説明

充電器及び充電方法

【課題】使い勝手のよい携帯電話用充電器を提供する。
【解決手段】対電話機電力端子と、対ACアダプタ電力端子と、充電器内二次電池と、昇圧部と、過放電・過充電を制御する保護回路と、充電器内二次電池充電電流制御回路とを有し、前記携帯電話機と該充電器と前記ACアダプタとを直列に接続した場合には、電話機内二次電池が満充電になってから、前記ACアダプタによる前記充電器内二次電池の充電を開始する。充電器内二次電池の温度上昇・容器膨張をそれぞれ検出して動作を止める保護回路を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機を充電する充電器及び充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
わが国における携帯電話機の販売台数は9千万台を超え、現代生活の必需品となった。その機能は年々付加されて多機能化の一途をたどっており、メールの送受信、音楽プレイヤ、ゲームプレイヤ、テレビ放送の視聴、おサイフ携帯、動画ビデオ撮影など、とどまるところを知らない。
【0003】
ところで、携帯電話機は、内蔵される二次電池で駆動している。そして、その使用可能時間をできるだけ長くとるため、エネルギ密度の高いリチウム電池が使われている。電話がかかってくるのを待つだけの待受け時間であれば、300時間程度とれる。しかし、連続通話時間は2時間程度である。また、ゲームを楽しんだり、テレビ放送の視聴、メール作成、メール送受信に使用すると、その分だけ、通話可能時間は短くなる。
【0004】
したがって、外出中に想定外の場所で電池の容量が低下し、通話ができなくなることがある。そうした場合には、充電器を所持していないことが多く、しばらくは連絡がとれなくなり、仕事に支障をきたす。また、充電器(交流電源を得て直流電力に変換するもの)を所持していた場合でも、電源コンセントからの電力供給を思うように得られずに、充電できない場合もある。そうなるとせっかく携帯電話機を持ち歩いても、その便利さが損なわれてしまう。
【0005】
そうした事態に対処するため、一次電池(直流の電力の放電のみができる化学電池、使い捨て電池)と充電用回路とを組み合わせた携帯電話用緊急充電器がコンビニエンスストアや家電量販店で販売されてきた。
【0006】
特許文献1には、過充電、過放電、放電過電流、または充電過電流を検出して、二次電池を保護することができる充放電保護回路及び該充放電保護回路を組み込んだバッテリーパックが開示されている。それぞれの検出回路を設けて、放電制御用FET(フィールドイフェクトトランジスタ、電界効果トランジスタ)、充電制御用FETのオンオフを制御するようにしたものである。
【0007】
特許文献2には、充電回路を内蔵しない安価な電池パックを充電対象としながらも、電気機器に装着された電池パックと、該電気機器に装着されない予備電池パックとの同時充電が可能な充電器が開示されている。携帯電話機に装着された電池パックを充電するための第一給電端子と、予備電池パック単体を充電するための第二給電端子と、予備電池パックの充電制御を行う充電回路とを有してなり、該充電回路への入力電圧の大きさに基づいて、予備電池パックの充電動作をオン/オフ制御するものである。
【特許文献1】特開2002−176730号公報
【特許文献2】特開2003−164070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した一次電池と充電用回路とを組み合わせた携帯電話用充電器は、一次電池を用いているために大きく、かつ、重い。充電用回路の部分は再利用ができるにもかかわらず、一次電池が使い捨てであることから、充電用回路もまた電池と共に捨てられる可能性があり、地球環境に対して好ましくない。
【0009】
特許文献1に開示される保護回路は、二次電池がなんらかの原因で膨張してしまうこと自体を検出することはできない。
【0010】
特許文献2に開示する充電器は、一度の充電操作により、携帯電話機内部の二次電池と、予備電池とを双方とも充電することを可能にするものである。しかし、携帯電話機内部の容量不足となったときに、携帯電話機の裏蓋をあけて、電池交換をする必要がある。日常的に行う動作としては手間のかかる動作である。また、頻繁に電池交換をすることにより、裏蓋の開け閉めの頻度が増え、それにより、裏蓋のロックがあまくなり、落下による紛失などの事故にもつながる。
