説明

作物掘起し装置

【課題】圃場から掘り起こすと共に親芋から子芋や孫芋を分離し、同時に人手によらないで、親芋を廃棄物として回収し、子芋や孫芋を収穫物として回収できる里芋などの作物掘起し装置を提供すること。
【解決手段】里芋を地中から掘起刃1で掘り起し、掘り起こされた作物を汲上搬送装置2で後上方に搬送し、汲上搬送装置2から引き継いだ作物を搬送装置6で後方に搬送中に搬送装置6上の作物を挟持分離装置3で左右から押圧して親芋と子芋・孫芋とに分離し、搬送装置6の搬送終端部に設けたガイドシュータ10で親芋を後方のから畝上に落下させる。また、搬送装置6の搬送方向下手側の下部に設けた鎮圧ローラ53で作物を掘り取った後の畝を押し固める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中から作物(里芋)を掘り起こして汲み上げた後、廃棄物(親芋)と収穫物(子芋、孫芋)を分離し、収穫物を回収する作物掘起し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
里芋などの作物は、植え付けた親芋から子芋を作り、その子芋から更には孫芋へと次々と芋を作っていくので、掘り起こし時には親芋と一体で子芋や孫芋が収穫される。里芋の品種によっては、親芋も食べられるものもあるが、基本的には、子芋(孫芋)が可食部となる。そのため、収穫後の里芋は親芋と子芋、孫芋に分離する作業が必要となるが、この子芋は親芋にしっかりとくっついているため、分離しにくく、人手で尖った棒を親芋と子芋の間に差し込み、子芋をえぐり取るという方法が伝統的に行われている。しかしながら、これは非常に労力とコツを要する作業であるため、機械による労力のかからない方法が望まれている。
【0003】
また、収穫の後に一部の品種を除いて廃棄される親芋は、そのまま圃場に放置すると腐食に時間がかかるため、圃場に還元されるまでに連作障害の原因となる菌類やウイルスの温床になってしまう。そもそも里芋は連作に適さない作物であり、一度作ると里芋を育成した圃場は3年ほど間隔を空けて次の里芋の育成をしなければならない。その間、里芋畑は稲作や連作に強い作物用の圃場として利用されるが、連作障害を生じさせる菌類やウイルスが発生していると、これらの作物が被害を受けることがある。
【0004】
このように、里芋は収穫した後に親芋から子芋や孫芋を分離して子芋や孫芋を収穫物とし、さらに親芋を適切に廃棄することが必要となるので、里芋を掘り起こす作業と掘り起こした後の親芋から子芋や孫芋を分離する作業を一つの作業機で行うことができる里芋分離機の必要性から開発が着手されている。
【0005】
例えば特開2009−5613号公報に記載されている里芋分離機は、圃場から掘り起こした後の里芋を汲上搬送コンベアで搬送中に汲上搬送コンベア上部に設置した分離装置の分離クローラと汲上搬送コンベアの間に搬送し、分離クローラの上方からの押圧によって親芋から子芋や孫芋を分離させる構成を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−5613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1記載の里芋分離機は、圃場から掘り起こした里芋を、汲上搬送コンベアで搬送中に親芋から子芋や孫芋を分離させる構成からなり、作業者の里芋の収穫作業を大幅に改善することができる発明である。そして特許文献1記載の里芋分離機には、汲上搬送コンベアで搬送中の里芋を、汲上搬送コンベア上方の左右両側に備えられた分離装置の無限軌道により構成される分離クローラにより左右方向から挟んで、里芋を分離する構成を備えている。しかしながら、分離クローラによる里芋の挟持力の調節ができず、また左右間隔を調節する事もできないので、里芋の大きさに対して左右間隔が広過ぎれば、親芋から子芋や孫芋が分離されないまま後方に排出されてしまい、作業者が手作業で別の分離装置に移動させて分離させねばならないという問題がある。
【0008】
また、里芋の大きさに対して左右間隔が狭過ぎると、里芋が挟持分離装置で詰まり、後方に移動できず作業が停滞してしまったり、はたまた詰まった里芋を移動挟持分離装置の操作により無理やり押し出そうとすると、収穫物が傷付き、商品価値が低下したり、あるいは出荷不能になってしまい無価値になる問題が生じる。
【0009】
収穫物のサイズや強度に対して挟持力が弱過ぎると、子芋や孫芋が親芋から分離しきれず、作業者が手作業で別の分離装置に移動させて分離させる手間が生じ、逆に、挟持力が強過ぎると、収穫物が傷付いて商品価値が低下したり、出荷不能に至るまで傷が付いてしまい、商品として無価値になってしまう問題がある。
【0010】
そこで、本発明の課題は、上記問題を解決すべく、圃場から掘り起こした里芋を傷つけることなく、搬送の効率を向上させると共に、搬送中の里芋の親芋から子芋や孫芋への分離の効率を向上させた作物掘起し装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記本発明の課題は、次の解決手段により解決される。
