説明

使用済み珪藻土濾過材の脱水処理設備

【課題】コンパクトな設備で使用済みの珪藻土濾過材を少ない労力で連続して所望の水分量に脱水して廃棄することができる脱水処理設備を提供する。
【解決手段】濾過槽内に配置した濾過フィルターから剥離した珪藻土濾過材に所定量の水分を加えて調整した処理材を貯留する撹拌装置付きの貯留槽と、貯留槽に吸込口を連結した定量供給ポンプと、定量供給ポンプの吐出口に連結されたデカンタ型遠心分離器とからなり、貯留槽に貯留させた処理材を定量供給ポンプによりデカンタ型遠心分離器に定量的に連続して供給し、デカンタ型遠心分離器にて珪藻土濾過材からなるケーキ状の固形物と水分とに連続的に分離して脱水処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の濾過手段として用いられる珪藻土フィルターに使用した後の珪藻土濾過材の処理設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時、例えば茶類、ミネラル水、酒類などの飲用物をボトルに充填する際に、飲用物内の濁りによる商品価値の低下を防止し美麗な商品とするため、更には飲み感や味の向上を図る目的で飲用物の最終的処理手段の1つとして例えば特願平11−281256号公報、特開2000−189055号公報など提示されているように、珪藻土濾過材を表面に配置した珪藻土フィルターにより濾過することが行われているように、各種の用途において珪藻土が濾過材として使用されている。
【0003】
ところで、前記珪藻土濾過材は、自身に形成されている多数の小孔に微細な固形物が蓄積するので、頻繁に使用すると目詰まり等によりフィルター性能が低下することから新たな珪藻土濾過材と交換する必要がある。
【0004】
このとき、濾過槽の内部に設置された濾過フィルターの表面に配置された使用済みの珪藻土濾過材を例えば濾過槽に逆洗用エアーを吹き込んで、濾過槽の底部に濾液とともに落下させ、これを脱水して廃棄するのが一般的である。
【0005】
特に、珪藻土濾過材の成分である珪藻土は、そのほとんどが単細胞藻類である珪藻の遺骸(珪藻殻)から生成された珪質の堆積物であって、粘土、火山灰、有機物などの混合物であり、茶類、ミネラル水、ワインやビールなどのような各種の飲用物の濾過に用いた場合にはそのまま土壌に投与したとしても地球環境に害を及ぼすことはない。
【0006】
しかしながら、珪藻土濾過材の本質は含水非晶質二酸化珪素のコロイド状のものであることから、自身もほぼ4倍程度の重量の水分を吸収保持することになる。特に、前記濾過槽から洗い出した状態の珪藻土濾過材は、濾液と混ざった状態であることから水分量が多くスラリー状であって、脱水しないで、そのままの状態で運搬することならびに土壌に廃棄することはきわめて困難であるばかりか容量が多いとコスト高にもなる。
【0007】
そこで、従来、前記濾過槽から取り出した使用済みの水分の多いスラリー状の珪藻土濾過材を例えばドラム缶のような縦型の貯留容器に充填して静置し、珪藻土濾過材が沈降した上澄み液を排出して、残ったケーキ状の珪藻土濾過材を掻き出して運搬、廃棄していた。
【0008】
そのため、多大な労力と長い時間および広い作業面積を必要としており、特に連続作業が行えない、等の問題があった。
【0009】
また、広範囲な設置場所と多くの人手を要する前記多数のドラム缶に代わって、大型の貯留槽に使い済みの珪藻土濾過材を一括して貯留し、スクリューやプレスなどの加圧手段により機械的に圧搾して脱水時間の迅速化を図る手段がとられているが使用済みの珪藻土濾過材を一度に溜めて加圧脱水する高さの高い大型の貯留槽が必要であったり、メンテナンスも大規模になり、さらに連続して脱水作業ができないので多量の使用済みの珪藻土濾過材を一度に貯めて処理しなければならず作業時には多大な労力を要することにもなる。
【0010】
さらに、前記問題点を解決する手段の1つとして、珪藻土濾過材を配置した濾過槽内の使用済み珪藻土濾過材をその下方に配置した加圧エアーにより加圧して脱水する脱水フィルターを備えた脱水筒に導き脱水する処理手段において、脱水筒に導く前に混合機により使用済み珪藻土と加工液(濾液)を撹拌混合することにより濾過(脱水)の迅速化を図った手段が特開平6−309号公報に提示されているが、この場合にも重量のある大型の濾過槽の下方に混合機や脱水筒を配置する必要があり、現実的でなく、作業効率が悪く、特に、使用済みの珪藻土濾過材を脱水処理する際に濾過槽を使用することができず作業効率が悪いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特願平11−281256号公報
