光トランシーバ
【課題】容易に組み付けることが可能なシールド部品を有する光トランシーバを提供する。
【解決手段】光送信サブアセンブリ、光受信サブアセンブリ、シールド部材、及び、ベースを備え、シールド部材は、金属板を折り曲げることにより形成されており、一対の側壁部、中央壁部、第1の天井部、及び、第2の天井部を有し、中央壁部は、一対の側壁部の間に設けられており、断面V字状をなし、シールド部材は、一対の側壁部のうち一方、中央壁部、及び第1の天井部により第1の空間を画成し、一対の側壁部のうち他方、中央壁部、及び第2の天井部により第2の空間を画成し、ベースは、中央壁部の底部が当該ベースに突き当たるようにシールド部材を搭載し、第1の空間に収容するように光送信サブアセンブリを搭載し、及び、第2の空間に収容するように光受信サブアセンブリを搭載する。
【解決手段】光送信サブアセンブリ、光受信サブアセンブリ、シールド部材、及び、ベースを備え、シールド部材は、金属板を折り曲げることにより形成されており、一対の側壁部、中央壁部、第1の天井部、及び、第2の天井部を有し、中央壁部は、一対の側壁部の間に設けられており、断面V字状をなし、シールド部材は、一対の側壁部のうち一方、中央壁部、及び第1の天井部により第1の空間を画成し、一対の側壁部のうち他方、中央壁部、及び第2の天井部により第2の空間を画成し、ベースは、中央壁部の底部が当該ベースに突き当たるようにシールド部材を搭載し、第1の空間に収容するように光送信サブアセンブリを搭載し、及び、第2の空間に収容するように光受信サブアセンブリを搭載する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光トランシーバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光トランシーバは、外部からの光コネクタに対して光信号の送受を行い、光信号と電気信号との間の変換を行い、ホストシステムに対して電気信号の送受を行うものである。このような光トランシーバとしては、特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の光トランシーバは、光送信サブアセンブリ、光受信サブアセンブリ、回路基板、及び、二つの導電性ブラケットを備えている。光送信サブアセンブリは、半導体レーザを有しており、回路基板から電気信号を受けて光信号を発生する。光受信サブアセンブリは、フォトダイオードを有しており、光信号を受けて電気信号を発生し、当該電気信号を回路基板に出力する。光送信サブアセンブリ及び光受信サブアセンブリのそれぞれは、リードピンを有している。これらリードピンは、回路基板の前方縁部に接続されている。
【0004】
また、二つのブラケットはそれぞれ、半円筒形の本体と、当該本体から突出する2本の脚部を有している。一方のブラケットの本体は、光送信サブアセンブリのリードピンを覆っており、他方のブラケットの本体は、光受信サブアセンブリのリードピンを覆っている。また、ブラケットの脚部は、回路基板上のグランド電位に接続されている。これらブラケットは、送信信号と受信信号の間のクロストークを防止するよう、光送信サブアセンブリ及び光受信サブアセンブリをシールドしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−107297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の光トランシーバでは、サイズの小さな二つのブラケットを用いる必要があり、また、当該ブラケットは、回路基板に半田付けされるまで、固定されない。
【0007】
本発明は、容易に組み付けることが可能なシールド部品を有する光トランシーバを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光トランシーバは、光送信サブアセンブリ、光受信サブアセンブリ、シールド部材、及び、ベースを備えている。光送信サブアセンブリは、電気信号を受けて光信号を発生する。光受信サブアセンブリは、光信号を受けて電気信号を発生する。シールド部材は、金属板を折り曲げることにより形成されている。シールド部材は、一対の側壁部、中央壁部、第1の天井部、及び、第2の天井部を有する。中央壁部は、一対の側壁部の間に設けられており、断面V字状をなしており、底部に向けて幅が狭くなるように構成されている。第1の天井部は、一対の側壁部のうち一方と中央壁部の一対の上側端部のうち一方とを接続する。第2の天井部は、一対の側壁部のうち他方と中央壁部の一対の上側端部のうち他方とを接続する。シールド部材は、一対の側壁部のうち一方、中央壁部、及び第1の天井部により第1の空間を画成し、一対の側壁部のうち他方、中央壁部、及び第2の天井部により第2の空間を画成している。ベースは、中央壁部の底部が当該ベースに突き当たるようにシールド部材を搭載する。ベースは、第1の空間に収容するように光送信サブアセンブリを搭載し、及び、第2の空間に収容するように光受信サブアセンブリを搭載する。
【0009】
本光トランシーバでは、シールド部材をベース上に搭載することで、シールド部材の中央壁部が光送信サブアセンブリと光受信サブアセンブリの間を通って、フレームグランドを構成するベースに当接する。したがって、半田付け等の工程無しに、光送信サブアセンブリと光受信サブアセンブリとの間のクロストークを抑制することができる。また、一対の側壁部、中央壁部、第1の天井部、及び、第2の天井部を有するシールド部材は、略M字の断面形状を有するので、半田付け等を行わなくてもベース上に安定して搭載することができる。したがって、シールド部材を容易に組み付けることができる。
【0010】
本発明の光トランシーバは、回路基板を更に備え得る。回路基板は、光送信サブアセンブリに電気的に接続された第1の部分、及び、受信サブアセンブリに電気的に接続された第2の部分を含む一縁部を有し得る。この一縁部の第1の部分と第2の部分との間には、切込みが形成されている。一対の中央壁部は、切込みを通過してベースと接触することが好適である。この構成によれば、第1の部分と第2の部分をシールド部材により分離することができる。即ち、回路基板上の送信部分と受信部分とを分離することができる。したがって、より好適にクロストークを抑制することができる。
【0011】
本発明の光トランシーバは、送信サブアセンブリ、光受信サブアセンブリ、シールド部材、及びベースを覆うように設けられたカバーを更に備え得る。第1の天板部及び第2の天板部は、カバーの内面に接触する弾性片を有することが好適である。本構成により、中央壁部の底部をより確実にベースに接触させることができる。
【0012】