すなわち、請求項1記載の発明は、作物を地中から掘り起こす掘起し部材(1)と該掘起し部材(1)に掘り起こされた作物を後上方に搬送する汲上搬送装置(2)と、該汲上搬送装置(2)で搬送される作物を挟持して収穫物を分離させる一対の挟持分離装置(3)を設けた作物掘起し装置において、前記挟持分離装置(3)の挟持力と分離作用部の間隔を調節する挟持力調節装置(4)と、前記汲上搬送装置(2)の搬送終端部から排出される収穫物の落下を補助する案内部材(5)を設けたことを特徴とする作物掘起し装置である。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記挟持分離装置(3)の後側で且つ前記汲上搬送装置(2)の左右間に渡って設置した支持フレーム(61)と、該支持フレーム(61)の中央部を横切って設けられる前記汲上搬送装置(2)の前後方向の調節フレーム(62)と、該支持フレーム(61)に沿って前記汲上搬送装置(2)の左右方向に摺動し、かつ一対の挟持分離装置(3)の後側にそれぞれ連結して、一対の挟持分離装置(3)の後側の間隔を調節可能な左右一対の第一摺動部材(63)と、前記調節フレーム(62)に沿って前記汲上搬送装置(2)の前後方向に摺動する第二摺動部材(64)と、両方の一端が共に前記第二摺動部材(64)に回動自在に支持され前記汲上搬送装置(2)の左右一対の第一摺動部材(摺動ケース)(63)に他端がそれぞれ回動自在に支持され、前記汲上搬送装置(2)の左右一対の回動アーム(65,65)と、前記第二摺動部材(摺動ケース)(64)から前記汲上搬送装置(2)の後方に延出する挟持力調節シャフト(66)と、前記挟持力調節シャフト(66)の中間部に軸着した受けプレート(67)と、前記調節シャフト(66)の後端部に摺動自在に支持されると共に、前記調節フレーム(62)の後端部に同着される後方側壁(72)と、前記受けプレート(67)と後方側壁(72)の間で張力を維持するように前記調節シャフト(66)の周囲に螺旋状に巻かれたスプリング(68)と、第二摺動部材(64)の後方側壁(72)の取付部より後方の端部に固着した間隔調節部材(69)と、前記受けプレート(67)を前記汲上搬送装置(2)の前後方向に移動させて前記スプリングの張力と、前記挟持分離装置の挟持力を変更可能とする挟持力調節部材(70)を設けた事を特徴とする請求項1記載の作物掘起し装置である。
【0013】
上記ハンドル69は、前記第二摺動部材(摺動ケース)(64)を調節フレーム(62)上で前記汲上搬送装置(2)の前後方向に摺動させて、前記前記第二摺動部材(摺動ケース)(64)に一端がそれぞれ揺動支点として支持されている前記一対の回動アーム(65、65)を回動させて、該回動アーム(65)の他端に回動自在に連結している前記第一摺動部材(摺動ケース)(63)の支持フレーム(61)上の摺動により左右間隔を変更するために設けられる。
【0014】
請求項3記載の発明は、前記案内部材(5)に複数の間隔部を形成し、該案内部材(5)を前記汲上搬送装置(2)の後方の搬送終端部の左右両側に回動自在に前後方向が水平となるように取り付け、該案内部材(5)の下部を前記汲上搬送装置(2)左右内側方向に屈曲させる構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作物掘起し装置である。
【0015】
請求項4記載の発明は、前記汲上搬送装置(2)の下部後方に、前記汲上搬送装置(2)上面視で「く」の字型に前方を細く、後方を広くするように、畝の土を畝溝側へ排出させる排土部材(排土板)52を設け、該排土部材の後部に排土跡に接触して均す回転自在な鎮圧回転体(53)を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の作物掘起し装置である。
【0016】
請求項5記載の発明は、前記排土部材(52)の左右幅を前記汲上搬送装置(2)の左右幅より狭く、前記鎮圧回転体(53)の左右幅を前記排土部材(52)の左右幅より狭く、前記鎮圧回転体(53)の下端部を前記排土部材(52)の下端部よりも下方に配置したことを特徴とする請求項4記載に記載の作物掘起し装置である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、挟持力調節装置4は、汲上搬送コンベア2の上部の左右両側に設置した挟持分離装置3の挟持力と間隔を調節する機能を有し、
挟持力調節装置4を操作して、挟持分離装置3の挟持力を調節することにより、分離作業を行う作物の性質や生育状況に合った挟持分離装置3の挟持力を設定することができ、挟持力が不足して作物から収穫物を分離しきれずに作業者が手作業で収穫物を分離する必要が無くなり作業者の労力が軽減されると共に、挟持力が強過ぎて収穫物を傷つけてしまうことが防止され、収穫物の商品価値を維持することができる。
【0018】
