説明

充電装置

【課題】多様な種類の2次電池の充電に対応できる充電装置を提供すること。
【解決手段】充電装置1は、ボディダイオードBD1を有する充電スイッチ素子Q1と、ボディダイオードBD2を有する充電スイッチ素子Q2と、抵抗R1、R2と、制御スイッチ素子SW1、SW2と、定電圧源VDDと、を備える。この充電装置1は、制御スイッチ素子SW1を制御することで、2次電池BTを充電するか否かを制御し、制御スイッチ素子SW2を制御することで、2次電池BTから直流電源DCに向かって電流が逆流してしまうのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2次電池を充電する充電装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図3は、従来例に係る充電装置100の回路図である。充電装置100は、2次電池BTを充電するか否かを制御する。この充電装置100は、PチャネルMOSFETで構成される充電スイッチ素子Qと、抵抗Ra、Rbと、制御スイッチ素子SWと、ダイオードDと、を備える。
【0004】
充電スイッチ素子Qのソースには、直流電源DCの正極が接続され、充電スイッチ素子Qのドレインには、ダイオードDのアノードが接続される。ダイオードDのカソードには、2次電池BTの正極が接続される。
【0005】
直流電源DCの正極と負極との間には、抵抗Raと抵抗Rbと制御スイッチ素子SWとを直列接続したものが設けられており、抵抗Raと抵抗Rbとの接続点には、充電スイッチ素子Qのゲートが接続される。具体的には、直流電源DCの正極には、抵抗Raの一端が接続され、抵抗Raの他端には、抵抗Rbの一端と、充電スイッチ素子Qのゲートと、が接続される。抵抗Rbの他端には、制御スイッチ素子SWを介して直流電源DCの負極が接続される。直流電源DCの負極には、2次電池BTの負極も接続される。
【0006】
以上の構成を備える充電装置100は、制御スイッチ素子SWを制御することで、充電スイッチ素子Qをスイッチングさせて、2次電池BTを充電するか否かを制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−14127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図3に示した充電装置100において、制御スイッチ素子SWをオン状態にすることで、充電スイッチ素子Qをオン状態にすれば、充電スイッチ素子Qのゲートには、2次電池BTの正極の電圧、すなわち2次電池BTの充電電圧を、抵抗Raと抵抗Rbとで抵抗分割したものが印加される。
【0009】
例えば、2次電池BTの充電電圧をVBT、抵抗Raの抵抗値をRA、抵抗Rbの抵抗値をRBとすると、充電スイッチ素子Qおよび制御スイッチ素子SWがともにオン状態であれば、充電スイッチ素子Qのゲートの電位VGは、以下の式(1)のように表され、充電スイッチ素子Qのソースの電位VSは、以下の式(2)のように表される。
【0010】
【数1】

【0011】
【数2】

【0012】
このため、式(1)、(2)より、充電スイッチ素子Qのゲート−ソース間電圧VGSは、以下の式(3)のように表される。
【0013】
【数3】

【0014】
以上のように、充電装置100では、充電スイッチ素子Qのゲート−ソース間電圧は、2次電池BTの充電電圧に依存する。このため、充電電圧の高い2次電池BTを充電装置100に接続すると、充電スイッチ素子Qの耐圧を超えてしまうおそれがある。よって、多様な種類の2次電池の充電には対応できず、充電装置100で充電できる2次電池に制約があり、充電装置100は、汎用性に欠けていた。
【0015】
上述の課題を鑑み、本発明は、多様な種類の2次電池の充電に対応できる充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
(1) 本発明は、2次電池(例えば、図1の2次電池BTに相当)を充電する充電装置(例えば、図1の充電装置1に相当)であって、前記2次電池の正極と直流電源(例えば、図1の直流電源DCに相当)の正極とを断続する第1の充電スイッチ素子(例えば、図1の充電スイッチ素子Q1に相当)と、前記第1の充電スイッチ素子の第1端子(例えば、図1の充電スイッチ素子Q1のソースに相当)と制御端子(例えば、図1の充電スイッチ素子Q1のゲートに相当)とを断続する第1の制御スイッチ素子(例えば、図1の制御スイッチ素子SW1に相当)と、前記第1の充電スイッチ素子の制御端子に正極が接続され、当該第1の充電スイッチ素子の第1端子に負極が接続された定電圧源(例えば、図1の定電圧源VDDに相当)と、を備え、前記第1の充電スイッチ素子の第1端子には、前記2次電池の正極が接続され、前記第1の充電スイッチ素子の第2端子(例えば、図1の充電スイッチ素子Q1のドレインに相当)には、前記直流電源の正極が接続され、前記第1の充電スイッチ素子において、制御端子の電位が第1端子の電位と比べて前記定電圧源の電源電圧の分だけ高くなると、第1端子と第2端子とが導通することを特徴とする充電装置を提案している。
