説明

保鮮容器

【課題】容器内の水分により生じる結露および青果物自身から出る水分によって野菜又は果物等の青果物が腐ることを抑制するための保鮮容器を提供する。
【解決手段】開口210を有する容器本体20と、開口210を密閉可能とする第1蓋30と、第1蓋30に設けられ、容器本体20の内方に連通する孔310と、孔310を密閉可能に開閉する第2蓋40とを備え、第2蓋40を開状態とすることにより、保鮮容器10内の水分を保鮮容器10外に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜又は果物等の青果物等を保鮮するための保鮮容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、青果物を保鮮するための保鮮容器として、容器本体の開口を蓋によって密閉するものがある。この保鮮容器によれば、青果物の乾燥を抑制して容器内の湿度を維持することができるので、青果物の保鮮性を向上させることができる。
【0003】
さらに、この種の保鮮容器において、容器本体の一部にガス選択性透過フィルムが設けられたものが提案されている(特許文献1)。この保鮮容器によれば、保鮮容器内における二酸化炭素のガス濃度を適切に保つことができるので、青果物の長期貯蔵を可能とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−119719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の保鮮容器は密閉容器であるので、容器内に結露が生じやすく、この結露による水分によって保鮮容器内の青果物が腐ってしまうという問題がある。また、保鮮容器内には結露以外に青果物自身から出る水分もあり、この水分によって青果物が腐ってしまうという問題もある。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、容器内の水分によって青果物が腐ることを抑制するための保鮮容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、本発明に係る保鮮容器の一態様は、開口を有する容器本体と、前記開口を密閉可能とする第1蓋と、前記第1蓋に設けられ、前記容器本体の内方に連通する孔と、前記孔を密閉可能に開閉する第2蓋とを備える。
【0008】
これにより、孔を介して保鮮容器内に生じた水分を保鮮容器外に排出することができるので、保鮮容器に収納される青果物が腐ることを抑制することができる。また、孔を介して保鮮容器内外の気体を通すことができるので、保鮮容器内に結露が生じることを抑制することもできる。さらに、孔を介して保鮮容器外から二酸化炭素を取り入れることもできるので、青果物の鮮度を保ち青果物の長期貯蔵を可能とすることもできる。
【0009】
さらに、本発明に係る保鮮容器の一態様において、前記第2蓋は、一軸回転支持機構によって前記第1蓋に取り付けられていることが好ましい。
【0010】
これにより、簡易な構成により、第2蓋の開閉動作を行うことができる。
【0011】
さらに、本発明に係る保鮮容器の一態様において、前記第2蓋は、押し込み部を有し、前記押し込み部が押し込まれることにより前記第2蓋は開状態となることが好ましい。
【0012】
これにより、第2蓋の押し込み部を押すという単純な動作により、第2蓋を開状態とすることができる。
【0013】
さらに、本発明に係る保鮮容器の一態様において、前記第1蓋は、前記押し込み部が押し込まれる凹部を有することが好ましい。
【0014】
これにより、第2蓋が閉状態のときに、第2蓋と第1蓋とを平らに構成することができる。
【0015】
さらに、本発明に係る保鮮容器の一態様において、前記第2蓋の開状態を維持するための開状態維持手段を有することが好ましい。
【0016】
これにより、第2蓋の開状態を維持することができるので、孔の通気状態を一定に維持することができる。
【0017】
さらに、本発明に係る保鮮容器の一態様において、前記孔の開口面積を調節するための孔開口面積調節手段を有することが好ましい。
【0018】
これにより、孔の開口面積を調節することができるので、収納物の種類又は収納物の収納量に応じて通気状態を適宜調整することができる。
【0019】
さらに、本発明に係る保鮮容器の一態様において、前記容器本体は、把手部を有し、前記容器本体の前記把手部が設けられた側を手前側とし、前記手前側の反対側を奥側としたときに、前記第2蓋は、前記第1蓋の前記奥側に取り付けられていることが好ましい。