また、挟持力調節装置4を操作して挟持分離装置3の左右間隔を調節することにより、分離作業を行う作物の平均的なサイズや生育状況に合わせて、作物が通過可能な左右間隔を設定することができるので、大きな作物が搬送された時に、挟持分離装置3の分離作用部に作物が詰まり、作物の搬送及び分離作業が停滞することを防止でき作業能率が向上すると共に、分離作用部を通過する際に収穫物が傷付くことも防止でき、収穫物の商品価値を維持することができる。さらに、挟持分離装置3の左右間隔が広過ぎて、収穫物が分離されないまま排出され、作業者が手作業で収穫物を分離する必要が無くなり作業者の労力が軽減される。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、挟持分離装置3の挟持力のと左右間隔を同一の挟持力調節装置4で調節することにより、作業者は同じ作業位置で調節作業を行うことができ、作業能率が向上する。また、部品点数が削減されるので、機体構成が簡略化されるとともに、コストダウンが図られる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、作物掘起し装置1の後部に、分離した作物を圃場に落下させる際に、作物の落下をサポートする案内部材(ガイドシュータ)5を設置し、案内部材5を複数のロッドにより間隔部を形成した構成とすることで、収穫物と共に搬送される土や夾雑物を先に下方に落下させることが可能となり、排出された収穫物が土や夾雑物に埋もれることを防止でき、収穫物の回収作業が容易に行えて作業能率が向上する。
【0021】
また、案内部材5の下部を機体内側方向に屈曲させたことにより、汲上搬送装置2の搬送終端部から排出される収穫物の落下方向を決定でき、収穫物の落下位置を畝上、または畝溝に定めることが可能となり、収穫物の回収作業の能率が向上する。特に、畝上に収穫物を落下させることができれば、収穫の際に畝を跨ぐ走行車両(トラクタ等)を用いても収穫物を踏み潰すおそれがないので、よりいっそう作業能率が向上する。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、汲上搬送装置2の下部に排土部材52を設けたことにより、作物掘起し装置1を前進させると畝の土が畝溝側に排土されて畝上に窪みが形成される、案内部材5から畝に落下する収穫物を畝上に形成された窪みに落下させることが可能となり、収穫物が畝上から畝溝への転落を防止でき、収穫物の回収の効率が向上する。
【0023】
また、排土板52の後部に鎮圧回転体53を設けたことにより、畝に形成された窪みを鎮圧回転体53で押し固めることができるので、畝上に落下した収穫物が土中に潜り込みを防止でき、収穫物の回収作業の効率が向上する。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、排土部材52の左右幅を汲上搬送装置2の左右幅より狭く形成したことにより、畝に形成される窪みの盛り上げられた土が壁となり、収穫物が畝上から畝溝に転落することが防止され、収穫物の回収が効率よく行なえる。
【0025】
そして、鎮圧回転体53の左右幅を排土部材52の左右幅より狭く構成したことにより、鎮圧回転体53は、畝上に排土板52が形成した窪みの左右の壁を崩すことなく、畝上の窪みのみを押し固めるので、収穫物の落下を防止できる。
【0026】
また、鎮圧回転体53の下端部を排土部材52の下端部よりも下方に配置したことにより、鎮圧回転体53が畝に確実に接触するので、畝が確実に押し固められて収穫物の土中への潜り込みを防止する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例の作物掘起し装置の平面図(図1(a))と図1(a)に係る第一摺動部材の拡大図(図1(b))である。
【図2】図1(a)に係る作物掘起し装置の側面図である。
【図3】案内板(ガイドシュータ)を備えた図1(a)に係る作物掘起し装置の平面図(図3(a))と側面図(図3(b))と、背面図(図3(c))である。
【図4】排土板と鎮圧ローラを備えた図1に係る作物掘起し装置の平面図(図4(a))と側面図(図4(b))である。
【図5】本発明の一実施例の作物掘起し装置の挟持分離装置に係る蛇行レスを設けた分離クローラの斜視図(図5(a))と、2つの蛇行レスを設けた分離クローラの斜視図(図5(b))と図5(a)の断面図(図5(c))である。
【図6】分離クローラにゴム帯を設置したときの断面図(図6(a))と、ゴム帯にゴム突起を設置したときの断面図(図6(b))とゴム突起を設置した時のゴム帯の表面の平面図(図6(c))である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施例を図面と共に説明する。
図1に本実施例の作物掘起し装置1の平面図を示す。
トラクタ(図示せず)等の車両に接続された作物掘起し装置1は、圃場から里芋を掘り起こす掘起し刃19と、掘り起こした里芋を作物掘起し装置1の上方に搬送する汲上コンベア6を備えた汲上搬送装置2と、搬送された里芋を親芋と子芋と孫芋に分離する汲上コンベア6の上部左右両側に設置した一対の分離クローラ7を有する挟持分離装置3を有する構成をしている。
【0029】