【0017】
この発明によれば、2次電池を充電する充電装置に、第1の充電スイッチ素子、第1の制御スイッチ素子、および定電圧源を設けた。そして、第1の充電スイッチ素子の第1端子には、2次電池の正極を接続し、第1の充電スイッチ素子の第2端子には、直流電源の正極を接続し、この第1の充電スイッチ素子により、2次電池の正極と直流電源の正極とを断続することとした。また、第1の制御スイッチ素子により、第1の充電スイッチ素子の第1端子と制御端子とを断続することとした。また、定電圧源の正極には、第1の充電スイッチ素子の制御端子を接続し、定電圧源の負極には、第1の充電スイッチ素子の第1端子を接続した。また、第1の充電スイッチ素子において、制御端子の電位が第1端子の電位と比べて定電圧源の電源電圧の分だけ高くなると、第1端子と第2端子とが導通することとした。
【0018】
このため、第1の制御スイッチ素子がオフ状態である場合には、第1の充電スイッチ素子の制御端子の電位は、第1の充電スイッチ素子の第1端子の電位と比べて、定電圧源の電源電圧の分だけ高くなる。したがって、第1の充電スイッチ素子の第1端子と第2端子とが導通し、第1の充電スイッチ素子がオン状態になる。
【0019】
一方、第1の制御スイッチ素子がオン状態である場合には、第1の充電スイッチ素子の制御端子の電位は、第1の充電スイッチ素子の第1端子の電位と等しくなる。このため、第1の充電スイッチ素子の第1端子と第2端子とが絶縁状態となり、第1の充電スイッチ素子がオフ状態になる。
【0020】
以上によれば、2次電池の充電電圧が直流電源の電源電圧以下である状態において、第1の制御スイッチ素子をオフ状態にすることで、第1の充電スイッチ素子をオン状態にし、直流電源の正極から2次電池の正極に向かって電流を流して、2次電池の充電を行うことができる。また、2次電池の充電電圧が直流電源の電源電圧以下である状態において、第1の制御スイッチ素子をオン状態にすることで、第1の充電スイッチ素子をオフ状態にし、直流電源の正極から2次電池の正極に向かって電流を流さないようにして、2次電池の充電を停止させることができる。
【0021】
また、第1の充電スイッチ素子の制御端子には、第1の制御スイッチ素子を介して第1の充電スイッチ素子の第1端子が接続されるとともに、定電圧源を介して第1の充電スイッチ素子の第1端子が接続される。このため、第1の充電スイッチ素子において、制御端子の電位は、第1端子の電位と等しくなるか、または、第1端子の電位より定電圧源の電源電圧分だけ高くなる。したがって、第1の充電スイッチ素子の第1端子と制御端子との電位差は、定電圧源の電源電圧に依存するが、2次電池の充電電圧には依存しない。このため、2次電池の充電電圧が高い場合であっても、この2次電池を充電装置に接続することができるので、多様な種類の2次電池の充電に対応できる。
【0022】
また、第1の充電スイッチ素子において、制御端子の電位が第1端子の電位と比べて定電圧源の電源電圧の分だけ高くなると、第1端子と第2端子とが導通する。このため、第1の充電スイッチ素子を、例えばNチャネルMOSFETで構成することができる。ここで、図3に示した従来例に係る充電装置100では、2次電池BTの正極と直流電源DCの正極との間の充電スイッチ素子Q、すなわち本発明の第1の充電スイッチ素子に対応するスイッチ素子を、PチャネルMOSFETで構成している。NチャネルMOSFETのオン抵抗は、PチャネルMOSFETのオン抵抗と比べて小さい。そして、2次電池の充電中においては、2次電池の正極と直流電源の正極との間のスイッチ素子には、電流が流れる。このため、充電装置100と比べて、2次電池の充電中における損失を低減できる。
【0023】
(2) 本発明は、(1)の充電装置について、一端から他端に向かって電流を流す逆流防止手段(例えば、図1の充電スイッチ素子Q2や、ダイオードに相当)を備え、前記逆流防止手段の一端には、前記第1の充電スイッチ素子の第1端子が接続され、前記逆流防止手段の他端には、前記2次電池の正極が接続されることを特徴とする充電装置を提案している。
【0024】
ここで、(1)の充電装置において、2次電池の充電電圧が直流電源の電源電圧より高い状態で、第1の充電スイッチ素子をオン状態にすると、2次電池の正極から直流電源の正極に向かって電流が逆流してしまうおそれがある。
