優先制御機構
【解決手段】優先制御機構(1)は、ハウジング(5)(6)(7)、シャトル(13)、サブシャトル(14)及び少なくとも一つの弾性部材(15)を含む。ハウジング(5)(6)(7)は、チャンネル(31)を有する。シャトル(13)はキャビティを有する。シャトル(13)は、ハウジング(5)(6)(7)のチャンネル(31)内を、第1位置から少なくとも一つの第2位置へと移動可能である。サブシャトル(14)は、ハウジング(5)(6)(7)のチャンネル(31)内を移動可能であって、シャトル(13)とは独立して移動可能である。少なくとも一つの弾性部材(15)は、第1端部と該第1端部に対向する第2端部とを有する。第1端部はシャトル(13)に取り付けられ、第2端部はサブシャトル(14)に取り付けられる。優先制御機構(1)は、少なくとも一つの椅子の部品に取り付けられるよう構成される。椅子はまた、優先制御機構(1)の一又は複数の実施例を含むよう構成されてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の説明>
本願は、2009年6月4日に出願された米国出願第12/478,090号及び2008年6月6日に出願された米国仮出願第61/059,434号の優先権を主張する。
【0002】
<発明の分野>
本願発明は椅子に関するものであって、特に椅子における優先制御機構に関する。
【背景技術】
【0003】
<背景技術>
椅子を後ろに傾斜させたり、他の椅子部品を傾斜或いは回転させるのに必要な力を調節するのに、優先制御機構が用いられており、様々な椅子にしばしば含まれている。例えば、優先制御機構は、米国特許第4,865,384号、4,889,384号、5,106,157号、5,192,114号、5,370,445号、5,385,388号、5,388,889号、5,909,924号、6,742,843号、及び6,932,430号にて開示されている。
【0004】
椅子の傾斜制御は、しばしば、スプリングを利用しており、背もたれに作用して、背もたれを直立位置に付勢するものである。優先制御機構の種類には、このスプリングによりもたらされる力に対して、使用者が所望の優先設定を選択できるよう構成されているものがある。このような優先制御により、体重の重い使用者は、背もたれを所望のリクライニング位置に傾けるのに必要な力を調節することができ、体重の軽い使用者と同じようなリクライニング姿勢で座ることができる。このような優先制御はまた、使用者が付勢力を選択して、所望のリクライニング位置をとることができる。例えば、体重の軽い使用者は、背もたれに比較的弱い付勢力を作用させるこができる第1設定を選ぶことができる。優先制御は、体重の重い使用者が、椅子傾斜機構のスプリングから付加される付勢力を調節できるよう構成されることで、より大きな力が背もたれに作用して背もたれを直立位置に付勢するので、背もたれを倒すのにより大きな力を加えられる必要がある。
【0005】
優先制御機構の種類によっては、椅子の背もたれ又は椅子の傾斜機構に動作可能に接続されることで、椅子の背もたれが倒れる程度を調節できるものもある。このような機構では、最も傾斜した位置を画定する限度を設定するか、又は背もたれの傾斜位置をロックするものがある。
【0006】
幾つかの優先制御機構では、椅子の背もたれが倒れているときに使用者が優先設定の再調節を行なったとき、構造上の理由により、優先制御機構又は椅子の他の部分を傷つけてしまうことがある。実際、優先制御構造の中には、このような損傷を防ぐために、椅子の部品が直立位置又は非傾斜位置にあるときにしかそのような調節ができないよう構成されるものもある。
【0007】
優先制御機構の中には、傾斜スプリングに直接作用することで、該スプリングによって付加される力を調節して、椅子の背もたれを直立位置に付勢できるよう構成されるものもある。座部と背もたれを同時に傾斜させるよう構成された椅子の場合、一又は複数の傾斜スプリングは、椅子の背もたれと座部を各々の直立位置に付勢できるよう構成されることができる。一般的に、傾斜スプリングがもたらす力を調節する優先制御機構は、一又は複数の傾斜スプリングに係合又は作用する一又は複数の部材を含む。場合によっては、一又は複数の優先制御部材は、椅子の背もたれ又は座部が倒れた位置にあるときに位置が調節されると、一又は複数の傾斜スプリングの引張りによって破損することもある。
【0008】
椅子の傾斜機構によって加えられる付勢力を優先制御調節する間、損傷を防ぐ装置が必要とされる。好ましくは、機構は、椅子の背もたれ又は座部が倒れた位置にある場合でも、優先制御機構又は椅子を傷つけずに調節できるように構成される。
【発明の概要】
【0009】
<発明の要旨>
本発明の優先制御機構(preference control mechanism)は、ハウジング、シャトル、サブシャトル及び少なくとも一つの弾性部材を含む。ハウジングは、椅子の少なくとも一つの構成部材に取り付けられる寸法に構成され、チャンネルを有する。シャトルはキャビティを有する。シャトルは、ハウジングのチャンネル内を移動可能である。サブシャトルもまた、ハウジングのチャンネル内を移動可能であり、シャトルとは独立して移動可能である。一又は複数の弾性部材は、第1端部と、該第1端部に対向する第2端部とを有する。第1端部はシャトルに取り付けられ、第2端部はサブシャトルに取り付けられる。
【0010】
優先制御機構の幾つかの実施例において、サブシャトルは、キャビティのほぼ内部にある第1位置から、少なくとも一部分がキャビティの外にある第2位置へと移動可能である。サブシャトルが第2位置にあるとき、キャビティの外部へ延びるサブシャトルの部分は、第1位置の場合よりも大きい。
【0011】
好ましくは、少なくとも一つの弾性部材はスプリング又はエラストマー部材である。少なくとも一つの弾性部材はまた、例えば複数のスプリング、複数のエラストマー材料、複数のコイルスプリング、又は他の弾性機構などのような、他の弾性装置でもよいことは勿論である。
【0012】
優先制御機構の特定の実施例において、優先制御機構はアクチュエータ及び細長部材を含むこともできる。アクチュエータは、少なくとも一つの椅子の部品に取り付けられるよう構成される。好ましくは、アクチュエータは、椅子の座部構成部材又は椅子の基部構成部材に取り付けられるよう構成される。アクチュエータは、第1位置から少なくとも一つの第2位置へと移動可能である。細長部材は、アクチュエータからサブシャトルへと延びる。細長部材はアクチュエータに取り付けられており、アクチュエータが第1位置から第2位置へと移動すると、細長部材は第1位置から第2位置へと移動する。アクチュエータの本体は、その一部が回転可能に構成されることができ、本体の一部が回転することで、アクチュエータは第1位置から第2位置へ移動することができる。また、本体の一部が回転すると、細長部材は本体の開口内部に移動する。
【0013】
好ましくは、細長部材は可撓性の細長い部材、ワイヤー、ケーブル、又はチェーンである。細長部材の第1端部は第2端部に対向し、アクチュエータは、細長部材の第1端部を移動可能に収容できる大きさの開口を有する本体を含んでおり、細長部材の第1端部は本体の開口内を移動することができる。
【0014】
優先制御機構の幾つかの実施例において、シャトルは、シャトルのキャビティを画定する本体と、該本体に取り付けられる部材とを含む。一又は複数の弾性部材の第1端部は、部材に隣接するシャトルに取り付けられることができる。好ましくは、部材はロッド又はピンである。
【0015】
好ましくは、一又は複数の弾性部材は、第1位置から第2位置へと移動可能である。第1位置にあるときは、一又は複数の弾性部材は第1長さを有する。第2位置にあるとき、一又は複数の弾性部材は第1長さよりも長い第2長さを有する。
【0016】
サブシャトルは、細長部材の第2端部に取り付けられて、アクチュエータが第1位置から第2位置へと移動すると、サブシャトルは第1位置から第2位置へと移動する。少なくとも一つの弾性部材は、サブシャトルをその第1位置へと付勢するのに有用となるよう構成されることができる。
【0017】
好ましくは、シャトルは、椅子の少なくとも一つの構成部材の回動軸部(pivot point)に取り付けられるよう構成される。椅子の少なくとも一つ構成部材は、例えば座部部材、背もたれ部材、傾斜機構部材又は優先制御機構のハウジングである。
【0018】
優先制御機構の特定の実施例は、少なくとも一つの付勢機構を含むことができる。少なくとも一つの付勢機構は、少なくとも一部分がチャンネル内に配置されて、その第1端部はがブシャトルに取り付けられ、少なくとも一つの付勢機構の第1端部に対向位置にある第2端部がハウジングに取り付けられる。好ましくは、少なくとも一つの付勢機構は、サブシャトルを、少なくとも一部分がシャトルのキャビティ内にある第1位置へ付勢するよう構成されたコイルスプリングである。
【0019】
本発明の椅子はまた、優先制御機構を含んでいる。優先制御機構は、椅子の傾斜機構の少なくとも一部に取り付けられ、傾斜機構の調節を可能にする寸法に構成される。傾斜機構に対する調節は、椅子の背もたれ及び座部のうち少なくとも一つがリクライニング位置にあるときに行われるので、傾斜機構に施される調節は、椅子の背もたれ及び/又は座部がリクライニング位置から直立位置に移動された後に行われる。調節は、椅子の構成部材を倒すのに必要な力の大きさを変えることができるし、また、椅子の構成部材が傾く範囲又は倒れる範囲に限度を設定することができる。
