説明

充電式耕うん機

【課題】従来、耕うん機は電源として専用バッテリを搭載する構成であったので、電源コストが嵩む問題があった。他方、穴明け用の電気ドリル等の電動工具について、近年高性能なリチウムイオンバッテリを用いるものが提供されている。この電動工具用のバッテリで、仕様外のバッテリをバッテリアダプタを用いて電源として利用することにより電源コストを低減することができる。
【解決手段】本体部2の電源仕様に適合したバッテリを取り付けるバッテリ取り付け部に仕様外の18Vバッテリ35,35を収納した第1のバッテリアダプタ41、仕様外の18Vバッテリ36,36を取り付けた第2のバッテリアダプタ42を取り付けて、これら仕様外の18Vバッテリ35,36により本体部2の電源回路に電源供給可能な構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主として田や畑を耕す農作業等に用いられる耕うん機であって、電動工具用の充電式バッテリを電源として搭載できる耕うん機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、穴明け用の電気ドリル、ねじ締め機や切断機等の主として手持ち式の電動工具には、リチウムイオンバッテリ等の充電式のバッテリを電源とするものが普及してきている。この種の充電式電動工具では、通常複数のバッテリを用意して充電中であっても、別のバッテリを電動工具に装着して作業の中断を招かないようにしている。
一方、主として農作業等に用いられる耕うん機には、比較的小型のものについてバッテリ式の耕うん機が提供されている。このバッテリ式の耕うん機に関する技術が下記の特許文献に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4116904号公報
【特許文献2】特開2009-118753号公報
【特許文献3】特開2011-5号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のバッテリ式耕うん機は、専用バッテリを用いる構成であるため、取り外した専用バッテリを他へ流用することはできず、また、例えば他の電動工具のバッテリを電源として流用することができず、この点で使い勝手を改善する必要があった。
本発明は、この点に着目してなされたもので、耕うん機について、充電式電動工具のバッテリを電源として用いることができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、下記の発明によって解決される。
第1の発明は、電動工具の電源として用いられる充電可能なバッテリを電源として取り付け可能な耕うん機であって、バッテリの取り付け部にバッテリコンバータを取り付け可能な耕うん機である。
第1の発明によれば、穴明け用の電気ドリル、ねじ締め機や切断機等の主として手持ち式の電動工具の充電式バッテリを電源として用いることができる。電動工具と耕うん機との間でバッテリを使い回すことにより、当該バッテリの有効活用を図って電源コストを低減することができる。
また、例えば耕うん機本体部の電源仕様に適合しない電圧の仕様外バッテリをバッテリコンバータを用いて電源として利用することができるので、電源仕様に適合したバッテリを用意できない場合に、仕様外のバッテリを用いて耕うん機を利用することができ、この点で利用可能なバッテリの範囲が拡大し、ひいては当該耕うん機の使い勝手を向上させることができる。例えば、本体部の仕様が36Vバッテリを電源とする場合に、これに代えて2つの18Vバッテリを直列接続で装着したバッテリコンバータを取り付けてこれを電源として利用することができる。この18Vバッテリについても電動工具用のバッテリを流用することができる。
第2の発明は、第1の発明において、複数のバッテリ取り付け部を備え、各バッテリ取り付け部に前記バッテリコンバータを取り付け可能な耕うん機である。
第2の発明によれば、本体部に適合するバッテリ及び仕様外のバッテリについて、長時間運転を可能にすることができる。
第3の発明は、第2の発明において、形態の異なる2つのバッテリコンバータをバッテリ取り付け部に同時に取り付け可能な耕うん機である。
第3の発明によれば、2つの異なる形態のバッテリコンバータを用いて例えば仕様外のバッテリを電源として利用できる点で当該耕うん機の使い勝手を一層向上させることができる。
第4の発明は、第3の発明において、2つのバッテリコンバータを取り付けるバッテリ取り付け部がモータ軸線に対して左右非対称に配置された耕うん機である。
第4の発明によれば、主として左右幅寸法が異なる2つのバッテリコンバータを左右方向に効率よく取り付けることができ、これにより当該耕うん機の左右幅方向のコンパクト化を図ることができる。
