説明

作物掘起機

【課題】圃場から掘り起こすと共に親芋から子芋や孫芋を分離し、同時に人手によらないで、親芋を廃棄物として回収し、子芋や孫芋を収穫物として回収できる里芋などの作物掘起し装置を提供すること。
【解決手段】里芋を地中から掘起刃19で掘り起し、掘り起こされた里芋を無限軌道を構成するスラットベルト14により後上方へ搬送し、搬送中にスラットベルト14上の分離装置3で里芋を左右から押圧して親芋と子芋・孫芋とに分離し、スラットベルト14の後部に設けた後下り傾斜姿勢の搬送傾斜部18より子芋・孫芋を下方の畝上に落下させる。また、搬送装置6の搬送方向下手側の下部に設けた鎮圧ローラ40で作物を掘り取った後の畝を押し固める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中から作物を掘り起こして汲み上げた後、廃棄物と収穫物を分離し、収穫物を回収する作物掘起機に関する。
【背景技術】
【0002】
里芋などの作物は、植え付けた親芋から子芋を作り、その子芋から更には孫芋へと次々と芋を作っていくので、掘り起こし時には親芋と一体で子芋や孫芋が収穫される。里芋の品種によっては、親芋も食べられるものもあるが、基本的には、子芋(孫芋)が可食部となる。そのため、収穫後の里芋は親芋と子芋、孫芋に分離する作業が必要となるが、この子芋は親芋にしっかりとくっついているため、分離しにくく、人手で尖った棒を親芋と子芋の間に差し込み、子芋をえぐり取るという方法が伝統的に行われている。しかしながら、これは非常に労力とコツを要する作業であるため、機械による労力のかからない方法が望まれている。
【0003】
また、収穫の後に一部の品種を除いて廃棄される親芋は、そのまま圃場に放置すると腐食に時間がかかるため、圃場に還元されるまでに連作障害の原因となる菌類やウイルスの温床になってしまう。そもそも里芋は連作に適さない作物であり、一度作ると里芋を育成した圃場は3年ほど間隔を空けて次の里芋の育成をしなければならない。その間、里芋畑は稲作や連作に強い作物用の圃場として利用されるが、連作障害を生じさせる菌類やウイルスが発生していると、これらの作物が被害を受けることがある。
【0004】
このように、里芋は収穫した後に親芋から子芋や孫芋を分離して子芋や孫芋を収穫物とし、さらに親芋を適切に廃棄することが必要となるので、里芋を掘り起こす作業と掘り起こした後の親芋から子芋や孫芋を分離する作業を一つの作業機で行うことができる里芋分離機の必要性から、その開発が着手されている。
【0005】
例えば特開2009−5613号公報に記載されている里芋分離機は、圃場から掘り起こした後の里芋を作物掘起し装置で搬送中に作物掘起し装置上部に設置した分離装置の分離ベルトと作物掘起し装置の間に搬送し、分離ベルトの左右方向からの押圧によって親芋から子芋や孫芋を分離させる構成を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−005613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1記載の里芋分離機は、挟持力調整および左右間隔を調節する機構がなく、作物の大きさに対して左右間隔が広すぎれば、作物から収穫物が分離されないまま後方に排出され、作業者が手作業で別の分離装置に移動させて分離させねばならないという問題があった。
【0008】
また、作物の大きさに対して左右間隔が狭過ぎると、作物が分離装置から後方に移動できず、作業が停滞してしまうという問題があるとともに、分離装置によって無理矢理押し出されると収穫物が傷つき、商品価値が低下したり、出荷不能になるまで傷ついて、無価値になってしまうという問題があった。
【0009】
他に、挟持力が弱すぎると、収穫物が作物から分離しきれず、作業者が手作業で別の分離装置に移動させて分離させねばならないという問題があり、一方で、分離装置の挟持力が強すぎると、収穫物が傷ついて商品価値が低下したり、出荷不能になるまで傷ついて、無価値になってしまう問題があった。
【0010】
本発明の課題は、上記問題を解決すべく、圃場から掘り起こした里芋を傷つけることなく、搬送の効率を向上させると共に、搬送中の里芋の親芋から子芋や孫芋への分離の効率を向上させた作物掘起し装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記本発明の課題は、次の解決手段により解決される。
すなわち、請求項1記載の発明は、作物を地中から掘り起こす掘起し部材(1)と、該掘起し部材(1)に掘り起こされた作物を後上方に搬送する無限軌道を備えた搬送装置(スラットベルト)(14)と、該搬送装置(14)で搬送される作物を挟持して収穫物を分離させる一対の分離装置(3)を設けた作物掘起し装置において、前記搬送装置(14)の無限軌道の後端部に後下りの搬送傾斜部(18)と、前記搬送装置(14)の上部で、かつ前記分離装置(3)の後方に案内部材(ガイドプレート)(20)を設けたことを特徴とする作物掘起し装置である。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記搬送装置(14)の無限軌道は、前記搬送装置(14)の左右両側の前後方向に無限軌道を形成して設置した一対の伝動チェーン(12)と、該左右両側の伝動チェーン(12)の巻回域内の前端部と後端部で該伝動チェーン(12)を巻き付けたスプロケット(16a、16b)と、該一対の伝動チェーン(12)の左右間に一定間隔で架け亘して配置した複数の搬送バー(スラットバー)(13)を有し、