ここで、以下の本発明の説明において、作物掘起し装置1の掘起し刃19がある方を「前」、里芋が搬送されて分離クローラ7で挟持分離される方向を「後」とし、掘起し刃19のある方向に作物掘起し装置1を進行させる方向に向かって左右の方向を「左右」とする。本発明では、上記の作物掘起し装置1の構成により、左右両側の挟持分離装置3の間を通過する里芋が、通過の際に回転する分離クローラ7により左右両側から押圧され、親芋と子芋等に分離されるが、その際の押圧力(挟持力)および左右両側の挟持分離装置3の間隔を調節する挟持力調節装置4を挟持分離装置3の上部に設置する。
【0030】
挟持分離装置3は、図1に示されるように、汲上コンベア6の上部の左右両側に設置される。このとき、掘り起こされ汲上コンベア6で搬送される里芋は、左右の挟持分離装置3の間を通過するが、汲上コンベア6の上方にいくに従って挟持分離装置3の間の里芋が搬送されるにつれて搬送通路が順次細くなるように、平面図で「ハ」の字型に配置される。
【0031】
左右それぞれの挟持分離装置3は、分離クローラ7と2つの回転プーリ9a、9bを有する無限軌道を成し、搬送される里芋が一対の分離クローラ7により押圧されるように汲上コンベア6の搬送面と一対の分離クローラ7の表面が直交するように設置する。また、分離クローラ7の回転は、分離クローラ7を構成する2つの回転プーリ9a、9bのうち後側の回転プーリ9bの回転軸(図示せず)に接続されるモータ50を動力源とする(図2)。
【0032】
本実施例では、左右それぞれの挟持分離装置3の回転プーリ9a、9bのうち後方の回転プーリ9bを左右に移動させて、里芋の通路幅とその押圧力(挟持力)を調節できるように挟持力調節装置4を設置している。
【0033】
上記機能を実現する挟持力調節装置4について図1の平面図及び図2の側面図に示し、挟持力調節装置4を構成する部材とその構成を説明し、本構成に係る作用機構(間隔調節機構、挟持力調節機構)について、以下詳細に記す。
挟持力調節装置4を構成する主な部材は、支持フレーム61、調節フレーム62、第一摺動部材(摺動ケース)63、第二摺動部材(摺動ケース)64、回動アーム65、調節シャフト66、受けプレート67、スプリング68、間隔調節部材(間隔調節ハンドル)69、挟持力調節部材(挟持力調節ハンドル)70等である。
【0034】
支持フレーム61は、挟持分離装置3よりも後ろに、左右方向に亘って汲上搬送装置2の後方部に設置される。
調節フレーム62は、支持フレーム61の左右方向の中央部を貫通し、汲上搬送装置2の前後方向に設置される。従って支持フレーム61と調節フレーム62は平面視で十文字状に配置されている。
【0035】
第一摺動ケース(第一摺動部材)63は、調節フレーム62の左右両側の支持フレーム61上に1つずつ設置されている。第一摺動ケース63には支持フレーム61の上下の側面を跨ぐように転がる一対の摺動ローラ63a、63aがロッド63bの両側に回転自在に取り付けられている。該ロッド63bの一端はロッド支持用筐体(ボックス)63cの前方側壁63c2に固定され、支持フレーム61の上部を摺動ローラ63aとロッド63bの左右方向外側で支持フレーム61の上部を覆う第一摺動パイプ63c1からなる構成とした。従ってロッド63bに回動自在に支持された4つの摺動ローラ63aが支持フレーム61の上下の側面を転がることができる(図1(b)参照)。
【0036】
円筒状の第二摺動ケース(第二摺動部材)64は、調節フレーム62を貫通する穴を備え、第二摺動パイプ64aと第二摺動パイプ64aの一側面上に基部が立設された縦軸64bと該縦軸64bの先端部を支持する面と第二摺動パイプ64aの調節フレーム62を貫通する一側面に接続された面からなるL字状板材64cから構成されている。
【0037】
平面視で湾曲状の一対の回動アーム65,65は、その一端を、第二摺動ケース64の縦軸64bに、回動自在に互いに間隔重なるように連結し、それぞれの回動アーム65の他端を、それぞれ支持フレーム61の両端部側の表面を摺動する左右の第一摺動ケース63に回動自在に連結している。
【0038】
調節シャフト66は、第二摺動ケース64の後方側壁に一端が取り付けられ、調節フレーム62の上方位置で調節フレーム62と並列した位置に配置され、調節シャフト66の他端部は汲上搬送装置2の後端部側に延出させて後述するハンドル69,75,70が取り付けられ、調節シャフト66の表面にはネジ溝が設けられている。
【0039】
挟持力シャフト66の中間部に軸着した受けプレート67の平面上には調節シャフト66が貫通する穴(図示せず)が設けられ、該穴と同じ位置に中央孔のある受けプレート67上には、周りに調節シャフト66のネジ溝と螺合するナット40が溶接接合されている。従って調節シャフト66はナット40と螺合しながら受けプレート67を貫通し、受けプレート67は回転する調節シャフト66に沿って前後方向に移動可能に設置される。
【0040】
調節シャフト66の後端部の前記ハンドル69,75,70の前側には、摺動自在に後方側壁72が支持され、また後方側壁72は調節フレーム62の後端部に固着支持されている。
【0041】
またスプリング68が受けプレート67と後方側壁72の間で張力を維持するように調節シャフト66の周囲に螺旋状に巻かれている。