【0020】
また、本発明の椅子は、基部、座部、背もたれ及び傾斜機構を含む。傾斜機構は、座部、基部及び背もたれのうちの少なくとも一つに取り付けられる。背もたれは、座部、基部及び傾斜機構のうちの少なくとも一つに取り付けられる。座部は、基部、傾斜機構及び背もたれのうち少なくとも一つに取り付けられる。椅子はまた、傾斜機構の少なくとも一部に取り付けられた優先制御機構を含む。優先制御機構には、ハウジング、シャトル、サブシャトル及び少なくとも一つの弾性部材が含まれる。ハウジングは、チャンネルを有する。シャトルはキャビティを有し、ハウジングのチャンネル内を移動可能である。サブシャトルもまた、ハウジングのチャンネル内を移動可能であり、シャトルとは独立して移動可能である。少なくとも一つの弾性部材は、第1端部と、該第1端部に対向する第2端部とを有する。第1端部はシャトルに取り付けられ、第2端部はサブシャトルに取り付けられる。
【0021】
本発明のその他の細部、目的及び利点については、以下に記載する幾つかの本願の好適な実施例及びそれらを実施する好適な方法により明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本願の優先制御機構の好適な実施例は、添付の図面に示されており、それらを実施する幾つかの好適な方法について説明する。
【0023】
【図1】図1は、本発明の優先制御機構の好ましい第1実施例の分解図である。
【0024】
【図2】図2は、本発明の優先制御機構の好ましい第1実施例の斜視図である。
【0025】
【図3】図3は、本発明の好ましい第1実施例の一部の上面部斜視図である。
【0026】
【図4】図4は、本発明の好ましい第1実施例の一部の底面部斜視図である。
【0027】
【図5】図5は、本発明の好ましい第1実施例の一部の底面部斜視図である。
【0028】
【図6】図6は、本発明の好ましい第1実施例の一部の底面部斜視図である。
【0029】
【図7】図7は、椅子の座部支持体のハウジング内に配置された本発明の好ましい第1実施例を含む椅子の斜視図である。
【0030】
【図8】図8は、本発明の好ましい第1実施例の断面図であって、第1位置にあるロッド、シャトル、及びサブシャトルを示している。
【0031】
【図8A】図8Aは、本発明の好ましい第1実施例の断面図であって、第1位置にある機構のアクチュエータを示している。
【0032】
【図9】図9は、図8と同様の本発明の好ましい第1実施例の断面図であって、第2位置にあるロッド、シャトル、及びサブシャトルを示している。
【0033】
【図9A】図9Aは、図8と同様の本発明の好ましい第1実施例の断面図であって、第2位置にある機構のアクチュエータを示している。
【0034】
【図10】図10は、図8及び図9と同様の本発明の好ましい第1実施例の断面図であって、第1位置にあるロッドとシャトルと第2位置にあるサブシャトルを示している。
【0035】
【図11】図11は、本発明の優先制御機構の好ましい第2実施例の分解図である。
【0036】
【図12】図12は、本発明の優先制御機構の好ましい第2実施例の部分底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
<望ましい実施例の説明>
新たな改良された優先制御システムの実施例を提供するもので、構成部材が傾斜位置にあるかどうかに拘わらず、使用者による優先制御選択を可能なシステムを開示する。図1−10を参照すると、優先制御機構(1)は第1部分(5)が第2部分(6)に締結されたハウジングを含む。第1部分(5)と第2部分(6)は、ハウジングの第3部分(7)に取り付けられる。ハウジングの第3部分(7)は、例えば、椅子の基部又は座部支持体の一部に取り付けることができる寸法に構成されたヨークである。第3部分(7)の各側部には、スロット(21)(22)がある。摩耗プレート(8)は、スロット(22)に隣接する第3部分(7)に取り付けられる。摩耗プレート(8)はスロットを有し、第3部分(7)に取り付けられ、摩耗プレート(8)のスロットは、スロット(22)に位置合わせされる。摩耗プレート(9)もまた第3部分(7)に取り付けられ、スロットは、ハウジングの第3部分(7)のスロット(21)と位置合わせされる。好ましくは、ハウジングと摩耗プレートは、プラスチック若しくはポリマー材料(例えば、E. I. du Pont de Nemours and Companyによるエラストマー材料Hytrel(登録商標)など)、又は金属から成る。
【0038】
ハウジングのボトム部(17)は、ネジ(18)、ボルト、又は他の締結装置や取付け機構によって、ハウジングの第2部分(6)に締結される。ボトム部(17)が有する孔は、細長部材(3)の一部を収容できる寸法に構成され、細長部材はハウジングに形成されたチャンネル(31)に進入又は退出することができる。細長部材は、例えば、ワイヤー、ケーブル、可撓性の細長い部材、又はチェーンである。
【0039】
ハウジングの第1部分(5)、ハウジングの第2部分及びハウジングのボトム部(17)は、垂直方向に細長いチャンネル(31)を画定する。また、第1部分(5)のスロット(33)(33)はチャンネル(31)の両側部にあり、互いに対向している。スロット(33)は、スロット(21)(22)及び摩耗プレート(8)(9)に形成されたスロットに位置合わせされる。ロッド(10)はスロット(21)(22)、摩耗プレート(8)(9)のスロット、スロット(33)及びチャンネル(31)を通って配置される。好ましくは、ロッド(10)は金属から構成される。
【0040】
ロッド(10)はシャトル(13)の中に保持される。シャトル(13)は、その内部にキャビティを有する。好ましくは、シャトル(13)は、シャトル(13)の一部を覆うプレート(12)に取り付けられる。
【0041】
ロッド(10)は、チャンネル(31)の内部を移動可能である。摩耗プレート(8)(9)は、ロッドがスロット(21)(22)に沿って移動するときに生じる摩擦を、ロッドがハウジング(7)の第3部分に接触しながら移動する場合に生じる摩擦よりも小さくなるように構成される。ロッド(10)の端部は、好ましくは、スロット(21)(22)を越えて突出する。
【0042】
シャトル(13)はまた、チャンネル(31)の内部を移動可能であり、ロッド(10)に取り付けられており、ロッド(10)が移動するとシャトル(13)も移動する。サブシャトル(14)もまたチャンネル(31)の内部に配置され、シャトル(13)に形成されたキャビティへの進入及び退出が可能となるよう構成される。シャトル(13)はサブシャトル(14)とは独立して移動可能であり、サブシャトル(14)はシャトル(13)とは独立して移動可能である。好ましくは、サブシャトル(14)は伸縮可能で、シャトル(13)に形成されたキャビティへの進入及び退出ができるよう構成される。
【0043】
スプリング(15)は、第1端部が、ロッド(10)に隣接するシャトル(13)の一部に取り付けられ、第2端部が、サブシャトル(14)に取り付けられている。細長部材(3)はサブシャトル(14)に取り付けられ、細長部材(13)が移動することでサブシャトル(14)がチャンネル(31)の内部を移動できるよう構成される。スプリング(15)は、他の実施例において、例えば一又は複数のエラストマー部材等の一又は複数の弾性部材に置き換えられてもよいことは理解されるべきである。
【0044】
コイルスプリング(16)は、サブシャトル(14)の端部とハウジング(17)ボトム部の端部との間に取り付けられる。スプリング(16)は、サブシャトル(14)を上方へ付勢し、サブシャトル(14)及びシャトル(13)を、図8に示される第1位置に付勢するよう構成される。コイルスプリング(16)は、他の実施例において、例えば一以上のエラストマー部材又は一又は複数の付勢機構などの一又は複数の弾性機構に置き換えられてもよいことは理解されるべきである。
【0045】
図8乃至図10より理解されるように、ロッド(10)の位置は、図8に示される第1位置から、図9に示される第2位置などの少なくとも一つの他の位置へ変えることができる。ロッド(10)はまた、第2位置から第1位置へ移動されてもよいことは、勿論である。好ましくは、ロッド(10)は、第1位置から複数の異なる位置へと移動可能である。
【0046】
アクチュエータ(41)は、細長部材(3)の端部に取り付けられており、細長部材を、アクチュエータ(41)に形成されたチャンネル(43)内部の複数の異なる位置に移動させることができるよう構成される。チャンネル(43)内部における細長部材(3)の異なる位置は、戻り止め(detents)によって画定され、アクチュエータ(41)のレバーがあらゆる選択可能な位置にスナップ嵌合が可能である。アクチュエータ(41)は、肘掛け、座部、台座などの椅子の構成部材に隣接して配置されることができる。好ましくは、アクチュエータ(41)は椅子の座部に隣接して配置され、使用者が少なくとも4つの異なる優先設定を選択できるよう構成され、これら4つの異なる優先設定は、チャンネル(31)内部のロッド(10)及びシャトル(13)の異なる位置に対応する。アクチュエータ(41)を作動させることにより、細長部材(3)はチャンネル(31)内部の選択された位置に移動し、ロッド(10)の位置を移動させて優先設定を調節するのにも役立つ。