【0025】
そこで、この発明によれば、(1)の充電装置において、一端から他端に向かって電流を流す逆流防止手段を設け、逆流防止手段の一端には、第1の充電スイッチ素子の第1端子を接続し、逆流防止手段の他端には、2次電池の正極を接続した。
【0026】
このため、逆流防止手段により、2次電池の正極から直流電源の正極に向かって電流が逆流してしまうのを防止できる。
【0027】
(3) 本発明は、(2)の充電装置について、前記逆流防止手段は、前記第1の充電スイッチ素子の第1端子と前記2次電池の正極とを断続する第2の充電スイッチ素子(例えば、図1の充電スイッチ素子Q2に相当)と、前記第2の充電スイッチ素子の第1端子と制御端子とを断続する第2の制御スイッチ素子(例えば、図1の制御スイッチ素子SW2に相当)と、を備え、前記第1の充電スイッチ素子の第1端子には、前記第2の充電スイッチ素子を介して、前記2次電池の正極が接続され、前記第2の充電スイッチ素子の第1端子(例えば、図1の充電スイッチ素子Q2のソースに相当)には、前記第1の充電スイッチ素子の第1端子と前記定電圧源の負極とが接続され、前記第2の充電スイッチ素子の第2端子(例えば、図1の充電スイッチ素子Q2のドレインに相当)には、前記2次電池の正極が接続され、前記第2の充電スイッチ素子の制御端子(例えば、図1の充電スイッチ素子Q2のゲートに相当)には、前記定電圧源の正極が接続され、前記第2の充電スイッチ素子において、制御端子の電位が第1端子の電位と比べて前記定電圧源の電源電圧の分だけ高くなると、第1端子と第2端子とが導通することを特徴とする充電装置を提案している。
【0028】
この発明によれば、(2)の充電装置において、逆流防止手段に、第2の充電スイッチ素子および第2の制御スイッチ素子を設けた。そして、第2の充電スイッチ素子を介して、第1の充電スイッチ素子の第1端子と2次電池の正極とを接続し、この第2の充電スイッチ素子により、第1の充電スイッチ素子の第1端子と2次電池の正極とを断続することとした。具体的には、第2の充電スイッチ素子の第1端子には、第1の充電スイッチ素子の第1端子と定電圧源の負極とを接続し、第2の充電スイッチ素子の第2端子には、2次電池の正極を接続し、第2の充電スイッチ素子の制御端子には、定電圧源の正極を接続した。また、第2の制御スイッチ素子により、第2の充電スイッチ素子の第1端子と制御端子とを断続することとした。また、第2の充電スイッチ素子において、制御端子の電位が第1端子の電位と比べて定電圧源の電源電圧の分だけ高くなると、第1端子と第2端子とが導通することとした。
【0029】
このため、第2の制御スイッチ素子がオフ状態である場合には、第2の充電スイッチ素子の制御端子の電位は、第2の充電スイッチ素子の第1端子の電位と比べて、定電圧源の電源電圧の分だけ高くなる。したがって、第2の充電スイッチ素子の第1端子と第2端子とが導通し、第2の充電スイッチ素子がオン状態になる。
【0030】
一方、第2の制御スイッチ素子がオン状態である場合には、第2の充電スイッチ素子の制御端子の電位は、第2の充電スイッチ素子の第1端子の電位と等しくなる。このため、第2の充電スイッチ素子の第1端子と第2端子とが絶縁状態となり、第2の充電スイッチ素子がオフ状態になる。
【0031】
以上によれば、2次電池の充電電圧が直流電源の電源電圧より高い場合には、第1の制御スイッチ素子の状態にかかわらず第2の制御スイッチ素子をオン状態にすることで、第1の充電スイッチ素子の状態にかかわらず第2の充電スイッチ素子をオフ状態にして、2次電池から直流電源に向かって電流が逆流してしまうのを防止できる。
【0032】
また、図3のダイオードDのように、(2)の充電装置における逆流防止手段をダイオードで構成しても、上述のように、2次電池から直流電源に向かって電流が逆流してしまうのを防止できる。しかしながら、第2の充電スイッチ素子のオン抵抗は、ダイオードのオン抵抗と比べて小さい。そして、2次電池の充電中においては、第2の充電スイッチ素子、または、第2の充電スイッチ素子の代わりに設けられたダイオードに、電流が流れる。このため、第2の充電スイッチ素子の代わりにダイオードを設けた場合と比べて、2次電池の充電中における損失を低減できる。
【0033】
(4) 本発明は、(3)の充電装置について、前記2次電池の充電を開始する際に、前記第2の制御スイッチ素子をオフ状態にした後に、前記第1の制御スイッチ素子をオフ状態にすることを特徴とする充電装置を提案している。
【0034】