第5の発明は、第2〜第4の発明において、各バッテリ取り付け部に取り付けた複数のバッテリコンバータを順次切り換えて電源として使用する耕うん機である。
第5の発明によれば、耕うん機の長時間運転を行うことができる。
第6の発明は、第1〜第6の何れか一つの発明において、バッテリコンバータとして、バッテリを収容したコンバータユニットと、バッテリ取り付け部に取り付けられるアダプタユニットをアダプタコードで接続した形態のバッテリコンバータを取り付け可能で、コンバータユニットをハンドル部に装着可能な耕うん機である。
第6の発明によれば、コンバータユニットとアダプタユニットが分離されたセパレートタイプのバッテリコンバータを用いる場合に、バッテリを収容した重量の大きなコンバータユニットをハンドル部側に装着して本体部の軽量化を図ることができるとともに、コンバータユニットの重量を抵抗棒に効率よく作用させて当該耕うん機の耕うん能力を高めることができる。
第7の発明は、第6の発明において、アダプタユニットを取り付けたバッテリ取り付け部を蓋部で開閉可能で、該蓋部を閉じた状態で前記アダプタコードを挿通するためのコード通し孔を前記バッテリ取り付け部に設けた耕うん機である。
第7の発明によれば、アダプタコードをコード挿通孔を経てバッテリ取り付け部とハンドル部との間を取り回すことにより、蓋部を完全に閉じた状態で上記セパレートタイプのバッテリコンバータを用いることができる。
第8の発明は、第1〜第7の何れか一つの発明において、電圧の異なる仕様外バッテリを前記バッテリコンバータを用いて前記バッテリ取り付け部に取り付けて電源として利用可能な耕うん機である。
第8の発明によれば、定格電圧が電源仕様に適合したバッテリ(例えば36Vバッテリ)が充電中等の理由で用意できない場合に、例えば定格電圧が18Vの仕様外のバッテリをバッテリコンバータによりバッテリ取り付け部に取り付けて電源として利用することができ、この点で利用可能なバッテリの範囲が拡大して当該耕うん機の使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】充電式耕うん機の全体側面図である。
【図2】充電式耕うん機の全体側面図である。本図では、本体部が縦断面図で示されている。
【図3】充電式耕うん機の全体斜視図である。本図は、バッテリカバーが開けられてバッテリ収容部が開放された状態を示している。
【図4】充電式耕うん機の全体平面図である。本図は、バッテリカバーが開けられてバッテリ収容部が開放された状態を示している。
【図5】充電式耕うん機の全体斜視図である。本図は、バッテリが上方へ取り外された状態で示されている。
【図6】充電式耕うん機の本体部及び機構部の後面図であって、図1の(VI)-(VI)線矢視図である。但し、移動輪は接地側に下ろされており、バッテリカバーが開けられている点で図1とは異なっている。
【図7】バッテリコンバータを取り付けた充電式耕うん機の全体側面図である。
【図8】バッテリコンバータを取り付けた充電式耕うん機の全体斜視図である。本図は、バッテリカバーが開けられてバッテリ収容部が開放された状態を示している。
【図9】バッテリコンバータを取り付けた充電式耕うん機の全体平面図である。本図は、バッテリカバーが開けられてバッテリ収容部が開放された状態を示している。
【図10】バッテリコンバータを取り付けた本体部を後方から見た図である。本図は、バッテリカバーが開けられてバッテリ収容部が開放された状態を示している。
【図11】第1のバッテリコンバータを園芸工具に装着した状態を示す斜視図である。
【図12】第1のバッテリコンバータのコンバータユニットの斜視図である。本図は、蓋部を開放した状態を示している。
【図13】第2のバッテリコンバータのコンバータベースの斜視図である。本図は、バッテリを取り外した状態を示している。
【図14】第2のバッテリコンバータの後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、本発明の実施形態を図1〜図14に基づいて説明する。本実施形態に係る充電式耕うん機1は、駆動源としての電動モータ10を内装した本体部2と機構部3とハンドル部4を備えている。本体部2の本体部ケース12に電動モータ10がその出力軸10aを下方へ向けた縦姿勢で支持されている。出力軸10aには駆動ギヤ13が取り付けられている。駆動ギヤ13には従動ギヤ14が噛み合わされている。従動ギヤ14は、上下に長い駆動軸15の上部に固定されている。駆動軸15は、本体部ケース12の下面に取り付けた機構部ケース19に回転可能に支持されている。駆動軸15はモータ軸線(電動モータ10の出力軸10aの回転軸線)と平行な軸線回り回転可能に支持されている。この駆動軸15の下部にはウォームギヤ15aが形成されている。このウォームギヤ15aは、ウォームホイール16に噛み合わされている。ウォームホイール16は、出力軸17に取り付けられている。出力軸17は、機構部ケース19の下部に回転可能に支持されている。出力軸17は、駆動軸15の軸線に交差する軸線であって左右方向の軸線回りに回転可能に支持されている。出力軸17の左右端部は、機構部ケース19の左右側部から突き出されている。この左右の突き出し部分に、それぞれ耕うん爪18が取り付けられている。