【0011】
本発明は、使い勝手のよい携帯電話用充電器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る充電器は、従来の緊急充電器が一次電池と昇圧回路とを組み合わせたものであったのに対して、一次電池に替えて二次電池を用いたものである。また、充電器内二次電池を充電するのには、前記携帯電話機に付属するACアダプタ(充電器)を流用する。携帯電話機付属のAC電源接続用のコネクタ、二次電池、二次電池充電用電源部(保護回路)、充電制御部、昇圧部(DC−DCコンバータ)、携帯電話機接続用コネクタで構成される。
【0013】
請求項1に記載した充電器は、携帯電話機の電力端子に接続する対電話機電力端子を有し、該対電話機電力端子を介して前記携帯電話機に内蔵される電話機内二次電池を充電する充電器であって、該充電器の内部には、充電器内二次電池と、該充電器内二次電池の放電に伴う電圧低下を補償する昇圧部とを有し、前記電話機内二次電池を充電するに適した電圧まで昇圧して前記対電話機電力端子に電力を供給して充電を行うものである。
【0014】
請求項2に記載した充電器は、請求項1に記載した充電器であって、前記携帯電話機に付属するACアダプタが前記携帯電話機に電力を供給するためのACアダプタ電力端子に接続する対ACアダプタ電力端子と、該対ACアダプタ電力端子を介して前記ACアダプタから供給される直流電流を前記充電器内二次電池に供給して該充電器内二次電池を充電するに際して、過放電・過充電を制御する保護回路をさらに有し、前記携帯電話機に付属するACアダプタにより前記充電器内二次電池を充電することとしたものである。
【0015】
請求項3に記載した充電器は、請求項2に記載した充電器であって、前記充電器内二次電池に対する充電電流を制御する充電器内二次電池充電電流制御回路をさらに有し、前記携帯電話機と該充電器と前記ACアダプタとを直列に接続した場合、前記電話機内二次電池の前記ACアダプタによる充電を優先し、前記電話機内二次電池が満充電となってから前記ACアダプタによる前記充電器内二次電池の充電を開始する。
【0016】
請求項4に記載した充電器は、請求項1、2又は3のいずれか一に記載する充電器であって、前記充電器内二次電池の異常による温度上昇を検知して回路の動作を停止させる温度上昇検知保護回路をさらに有する。
【0017】
請求項5に記載した充電器は、請求項1、2又は3のいずれか一に記載する充電器であって、前記充電器内二次電池の異常による容器膨張を検知して回路の動作を停止させる容器膨張検知保護回路をさらに有する。
【0018】
請求項6に記載した充電方法は、携帯電話機の電力端子に接続する対電話機電力端子と、前記携帯電話機に付属するACアダプタが前記携帯電話機に電力を供給するためのACアダプタ電力端子に接続する対ACアダプタ電力端子と、充電器内二次電池と、該充電器内二次電池が前記携帯電話機に内蔵される電話機内二次電池を充電する際の放電に伴う電圧低下を補償する昇圧部と、該対ACアダプタ電力端子を介して前記ACアダプタから供給される直流電流を前記充電器内二次電池に供給して該充電器内二次電池を充電するに際して過放電・過充電を制御する保護回路と、前記充電器内二次電池に対する充電電流を制御する充電器内二次電池充電電流制御回路とを有する充電器を用いて、前記携帯電話機と該充電器と前記ACアダプタとを直列に接続した場合の充電方法であって、前記昇圧部の働きを止めることにより前記充電器内二次電池から前記電話機内二次電池への充電動作を止めるとともに、前記充電器内二次電池充電電流制御回路の働きにより前記ACアダプタから前記充電器内二次電池への充電電流を止めて、前記ACアダプタからの充電電流を前記携帯電話機側へ通過させて、前記電話機内二次電池の前記ACアダプタによる充電を実行する電話機内二次電池充電ステップと、該電話機内二次電池充電ステップにより、電話機内二次電池が満充電になったことを検出する電話機内二次電池満充電検出ステップと、該電話機内二次電池満充電検出ステップにより、電話機内二次電池の満充電が検出されてから、前記ACアダプタによる前記充電器内二次電池の充電を開始する充電器内二次電池充電ステップとからなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以上により構成されているから、携帯電話機付属のACアダプタが使える場所であれば、携帯電話機−本発明に係る充電器−ACアダプタと直列に接続することで、電話機内二次電池と充電器内二次電池との充電をまとめて行いながら、携帯電話を使用することができ、便利である。とりわけ、充電器内二次電池への充電電流を制御する回路を設けることにより、電話機内二次電池の充電と、充電器内二次電池の充電との切替を使用者が意識することなく、適切な充電が可能となる。