ここで、2次電池の充電を開始する際に、第1の制御スイッチ素子をオフ状態にした後に、第2の制御スイッチ素子をオフ状態にする場合について、検討する。この場合、第1の充電スイッチ素子がオン状態になってから、第2の充電スイッチ素子がオン状態になる。このため、第1の充電スイッチ素子がオン状態になるタイミングでは、第2の充電スイッチ素子がオフ状態であるため、第1の充電スイッチ素子の第1端子と2次電池の正極とが絶縁状態である。これによれば、第1の充電スイッチ素子がオン状態になるタイミングにおいて、直流電源から見た負荷のインピーダンスが小さくなるため、直流電源から大電流が出力されてしまうおそれがある。
【0035】
そこで、この発明によれば、(3)の充電装置において、2次電池の充電を開始する際には、第2の制御スイッチ素子をオフ状態にした後に、第1の制御スイッチ素子をオフ状態にすることとした。このため、2次電池の充電を開始する際には、第2の充電スイッチ素子がオン状態になってから、第1の充電スイッチ素子がオン状態になる。したがって、第1の充電スイッチ素子がオン状態になるタイミングでは、第2の充電スイッチ素子が既にオン状態であるため、スイッチ素子の第1端子と2次電池の正極とが導通状態である。これによれば、第1の充電スイッチ素子がオン状態になるタイミングにおいて、直流電源にとっては、負荷として2次電池が既に接続されている状態であるため、直流電源から大電流が出力されてしまうのを防止できる。
【0036】
(5) 本発明は、(3)または(4)の充電装置について、前記2次電池の充電を終了する際に、前記第1の制御スイッチ素子をオン状態にした後に、前記第2の制御スイッチ素子をオン状態にすることを特徴とする充電装置を提案している。
【0037】
ここで、2次電池の充電を終了する際に、第2の制御スイッチ素子をオン状態にした後に、第1の制御スイッチ素子をオン状態にする場合について、検討する。この場合、第2の充電スイッチ素子がオフ状態になってから、第1の充電スイッチ素子がオフ状態になる。第2の充電スイッチ素子には、ボディダイオードといった一方向性素子が内蔵されているため、第2の充電スイッチ素子をオフ状態にしても、第1の充電スイッチ素子と、第2の充電スイッチ素子に内蔵されている一方向性素子と、を介して、直流電源の正極から2次電池の正極に向かって電流が流れてしまう。このため、第2の充電スイッチ素子に内蔵されている一方向性素子に電流が流れることによって、損失が増大してしまう。
【0038】
そこで、この発明によれば、(3)または(4)の充電装置において、2次電池の充電を終了する際には、第1の制御スイッチ素子をオン状態にした後に、第2の制御スイッチ素子をオン状態にすることとした。このため、2次電池の充電を終了する際には、第1の充電スイッチ素子がオフ状態になってから、第2の充電スイッチ素子がオフ状態になる。したがって、第1の充電スイッチ素子がオフ状態になるタイミングで、直流電源の正極から2次電池の正極に向かって電流が流れなくなる。よって、第2の充電スイッチ素子に内蔵されている一方向性素子に電流が流れてしまうのを防止して、損失を抑制できる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、第1の制御スイッチ素子を制御することで、第1の充電スイッチ素子のスイッチングを制御して、2次電池の充電を制御することができる。また、第1の充電スイッチ素子の制御端子の電位は、定電圧源の電源電圧には依存するが、2次電池の充電電圧には依存しないので、2次電池の充電電圧が高い場合であっても、この2次電池を充電装置に接続することができ、多様な種類の2次電池の充電に対応できる。また、図3に示した従来例に係る充電装置100と比べて、2次電池の充電中における損失を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る充電装置を備える充電システムの回路図である。
【図2】前記充電装置のタイミングチャートである。
【図3】従来例に係る充電装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0042】
図1は、本発明の一実施形態に係る充電装置1を備える充電システムAAの回路図である。充電システムAAは、充電装置1に加えて、直流電源DCおよび2次電池BTを備える。充電装置1は、2次電池BTを充電するか否かを制御するとともに、2次電池BTから直流電源DCに向かって電流が逆流してしまうのを防止する。
【0043】
[充電装置1の構成]
充電装置1は、NチャネルMOSFETで構成される充電スイッチ素子Q1、Q2と、フォトトランジスタで構成される制御スイッチ素子SW1、SW2と、抵抗R1、R2と、定電圧源VDDと、を備える。
【0044】