【0020】
これにより、保鮮容器の奥側に冷気が通る場合等で保鮮容器の奥側に結露が生じやすい場合に、保鮮容器の奥側に結露が発生することを効果的に抑制することができる。
【0021】
さらに、本発明に係る保鮮容器の一態様において、前記第2蓋の前記押し込み部は、当該第2蓋の前記手前側に位置することが好ましい。
【0022】
これにより、保鮮容器の手前側から容易に押し込み部を押し込むことができるので、第2蓋を容易に開状態とすることができる。特に、第2蓋が第1蓋の奥側の位置に設けられている場合でも、容易に第2蓋を開状態とすることができる。
【0023】
さらに、本発明に係る保鮮容器の一態様において、前記容器本体の前記奥側の壁である奥壁と前記容器本体の側壁とが、外側に膨出した曲面、又は平面によって繋がっていることが好ましい。
【0024】
これにより、冷蔵庫の冷蔵室等の収納室に保鮮容器を収納する場合、保鮮容器を容易に収納することができる。また、保鮮容器を収納室から取り出す際も保鮮容器を容易に取り出すことができる。
【0025】
また、本発明に係る冷蔵庫の一態様は、上記の本発明に係る保鮮容器を収納するための収納室を備える。
【0026】
冷蔵庫の冷蔵室等の収納室に密閉型の保鮮容器を収納すると保鮮容器内に結露が生じやすい。この場合、収納室に収納する保鮮容器として本発明に係る保鮮容器を用いることにより、孔によって保鮮容器内の水分を排出することができる。また、孔によって保鮮容器内外の気体の通気を行うこともできるので、結露の発生を抑制することができる。
【0027】
さらに、本発明に係る冷蔵庫の一態様において、前記保鮮容器が複数個並べて配置されていることが好ましい。
【0028】
これにより、冷蔵室の扉が十分に開けられないような場合でも、保鮮容器を取り出すことができ、冷蔵室を有効に利用することができる。また、収納物の種類又は収納量に応じて、保鮮容器を選択することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る保鮮容器及び冷蔵庫によれば、容器内の水分によって青果物等の収納物が腐ることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1A】図1Aは、本発明の実施形態に係る保鮮容器の外観斜視図である。
【図1B】図1Bは、図1Aに示す本発明の実施形態に係る保鮮容器の分解斜視図である。
【図2】図2は、図1Bの破線で囲まれた領域Aの拡大図であり、本発明の実施形態に係る保鮮容器における第1蓋の要部拡大斜視図である。
【図3A】図3Aは、本発明の実施形態に係る保鮮容器における第2蓋を表側の斜め方向から見た外観斜視図である。
【図3B】図3Bは、本発明の実施形態に係る保鮮容器における第2蓋を裏側の斜め方向から見た外観斜視図である。
【図4A】図4Aは、第2蓋が閉じている状態を示した本発明の実施形態に係る保鮮容器の要部拡大断面図である。
【図4B】図4Bは、第2蓋が開いている状態を示した本発明の実施形態に係る保鮮容器の要部拡大断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に係る冷蔵庫を模式的に表した冷蔵庫の正面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態に係る冷蔵庫における冷蔵室を模式的に表した冷蔵室の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態に係る保鮮容器及び冷蔵庫について、図面を参照しながら説明する。
【0032】
図1Aは、本発明の実施形態に係る保鮮容器の外観斜視図である。図1Bは、図1Aに示す本発明の実施形態に係る保鮮容器の分解斜視図である。
【0033】
図1A及び図1Bに示すように、本発明の実施形態に係る保鮮容器10は、野菜又は果物等の青果物を保鮮するための保鮮容器であって、容器本体20と第1蓋30とを備える。
【0034】
容器本体20は、青果物等の収納物を収納するための樹脂成形容器であって、収納物を出し入れするための開口210を有する。
【0035】
第1蓋30は、容器本体20の開口210を密閉可能とするものである。第1蓋30には、図1Bに示すように、容器本体20の内方に連通する孔310が設けられている。孔310は、容器本体20内外における気体の通り道であり、容器本体20内の水分等の気体を容器本体20外に排出する機能を有する。また、孔310は、容器本体20外の気体を容器本体20内に取り込む機能も有する。
【0036】