【0042】
挟持力調節ハンドル(挟持力調節部材)70は、調節シャフト66を中心とした軸回転可能に調節シャフト66の後端部に該調節シャフト66と一体的に取り付けられており、挟持力調節ハンドル70の回転により、スプリング68の張力に抗しながら受けプレート67が調節シャフト66上を前後に移動する。この時、受けプレート67が調節シャフト66と共周りしないように、第二摺動ケース64の側壁に一端を取り付けた摺動シャフト74が、受けプレート67を貫通して、その長手方向が調節シャフト66に平行して配置され、該摺動シャフト74の他端は調節フレーム62の外壁面に固着された連結支持プレート71で支持されている。
【0043】
前記連結支持プレート71は、支持フレーム61の後方で、かつ後方側壁72の前方において、調節フレーム62の外壁面に固着され、摺動シャフト74と調節シャフト66を固着することなく、これら摺動シャフト74と調節シャフト66を貫通する穴(図示せず)を設けた連結支持プレート71が設置されおり、動作中に生じる振動等による摺動シャフト74の揺れを抑制している。なお、スプリング68も連結支持プレート71に設けた穴を貫通している。
【0044】
間隔調節ハンドル69は、スプリング68の一端を受け止めている前記後方側壁72の直後の調節シャフト66に固着され、間隔調節ハンドル69を回転させると調節シャフト66に一端が固着した第二摺動ケース64を前後に移動させることができる。
【0045】
挟持力調節装置4の後方側壁72は、間隔調節ハンドル69の直前で、ネジ溝のない調節シャフト66の端部付近で、該調節シャフト66を貫通して設けられており、後方側壁72は調節シャフト66上を前後に移動可能に設置され、調節シャフト66の下方で、調節シャフト66に平行に配置されている調節フレーム62の後端部側面に溶接接続される。
【0046】
以上の構成により、間隔調節ハンドル69を回転させると、挟持力調節装置4は間隔調節ハンドル69を調節シャフト66に沿って前後方向に移動させると同時に、後方側壁72と受けプレート67の間の長さが変化してスプリング68を伸縮させ、調節シャフト66に沿って作物掘起し装置1の前後方向に移動し、挟持力調節装置4の挟持力を調整することができる。
【0047】
また、調節フレーム62には第二摺動ケース64が摺動自在に設置されており、間隔調節ハンドル69により調節フレーム62が前方に移動すると、第二摺動ケース64も前方に移動し、該第二摺動ケース64の縦軸64bに回動自在に一端部が共に連結している一対の回動アーム65,65の他端部に連結している第一摺動ケース63,63が支持フレーム61上の左右両外側から内側に向けて移動する。
【0048】
また、逆に調節フレーム62が後方に移動すると第二摺動ケース64と回動アーム65,65を介して、支持フレーム61上の左右両側の一対の第一摺動ケース63,63が機体の左右方向の外側に移動する。
【0049】
一対の第一摺動ケース63,63は、連結プレート45を介して左右両側の挟持分離装置3の上方の回転プーリ9bに回動自在に連結されるので、第一摺動ケース63の左右方向の摺動に伴って、挟持分離装置3の回転プーリ9bも左右方向に移動し、里芋の通過する通路の左右の幅を調節することが可能となる。
【0050】
次に、左右両側の挟持分離装置3の上方の回転プーリ9bの間隔調節方法と里芋の挟持力の調節方法について説明する。
上述の通り、間隔調節ハンドル69を回転させて受けプレート67を後方へ移動させると、圧縮スプリング68が押し縮められ、反作用としてスプリング68が伸びる方向に反発力を生じる。調節シャフト66の前端は第二摺動ケース64に直接固着し、また受けプレート67はナット40により調節シャフト66に支持されているので、押し縮められたスプリング68の反作用による伸びる力は第二摺動ケース64を前方に押す力として働くことから、第一摺動ケース63を内側に押す力、すなわち、里芋を挟み込む挟持力として作用する。
【0051】
間隔調節ハンドル69を前方に移動させればさせるほど、第一摺動ケース63を内側に押す力がより強く作用することになるので、第一摺動ケース63と連結している挟持分離装置3の上方の回転プーリ9bによる里芋の押圧力を増すこととなる。しかし、このとき挟持力が強すぎると、里芋が挟持分離装置3の間を通過することができなくなったり、里芋を傷つけることになる。逆に、押圧力が弱すぎると、里芋を親芋と子芋に分離する作用が弱くなってしまう事になるので、間隔調節ハンドル69を前後に移動させることにより、挟持力を調節する。
【0052】
すなわち、間隔調節ハンドル69を前方に移動させることでスプリング68が圧縮され、挟持力が強くなりすぎたときは、挟持力調節ハンドル70を操作して、挟持力調節ハンドル70と一体の調節シャフト66に螺合している受けプレート67の位置を後方に移動させて、スプリング68の圧縮力を開放側に調節して挟持力を弱くさせる。逆に、挟持力が弱すぎるときは、挟持力調節ハンドル70操作して、受けプレート67を後方に移動させ、スプリング68の圧縮力を強めて、挟持分離装置3のを挟持力を強くすることができる。