前記巻回域内の後端部スプロケット(16b)と同軸上に回動自在に、かつ前記搬送装置(14)の無限軌道の回転動力を駆動力として回転可能であり、かつ外周面が圃場に接触可能に設置した押圧回転体(40)を設けたことを特徴とする請求項1記載の作物掘取装置である。
【0013】
請求項3記載の発明は、作物を後上方に搬送する無限軌道を備えた前記搬送装置(14)の前記搬送傾斜部(18)の後端部を前記搬送装置(14)の前端部よりも高い位置に配置し、前記搬送傾斜部(18)よりも前方の前記搬送装置(14)の頂部近傍の傾斜面上に前記分離装置(3)の後部を位置させて前記分離装置(3)を配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の作物掘起し装置である。
【0014】
請求項4記載の発明は、前記搬送装置(14)の巻回域内側に、該搬送バー(13)に「E」の字型の突起体(50)を、該搬送バー(13)と突起体(50)の間に「E」の字の内部空間を設けるように設置し、該突起体(50)の前記搬送装置(14)面からの縦方向の高さ(L1)を、無限軌道を構成する隣り合う前記搬送バー(13)の間隔(L2)よりも大きく、かつ空間部(50a)の該突起体(50)の前記搬送装置(14)面からの高さ(L3)を前記搬送装置(14)の無限軌道を構成する隣り合う前記搬送バー(13)の間隔(L2)よりも小さく構成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の作物掘起し装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、作物掘起し装置1の後方部に後下り傾斜姿勢の搬送傾斜部18を形成したことにより、作物掘起し装置1の搬送終端部と圃場との距離を短くし、落下の衝撃で作物が傷つくことが防止でき、作物の商品価値が向上する。
【0016】
また、分離後の作物の落下の衝撃による圃場面での跳ね返りを抑制することができるので、作物が圃場に散らばることを防止でき、作物の回収作業の能率が向上する。
【0017】
本構成とすることで、従来技術のように、作物の落下距離を短くするためのシュータ等の補助部材を設ける必要がなくなり、部品の数を減少させることができると共に、作物掘起し機1を下降させた際に、シュータが圃場に接触して圃場を荒らすことが防止される。
【0018】
さらに、搬送傾斜部18の搬送装置(スラットベルト)14は搬送方向下手側に向かって回転しているために、作物が搬送傾斜部18に停滞することを防止可能とし、作業者が作物掘起し装置1上で停滞した作物を手作業で除去する必要がなく、作業能率が向上する。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、作物掘起し装置1の左右両側に設けた無限軌道を構成する伝動チェーンに、複数の搬送バー13を架け亘して作物掘起し装置の搬送装置(スラットベルト)14を構成したことにより、搬送バー13の隙間から作物に付着した泥土や夾雑物を圃場に落下させることができるので、作物と共に搬送終端部から排出される泥土や夾雑物の量が減り、作物の回収が効率よく行える。
【0020】
また搬送傾斜部18の下方に、圃場を押圧する押圧回転体40を設けたことにより、作物を排出させる畝を押圧回転体40で押し固めて整地することができるので、畝上に落下した作物が土中に潜り込むことが防止され、作物の回収作業の効率が向上する。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、搬送装置(スラットベルト)14の終端部を搬送前端側よりも高く配置したことにより、作物掘起し装置1の前側の土中への陥入を抑制し、作物掘起し装置1の地面から受ける負荷を軽減できるので、作物の搬送の高効率化を実現可能とする。
【0022】
また、分離装置3の後方近傍の搬送装置14を張圧回転体15で屈曲させて、搬送装置14の後端部に搬送傾斜部18を形成し、分離装置3の分離作用部を搬送傾斜部18の手前の搬送装置14の傾斜面の頂部近傍に設定したことにより、搬送装置14で上方へ搬送中の作物や、分離装置3による分離作用を受けた後の作物が、搬送傾斜部18へ搬送される以前に、機体前側の搬送装置14面上の下方へ転がることがあっても、作物掘起し装置1の前方の圃場に落下する以前に、再度搬送装置14に拾われて後方に搬送され、分離装置3に接触することができるので、作物の分離精度が向上し、分離されなかった作物掘起し装置1の前方に落下した作物を回収し、手作業で処理する必要がなくなり、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、作物掘起し装置1を構成する搬送装置14の巻回域内側に設けた突起体50により搬送装置14の巻回域内に残留した石や泥土の塊などを搬送装置14の移動中に、搬送装置14の前端部または後端部に集めて、その後、まとめて除去することができる。また、突起体50に空間部50aを設けることにより、土抜けが良くなり、メンテナンス性が向上する。