【0047】
アクチュエータ(41)により細長部材(3)を移動させると、サブシャトル(14)はチャンネル(31)に沿って移動する。ロッド(10)の移動が妨げられなければ、このような動作で、シャトルを選択された位置へ移動させることができる。例えば、細長部材(3)が、図8Aに示される位置に対応する第1位置から、図9Aに示される位置に対応する第2位置へと移動すると、サブシャトル(14)とシャトル(13)は、図8Aに示される第1位置から図9Aに示される第2位置へと移動する。
【0048】
しかし、ロッド(10)の移動を妨げる力がロッド(10)に力に作用すると、図10から分かるとおり、アクチュエータ(41)が第1位置から第2位置に移動すると、サブシャトル(14)も第1位置から第2位置へと移動する。ロッド(10)の移動を妨げる力は、使用者が椅子の背もたれ及び/又は座部を倒すために加える力を含み、或いは椅子の背もたれ又は座部がリクライニング位置にあることによって生じるものであることは理解されるべきである。
【0049】
アクチュエータ(41)がある位置から第2位置へ移動すると、細長部材(3)は第1位置から第2位置へと移動する。細長部材(3)の移動により、サブシャトル(14)は第1位置から第2位置へ移動する。ロッド(10)は移動が妨げられているため、ロッド(10)とシャトル(13)は依然として第1位置にある。しかし、スプリング(15)からロッド(10)とシャトルに力が加わり、ロッド(10)に作用する力が一旦取り除かれると、ロッド(10)とシャトル(13)は第2位置に移動する。その力が取り除かれるのは、椅子の座部又は背もたれが直立位置に移動する時か、或いは使用者が背もたれ又は座部を倒す力を止める時である。アクチュエータ(41)が作動するとロッド(10)の移動は妨げられ、使用者が優先制御機構を調節しようとしてもロッド(10)は移動できないため、ロッド(10)による優先制御機構又は他の構成部材への損傷を防ぐことができる。
【0050】
ロッド(10)は、第3ハウジング部(7)のスロット(21)(22)を越えて延びて、背もたれや座部などの椅子の構成部材に接続する回動軸部を画定するように構成されることは理解されるべきである。一実施例において、椅子の背もたれ又は背もたれフレームは、ロッド(10)の対向端部に取り付けられており、使用者が背もたれを倒すとロッド(10)の周りを回動するよう構成される。更に別の実施例において、座部又は座部フレームの対向端部はロッド(10)の対向端部に取り付けられており、座部が移動する間、座部はロッド(10)の周りを回動することができる。このような移動には、椅子の後方傾斜又は前方傾斜が含まれる。更に他の実施例において、椅子の背もたれ及び座部は両方とも、ロッド(10)の各端部に回動可能に取り付けられており、座部及び背もたれは両方とも、座部及び/又は背もたれが移動する間、ロッド(10)に沿って回動することができる。このような座部と背もたれの移動は、同時に、又は独立して、又は同時かつ独立して行われるよう構成されることができる。
【0051】
ロッド(10)の垂直方向の調節は、ロッドを垂直方向に長いチャンネル(31)及びスロット(33)に沿って移動させるときに行われる。使用者がこの移動を行なう場合、多少の力を必要とするが、ロッド(10)の垂直方向の調節を行なう際に、椅子の構成部材の傾斜又は移動の機械的調節も行なうことができる利点がある。アクチュエータを選択可能な位置のうち一つに配置することにより、使用者が一又は複数の構成部材を移動させるときの容易さ又は困難さを調節することができる。例えば使用者は、ロッド(10)の設定を調節することにより、背もたれ、又は座部、又はその両方を傾ける操作を、容易に行えるようにしたり、困難にすることができる。すなわち、体重が非常に重い使用者の場合、優先制御機構を、ロッド(10)に回動可能に接続された椅子の一又は複数の構成部材を傾けるのに必要な力がより大きくなるように調節することにより、体重の軽い使用者と同じように快適に座ることができる。同じ様に、体重が軽い使用者の場合、優先制御機構を、ロッド(10)に回動可能に接続された椅子の一又は複数の構成部材を傾斜又は移動させるのに必要な力がより小さくなるように調節することにより、体重の重い使用者と同じように快適に座ることができる。
【0052】
優先制御機構の幾つかの実施例において、ハウジングは突起を含むことができるし、また、他の構造に係合又は連結できるサイズ及び構成の一又は複数の溝又は開口を画定する一又は複数の部分を有することもできる。このような突起部及び/又は開口及び/又は溝は、例えば、椅子支持体、椅子フレーム又は背もたれフレームの一又は複数の部分と連結又は係合するよう構成されることができる。このような開口、又は溝、又はその両方を設けることで、優先制御機構は、ロッド(10)に接続される1又は複数の構成部材の少なくとも一部分に力を伝達して、ロッド(10)に力を作用させることができ、座部支持体又は椅子の他の構成部材に対してより確実に取り付けられることができる。この力の一部は他の構造に伝達されるため、優先制御機構のハウジング及び他の構成部材がより安価で強度の小さい材料から作られたとしても、優先制御機構の耐久性及び/又は信頼性を落とすことはない。
【0053】
図7及び上記説明から理解されるように、優先制御機構(1)は椅子の一部でもよい。椅子は、数多くの異なる構成が可能である。椅子は、例えば、座部と背もたれが同時に傾く構成にすることができるし、背もたれのみが傾く構成にすることもできる。椅子の背もたれは、椅子の基部、又は座部、又は傾斜機構、又はそれらの全てに取り付けられることができる。座部は、椅子の基部、又は背もたれ、又は傾斜機構、又はそれらの全てに取り付けられることができる。同様に、傾斜機構は、椅子の基部、又は座部、又は背もたれ、又はそれらの全てに取り付けられることができる。
【0054】
優先制御機構は、椅子の座部、又は背もたれ、又は傾斜機構、又は基部、又はそれらの全てに取り付けられることができる。例えば、優先制御機構は、椅子の座部又は背もたれが基部又は台座で支持されるよう構成された支持構造の内部に配置されることができる。アクチュエータ等の優先制御機構の一部は、椅子の座部又は基部の下方又は近傍に配置される。好ましくは、優先制御は、椅子の座部及び/又は背もたれが倒れるように移動する間、椅子の傾斜制御機構から加えられる機械的梃子作用の大きさを調節できるよう構成される。
【0055】
例えば、優先制御機構のロッド(10)は、座部又は背もたれにおける枢着部又は枢着軸の一部であってよいことが、理解されるべきである。このようなロッドは、椅子の傾斜機構の一部でもよい。ロッド(10)の移動は、使用者が椅子の背もたれをリクライニング位置に操作する際の機械的梃子作用を調節することで行なうことができる。優先制御はまた、傾斜スプリングと相互作用するよう構成されることもできる。例えば、ロッド(10)の一部は、一又は複数の傾斜スプリングを係合するように構成されることができる。ロッド(10)の位置を調節することにより、一又は複数の傾斜スプリングの張力設定を調節することができる。優先制御機構の他の実施例では、ロッド(10)の移動により、傾斜スプリング又は傾斜機構の他の部分との係合限度が設定されるように構成されており、ロッド(10)の移動によって、傾斜スプリングが背もたれ又は座部をリクライニング位置に倒すことができる程度が規定される。
【0056】
上述した本発明の好適な実施例は、様々な変更を行なうことができることは理解されるべきである。例えば、優先制御機構の実施例では、チャンネル(31)、スロット(21)(22)(33)を、垂直方向及び水平方向のどちらの方向にも延出するように傾斜する構成にすることができる。チャンネル(31)、スロット(21)(22)(33)はまた、水平方向にのみ延出して、シャトルとサブシャトルの移動を水平方向の移動のみにすることもできる。他の例として、第1、第2及び第3のハウジング部は、一体構造に形成することができる。更に他の例として、シャトル(13)は上面プレート(12)と一体化され、上面プレート(12)とシャトル(13)が一体構造となるようにすることもできる。更に他の例として、優先制御機構の実施例では、シャトルとサブシャトルとの間に2以上のスプリング又は弾性部材を用いることができる。更なる例として、優先制御機構を作動させるのに異なるアクチュエータ機構を用いることもできる。
【0057】
本発明の第2の好適な優先制御機構(61)を、図11及び図12に示している。優先制御機構(61)は、ヨーク部(65)、上面部(63)、中間部(64)及びボトム部(74)を有するハウジングを含む。プレート(69)は、ハウジング部の上面及び中間部に形成されたチャンネル(80)の内部を移動可能なシャトル(70)に取り付けられる。サブシャトル(72)は、少なくとも一部分がハウジングの上面部(63)及び中間部(64)によって画定されるシャトル(70)の開口及びチャンネル(80)の中を移動可能に配置される。コイルスプリング(73)は、ハウジングのボトム部(74)とサブシャトル(72)との間に配置される。コイルスプリング(71)はまた、シャトル(70)とサブシャトル(72)との間に取り付けられる。チャンネル(80)に連通するスロットを通り、シャトル(70)に形成された開口(77)を通って延びる部材(67)がある。スロットは好ましくは、部材(67)が配置される3つの異なる位置を画定する。このような位置は、少なくとも一部分がスロットの中に突出する歯又は突起物によって画定されることができる。