電動モータ10が起動すると、駆動ギヤ13と従動ギヤ14との噛み合いを経て駆動軸15が回転する。駆動軸15の回転は、ウォームギヤ15aとウォームホイール16の噛み合いを経て出力軸17に出力される。出力軸17の回転により左右の耕うん爪18,18が回転して耕うん面Rの耕うんがなされる。
【0008】
左右の耕うん爪18,18の上方に、それぞれロータリカバー5が張り出している。ロータリカバー5は、本体部ケース12の下部から主として左右両側方及び後方に張り出す状態に設けられている。このロータリカバー5によって、左右の耕うん爪18,18で跳ね上げられた耕うん面の土石が使用者側に飛散することが防止される。
機構部ケース19には、補助支柱23が取り付けられている。この補助支柱23は、機構部ケース19から後方(使用者側)へ水平に延びている。この補助支柱23には、左右の移動輪24,24と1本の抵抗棒29が取り付けられている。左右の移動輪24,24は、それぞれ支軸25aを介して上下に回動可能に支持されたステー25の回動先端側に回転自在に支持されている。図1,3,5に示すように、左右のステー25,25と補助支柱23との間には引っ張りばね26が介装されている。この引っ張りばね26の付勢力により、左右の移動輪24,24は、図1中実線で示す格納位置と、図1中二点鎖線で示す接地側の取り出し位置との双方で位置保持されるようになっている。使用者は、引っ張りばね26の付勢力に抗して左右のステー25,25を手動操作で上下に回動させることにより、左右の移動輪24,24を上方へ格納し、逆に下方に取り出して耕うん面Rに接地させることができる。
抵抗棒29は、山形に緩く屈曲する1本の棒材で、その下端部を耕うん面Rに食い込ませて移動抵抗を与えることにより左右の耕うん爪18,18に対して耕うん面Rに対する耕うん力を発生させる機能を有している。この抵抗棒29は、補助支柱23の後端部に上下方向の位置を変更可能かつ一旦補助支柱23から取り外して取り付け向きを上下に反転可能な状態で取り付けられている。図示するように抵抗棒29を補助支柱23から下向きに突き出させた作業位置では、左右の移動輪24,24が上方の格納位置に退避される。この状態で耕うん作業が行われる。逆に、抵抗棒29を最も上方の退避位置に移動させ、若しくは上下反転させて上向きに突き出す位置に退避させた状態では、左右の移動輪24,24が図1中二点鎖線で示す取り出し位置に取り出される。これにより耕うん爪18,18を耕うん面Rから浮き上がらせた状態で左右の移動輪24,24を耕うん面R上を転動させて、当該耕うん機1を使用者の押し操作により移動させることができる。
【0009】
本体部ケース12の上面側には、大型のバッテリカバー11が設けられている。このバッテリカバー11は、支軸11aを中心として上方前側へ回動して開放することができる。バッテリカバー11を上方へ開けると、バッテリ収容部20が開放される。バッテリ収容部20には、2つのバッテリ21,22が搭載されている。このバッテリ21,22は、ねじ締め機等の主として手持ち式の電動工具のバッテリとして用いられるもので、電動工具から取り外したものがそのまま利用される。このバッテリ21,22には、自然放電が少なく、継ぎ足し充電が可能である点等で高性能なリチウムイオンバッテリが用いられており、本実施形態では何れも定格電圧36Vのものが用いられている。このバッテリ21,22は、それぞれバッテリケースに複数のセルを内装した構成を備えている。このバッテリ21,22は、別途用意した充電器で充電することにより繰り返し使用することができる。
本体部2の電源回路は、この36V電源を仕様としており、バッテリ21,22が仕様適合バッテリとなる。
図2に示すように、2つのバッテリ21,22は、本体部2の後部であって電動モータ10よりも後ろ側に取り付けられている。しかも、図3,4,6に示すように、2つのバッテリ21,22は、左右に横並び状態で取り付けられる。図5に示すようにバッテリ収容部20の前部には、2つのバッテリ21,22を取り付けるためのバッテリ取り付け部27,28が設けられている。両バッテリ取り付け部27,28は、バッテリ21,22を電源として用いる電動工具のバッテリ取り付け部と同じスライド取り付け形式を備えており、それぞれ左右のスライドレール部と、両スライドレール部の間のコネクタ接続部を備えている。