【0024】
さらに、該突起体50の前記搬送装置14面からの縦方向の高さL1を搬送装置14を構成する隣り合う搬送バー(スラットバー)13の間隔L2よりも大きくすることで、搬送装置14の巻回域内側に残った石や泥土の塊が突起体50を乗り越えることなく、また突起体50に設けた区間部50aの縦方向の高さL3を隣り合う搬送バーの間隔L2よりも短くすることで、巻回域内に残留した石等が空間部50aをくぐり抜けることなく搬送装置14の巻回域内の前端部または後端部に搬送されるので、確実に石等を取り除くことができ、メンテナンス性がいっそう向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施例の作物掘起し装置の平面図である。
【図2】図1の実施例に係る作物掘起し装置の側面図である。
【図3】図1の実施例に係る作物掘起し装置のスラットコンベアに突起体を設置した作物掘起し装置の側面図(図3(a))と、突起体を設置したスラットコンベアの一部を拡大した斜視概念図(図3(b))と突起体を設置したスラットバーを拡大した側面概念図(図3(c))である。
【図4】図1の実施例に係る作物掘起し装置にプレートを備えた実施例の側面図(図4(a))と、図4(a)のプレートの拡大図(図4(b))と図4(b)の平面図でプレートを中心とした拡大図(図4(c))である。
【図5】図1にの実施例に係る作物掘起し装置に、スラットベルトの巻回域内の石等を除去するための石抜き部材を設置した実施例の平面図(図5(a))と、図5(a)の側面図(図5(b))である。
【図6】図1の実施例に係る作物掘起し装置のスラットベルトで囲まれる巻回域内の体積を強制的に狭くした実施例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施例を図面と共に説明する。
図1は、トラクタ(図示せず)等の車両に接続された作物掘起し装置1の平面図を示す。本発明の説明にあたり、図1の作物掘起し装置1の掘起し刃19がある方向を「前」、里芋が搬送されて分離ベルト4で挟持分離される方向を「後」とし、掘起し刃19を図面に向かって左側にして見たときの上方を作物掘起し装置1の「右側」、下方を作物掘起し装置1の「左側」とする。
【0027】
作物掘起し装置1は、圃場から里芋を掘り起こす掘起し刃19と、作物掘起し装置1の後方へ掘り起こした作物を搬送するために、作物掘起し装置1の機体内部の左右両側の前後方向に無端体の伝動チェーン12を設置し、左右両側の伝動チェーン12の間に複数本のスラットバー(搬送バー)13を等間隔に架け亘して構成したスラットベルト14と、スラットベルト14の上部後方の左右両側に、里芋を親芋と子芋と孫芋に分離する分離装置3と、掘起し刃19によって掘り起こされた里芋が、スラットベルト14で搬送される間に左右方向外側へ落下することを防止するために、スラットベルト14の左右端に設置された一対の汲上搬送フレーム21,21を有する構成をしている。
【0028】
掘起し刃19は、左右の汲上搬送フレーム21,21の前端部でボルト等で固定して左右間に架け渡して取り付ける。
【0029】
スラットベルト14の無限軌道には、スラットベルト14の巻回域内の前後端で、汲上搬送フレーム21の左右方向に回動自在に回転軸17a、17bを亘して設置され、回転軸17a、17bの左右両端に従動スプロケット16a、16bをそれぞれ軸着し、従動スプロケット16a、16bに伝動チェーン12を巻き掛けて無限軌道の回転を実現する構成とする。
【0030】
なお、一対の従動スプロケット16bの回転軸17b,17bを一本の回動軸(図示せず)で構成し、左右の従動スプロケット16b,16bと、該従動スプロケット16b,16bの左右間に鎮圧ローラ40を軸着する構成とすると、スラットコンベア14の駆動力で回転しながら地面に接触する鎮圧ローラ40を貫通する回転軸で支持できるので、耐久性が向上する。
【0031】
スラットベルト14と分離装置3の回転駆動力は、作物掘起し装置1の前方に接続したトラクタ等の作業機のPTO軸(図示せず)から複数のベベルギア32を軸着した回転軸33を経由して伝動される。
【0032】
スラットベルト14の巻回域内には、テンションスプロケット15を軸着させた回転軸が左右方向に亘されており、最終的にPTO軸の動力はテンションスプロケット15に伝達され、テンションスプロケット15の回転を駆動力としてスラットベルト14が無限軌道として回転する。
【0033】
以下、PTO軸の動力がテンションスプロケット15に伝達される機構を詳細に説明する。