【0020】
過電流制御、内部温度上昇保護、充電器内二次電池の異常保護(不具合発生時の膨張を検知し破裂をとめる)の多重保護回路により安全に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る充電器20を携帯電話機10とそのACアダプタ30との中間に位置せしめた状態を示す模式図である。ACアダプタ30は、携帯電話機10の購入時に付属するACアダプタであり、家庭用の交流電源から電力を得て、それを直流に変換して、携帯電話機10の内部にある電話機内二次電池11(図示は省略)を充電する。このとき、電話機内二次電池11の内部には、特に過放電・過充電などから電話機内二次電池11を保護する保護回路は設けられていない。携帯電話機10の内部に、充電電流を制御する回路、過放電・過充電から保護する保護回路が設けられている。
【0023】
日本国内の携帯電話機にあっては、携帯電話機10とACアダプタ30との間を接続するコネクタは、10ピン又は18ピンのものが採用されている。以下、本明細書にあっては、携帯電話機側のACアダプタに接続するための端子を対ACアダプタ電力端子14と呼び、ACアダプタ側の携帯電話機に接続するための端子を対電話機電力端子32と呼ぶ。本発明に係る充電器の携帯電話機に接続する側には、対電話機電力端子22を設けてあり、ACアダプタに接続する側には、対ACアダプタ電力端子24が設けてある。これにより、携帯電話機10、充電器20、ACアダプタ30とは、図1に示すように、直列に接続され得る。
【0024】
図1に示すような、三つの機器を直列に接続して使う場合だけではなく、本発明に係る充電器20を携帯電話機10にだけ接続して、充電器内二次電池21により電話機内二次電池11を充電することもできる。また、本発明に係る充電器20をACアダプタ30にだけ接続して交流電源を用いて充電器内二次電池21(後述する図5、図6では、BATT+、BATT−に接続される二次電池)を充電することもできる。
【0025】
図2は、本発明に係る充電器のブロック図である。充電器内二次電池21から放電される電流は昇圧部23により昇圧されて対電話機電力端子22を介して電話機10に供給され、電話機内二次電池11を充電する。昇圧部23は、後述する図5、図6の回路でいうと制御素子Q7,Q8,Q11、コイルL1、コンデンサC4,C5、抵抗R11,R12、ダイオードD3,集積回路U2により構成される部分である。
【0026】
ACアダプタ30から対ACアダプタ電力端子24を介して供給される充電電流は、温度上昇検知保護回路27、充電器内二次電池充電電流制御回路26を介して充電器内二次電池21に至り、それを充電する。また、充電器内二次電池21の充電に関しては、容器膨張検知保護回路28及び制御部29も関与して、必要な場合には、その充電動作を停止する。ここで、温度上昇検知保護回路27は、ポリスイッチと呼ばれるものであり、温度の上昇により抵抗値が極めて大きくなり、それにより電流の流れを止めるものである。
また、容器膨張検知保護回路28は、ここでは押しボタンスイッチを採用しており、充電器内二次電池21が膨張することを機械的に検知し、その情報を制御部29に伝達することにより、充電動作を停止する。過充電・過放電を回路により検出した場合も、充電動作を停止する。充電器内二次電池充電電流制御回路26は、後述する図5、図6の回路にある制御素子Q1及びダイオードD2を含む回路である。制御部29は、後述する図5、図6の回路にある集積回路U1により構成される回路である。
【0027】
ACアダプタ30と携帯電話機10との双方をこの充電器20に接続している場合の動作は複雑である。おおまかにいうと、はじめに、ACアダプタ30からの充電電流をまずは通過させて、携帯電話機10にそのまま引渡し、電話機内二次電池11を充電する。電話機内二次電池11の満充電を検知したら、充電器内二次電池の充電動作に入る、という処理である。詳しくは、図5又は図6の詳しい回路図を参照しつつ、後述する。
【0028】