【0053】
上記構成の他に、間隔調節ハンドル69と挟持力調節ハンドル70の間に、両ハンドル69,70の回転をロックすることが可能なロックハンドル75を設置することもできる。ロックハンドル75の設置によって、稼働中の作物掘起し装置1の安定した稼働を可能とした。
【0054】
また、該ロックハンドル75の回転角度に応じて、間隔調節ハンドル69及び挟持力調節ハンドル70、あるいは間隔調節ハンドル69と挟持力調節ハンドル70の両方の回転をロック可能に構成してもよい。
【0055】
間隔調節ハンドル69が回転しない角度にロックハンドル75を回すと、挟持力調節ハンドル70だけが回転するので、挟持分離装置3の挟持力を確実に調節することができ、里芋の分離性能が向上すると共に、挟持力調節機構だけが動作することにより、挟持力調節ハンドル70にかかる抵抗が小さくなるので、調節を行なう作業者の労力が軽減される。
【0056】
そして、挟持力調節ハンドル70が回転しない角度にロックハンドル75を回すと、間隔調節ハンドル69だけが回転するので、挟持分離装置3の左右間隔を確実に調節することができ、里芋が挟持分離装置3に詰まって作業が停滞することが防止されると共に、間隔調節機構だけが動作することにより、間隔調節ハンドル69にかかる抵抗が小さくなるので、調節を行なう作業者の労力が軽減される。
【0057】
本実施例は挟持分離装置3の里芋の通路の間隔とその挟持力の調節を、それぞれ調節シャフト66に設置した近接する間隔調節ハンドル69と挟持力調節ハンドル70により、挟持分離装置3の後方で、両ハンドル69,70を一度に、あるいはそれぞれ独立して操作可能に構成した発明である。
【0058】
一本の調節シャフト66に間隔調節ハンドル69と挟持力調節ハンドル70を集約させただけでなく、特に間隔調節ハンドル69に至っては、作物掘起し装置1の左右方向の中心付近に設置し、ハンドル69の動力を作物掘起し装置1の中心部に前後方向に設置した調節シャフト66から左右の挟持分離装置3に伝達させる構成としたことで、操作の簡便化だけでなく、作物掘起し装置1の全体構造のさらなるコンパクト化も実現し、里芋の親芋と子芋、孫芋への分離作業の効率を向上させた。
【0059】
図3は、図1に係る作物掘起し装置1の後部にガイドシュータ5を設けた実施例の平面図(図3(a))と側面図(図3(b))と背面図(図3(c))である。
本実施例のガイドシュータ5は、複数のロッド5aが一定の間隔でスノコ状若しくはフォーク状に支柱5bから直角に突出した構造を有し、汲上搬送装置2の後方の搬送終端部の左右両側に支持部材15を設け、該支持部材15に設けた挟持溝(図示せず)に回動自在にガイドシュータ5の支柱5bを固嵌めして支持し、複数のロッド5aからなるスノコ状の部位は、作物掘起し装置1の汲上コンベア6の真後ろに位置するように設置される。
【0060】
ガイドシュータ5を複数のロッド5aにより間隔を形成し、スノコ状とすることで、作物掘起し装置1の後方に搬送された分離後の里芋が、汲上搬送コンベア6によって、作物掘起し装置1の後部にまで搬送され、その最後部から圃場に落下するときに、落下した里芋を一時的に受け止め、収穫物(里芋)と共に搬送される土や夾雑物が先に落下させ、排出された収穫物が土や夾雑物に埋もれることを防止可能とし、収穫物の回収作業を容易に行うことができ、作業能率が向上する。
【0061】
図3(c)に示す作物掘起し装置1の背面図のように、ガイドシュータ5は左右両側から中央に向かって下方傾斜させて設置する。すなわち、ガイドシュータ5の左右両側が折れ曲がり内側が谷となるような傾斜面を成すように設置する。また、ガイドシュータ5の先端部は、芋に傷が付かないように丸みをつける。
【0062】
また、ガイドシュータ5の下部を機体左右内側方向に屈曲させる構成とすることで、圃場に落下する里芋が畝溝に落ちることなく、畝の中央に集めるて落下させることができる。
【0063】
左右両側のガイドシュータ5の先端部の間隔を、2つの分離クローラ7の上方の里芋の通路の間隔よりも広くすると共に、一定量以上の里芋がガイドシュータ5に落下し、ガイドシュータ5に過剰の負荷が加わった時に、ガイドシュータ5が回動自在な支柱5bを支点として、ガイドシュータ5の先端部が一定の幅で下方に移動し、左右のガイドシュータ5の間隔を広げることができる構造とすることにより、収穫された里芋が大径であったり、一度にたくさんの里芋がガイドシュータ5に落下したときに、ガイドシュータ5の上部に里芋が堆積して落下できなくなることを防止する。
【0064】
また、ガイドシュータ5の下部を機体内側方向に屈曲させることにより、汲上搬送装置2の搬送終端部から排出される収穫物の落下方向を決めることができるので、収穫物の落下位置を畝上、または畝溝に揃えることができ、収穫物の回収作業の能率が向上する。特に、収穫物を畝上に落とした際は畝を跨ぐ走行車両(トラクタ等)を用いても収穫物を踏み潰すおそれがないので、いっそう作業能率が向上する。
【0065】