テンションスプロケット15に回転動力を伝動する複数の回転軸は3本(第一回転軸33a、第二回転軸33b、第五回転軸33e)存在する。各回転軸の回転動力は、それぞれの回転軸に軸着された複数のベベルギアにより伝動される。
【0034】
第一回転軸33aの後端部には第一ベベルギア32aが軸着されており、分離装置3の上方で、作物掘起し装置1の前方の左右方向中央部に前後方向に設置され、第一回転軸33aの後端部が分離装置3の前方の回転プーリ9a上方に至るまで、分離装置3と平行に配置される(図1)。第一回転軸33aは、作物掘起し装置1の前方に設置されたトラクタのPTO軸(図示せず)の回転動力を受けて回転する。
【0035】
第二回転軸33bの両末端にはスプロケット36bc、36bcが軸着され、さらに第二回転軸33bの中央部に第一回転軸33aの回転動力を得られるように第二ベベルギア32baが軸着される。スプロケット36bc、36bcと第二ベベルギア32baの間の第二回転軸33bに、第三ベベルギア32bbが軸着され、分離装置3の無限軌道を構成する前方の回転プーリ9aの上方付近で第一ベベルギア32aと第二ベベルギア32baを噛合できるように、第二回転軸33bが左右方向に架け亘して配置される。
【0036】
第五回転軸33eの左右両端にはスプロケット36ea、36eaが軸着され、分離装置3の後方上部で左右方向に架け亘され、スプロケット36bc、36bcとスプロケット36ea、36eaと後述するテンションスプロケット15(図2)の外周にチェーン34が無限軌道を構成するように前後方向に巻き付けられる。
【0037】
以上の構成により、PTO軸の回転動力が、第一回転軸33aから第二回転軸33bとチェーン34を介してテンションスプロケット15に伝達され、スラットベルト14の無限軌道の回転の駆動力となる。
【0038】
また、作物掘起し装置1の後端部よりも上方で、且つ分離装置3の後端近傍のスラットベルト14の巻圏域内に、テンションスプロケット15を設けてスラットベルト14の上方を張圧することにより屈曲させ、スラットベルト14の後部に搬送傾斜部18を設けたことにより、搬送傾斜部18に搬送された作物が前方に転がり落ちることなく、後方へ搬送され、スラットベルト14の後方より容易に圃場に落下できる構成とした。
【0039】
搬送傾斜部18の屈曲方法は、スラットコンベア14の巻回域内側に左右方向に亘して設置した回転軸に軸着させたテンションスプロケット15を、左右の伝動チェーン12の上側に内側から押し上げることにより形成する。
【0040】
テンションスプロケット15を前記スラットベルト14の巻回域内に設置することにより、スラットベルト14の形状は、前記スラットベルト14の巻回域内で前後端に設置した2つの従動スプロケット16a、16bとテンションスプロケット15で巻かれ、スラットベルト14の側面視で略三角形を形成する(図示せず)。
【0041】
さらに、当該スラットベルト14の屈曲をスラットベルト14の上方のみならず、下方においても屈曲させるために、テンションスプロケット15の下方近傍で、作物搬送装置1の左右方向に架け亘したアイドルローラ35により、スラットベルト14の巻回域外下方よりスラットベルト14を押し上げて屈曲を形成した。
【0042】
スラットベルト14の上側と下側の双方において、ベルトを屈曲させたことにより、無端体からなるスラットベルト14は、作物掘起し装置1の側面視で「へ」の字型を形成する(図2)。
【0043】
スラットベルト14を上下で屈曲させて、側面視で「へ」の字型に形成することにより、テンションスプロケット15のみによりスラットベルト14を側面視で略三角形に形成したときよりも、作物掘起し装置1の土中に入る前端部の幅は細長く形成され、土中の里芋を掘り起こす際に生じる作物掘起し装置1のスラットベルト14と土中との抵抗を軽減することが可能となる。
【0044】
搬送傾斜部18の屈曲位置は、スラットベルト14の搬送方向後側で、かつ分離装置3の直後とすることで、分離装置3に搬送中の作物や、分離が不十分であった作物がスラットベルト14上で前方に転がることはあっても、作物掘起し装置1の前方の圃場に転がり落ちる以前に再度スラットベルト14により捕捉されて再度後方に搬送され、分離装置3により分離作用を受け、搬送傾斜部18へと搬送される。
【0045】
上記構成により、未分離の作物が作物掘起し装置1の前方の圃場に落下することを防止できるので、作業者は適切に分離されずに圃場に落下した作物を手作業で処理する手間を省くことが可能となり、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される(図2)。
【0046】
スラットベルト14に搬送傾斜部18を設けたことで、スラットベルト14の終端部と圃場との距離を接近させることができるので、分離後の里芋の圃場への落下の衝撃で、里芋が傷つくことを防止可能とし、作物の商品価値を向上させることもできる。
【0047】
また、圃場への落下の衝撃で作物が圃場で跳ね返って散らばることを防止できるので、作物の回収作業の能率が向上する。