本発明の光トランシーバにおいては、中央壁部は、底部から上方へ延びるスリットにより分離された前方部及び後方部を含んでおり、中央壁部の後方部が、回路基板の切込みを通過してベースと接触していることが好適である。このスリットにより、回路基板の切込みを通過した中央壁部が回路基板に与える力を低減することが可能である。
【0013】
本発明の光トランシーバにおいては、中央壁部の底部の一部、又は、後方部に含まれる底部の少なくとも一部に、前後方向に延びるスリットが形成されていることが好適である。このスリットによっても、回路基板の切込みを通過した中央壁部が回路基板に与える力を低減することが可能である。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、容易に組み付けることが可能なシールド部品を有する光トランシーバが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態に係る光トランシーバの斜視図である。
【図2】図1に示す光トランシーバを部分的に分解した状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示す光トランシーバを部分的に分解した状態を示す斜視図である。
【図4】一実施形態の回路基板を示す平面図である。
【図5】一実施形態に係るシールド部材の斜視図である。
【図6】図5に示すシールド部材を後方から見た平面図である。
【図7】一実施形態の光トランシーバの断面図である。
【図8】一実施形態の光トランシーバの組立方法の一工程を示す図である。
【図9】別の実施形態の光トランシーバの断面図である。
【図10】別の実施形態に係る回路基板の平面図である。
【図11】別の実施形態に係る光トランシーバの断面図である。
【図12】別の実施形態に係る光トランシーバの断面図である。
【図13】別の実施形態に係る光トランシーバの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0017】
図1は、一実施形態に係る光トランシーバの斜視図である。図2及び図3は、は、図1に示す光トランシーバを部分的に分解した状態を示す斜視図である。図2は、カバーを取り除き、シールド部材を取り付ける前の光トランシーバの状態を示している。図3は、カバーを取り除き、シールド部材を取り付けた状態の光トランシーバを示している。
【0018】
図1〜図3に示す光トランシーバ10は、光送信サブアセンブリ(TOSA)12、光受信サブアセンブリ(ROSA)14、シールド部材16、及び、ベース18を備えている。また、光トランシーバ10は、レセプタクル20、シールド部材22、回路基板24、及びカバー26を備え得る。なお、本説明においては、ベース18に対してシールド部材16が位置する方向を「上」といい、その逆方向を「下」ということがある。また、回路基板24に対してレセプタクル20が位置する方向を「前」、その逆方向を「後」ということがある。
【0019】
TOSA 12は、電気信号を受けて光信号を発生するユニットである。TOSA 12は、例えば、半導体レーザを有し得る。また、TOSA 12は、半導体レーザを収容するハウジング、及び、外部からの光コネクタのフェルールを保持して当該TOSA 12とフェルール内の光ファイバとを光結合するためのスリーブを有し得る。ハウジングは、当該ハウジングのステムから延び出すリードピン12aを含み得る。リードピン12aは、回路基板24に電気的に接続されている。
【0020】
ROSA 14は、光信号を受けて電気信号を発生するユニットである。ROSA 14は、例えば、フォトダイオードを有し得る。また、ROSA 14は、フォトダイオードを収容するハウジング、及び、外部からの光コネクタのフェルールを保持して当該ROSA 14とフェルール内の光ファイバとを光結合するためのスリーブを有し得る。ハウジングは、当該ハウジングのステムから延び出すリードピン14aを含み得る。リードピン14aは、回路基板24に電気的に接続されている。
【0021】
レセプタクル20は、外部からの光コネクタを受容して当該光コネクタとTOSA 12及びROSA 14とを光結合するための部品である。レセプタクル20は、前後方向に延びる二つの空間を画成しており、一方の空間にTOSA 12のスリーブを収容し、他方の空間にROSA 14のスリーブを収容する。光コネクタは、これら二つの空間内にレセプタクル20の前方から挿入されることにより、TOSA 12及びROSA 14と光結合される。
【0022】
一実施形態では、レセプタクル20の外周をトレースするように導電性のシールド部材22が設けられていることが好適である。シールド部材22は、レセプタクル20とカバー26との隙間といったレセプタクルに20に関連する隙間に起因する電磁雑音を防止することができる。
【0023】
図4は、一実施形態の回路基板を示す平面図である。図2及び図4に示すように、回路基板24は、その前側の一縁部24aにおいてTOSA 12、及びROSA 14と電気的に結合されている。また、回路基板24は、その後側の縁部24bにホストシステムの電気コネクタと係合する電気プラグを提供している。
【0024】
一実施形態では、回路基板24の一縁部24aは、その幅方向の中央に設けられた切込み24cにより、第1の部分24d及び第2の部分24eに分離されている。第1の部分24dには、TOSA 12のリードピン12aが接続されており、第2の部分24eには、ROSA 14のリードピン14aが接続されている。
【0025】
図2及び図3に示すように、TOSA 12、ROSA 14、及び、回路基板24は、ベース18上に搭載されている。ベース18は、金属板から構成された部品であり、金属板に対する切断及び折曲加工のみで形成されている。
【0026】
ベース18は、一対の側壁18aを有している。一対の側壁18aは、ベース18の底面18d(図7参照)の幅方向の両縁から当該ベース18を構成する金属板を上方へ折り曲げることにより形成されている。回路基板24は、一対の側壁18aの頂部18cに搭載されている。また、一対の側壁18aは、それらの頂部の面積を増大させるために、当該一対の側壁18aを構成する金属板の一部を内側に折り曲げることにより、構成されている。
【0027】
また、一対の側壁18aの前方部分18bは、当該一対の側壁18aの長手方向(前後方向)における中央部よりも、高く形成されている。さらに、一対の側壁18aの前方部分18b間の間隔は、一対の側壁18aの中央部間の間隔よりも広くなっている。即ち、一対の側壁18aの前方部分18bは、一対の側壁18aの頂部18cと同じ高さの位置から上側の部分において、シールド部材16を構成する金属板の厚みに実質的に相当する分だけ、一対の側壁18aの中央部よりも外側に張り出している。したがって、前方部分18bは、段部を有している。
【0028】