充電スイッチ素子Q1は、ボディダイオードBD1を備えており、充電スイッチ素子Q1のソースには、ボディダイオードBD1のアノードが接続されるとともに、後述の充電スイッチ素子Q2を介して2次電池BTの正極が接続される。充電スイッチ素子Q1のドレインには、ボディダイオードBD1のカソードと、直流電源DCの正極と、が接続される。
【0045】
制御スイッチ素子SW1は、充電スイッチ素子Q1のソースとゲートとの間に設けられる。具体的には、制御スイッチ素子SW1の一端には、充電スイッチ素子Q1のソースが接続され、制御スイッチ素子SW1の他端には、充電スイッチ素子Q1のゲートが接続される。この制御スイッチ素子SW1は、制御スイッチ素子SW1と対に設けられたフォトダイオード(図示省略)から光が出射されたか否かに応じて、充電スイッチ素子Q1のソースとゲートとを断続する。
【0046】
充電スイッチ素子Q1のソースとゲートとの間には、定電圧源VDDと抵抗R1とを直列接続したものも、設けられる。具体的には、充電スイッチ素子Q1のソースには、定電圧源VDDの負極が接続され、定電圧源VDDの正極には、抵抗R1を介して充電スイッチ素子Q1のゲートが接続される。
【0047】
充電スイッチ素子Q2は、ボディダイオードBD2を備えており、充電スイッチ素子Q2のソースには、ボディダイオードBD2のアノードが接続されるとともに、充電スイッチ素子Q1のソースが接続される。充電スイッチ素子Q2のドレインには、ボディダイオードBD2のカソードと、2次電池BTの正極と、が接続される。
【0048】
制御スイッチ素子SW2は、充電スイッチ素子Q2のソースとゲートとの間に設けられる。具体的には、制御スイッチ素子SW2の一端には、充電スイッチ素子Q2のソースが接続され、制御スイッチ素子SW2の他端には、充電スイッチ素子Q2のゲートが接続される。この制御スイッチ素子SW2は、制御スイッチ素子SW2と対に設けられたフォトダイオード(図示省略)から光が出射されたか否かに応じて、充電スイッチ素子Q2のソースとゲートとを断続する。
【0049】
充電スイッチ素子Q2のソースとゲートとの間には、定電圧源VDDと抵抗R2とを直列接続したものも、設けられる。具体的には、充電スイッチ素子Q2のソースには、定電圧源VDDの負極が接続され、定電圧源VDDの正極には、抵抗R2を介して充電スイッチ素子Q2のゲートが接続される。
【0050】
直流電源DCの負極と、2次電池BTの負極とは、互いに接続される。
【0051】
[充電装置1の動作]
以上の構成を備える充電装置1は、制御スイッチ素子SW1を制御することで、2次電池BTを充電するか否かを制御し、制御スイッチ素子SW2を制御することで、2次電池BTから直流電源DCに向かって電流が逆流してしまうのを防止する。
【0052】
図2は、充電装置1のタイミングチャートである。図2において、VDCは、直流電源DCの正極の電圧、すなわち直流電源DCの電源電圧を示す。STSW1は、制御スイッチ素子SW1の状態を示し、STSW2は、制御スイッチ素子SW2の状態を示す。STQ1は、充電スイッチ素子Q1の状態を示し、STQ2は、充電スイッチ素子Q2の状態を示す。
【0053】
ここで、時刻t1より以前の期間では、直流電源DCが停止しており、制御スイッチ素子SW1、SW2がともにオン状態であるものとする。このため、オン状態である制御スイッチ素子SW1により、充電スイッチ素子Q1のソースとゲートとが導通し、充電スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧がゼロであるため、充電スイッチ素子Q1はオフ状態である。また、オン状態である制御スイッチ素子SW2により、充電スイッチ素子Q2のソースとゲートとが導通し、充電スイッチ素子Q2のゲート−ソース間電圧がゼロであるため、充電スイッチ素子Q2はオフ状態である。したがって、直流電源DCの正極から2次電池BTの正極に向かって電流が流れないため、2次電池BTの充電は行われていない。
【0054】
時刻t1において、直流電源DCを起動させる。これによれば、直流電源DCの電源電圧VDCは、V1まで上昇する。しかし、制御スイッチ素子SW1はオン状態のままであるため、充電スイッチ素子Q1はオフ状態のままである。このため、2次電池BTの充電は開始されない。
【0055】
時刻t2において、制御スイッチ素子SW2をオフ状態にする。これによれば、充電スイッチ素子Q2のゲート−ソース間電圧は、定電圧源VDDの正極の電圧、すなわち定電圧源VDDの電源電圧に等しくなる。本実施形態では、定電圧源VDDの電源電圧は、充電スイッチ素子Q2の閾値電圧以上であるものとする。このため、充電スイッチ素子Q2は、オン状態になる。しかし、制御スイッチ素子SW1はオン状態のままであるため、充電スイッチ素子Q1はオフ状態のままである。したがって、2次電池BTの充電は開始されない。