第1蓋30には、第2蓋40が取り付けられている。第2蓋40は、第1蓋30の孔310を密閉可能に開閉するものである。第2蓋40を開閉することにより、孔310を介して容器本体20内外における気体の出入りを調整することができる。
【0037】
第1蓋30の一方側端には、止め部材50が取り付けられている。容器本体20の手前側には引っ掛け部230が設けられている。止め部材50を引っ掛け部230に係合させることにより容器本体20と第1蓋30とがロックされた状態で密閉される。
【0038】
第1蓋30の奥側には爪320が設けられている。また、容器本体20の奥側には係止穴220が設けられている。爪320と係止穴220とは係合されている。
【0039】
以上のように構成された保鮮容器10において、第1蓋30を開ける場合は、止め部材50を手前に持ち上げて引っ掛け部230との係合状態を解除し、第1蓋30を持ち上げる。これにより、容器本体20の開口210を開放することができるので、開口210から容器本体20内に青果物を収納することができる。また、開口210から容器本体20内の青果物を取り出すことができる。
【0040】
例えば、保鮮容器10に青果物等の収納物を収納する場合、まず、開口210から容器本体20内に青果物を入れる。そして、第1蓋30の爪320を容器本体20の係止穴220に係合させ、第1蓋30に取り付けられた止め部材50を容器本体20の引っ掛け部230に係合させる。これにより、容器本体20を密閉することができる。このとき、図1Bに示すように、容器本体20と第1蓋30との当接部分に、樹脂からなるシール部材60を設けることによって、保鮮容器10の密閉性(シール性)を向上させることができる。
【0041】
また、保鮮容器10から青果物等の収納物を取り出す場合、止め部材50を手前に持ち上げて引っ掛け部230との係合状態を解除し、第1蓋30を持ち上げる。これにより、容器本体20の開口210を開放することができるので、開口210から容器本体20内の収納物を取り出すことができる。
【0042】
なお、第1蓋30の開閉時において、爪320を係止穴220から外し、第1蓋30を容器本体20から完全に離して、収納物を収納したり取り出したりしてもよい。
【0043】
また、容器本体20には、容器本体20を掴むための把手部240が設けられている。把手部240は、保鮮容器10を冷蔵室等の収納室に収納した場合に、保鮮容器10を引き出す際に使用される。把手部240は、下方に開放された開口を有する凹部構造となっている。これにより、下方から開口に手を差し込むことができるので、冷蔵室110から保鮮容器10を引き出す際に、手によって保鮮容器10を下方から支えることができる。従って、保鮮容器10の引き出し過ぎによって保鮮容器10が冷蔵室110から飛び出して勢いよく落下してしまうことを抑制することができる。
【0044】
なお、以降、本実施形態では、保鮮容器10の中心に対して把手部240が設けられる位置の方向を手前側と称し、保鮮容器10の中心に対して手前側とは反対側の方向を奥側と称する。また、奥側と手前側を結ぶ直線方向を縦方向とし、縦方向と垂直な方向を横方向とする。
【0045】
次に、第1蓋30とその孔310について、図2を用いてさらに詳述する。図2は、図1Bの破線で囲まれた領域Aの拡大図であり、本発明の実施形態に係る保鮮容器における第1蓋の要部拡大斜視図である。
【0046】
図2に示すように、第1蓋30には、平面視したときに横長の略矩形状をなす凹部330が形成されている。凹部330は、縦方向に二分されており、奥側の第1凹部331と手前側の第2凹部332とからなる。第2凹部332は、その深さが第1凹部331の深さよりも深くなるように形成されている。
【0047】
第1凹部331には、第1蓋30を貫通して形成される通気用の孔310が設けられている。孔310は、平面視したときに横長の略矩形状をなしている。また、第2凹部332の横方向の両側壁には、略円柱凸部で構成される軸341、342が設けられている。以上のように構成される第1蓋30は、所定の樹脂を用いて射出成形等によって形成することができる。
【0048】
次に、第2蓋40について、図3A及び図3Bを用いてさらに詳述する。図3Aは、本発明の実施形態に係る保鮮容器における第2蓋40を表側の斜め方向から見た外観斜視図である。図3Bは、第2蓋を裏側の斜め方向から見た外観斜視図である。
【0049】