かかるベース18上には、シールド部材16も搭載される。図5は、一実施形態に係るシールド部材の斜視図である。図6は、図5に示すシールド部材を後方から見た平面図である。図5及び図6に示すシールド部材16は、一枚の金属板に対する切断及び折曲加工のみで形成され得る。
【0029】
シールド部材16は、一対の側壁部16a、中央壁部16b、第1の天井部16c、及び第2の天井部16dを有している。一対の側壁部16aは、平板状の部分であり、前後方向に延びている。一対の側壁部16aは、前方脚部16j及び後方脚部16kを有している。前方脚部16jは、後方脚部16kより前側に設けられている。前方脚部16j及び後方脚部16kは、側壁部16aの他の部分の下縁よりも下方に突き出ている。前方脚部16jの上下方向の長さは、後方脚部16kの同方向の長さよりも短くなっている。
【0030】
中央壁部16bは、一対の側壁部16aの間に設けられている。中央壁部16bは、互いに対面する二つの平板部16h及び16iと、底部16mとを含んでいる。一実施形態では、中央壁部16bは、前方部16e及び後方部16fを含んでいる。前方部16eと後方部16fは、中央壁部16bの下端から上方へ延びるスリット16gにより分離されている。このスリット16gにより、中央壁部16bが回路基板24の切込み24cに挿入された際に中央壁部16bが回路基板24に与える力を、当該力が過大なものとならないように、低減することができる。
【0031】
前方部16eは、スリット16gにより分離された前側の平板部16h及び16iと底部16mとを含んでおり、略矩形の断面形状をなしている。後方部16fは、スリット16gにより分離された後側の平板部16h及び16iと底部16mとを含んでいる。この後方部16fは略V字の断面形状をなしている。
【0032】
第1の天井部16cは、平板部16hの上側端部と一方の側壁部16aの上側端部とを接続している。また、第2の天井部16dは、平板部16iの上側端部と他方の側壁部16aの上側端部とを接続している。
【0033】
一実施形態においては、第1の天井部16cは弾性部位16pを有しており、第2の天井部16dは弾性部位16qを有している。弾性部位16pは、第1の天井部16cに前後方向に延びる平行な一対の切込みを形成し、当該一対の切込みの間の金属板を上方に突出させることにより、形成される。また、弾性部位16qも第2の天井部16dに対して同様に形成することができる。
【0034】
シールド部材16は、一方の側壁部16a、中央壁部16b、及び第1の天井部16cにより、前後方向に延びる第1の空間S1を画成する。また、シールド部材16は、他方の側壁部16a、中央壁部16b、及び第2の天井部16dにより、前後方向に延びる第2の空間S2を画成する。
【0035】
かかる構成のシールド部材16は、図2及び図3に示すように、ベース18上に搭載される。図7は、一実施形態の光トランシーバの断面図であり、回路基板の切込みが存在する位置から前方を見た状態を示している。以下、図2、3、及び7を参照する。シールド部材16は、第1の空間S1にTOSA 12を収容し、第2の空間S2にROSA 14を収容するように、ベース18上に搭載される。
【0036】
一実施形態では、回路基板24の前側の一縁部24aの幅方向の両端に、切り欠き部24fが形成されている。シールド部材16がベース18上に搭載されると、シールド部材16の後方脚部16kは切り欠き部24fに挿入される。このとき、後方脚部16kの後方端面は切り欠き部24fを画成する回路基板24の端面に接する。また、後方脚部16kの底面は、ベース18の側壁18aの頂部18cに当接する。一方、前方脚部16jは、側壁18aの前方部分18bの上述した段部に突き当たる。また、シールド部材16の前端は、シールド部材22を介してレセプタクル20の後端に突き当たる。
【0037】
また、シールド部材16の中央壁部16bの底部16mは、ベース18の底面18dに当接する。一実施形態では、底面18dにはリブ18eが形成されており、底部16mは、リブ18eに当接する。なお、リブ18eは、金属板製のシールド部材16の長手方向の強度を増すために設けることができる
【0038】
このように、シールド部材16は、上下方向には、一対の側壁部16aと中央壁部16bの3点でベース18により支持される。また、幅方向においては、シールド部材16は、一対の前方部分18bにより一対の側壁部16aが狭持されることにより、位置決めされる。また、前後方向においては、シールド部材16は、回路基板24の前側の端面に接し、シールド部材22を介してレセプタクル20の後端に接することにより、位置決めされる。
【0039】
また、一実施形態では、シールド部材16がベース18上に搭載されると、当該シールド部材16の中央壁部16bの後方部16fが、回路基板24の切込み24cを通過する。一実施形態においては、シールド部材16の中央壁部16bの後方部16fにおける底部16mに、前後方向に延びるスリット16nが設けられている。このスリット16nは、後方部16fの底部16mの長手方向の全体に設けられていてもよく、当該底部16mの長手方向の一部に設けられていてもよい。このスリット16nにより、中央壁部16bの後方部16fが回路基板24の切込み24cに挿入された際に、当該後方部16fが回路基板24に与える力を、当該力が過大にならないように、低減することができる。
【0040】
図1に戻り、カバー26は、前後方向に延びる空間を画成しており、当該空間の内部に、シールド部材16、ベース18、及び、回路基板24を収容する。カバー26は、レセプタクル20に係合されることにより、固定される。
【0041】
一実施形態では、カバー26がシールド部材16を覆うと、シールド部材16の弾性部位16p及び16qがカバー26の内面に接触し、当該内面によって弾性部位16p及び16qが付勢される。これにより、シールド部材16の底部16mがベース18の底面18dに押しつけられ、シールド部材16の底部16mがベース18の底面18dに確実に接触するようになる。
【0042】
以下、上述した光トランシーバ10の組立方法について説明する。この組立て方法では、まず、TOSA 12のリードピン12a及びROSA 14のリードピン14aを、回路基板24に対して半田付けする。半田付けの後、図2に示すように、回路基板24をベース18上に搭載する。そして、図3に示すように、シールド部材16を、ベース18上に搭載する。最後に、図8に示すように、カバー26を、シールド部材16、ベース18、及び、回路基板24を覆うように、後方から前方に移動させ、当該カバー26をレセプタクル20に係合させる。以上により、光トランシーバ10が完成する。
【0043】