【0056】
時刻t3において、制御スイッチ素子SW1をオフ状態にする。これによれば、充電スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧は、定電圧源VDDの電源電圧に等しくなる。本実施形態では、定電圧源VDDの電源電圧は、充電スイッチ素子Q1の閾値電圧以上であるものとする。このため、充電スイッチ素子Q1は、オン状態になる。すると、充電スイッチ素子Q1、Q2を介して、直流電源DCの正極から2次電池BTの正極に向かって電流が流れ、2次電池BTの充電が開始される。したがって、直流電源DCの電源電圧VDCは、2次電池BTの正極の電圧、すなわち2次電池BTの充電電圧VBTに略等しくなる。
【0057】
時刻t4において、制御スイッチ素子SW1をオン状態にする。これによれば、充電スイッチ素子Q1のソースとゲートとが導通し、充電スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧がゼロになるため、充電スイッチ素子Q1がオフ状態になる。すると、直流電源DCの正極から2次電池BTの正極に向かって電流が流れなくなるため、2次電池BTの充電が終了となる。このため、直流電源DCにとっては無負荷状態になるので、直流電源DCの電源電圧VDCは、V1に戻る。
【0058】
時刻t5において、制御スイッチ素子SW2をオン状態にする。これによれば、充電スイッチ素子Q2のソースとゲートとが導通し、充電スイッチ素子Q2のゲート−ソース間電圧がゼロになるため、充電スイッチ素子Q2がオフ状態になる。
【0059】
時刻t6において、直流電源DCを停止させる。これによれば、直流電源DCの電源電圧VDCは、ゼロまで低下する。
【0060】
以上の充電装置1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0061】
充電装置1は、2次電池BTの充電電圧VBTが直流電源DCの電源電圧VDC以下である状態において、制御スイッチ素子SW1をオフ状態にする。すると、充電スイッチ素子Q1がオン状態になる。ここで、制御スイッチ素子SW2がオフ状態であれば、充電スイッチ素子Q2がオン状態であるため、充電スイッチ素子Q1、Q2を介して、直流電源DCの正極から2次電池BTの正極に向かって電流が流れ、2次電池BTの充電が行われる。一方、制御スイッチ素子SW2がオン状態であれば、充電スイッチ素子Q2はオフ状態であるが、充電スイッチ素子Q1およびボディダイオードBD2を介して、直流電源DCの正極から2次電池BTの正極に向かって電流が流れ、2次電池BTの充電が行われる。以上によれば、2次電池BTの充電電圧VBTが直流電源DCの電源電圧VDC以下である状態において、制御スイッチ素子SW1をオフ状態にすることで、2次電池BTの充電を行うことができる。
【0062】
また、充電装置1は、2次電池BTの充電電圧VBTが直流電源DCの電源電圧VDC以下である状態において、制御スイッチ素子SW1をオン状態にする。すると、充電スイッチ素子Q1がオフ状態になる。このため、制御スイッチ素子SW2がオン状態であるかオフ状態であるかにかかわらず、すなわち充電スイッチ素子Q2がオフ状態であるかオン状態であるかにかかわらず、直流電源DCの正極から2次電池BTの正極に向かって電流が流れないため、2次電池BTの充電が行われない。以上によれば、2次電池BTの充電電圧VBTが直流電源DCの電源電圧VDC以下である状態において、制御スイッチ素子SW1をオン状態にすることで、2次電池BTの充電を停止させることができる。
【0063】
また、充電装置1は、充電スイッチ素子Q1のゲートを、制御スイッチ素子SW1を介して充電スイッチ素子Q1のソースに接続するとともに、抵抗R1および定電圧源VDDを介して充電スイッチ素子Q1のソースに接続している。このため、充電スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧は、制御スイッチ素子SW1がオン状態である場合にはゼロとなり、制御スイッチ素子SW1がオフ状態である場合には定電圧源VDDの電源電圧に略等しくなる。したがって、充電スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧は、定電圧源VDDの電源電圧には依存するが、2次電池BTの充電電圧VBTには依存しない。よって、2次電池の充電電圧が高い場合であっても、この2次電池を充電装置1に接続することができるので、多様な種類の2次電池の充電に対応できる。