【0058】
部材(67)の対向する側部には、クリップ(68)が取り付けられる。クリップ(68)は、好ましくは弾性であり、部材(67)の端部に隣接して取り付けられており、ハウジングの側部でスロットに隣接して係合し、スロットで画定された特定の位置に部材(67)を配置しやすくする。
【0059】
好ましくは、部材(67)の端部は、椅子の背もたれ部材又は椅子の座部部材に対する回転軸を画定する。部材(67)の移動により、座部又は背もたれ部材を傾けたり、回転させたり移動させたりするのに必要な力の大きさを調節することができる。
【0060】
サブシャトル(72)とシャトル(70)の作動と移動は、上述した本発明の好適な第1実施例におけるサブシャトルとシャトルと同様に行われる。例えば、細長部材はサブシャトル(72)に取り付けられており、その移動により、部材(67)の位置を調節することができる。
【0061】
優先制御システムについて本発明の好適な実施例と、該システムを実施する方法を示し、説明したが、本発明はそれらに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内において種々の具体化又は実施が可能であることは理解されるべきである。
【技術分野】
【0001】
<関連出願の説明>
本願は、2009年6月4日に出願された米国出願第12/478,090号及び2008年6月6日に出願された米国仮出願第61/059,434号の優先権を主張する。
【0002】
<発明の分野>
本願発明は椅子に関するものであって、特に椅子における優先制御機構に関する。
【背景技術】
【0003】
<背景技術>
椅子を後ろに傾斜させたり、他の椅子部品を傾斜或いは回転させるのに必要な力を調節するのに、優先制御機構が用いられており、様々な椅子にしばしば含まれている。例えば、優先制御機構は、米国特許第4,865,384号、4,889,384号、5,106,157号、5,192,114号、5,370,445号、5,385,388号、5,388,889号、5,909,924号、6,742,843号、及び6,932,430号にて開示されている。
【0004】
椅子の傾斜制御は、しばしば、スプリングを利用しており、背もたれに作用して、背もたれを直立位置に付勢するものである。優先制御機構の種類には、このスプリングによりもたらされる力に対して、使用者が所望の優先設定を選択できるよう構成されているものがある。このような優先制御により、体重の重い使用者は、背もたれを所望のリクライニング位置に傾けるのに必要な力を調節することができ、体重の軽い使用者と同じようなリクライニング姿勢で座ることができる。このような優先制御はまた、使用者が付勢力を選択して、所望のリクライニング位置をとることができる。例えば、体重の軽い使用者は、背もたれに比較的弱い付勢力を作用させるこができる第1設定を選ぶことができる。優先制御は、体重の重い使用者が、椅子傾斜機構のスプリングから付加される付勢力を調節できるよう構成されることで、より大きな力が背もたれに作用して背もたれを直立位置に付勢するので、背もたれを倒すのにより大きな力を加えられる必要がある。
【0005】
優先制御機構の種類によっては、椅子の背もたれ又は椅子の傾斜機構に動作可能に接続されることで、椅子の背もたれが倒れる程度を調節できるものもある。このような機構では、最も傾斜した位置を画定する限度を設定するか、又は背もたれの傾斜位置をロックするものがある。
【0006】
幾つかの優先制御機構では、椅子の背もたれが倒れているときに使用者が優先設定の再調節を行なったとき、構造上の理由により、優先制御機構又は椅子の他の部分を傷つけてしまうことがある。実際、優先制御構造の中には、このような損傷を防ぐために、椅子の部品が直立位置又は非傾斜位置にあるときにしかそのような調節ができないよう構成されるものもある。
【0007】
優先制御機構の中には、傾斜スプリングに直接作用することで、該スプリングによって付加される力を調節して、椅子の背もたれを直立位置に付勢できるよう構成されるものもある。座部と背もたれを同時に傾斜させるよう構成された椅子の場合、一又は複数の傾斜スプリングは、椅子の背もたれと座部を各々の直立位置に付勢できるよう構成されることができる。一般的に、傾斜スプリングがもたらす力を調節する優先制御機構は、一又は複数の傾斜スプリングに係合又は作用する一又は複数の部材を含む。場合によっては、一又は複数の優先制御部材は、椅子の背もたれ又は座部が倒れた位置にあるときに位置が調節されると、一又は複数の傾斜スプリングの引張りによって破損することもある。
【0008】
椅子の傾斜機構によって加えられる付勢力を優先制御調節する間、損傷を防ぐ装置が必要とされる。好ましくは、機構は、椅子の背もたれ又は座部が倒れた位置にある場合でも、優先制御機構又は椅子を傷つけずに調節できるように構成される。
【発明の概要】
【0009】
<発明の要旨>
本発明の優先制御機構(preference control mechanism)は、ハウジング、シャトル、サブシャトル及び少なくとも一つの弾性部材を含む。ハウジングは、椅子の少なくとも一つの構成部材に取り付けられる寸法に構成され、チャンネルを有する。シャトルはキャビティを有する。シャトルは、ハウジングのチャンネル内を移動可能である。サブシャトルもまた、ハウジングのチャンネル内を移動可能であり、シャトルとは独立して移動可能である。一又は複数の弾性部材は、第1端部と、該第1端部に対向する第2端部とを有する。第1端部はシャトルに取り付けられ、第2端部はサブシャトルに取り付けられる。
【0010】
優先制御機構の幾つかの実施例において、サブシャトルは、キャビティのほぼ内部にある第1位置から、少なくとも一部分がキャビティの外にある第2位置へと移動可能である。サブシャトルが第2位置にあるとき、キャビティの外部へ延びるサブシャトルの部分は、第1位置の場合よりも大きい。
【0011】
好ましくは、少なくとも一つの弾性部材はスプリング又はエラストマー部材である。少なくとも一つの弾性部材はまた、例えば複数のスプリング、複数のエラストマー材料、複数のコイルスプリング、又は他の弾性機構などのような、他の弾性装置でもよいことは勿論である。
【0012】
優先制御機構の特定の実施例において、優先制御機構はアクチュエータ及び細長部材を含むこともできる。アクチュエータは、少なくとも一つの椅子の部品に取り付けられるよう構成される。好ましくは、アクチュエータは、椅子の座部構成部材又は椅子の基部構成部材に取り付けられるよう構成される。アクチュエータは、第1位置から少なくとも一つの第2位置へと移動可能である。細長部材は、アクチュエータからサブシャトルへと延びる。細長部材はアクチュエータに取り付けられており、アクチュエータが第1位置から第2位置へと移動すると、細長部材は第1位置から第2位置へと移動する。アクチュエータの本体は、その一部が回転可能に構成されることができ、本体の一部が回転することで、アクチュエータは第1位置から第2位置へ移動することができる。また、本体の一部が回転すると、細長部材は本体の開口内部に移動する。
【0013】
好ましくは、細長部材は可撓性の細長い部材、ワイヤー、ケーブル、又はチェーンである。細長部材の第1端部は第2端部に対向し、アクチュエータは、細長部材の第1端部を移動可能に収容できる大きさの開口を有する本体を含んでおり、細長部材の第1端部は本体の開口内を移動することができる。
【0014】
優先制御機構の幾つかの実施例において、シャトルは、シャトルのキャビティを画定する本体と、該本体に取り付けられる部材とを含む。一又は複数の弾性部材の第1端部は、部材に隣接するシャトルに取り付けられることができる。好ましくは、部材はロッド又はピンである。
【0015】
好ましくは、一又は複数の弾性部材は、第1位置から第2位置へと移動可能である。第1位置にあるときは、一又は複数の弾性部材は第1長さを有する。第2位置にあるとき、一又は複数の弾性部材は第1長さよりも長い第2長さを有する。
【0016】
サブシャトルは、細長部材の第2端部に取り付けられて、アクチュエータが第1位置から第2位置へと移動すると、サブシャトルは第1位置から第2位置へと移動する。少なくとも一つの弾性部材は、サブシャトルをその第1位置へと付勢するのに有用となるよう構成されることができる。
【0017】
好ましくは、シャトルは、椅子の少なくとも一つの構成部材の回動軸部(pivot point)に取り付けられるよう構成される。椅子の少なくとも一つ構成部材は、例えば座部部材、背もたれ部材、傾斜機構部材又は優先制御機構のハウジングである。
【0018】
優先制御機構の特定の実施例は、少なくとも一つの付勢機構を含むことができる。少なくとも一つの付勢機構は、少なくとも一部分がチャンネル内に配置されて、その第1端部はがブシャトルに取り付けられ、少なくとも一つの付勢機構の第1端部に対向位置にある第2端部がハウジングに取り付けられる。好ましくは、少なくとも一つの付勢機構は、サブシャトルを、少なくとも一部分がシャトルのキャビティ内にある第1位置へ付勢するよう構成されたコイルスプリングである。
【0019】