図3Aに示すように、第2蓋40は、第1蓋30の凹部330全体と略同形状の板状部材410で構成されている。第2蓋40の板状部材410の両側部分には、第1蓋30の第2凹部332に設けられた軸341、342に軸支される軸受部421、422が設けられている。このように第1蓋30の軸341、342と第2蓋40の軸受部421、422とによって一軸回転支持機構が構成されている。すなわち、ヒンジ構造となっている。
【0050】
また、図3Bに示すように、第2蓋40の裏面には、第1蓋30の孔310と嵌合する凸部430が設けられている。第2蓋40の凸部430は、所定厚さ及び所定高さの壁を環状に形成したものである。第2蓋40の凸部430が第1蓋30の孔310に嵌合されることにより、第1蓋30の孔310を密閉することができる。
【0051】
このとき、凸部430を環状の壁によって形成している。すなわち、壁の内側に空間部分を形成しているので、凸部430に、保鮮容器10の縦方向(第2蓋の幅方向)に対して所定の弾性力を持たせることができる。このように、凸部430に弾性力を持たせることにより、凸部430を孔310に容易に嵌合することができるとともに、凸部430を孔310から容易に外すこともできる。しかも、弾性力によって孔310と凸部430の密閉性(シール性)を向上させることもできる。なお、凸部430は環状の壁となるように形成したが、環状の壁とはせずに、壁の内部を壁と同じ材料で充填した構成としても構わない。この場合、凸部の先端外周部分は、孔310と嵌合しやすいように面取りをすることが好ましい。
【0052】
以上の第2蓋40は、所定の樹脂を用いて射出成形等により形成することができる。なお、第2蓋40の凸部430の側壁外周部分にシール部材(不図示)を設けて、孔310と凸部430との間にシール部材が位置するように構成することにより、孔310と凸部430の密閉性をさらに高めることができる。
【0053】
次に、第2蓋40が開閉する様子について、図4A及び図4Bを用いて説明する。図4Aは、第2蓋が閉じている状態を示した本発明の実施形態に係る保鮮容器の要部拡大断面図である。図4Bは、第2蓋が開いている状態を示した本発明の実施形態に係る保鮮容器の要部拡大断面図である。なお、図4Bは、図1Aに示されるX−X’線に沿って切断した断面図である。
【0054】
図4Aに示すように、第2蓋40が閉じている場合(閉状態)は、第2蓋40の凸部430が第1蓋30の孔310に嵌合している。
【0055】
これにより、孔310の密閉状態を維持して保鮮容器10全体を完全に密閉状態にすることができるので、保鮮容器10内の乾燥を防止して保鮮容器10内の湿度を一定以上に維持することができる。
【0056】
なお、図4Aに示す第2蓋40の閉状態においては、第1蓋30の表面と第2蓋40の表面とは略同一平面となるように、第1蓋30と第2蓋40とは平らに構成されている。
【0057】
次に、第2蓋40を開ける場合は、第2蓋40の凸部430が設けられている側とは反対方向側の部分である押し込み部440を上方から押す。これにより、図4Bに示すように、第1蓋30の軸341(342)と第2蓋40の軸受部421(422)との一軸回転支持機構によって、押し込み部440は下降して第2凹部332に押し込まれるとともに、押し込み部440とは反対側の部分である上昇部450(凸部430が設けられている側の部分)は上昇して第1蓋30の表面から飛び出した状態となる。
【0058】
これにより、第2蓋40が開状態となる。すなわち、第2蓋40の凸部430が孔310から外れて第1蓋30の孔310が開放され、容器本体20内外の気体が孔310を介して通ることができる状態となる。
【0059】
このように、第2蓋40を開状態とすることにより、孔310を介して保鮮容器10内の水分を保鮮容器10外に排出することができる。また、青果物自身が発生する水分を保鮮容器10外に排出することもできる。従って、青果物が水分によって腐ってしまうことを防止することができる。
【0060】
また、第2蓋40を開状態とすることにより、孔310を介して保鮮容器10内外の気体を通すことができるので、保鮮容器10内の高くなった湿度を低下させることができる。また、保鮮容器内外の温度差がある場合は、孔310を介して保鮮容器10内外の気体を通すことによって保鮮容器10内外の温度差を小さくすることができる。これにより、保鮮容器10内に結露が発生することを抑制することができる。
【0061】
さらに、第2蓋40を開状態とすることにより、孔310を介して保鮮容器10外の二酸化炭素を保鮮容器10内に取り込むこともできる。これにより、青果物の鮮度を保ち青果物の長期貯蔵を可能とすることもできる。
【0062】