【特許文献2】特開2000−189055号公報
【特許文献3】特開平6−309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、コンパクトな設備で使用済みの珪藻土濾過材を少ない労力で連続して所望の水分量に脱水して廃棄することができる脱水処理設備を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するためになされた本発明である使用済み珪藻土濾過材の脱水処理設備は、濾過槽内に配置した濾過フィルターから剥離した珪藻土濾過材に所定量の水分を加えて調整した処理材を貯留する撹拌装置付きの貯留槽と、前記貯留槽に吸込口を連結した定量供給ポンプと、前記定量供給ポンプの吐出口に連結されたデカンタ型遠心分離器とからなり、前記貯留槽に貯留させた処理材を前記定量供給ポンプによりデカンタ型遠心分離器に定量的に連続して供給し、前記デカンタ型遠心分離器にて珪藻土濾過材からなるケーキ状の固形物と水分とに連続的に分離して脱水処理を行うことを特徴とする。
【0014】
また、本発明において、前記デカンタ型遠心分離器が、下方に形成した空間に収容コンテナを出入自由に配置可能な架台上に載置されているとともに前記架台の載置部に前記デカンタ型遠心分離器における固形物取出口を貫通させて開口部を前記空間に露出させ、前記固形物取出口から取り出される脱水処理済みの珪藻土濾過材からなるケーキ状の固形物が連続して落下するように構成した場合には、脱水処理済みの珪藻土濾過材を連続して収集することができ、特に、前記コンテナを運搬車両に付設される分割式の荷台とした場合にはそのまま積み替えることなしに運搬車両で廃棄場所へ搬送することが可能であり、きわめて効率がよい。
【0015】
さらに、前記貯留槽に貯留させた処理材の水分含有量を110〜120重量%程度とすることにより通常の定量供給ポンプを用いても前記貯留させた処理材を所定の供給量で容易にデカンタ型遠心分離器に連続して供給することが可能であり、また、前記デカンタ型遠心分離器による脱水処理後の固形物の水分含有量が65重量%以下である場合には運搬並びに廃棄に際して含有水分による悪影響がなく、容積や重量も縮小して経済的にも有利である。
【0016】
加えて、デカンタ型遠心分離器を形成するスクリューコンベアの表面が硬質のタイル材により覆われている場合には、研磨材に用いられる程の研磨作用を有する珪藻土濾過材とスクリューコンベアとが接触しても摩耗を少なくなり耐久性を増すことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、使用済みの珪藻土濾過材をコンパクトな設備で且つ少ない労力で連続して所望の水分量に脱水してきわめて効率よく廃棄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明である使用済み珪藻土濾過材の脱水処理設備の概略を示す説明図。
【図2】図1に示した実施の形態に用いられるデカンタ型遠心分離器の断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は例えば茶類飲用のために用いられる濾過槽1内に設置された濾過フィルタ11に配置された珪藻土濾過材12を脱水処理するための設備についての概略を示すものであり、主として、前記濾過槽1の下方に配置されて濾過槽1内に配置した前記濾過フィルター11から剥離した珪藻土濾過材12に所定量の水分を加えて調整して処理材21を形成するための集積槽2、 前記集積槽2内の処理材21を搬送するための供給ポンプ3,前記供給ポンプ3により搬送された前記処理材21を貯留する撹拌装置41付きの貯留槽4と,前記貯留槽4に吸込口51を連結した定量供給ポンプ5と、前記定量供給ポンプ5の吐出口52に連結されたスクリューコンベア61の表面に例えばタングステンカーバイトのような硬質材によるタイルが被覆されたデカンタ型遠心分離器6とからなる。
【0020】
また、前記デカンタ型遠心分離器6が、下方に形成した空間71に収容コンテナ8を出入自由に配置可能とした架台7上に載置されているとともに載置面から前記デカンタ型遠心分離器6における固形物取出口62を貫通させて開口部を下側に形成される空間71に露出させ、また、水分取出口63の下端が地表などに形成した排水溝13に開口している。
【0021】