本発明の椅子はまた、優先制御機構を含んでいる。優先制御機構は、椅子の傾斜機構の少なくとも一部に取り付けられ、傾斜機構の調節を可能にする寸法に構成される。傾斜機構に対する調節は、椅子の背もたれ及び座部のうち少なくとも一つがリクライニング位置にあるときに行われるので、傾斜機構に施される調節は、椅子の背もたれ及び/又は座部がリクライニング位置から直立位置に移動された後に行われる。調節は、椅子の構成部材を倒すのに必要な力の大きさを変えることができるし、また、椅子の構成部材が傾く範囲又は倒れる範囲に限度を設定することができる。
【0020】
また、本発明の椅子は、基部、座部、背もたれ及び傾斜機構を含む。傾斜機構は、座部、基部及び背もたれのうちの少なくとも一つに取り付けられる。背もたれは、座部、基部及び傾斜機構のうちの少なくとも一つに取り付けられる。座部は、基部、傾斜機構及び背もたれのうち少なくとも一つに取り付けられる。椅子はまた、傾斜機構の少なくとも一部に取り付けられた優先制御機構を含む。優先制御機構には、ハウジング、シャトル、サブシャトル及び少なくとも一つの弾性部材が含まれる。ハウジングは、チャンネルを有する。シャトルはキャビティを有し、ハウジングのチャンネル内を移動可能である。サブシャトルもまた、ハウジングのチャンネル内を移動可能であり、シャトルとは独立して移動可能である。少なくとも一つの弾性部材は、第1端部と、該第1端部に対向する第2端部とを有する。第1端部はシャトルに取り付けられ、第2端部はサブシャトルに取り付けられる。
【0021】
本発明のその他の細部、目的及び利点については、以下に記載する幾つかの本願の好適な実施例及びそれらを実施する好適な方法により明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本願の優先制御機構の好適な実施例は、添付の図面に示されており、それらを実施する幾つかの好適な方法について説明する。
【0023】
【図1】図1は、本発明の優先制御機構の好ましい第1実施例の分解図である。
【0024】
【図2】図2は、本発明の優先制御機構の好ましい第1実施例の斜視図である。
【0025】
【図3】図3は、本発明の好ましい第1実施例の一部の上面部斜視図である。
【0026】
【図4】図4は、本発明の好ましい第1実施例の一部の底面部斜視図である。
【0027】
【図5】図5は、本発明の好ましい第1実施例の一部の底面部斜視図である。
【0028】
【図6】図6は、本発明の好ましい第1実施例の一部の底面部斜視図である。
【0029】
【図7】図7は、椅子の座部支持体のハウジング内に配置された本発明の好ましい第1実施例を含む椅子の斜視図である。
【0030】
【図8】図8は、本発明の好ましい第1実施例の断面図であって、第1位置にあるロッド、シャトル、及びサブシャトルを示している。
【0031】
【図8A】図8Aは、本発明の好ましい第1実施例の断面図であって、第1位置にある機構のアクチュエータを示している。
【0032】
【図9】図9は、図8と同様の本発明の好ましい第1実施例の断面図であって、第2位置にあるロッド、シャトル、及びサブシャトルを示している。
【0033】
【図9A】図9Aは、図8と同様の本発明の好ましい第1実施例の断面図であって、第2位置にある機構のアクチュエータを示している。
【0034】
【図10】図10は、図8及び図9と同様の本発明の好ましい第1実施例の断面図であって、第1位置にあるロッドとシャトルと第2位置にあるサブシャトルを示している。
【0035】
【図11】図11は、本発明の優先制御機構の好ましい第2実施例の分解図である。
【0036】
【図12】図12は、本発明の優先制御機構の好ましい第2実施例の部分底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
<望ましい実施例の説明>
新たな改良された優先制御システムの実施例を提供するもので、構成部材が傾斜位置にあるかどうかに拘わらず、使用者による優先制御選択を可能なシステムを開示する。図1−10を参照すると、優先制御機構(1)は第1部分(5)が第2部分(6)に締結されたハウジングを含む。第1部分(5)と第2部分(6)は、ハウジングの第3部分(7)に取り付けられる。ハウジングの第3部分(7)は、例えば、椅子の基部又は座部支持体の一部に取り付けることができる寸法に構成されたヨークである。第3部分(7)の各側部には、スロット(21)(22)がある。摩耗プレート(8)は、スロット(22)に隣接する第3部分(7)に取り付けられる。摩耗プレート(8)はスロットを有し、第3部分(7)に取り付けられ、摩耗プレート(8)のスロットは、スロット(22)に位置合わせされる。摩耗プレート(9)もまた第3部分(7)に取り付けられ、スロットは、ハウジングの第3部分(7)のスロット(21)と位置合わせされる。好ましくは、ハウジングと摩耗プレートは、プラスチック若しくはポリマー材料(例えば、E. I. du Pont de Nemours and Companyによるエラストマー材料Hytrel(登録商標)など)、又は金属から成る。
【0038】
ハウジングのボトム部(17)は、ネジ(18)、ボルト、又は他の締結装置や取付け機構によって、ハウジングの第2部分(6)に締結される。ボトム部(17)が有する孔は、細長部材(3)の一部を収容できる寸法に構成され、細長部材はハウジングに形成されたチャンネル(31)に進入又は退出することができる。細長部材は、例えば、ワイヤー、ケーブル、可撓性の細長い部材、又はチェーンである。
【0039】
ハウジングの第1部分(5)、ハウジングの第2部分及びハウジングのボトム部(17)は、垂直方向に細長いチャンネル(31)を画定する。また、第1部分(5)のスロット(33)(33)はチャンネル(31)の両側部にあり、互いに対向している。スロット(33)は、スロット(21)(22)及び摩耗プレート(8)(9)に形成されたスロットに位置合わせされる。ロッド(10)はスロット(21)(22)、摩耗プレート(8)(9)のスロット、スロット(33)及びチャンネル(31)を通って配置される。好ましくは、ロッド(10)は金属から構成される。
【0040】
ロッド(10)はシャトル(13)の中に保持される。シャトル(13)は、その内部にキャビティを有する。好ましくは、シャトル(13)は、シャトル(13)の一部を覆うプレート(12)に取り付けられる。
【0041】
ロッド(10)は、チャンネル(31)の内部を移動可能である。摩耗プレート(8)(9)は、ロッドがスロット(21)(22)に沿って移動するときに生じる摩擦を、ロッドがハウジング(7)の第3部分に接触しながら移動する場合に生じる摩擦よりも小さくなるように構成される。ロッド(10)の端部は、好ましくは、スロット(21)(22)を越えて突出する。
【0042】
シャトル(13)はまた、チャンネル(31)の内部を移動可能であり、ロッド(10)に取り付けられており、ロッド(10)が移動するとシャトル(13)も移動する。サブシャトル(14)もまたチャンネル(31)の内部に配置され、シャトル(13)に形成されたキャビティへの進入及び退出が可能となるよう構成される。シャトル(13)はサブシャトル(14)とは独立して移動可能であり、サブシャトル(14)はシャトル(13)とは独立して移動可能である。好ましくは、サブシャトル(14)は伸縮可能で、シャトル(13)に形成されたキャビティへの進入及び退出ができるよう構成される。
【0043】
スプリング(15)は、第1端部が、ロッド(10)に隣接するシャトル(13)の一部に取り付けられ、第2端部が、サブシャトル(14)に取り付けられている。細長部材(3)はサブシャトル(14)に取り付けられ、細長部材(13)が移動することでサブシャトル(14)がチャンネル(31)の内部を移動できるよう構成される。スプリング(15)は、他の実施例において、例えば一又は複数のエラストマー部材等の一又は複数の弾性部材に置き換えられてもよいことは理解されるべきである。
【0044】
コイルスプリング(16)は、サブシャトル(14)の端部とハウジング(17)ボトム部の端部との間に取り付けられる。スプリング(16)は、サブシャトル(14)を上方へ付勢し、サブシャトル(14)及びシャトル(13)を、図8に示される第1位置に付勢するよう構成される。コイルスプリング(16)は、他の実施例において、例えば一以上のエラストマー部材又は一又は複数の付勢機構などの一又は複数の弾性機構に置き換えられてもよいことは理解されるべきである。
【0045】
図8乃至図10より理解されるように、ロッド(10)の位置は、図8に示される第1位置から、図9に示される第2位置などの少なくとも一つの他の位置へ変えることができる。ロッド(10)はまた、第2位置から第1位置へ移動されてもよいことは、勿論である。好ましくは、ロッド(10)は、第1位置から複数の異なる位置へと移動可能である。
【0046】
アクチュエータ(41)は、細長部材(3)の端部に取り付けられており、細長部材を、アクチュエータ(41)に形成されたチャンネル(43)内部の複数の異なる位置に移動させることができるよう構成される。チャンネル(43)内部における細長部材(3)の異なる位置は、戻り止め(detents)によって画定され、アクチュエータ(41)のレバーがあらゆる選択可能な位置にスナップ嵌合が可能である。アクチュエータ(41)は、肘掛け、座部、台座などの椅子の構成部材に隣接して配置されることができる。好ましくは、アクチュエータ(41)は椅子の座部に隣接して配置され、使用者が少なくとも4つの異なる優先設定を選択できるよう構成され、これら4つの異なる優先設定は、チャンネル(31)内部のロッド(10)及びシャトル(13)の異なる位置に対応する。アクチュエータ(41)を作動させることにより、細長部材(3)はチャンネル(31)内部の選択された位置に移動し、ロッド(10)の位置を移動させて優先設定を調節するのにも役立つ。