両バッテリ取り付け部27,28に対してそれぞれバッテリ21,22を上下にスライドさせれば、当該バッテリ21,22をバッテリ取り付け部27,28から取り外すことができ、逆に取り付けることができる。また、バッテリ21,22は、それぞれ個別にバッテリ取り付け部27又は28に取り付けることができ、逆に取り外すことができる。
図4に示すように両バッテリ21,22の上部には、ロック解除爪21a,22aが設けられている。バッテリ取り付け部27,28に対してバッテリ21,22を下方へスライドさせて取り付けると、ロック爪が係合して取り付け状態がロックされる。この取り付けロック状態において、ロック解除爪21a,22aを押し下げ操作するとロック爪の係合が解除される。このロック解除状態で、両バッテリ21,22を上方へスライドさせればバッテリ取り付け部27,28から取り外すことができる。
【0010】
バッテリ21,22は、バッテリ取り付け部27,28に取り付けられると、以下説明する切り換え操作により何れか一方のバッテリ27又は28が本体部2の電源回路に電気的に接続された状態となる。
本体部2の上面には、バッテリ操作部30が設けられている。このバッテリ操作部30には、切り換えスイッチ31と動作表示部32が設けられている。切り換えスイッチ31を左右に切り換え操作すると、上記したように一方のバッテリ21又は22が電源回路に電気的に接続されて(有効になって)、電動モータ10に電力供給可能な状態となる。切り換えスイッチ31を左側に傾動操作すると左側のバッテリ21が有効になり、右側に傾動操作すると右側のバッテリ22が有効になる。何れのバッテリ21又は22が有効であるかは、動作表示部32で表示される。図4に示すように動作表示部32には、緑色に点灯する左右の動作ランプ32a,32bと赤色に点灯する一つの警告ランプ32cが設けられている。切り換えスイッチ31の傾動操作により左側のバッテリ21が有効になると左側の動作ランプ32aが緑色に点灯し、右側のバッテリ22が有効になると右側の動作ランプ32bが緑色に点灯する。これにより、使用者は何れのバッテリ21又は22から電力供給されているか一目で判別することができる。有効なバッテリ21又は22の残容量が少なくなると、警告ランプ32cが赤色に点灯する。また、過電流の発生等、バッテリ21又は22やバッテリ取り付け部27,28の電力供給に異常が発生した場合にも警告ランプ32cが点灯若しくは点滅する。
切り換えスイッチ31の操作により有効ではなくなったバッテリ21(又は22)は、そのままバッテリ取り付け部27(又は28)に取り付けておいてもよいし、バッテリ取り付け部27(又は28)から取り外しておくこともできる。2つのバッテリ21,22のうち、一つのバッテリ21(又は22)を取り外すことにより、当該耕うん機1をより軽量化した状態で使用することができる。一方、取り外したバッテリ21(又は22)は、別途充電器で充電した後、再度バッテリ取り付け部に取り付けておくことにより、当該耕うん機1の長時間使用が可能になる。
前記したようにバッテリ収容部20はバッテリカバー11によって閉じられる。バッテリカバー11の開口部には防水用のシールゴム11dがその全周にわたって装着されている。このためバッテリカバー11の閉じ状態では、シールゴム11dがバッテリ収容部20の底面に弾性押圧されて外部からの雨水等の浸水が防止されるようになっている。バッテリカバー11の閉じ状態は、バッテリ収容部20の左右側部に設けたロックレバー11b,11bを、当該バッテリカバー11の左右側部に設けた係合部11c,11cにそれぞれ係合させることによりロックされる。
【0011】
ハンドル部4は、本体部2の後ろ側斜め上方に延びる状態に設けられている。このハンドル部4は、補助支柱23から後方斜め上方に延びる状態に固定された固定部4aと、この固定部4aに対して支軸4bを介して前後に傾動可能に結合された傾動部4cを備えている。固定部4aに対する傾動部4cの傾動位置は段階的に位置調整可能で、使用者に合わせてグリップ部4d,4eの高さ位置を最適な位置に調整することができる。また、傾動部4cは支軸4bを介して前側へ傾動させることにより折り畳むことができる。