図4は、汲上搬送コンベア6の下部に設けた排土板52で畝上の土を畝溝側に移動させて窪地を形成し、この窪地を排土板52の後部に設けた鎮圧ローラ53で押し固め、この窪地に親芋や子芋、土、夾雑物を作物掘起し装置1から落下させる実施例であり、図4(a)はその平面図を、図4(b)はその側面図を示し、排土板52と鎮圧ローラ53の構成とその効果について詳細に説明する。
排土板52は、汲上搬送コンベア6の左右方向亘ってに設けられた側部カバー13に取り付けられた2本の支持シャフト25のそれぞれにリンクアーム26(図4(a)には図示せず)の一端を設置し、それぞれ2本のリンクアーム26が平行となるように排土板52が設置される。このとき、リンクアーム26の端部には長穴(26a)が形成されており、ボルト・ナット等の固定部材で、排土板52の作用高さを変更することができる構成とする。また、排土板52は、畝の土を畝溝側へ排出できるように、機体上面視にて「く」の字型に前方を細く、後方を広くするように設置した。
【0066】
図4(a)に示すように、平面視で「く」字状の排上板52の始端部中央から左右に後方傾斜させることで、該排土板52を畦中央部に埋め込みながら前進させると畦中央部のみ排土することができる。
【0067】
鎮圧ローラ53は、該鎮圧ローラ53の回転軸の長手方向が作物掘起し装置1の左右方向に配置されるように、平面視で「く」の字の排土板52の内壁に両端を支持させられるので、汲上搬送装置2に改めて設置のための部材を設けることなく排土板52に簡便に鎮鎮圧ローラ53を設置可能となる。
【0068】
排土部材52の左右幅は汲上コンベア6の左右幅より狭く、また、鎮圧回転体61の左右幅は鎮圧ローラ53の左右幅より狭い構成とし、さらに、鎮圧効果を向上させるために鎮圧回転体61の下端部を鎮圧ローラ53の下端部よりも下方に配置する(図4(b))。鎮圧ローラ53を排土板52の後側の下部に回転自在に設けることで、鎮圧ローラ53が排土跡に接触して圃場を均して、畦をかためるので、芋が拾いやすくする構成としている。
【0069】
上記の排土板52と鎮圧ローラ53を作物掘起し装置1の後部に設けることで、排土板52は、作物掘起し装置1の終端部の下方へ設置することにより、掘り取り後の畦が平らに整地されるので、畦上に落下した里芋に土が覆い被さることを防止でき、排土板52の後端における左右の幅は、汲上コンベア6の幅より狭く配置することで、排土板52通過後は、畦中央部の凹地の左右両側に壁が形成され、汲上搬送装置2から落下した里芋が、確実に畦上の凹地内に落下し、畦の両側の溝にこぼれ出にくくなり、畦上の凹地内に落下した里芋を収穫しやすくなる。
図5は、挟持分離装置3の分離クローラ7の外周にゴム帯10を巻いた構成とし、挟持分離装置3にて分離される里芋が分離作業中に、傷が付くことを防ぐ構成とした実施例を示す。
【0070】
図5(a)は、本発明の一実施例の作物掘起し装置の挟持分離装置に係る蛇行レスを設けた分離クローラの斜視図であり、図5(b)は、2つの蛇行レスを設けた分離クローラの斜視図であり、図5(c)は、図5(a)の断面図である。
【0071】
挟持分離装置3の分離クローラ7の内周面にはベルトの中央部に周回して一定間隔に突起7aが複数個設けられる、挟持分離装置3の2つの回転プーリ9a、9b(図1参照)の内側の円周面には分離クローラ7の突起7aが回転に伴って嵌め込まれる凹部(図示せず)を備えた構造とすると、挟持分離装置3の回転中に回転プーリ9a、9bから分離クローラ7が横ずれすることを防止できる。
【0072】
分離クローラ7の外周面には溝が設けられ、ゴム帯10の内周面に設けた蛇行レス(a)31が分離クローラ7の外周面の溝に嵌め込まれる構成とし、分離クローラ7の回転時にゴム帯10がクローラ7の外周でずれないようにした。
【0073】
蛇行レス31は、分離クローラ7の左右の端部から中央にかけて斜めに、分離クローラ7の内側に設けられた突起7aの間隔に合わせて(上下交互で且つ)間欠的に設ける。
【0074】
該蛇行レス31に加えて、S字形状の連結レス32を隣り合う蛇行レス31の中央部先端と中央部先端を架け渡すようにして分離クローラ7の縦方向に設け、横ずれと縦ずれの両方を防止する構成とする。
【0075】
ゴム帯10は、分離クローラ7の外周面を覆うだけでなく、内周面にかけて覆い被せると、分離クローラ7とゴム帯10のズレを高度に抑制する。ゴム帯10を分離クローラ7の外周に覆う際、分離クローラ7の外周面とゴム帯10の内部の凸部表面との間に隙間を設けることで、里芋がゴム帯10の外周面に衝突し里芋を分離するときの力を緩衝するクッションとしての作用を果たす。
【0076】
図6は、上記のゴム帯10を設けた挟持分離装置3において、里芋を分離するゴム帯10の外周表面の作用側に、無数のゴム突起11を設置することで、分離中の芋どうしによる擦り傷を軽減する作用を示す構成とした実施例を示す。
【0077】
図6(a)は、分離クローラにゴム帯を設置したときの断面図であり、図6(c)は、ゴム帯にゴム突起を設置したときの断面図であり、図6(c)は、ゴム突起を設置した時のゴム帯の表面の平面図である。
【0078】