なお、第2蓋40を開状態から閉状態とすることにより、保鮮容器10を密閉することができる。これにより、保鮮容器10内の乾燥を防止することができる。このように、第2蓋40を開状態から閉状態とする場合は、図4Bに示すように、飛び出した第2蓋40の上昇部450の上面部分を上方から押すことにより、図4Aに示すように第2蓋40を閉状態とすることができる。
【0063】
以上、本実施形態において、第2蓋40の開状態の維持は、第1蓋30の軸341、342と、第2蓋40の軸受部421、422との摩擦によって保たれている。すなわち、第2蓋40の開状態を維持するための開状態維持手段としては、一軸回転支持構造における摩擦を用いたものである。なお、第2蓋40の開状態における第2蓋の開き角度は約30度としている。第2蓋40の開状態が維持されているときの開き角度は90度以下であることが好ましい。また、第2蓋40の開状態維持手段としては、摩擦以外の手段によっても実現することができる。例えば、掛け具等の掛止部を用いたラッチ構造によって開状態維持手段を構成することもできる。
【0064】
また、本実施形態において、第1蓋30の孔310と当該孔310を塞ぐ第2蓋40とは、保鮮容器10の奥側に設けている。これにより、保鮮容器10の奥側に冷気が通る場合等であって保鮮容器10の奥側に結露が生じやすいような環境下に保鮮容器10が置かれた場合、保鮮容器10内の奥側に発生しうる結露を効果的に抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態において、第2蓋40の押し込み部440は、当該第2蓋40を構成する板状部材410の手前側部分としている。これにより、第2蓋40を手前側から容易に開閉することができる。なお、第2蓋40の押し込み部が奥側にあると、押し込み部を押したときに手前側部分が上昇することになり、押し込み部を手前側から容易に押すことができなくなる場合がある。
【0066】
例えば、保鮮容器10を収納棚又は収納室に収納した場合であって、保鮮容器10の上面と収納棚(又は収納室)内上面との隙間が小さい場合を考える。この場合、本実施形態のように押し込み部440が手前側にあれば、隙間から手を入れて押し込み部440を押すことができるので、保鮮容器10を動かすことなく第2蓋40を開閉することができる。一方、第2蓋40の押し込み部が奥側にあると、隙間の間隔として第2蓋の上昇部分に加えて手の厚みの分も必要となり、第2蓋40を容易に開閉することができなくなる。
【0067】
また、上記隙間が小さく、もともと手を入れることができない場合であっても、押し込み部440を手前側に設けることにより、保鮮容器10を収納棚(又は収納室)から全て取り出す必要はなく、第2蓋40の手前側部分さえ露出させることにより、第2蓋40の開閉を行うことができる。
【0068】
また、本実施形態では、図1A及び図1Bに示すように、容器本体20の奥側の壁である奥壁と容器本体20の側壁とを、外側に膨らんだ所定の曲率半径を有する曲面によって繋げた構造とした。これにより、保鮮容器10を収納棚又は収納室に収納する場合であっても、保鮮容器10を容易に収納することができる。また、保鮮容器10を収納棚又は収納室から取り出す際も、保鮮容器10を容易に取り出すことができる。なお、曲面以外に平面で繋げた構造としても構わない。但し、保鮮容器10の収納量を確保するためには曲面とすることが好ましい。
【0069】
次に、本発明の実施形態に係る冷蔵庫について、図面を参照して説明する。図5は、本発明の実施形態に係る冷蔵庫を模式的に表した冷蔵庫の正面図である。
【0070】
図5に示すように、本発明の実施形態に係る冷蔵庫100は、上段、中段及び下段の3つに区画された貯蔵室を備える。具体的には、上段の貯蔵室は冷蔵室110であり、中段の貯蔵室は野菜室120であり、下段の貯蔵室は冷凍室130である。各貯蔵室において、冷蔵室110の庫内温度は約2〜3℃であり、野菜室120の庫内温度は約2〜5℃であり、冷凍室130の庫内温度は約−18〜−20℃である。なお、図6において、矩形の破線がそれぞれの貯蔵室の前面開口部を表している。
【0071】
主箱体の内方に形成される冷蔵室110には、前面開口部を覆うことにより冷蔵室を密閉状態とする扉111が設けられている。扉111は、前面開口部の向かって右側の端部に設けられており、縦方向の回動軸を中心に回動することができる。これにより、扉111を左右方向に開閉することができる。また、扉111を開閉することによって、冷蔵室110に収納物を収納したり、冷蔵室110から中の収納物を取り出したりすることができる。