図3〜4に示すように傾動部4cは、Y字型に分岐した二股形状を有しており、その先端部(後端部)にはそれぞれ使用者が左右の手で把持するグリップ部4d,4eが設けられている。右側のグリップ部4eの手前には、操作スイッチ部6が設けられている。この操作スイッチ部6には、上面側の電源スイッチ6aと、左側部のロックオフスイッチ6bと、後面側のレバースイッチ6cが設けられている。右側のグリップ部4eを把持した手の指先で上面側の電源スイッチ6aを押し操作すると、本体部2の電源回路に通電されて電動モータ10が起動可能な状態となる。その後、ロックオフスイッチ6bを押し操作した状態でレバースイッチ6cを引き操作すると電動モータ10が起動して左右の耕うん爪18,18が回転する。ロックオフスイッチ6bを押し操作しない状態でレバースイッチ6cを引き操作しても空振り(無効)となって電動モータ10は起動しない。
機構部ケース19の前部とハンドル部4の固定部4aには、持ち運び用のキャリングハンドル7,8が設けられている。使用者は当該耕うん機1の不使用時に前後のキャリングハンドル7,8を両手で把持して当該耕うん機1を持ち運ぶことができる。
【0012】
本実施形態の耕うん機1は、電源として前記例示した36V仕様のバッテリ21,22に代えて、電圧の異なる仕様外のバッテリを電源として利用するためのバッテリコンバータ40を用いることができる。このバッテリコンバータ40を用いることにより、本体部2の電源仕様に適合したバッテリである36V仕様のバッテリ21,22を充電中等の理由で用意できない場合に、18V仕様のバッテリ35,35(仕様外バッテリ)を2つ用意してこれを36V電源として代替させて耕うん機1を利用することができるようになる。図7〜図10に、2つの36V仕様のバッテリ21,22に代えてバッテリコンバータ40を装着した耕うん機1が示されている。以下説明する実施形態では、形態の異なる第1及び第2のバッテリコンバータ41,42を装着した構成を例示する。耕うん機1の本体部2、機構部3、ハンドル部4等の基本的な構成については特に変更を要しないので、同位の符号を用いてその説明を省略する。
前記したように本体部2のバッテリ収容部20に設けたスライド取り付け形式のバッテリ取り付け部27,28は、そのまま利用される。図4及び図5に示すように、2つのバッテリ取り付け部27,28は、形態の異なる第1及び第2のバッテリコンバータ41,42に対応して、本体部2の中心(電動モータ10のモータ軸線)に対して左右対称には配置されていない。本実施形態では、左側のバッテリ取り付け部27がバッテリ収容部20の左端にずれた位置に配置され、右側のバッテリ取り付け部28がやや中心寄りにずれた位置に配置されて、右側の取り付けスペースが大きく確保されている。図8〜図10に示すように、左側のバッテリ取り付け部に第1のバッテリコンバータ41が装着され、右側のバッテリ取り付け部28に、第1のバッテリコンバータ41よりも左右幅寸法が大きな第2のバッテリコンバータ42が装着されている。第1及び第2のバッテリコンバータ41,42それぞれによって36V電源を供給可能な状態となっている。
このように、左右幅寸法の異なる2つのバッテリコンバータ41,42に対応して左右のバッテリ取り付け部27,28がモータ軸線(本体部2の幅中心)に対して左右非対称となる位置に設けられていることにより、本体部2の幅方向のコンパクト化を図りつつ両バッテリコンバータ41,42を横並びに取り付けることができるようになっている。
【0013】
左側のバッテリ取り付け部27に取り付けた第1のバッテリコンバータ41は、バッテリ側と取り付け部側が分離されたセパレートタイプのバッテリコンバータで、図11及び図12に示すように18V仕様のバッテリ35,35を2つ収容したコンバータユニット45と、36Vバッテリに対応したスライド取り付け形式を有するアダプタユニット46と両者を電気的に接続するアダプタコード47を有している。図11では、この第1のバッテリコンバータ41が、ヘッジトリマと称される園芸工具50の電源として用いられる使用形態が示されている。この園芸工具50のメインハンドル52の下面に沿って設けた36Vバッテリ対応のバッテリ取り付け部51にアダプタユニット46がスライド取り付け形式により取り付けられている。このアダプタユニット46は、スライド取り付け形式及び各部の寸法等について前記36V仕様のバッテリ21,22のバッテリケースと同じ構成を備えている。また、このアダプタユニット46には、バッテリ21,22と同様のロック解除爪46aを備えている。但し、このアダプタユニット46内には、前記バッテリ21,22とは異なってバッテリセルは内装されていない。このためアダプタユニット46は、バッテリ21,22に比して大幅に軽量化されている。