図3は、本発明に係る充電器の内部構造を示す断面模式図である。充電器内二次電池21は、本来直方体に近い形状と考えられるが、なんらかの原因によりその容器が膨張する場合には、中央部が膨らんで楕円体に近づくと考えて図3においては楕円形状でその断面を示してある。充電器内二次電池21が万一膨張した場合に、それを検知できるように、機械的な押しボタンスイッチを容器膨張検知保護回路28として回路基板40上に設ける。支柱41は、充電器内二次電池21を支えるものである。
【0029】
図4は、本発明に係る充電器の外観を示す斜視図である。本発明に係る充電器には、充電完了時や保護回路動作時には、状態に応じた色で点灯するLED及び、本発明の本体に備えているボタンSW2を押すことで白色LEDが点灯し、簡単な照明として利用することもできる機能も付属している。図4の白色LED点灯スイッチ42は、充電器20の外側に設けられて、使用者が暗いところで明かりが欲しい際に押すと、白色LED43が点灯するものである。対電話機電力端子22及び対ACアダプタ電力端子24は、携帯電話機10及びACアダプタ30と接続する際にバランスのよい位置に設けられる。
【0030】
図5は、コネクタが10ピンの場合についての充電器の回路図である。図6は、コネクタが18ピンの場合についての充電器の回路図である。以下、図5及び図6を参照しつつ、本発明に係る充電器の動作について説明する。
【0031】
[本発明に係る充電器の充電器内二次電池に対する充電動作(携帯電話機は接続しない)]
携帯電話機10に付属しているACアダプタ30を本発明に係る充電器20の対ACアダプタ電力端子24に接続することで充電器内二次電池21への充電動作が開始される。ACアダプタ30から供給された電源は、本発明に係る充電器20の充電器内二次電池充電電流制御回路26内の制御素子Q1及びダイオードD2を通じて充電器内二次電池21に供給されそれを充電する。
【0032】
制御部U1は、VDD−VSS間の電圧を監視し充電器内二次電池21に対する充電電圧、放電電圧を監視し、充電制御用端子COに接続される制御素子Q9及び放電制御用端子DOに接続される制御素子Q10をコントロールし、過充電、過放電にならないよう制御する。通常状態では、Q9 Q10ともに導通状態となっている。過充電または過放電の状況によりそれぞれの制御素子がオフ状態となり回路が遮断される。
さらに電流制御用端子VMに接続された抵抗R9に発生する電圧を元に充電電流を制御し過電流であることを検出すると放電制御素子Q10をオフにすることで過電流にならないよう制御する。
【0033】
また、保護装置として電源部には温度で電気抵抗が大きく増加する保護スイッチPL1(図2における温度上昇検知保護回路27)が設けられ、充電器内二次電池や回路の異常等で本発明の充電器の筐体内部温度が上昇した場合、充電器内二次電池が回路から切断される構成となっている。
温度が低下すると保護スイッチPL1の電気抵抗が小さくなり、自動的に通電される。
【0034】
また、押しボタンスイッチで構成される保護スイッチSW1(図2における容器膨張保護回路28)が回路基板40と充電器内二次電池21とに挟まれるように設置されている。万が一、何らかの理由で充電器内二次電池21が異常状態となって容器が膨張した場合、保護スイッチSW1が充電器内二次電池の膨張を物理的に検知し(体積膨張により二次電池の容器の外側が機械的に押しボタンを押すことを検知し)、充電器内二次電池21への電源供給を止め、電池の爆発等を事前に保護する。
【0035】
[本発明に係る充電器から携帯電話機の電話機内二次電池への充電動作]
外出先等でACアダプタ30が使えない場合、携帯電話機10を充電するには本発明に係る充電器20と携帯電話機10とを接続する。
充電器内二次電池21から昇圧部23のコイルL1へ電源が供給され、携帯電話機10に内蔵されている電話機内二次電池11を充電するに適した電圧まで昇圧し、充電を行う。
【0036】
本発明に係る充電器20をその対電話機電力端子22と携帯電話機10側の対ACアダプタ電力端子14とをつなぐことにより携帯電話機10に接続すると、携帯電話機10の所定のピン(10ピンコネクタの場合は図5の右側コネクタの5ピン、18ピンコネクタの場合は図6右側コネクタの16ピン)をプラス側とし、そこから携帯電話機10自体に内蔵されている充電回路に電源が供給され、マイナス側となる1ピンとの間に電流が流れる。