【0072】
野菜室120及び冷凍室130には、上方に開放された開口を有する引き出し式の収納容器(ケース)がそれぞれ収納されている。また、野菜室120及び冷凍室130には、前面開口部を覆う扉121、131が設けられている。扉121、131を手前側に引き出したり奥側に押し込んだりすることにより、これに連動して収納容器も手前側に引き出されたり奥側に押し込まれたりする。これにより、収納容器に収納物を収納したり収納容器から収納物を取り出したりすることができる。
【0073】
次に、本発明の実施形態に係る冷蔵庫における冷蔵室について、図6を用いてさらに詳細に説明する。図6は、本発明の実施形態に係る冷蔵庫における冷蔵室を模式的に表した冷蔵室の正面図である。なお、図6において、扉は図示していない。
【0074】
図6に示すように、本実施形態に係る冷蔵庫100の冷蔵室110は、上段側の第1貯蔵室112と下段側の第2貯蔵室113とを備えている。第1貯蔵室112と第2貯蔵室113との間にはトレイ114が設けられており、トレイ114によって冷蔵室110が第1貯蔵室112と第2貯蔵室113とに区分されている。なお、第1貯蔵室112においては、破線で示すように適宜必要個数のトレイを別途設けても構わない。
【0075】
本実施形態において、第2貯蔵室113には、上述した本実施形態に係る保鮮容器10a、10bが収納されている。すなわち、上述した本実施形態に係る保鮮容器10を冷蔵庫用の保鮮容器として用いている。また、本実施形態では、同じ大きさ及び同じ形状の保鮮容器10を2つ並べて配置し、保鮮容器10a及び保鮮容器10bとしている。また、保鮮容器10a、10bは、第2貯蔵室113内のスペースを有効に活用できるような大きさとしており、本実施形態では、2つの保鮮容器10a、10bによって第2貯蔵室113の空間を埋めるような構成としている。なお、図6においては、保鮮容器10a、10bは模式的に図示している。
【0076】
以上のように構成される本実施形態に係る冷蔵庫は、次のような効果を得ることができる。
【0077】
冷蔵庫100の冷蔵室110に密閉容器を収納すると密閉容器内に結露が生じやすい。しかし、冷蔵庫100の冷蔵室110に収納する密閉容器として、本実施形態に係る保鮮容器10a、10bを用いることによって、この問題を解消することができる。すなわち、本実施形態に係る保鮮容器10a、10bを用いてそれぞれの第2蓋40を開状態とすることにより、孔310を介して保鮮容器10a、10b内の水分を排出することができ、また、保鮮容器10a、10b内の結露の発生を抑制することができる。
【0078】
さらに、冷蔵庫100の冷蔵室110は、庫内奥側に冷気が通る構造となっているので、庫内奥側の方が庫内手前側よりも庫内温度が低い。従って、冷蔵室110に密閉容器を収納すると密閉容器内の奥側部分に結露が生じやすい。しかし、本実施形態に係る保鮮容器10a、10bは、孔310を開閉するための第2蓋40が奥側に設けられているので、保鮮容器10a、10b内の奥側に発生しうる結露を効果的に抑制することができる。
【0079】
また、本実施形態に係る保鮮容器10a、10bでは、第2蓋40の押し込み部440は、当該第2蓋40の手前側部分としている。これにより、保鮮容器10a、10bの容器全体を第2貯蔵室113から取り出すことなく、押し込み部440が押せる状態にまで取り出すことにより、第2蓋40の開閉を容易に行うことができる。
【0080】
しかも、第1蓋30の上面と第2貯蔵室113内の上面(トレイ下面)との間に手を入れる隙間さえあれば、保鮮容器10a、10bを移動させることなく第2蓋40を開閉することができる。
【0081】
このように、第2蓋40の押し込み部440を手前側に設けることにより、第2蓋40を開閉するためにだけに保鮮容器10a、10bの容器全体を冷蔵室110から取り出す必要がなくなる。従って、保鮮容器10a、10bの引き出し過ぎによる保鮮容器10の落下を防止することができる。
【0082】
すなわち、本実施形態では、結露の発生を防止するために第2蓋40は奥側に設け、かつ、第2蓋40の開閉を容易にかつ安全に行うために押し込み部440は手前側に設けた構造としている。
【0083】
さらに、保鮮容器10a、10bの把手部240は、手を下方から入れることができる凹部構造としているので、冷蔵室110から保鮮容器10a、10bを引き出す際に、手によって保鮮容器10a、10bを下方から支えることができる。従って、保鮮容器10a、10bの引き出し過ぎによって保鮮容器10a、10bが勢いよく落下することを抑制することができる。