以上説明した光トランシーバ10によれば、シールド部材16をベース18上に搭載することで、当該シールド部材16の中央壁部16bがTOSA 12とROSA 14の間を通ってフレームグランドであるベース18に当接する。したがって、半田付け等の工程無しに、TOSA 12とROSA 14との間に電磁的なシールドを設けることができる。さらに、中央壁部16bは、V字状の断面を有する二重構造を有するので、TOSA 12とROSA 14とをより効果的に電磁的に分離することが可能である。
【0044】
また、シールド部材16は、第1の空間S1にTOSA 12を収容し、第2の空間S2にROSA 14を収容することにより、TOSA 12及びROSA 14の周面を全長にわたって覆っている。これにより、TOSA 12及びROSA 14への電磁波の空間伝搬を防ぐことが可能である。
【0045】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。以下、本発明の変形態様について、上述した光トランシーバ10と異なる点を説明する。
【0046】
図9は、別の実施形態の光トランシーバの断面図であり、図7と同様の断面を示している。図9に示す光トランシーバ10Aでは、第1の天井部16cとTOSA 12のハウジングのステムとの間に放熱シート30aを設け、第2の天井部16dとROSA 14のハウジングのステムとの間に放熱シート30bを設けている。また、ベース18の底面18dとTOSA 12のハウジングのステムとの間に放熱シート30cを設け、ベース18の底面18dとROSA 14のハウジングのステムとの間に放熱シート30dを設けることもできる。
【0047】
ここで、シールド部材16を備えない従来の光トランシーバでは、TOSA及びROSAそれぞれとカバーとの間に放熱シートを設けることにより、TOSA及びROSAからカバーまでの放熱経路が確保されている。しかしながら、後方から前方へスライドすることによりカバーが装着されるので、従来の光トランシーバでは放熱シートがこのスライド動作を阻害することがある。一方、光トランシーバ10Aでは、放熱シートとカバー26との間にシールド部材16が介在するので、放熱シートがカバー26のスライド動作を阻害することがない。
【0048】
図10は、別の実施形態に係る回路基板の平面図である。また、図11は、別の実施形態に係る光トランシーバの断面図であり、図7と同様の断面を示している。図11に示す光トランシーバ10Bは、図10に示す回路基板24Bを備えている。この回路基板24Bは、切込み24cを画成する当該回路基板24Bの縁部に沿ってフレームグランドを構成する電極層を有している点で、回路基板24と異なっている。
【0049】
光トランシーバ10Bでは、カバー26により弾性部位16p及び16qが下方へ付勢されることにより、シールド部材16の底部16mがベース18の底面18dに押しつけられる。これにより、シールド部材16の中央壁部16bの二つの平板部16h及び16iに、両平板部間の間隔が広がる方向への力が加わる。その結果、中央壁部16bが電極層24gに確実に接触する。したがって、光トランシーバ10Bによれば、回路基板24に設けられたフレームグランドへのシールド部材16への接触を確保することができる。
【0050】
図12は、別の実施形態に係る光トランシーバの断面図であり、図7と同様の断面を示している。図12に示す光トランシーバ10Cでは、回路基板上にフレームグランドを構成する電極層24hが設けられている。また、シールド部材16の底部16mは、ベース18の底面18dではなく、電極層24hに接している。
【0051】
図13は、別の実施形態に係る光トランシーバの断面図であり、図7と同様の断面を示している。図13に示す光トランシーバ10Dは、回路基板における電極層24gの構成が光トランシーバ10Bにおける電極層と異なっている。即ち、光トランシーバ10Dでは、電極層24gは、切込み24cを画成する回路基板の縁部に沿い、当該縁部から当該回路基板の内層を形成するよう回路基板の内部を通過し、回路基板の送信側の縁部にまで設けられている。ここで、「回路基板の送信側」とは、ROSA 14に対してTOSA 12が設けられている側の回路基板の部分である。この光トランシーバ10Dによれば、回路基板の送信側を囲むように、フレームグランドを設けることができる。
【符号の説明】
【0052】
10…光トランシーバ、12…光送信サブアセンブリ(TOSA)、14…光受信サブアセンブリ(ROSA)、16…シールド板、16a…側壁部、16b…中央壁部、16c…第1の天井部、16d…第2の天井部、16e…前方部、16f…後方部、16g…スリット、16m…底部、16n…スリット、18…ベース、18a…側壁、18b…前方部分、18c…頂部、18d…底面、20…レセプタクル、22…シールド部材、24…回路基板、24a…一縁部(前側の縁部)、24c…切込み、24d…第1の部分、24e…第2の部分、26…カバー。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光トランシーバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光トランシーバは、外部からの光コネクタに対して光信号の送受を行い、光信号と電気信号との間の変換を行い、ホストシステムに対して電気信号の送受を行うものである。このような光トランシーバとしては、特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の光トランシーバは、光送信サブアセンブリ、光受信サブアセンブリ、回路基板、及び、二つの導電性ブラケットを備えている。光送信サブアセンブリは、半導体レーザを有しており、回路基板から電気信号を受けて光信号を発生する。光受信サブアセンブリは、フォトダイオードを有しており、光信号を受けて電気信号を発生し、当該電気信号を回路基板に出力する。光送信サブアセンブリ及び光受信サブアセンブリのそれぞれは、リードピンを有している。これらリードピンは、回路基板の前方縁部に接続されている。
【0004】
また、二つのブラケットはそれぞれ、半円筒形の本体と、当該本体から突出する2本の脚部を有している。一方のブラケットの本体は、光送信サブアセンブリのリードピンを覆っており、他方のブラケットの本体は、光受信サブアセンブリのリードピンを覆っている。また、ブラケットの脚部は、回路基板上のグランド電位に接続されている。これらブラケットは、送信信号と受信信号の間のクロストークを防止するよう、光送信サブアセンブリ及び光受信サブアセンブリをシールドしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−107297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の光トランシーバでは、サイズの小さな二つのブラケットを用いる必要があり、また、当該ブラケットは、回路基板に半田付けされるまで、固定されない。