尚、図面中、符号9は例えば浄水H(水道水や地下水など)源に接続された水路であり、91は前記水路に配置された三方向弁、92は電磁弁である。また、
前記デカンタ型遠心分離器6における水分取出口63の下端には取りだされた水分の受けタンク101が配置されているとともに、水分の受けタンク101にはポンプ102および三方向電磁弁103が接続されており、前記三方向電磁弁103の一方の吐出口が地表に構築された排水溝13への水路104か接続され、もう一方の吐出口には前記4へ撹拌装置4への水路105が接続されている。
【0022】
次に、本実施の形態の使用方法について詳細に説明する。
【0023】
始めに、飲用物を濾過している濾過槽1内の珪藻土濾過材12を交換する際に、例えば濾過槽1内に逆洗用エアーを吹き込んで、濾過フィルター11から剥離した珪藻土濾過材12を濾過槽1の底部に配置した集積槽2に濾液とともに落下させ、必要であればこれに水路9から浄水Hを追加して所定の水分含量とした処理物21を供給ポンプ3により貯留槽3に移送する。
【0024】
尚、前記処理物21の水分含量は、供給ポンプ3により搬送可能であればよいが、例えば110〜120重量%であると搬送可能であるとともに全体の容積を少なくすることができるのでその後の貯留槽4の容積を小さくすることができたりデカンタ型遠心分離器6の脱水時間などの減縮や脱水により生じる水分の削減を図ることができる。
【0025】
そして、前記貯留槽4に貯留された処理物21は撹拌装置41により常時均質(使用済みの珪藻土濾過材が所定の水分含量のスラリー化している状態)に保たれて貯留され、貯留された処理物は底部に形成した取出口42から定量供給ポンプ5により所定の流量でデカンタ型遠心分離器6へ連続的に供給される。尚、貯留槽4については加熱蒸気や加熱コイルなどの手段により加熱可能とすることにより低温により流動性が低下するのを防ぐことができる。
【0026】
図2は前記デカンタ型遠心分離器6の詳細を示すものであり、ケース71内部に横方向へ延びる外側回転筒72とその内側に僅かな半径方向への隙間を保持させた状態で螺旋状の羽根731を有するスクリューコンベヤ73が主電動機741および差動機742、ギヤボックス743により高速で相対回転自在に設けられている従来周知の構成である。
【0027】
また、前記外側回転筒72は、図示左端に分離した水分211の溢流口721が設けられた大径の平行部722と、これに連続して図示右端に分離した固形物212(珪藻土濾過材)の排出口722が設けられた傾斜部723とからなり、高速回転する外側回転筒72を有し、該外側回転筒72の内部に、僅かな半径方向隙間を保持して螺旋状のコンベヤ羽根731を有するスクリューコンベヤ73が相対回転自在に設けられている。
【0028】
そして、前記スクリューコンベヤ73の軸75に形成された挿入口751から供給された前記処理材21は前記スクリューコンベヤ73の軸75の途中に形成された吐出口752から前記スクリューコンベヤ73と外側回転筒72との間の空間に搬送されて分離し、水分211が溢流口721から、ケーキ状の固形物(珪藻土濾過材)212が排出口722からそれぞれ所定の容量が連続して排出され、前記ケース71の下端に形成した水分取出口63および固形物取出口62から排出される。
【0029】
このとき、本実施の形態では、図1に示すように、前記固形物取出口62の下方に形成される開放端は前記架台を貫通して配置されているとともに、架台7の下方に形成した空間71に出入自由に配置可能とした収容コンテナ8に開口しているので前記固形物取出口62から連続して排出されるケーキ状の固形物(珪藻土濾過材)212が集積されるので所定量が堆積したらコンテナ8を引き出して新たに空のコンテナを配置して連続して脱水を行う。
【0030】
本実施の形態では特に、前記コンテナ8を運搬車両の分割式の荷台としたことにより(図示せず)、運搬車両をコンテナ8の連結部に連結するだけでそのまま荷台となるので車両の荷台に積み替えることもなくきわめて容易に搬送することができる。
【0031】
また、本実施の形態では、前記デカンタ型遠心分離器6における水分取出口63の下端には取りだされた水分の受けタンク101が配置されているとともに、水分の受けタンク101にはポンプ102および三方向電磁弁103が接続されており、前記三方向電磁弁103の一方の吐出口が地表に構築された排水溝13への水路104か接続され、もう一方の吐出口には前記貯留槽4への水路105が接続されている。従って、水分の受けタンク101の状況を確認することにより前記デカンタ型遠心分離器6において正常に水分が分離されていることが確認でき、また、分離された水分は必要であれば水路105を介して貯留槽4に使用する水分として利用することができる。
