説明

光ファイバセンサ及びその製造方法

【課題】 プラスチックファイバの挿入効率の向上、モールド部材破裂の危険性低減、低荷重領域でのセンサの動作、センサ出力の直線性の向上を図った光ファイバセンサを提供する。
【解決手段】 モールド部材3の挿入穴4に検知用のプラスチックファイバ5を挿入してなる光ファイバセンサ1において、モールド部材3と検知用のプラスチックファイバ5との隙間に充填材6を充填したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モールド部材の挿入穴に検知用のプラスチックファイバを挿入してなる光ファイバセンサ及びその製造方法に係り、特に、モールド部材と検知用のプラスチックファイバとの隙間の低減を図った光ファイバセンサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気式の荷重センサ(あるいは衝撃検知センサ)として広く使用されているFSセンサ(フレキシブル感圧センサ)は、ゴムチューブの穴に検知用の導体を挿入してなる。FSセンサ制作時には、ゴムチューブの穴に導体を挿入する際、導体外径より寸法の小さいゴムチューブの穴に圧縮空気を送り込み、ゴムチューブを膨らませている。この状態でゴムチューブの穴に導体を挿入した後、圧縮空気を抜くと、ゴムチューブの収縮により、ゴムチューブと導体との隙間はほとんど無くなる。
【0003】
FSセンサの場合は、ゴムチューブの肉厚が厚く、均等であるため、ゴムチューブの穴に圧縮空気を送り込んだ際、ゴムチューブが均等に膨らむが、ゴムチューブの肉厚が均一でない場合、薄い部分が集中的に膨らんでしまい、最後には破裂してしまうことがある。
【0004】
このFSセンサは電気ノイズ・電磁ノイズに弱いため、FSセンサの代わりに、FSセンサと同様の機能を有し、かつ電気ノイズ・電磁ノイズに非常に強い光ファイバセンサが使用されるようになってきている。
【0005】
図10に示すような光ファイバセンサ101は、プレス打ち抜き穴を有する応力集中板102をモールド部材103でモールドし、そのモールド部材103の挿入穴104に、検知用のプラスチックファイバ(POF)105を挿入してなる。
【0006】
光ファイバセンサ101の製造方法としては、FSセンサの場合と同様に、モールド部材103の挿入穴104に圧縮空気を送り込み、その状態でPOF105を挿入する方法がある。
【0007】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
【0008】
【特許文献1】特表2002−531812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、光ファイバセンサ101の場合、応力集中板102のプレス打ち抜き穴によってモールド部材103の厚さが異なるため、挿入穴104に圧縮空気を送り込んだ際、特に肉厚の薄い部分が膨らんでしまい、圧縮空気の圧力が高いとモールド部材103に亀裂が発生し、最悪の場合破裂してしまうことがある。
【0010】
また、POF105の外径より大きな挿入穴104にPOF105を挿入するだけだと、モールド部材103とPOF105との間に隙間gが開き、その隙間gをなくす荷重が光ファイバセンサ101に加わるまでは、POF105に荷重が伝わらない。これが低荷重領域でセンサが機能しない原因となり、またセンサ出力の直線性が無い原因となっている。
【0011】
そこで、本発明の目的は、プラスチックファイバの挿入効率の向上、モールド部材破裂の危険性低減、低荷重領域でのセンサの動作、センサ出力の直線性の向上を図った光ファイバセンサ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、モールド部材の挿入穴に検知用のプラスチックファイバを挿入してなる光ファイバセンサにおいて、上記モールド部材と上記検知用のプラスチックファイバとの隙間に充填材を充填した光ファイバセンサである。
【0013】
請求項2の発明は、上記充填材は、熱硬化性樹脂あるいはジェル状材料からなる請求項1記載の光ファイバセンサである。
【0014】