【0047】
アクチュエータ(41)により細長部材(3)を移動させると、サブシャトル(14)はチャンネル(31)に沿って移動する。ロッド(10)の移動が妨げられなければ、このような動作で、シャトルを選択された位置へ移動させることができる。例えば、細長部材(3)が、図8Aに示される位置に対応する第1位置から、図9Aに示される位置に対応する第2位置へと移動すると、サブシャトル(14)とシャトル(13)は、図8Aに示される第1位置から図9Aに示される第2位置へと移動する。
【0048】
しかし、ロッド(10)の移動を妨げる力がロッド(10)に力に作用すると、図10から分かるとおり、アクチュエータ(41)が第1位置から第2位置に移動すると、サブシャトル(14)も第1位置から第2位置へと移動する。ロッド(10)の移動を妨げる力は、使用者が椅子の背もたれ及び/又は座部を倒すために加える力を含み、或いは椅子の背もたれ又は座部がリクライニング位置にあることによって生じるものであることは理解されるべきである。
【0049】
アクチュエータ(41)がある位置から第2位置へ移動すると、細長部材(3)は第1位置から第2位置へと移動する。細長部材(3)の移動により、サブシャトル(14)は第1位置から第2位置へ移動する。ロッド(10)は移動が妨げられているため、ロッド(10)とシャトル(13)は依然として第1位置にある。しかし、スプリング(15)からロッド(10)とシャトルに力が加わり、ロッド(10)に作用する力が一旦取り除かれると、ロッド(10)とシャトル(13)は第2位置に移動する。その力が取り除かれるのは、椅子の座部又は背もたれが直立位置に移動する時か、或いは使用者が背もたれ又は座部を倒す力を止める時である。アクチュエータ(41)が作動するとロッド(10)の移動は妨げられ、使用者が優先制御機構を調節しようとしてもロッド(10)は移動できないため、ロッド(10)による優先制御機構又は他の構成部材への損傷を防ぐことができる。
【0050】
ロッド(10)は、第3ハウジング部(7)のスロット(21)(22)を越えて延びて、背もたれや座部などの椅子の構成部材に接続する回動軸部を画定するように構成されることは理解されるべきである。一実施例において、椅子の背もたれ又は背もたれフレームは、ロッド(10)の対向端部に取り付けられており、使用者が背もたれを倒すとロッド(10)の周りを回動するよう構成される。更に別の実施例において、座部又は座部フレームの対向端部はロッド(10)の対向端部に取り付けられており、座部が移動する間、座部はロッド(10)の周りを回動することができる。このような移動には、椅子の後方傾斜又は前方傾斜が含まれる。更に他の実施例において、椅子の背もたれ及び座部は両方とも、ロッド(10)の各端部に回動可能に取り付けられており、座部及び背もたれは両方とも、座部及び/又は背もたれが移動する間、ロッド(10)に沿って回動することができる。このような座部と背もたれの移動は、同時に、又は独立して、又は同時かつ独立して行われるよう構成されることができる。
【0051】
ロッド(10)の垂直方向の調節は、ロッドを垂直方向に長いチャンネル(31)及びスロット(33)に沿って移動させるときに行われる。使用者がこの移動を行なう場合、多少の力を必要とするが、ロッド(10)の垂直方向の調節を行なう際に、椅子の構成部材の傾斜又は移動の機械的調節も行なうことができる利点がある。アクチュエータを選択可能な位置のうち一つに配置することにより、使用者が一又は複数の構成部材を移動させるときの容易さ又は困難さを調節することができる。例えば使用者は、ロッド(10)の設定を調節することにより、背もたれ、又は座部、又はその両方を傾ける操作を、容易に行えるようにしたり、困難にすることができる。すなわち、体重が非常に重い使用者の場合、優先制御機構を、ロッド(10)に回動可能に接続された椅子の一又は複数の構成部材を傾けるのに必要な力がより大きくなるように調節することにより、体重の軽い使用者と同じように快適に座ることができる。同じ様に、体重が軽い使用者の場合、優先制御機構を、ロッド(10)に回動可能に接続された椅子の一又は複数の構成部材を傾斜又は移動させるのに必要な力がより小さくなるように調節することにより、体重の重い使用者と同じように快適に座ることができる。
【0052】
優先制御機構の幾つかの実施例において、ハウジングは突起を含むことができるし、また、他の構造に係合又は連結できるサイズ及び構成の一又は複数の溝又は開口を画定する一又は複数の部分を有することもできる。このような突起部及び/又は開口及び/又は溝は、例えば、椅子支持体、椅子フレーム又は背もたれフレームの一又は複数の部分と連結又は係合するよう構成されることができる。このような開口、又は溝、又はその両方を設けることで、優先制御機構は、ロッド(10)に接続される1又は複数の構成部材の少なくとも一部分に力を伝達して、ロッド(10)に力を作用させることができ、座部支持体又は椅子の他の構成部材に対してより確実に取り付けられることができる。この力の一部は他の構造に伝達されるため、優先制御機構のハウジング及び他の構成部材がより安価で強度の小さい材料から作られたとしても、優先制御機構の耐久性及び/又は信頼性を落とすことはない。
【0053】
図7及び上記説明から理解されるように、優先制御機構(1)は椅子の一部でもよい。椅子は、数多くの異なる構成が可能である。椅子は、例えば、座部と背もたれが同時に傾く構成にすることができるし、背もたれのみが傾く構成にすることもできる。椅子の背もたれは、椅子の基部、又は座部、又は傾斜機構、又はそれらの全てに取り付けられることができる。座部は、椅子の基部、又は背もたれ、又は傾斜機構、又はそれらの全てに取り付けられることができる。同様に、傾斜機構は、椅子の基部、又は座部、又は背もたれ、又はそれらの全てに取り付けられることができる。
【0054】
優先制御機構は、椅子の座部、又は背もたれ、又は傾斜機構、又は基部、又はそれらの全てに取り付けられることができる。例えば、優先制御機構は、椅子の座部又は背もたれが基部又は台座で支持されるよう構成された支持構造の内部に配置されることができる。アクチュエータ等の優先制御機構の一部は、椅子の座部又は基部の下方又は近傍に配置される。好ましくは、優先制御は、椅子の座部及び/又は背もたれが倒れるように移動する間、椅子の傾斜制御機構から加えられる機械的梃子作用の大きさを調節できるよう構成される。
【0055】
例えば、優先制御機構のロッド(10)は、座部又は背もたれにおける枢着部又は枢着軸の一部であってよいことが、理解されるべきである。このようなロッドは、椅子の傾斜機構の一部でもよい。ロッド(10)の移動は、使用者が椅子の背もたれをリクライニング位置に操作する際の機械的梃子作用を調節することで行なうことができる。優先制御はまた、傾斜スプリングと相互作用するよう構成されることもできる。例えば、ロッド(10)の一部は、一又は複数の傾斜スプリングを係合するように構成されることができる。ロッド(10)の位置を調節することにより、一又は複数の傾斜スプリングの張力設定を調節することができる。優先制御機構の他の実施例では、ロッド(10)の移動により、傾斜スプリング又は傾斜機構の他の部分との係合限度が設定されるように構成されており、ロッド(10)の移動によって、傾斜スプリングが背もたれ又は座部をリクライニング位置に倒すことができる程度が規定される。
【0056】
上述した本発明の好適な実施例は、様々な変更を行なうことができることは理解されるべきである。例えば、優先制御機構の実施例では、チャンネル(31)、スロット(21)(22)(33)を、垂直方向及び水平方向のどちらの方向にも延出するように傾斜する構成にすることができる。チャンネル(31)、スロット(21)(22)(33)はまた、水平方向にのみ延出して、シャトルとサブシャトルの移動を水平方向の移動のみにすることもできる。他の例として、第1、第2及び第3のハウジング部は、一体構造に形成することができる。更に他の例として、シャトル(13)は上面プレート(12)と一体化され、上面プレート(12)とシャトル(13)が一体構造となるようにすることもできる。更に他の例として、優先制御機構の実施例では、シャトルとサブシャトルとの間に2以上のスプリング又は弾性部材を用いることができる。更なる例として、優先制御機構を作動させるのに異なるアクチュエータ機構を用いることもできる。
【0057】