さらに、従来の作物掘起し装置で備えつけられていた分離後の作物の圃場への落下を補助するシュータ等の設置も不要となる。
【0048】
里芋の分離作業中にスラットベルト14の後端部が前端側よりも高く配置されるようにトラクタ(図示せず)等の車両に作物掘起し装置1を接続することで、作物が搬送される作物掘起し装置1の後方側ほど土中に貫入しなくなり、作物掘起し装置1と地面との負荷を軽減することができる。
【0049】
作物掘起し装置1の上部左右両側に設置され、搬送された里芋を親芋と子芋と孫芋に分離する一対の無限軌道を構成する分離ベルト4を有する分離装置3は、一対の分離ベルト4と2つの回転プーリ9a、9bを有する無限軌道を構成し、一対の分離ベルト4により搬送される里芋が押圧できるように、スラットベルト14の搬送面と一対の分離ベルト4の表面が垂直となるように設置し、一対の分離ベルト4の成す間隔は、搬送上流側で広く、そして下流側ほど狭くなるように、機体平面視で「ハ」字状に設置する。
【0050】
分離装置3の当該設置方法により、スラットベルト14により搬送される里芋などの作物を挟み込みながら押圧をかけることができ、作物の分離を確実に行うことができる。
【0051】
図1、図2に示すように、分離装置3の無限軌道の回転動力は、先述のスラットベルト14の伝動機構と同様に、エンジンを駆動力の源とするPTO軸の回転動力を、複数のベベルギアを軸着させた複数の回転軸を介して分離装置3の後方側の回転プーリ9bに伝動する構成とする。
【0052】
分離装置3の分離ベルト4の回転動力を伝動する複数の回転軸は5本(第一回転軸33a、第二回転軸33b、2本の第三回転軸33c、第四回転軸33d)存在する。
【0053】
第一回転軸33aの後端部には第一ベベルギア32aが軸着されており、第一ベベルギア32aは分離装置3の上方で、作物掘起し装置1の前方の左右方向中央部に前後方向に設置され、第一回転軸33aの後端部が分離装置3の前方の回転プーリ9a上方に至るまで、分離装置3と平行に配置される(図2)。第一回転軸33aは、作物掘起し装置1の前方に設置されたトラクタのPTO軸(図示せず)の回転動力を受けて回転する。
【0054】
第二回転軸33bの両末端にはスプロケット36bc、36bcが軸着され、さらに第二回転軸33bの中央部に第一回転軸33aの回転動力を得られるように第二ベベルギア32baが軸着される。スプロケット36bc、36bcと第二ベベルギア32baの間の第二回転軸33bに、第三ベベルギア32bbが軸着され、分離装置3の無限軌道を構成する前方の回転プーリ9aの上方付近で第一ベベルギア32aと第二ベベルギア32baを噛合できるように、第二回転軸33bが左右方向に架け亘して配置される。
【0055】
左右一対の第三回転軸33cは、第二回転軸33bに軸着された左右の第三ベベルギア32bb、32bbから第二回転軸33bの回転動力を得られるように、2本の第三回転軸33cのそれぞれの前端に第四ベベルギア32ca、後端に第五ベベルギア32cbを軸着し、第四ベベルギア32caと第三ベベルギア32bbと噛合させる。
【0056】
また、左右一対の第三回転軸33cは、第二回転軸33bの後方の分離装置3の左右一対の回転プーリ9bの回転中心上方に至って、前後方向に、分離装置3と平行に配置される。
【0057】
第四回転軸33dの一端には、左右の第三回転軸33cの後端の第五ベベルギア32cbと噛合できるように、第六ベベルギア32dが軸着され、第四回転軸33dのもう一端は分離装置3の後方の回転プーリ9bの回転中心に軸着され、回転軸dの回転動力により回転プーリ9bが回転する。
【0058】
上記構成により、PTO軸の回転動力は、第一回転軸33aから、第二回転軸33b、2本の第三回転軸33c、第四回転軸33dへと順に伝動され、第四回転軸33dの回転動力が分離装置3の後方の回転プーリ9bに伝達され、分離装置3の無限軌道を構成する分離ベルト4の回転の駆動力となる。
【0059】
分離ベルト4に用いる素材は、里芋の分離作業の効率を高めることができるように、コンバイン等のクローラに用いられるような硬いゴム材を用いることが望ましい。
【0060】
分離装置3の後方に位置するスラットベルト14の傾斜部18の上方に左右一対の案内板20,20を立設し、分離装置3にて分離した作物(里芋)をスラットベルト14の中央に寄せた後に、圃場(畝上)に作物を落下させる構成とした(図1、図2)。
【0061】
案内板20,20は、左右の汲上搬送フレーム21,21に、案内板20,20の一方の端部の基部を固定し、もう一方の端部を搬送方向後方側に向けて配置する。
【0062】
案内板20のスラットベルト14の面からの高さは、里芋が容易に案内板20を乗り越えることができない程度の高さとする。該案内板20,20は搬送方向上手側が広く、搬送方向下手側が狭くなる機体上面視で「ハ」字状に配置しているので、里芋を確実に中央部に寄せることができ、圃場(畝)の一定の範囲に里芋を落下させることが可能となる。
【0063】