請求項3の発明は、モールド部材の挿入穴に検知用のプラスチックファイバを挿入してなる光ファイバセンサにおいて、上記挿入穴に圧縮空気を送り込んで上記挿入穴を膨らませ、その状態で上記検知用のプラスチックファイバを挿入した後、圧縮空気を抜いて上記モールド部材と上記検知用のプラスチックファイバとを荷重が加わる方向で接触させた光ファイバセンサである。
【0015】
請求項4の発明は、上記挿入穴を断面楕円形に形成した請求項3記載の光ファイバセンサである。
【0016】
請求項5の発明は、上記挿入穴を断面円形に形成すると共に、その挿入穴の長手方向全長に沿って突出するスリットを形成して構成した請求項3記載の光ファイバセンサである。
【0017】
請求項6の発明は、請求項5記載の光ファイバセンサを所定位置に組み付け、センサ組み付け時の組み付け圧力で上記スリットが潰されるようにした光ファイバセンサである。
【0018】
請求項7の発明は、モールド部材の挿入穴に検知用のプラスチックファイバを挿入してなる光ファイバセンサの製造方法において、上記検知用のプラスチックファイバを挿入した後、上記挿入穴の一端から上記モールド部材と上記検知用のプラスチックファイバとの隙間に充填材を充填する際、上記挿入穴の他端から吸引して、上記隙間を埋める光ファイバセンサの製造方法である。
【0019】
請求項8の発明は、上記隙間に充填材を圧入して充填する請求項7記載の光ファイバセンサの製造方法である。
【0020】
請求項9の発明は、モールド部材の挿入穴に検知用のプラスチックファイバを挿入してなる光ファイバセンサの製造方法において、上記検知用のプラスチックファイバに熱硬化性樹脂を塗布した後、これを上記挿入穴に挿入して、上記モールド部材と上記検知用のプラスチックファイバとの隙間を埋める光ファイバセンサの製造方法である。
【0021】
請求項10の発明は、熱硬化性樹脂を塗布した検知用のプラスチックファイバを上記挿入穴に挿入した後、熱硬化性樹脂を加熱硬化させる請求項9記載の光ファイバセンサの製造方法である。
【0022】
請求項11の発明は、モールド部材の挿入穴に検知用のプラスチックファイバを挿入してなる光ファイバセンサの製造方法において、上記検知用のプラスチックファイバにジェル状材料を塗布した後、これを上記挿入穴に挿入して、上記モールド部材と上記検知用のプラスチックファイバとの隙間を埋める光ファイバセンサの製造方法である。
【0023】
請求項12の発明は、モールド部材の挿入穴に検知用のプラスチックファイバを挿入してなる光ファイバセンサの製造方法において、上記挿入穴に圧縮空気を送り込んで上記挿入穴を膨らませ、その状態で上記検知用のプラスチックファイバを挿入した後、圧縮空気を抜いて上記モールド部材と上記検知用のプラスチックファイバとを荷重が加わる方向で接触させる光ファイバセンサの製造方法である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、次のような優れた効果を発揮する。
【0025】
(1)プラスチックファイバの挿入効率が向上する。
【0026】
(2)モールド部材破裂の危険性を低減できる。
【0027】
(3)低荷重領域でもセンサが動作し、センサ出力の直線性も向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0029】
図1は、本発明の好適な第1の実施の形態を示す光ファイバセンサの横断面図である。
【0030】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る光ファイバセンサ1は、プレス打ち抜き穴を有する応力集中板2をモールド部材3でモールドし、そのモールド部材3の挿入穴4に荷重(衝撃)検知用のプラスチックファイバ(POF)5を挿入してなり、モールド部材3とPOF5との隙間に充填材(隙間材)6を充填したものである。
【0031】
応力集中板2は、細長い板状に形成され、その長手方向に沿ってプレス打ち抜き穴が所定間隔で複数個形成される。この応力集中板2は、センサ1に加わった荷重による応力をプレス打ち抜き穴でPOF5に伝達して集中し、POF5を変形しやすくする。応力集中板2としては、波付加工を施した波付板を用いてもよい。
【0032】
モールド部材3は、合成樹脂や合成ゴムからなる。挿入穴4は、モールド部材3内の応力集中板2上に、その長手方向(図1では紙面に垂直方向)に沿って形成される。挿入穴4は、例えば、応力集中板2上にその長手方向に沿って金属棒を配置し、これらとモールド材料を同時に押出してモールド部材3を成形した後、モールド部材3から金属棒を引き抜くことで予め形成される。POF5としては、耐熱性を有する耐熱性プラスチックファイバ(HPOF)を使用するとよい。