ゴム帯10外周面上に設けたゴム突起10aの長さは、本体の厚みよりも長くし、その先端を球状として、里芋に傷を付きにくくする構造とした。さらに、ゴム突起10aをゴム帯10外周面上に千鳥配置させ、上側より下側の方の密度を大きくした構成とする。
【符号の説明】
【0079】
1 作物掘起し装置 2 汲上搬送装置
3 挟持分離装置 4 調節装置
5 ガイドシュータ(案内板) 6 汲上搬送コンベア
7 分離クローラ 7a 分離クローラ内側の突起
8 分離装置 9a 分離装置の回転軸(前方)
9b 分離装置の回転軸(後方)
10 ゴム帯 10a ゴム突起
13 側部カバー 15 支持部材
19 掘起し刃 20 ゲージ
25 支持シャフト 26 リンクアーム
27 リンクアームの長穴 31 蛇行レス(a)
32 蛇行レス(b) 40 ナット
45 連結プレート 50 モータ
52 排土板 53 鎮圧ローラ
61 支持フレーム 62 調節フレーム
63 第一摺動部材(第一摺動ケース)
63a 摺動ローラ 63b ロッド
63c ロッド支持用筐体(ボックス)
64 第二摺動部材(第二摺動ケース)
64a 箱体 64b 縦軸
64c L字型支持板 65 回動アーム
66 調節シャフト 67 受けプレート
68 スプリング 69 間隔調節部材(間隔調節ハンドル)
70 挟持力調節部材(挟持力調節ハンドル)
71 連結支持プレート 72 後方側壁
74 摺動シャフト 75 ロックハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を地中から掘り起こす掘起し部材(1)と、該掘起し部材(1)に掘り起こされた作物を後上方に搬送する汲上搬送装置(2)と、該汲上搬送装置(2)で搬送される作物を挟持して収穫物を分離させる一対の挟持分離装置(3)を設けた作物掘起し装置において、
前記挟持分離装置(3)の挟持力と分離作用部の間隔を調節する挟持力調節装置(4)と、
前記汲上搬送装置(2)の搬送終端部から排出される収穫物の落下を補助する案内部材(5)
を設けたことを特徴とする作物掘起し装置。
【請求項2】
前記挟持分離装置(3)の後側で且つ前記汲上搬送装置(2)の左右間に渡って設置した支持フレーム(61)と、
該支持フレーム(61)の中央部を横切って設けられる前記汲上搬送装置(2)の前後方向の調節フレーム(62)と、
該支持フレーム(61)に沿って前記汲上搬送装置(2)の左右方向に摺動し、かつ一対の挟持分離装置(3)の後側にそれぞれ連結して、一対の挟持分離装置(3)の後側の間隔を調節可能な左右一対の第一摺動部材(63)と、
前記調節フレーム(62)に沿って前記汲上搬送装置(2)の前後方向に摺動する第二摺動部材(64)と、
両方の一端が共に前記第二摺動部材(64)に回動自在に支持され前記汲上搬送装置(2)の左右一対の第一摺動部材(63)に他端がそれぞれ回動自在に支持され、前記汲上搬送装置(2)の左右一対の回動アーム(65,65)と、
前記第二摺動部材(64)から前記汲上搬送装置(2)の後方に延出する挟持力調節シャフト(66)と、
前記挟持力調節シャフト(66)の中間部に軸着した受けプレート(67)と、
前記調節シャフト(66)の後端部に摺動自在に支持されると共に、前記調節フレーム(62)の後端部に同着される後方側壁(72)と、
前記受けプレート(67)と後方側壁(72)の間で張力を維持するように前記調節シャフト(66)の周囲に螺旋状に巻かれたスプリング(68)と、
第二摺動部材(64)の後方側壁(72)の取付部より後方の端部に固着した間隔調節部材(69)と、
前記受けプレート(67)を前記汲上搬送装置(2)の前後方向に移動させて前記スプリングの張力と、前記挟挟持分離装置の挟持力を変更可能とする挟持力調節部材((70)
を設けた事を特徴とする請求項1記載の作物掘取装置。
【請求項3】
前記案内部材(5)に複数の間隔部を形成し、
該案内部材(5)を前記汲上搬送装置(2)の後方の搬送終端部の左右両側に回動自在に前後方向が水平となるように取り付け、
該案内部材(5)の下部を前記汲上搬送装置(2)左右内側方向に屈曲させる構成
としたことを特徴とする請求項1又は2記載の作物掘起し装置。
【請求項4】
前記汲上搬送装置(2)の下部後方に、前記汲上搬送装置(2)上面視で「く」の字型に前方を細く、後方を広くするように、畝の土を畝溝側へ排出させる排土部材(52)を設け、
該排土部材の後部に排土跡に接触して均す回転自在な鎮圧回転体(53)
を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の作物掘起し装置。
【請求項5】
前記排土部材(52)の左右幅を前記汲上搬送装置(2)の左右幅より狭く、
前記鎮圧回転体(53)の左右幅を前記排土部材(52)の左右幅より狭く、
前記鎮圧回転体(53)の下端部を前記排土部材(52)の下端部よりも下方に配置
したことを特徴とする請求項4記載の作物掘起し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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