本発明における実施例では、搬送傾斜部18の搬送終端部に、圃場を押圧する鎮圧ローラ40を設け、作物の落下以前に、作物を排出させる畝を鎮圧ローラ40で押し固めて均平にし、畝上に落下した作物が土中に潜り込むことを防止する構成とした。
【0064】
鎮圧ローラ40は、スラットベルト14の傾斜部18の巻回域内の後端部で、左右の従動スプロケット16b、16bに左右の回転軸17b、17bを軸着し、回転軸17b、17bに鎮圧ローラ40を軸着して構成する(図1、図2)。
【0065】
これにより、スラットベルト14の駆動力で鎮圧ローラ40が回転するため、畝上に凹部を形成し、排出した親芋、子芋を畝上に集めることができる。
【0066】
鎮圧ローラ40の左右方向の幅は、左右のスプロケット16bの間で、左右一対の案内板20,20の後方の作物の通路の幅よりも広い幅で、圃場に設けられた通常の里芋の栽培に用いられる畝の肩幅(通常30〜60cm程度)に見合った幅とする。
【0067】
また、鎮圧ローラ40の円周表面には、スラットベルト14を構成するスラットバー13が溝40aに噛み込むことができるように、一定間隔で鎮圧ローラ40の左右方向に溝40aを設け、スラットベルト14の無限軌道の回転動力を受けて、鎮圧ローラ40が強制的に一定の速度で回転できるように従動シャフト17bに設置する。
【0068】
スラットバー(搬送バー)13に後述する突起体50を設ける実施例においては、例えば、鎮圧ローラ40を弾性体で構成し、突起体50が鎮圧ローラ50にめり込む構成としたり、突起体50が鎮圧ローラ40に接触する際の負荷でアイドルローラ35が負荷を緩衝するように移動できる構成とすることにより、鎮圧ローラ40と突起体50が噛み合わさる時に生じる物理的障害を緩和できるようにする。
【0069】
このとき、図2に示すように、鎮圧ローラ40の側面視の形状は、前記溝40aを設けたことによりギア形状となる。
【0070】
鎮圧ローラ40の径は、鎮圧ローラ40が直接畝に接触できるように、従動シャフト17bよりも大径とし、かつ、スラットベルト14の回転動力を受けられるように、鎮圧ローラ40の外周面がスラットベルト14に接触できる大きさとする。
【0071】
圃場によって、畝高が様々(通常0〜25cm)であることから、本実施例では、圃場の畝の高さに合わせて、鎮圧ローラ40の高さ調整が可能な構成を設けた。
【0072】
鎮圧ローラ40の高さ調節の機構は、図2に示すように、スラットベルト14の搬送傾斜部18の左右両側において、テンションスプロケット15の回転軸と鎮圧ローラ40の回転軸の間を側面視で「へ」の字型の板状部材42の長辺で架け亘して回動自在に固定し、該「へ」の字型の板状部材42の短辺に設けた孔45aと汲上搬送フレーム21に設けた孔45bとを固定部材で固定することにより、テンションスプロケット15の回転軸15aを回動支点として、鎮圧ローラ40の高さを調節可能とした構成である。
【0073】
鎮圧ローラ40の設置により、里芋(作物)を落下させる以前に、作物の掘起しのために荒れた圃場(畝)を鎮圧ローラ40で均平にできるので、圃場に落下した里芋が土中に潜り込むことを防止することが可能となり、人手あるいは専用の回収装置で回収を行う際の回収効率を向上させることができる。
【0074】
図3(a)(b)(c)には、スラットベルト14のスラットベルト14を構成する各々のスラットバー(搬送バー)13の巻回域内側に突起体50を設けた実施例を示す。
【0075】
図3(b)に示すように、突起体50は「E」の字の形状を有し、スラットバー13の左右方向に沿って、空間部50aを設けるように設置される。
【0076】
スラットバー13に突起体50を設けることにより、作業中にスラットベルト14の巻回域内に入り込んだ石や泥土の塊などを、スラットベルト14の回転に伴い、搬送コンベア6の巻回域内側の前端部または後端部に搬送して一箇所に集めることで、まとめて取り除くことができ、メンテナンス性が向上する。
【0077】
図3(b)に示すように、突起体50には、空間部50aを形成した「E」の字型とすることで、泥抜けが良く、空間部50aを通り抜けることができる程の大きさの土塊や泥は、搬送コンベア6のスラットバー13の隙間から圃場に落下する。
【0078】
スラットベルト14を構成する隣り合うスラットバー13、13の間隔(L2)よりも径が大きい石や土塊等は、スラットベルト14の巻回域内に残留する。残留した石や土塊等はスラットバー13に設置した突起体50により、メンテナンス時に前記巻回域内の石はスラットベルト14の後端部に集められ、搬送コンベア6の巻回域内の後端部に設けられた、掃除口21aから巻回域内より除去される(図3(a))。
【0079】