本発明の第2の好適な優先制御機構(61)を、図11及び図12に示している。優先制御機構(61)は、ヨーク部(65)、上面部(63)、中間部(64)及びボトム部(74)を有するハウジングを含む。プレート(69)は、ハウジング部の上面及び中間部に形成されたチャンネル(80)の内部を移動可能なシャトル(70)に取り付けられる。サブシャトル(72)は、少なくとも一部分がハウジングの上面部(63)及び中間部(64)によって画定されるシャトル(70)の開口及びチャンネル(80)の中を移動可能に配置される。コイルスプリング(73)は、ハウジングのボトム部(74)とサブシャトル(72)との間に配置される。コイルスプリング(71)はまた、シャトル(70)とサブシャトル(72)との間に取り付けられる。チャンネル(80)に連通するスロットを通り、シャトル(70)に形成された開口(77)を通って延びる部材(67)がある。スロットは好ましくは、部材(67)が配置される3つの異なる位置を画定する。このような位置は、少なくとも一部分がスロットの中に突出する歯又は突起物によって画定されることができる。
【0058】
部材(67)の対向する側部には、クリップ(68)が取り付けられる。クリップ(68)は、好ましくは弾性であり、部材(67)の端部に隣接して取り付けられており、ハウジングの側部でスロットに隣接して係合し、スロットで画定された特定の位置に部材(67)を配置しやすくする。
【0059】
好ましくは、部材(67)の端部は、椅子の背もたれ部材又は椅子の座部部材に対する回転軸を画定する。部材(67)の移動により、座部又は背もたれ部材を傾けたり、回転させたり移動させたりするのに必要な力の大きさを調節することができる。
【0060】
サブシャトル(72)とシャトル(70)の作動と移動は、上述した本発明の好適な第1実施例におけるサブシャトルとシャトルと同様に行われる。例えば、細長部材はサブシャトル(72)に取り付けられており、その移動により、部材(67)の位置を調節することができる。
【0061】
優先制御システムについて本発明の好適な実施例と、該システムを実施する方法を示し、説明したが、本発明はそれらに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内において種々の具体化又は実施が可能であることは理解されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンネルを有し、椅子の少なくとも一つの構成部材に取り付けられる寸法及び形状に構成されたハウジングと、
キャビティを有し、チャンネル内を移動可能なシャトルと、
ハウジングのチャンネル内を移動可能であって、シャトルとは独立して移動可能なサブシャトルと、
第1端部及び該第1端部に対向する第2端部を有し、第1端部はシャトルに取り付けられ、第2端部はサブシャトルに取り付けられた少なくとも一つの弾性部材とを有する、優先制御機構。
【請求項2】
サブシャトルは、キャビティのほぼ内部にある第1位置から、少なくとも一部分がキャビティの外にある第2位置へと移動可能であり、サブシャトルが第2位置にあるとき、キャビティの外部へ延びるサブシャトルの部分は、第1位置にあるときよりも大きい、請求項1の優先制御機構。
【請求項3】
少なくとも一つの弾性部材は少なくとも一つのスプリングを含んでいる、請求項1の優先制御機構。
【請求項4】
アクチュエータと細長部材とをさらに具えており、アクチュエータは、椅子の少なくとも一つの構成部材に取り付けられるよう構成され、第1位置から少なくとも一つの第2位置へ移動可能であり、細長部材は、アクチュエータからサブシャトルへと延び、第1端部と該第1端部に対向する第2端部を含み、アクチュエータに取り付けられており、アクチュエータが第1位置から第2位置へ移動すると、細長部材は、第1位置から第2位置へ移動可能である、請求項1の優先制御機構。
【請求項5】
アクチュエータは、細長部材の第1端部を移動可能に収容できる大きさの開口を有する本体を具えており、細長部材の第1端部は、本体に移動可能に取り付けられ、開口内部を移動可能である、請求項4の優先制御機構。
【請求項6】
本体は、その一部が回転可能に構成され、本体の一部が回転することにより、アクチュエータは第1位置から第2位置へ移動し、細長部材の第1端部は開口内部を移動する、請求項5の優先制御機構。
【請求項7】
シャトルは、キャビティを画定する本体と、該本体に取り付けられた部材とを含んでおり、少なくとも一つの弾性部材の第1端部は、前記部材に隣接してシャトルに取り付けられる、請求項4の優先制御機構。
【請求項8】
少なくとも一つの弾性部材は、第1位置から第2位置へと移動可能であり、第1位置にあるときは第1長さを有し、第2位置にあるときは第1長さより長い第2長さを有している、請求項7の優先制御機構。
【請求項9】
サブシャトルは、シャトルのキャビティ内を第1位置から第2位置へ移動可能であって、細長部材の第2端部に取り付けられており、アクチュエータが第1位置から第2位置へ移動すると、サブシャトルは、該サブシャトルの第2位置へ移動する、請求項8の優先制御機構。
【請求項10】
シャトルを第1位置に保持する力がシャトルに作用した状態で、サブシャトルが該サブシャトルの第2位置へ移動するとき、少なくとも一つの弾性部材は該弾性部材の第2位置へ移動するように構成される、請求項9の優先制御機構。
【請求項11】
サブシャトルは、シャトルのキャビティ内を第1位置から第2位置へと移動可能であり、少なくとも一つの弾性部材は、サブシャトルを該サブシャトルの第1位置へ付勢するよう構成される、請求項1の優先制御機構。
【請求項12】
シャトルは、椅子の少なくとも一つの構成部材の回動軸部に取り付けられる寸法及び形状に構成される、請求項1の優先制御機構。
【請求項13】
少なくとも一部分がハウジングのチャンネル内に配置された少なくとも一つの付勢機構を更に含んでおり、少なくとも一つの付勢機構は各々が、ハウジングに隣接する第1端部と、サブシャトルに隣接する第2端部とを有する、請求項1の優先制御機構。
【請求項14】
少なくとも一つの付勢機構はコイルスプリングであり、該コイルスプリングは、サブシャトルを、少なくとも一部分がシャトルのキャビティ内にある第1位置へ付勢できるよう構成される、請求項13の優先制御機構。
【請求項15】
基部、座部、背もたれ、及び傾斜機構を具え、傾斜機構は、座部、基部及び背もたれのうち少なくとも一つに取り付けられ、背もたれは、座部、基部及び傾斜機構のうち少なくとも一つに取り付けられ、座部は、基部、傾斜機構及び背もたれのうち少なくとも一つに取り付けられた椅子であって、傾斜機構の少なくとも一部に取り付けられた優先制御機構をさらに具え、該優先制御機構は、背もたれ及び座部のうち少なくとも一つがリクライニング位置にあるとき、傾斜機構の調節が可能な寸法及び形状に構成されており、座部及び背もたれのうち少なくとも一つがリクライニング位置から直立位置へ移動された後、傾斜機構への調節が行われる、椅子。
【請求項16】
基部、座部、背もたれ、及び傾斜機構を具え、傾斜機構は、座部、基部及び背もたれのうち少なくとも一つに取り付けられ、背もたれは、座部、基部及び傾斜機構のうち少なくとも一つに取り付けられ、座部は、基部、傾斜機構及び背もたれのうち少なくとも一つに取り付けられた椅子であって、傾斜機構の少なくとも一部に取り付けられた優先制御機構をさらに具え、該優先制御機構は、
チャンネルを有するハウジングと、
キャビティを有し、ハウジングのチャンネル内を第1位置から少なくとも一つの第2位置へ移動可能なシャトルと、
ハウジングのチャンネル内を移動可能であって、シャトルとは独立して移動可能なサブシャトルと、
第1端部及び該第1端部に対向する第2端部を有し、第1端部はシャトルに取り付けられ、第2端部はサブシャトルに取り付けられた少なくとも一つの弾性部材とを有する、椅子。
【請求項17】
ハウジングのチャンネル内に配置された少なくとも一つの付勢機構を更に含み、少なくとも一つの付勢機構は、各々が、ハウジングに取り付けられた第1端部と、サブシャトルに取り付けられた第2端部とを有する、請求項16の椅子。
【請求項18】
ハウジングは、基部の一部を収容し、ハウジングを基部に取り付けるよう構成された少なくとも一つの溝を有する、請求項16の椅子。
【請求項19】
アクチュエータと細長部材とをさらに具え、アクチュエータは、座部又は基部に取り付けられ、第1位置から第2位置へ移動可能であり、細長部材は、第1端部及び該第1端部に対向する第2端部を含み、アクチュエータからサブシャトルへ延び、アクチュエータに取り付けられており、アクチュエータが第1位置から第2位置へと移動すると、第1位置から第2位置へ移動可能である、請求項17の椅子。
【請求項20】
アクチュエータは、細長部材の端部を移動可能に収容できる大きさの開口を有する本体を含み、細長部材の第1端部は本体に取り付けられ、開口内部を移動可能である、請求項19の椅子。
【請求項21】
本体は、該本体の一部が第1位置から少なくとも一つの第2位置へと回転可能に構成され、本体の一部が回転すると、細長部材の第1端部が開口内部に移動可能である、請求項20の椅子。
【請求項22】
シャトルは、キャビティを画定する本体と、該本体に取り付けられた部材とを含み、少なくとも一つの弾性部材の第1端部は前記部材に取り付けられ、弾性部材の第2端部はサブシャトルに取り付けられる、請求項19の椅子。
【請求項23】
サブシャトルは、シャトルのキャビティ内を第1位置から第2位置へ移動可能で、細長部材の第2端部に取り付けられており、アクチュエータが第1位置から第2位置へ移動すると、サブシャトルは該シャトルの第2位置へ移動可能である、請求項22の椅子。
【請求項24】
シャトルを第1位置に保持する力がシャトルに作用した状態で、サブシャトルが該サブシャトルの第2位置へ移動するとき、少なくとも一つの弾性部材は引き延ばされるように構成される、請求項23の椅子。
