図7に示す如く、主変速レバー24を前進2速位置F2に操作し、油圧ポンプ28の斜板58を傾斜角+αで油圧モータ29の斜板59を傾斜角θaで油圧変速機構30を駆動するとき、図10(3)に示す如く、サンギヤ36は最高回転で反時計回りに正転し、プラネタリギヤ38を時計方向に自転させ乍ら伝達ギヤ32でキャリヤギヤ37を回転させることによって時計方向に公転させ、サンギヤ36からの油圧変速力と伝達ギヤ32動力を加算して合成出力軸42を回転させる(図9のC位置、移動速度は前進V2位置で、最高速状態)。
【0022】
また図8に示す如く、主変速レバー24を後進位置Rに操作し、油圧ポンプ28の斜板58を傾斜角−αで油圧モータ29の斜板59を傾斜角θb(θb<θa)で油圧変速機構30を駆動するとき、図10(1)の状態より油圧モータ29(サンギヤ36)の回転が減速し、合成出力軸42の回転は前進時の正転状態より逆転する(図9のD位置、移動速度は後進V1位置で後進走行状態)。
【0023】
そして、例えば、一般的な入力動力100に対して、ギヤ32の損失が2で、油圧変速の損失が30の条件下において、図14のように、低速で走行時、エンジン2の入力動力を100とし、油圧伝達動力を50にした場合、油圧伝達動力の50がポンプ軸31に戻ってギヤ32側の伝達動力が150になると、ギヤ32の損失が3で、油圧変速機構30の損失が15となり、出力動力が82の割合で得られる。また、図15のように、前記油圧変速機構30の伝達動力をゼロにする中速で走行時、ギヤ32側の伝達動力が100になり、ギヤ32の損失が2となり、出力動力が98の割合で得られる。また、図16のように、高速で走行時、油圧伝達動力が40で、ギヤ32側の伝達動力が60の場合、ギヤ32の損失が1で、油圧変速機構30の損失が12となり、出力動力が87の割合で得られるもので、油圧モータ操作アーム63の角度を設定に保ち、例えば、図11のように、油圧ポンプ変速操作アーム62の角度を−1乃至0乃至1に変化させることにより、モータ軸35が−N乃至0乃至+N回転になるようにし、図12のように、前記アーム62の角度に関係なくギヤ32側をN回転させた場合、図13のように、前記アーム62の角度に対して合成出力軸42が0乃至2N回転になるように、ギヤ32・37及び遊星ギヤ機構41を組成して車体を前進走行させるように構成している。
【0024】
また、油圧ポンプ操作アーム62の角度が−1状態で、油圧モータ操作アーム63の角度を設定より中立側に戻すとき、合成出力軸42が逆転し0乃至N回転となるように設けて、車体を後進走行させるように構成している。
【0025】
以上からも明らかなように、エンジン2の駆動力を伝える油圧変速機構30と伝達ギヤ32の各出力を合成して変速出力する複合変速機構64を備えた作業車において、1組の可変容量形の油圧ポンプ28及び油圧モータ29で油圧変速機構30を形成し、油圧ポンプ28の斜板58角制御によって複合変速機構64の合成出力軸42を正転方向に変速回転させると共に、油圧モータ29の斜板59角制御によって複合変速機構64の合成出力軸42を逆転方向に変速回転させるように設けたことによって、別途複雑な前後進切換機構(正逆転切換機構)など設ける必要なく可変容量形油圧モータ29の斜板59を調節するレバー或いはペダルの簡単な操作で前後進の切換えを容易に行うと共に、ゼロ発進時の出力トルクを容易に確保し微速走行性能を向上させ、しかも負荷の大きい作業においても高い動力伝達効率の出力を有効に利用して作業能率の向上など容易に図ることができる。
【0026】
また、油圧モータ29の斜板58角を一定保持させ、油圧ポンプ28の斜板58角を正逆に制御して複合変速機構64の合成出力軸42を正転方向で変速回転させることによって、油圧ポンプ28の斜板58角を単一のレバーなどによって操作するだけでの簡単な操作で合成出力軸42を一方向(正転)に変速回転させて、前進走行でのスムーズ且つ容易な変速などを容易に可能とさせることができる。
【0027】
さらに、油圧ポンプ28の斜板58角を逆転側最大出力位置(合成出力軸42が0回転)に保持させ、油圧モータ29の斜板58角を設定より中立側に制御して、複合変速機構64の合成出力軸42を逆転方向で変速回転させることによって、油圧モータ29の斜板58角を単一のレバーなどによって操作するだけの簡単な操作で合成出力軸42の反対側一方向(逆転)に変速回転させて、後進走行でのスムーズ且つ容易な変速などを容易に可能とさせることができる。
【0028】
また、油圧ポンプ28の斜板58角制御で前進での走行変速を行うと共に、油圧モータ29の斜板58角制御で後進での走行変速を行うことによって、1組の油圧ポンプ28及び油圧モータ29からなる油圧変速機構30のみを用いて、ゼロ発進や効率良好な出力などを確保した前後進走行を容易に可能とさせて、走行性能を向上させることができる。
【0029】