【0033】
充填材6としては、RTVゴムなどの熱硬化性樹脂、あるいはシリコーングリース、シリコーンオイルコンパウンドなどのジェル状(ゼリー状、ゲル状)材料からなるものを使用する。充填材6は、モールド部材3と同じ材料からなるものが最もよい。ただし、充填材6はモールド部材3に比べ、使用する材料の量が少ないため、ゴム状のものが好ましい。特に、RTVゴムは加硫前は液状であり、加硫は加熱だけでよい(プレス不要)ため、充填材6として適する。
【0034】
センサ1の製造方法を図2で説明する。
【0035】
図2に示すように、応力集中板2をモールド部材3でモールドし、モールド部材3に挿入穴4を予め形成した状態で開始する(F21)。まず、挿入穴4に圧縮空気を送り込み、挿入穴4を拡大させ(膨らませ)(F22)、その状態でPOF5を挿入してPOF5の位置を決め(F23)、圧縮空気の送り込みを終了する(圧縮空気を抜く)(F24)。その後、挿入穴4の一端からモールド部材3とPOF5との隙間に充填材6を充填し(F25)、終了する(F26)。
【0036】
挿入穴4の一端から上記隙間に充填材6を充填する際、挿入穴4の他端から空気を吸引して上記隙間を埋めると、上記隙間に充填材6を簡単に充填でき、上記隙間を確実に埋めることができる。また、上記隙間に充填材6を圧入して充填してもよい。以上のようにして図1のセンサ1が得られる。
【0037】
第1の実施の形態の作用を説明する。
【0038】
センサ1では、荷重(衝撃)が(図1ではセンサ1の上方から下向きに)加わると、POF5が応力集中板2のプレス打ち抜き穴に押し付けられ、POF5が変形することにより、POF5に荷重に応じた曲げ損失または圧縮損失が発生する。
【0039】
この曲げ損失または圧縮損失の損失量を、例えば、POF5の一端から発光素子によって光を入射し、POF5の他端で受光素子によって受光し、POF5を伝搬する光の透過光量の変化(減衰量)を観測することで測定する。測定した損失量からセンサ1に加わる荷重の有無、大きさを求めて検知する。
【0040】
また、POF5の入射端で後方散乱光や反射光を受光し、その光量変化を測定する方法でもよいし、POF5にFBG(ファイバブラッググレーティング)を形成しておき、光量ではなく入射光と反射光の波長変化を測定する方法でもよい。
【0041】
ここで、センサ1と図10のセンサ101との荷重−感度特性を図3に示す。図3ではセンサ1(隙間無し)の特性を実線、センサ101(隙間有り)の特性を点線で示した。
【0042】
図3に示すように、センサ1は、モールド部材3とPOF5との隙間に充填材6を充填し、その隙間を埋めて無くすことで、センサ1に加わる荷重が低くても、POF5に荷重が効率よく加わる(伝達する)ことになり、低荷重領域でもセンサ1の感度が発生し、センサ1が動作する。また、低荷重領域からPOF5に荷重が印加されるため、センサ出力の直線性もよくなる。
【0043】
これに対し、従来のセンサ101は、モールド部材103とPOF105との間に隙間gが開き、その隙間gをなくす荷重がセンサ101に加わるまでは、POF105に荷重が伝わらない。このため、低荷重領域ではセンサ101が動作せず、センサ出力の直線性も悪い。
【0044】
また、センサ1では、挿入穴4はPOF5の直径(外径)より十分大きくてもよいため、挿入穴4へのPOF5の挿入効率(挿入性)が向上する。この場合、圧縮空気でモールド部材3を膨らませる必要も無い。
【0045】
図2の製造方法のように圧縮空気で挿入穴4を膨らませる場合でも、圧縮空気はモールド部材3が膨らまない圧力で良く、モールド部材3の膨れ・亀裂・破裂も無い。
【0046】
次に、第2の実施の形態を説明する。
【0047】
図4に示すように、光ファイバセンサ41は、図1のセンサ1がPOF5を挿入した後、モールド部材3とPOF5との隙間に充填材6を充填したのに対し、POF5に充填材6を塗布した後、これを挿入穴4に挿入して上記隙間を埋めたものである。センサ41のその他の構成はセンサ1と同じである。
【0048】
センサ41の製造方法を図5で説明する。