【0064】
また、2次電池BTの正極と直流電源DCの正極との間のスイッチ素子は、図3に示した従来例に係る充電装置100では、PチャネルMOSFETで構成されているのに対して、図1に示した本発明の一実施形態に係る充電装置1では、NチャネルMOSFETで構成されている。NチャネルMOSFETのオン抵抗は、PチャネルMOSFETのオン抵抗と比べて小さい。そして、2次電池BTの充電中においては、2次電池BTの正極と直流電源DCの正極との間のスイッチ素子には、電流が流れる。このため、充電装置100と比べて、2次電池BTの充電中における損失を低減できる。
【0065】
また、充電装置1は、2次電池BTの充電電圧VBTが直流電源DCの電源電圧VDCより高い状態において、制御スイッチ素子SW2をオン状態にする。すると、充電スイッチ素子Q2がオフ状態になる。このため、制御スイッチ素子SW1がオン状態であるかオフ状態であるかにかかわらず、すなわち充電スイッチ素子Q1がオフ状態であるかオン状態であるかにかかわらず、2次電池BTの正極から直流電源DCの正極に向かって電流が流れない。以上によれば、2次電池BTの充電電圧VBTが直流電源DCの電源電圧VDCより高い状態において、制御スイッチ素子SW2をオン状態にすることで、2次電池BTの正極から直流電源DCの正極に向かって電流が逆流してしまうのを防止できる。
【0066】
また、充電装置1は、上述のように、充電スイッチ素子Q2をオフ状態にすることで、2次電池BTの正極から直流電源DCの正極に向かって電流が逆流してしまうのを防止する。ここで、図3のダイオードDのように、充電スイッチ素子Q2の代わりにダイオードを設けても、2次電池BTの正極から直流電源DCの正極に向かって電流が逆流してしまうのを防止できる。しかしながら、充電スイッチ素子Q2は、NチャネルMOSFETで構成されているため、充電スイッチ素子Q2のオン抵抗は、ダイオードのオン抵抗と比べて小さい。そして、2次電池BTの充電中においては、充電スイッチ素子Q2、または、充電スイッチ素子Q2の代わりに設けられたダイオードに、電流が流れる。このため、充電スイッチ素子Q2の代わりにダイオードを設けた場合と比べて、2次電池BTの充電中における損失を低減できる。
【0067】
ここで、2次電池BTの充電を開始する際に、制御スイッチ素子SW1をオフ状態にした後に、制御スイッチ素子SW2をオフ状態にする場合について、検討する。この場合、充電スイッチ素子Q1がオン状態になってから、充電スイッチ素子Q2がオン状態になる。このため、充電スイッチ素子Q1がオン状態になるタイミングでは、充電スイッチ素子Q2がオフ状態であるため、充電スイッチ素子Q1のソースと2次電池BTの正極とが絶縁状態である。これによれば、充電スイッチ素子Q1がオン状態になるタイミングにおいて、直流電源DCから見た負荷のインピーダンスが小さくなるため、直流電源DCから大電流が出力されてしまうおそれがある。
【0068】
しかしながら、充電装置1は、2次電池BTの充電を開始する際に、図2の時刻t2および時刻t3に示したように、制御スイッチ素子SW2をオフ状態にした後に、制御スイッチ素子SW1をオフ状態にすることで、充電スイッチ素子Q2をオン状態にした後に、充電スイッチ素子Q1をオン状態にする。このため、充電スイッチ素子Q1がオン状態になるタイミングでは、充電スイッチ素子Q2が既にオン状態であるため、充電スイッチ素子Q1のソースと2次電池BTの正極とが導通状態である。これによれば、充電スイッチ素子Q1がオン状態になるタイミングにおいて、直流電源DCにとっては、負荷として2次電池BTが既に接続された状態であるため、直流電源DCから大電流が出力されてしまうのを防止できる。
【0069】
ここで、2次電池BTの充電を終了する際に、制御スイッチ素子SW2をオン状態にした後に、制御スイッチ素子SW1をオン状態にする場合について、検討する。この場合、充電スイッチ素子Q2がオフ状態になってから、充電スイッチ素子Q1がオフ状態になる。充電スイッチ素子Q2にはボディダイオードBD2が内蔵されているため、充電スイッチ素子Q2をオフ状態にしても、充電スイッチ素子Q1およびボディダイオードBD2を介して、直流電源DCの正極から2次電池BTの正極に向かって電流が流れてしまう。このため、ボディダイオードBD2に電流が流れることによって、損失が増大してしまう。
【0070】