この時、効率よく石を巻回域内の後端部に集めるために、巻回域内下部面にて突起体50を後方傾斜させて設置する。さらに、巻回域内下部面からスラットバー13に設置する突起体50の空間部50aの垂直方向の高さL3を隣り合う搬送バー13の間隔L2よりも短くし、巻回域内下部面からスラットバー13の最上部までの垂直方向の高さL1を長くすることで、スラットバー13の隙間から落ちることができない程の大きさの巻回域内に入り込んだ石や泥土の塊が、運転時に生じる作物掘起し装置1の振動や、作物掘起し装置1の傾斜により、突起体50を乗り越えること、および空間部50aをくぐり抜けることを防止できる。よって、巻回域内に入り込んだスラットバー13の隙間から落ちることができない大きさの石や泥土の塊を突起体50に確実に引っかけてスラットベルト14の後端部に搬送することが可能となる(図3(b)、(c))。
【0080】
汲上搬送フレーム21に設けた掃除口21aを、スラットベルト14の巻回域内の前端部にも設けることで、PTO軸を逆転させて、スラットコンベア14の巻回域内前端部に石を搬送して取り出すことも可能となり、メンテナンス性がいっそう向上する。
【0081】
図4(a)、(b)、(c)に示す実施例は、メンテナンス時にスラットベルト14の巻回域内の前端部または後端部に内側に寄せられた石を、汲上搬送フレーム21の掃除口21aから取り出しやすくするために、巻回域内にて、隣合う2本のスラットバー13上に、左右方向にスライド可能なスクレーパプレート52を前後方向に架け亘し、巻回域内のスラットベルト14の内表面にスクレーパプレート52の長手方向を直角に配置し、スクレーパプレート52を手動で左右方向にスライドさせて、スラットベルト14の巻回域内の石等を除去する構成としたものである。
【0082】
なお、スラットベルト14の左右の汲上搬送フレーム21の、スラットベルト14の前後端にあたる位置に、巻回域内から石を除去するための汲上搬送フレーム21の掃除口21aを設けている。
【0083】
作物の分離作業時等において、スクレーパプレート52は、作業の邪魔にならいように、図1に示される左右の汲上搬送フレーム21,21の搬送方向下手側下部の左右どちらか一方、あるいは両方の内側に固定しておく。
【0084】
スラットベルト14の巻回域内の石等を除去時には、スラットベルト14の下方から手を入れるか、あるいは汲上搬送フレーム21に設けるメンテナンス用の掃除口21aを開けて、取っ手52aを開放状態にしてスラットベルト14の下方に出し、取っ手52aを握ってスラットバー13に沿って左右方向にスクレーパプレート52を移動させ、泥土を擦り落とす(図4(a)、図4(c))。
【0085】
スクレーパプレート52は、石等の除去の際にスライドを容易にし、作業効率を上げるために、取手52aを付けた構成とする。スラットベルト14の巻回域内にスクレーパプレート52を設置したときに、取手部分52aは、設置した2本のスラットバー13の隙間から巻回域外にはみ出すように設置する。このことで、スラットベルト14の巻回域外から、手動により容易にスクレーパプレート52をスライドさせることができる。
【0086】
しかしながら、分離作業中、スラットベルト14の無限軌道を回転している際に、取手52aが巻回域外にはみ出ていると、里芋の搬送や分離作業の障害物となるため、スクレーパプレート52にコンパクトに収納させ、巻回域外にはみ出さないようにするができる構成とする。
【0087】
図5(a)、(b)は、スラットベルト14の巻回域内の石等を除去するための石抜き部材60を設置した本実施例の平面図、図5(b)は図5(a)の側面図で、石抜き部材60は、搬送部と独立して別個に設けた部材である。
【0088】
石抜き部材60の棒状の作用部60bは、フレーム60aに対して直角に、フレーム上に一列に、等間隔に複数設けられ、隣り合うスラットバー13の間隙に入るようにスキ状の構成とする。
【0089】
石抜き部材60のフレーム60aは、ボックスレンチ60cになっていて、工具としての機能も備えている。
石抜き部材60を使用しない時は、スラットベルト14から取り外して、スラットベルト14の外部である汲上搬送フレーム21の外側側面等にフックを付けて引掛けたり、C字形状のストッパを付けて挟んで留めておくなど、必要なときに即応できるように慣用的な方法で固定する。
【0090】
図6は、スラットベルト14で囲まれる巻回域内の空間の体積を強制的に小さくすることでコンベア内部に石が入りにくくなる構成とした実施例を示す。図6は本実施例の側面図である。
【0091】
巻回域内の空間の体積を小さくするために、スラットベルト14の前端の従動スプロケット16aの直後にアイドルローラ35aを、および後端の従動スプロケット16bの直前にアイドルローラ35bをスラットベルト14の非作用側の下方から上へ押し上げるように、左右方向に架け亘して設置し、アイドルローラ35aと35bの間のスラットベルト14の上下の隙間を狭くする構成とする。
【0092】
また、前記伝動チェーン12,12のうち、里芋の搬送作用側、すなわち、巻回域上側にそれぞれガイド板54,54を設けることにより、張力を弱めたときに伝動チェーン12,12が自重で垂れ下がった際に、該ガイド板54,54が垂れ下がった伝動チェーン12,12を受けるので、伝動チェーン12,12が垂れ下がって巻回域下側に接触することを防止でき、スラットコンベア14の停止や搬送の乱れが防止される。