【0007】
本発明は、容易に組み付けることが可能なシールド部品を有する光トランシーバを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光トランシーバは、光送信サブアセンブリ、光受信サブアセンブリ、シールド部材、及び、ベースを備えている。光送信サブアセンブリは、電気信号を受けて光信号を発生する。光受信サブアセンブリは、光信号を受けて電気信号を発生する。シールド部材は、金属板を折り曲げることにより形成されている。シールド部材は、一対の側壁部、中央壁部、第1の天井部、及び、第2の天井部を有する。中央壁部は、一対の側壁部の間に設けられており、断面V字状をなしており、底部に向けて幅が狭くなるように構成されている。第1の天井部は、一対の側壁部のうち一方と中央壁部の一対の上側端部のうち一方とを接続する。第2の天井部は、一対の側壁部のうち他方と中央壁部の一対の上側端部のうち他方とを接続する。シールド部材は、一対の側壁部のうち一方、中央壁部、及び第1の天井部により第1の空間を画成し、一対の側壁部のうち他方、中央壁部、及び第2の天井部により第2の空間を画成している。ベースは、中央壁部の底部が当該ベースに突き当たるようにシールド部材を搭載する。ベースは、第1の空間に収容するように光送信サブアセンブリを搭載し、及び、第2の空間に収容するように光受信サブアセンブリを搭載する。
【0009】
本光トランシーバでは、シールド部材をベース上に搭載することで、シールド部材の中央壁部が光送信サブアセンブリと光受信サブアセンブリの間を通って、フレームグランドを構成するベースに当接する。したがって、半田付け等の工程無しに、光送信サブアセンブリと光受信サブアセンブリとの間のクロストークを抑制することができる。また、一対の側壁部、中央壁部、第1の天井部、及び、第2の天井部を有するシールド部材は、略M字の断面形状を有するので、半田付け等を行わなくてもベース上に安定して搭載することができる。したがって、シールド部材を容易に組み付けることができる。
【0010】
本発明の光トランシーバは、回路基板を更に備え得る。回路基板は、光送信サブアセンブリに電気的に接続された第1の部分、及び、受信サブアセンブリに電気的に接続された第2の部分を含む一縁部を有し得る。この一縁部の第1の部分と第2の部分との間には、切込みが形成されている。一対の中央壁部は、切込みを通過してベースと接触することが好適である。この構成によれば、第1の部分と第2の部分をシールド部材により分離することができる。即ち、回路基板上の送信部分と受信部分とを分離することができる。したがって、より好適にクロストークを抑制することができる。
【0011】
本発明の光トランシーバは、送信サブアセンブリ、光受信サブアセンブリ、シールド部材、及びベースを覆うように設けられたカバーを更に備え得る。第1の天板部及び第2の天板部は、カバーの内面に接触する弾性片を有することが好適である。本構成により、中央壁部の底部をより確実にベースに接触させることができる。
【0012】
本発明の光トランシーバにおいては、中央壁部は、底部から上方へ延びるスリットにより分離された前方部及び後方部を含んでおり、中央壁部の後方部が、回路基板の切込みを通過してベースと接触していることが好適である。このスリットにより、回路基板の切込みを通過した中央壁部が回路基板に与える力を低減することが可能である。
【0013】
本発明の光トランシーバにおいては、中央壁部の底部の一部、又は、後方部に含まれる底部の少なくとも一部に、前後方向に延びるスリットが形成されていることが好適である。このスリットによっても、回路基板の切込みを通過した中央壁部が回路基板に与える力を低減することが可能である。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、容易に組み付けることが可能なシールド部品を有する光トランシーバが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態に係る光トランシーバの斜視図である。
【図2】図1に示す光トランシーバを部分的に分解した状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示す光トランシーバを部分的に分解した状態を示す斜視図である。
【図4】一実施形態の回路基板を示す平面図である。
【図5】一実施形態に係るシールド部材の斜視図である。
【図6】図5に示すシールド部材を後方から見た平面図である。
【図7】一実施形態の光トランシーバの断面図である。
【図8】一実施形態の光トランシーバの組立方法の一工程を示す図である。
【図9】別の実施形態の光トランシーバの断面図である。
【図10】別の実施形態に係る回路基板の平面図である。
【図11】別の実施形態に係る光トランシーバの断面図である。
【図12】別の実施形態に係る光トランシーバの断面図である。
【図13】別の実施形態に係る光トランシーバの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0017】
図1は、一実施形態に係る光トランシーバの斜視図である。図2及び図3は、は、図1に示す光トランシーバを部分的に分解した状態を示す斜視図である。図2は、カバーを取り除き、シールド部材を取り付ける前の光トランシーバの状態を示している。図3は、カバーを取り除き、シールド部材を取り付けた状態の光トランシーバを示している。
【0018】
図1〜図3に示す光トランシーバ10は、光送信サブアセンブリ(TOSA)12、光受信サブアセンブリ(ROSA)14、シールド部材16、及び、ベース18を備えている。また、光トランシーバ10は、レセプタクル20、シールド部材22、回路基板24、及びカバー26を備え得る。なお、本説明においては、ベース18に対してシールド部材16が位置する方向を「上」といい、その逆方向を「下」ということがある。また、回路基板24に対してレセプタクル20が位置する方向を「前」、その逆方向を「後」ということがある。
【0019】
TOSA 12は、電気信号を受けて光信号を発生するユニットである。TOSA 12は、例えば、半導体レーザを有し得る。また、TOSA 12は、半導体レーザを収容するハウジング、及び、外部からの光コネクタのフェルールを保持して当該TOSA 12とフェルール内の光ファイバとを光結合するためのスリーブを有し得る。ハウジングは、当該ハウジングのステムから延び出すリードピン12aを含み得る。リードピン12aは、回路基板24に電気的に接続されている。
【0020】
ROSA 14は、光信号を受けて電気信号を発生するユニットである。ROSA 14は、例えば、フォトダイオードを有し得る。また、ROSA 14は、フォトダイオードを収容するハウジング、及び、外部からの光コネクタのフェルールを保持して当該ROSA 14とフェルール内の光ファイバとを光結合するためのスリーブを有し得る。ハウジングは、当該ハウジングのステムから延び出すリードピン14aを含み得る。リードピン14aは、回路基板24に電気的に接続されている。