以上実施例から明らかなように本発明は、エンジン2の駆動力を伝える油圧変速機構30と伝達ギヤ32の各出力を合成して変速出力する複合変速機構64を備えた作業車において、1組の可変容量形の油圧ポンプ28及び油圧モータ29で油圧変速機構30を形成し、油圧ポンプ28の斜板58角制御によって複合変速機構64の合成出力軸42を正転方向に変速回転させると共に、油圧モータ29の斜板59角制御によって複合変速機構64の合成出力軸42を逆転方向に変速回転させるものであるから、別途複雑な前後進切換機構(正逆転切換機構)など設ける必要なく可変容量形油圧モータ29の斜板59を調節するレバー或いはペダルの簡単な操作で前後進の切換えを容易に行うと共に、ゼロ発進時の出力トルクを容易に確保し微速走行性能を向上させ、しかも負荷の大きい作業においても高い動力伝達効率の出力を有効に利用して作業能率の向上など容易に図ることができるものである。
【0030】
また、油圧モータ29の斜板58角を一定保持させ、油圧ポンプ28の斜板58角を正逆に制御して複合変速機構64の合成出力軸42を正転方向で変速回転させるものであるから、油圧ポンプ28の斜板58角を単一のレバーなどによって操作するだけでの簡単な操作で合成出力軸42を一方向(正転)に変速回転させて、前進走行でのスムーズ且つ容易な変速などを容易に可能とさせることができるものである。
【0031】
さらに、油圧ポンプ28の斜板58角を逆転側最大出力位置に保持させ、油圧モータ29の斜板58角を設定より中立側に制御して、複合変速機構64の合成出力軸42を逆転方向で変速回転させるものであるから、油圧モータ29の斜板58角を単一のレバーなどによって操作するだけの簡単な操作で合成出力軸42の反対側一方向(逆転)に変速回転させて、後進走行でのスムーズ且つ容易な変速などを容易に可能とさせることができるものである。
【0032】
また、油圧ポンプ28の斜板58角制御で前進での走行変速を行うと共に、油圧モータ29の斜板58角制御で後進での走行変速を行うものであるから、1組の油圧ポンプ28及び油圧モータ29からなる油圧変速機構30のみを用いて、ゼロ発進や効率良好な出力などを確保した前後進走行を容易に可能とさせて、走行性能を向上させることができるものである。
【符号の説明】
【0033】
2 エンジン
28 油圧ポンプ
29 油圧モータ
30 油圧変速機構
42 合成出力軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの動力を変速して出力する油圧変速機構としての油圧ポンプ及び油圧モータと、
前記エンジンの動力と前記油圧モータの変速出力とを合成する遊星ギヤ機構、前記遊星ギヤ機構の合成出力がゼロ乃至最大速の一方向の回転力として伝達される合成出力軸、及びPTO出力軸を有するミッションケースとを備えた作業車において、
前記エンジンの動力が伝達される前記油圧ポンプのポンプ軸で前記PTO出力軸を駆動させる一方、変速操作具を中立位置に操作した場合、前記油圧ポンプの斜板傾斜角が最大逆転角になって前記合成出力軸の回転数をゼロにし、車体の移動速度をゼロにするように構成している、
作業車。
【請求項2】
前記合成出力軸には、その一方向の回転力を前進、中立、後進の出力に切り換える変速ギヤ機構を備えている、
作業車。
【請求項1】
エンジンの動力を変速して出力する油圧変速機構としての油圧ポンプ及び油圧モータと、
前記エンジンの動力と前記油圧モータの変速出力とを合成する遊星ギヤ機構、前記遊星ギヤ機構の合成出力がゼロ乃至最大速の一方向の回転力として伝達される合成出力軸、及びPTO出力軸を有するミッションケースとを備えた作業車において、
前記エンジンの動力が伝達される前記油圧ポンプのポンプ軸で前記PTO出力軸を駆動させる一方、変速操作具を中立位置に操作した場合、前記油圧ポンプの斜板傾斜角が最大逆転角になって前記合成出力軸の回転数をゼロにし、車体の移動速度をゼロにするように構成している、
作業車。
【請求項2】
前記合成出力軸には、その一方向の回転力を前進、中立、後進の出力に切り換える変速ギヤ機構を備えている、
作業車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−19542(P2013−19542A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−209301(P2012−209301)
【出願日】平成24年9月24日(2012.9.24)
【分割の表示】特願2011−173161(P2011−173161)の分割
【原出願日】平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月24日(2012.9.24)
【分割の表示】特願2011−173161(P2011−173161)の分割
【原出願日】平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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