このとき、抵抗R11、制御素子Q11を介して抵抗R12に電流が供給されるため抵抗R12で発生した電圧で昇圧部23の集積回路U1のON−OFF端子がONに設定され昇圧部23が動作を開始する。
昇圧部23には、専用の電圧、電流の制御回路が設けられており、これにより安全に携帯電話機10への充電を行うことができる。昇圧部の役割は充電器内二次電池21の放電に伴う電圧低下を補償し、携帯電話機に安定した電圧を供給することである。
【0037】
[携帯電話機と本発明に係る充電器とACアダプタとを直列に接続した場合]
この場合、携帯電話機10に対する充電は、ACアダプタ30から本発明に係る充電器20を通過して直接行われる。
具体的には対ACアダプタ電力端子24の所定のピン(10ピンコネクタの場合は図5の左側コネクタの5ピン、18ピンコネクタの場合は図6左側コネクタの16ピン)より供給された電源は、ダイオードD1を通じ対電話機電力端子22の対応するピン(10ピンコネクタの場合は図5右側のコネクタの5ピン、18ピンコネクタの場合は図6右側のコネクタの16ピン)を介して携帯電話機10へ供給される。
【0038】
このとき、携帯電話用充電器を介して供給される電圧を制御素子Q7が検知し、昇圧部のON−OFF端子を制御し昇圧部の動作を停止させる。また、携帯電話機の電話機内二次電池11が充電されている間、ダイオードD4がマイナス側につながるため制御素子Q1がオフとなり本発明に係る充電器20の充電器内二次電池21に対する充電用電源供給も停止する。
【0039】
携帯電話機10の電話機内二次電池11に対する充電は携帯電話機10に内蔵されている充電回路により行われる。電話機内二次電池11が満充電になると携帯電話に内蔵されている充電回路が遮断される。
その結果、図5右側のコネクタ5ピンと1ピントの間(図6右側のコネクタ16ピンと1ピンとの間)の電流が停止し、ダイオードD4がマイナス側から遮断され制御素子Q1がオンとなり、本発明の充電器20の充電器内二次電池21に対する充電ができる状態となる。
【0040】
制御部29(集積回路U1を含む回路)により本発明の充電器20の充電器内二次電池21への充電が必要に応じ開始される。
充電器内二次電池21も満充電となると制御部29の充電制御素子Q9をオフさせ充電動作が停止される。
【0041】
仮に何らの制御も行われないと、電話機内二次電池11が充電される時でも、充電器内二次電池21に対する充電も同時に開始され、電話機内二次電池11と充電器内二次電池21との2個の二次電池それぞれの使用状態により、充電動作が異なりどちらに優先充電されるか不定となる可能性がある。また、電流も制限一杯まで流れる場合がある。
そこでACアダプタ30の許容電流を考慮し、本発明に係る充電器20の充電器内二次電池21に対する充電電流は、前記の動作のとおり携帯電話に内蔵されている2次電池が優先されている場合、前述のように制御素子Q1をオフするとともにQ1と並列に接続されている抵抗R6を通じ通常の電流値より微小な電流値(10mA程度)に制御し充電させることでACアダプタ30に対し過負荷となることを防いでいる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
携帯電話機と同様に内部に二次電池を内蔵しており、ACアダプタを接続することで内部の二次電池を充電することとしている電子機器一般に対して応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る充電器を携帯電話機とそのACアダプタとの中間に位置せしめた状態を示す模式図である。
【図2】本発明に係る充電器のブロック図である。
【図3】本発明に係る充電器の内部構造を示す断面模式図である。
【図4】本発明に係る充電器の外観を示す斜視図である。
【図5】コネクタが10ピンの場合についての充電器の回路図である。
【図6】コネクタが18ピンの場合についての充電器の回路図である。
【符号の説明】
【0044】
10 携帯電話機
11 電話機内二次電池
14,24 対ACアダプタ電力端子
20 充電器
21 充電器内二次電池
22,32 対電話機電力端子
23 昇圧部
25 保護回路
26 充電器内二次電池充電電流制御回路
27 温度上昇検知保護回路
28 容器膨張検知保護回路
29 制御部
30 ACアダプタ
40 回路基板
41 支柱
42 白色LED点灯スイッチ
43 状態表示及び簡易照明LED
C1,C2,C3,C4,C5 コンデンサ