【0021】
レセプタクル20は、外部からの光コネクタを受容して当該光コネクタとTOSA 12及びROSA 14とを光結合するための部品である。レセプタクル20は、前後方向に延びる二つの空間を画成しており、一方の空間にTOSA 12のスリーブを収容し、他方の空間にROSA 14のスリーブを収容する。光コネクタは、これら二つの空間内にレセプタクル20の前方から挿入されることにより、TOSA 12及びROSA 14と光結合される。
【0022】
一実施形態では、レセプタクル20の外周をトレースするように導電性のシールド部材22が設けられていることが好適である。シールド部材22は、レセプタクル20とカバー26との隙間といったレセプタクルに20に関連する隙間に起因する電磁雑音を防止することができる。
【0023】
図4は、一実施形態の回路基板を示す平面図である。図2及び図4に示すように、回路基板24は、その前側の一縁部24aにおいてTOSA 12、及びROSA 14と電気的に結合されている。また、回路基板24は、その後側の縁部24bにホストシステムの電気コネクタと係合する電気プラグを提供している。
【0024】
一実施形態では、回路基板24の一縁部24aは、その幅方向の中央に設けられた切込み24cにより、第1の部分24d及び第2の部分24eに分離されている。第1の部分24dには、TOSA 12のリードピン12aが接続されており、第2の部分24eには、ROSA 14のリードピン14aが接続されている。
【0025】
図2及び図3に示すように、TOSA 12、ROSA 14、及び、回路基板24は、ベース18上に搭載されている。ベース18は、金属板から構成された部品であり、金属板に対する切断及び折曲加工のみで形成されている。
【0026】
ベース18は、一対の側壁18aを有している。一対の側壁18aは、ベース18の底面18d(図7参照)の幅方向の両縁から当該ベース18を構成する金属板を上方へ折り曲げることにより形成されている。回路基板24は、一対の側壁18aの頂部18cに搭載されている。また、一対の側壁18aは、それらの頂部の面積を増大させるために、当該一対の側壁18aを構成する金属板の一部を内側に折り曲げることにより、構成されている。
【0027】
また、一対の側壁18aの前方部分18bは、当該一対の側壁18aの長手方向(前後方向)における中央部よりも、高く形成されている。さらに、一対の側壁18aの前方部分18b間の間隔は、一対の側壁18aの中央部間の間隔よりも広くなっている。即ち、一対の側壁18aの前方部分18bは、一対の側壁18aの頂部18cと同じ高さの位置から上側の部分において、シールド部材16を構成する金属板の厚みに実質的に相当する分だけ、一対の側壁18aの中央部よりも外側に張り出している。したがって、前方部分18bは、段部を有している。
【0028】
かかるベース18上には、シールド部材16も搭載される。図5は、一実施形態に係るシールド部材の斜視図である。図6は、図5に示すシールド部材を後方から見た平面図である。図5及び図6に示すシールド部材16は、一枚の金属板に対する切断及び折曲加工のみで形成され得る。
【0029】
シールド部材16は、一対の側壁部16a、中央壁部16b、第1の天井部16c、及び第2の天井部16dを有している。一対の側壁部16aは、平板状の部分であり、前後方向に延びている。一対の側壁部16aは、前方脚部16j及び後方脚部16kを有している。前方脚部16jは、後方脚部16kより前側に設けられている。前方脚部16j及び後方脚部16kは、側壁部16aの他の部分の下縁よりも下方に突き出ている。前方脚部16jの上下方向の長さは、後方脚部16kの同方向の長さよりも短くなっている。
【0030】
中央壁部16bは、一対の側壁部16aの間に設けられている。中央壁部16bは、互いに対面する二つの平板部16h及び16iと、底部16mとを含んでいる。一実施形態では、中央壁部16bは、前方部16e及び後方部16fを含んでいる。前方部16eと後方部16fは、中央壁部16bの下端から上方へ延びるスリット16gにより分離されている。このスリット16gにより、中央壁部16bが回路基板24の切込み24cに挿入された際に中央壁部16bが回路基板24に与える力を、当該力が過大なものとならないように、低減することができる。
【0031】
前方部16eは、スリット16gにより分離された前側の平板部16h及び16iと底部16mとを含んでおり、略矩形の断面形状をなしている。後方部16fは、スリット16gにより分離された後側の平板部16h及び16iと底部16mとを含んでいる。この後方部16fは略V字の断面形状をなしている。
【0032】
第1の天井部16cは、平板部16hの上側端部と一方の側壁部16aの上側端部とを接続している。また、第2の天井部16dは、平板部16iの上側端部と他方の側壁部16aの上側端部とを接続している。
【0033】
一実施形態においては、第1の天井部16cは弾性部位16pを有しており、第2の天井部16dは弾性部位16qを有している。弾性部位16pは、第1の天井部16cに前後方向に延びる平行な一対の切込みを形成し、当該一対の切込みの間の金属板を上方に突出させることにより、形成される。また、弾性部位16qも第2の天井部16dに対して同様に形成することができる。
【0034】
シールド部材16は、一方の側壁部16a、中央壁部16b、及び第1の天井部16cにより、前後方向に延びる第1の空間S1を画成する。また、シールド部材16は、他方の側壁部16a、中央壁部16b、及び第2の天井部16dにより、前後方向に延びる第2の空間S2を画成する。
【0035】
かかる構成のシールド部材16は、図2及び図3に示すように、ベース18上に搭載される。図7は、一実施形態の光トランシーバの断面図であり、回路基板の切込みが存在する位置から前方を見た状態を示している。以下、図2、3、及び7を参照する。シールド部材16は、第1の空間S1にTOSA 12を収容し、第2の空間S2にROSA 14を収容するように、ベース18上に搭載される。
【0036】
一実施形態では、回路基板24の前側の一縁部24aの幅方向の両端に、切り欠き部24fが形成されている。シールド部材16がベース18上に搭載されると、シールド部材16の後方脚部16kは切り欠き部24fに挿入される。このとき、後方脚部16kの後方端面は切り欠き部24fを画成する回路基板24の端面に接する。また、後方脚部16kの底面は、ベース18の側壁18aの頂部18cに当接する。一方、前方脚部16jは、側壁18aの前方部分18bの上述した段部に突き当たる。また、シールド部材16の前端は、シールド部材22を介してレセプタクル20の後端に突き当たる。