【0049】
図4に示すように、応力集中板2をモールド部材3でモールドし、モールド部材3に挿入穴4を予め形成した状態で開始する(F51)。まず、挿入穴4に圧縮空気を送り込み、挿入穴4を拡大させる(F52)。その状態でPOF5の表面に充填材6を塗布しながら、あるいは別工程でPOF5の表面に充填材6を予め塗布しておき(F53)、これを挿入穴4に挿入してPOF5の位置を決める(F54)。その後、圧縮空気の送り込みを終了し(F55)、上記隙間を埋めて終了する(F56)。
【0050】
充填材6として熱硬化性樹脂を用いる場合は、さらに熱硬化性樹脂を加熱硬化させてもよい。以上のようにして図4のセンサ41が得られる。このセンサ41によっても、図1のセンサ1と同じ作用効果が得られる。
【0051】
第3の実施の形態を説明する。
【0052】
図6(b)に示すように、光ファイバセンサ61は、挿入穴62に圧縮空気を送り込んで図6(a)のように挿入穴62を膨らませ、その状態でPOF5を挿入した後、圧縮空気を抜いてモールド部材3とPOF5とを荷重が加わる方向(図6(b)では上下方向)で接触(密着)させたものである。センサ61のその他の構成は図1のセンサ1と同じである。
【0053】
より詳細には、挿入穴62をPOF5の外径より小さい断面円形に形成すると共に、その挿入穴62の長手方向全長に沿って両側から(図6(a)では左右方向に)突出するスリット(ヒレ)63を形成して構成した。
【0054】
センサ61の製造方法を図7および図8で説明する。
【0055】
センサ61の製造に先立ち、図7に示すような異形状金属棒71を用意する。異形状金属棒71は、断面円形の金属棒に、その金属棒の長手方向全長に沿って両側から突出する突起72を形成したものである。
【0056】
図8に示すように、異形状金属棒71を用意して開始する(F81)。まず、応力集中板2上に、その長手方向に沿って異形状金属棒71を配置し、これらとモールド材料を同時に押し出してモールド部材3を成形した後、モールド部材3から異形状金属棒71を引き抜いて挿入穴62を形成する(F82)。
【0057】
この挿入穴62に圧縮空気を送り込み、挿入穴62を拡大させる(F83)。このとき、挿入穴62にはスリット63を形成しているため、挿入穴62が上下方向に膨らみやすくなり、POF5の挿入が容易になってPOF5の挿入性が向上する。
【0058】
この状態でPOF5を挿入してPOF5の位置を決め(F84)、圧縮空気の送り込みを終了する(F85)。このとき、モールド部材3とPOF5は荷重が加わる方向で接触する。
【0059】
この段階でスリット63は潰れず、モールド部材3とPOF5との隙間になるが、さらにセンサ61を所定位置に組み付け(固定し)、センサ組み付け(固定)時の組み付け(挟み込み)圧力でスリット63を潰し、モールド部材3を密着させて上記隙間を無くし(F86)、終了する(F87)。以上のようにして図6(b)のセンサ61が得られる。
【0060】
このセンサ61では、圧縮空気で挿入穴62を膨らませる必要があるが、挿入穴62はスリット63によって膨らみやすくなっているので、圧縮空気の圧力を低く抑えることができ、モールド部材3の膨れ・亀裂・破裂を防止できる。センサ61のその他の作用効果は図1のセンサ1と同じである。
【0061】
また、図7の異形状金属棒71の形状は、最終的にセンサ61を組み付けたときにモールド部材3の上記隙間が無くなる(スリット63が潰れる)形状とすることが好ましい。この場合、モールド部材3に加わる荷重によって、POF5への荷重伝達が良好に行える。ただし、スリット63が潰れるようにする必要は無く、モールド部材3とPOF5とを少なくとも荷重が加わる方向で接触させればよい。
【0062】
第4の実施の形態を説明する。
【0063】
図9に示すように、光ファイバセンサ91は、図6(b)の光ファイバセンサ61の変形例であり、挿入穴92を断面楕円形に形成することで、モールド部材3とPOF5とを少なくとも荷重が加わる方向(図9では上下方向)で接触(密着)させたものである。図9の例では、応力集中板2とPOF5とモールド部材3とを荷重が加わる方向で接触させた。
【0064】
より詳細には、挿入穴92をPOF5の外径より小さい短軸の断面楕円形に形成すると共に、その短軸を荷重が加わる方向に配置して構成した。
【0065】