コンバータユニット45は、図12に示すように2つの18V仕様のバッテリ35,35を横並び状態で収容した本体ケース45aと、この本体ケース45aを開閉する蓋部45bを備えている。図11は蓋部45bが閉じられた状態を示し、図12は蓋部45bが開放された状態を示している。本体ケース45a内に横並び状態で収容された2つのバッテリ35,35は電気的に直列接続されており、合計36Vのバッテリとして機能する。この本体ケース45aの背面側(図12において手前側)には引き掛け用のフック45cが設けられている。また、本体ケース45aの両側部には、肩掛けベルト取り付け用のベルト取り付け部45d,45dと、腰ベルト挿通用のベルト挿通孔45e,45eが設けられている。このコンバータユニット45とアダプタユニット46がアダプタコード47によって電気的に接続されている。
【0014】
この第1のバッテリコンバータ41によって、コンバータユニット45に収容した2つの18V仕様のバッテリ35,35が1つの36V仕様のバッテリとして機能し、これを電源として園芸工具50を利用することができる。園芸工具50の工具本体には、バッテリセルを内装しない空のアダプタユニット46が取り付けられ、使用者が例えば腰ベルトに引き掛けたコンバータユニット45に内装した2つの18Vバッテリ35,35を電源とすることから、当該園芸工具50を大幅に軽量化した状態で楽に取り扱うことができ、これにより作業効率を高めることができる。また、18Vバッテリ35,35を用いて36V仕様の園芸工具50を利用することができることから、36Vバッテリを用意できない場合であっても園芸工具50を有効活用することができる。本実施形態では、このような特徴を有する第1のバッテリコンバータ41を耕うん機1に用いることができる。
耕うん機1に用いる場合、図8〜図10に示すように第1のバッテリコンバータ41のアダプタユニット46が、バッテリ収容部20の左側のバッテリ取り付け部27に取り付けられている。ロック解除爪46aをアンロック操作した状態で上方へスライドさせることによりこのアダプタユニット46をバッテリ取り付け部27から取り外すことができる。一方、第1のバッテリコンバータ41のコンバータユニット45はハンドル部4に取り付けられている。ハンドル部4の傾動部4cにはフック引き掛け部4fが設けられている。このフック引き掛け部4fの引き掛け孔にフック45cを差し込んで引き掛けておくことによりコンバータユニット45がハンドル部4に吊り下げ状態で装着されている。フック引き掛け部4fは、ハンドル部4の左右方向中央かつ固定部4aの上端部付近であって、抵抗棒29の上方に設けられている。このコンバータユニット45内に2つの18Vバッテリ35,35が内装されている。このことから、比較的重量の大きなバッテリ35,35を2つ収容したコンバータユニット45が抵抗棒29の上方に吊り下げられた状態となる。このため、当該バッテリ35,35の重量を抵抗棒29に付加させて使用者はより楽に耕うん作業を行うことができる。
コンバータユニット45とアダプタユニット46を電気的に接続するアダプタコード47は、バッテリ収容部20の左側部に設けたコード通し孔20aを経て当該バッテリ収容部20内から外部に引き出されてコンバータユニット45まで取り回されている。このため、アダプタコード47を挟み込むことなく蓋部11を完全に閉じることができるので、バッテリ収容部20の防水及び防塵を図ることができる。
コンバータユニット45に直列に内装した2つの18Vバッテリ35,35により本体部2の電源回路に36V電源を供給可能な状態となる。
【0015】
バッテリ収容部20の右側のバッテリ取り付け部28には、第2のバッテリコンバータ42が取り付けられている。第2のバッテリコンバータ42の詳細が図13及び図14に示されている。第2のバッテリコンバータ42は、上記第1のバッテリコンバータ41とは異なってバッテリ側と取り付け部側が一体に設けられた一体型のバッテリコンバータであり、上下方向の縦部42aと前後方向の横部42bを有するL字形のベースユニットで、2つの18V仕様のバッテリ36,36を直列接続して36Vの電源電圧を出力する機能を有している。縦部42aの後面側に2つのスライド取り付け形式のバッテリ取り付け部42c,42cが左右横並び状態で設けられている。両バッテリ取り付け部42c,42cにそれぞれ18V仕様のバッテリ36を取り付けることができる。
縦部42aの前面側に、耕うん機1側のバッテリ取り付け部28(36V仕様)に対する本機取り付け部42dが設けられている。この本機取り付け部42dも、バッテリ取り付け部28に対応した36V仕様のスライド取り付け形式を有している。縦部42aの両バッテリ取り付け部42c,42cに対してそれぞれ上側から下方へ向けてスライドさせることによりバッテリ36を取り付けることができる。第1のバッテリコンバータ41の18Vバッテリ35,35と同じくロック解除ボタンをアンロック操作して上方へスライドさせれば、バッテリ36をバッテリ取り付け部42cから取り外すことができる。取り付けた2つの18Vバッテリ36,36は、直列接続されて36Vの電源として機能する。