【0037】
また、シールド部材16の中央壁部16bの底部16mは、ベース18の底面18dに当接する。一実施形態では、底面18dにはリブ18eが形成されており、底部16mは、リブ18eに当接する。なお、リブ18eは、金属板製のシールド部材16の長手方向の強度を増すために設けることができる
【0038】
このように、シールド部材16は、上下方向には、一対の側壁部16aと中央壁部16bの3点でベース18により支持される。また、幅方向においては、シールド部材16は、一対の前方部分18bにより一対の側壁部16aが狭持されることにより、位置決めされる。また、前後方向においては、シールド部材16は、回路基板24の前側の端面に接し、シールド部材22を介してレセプタクル20の後端に接することにより、位置決めされる。
【0039】
また、一実施形態では、シールド部材16がベース18上に搭載されると、当該シールド部材16の中央壁部16bの後方部16fが、回路基板24の切込み24cを通過する。一実施形態においては、シールド部材16の中央壁部16bの後方部16fにおける底部16mに、前後方向に延びるスリット16nが設けられている。このスリット16nは、後方部16fの底部16mの長手方向の全体に設けられていてもよく、当該底部16mの長手方向の一部に設けられていてもよい。このスリット16nにより、中央壁部16bの後方部16fが回路基板24の切込み24cに挿入された際に、当該後方部16fが回路基板24に与える力を、当該力が過大にならないように、低減することができる。
【0040】
図1に戻り、カバー26は、前後方向に延びる空間を画成しており、当該空間の内部に、シールド部材16、ベース18、及び、回路基板24を収容する。カバー26は、レセプタクル20に係合されることにより、固定される。
【0041】
一実施形態では、カバー26がシールド部材16を覆うと、シールド部材16の弾性部位16p及び16qがカバー26の内面に接触し、当該内面によって弾性部位16p及び16qが付勢される。これにより、シールド部材16の底部16mがベース18の底面18dに押しつけられ、シールド部材16の底部16mがベース18の底面18dに確実に接触するようになる。
【0042】
以下、上述した光トランシーバ10の組立方法について説明する。この組立て方法では、まず、TOSA 12のリードピン12a及びROSA 14のリードピン14aを、回路基板24に対して半田付けする。半田付けの後、図2に示すように、回路基板24をベース18上に搭載する。そして、図3に示すように、シールド部材16を、ベース18上に搭載する。最後に、図8に示すように、カバー26を、シールド部材16、ベース18、及び、回路基板24を覆うように、後方から前方に移動させ、当該カバー26をレセプタクル20に係合させる。以上により、光トランシーバ10が完成する。
【0043】
以上説明した光トランシーバ10によれば、シールド部材16をベース18上に搭載することで、当該シールド部材16の中央壁部16bがTOSA 12とROSA 14の間を通ってフレームグランドであるベース18に当接する。したがって、半田付け等の工程無しに、TOSA 12とROSA 14との間に電磁的なシールドを設けることができる。さらに、中央壁部16bは、V字状の断面を有する二重構造を有するので、TOSA 12とROSA 14とをより効果的に電磁的に分離することが可能である。
【0044】
また、シールド部材16は、第1の空間S1にTOSA 12を収容し、第2の空間S2にROSA 14を収容することにより、TOSA 12及びROSA 14の周面を全長にわたって覆っている。これにより、TOSA 12及びROSA 14への電磁波の空間伝搬を防ぐことが可能である。
【0045】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。以下、本発明の変形態様について、上述した光トランシーバ10と異なる点を説明する。
【0046】
図9は、別の実施形態の光トランシーバの断面図であり、図7と同様の断面を示している。図9に示す光トランシーバ10Aでは、第1の天井部16cとTOSA 12のハウジングのステムとの間に放熱シート30aを設け、第2の天井部16dとROSA 14のハウジングのステムとの間に放熱シート30bを設けている。また、ベース18の底面18dとTOSA 12のハウジングのステムとの間に放熱シート30cを設け、ベース18の底面18dとROSA 14のハウジングのステムとの間に放熱シート30dを設けることもできる。
【0047】
ここで、シールド部材16を備えない従来の光トランシーバでは、TOSA及びROSAそれぞれとカバーとの間に放熱シートを設けることにより、TOSA及びROSAからカバーまでの放熱経路が確保されている。しかしながら、後方から前方へスライドすることによりカバーが装着されるので、従来の光トランシーバでは放熱シートがこのスライド動作を阻害することがある。一方、光トランシーバ10Aでは、放熱シートとカバー26との間にシールド部材16が介在するので、放熱シートがカバー26のスライド動作を阻害することがない。
【0048】
図10は、別の実施形態に係る回路基板の平面図である。また、図11は、別の実施形態に係る光トランシーバの断面図であり、図7と同様の断面を示している。図11に示す光トランシーバ10Bは、図10に示す回路基板24Bを備えている。この回路基板24Bは、切込み24cを画成する当該回路基板24Bの縁部に沿ってフレームグランドを構成する電極層を有している点で、回路基板24と異なっている。
【0049】
光トランシーバ10Bでは、カバー26により弾性部位16p及び16qが下方へ付勢されることにより、シールド部材16の底部16mがベース18の底面18dに押しつけられる。これにより、シールド部材16の中央壁部16bの二つの平板部16h及び16iに、両平板部間の間隔が広がる方向への力が加わる。その結果、中央壁部16bが電極層24gに確実に接触する。したがって、光トランシーバ10Bによれば、回路基板24に設けられたフレームグランドへのシールド部材16への接触を確保することができる。
【0050】
図12は、別の実施形態に係る光トランシーバの断面図であり、図7と同様の断面を示している。図12に示す光トランシーバ10Cでは、回路基板上にフレームグランドを構成する電極層24hが設けられている。また、シールド部材16の底部16mは、ベース18の底面18dではなく、電極層24hに接している。
【0051】