【0084】
(変形例)
以上、本発明に係る保鮮容器及び冷蔵庫について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。以下、本発明に係る保鮮容器及び冷蔵庫の変形例について説明する。
【0085】
まず、上述の本実施形態に係る保鮮容器10、10a、10b及び冷蔵庫100では、保鮮容器内の収納物としては青果物として説明したが、青果物に限らない。収納物としては、青果物以外のその他の生鮮食品でもよく、さらには、保鮮容器内に発生した水分によってダメージを受ける物であれば何でも構わない。本発明に係る保鮮容器及び冷蔵庫は、水分によってダメージを受ける物について、上述した効果を奏する。
【0086】
また、本実施形態に係る保鮮容器10では、第1蓋30に設けた孔310は1つの孔としたが、複数の孔を設けることもできる。これにより、孔の開口面積を調節できるような孔開口面積調節手段を構成することができる。
【0087】
例えば、孔を複数個にする場合、図2に示した孔310を横方向に分割して複数個の孔とすることもできるし、図2に示した孔310を縦方向に複数個を設けることもできる。この場合、孔に応じて第2蓋も複数個設けることが好ましい。
【0088】
また、図2に示した1つの孔310に対して複数の第2蓋を設け、複数の第2蓋の開閉状態を調節することにより、孔310の面積を調節できるような構成とすることもできる。さらには、複数の孔に対して1つの第2蓋が対応するようにして構成し、かつ、その組み合わせを複数セット設けるような構成であっても構わない。この場合も複数の第2蓋の開閉状態を調節することにより、孔の開口面積を調節することができる。
【0089】
このように孔開口面積調節手段によって、孔の開口面積を調節することにより、収納物の種類又は収納物の収納量に応じて通気状態を調整することができる。
【0090】
また、本実施形態に係る保鮮容器10では、第2蓋40の開閉は一軸回転支持機構により行う構造としたが、これに限るものではない。例えば、第2蓋をスライド機構により開閉するように構成しても構わない。スライド機構とすることにより、本実施形態のように上昇部450が上昇する構成ではなくなるので、保鮮容器10の上方部分の隙間が小さい場合でも、第2蓋を容易に開閉することができる。
【0091】
但し、第2蓋を閉状態としたときの密閉性は高いことが好ましい。この点に関し、本実施形態では、第2蓋40の凸部430と第1蓋30の孔310との嵌合状態のみによって密閉性が決定されるので、第2蓋40の凸部430によって第1蓋30の孔310を完全に密閉することにより保鮮容器10として高い密閉性を維持することができる。
【0092】
また、本実施形態に係る保鮮容器10では、第2蓋40の開状態の開き角度は30度としたが、これに限るものではない。例えば、第2蓋40の開状態の開き角度は90度以下の範囲で適宜選択することもできる。また、第2蓋40の開状態の開き角度を複数段階に調節できるような構造とすることもできる。このように第2蓋40の開き角度を調節することにより、通気状態を調整することができる。
【0093】
また、本実施形態に係る冷蔵庫100では、保鮮容器10a、10bを冷蔵室110に収納するものとして説明したが、これに限らない。例えば、保鮮容器10a、10bを野菜室120に収納するように構成しても構わない。
【0094】
また、本実施形態に係る冷蔵庫100では、冷蔵室110の第2貯蔵室113には、同じ大きさ及び同じ形状の2つの保鮮容器10a、10bを収納するように構成したが、いずれか一方のみの保鮮容器を収納するように構成しても構わない。さらに、1つの保鮮容器とする場合、保鮮容器の大きさを大きくして第2貯蔵室113と略同等の大きさの保鮮容器としても構わない。また、同じ大きさの保鮮容器ではなく、異なる大きさの2つの保鮮容器を収納するような構成としても構わない。例えば、高さは同じで、保鮮容器10a、10bの水平方向寸法を異なるように構成することができる。
【0095】
さらには、3つ以上の保鮮容器を収納するような構成としても構わない。この場合、保鮮容器の大きさは同じとすることもできるし、異なる大きさとすることもできる。
【0096】