D1,D2,D3,D4,D5,D6 ダイオード
L1 コイル
LED1,LED2
PL1 ポリスイッチ
Q1,Q3,Q4,Q5,Q7,Q8,Q9,Q10,Q11 制御素子
R1,R2,R3,R4,R6,R8,R9,R10,R11,R12 抵抗
SW 押しボタンスイッチ
U1,U2 集積回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機の電力端子に接続する対電話機電力端子を有し、該対電話機電力端子を介して前記携帯電話機に内蔵される電話機内二次電池を充電する充電器であって、
該充電器の内部には、
充電器内二次電池と、
該充電器内二次電池の放電に伴う電圧低下を補償する昇圧部
とを有し、前記電話機内二次電池を充電するに適した電圧まで昇圧して前記対電話機電力端子に電力を供給して充電を行う充電器。
【請求項2】
請求項1に記載した充電器であって、
前記携帯電話機に付属するACアダプタが前記携帯電話機に電力を供給するためのACアダプタ電力端子に接続する対ACアダプタ電力端子と、
該対ACアダプタ電力端子を介して前記ACアダプタから供給される直流電流を前記充電器内二次電池に供給して該充電器内二次電池を充電するに際して、過放電・過充電を制御する保護回路をさらに有し、
前記携帯電話機に付属するACアダプタにより前記充電器内二次電池を充電することとした充電器。
【請求項3】
請求項2に記載した充電器であって、
前記充電器内二次電池に対する充電電流を制御する充電器内二次電池充電電流制御回路をさらに有し、前記携帯電話機と該充電器と前記ACアダプタとを直列に接続した場合、前記電話機内二次電池の前記ACアダプタによる充電を優先し、前記電話機内二次電池が満充電となってから前記ACアダプタによる前記充電器内二次電池の充電を開始することを特徴とする充電器。
【請求項4】
請求項1、2又は3のいずれか一に記載する充電器であって、前記充電器内二次電池の異常による温度上昇を検知して回路の動作を停止させる温度上昇検知保護回路をさらに有することを特徴とする充電器。
【請求項5】
請求項1、2又は3のいずれか一に記載する充電器であって、前記充電器内二次電池の異常による容器膨張を検知して回路の動作を停止させる容器膨張検知保護回路をさらに有することを特徴とする充電器。
【請求項6】
携帯電話機の電力端子に接続する対電話機電力端子と、前記携帯電話機に付属するACアダプタが前記携帯電話機に電力を供給するためのACアダプタ電力端子に接続する対ACアダプタ電力端子と、充電器内二次電池と、該充電器内二次電池が前記携帯電話機に内蔵される電話機内二次電池を充電する際の放電に伴う電圧低下を補償する昇圧部と、該対ACアダプタ電力端子を介して前記ACアダプタから供給される直流電流を前記充電器内二次電池に供給して該充電器内二次電池を充電するに際して過放電・過充電を制御する保護回路と、前記充電器内二次電池に対する充電電流を制御する充電器内二次電池充電電流制御回路とを有する充電器を用いて、前記携帯電話機と該充電器と前記ACアダプタとを直列に接続した場合の充電方法であって、
前記昇圧部の働きを止めることにより前記充電器内二次電池から前記電話機内二次電池への充電動作を止めるとともに、前記充電器内二次電池充電電流制御回路の働きにより前記ACアダプタから前記充電器内二次電池への充電電流を止めて、前記ACアダプタからの充電電流を前記携帯電話機側へ通過させて、前記電話機内二次電池の前記ACアダプタによる充電を実行する電話機内二次電池充電ステップと、
該電話機内二次電池充電ステップにより、電話機内二次電池が満充電になったことを検出する電話機内二次電池満充電検出ステップと、
該電話機内二次電池満充電検出ステップにより、電話機内二次電池の満充電が検出されてから、前記ACアダプタによる前記充電器内二次電池の充電を開始する充電器内二次電池充電ステップ
とからなる充電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−278763(P2009−278763A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127242(P2008−127242)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(301073543)株式会社ネクステージ (5)
【Fターム(参考)】