【請求項25】
シャトルに取り付けられ、少なくとも一部分は傾斜機構の一部である部材をさらに含んでいる、請求項16の椅子。
【請求項1】
チャンネルを有し、椅子の少なくとも一つの構成部材に取り付けられる寸法及び形状に構成されたハウジングと、
キャビティを有し、チャンネル内を移動可能なシャトルと、
ハウジングのチャンネル内を移動可能であって、シャトルとは独立して移動可能なサブシャトルと、
第1端部及び該第1端部に対向する第2端部を有し、第1端部はシャトルに取り付けられ、第2端部はサブシャトルに取り付けられた少なくとも一つの弾性部材とを有する、優先制御機構。
【請求項2】
サブシャトルは、キャビティのほぼ内部にある第1位置から、少なくとも一部分がキャビティの外にある第2位置へと移動可能であり、サブシャトルが第2位置にあるとき、キャビティの外部へ延びるサブシャトルの部分は、第1位置にあるときよりも大きい、請求項1の優先制御機構。
【請求項3】
少なくとも一つの弾性部材は少なくとも一つのスプリングを含んでいる、請求項1の優先制御機構。
【請求項4】
アクチュエータと細長部材とをさらに具えており、アクチュエータは、椅子の少なくとも一つの構成部材に取り付けられるよう構成され、第1位置から少なくとも一つの第2位置へ移動可能であり、細長部材は、アクチュエータからサブシャトルへと延び、第1端部と該第1端部に対向する第2端部を含み、アクチュエータに取り付けられており、アクチュエータが第1位置から第2位置へ移動すると、細長部材は、第1位置から第2位置へ移動可能である、請求項1の優先制御機構。
【請求項5】
アクチュエータは、細長部材の第1端部を移動可能に収容できる大きさの開口を有する本体を具えており、細長部材の第1端部は、本体に移動可能に取り付けられ、開口内部を移動可能である、請求項4の優先制御機構。
【請求項6】
本体は、その一部が回転可能に構成され、本体の一部が回転することにより、アクチュエータは第1位置から第2位置へ移動し、細長部材の第1端部は開口内部を移動する、請求項5の優先制御機構。
【請求項7】
シャトルは、キャビティを画定する本体と、該本体に取り付けられた部材とを含んでおり、少なくとも一つの弾性部材の第1端部は、前記部材に隣接してシャトルに取り付けられる、請求項4の優先制御機構。
【請求項8】
少なくとも一つの弾性部材は、第1位置から第2位置へと移動可能であり、第1位置にあるときは第1長さを有し、第2位置にあるときは第1長さより長い第2長さを有している、請求項7の優先制御機構。
【請求項9】
サブシャトルは、シャトルのキャビティ内を第1位置から第2位置へ移動可能であって、細長部材の第2端部に取り付けられており、アクチュエータが第1位置から第2位置へ移動すると、サブシャトルは、該サブシャトルの第2位置へ移動する、請求項8の優先制御機構。
【請求項10】
シャトルを第1位置に保持する力がシャトルに作用した状態で、サブシャトルが該サブシャトルの第2位置へ移動するとき、少なくとも一つの弾性部材は該弾性部材の第2位置へ移動するように構成される、請求項9の優先制御機構。
【請求項11】
サブシャトルは、シャトルのキャビティ内を第1位置から第2位置へと移動可能であり、少なくとも一つの弾性部材は、サブシャトルを該サブシャトルの第1位置へ付勢するよう構成される、請求項1の優先制御機構。
【請求項12】
シャトルは、椅子の少なくとも一つの構成部材の回動軸部に取り付けられる寸法及び形状に構成される、請求項1の優先制御機構。
【請求項13】
少なくとも一部分がハウジングのチャンネル内に配置された少なくとも一つの付勢機構を更に含んでおり、少なくとも一つの付勢機構は各々が、ハウジングに隣接する第1端部と、サブシャトルに隣接する第2端部とを有する、請求項1の優先制御機構。
【請求項14】
少なくとも一つの付勢機構はコイルスプリングであり、該コイルスプリングは、サブシャトルを、少なくとも一部分がシャトルのキャビティ内にある第1位置へ付勢できるよう構成される、請求項13の優先制御機構。
【請求項15】
基部、座部、背もたれ、及び傾斜機構を具え、傾斜機構は、座部、基部及び背もたれのうち少なくとも一つに取り付けられ、背もたれは、座部、基部及び傾斜機構のうち少なくとも一つに取り付けられ、座部は、基部、傾斜機構及び背もたれのうち少なくとも一つに取り付けられた椅子であって、傾斜機構の少なくとも一部に取り付けられた優先制御機構をさらに具え、該優先制御機構は、背もたれ及び座部のうち少なくとも一つがリクライニング位置にあるとき、傾斜機構の調節が可能な寸法及び形状に構成されており、座部及び背もたれのうち少なくとも一つがリクライニング位置から直立位置へ移動された後、傾斜機構への調節が行われる、椅子。
【請求項16】
基部、座部、背もたれ、及び傾斜機構を具え、傾斜機構は、座部、基部及び背もたれのうち少なくとも一つに取り付けられ、背もたれは、座部、基部及び傾斜機構のうち少なくとも一つに取り付けられ、座部は、基部、傾斜機構及び背もたれのうち少なくとも一つに取り付けられた椅子であって、傾斜機構の少なくとも一部に取り付けられた優先制御機構をさらに具え、該優先制御機構は、
チャンネルを有するハウジングと、
キャビティを有し、ハウジングのチャンネル内を第1位置から少なくとも一つの第2位置へ移動可能なシャトルと、
ハウジングのチャンネル内を移動可能であって、シャトルとは独立して移動可能なサブシャトルと、
第1端部及び該第1端部に対向する第2端部を有し、第1端部はシャトルに取り付けられ、第2端部はサブシャトルに取り付けられた少なくとも一つの弾性部材とを有する、椅子。
【請求項17】
ハウジングのチャンネル内に配置された少なくとも一つの付勢機構を更に含み、少なくとも一つの付勢機構は、各々が、ハウジングに取り付けられた第1端部と、サブシャトルに取り付けられた第2端部とを有する、請求項16の椅子。
【請求項18】
ハウジングは、基部の一部を収容し、ハウジングを基部に取り付けるよう構成された少なくとも一つの溝を有する、請求項16の椅子。
【請求項19】
アクチュエータと細長部材とをさらに具え、アクチュエータは、座部又は基部に取り付けられ、第1位置から第2位置へ移動可能であり、細長部材は、第1端部及び該第1端部に対向する第2端部を含み、アクチュエータからサブシャトルへ延び、アクチュエータに取り付けられており、アクチュエータが第1位置から第2位置へと移動すると、第1位置から第2位置へ移動可能である、請求項17の椅子。
【請求項20】
アクチュエータは、細長部材の端部を移動可能に収容できる大きさの開口を有する本体を含み、細長部材の第1端部は本体に取り付けられ、開口内部を移動可能である、請求項19の椅子。
【請求項21】
本体は、該本体の一部が第1位置から少なくとも一つの第2位置へと回転可能に構成され、本体の一部が回転すると、細長部材の第1端部が開口内部に移動可能である、請求項20の椅子。
【請求項22】
シャトルは、キャビティを画定する本体と、該本体に取り付けられた部材とを含み、少なくとも一つの弾性部材の第1端部は前記部材に取り付けられ、弾性部材の第2端部はサブシャトルに取り付けられる、請求項19の椅子。
【請求項23】
サブシャトルは、シャトルのキャビティ内を第1位置から第2位置へ移動可能で、細長部材の第2端部に取り付けられており、アクチュエータが第1位置から第2位置へ移動すると、サブシャトルは該シャトルの第2位置へ移動可能である、請求項22の椅子。
【請求項24】
シャトルを第1位置に保持する力がシャトルに作用した状態で、サブシャトルが該サブシャトルの第2位置へ移動するとき、少なくとも一つの弾性部材は引き延ばされるように構成される、請求項23の椅子。
【請求項25】
シャトルに取り付けられ、少なくとも一部分は傾斜機構の一部である部材をさらに含んでいる、請求項16の椅子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図9】
【図9A】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図9】
【図9A】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2011−522622(P2011−522622A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512692(P2011−512692)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/046419
【国際公開番号】WO2009/149358
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(597070725)ノル・インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/046419
【国際公開番号】WO2009/149358
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(597070725)ノル・インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】
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