【0093】
図6の作物掘起し装置1の側面図において、アイドルローラ35a、35bの径は、前後両端部の従動スプロケット16a、16bの径よりも小さくし、また、アイドルローラ35の下端が、前後端従動スプロケット16aと16bの下端を結ぶ直線よりも、下方にはみ出さないように設置する。
【0094】
アイドルローラ35の設置により、スラットベルト14の巻回域内の体積を小さくすることで、作物の掘起し作業時において、図1に示されるスプロケット16a,16bを設置していない実施例の時よりも、スラットベルト14の前端部と土との抵抗をさらに低減させることができ、作業効率が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、分離した収穫後の里芋の回収効率を向上させた作物掘起し装置として利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0096】
1 作物掘起し装置 3 分離装置
4 分離ベルト
9a 分離装置の回転プーリ(前方)
9b 分離装置の回転プーリ(後方)
12 伝動チェーン 13 スラットバー
14 搬送装置(スラットベルト)
15 テンションスプロケット
16a 従動スプロケット(前方)
16b 従動スプロケット(後方)
17a 従動シャフト(前方)
17b 従動シャフト(後方)
18 傾斜部 20 案内板
21 汲上搬送フレーム 21a 掃除口
32a 第一ベベルギア 32ba 第二ベベルギア
32bb 第三ベベルギア
32ca 第四ベベルギア
32cb 第五ベベルギア
32d 第六ベベルギア
33a 第一回転軸 33b 第二回転軸
33c 第三回転軸 33d 第四回転軸
33e 第五回転軸 34 チェーン
35a、35b アイドルローラ
36bc、36ea プーリ
40 鎮圧ローラ 40a 溝
42 「へ」の字型の板状部材
45a、45b 孔
50 突起体 50a 突起体の空間部
52 スクレーパプレート 52a 取手
54 ガイド板 60 石抜き部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を地中から掘り起こす掘起し部材(1)と、該掘起し部材(1)に掘り起こされた作物を後上方に搬送する無限軌道を備えた搬送装置(14)と、該搬送装置(14)で搬送される作物を挟持して収穫物を分離させる一対の分離装置(3)を設けた作物掘起し装置において、
前記搬送装置(14)の無限軌道の後端部に後下りの搬送傾斜部(18)と、
前記搬送装置(14)の上部で、かつ前記分離装置(3)の後方に案内部材(20)
を設けたことを特徴とする作物掘起し装置。
【請求項2】
前記搬送装置(14)の無限軌道は、前記搬送装置(14)の左右両側の前後方向に無限軌道を形成して設置した一対の伝動チェーン(12)と、該左右両側の伝動チェーン(12)の巻回域内の前端部と後端部で該伝動チェーン(12)を巻き付けたスプロケット(16a、16b)と、該一対の伝動チェーン(12)の左右間に一定間隔で架け亘して配置した複数の搬送バー(13)を有し、
前記巻回域内の後端部スプロケット(16b)と同軸上に回動自在に、かつ前記搬送装置(14)の無限軌道の回転動力を駆動力として回転可能であり、かつ外周面が圃場に接触可能に設置した押圧回転体(40)を設けた
ことを特徴とする請求項1記載の作物掘取装置。
【請求項3】
作物を後上方に搬送する無限軌道を備えた前記搬送装置(14)の前記搬送傾斜部(18)の後端部を前記搬送装置(14)の前端部よりも高い位置に配置し、
前記搬送傾斜部(18)よりも前方の前記搬送装置(14)の頂部近傍の傾斜面上に前記分離装置(3)の後部を位置させて前記分離装置(3)を配置した
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の作物掘起し装置。
【請求項4】
前記搬送装置(14)の巻回域内側に、該搬送バー(13)に「E」の字型の突起体(50)を、該搬送バー(13)と突起体(50)の間に「E」の字の内部空間を設けるように設置し、
該突起体(50)の前記搬送装置(14)面からの縦方向の高さ(L1)を、無限軌道を構成する隣り合う前記搬送バー(13)の間隔(L2)よりも大きく、かつ空間部(50a)の該突起体(50)の前記搬送装置(14)面からの高さ(L3)を前記搬送装置(14)の無限軌道を構成する隣り合う前記搬送バー(13)の間隔(L2)よりも小さく構成したこと
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の作物掘起し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−55252(P2012−55252A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202734(P2010−202734)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】