横部42b内には、取り付けた2つのバッテリ36,36の動作を制御する制御基板等が内装されている。
このように2つの18Vバッテリ36,36を取り付けた第2のバッテリコンバータ42を、耕うん機1側のバッテリ取り付け部28に対して上側から下側に向けたスライドさせて直接取り付けることにより36V電源を本体部2の電源回路に供給可能な状態となる。
以上のようにしてそれぞれ18Vバッテリ35,36を2つずつ取り付けた第1及び第2のバッテリコンバータ41,42をバッテリ収容部20のバッテリ取り付け部27,28にそれぞれ取り付けることにより、本体部2の電源回路に36V電源を供給可能な状態となる。
また、バッテリ取り付け部27,28に電源仕様に適合したバッテリ21,22を直接取り付けた場合と同様、第1及び第2のバッテリコンバータ41,42を用いて仕様外のバッテリ35,36を電源として用いる場合についても、バッテリ操作部30の切り換えスイッチ31を切り換え操作することにより、第1のバッテリコンバータ41又は第2のバッテリコンバータ42の何れか一方を電源として有効に切り換えることができ、これにより例えば一方を充電のために取り外した場合に他方のバッテリコンバータを介して電源供給を行うことができる等、長時間の電源供給による耕うん機1の長時間運転を実現できる。
【0016】
以上のように構成した本実施形態の耕うん機1によれば、穴明け用の電気ドリル、ねじ締め機や切断機等の主として手持ち式の電動工具のバッテリを電源として用いることができる。このバッテリには、バッテリパックに複数本のセルを内装したリチウムイオンバッテリを用いることができる。このリチウムイオンバッテリを電源とすることにより、自然放電が少なく、継ぎ足し充電が可能であるといったメリットを耕うん機1についても享受することができる。また、電動工具と耕うん機との間でバッテリを使い回すことにより、当該バッテリの有効活用を図って電源コストを低減することができる。
しかも、本実施形態によれば、本体部2の電源仕様に適合するバッテリとして36Vバッテリ21,22を直接バッテリ取り付け部27,28に取り付けることができる他、第1及び第2のバッテリコンバータ41,42を用いることにより、電源仕様に適合しない仕様外の18Vバッテリ35,36を電源として利用することができる。このことから、本実施形態の耕うん機1によれば、充電中である等の理由により36Vバッテリ21,22を用意できない場合には、第1若しくは第2又は双方のバッテリコンバータ41,42を用いることにより仕様外の18Vバッテリ35,36を電源として耕うん作業等を行うことができ、この点で利用可能なバッテリ仕様の範囲が拡大し、ひいては当該耕うん機1の使い勝手を向上させることができる。
また、2つの36Vバッテリ21,22若しくはこれに代えてそれぞれ2つの18Vバッテリを装着可能な第1又は第2のバッテリコンバータ41,42を取り付けることができ、これにより当該耕うん機1の長時間運転が可能になる。
さらに、形態の異なる2つのバッテリコンバータ41,42を同時に取り付けることができる点で当該耕うん機1の使い勝手を一層高めることができる。しかも、左右のバッテリ取り付け部27,28が電動モータ10のモータ軸線に対して左右非対称となる状態に配置されていることから、左右幅寸法の異なる2つのバッテリコンバータ41,42を、本体部2の幅寸法を大きくすることなく左右横並び状態に効率よく取り付けることができる。
【0017】
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、電源としてバッテリ収容部20内に2つのバッテリコンバータ41,42を搭載する構成を例示したが、一つのバッテリコンバータを搭載する構成、あるいは三つ以上のバッテリコンバータを搭載する構成とすることもできる。
また、電源仕様に適合した36Vバッテリ21をバッテリ取り付け部27に取り付け、仕様外の18Vバッテリを収容した第2のバッテリコンバータ42をバッテリ取り付け部28に取り付けて電源とすることができる。このことから、仕様適合バッテリ(36V)と仕様外バッテリ(18V)を混在させて電源とすることができる。
さらに、バッテリ収容部20に設ける2箇所のバッテリ取り付け部について、双方ともに同じ形態のバッテリコンバータを取り付けて電源とする構成としてもよい。例えば、両バッテリ取り付け部27,28に、それぞれ第1のバッテリコンバータ41のアダプタユニット46を取り付け、ハンドル部にそれぞれのコンバータユニット45を取り付けて、仕様外の18Vバッテリ35,35を電源とする構成、あるいは2つのバッテリ取り付け部の配置を変更して、それぞれに第2のバッテリコンバータを取り付け可能としてもよい。