しかしながら、充電装置1は、2次電池BTの充電を終了する際に、制御スイッチ素子SW1をオン状態にした後に、制御スイッチ素子SW2をオン状態にすることで、充電スイッチ素子Q1をオフ状態にした後に、充電スイッチ素子Q2をオフ状態にする。このため、充電スイッチ素子Q1がオフ状態になるタイミングで、直流電源DCの正極から2次電池BTの正極に向かって電流が流れなくなる。したがって、ボディダイオードBD2に電流が流れてしまうのを防止して、損失を抑制できる。
【0071】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0072】
例えば、上述の実施形態では、制御スイッチ素子SW1、SW2は、フォトトランジスタで構成されるものとしたが、これに限らず、例えばMOSFETやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やBJT(Bipolar Junction Transistor)で構成されるものとしてもよい。
【0073】
また、上述の実施形態では、2次電池BTの正極から直流電源DCの正極に向かって電流が逆流してしまうのを防止する逆流防止手段として、充電スイッチ素子Q2を用いたが、これに限らず、一端から他端に向かって電流を流す素子や回路を用いてもよい。例えば、逆流防止手段として、充電スイッチ素子Q2の代わりにダイオードを用いることもできる。ダイオードを用いる場合には、ダイオードのカソードを、2次電池BTの正極に接続し、ダイオードのアノードを、充電スイッチ素子Q1のソースに接続すればよい。
【符号の説明】
【0074】
1、100;充電装置
AA;充電システム
BD1、BD2;ボディダイオード
BT;2次電池
D;ダイオード
DC;直流電源
Q、Q1、Q2;充電スイッチ素子
Ra、Rb、R1、R2;抵抗
SW、SW1、SW2;制御スイッチ素子
VDD;定電圧源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次電池を充電する充電装置であって、
前記2次電池の正極と直流電源の正極とを断続する第1の充電スイッチ素子と、
前記第1の充電スイッチ素子の第1端子と制御端子とを断続する第1の制御スイッチ素子と、
前記第1の充電スイッチ素子の制御端子に正極が接続され、当該第1の充電スイッチ素子の第1端子に負極が接続された定電圧源と、を備え、
前記第1の充電スイッチ素子の第1端子には、前記2次電池の正極が接続され、前記第1の充電スイッチ素子の第2端子には、前記直流電源の正極が接続され、
前記第1の充電スイッチ素子において、制御端子の電位が第1端子の電位と比べて前記定電圧源の電源電圧の分だけ高くなると、第1端子と第2端子とが導通することを特徴とする充電装置。
【請求項2】
一端から他端に向かって電流を流す逆流防止手段を備え、
前記逆流防止手段の一端には、前記第1の充電スイッチ素子の第1端子が接続され、前記逆流防止手段の他端には、前記2次電池の正極が接続されることを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記逆流防止手段は、
前記第1の充電スイッチ素子の第1端子と前記2次電池の正極とを断続する第2の充電スイッチ素子と、
前記第2の充電スイッチ素子の第1端子と制御端子とを断続する第2の制御スイッチ素子と、を備え、
前記第1の充電スイッチ素子の第1端子には、前記第2の充電スイッチ素子を介して、前記2次電池の正極が接続され、
前記第2の充電スイッチ素子の第1端子には、前記第1の充電スイッチ素子の第1端子と前記定電圧源の負極とが接続され、前記第2の充電スイッチ素子の第2端子には、前記2次電池の正極が接続され、前記第2の充電スイッチ素子の制御端子には、前記定電圧源の正極が接続され、
前記第2の充電スイッチ素子において、制御端子の電位が第1端子の電位と比べて前記定電圧源の電源電圧の分だけ高くなると、第1端子と第2端子とが導通することを特徴とする請求項2に記載の充電装置。
【請求項4】
前記2次電池の充電を開始する際に、
前記第2の制御スイッチ素子をオフ状態にした後に、前記第1の制御スイッチ素子をオフ状態にすることを特徴とする請求項3に記載の充電装置。
【請求項5】
前記2次電池の充電を終了する際に、
前記第1の制御スイッチ素子をオン状態にした後に、前記第2の制御スイッチ素子をオン状態にすることを特徴とする請求項3または4に記載の充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−27227(P2013−27227A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161661(P2011−161661)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】