センサ91の製造方法は、図7の異形状金属棒71の代わりに断面楕円形の異形状金属棒を用い、図8の工程F86を省略すれば、図8で説明した製造方法と同じである。
【0066】
センサ91では、挿入穴92の短軸を荷重が加わる方向に配置しているため、挿入穴92に圧縮空気を送り込んだ時に、挿入穴92はモールド部材3が薄い短軸側が上下方向に膨らみやすくなり、POF5の挿入が容易になってPOF5の挿入性が向上する。センサ91のその他の作用効果は図6(b)のセンサ61と同じである。
【0067】
また、センサ91のモールド部材3とPOF5との隙間g9に、図1の充填材6を充填してもよい。
【0068】
上記実施の形態で説明した各光ファイバセンサは、車両のバンパー部に設置することで、衝突時の衝撃力を検知することができる。センサの組付け位置は、バンパー表面、バンパーの裏側、すなわち、バンパーとショックアブソーバ(緩衝材)の間、ショックアブソーバへの埋め込み、もしくは、ショックアブソーバとバンパーリーンフォースの間など、車両の中で衝撃が加わったときに荷重が伝達するルートにあれば良い。よりバンパー表面に近い位置に設置する場合には、車両の下方と上方にセンサを設置すれば、衝突対象物の重心の高低が判別できるため、より効率よく衝突対象物を判別可能となる。
【0069】
バンパーだけでなく、ドアなどの車両の両側に設置することで、横方向からの衝撃力も検知可能となる。さらには、ドア閉じ込め部にセンサを設置すれば、ドアの開閉を検知することも可能となる。
【0070】
また、上記実施の形態で説明した各光ファイバセンサは荷重センサであるため、道路に埋設すれば、通過車両の車軸重量を計測することが可能となる。また、橋脚部などにセンサを埋設して、重量を計測できるようにすれば、橋を通過する車両の総重量を計測することが可能となり、橋の劣化等の類推も可能となる。
【0071】
さらに、上記実施の形態で説明した各光ファイバセンサは、上述した車両のバンパー部に設置することで、歩行者検知センサとして使用することもできる。
【0072】
例えば、上記各光ファイバセンサで、歩行者との衝突を検知した場合、歩行者の怪我を軽減させるため、ボンネットを上げたり、エアーバッグをボンネットの外側(上方)に開いたり(膨らませたり、広げたり)する。ボンネットを上げたり、エアーバッグを膨らませたりすれば、歩行者が車両と二次衝突(バンパー部分での衝突を一次衝突とする)する時の怪我や衝撃が軽減できる。
【0073】
ボンネットを上げると、ボンネット内にあるエンジンなどとの空間が広がるため、歩行者を保護することが可能となる。ただし、歩行者ではなく、電柱等の保護の必要が無い硬いものに衝突したときは、ボンネットを上げないようにする必要がある。このようなものをボンネットを上げて保護しても意味がないないからである。このために、歩行者と電柱等の硬いものを区別することが必要となる。これは、衝突時の衝撃力を推定することで可能となる。また、ワイパーや、ピラー部分などの車体の硬い部分にエアーバッグを開くことで、歩行者が車両と直接二次衝突することを防ぐことが可能となる。
【0074】
ワイパー固定部(支持部)を可動にして、衝突時の衝撃を少なくする機構を有するものもあるが、上記各光ファイバセンサで、歩行者との衝突などの、必要最低限の時のみワイパー固定部を可動にするトリガとすることも可能となる。
【0075】
上記の他に、ボンネットの外側にエアーバッグを広げる代わりに、ボンネットの下方(エンジンルーム側、内側)にエアーバッグを広げることでも、ボンネットに歩行者がぶつかったときの衝撃を低減することができる。この場合、ボンネットのエンジンルーム側にエアーバッグを広げる機構を収納するのが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の好適な第1の実施の形態を示す光ファイバセンサの横断面図である。
【図2】図1に示した光ファイバセンサの製造方法のフローチャートである。
【図3】モールド部材と検知用のプラスチックファイバとの間に隙間がある場合と無い場合の荷重−感度特性の一例を示す概略図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す光ファイバセンサの横断面図である。
【図5】図3に示した光ファイバセンサの製造方法のフローチャートである。