図13は、別の実施形態に係る光トランシーバの断面図であり、図7と同様の断面を示している。図13に示す光トランシーバ10Dは、回路基板における電極層24gの構成が光トランシーバ10Bにおける電極層と異なっている。即ち、光トランシーバ10Dでは、電極層24gは、切込み24cを画成する回路基板の縁部に沿い、当該縁部から当該回路基板の内層を形成するよう回路基板の内部を通過し、回路基板の送信側の縁部にまで設けられている。ここで、「回路基板の送信側」とは、ROSA 14に対してTOSA 12が設けられている側の回路基板の部分である。この光トランシーバ10Dによれば、回路基板の送信側を囲むように、フレームグランドを設けることができる。
【符号の説明】
【0052】
10…光トランシーバ、12…光送信サブアセンブリ(TOSA)、14…光受信サブアセンブリ(ROSA)、16…シールド板、16a…側壁部、16b…中央壁部、16c…第1の天井部、16d…第2の天井部、16e…前方部、16f…後方部、16g…スリット、16m…底部、16n…スリット、18…ベース、18a…側壁、18b…前方部分、18c…頂部、18d…底面、20…レセプタクル、22…シールド部材、24…回路基板、24a…一縁部(前側の縁部)、24c…切込み、24d…第1の部分、24e…第2の部分、26…カバー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号を受けて光信号を発生する光送信サブアセンブリと、
光信号を受けて電気信号を発生する光受信サブアセンブリと、
金属板を折り曲げて形成されたシールド部材であって、一対の側壁部と、該一対の側壁部の間に設けられており底部に向けて幅が狭くなるように形成された断面V字状の中央壁部と、該一対の側壁部のうち一方と該中央壁部の一対の上側端部のうち一方とを接続する第1の天井部と、該一対の側壁部のうち他方と該中央壁部の一対の上側端部のうち他方とを接続する第2の天井部と、を有し、前記一対の側壁部のうち前記一方、前記中央壁部、及び前記第1の天井部により第1の空間を画成し、前記一対の側壁部のうち前記他方、前記中央壁部、及び前記第2の天井部により第2の空間を画成する、該シールド部材と、
前記中央壁部の前記底部が突き当たるように前記シールド部材を搭載するベースであって、前記第1の空間に収容された前記光送信サブアセンブリ、及び、前記第2の空間に収容された前記光受信サブアセンブリを搭載する、該ベースと、
を備える光トランシーバ。
【請求項2】
前記光送信サブアセンブリに電気的に接続された第1の部分、及び、前記光受信サブアセンブリに電気的に接続された第2の部分を含む一縁部を有する回路基板を更に備え、
前記一縁部の前記第1の部分と前記第2の部分との間に切込みが形成されており、
前記一対の中央壁部は前記切込みを通過して前記ベースと接触している、
請求項1に記載の光トランシーバ。
【請求項3】
前記光送信サブアセンブリ、前記光受信サブアセンブリ、前記シールド部材、及び前記ベースを覆うように設けられたカバーを更に備えており、
前記第1の天板部及び前記第2の天板部は、前記カバーの内面に接触する弾性片を有している、
請求項1又は2に記載の光トランシーバ。
【請求項4】
前記中央壁部は、前記底部から上方へ延びるスリットにより分離された前方部及び後方部を含んでおり、
前記中央壁部の前記後方部が、前記切込みを通過して前記ベースと接触している、
請求項1〜3の何れか一項に記載の光トランシーバ。
【請求項5】
前記後方部に含まれる前記底部の少なくとも一部に、前後方向に延びるスリットが形成されている、請求項4の何れか一項に記載の光トランシーバ。
【請求項6】
前記中央壁部の前記底部の一部に、前後方向に延びるスリットが形成されている、請求項1〜3の何れか一項に記載の光トランシーバ。
【請求項1】
電気信号を受けて光信号を発生する光送信サブアセンブリと、
光信号を受けて電気信号を発生する光受信サブアセンブリと、
金属板を折り曲げて形成されたシールド部材であって、一対の側壁部と、該一対の側壁部の間に設けられており底部に向けて幅が狭くなるように形成された断面V字状の中央壁部と、該一対の側壁部のうち一方と該中央壁部の一対の上側端部のうち一方とを接続する第1の天井部と、該一対の側壁部のうち他方と該中央壁部の一対の上側端部のうち他方とを接続する第2の天井部と、を有し、前記一対の側壁部のうち前記一方、前記中央壁部、及び前記第1の天井部により第1の空間を画成し、前記一対の側壁部のうち前記他方、前記中央壁部、及び前記第2の天井部により第2の空間を画成する、該シールド部材と、
前記中央壁部の前記底部が突き当たるように前記シールド部材を搭載するベースであって、前記第1の空間に収容された前記光送信サブアセンブリ、及び、前記第2の空間に収容された前記光受信サブアセンブリを搭載する、該ベースと、
を備える光トランシーバ。
【請求項2】
前記光送信サブアセンブリに電気的に接続された第1の部分、及び、前記光受信サブアセンブリに電気的に接続された第2の部分を含む一縁部を有する回路基板を更に備え、
前記一縁部の前記第1の部分と前記第2の部分との間に切込みが形成されており、
前記一対の中央壁部は前記切込みを通過して前記ベースと接触している、
請求項1に記載の光トランシーバ。
【請求項3】
前記光送信サブアセンブリ、前記光受信サブアセンブリ、前記シールド部材、及び前記ベースを覆うように設けられたカバーを更に備えており、
前記第1の天板部及び前記第2の天板部は、前記カバーの内面に接触する弾性片を有している、
請求項1又は2に記載の光トランシーバ。
【請求項4】
前記中央壁部は、前記底部から上方へ延びるスリットにより分離された前方部及び後方部を含んでおり、
前記中央壁部の前記後方部が、前記切込みを通過して前記ベースと接触している、
請求項1〜3の何れか一項に記載の光トランシーバ。
【請求項5】
前記後方部に含まれる前記底部の少なくとも一部に、前後方向に延びるスリットが形成されている、請求項4の何れか一項に記載の光トランシーバ。
【請求項6】
前記中央壁部の前記底部の一部に、前後方向に延びるスリットが形成されている、請求項1〜3の何れか一項に記載の光トランシーバ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−119533(P2011−119533A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276671(P2009−276671)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000154325)住友電工デバイス・イノベーション株式会社 (291)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000154325)住友電工デバイス・イノベーション株式会社 (291)
【Fターム(参考)】
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