このように保鮮容器を2個又は3個以上の複数個を冷蔵室110に配置することにより、冷蔵室の扉が十分に開けられないような場合でも、保鮮容器を取り出すことができるので、冷蔵室を有効に利用することができる。すなわち、冷蔵室の第2貯蔵室である最下段部分は引き出し式であることが多く、冷蔵室の扉が左右方向に十分に開けることができないような状況があった。この場合、その最下段部分を引き出すことができず、冷蔵室を有効に利用することができなかった。しかし、本実施形態に係る保鮮容器を複数個用いることにより、この問題を解消することができ、上述のように冷蔵室を有効に利用することができる。
【0097】
また、異なる水平方向寸法等、大きさの異なる保鮮容器を用いることにより、冷蔵庫の種類によって冷蔵室の大きさが異なる場合であっても、大きさの異なる保鮮容器を適宜組み合わせることにより、個々の冷蔵室の大きさに適した保鮮容器の組み合わせを実現することができる。すなわち、保鮮容器の標準化を図ることができるとともに、冷蔵庫の冷蔵室の有効活用を図ることができる。
【0098】
しかも、大きさの異なる保鮮容器を用いることにより、収納物の種類又は収納量に応じて、保鮮容器を選択することもできるので、保鮮容器ごとに通気状態を調節することもできる。
【0099】
なお、本実施形態において、冷蔵庫の各貯蔵室は、直接冷却方式であっても構わないし、間接冷却方式であっても構わない。
【0100】
その他、各実施形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明に係る保鮮容器は、青果物等を保鮮するための保鮮容器として有用であり、また、保鮮容器を収納する冷蔵庫にも有用である。
【符号の説明】
【0102】
10、10a、10b 保鮮容器
20 容器本体
30 第1蓋
40 第2蓋
50 止め部材
60 シール部材
100 冷蔵庫
110 冷蔵室
111、121、131 扉
112 第1貯蔵室
113 第2貯蔵室
114 トレイ
120 野菜室
130 冷凍室
210 開口
220 係止穴
230 引っ掛け部
240 把手部
310 孔
320 爪
330 凹部
331 第1凹部
332 第2凹部
341、342 軸
410 板状部材
421、422 軸受部
430 凸部
440 押し込み部
450 上昇部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する容器本体と、
前記開口を密閉可能とする第1蓋と、
前記第1蓋に設けられ、前記容器本体の内方に連通する孔と、
前記孔を密閉可能に開閉する第2蓋と
を備える保鮮容器。
【請求項2】
前記第2蓋は、一軸回転支持機構によって前記第1蓋に取り付けられている
請求項1に記載の保鮮容器。
【請求項3】
前記第2蓋は、押し込み部を有し、
前記押し込み部が押し込まれることにより前記第2蓋は開状態となる
請求項2に記載の保鮮容器。
【請求項4】
前記第1蓋は、前記押し込み部が押し込まれる凹部を有する
請求項3に記載の保鮮容器。
【請求項5】
前記第2蓋の開状態を維持するための開状態維持手段を有する
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の保鮮容器。
【請求項6】
前記孔の開口面積を調節するための孔開口面積調節手段を有する
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の保鮮容器。
【請求項7】
前記容器本体は、把手部を有し、
前記容器本体の前記把手部が設けられた側を手前側とし、前記手前側の反対側を奥側としたときに、
前記第2蓋は、前記第1蓋の前記奥側に取り付けられている
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の保鮮容器。
【請求項8】
前記第2蓋の前記押し込み部は、当該第2蓋の前記手前側に位置する
請求項7に記載の保鮮容器。
【請求項9】
前記容器本体の前記奥側の壁である奥壁と前記容器本体の側壁とが、外側に膨出した曲面、又は平面によって繋がっている
請求項7又は請求項8に記載の保鮮容器。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の保鮮容器を収納するための収納室を備える
冷蔵庫。
【請求項11】
前記保鮮容器が複数個並べて配置されている
請求項10に記載の冷蔵庫。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−177080(P2011−177080A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43156(P2010−43156)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】