【0032】
本実施の形態では、前記排水を搬送する水路105および浄水を搬送する水路9が前記図1に示す集積槽2、供給ポンプ3,貯留槽4、定量供給ポンプ5およびデカンタ型遠心分離器6に連結されていることから、前記各機器の洗浄も容易にすることができる。
【0033】
さらに、スクリューコンベア61の表面にタイルが形成されているので研磨効果を有する珪藻土濾過材を処理したとしても接触摩耗に対処することができる。
【0034】
さらにまた、本実施の形態によれば、前記定量供給ポンプ3やデカンタ型遠心分離器6、更には、電磁弁91等を制御装置(図示せず)により電子的に制御することにより全自動化(無人化)を図ることも可能である。
【実施例】
【0035】
本発明を茶飲用に用いた使用済みの茶入り珪藻土濾過材を水分量(珪藻土:水 = 13:100)に調整した処理材を、樹脂製貯留槽に貯領して定量供給ポンプ(吐出量 300L/h)によりデカンタ型遠心分離器(巴工業株式会社製 TSH005型トモイ−デカンタ)に供給し、3200RPMで4時間脱水処理した。
【0036】
その結果、デカンタ型遠心分離器から平均含有水65%以下のケーキ状固形物(珪藻土濾過材)を連続してほぼ50kgを分離することができ、本発明がきわめて有効であることが確認された。
【符号の説明】
【0037】
1 濾過槽、2 集積槽、4 貯留槽、5 定量供給ポンプ、6 デカンタ型遠心分離器、7 架台、8 収容コンテナ、11 濾過フィルター、12 珪藻土濾過材、21 処理材、41 撹拌装置、42 取出口、51 吸込口、52 吐出口、62 固形物取出口、71 空間、212 固形物



【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過槽内に配置した濾過フィルターから剥離した珪藻土濾過材に所定量の水分を加えて調整した処理材を貯留する撹拌装置付きの貯留槽と、前記貯留槽に吸込口を連結した定量供給ポンプと、前記定量供給ポンプの吐出口に連結されたデカンタ型遠心分離器とからなり、前記貯留槽に貯留させた処理材を前記定量供給ポンプによりデカンタ型遠心分離器に定量的に連続して供給し、前記デカンタ型遠心分離器にて珪藻土濾過材からなるケーキ状の固形物と水分とに連続的に分離して脱水処理を行うことを特徴とする使用済み珪藻土濾過材の脱水処理設備。
【請求項2】
前記デカンタ型遠心分離器が、下方に形成した空間に収容コンテナを出入自由に配置可能な架台上に載置されているとともに前記架台の載置部に前記デカンタ型遠心分離器における固形物取出口を貫通させて開口部を前記空間に露出させ、前記固形物取出口から取り出される脱水処理済みの珪藻土濾過材からなるケーキ状の固形物が連続して落下することを特徴とする請求項1記載の使用済み珪藻土濾過材の脱水処理設備。
【請求項3】
前記コンテナが運搬車両に付設される分割式の荷台であることを特徴とする請求項2記載の使用済み珪藻土濾過材の脱水処理設備。
【請求項4】
前記処理材の水分含有量が110〜120重量%である請求項1,2または3記載の使用済み珪藻土濾過材の脱水処理設備。
【請求項5】
前記デカンタ型遠心分離器による脱水処理後の固形物の水分含有量が65重量%以下である請求項1,2,3または4記載の使用済み珪藻土濾過材の脱水処理設備。
【請求項6】
前記デカンタ型遠心分離器を形成するスクリューコンベアの表面が硬質のタイル材により覆われていることを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載の使用済み珪藻土濾過材の脱水処理設備。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−25184(P2011−25184A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175088(P2009−175088)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(504238194)株式会社日本キャンパック (8)
【出願人】(301065869)三友機器株式会社 (6)
【出願人】(390037707)オーエスマシナリー株式会社 (15)
【Fターム(参考)】