【図6】図6(a)は本発明の第3の実施の形態を示す光ファイバセンサの製造中の横断面図。図6(a)はその完成品の横断面図である。
【図7】図6(b)に示した光ファイバセンサの製造方法に用いる異形状金属棒の斜視図である。
【図8】図6(b)に示した光ファイバセンサの製造方法のフローチャートである。
【図9】本発明の第4の実施の形態を示す光ファイバセンサの斜視図である。
【図10】背景技術の光ファイバセンサの横断面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 光ファイバセンサ
2 応力集中板
3 モールド部材
4 挿入穴
5 検知用プラスチック光ファイバ
6 充填材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モールド部材の挿入穴に検知用のプラスチックファイバを挿入してなる光ファイバセンサにおいて、上記モールド部材と上記検知用のプラスチックファイバとの隙間に充填材を充填したことを特徴とする光ファイバセンサ。
【請求項2】
上記充填材は、熱硬化性樹脂あるいはジェル状材料からなる請求項1記載の光ファイバセンサ。
【請求項3】
モールド部材の挿入穴に検知用のプラスチックファイバを挿入してなる光ファイバセンサにおいて、上記挿入穴に圧縮空気を送り込んで上記挿入穴を膨らませ、その状態で上記検知用のプラスチックファイバを挿入した後、圧縮空気を抜いて上記モールド部材と上記検知用のプラスチックファイバとを荷重が加わる方向で接触させたことを特徴とする光ファイバセンサ。
【請求項4】
上記挿入穴を断面楕円形に形成した請求項3記載の光ファイバセンサ。
【請求項5】
上記挿入穴を断面円形に形成すると共に、その挿入穴の長手方向全長に沿って突出するスリットを形成して構成した請求項3記載の光ファイバセンサ。
【請求項6】
請求項5記載の光ファイバセンサを所定位置に組み付け、センサ組み付け時の組み付け圧力で上記スリットが潰されるようにしたことを特徴とする光ファイバセンサ。
【請求項7】
モールド部材の挿入穴に検知用のプラスチックファイバを挿入してなる光ファイバセンサの製造方法において、上記検知用のプラスチックファイバを挿入した後、上記挿入穴の一端から上記モールド部材と上記検知用のプラスチックファイバとの隙間に充填材を充填する際、上記挿入穴の他端から吸引して、上記隙間を埋めることを特徴とする光ファイバセンサの製造方法。
【請求項8】
上記隙間に充填材を圧入して充填する請求項7記載の光ファイバセンサの製造方法。
【請求項9】
モールド部材の挿入穴に検知用のプラスチックファイバを挿入してなる光ファイバセンサの製造方法において、上記検知用のプラスチックファイバに熱硬化性樹脂を塗布した後、これを上記挿入穴に挿入して、上記モールド部材と上記検知用のプラスチックファイバとの隙間を埋めることを特徴とする光ファイバセンサの製造方法。
【請求項10】
熱硬化性樹脂を塗布した検知用のプラスチックファイバを上記挿入穴に挿入した後、熱硬化性樹脂を加熱硬化させる請求項9記載の光ファイバセンサの製造方法。
【請求項11】
モールド部材の挿入穴に検知用のプラスチックファイバを挿入してなる光ファイバセンサの製造方法において、上記検知用のプラスチックファイバにジェル状材料を塗布した後、これを上記挿入穴に挿入して、上記モールド部材と上記検知用のプラスチックファイバとの隙間を埋めることを特徴とする光ファイバセンサの製造方法。
【請求項12】
モールド部材の挿入穴に検知用のプラスチックファイバを挿入してなる光ファイバセンサの製造方法において、上記挿入穴に圧縮空気を送り込んで上記挿入穴を膨らませ、その状態で上記検知用のプラスチックファイバを挿入した後、圧縮空気を抜いて上記モールド部材と上記検知用のプラスチックファイバとを荷重が加わる方向で接触させることを特徴とする光ファイバセンサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−343129(P2006−343129A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−166836(P2005−166836)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】