また、スライド取り付け形式のバッテリ21,22,35,36を例示したが、これらの全て若しくは一部について、電動工具用のバッテリとして例えば差し込み式のバッテリに対応させることもできる。
さらに、本体部2の仕様について定格電圧を36Vとした場合を例示したが、これに限定されるものではなく、その他の電源電圧について、これを複数個の仕様外バッテリを装着したバッテリコンバータで供給する構成とすることができる。
また、電力供給中の有効バッテリを切り換えスイッチ31の手動操作により切り換える構成を例示したが、電力供給中のバッテリの残容量を検知してこれが一定値以下になった時点で自動的に有効バッテリを切り換える構成としてもよい。
【符号の説明】
【0018】
R…耕うん面
1…耕うん機
2…本体部
3…機構部
4…ハンドル部
4a…固定部、4b…支軸、4c…傾動部
4d…グリップ部(左)、4e…グリップ部(右)
5…ロータリカバー
6…操作スイッチ部
6a…電源スイッチ、6b…ロックオフスイッチ、6c…レバースイッチ
7…キャリングハンドル(フロント側)
8…キャリングハンドル(リヤ側)
10…電動モータ
11…バッテリカバー
11a…支軸、11b…ロックレバー、11c…係合部、11d…シールゴム
12…本体部ケース
13…駆動ギヤ
14…従動ギヤ
15…駆動軸、15a…ウォームギヤ
16…ウォームホイール
17…出力軸
18…耕うん爪
19…機構部ケース
20…バッテリ収容部
21,22…バッテリ(36V仕様)、21a,22a…ロック解除爪
23…補助支柱
24…移動輪
25…ステー、25a…支軸
26…引っ張りばね
27,28…バッテリ取り付け部
29…抵抗棒
30…バッテリ操作部
31…切り換えスイッチ
32…動作表示部
32a…動作ランプ(左側用)、32b…動作ランプ(右側用)、32c…警告ランプ
35,36…18Vバッテリ(仕様外)
40…バッテリコンバータ
41…第1のバッテリコンバータ
42…第2のバッテリコンバータ
42a…縦部、42b…横部、42c…バッテリ取り付け部、42d…本機取り付け部
45…コンバータユニット
45a…本体ケース、45b…蓋部、45c…フック、45d…ベルト取り付け部
45e…ベルト挿通孔
46…アダプタユニット、46a…ロック解除爪、46b…
47…アダプタコード
50…園芸工具(ヘッジトリマ)
51…バッテリ取り付け部
52…メインハンドル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具の電源として用いられる充電可能なバッテリを電源として取り付け可能な耕うん機であって、前記バッテリの取り付け部にバッテリコンバータを取り付け可能な耕うん機。
【請求項2】
請求項1記載の耕うん機であって、複数のバッテリ取り付け部を備え、各バッテリ取り付け部に前記バッテリコンバータを取り付け可能な耕うん機。
【請求項3】
請求項2記載の耕うん機であって、形態の異なる2つのバッテリコンバータを前記バッテリ取り付け部に同時に取り付け可能な耕うん機。
【請求項4】
請求項3記載の耕うん機であって、前記2つのバッテリコンバータを取り付けるバッテリ取り付け部がモータ軸線に対して左右非対称に配置された耕うん機。
【請求項5】
請求項2〜4の何れか1項に記載した耕うん機であって、前記各バッテリ取り付け部に取り付けた複数のバッテリコンバータを順次切り換えて電源として使用する耕うん機。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載した耕うん機であって、前記バッテリコンバータとして、前記バッテリを収容したコンバータユニットと、前記バッテリ取り付け部に取り付けられるアダプタユニットをアダプタコードで接続した形態のバッテリコンバータを取り付け可能で、前記コンバータユニットをハンドル部に装着可能な耕うん機。
【請求項7】
請求項6記載の耕うん機であって、前記アダプタユニットを取り付けたバッテリ取り付け部を蓋部で開閉可能で、該蓋部を閉じた状態で前記アダプタコードを挿通するためのコード通し孔を前記バッテリ取り付け部に設けた耕うん機。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載した耕うん機であって、電圧の異なる仕様外バッテリを前記バッテリコンバータを用いて前記バッテリ取り付け部に取り付けて電源として利用可能な耕うん機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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