説明

光伝送装置および電子機器、並びに光伝送装置に使用される保持体および光素子

【課題】光伝送装置として構成されている部品で専用のバネ以外の最低必要部品の一部を用いてシャッター開閉に関与する構造にするものであり、部品点数および組み立て工数の低減を図り、安価に仕上げることを課題とする。
【解決手段】受光または発光の少なくともいずれかを行う光素子を保持し、かつ、光信号伝送用のプラグを挿入するプラグ挿入口を備えた保持体と、該プラグ挿入口を開閉するシャッターと、該シャッターを閉じる方向に付勢する弾性部とを備えた光伝送装置であって、前記弾性部は、光伝送装置の構成部品の一部から構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DVDプレーヤー、DVDレコーダー、TV、STB、AVレシーバ、および、パソコン、PDA、携帯電話などの電子機器に用いられる光伝送装置および電子機器並びに光伝送装置に使用されるホルダーおよび光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DVDに代表される民生機器において、光信号によるデジタル音声信号伝送が普及し、それらの送信部、受信部には、信号伝送を行わないときに、受発光部と光ファイバーケーブルのプラグとの光学的/機械的接合部分へのホコリ、異物の侵入防止や光漏れに対する目の保護の機構が設けられている。
【0003】
保護の機構として、従来から挿入部に保護キャップを装着するタイプや、光ファイバーケーブルのプラグの挿抜に応じて蓋が開閉するシャッターが用いられていた。最近では利便性や誤飲防止のためにこのシャッターを備えたものが多く採用されている。
【0004】
かかるシャッターを備えた光伝送装置は、受光または発光の少なくともいずれかを行う光素子を保持し、かつ、光信号伝送用のプラグを挿入するプラグ挿入口を備えた保持体と、プラグ挿入口を開閉するシャッターと、シャッターを閉じる方向に付勢するバネとを備えたものである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−235659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記光伝送装置において、非使用時にはシャッターはプラグ挿入口を閉塞している。また、使用時には光ファイバーケーブルのプラグが、シャッターを押し開いて保持体と嵌合する。このシャッターの安定した開閉をさせる為に、コイルバネ又は板バネがホルダー内に装着されている。かかるバネは、光伝送装置の構成部品の内で、独立した別個の部品であるため、構成部品が多くなり、シャッターやバネ等の構成部品を保持体に組み付けるアセンブリ時の工数が多くなり、この結果、光伝送装置の価格が高価になる問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑み発明されたもので、シャッター開閉機構付光伝送装置のシャッター開閉に寄与するコイルバネ、イタバネ等の専用のバネを保持体に搭載すること無く、コイルバネ、イタバネ等の専用のバネに代わる方式を提案するものである。すなわち、光伝送装置として構成されている部品で専用のバネ以外の最低必要部品の一部を用いてシャッター開閉に関与する構造にするものであり、部品点数および組み立て工数の低減を図り、安価に仕上げることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を達成するために、なされたもので、その特徴は、受光または発光の少なくともいずれかを行う光素子を保持し、かつ、光信号伝送用のプラグを挿入するプラグ挿入口を備えた保持体と、該プラグ挿入口を開閉するシャッターと、該シャッターを閉じる方向に付勢する弾性部とを備えた光伝送装置であって、前記弾性部は、光伝送装置の構成部品の一部から構成されてなることにある。なお、構成部品とは、シャッターを閉じる方向に付勢する機能以外の本来の機能を備えた部品をいう。
【0008】
そして、本発明は、構成部品の一部からなる弾性部を利用して、シャッターを閉じる方向に付勢していることから、別体のコイルバネ、板バネ等の専用のバネが不要となり、最少の部品点数で安価に生産できる。
【0009】
本発明は、基板等の固定側に保持体を固定させる板金部材からなる固定用金具が搭載され、該固定用金具の一部に前記シャッター開閉に寄与する弾性部が形成されていることにある。かかる場合には、光伝送装置を基板に固定させる際に必要となる固定用金具の一部が、従来のバネと同様の機能を備え、シャッターの閉塞状態を維持できる。
【0010】
本発明は、前記光素子の一部にシャッター開閉に寄与する前記弾性部が形成されていることにある。かかる場合には、必須の構成部品である光素子の一部が、従来のバネと同様の機能を備え、シャッターの閉塞状態を維持できる。
【0011】
更に、本発明は、前記光素子のGND端子に相当する部品を延設することにより、該部品には延長部が形成され、該延長部が弾性部となっているのが好ましい。
【0012】
本発明は、前記保持体の一部に、シャッター開閉に寄与する弾性部が形成されていることにある。かかる場合には、必須の構成部品である保持体の一部が、従来のバネと同様の機能を備え、シャッターの閉塞状態を維持できる。
【0013】
本発明は、部品点数が少なく安価な光伝送装置を備えた電子機器を提供することができる。
【0014】
また、本発明は、一部にシャッター開閉に寄与する弾性部が形成されている保持体や光素子を使用することにより、部品点数が少なく且つ組み立ての容易な生産性の高い光伝送装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、部品数の低減および工数の低減を図り、より安価に仕上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
(第一実施の形態)
図1〜図5は、本発明の第一実施の形態を示し、図1は本発明の光伝送装置のシャッターが閉じた状態の断面平面図、図2は同シャッターを開いた状態の断面平面図、図3は同基板固定用板金の斜視図、図4は本発明の光伝送装置の断面正面図、図5は同正面図である。
【0017】
本第一実施の形態の光伝送装置1は、光を受光または発光する光素子2を保持すると共に、プラグが挿入されるプラグ挿入口11を一端に備えた保持体(以下、ホルダーという)10と、このプラグ挿入口11を開閉するシャッター20と、ホルダー10を基板等の固定側に取付けるための基板固定用板金(固定用金具)30とを備えている。
【0018】
ホルダー10には、光素子2と光ファイバーケーブル5のプラグ5aとが収容される収容部12が形成されている。シャッター20は、その一端側の上下部に支持軸21、21が上下方向に突出され、各支持軸21、21がホルダー10の一端部に回転自在に嵌合されている。また、シャッター20の裏面には、係止突部22が設けられている。
【0019】
前記基板固定用板金30は、ホルダー10の収容部12内に搭載されており、図3に示す如く、一対の平行な脚部31a、31bと、両脚部31a、31bの上端を連結する連結部32とを有するように、板金部材を屈曲形成してなる。連結部32は、図4に示すように、ホルダー10の天壁14内面に沿っている。両脚部31a、31bは、ホルダー10の側壁15a、15bの内面に沿い、しかも、両脚部31a、31bの先端部32a、32bは、ホルダー10の底壁16から下方に突出している。
【0020】
一方(シャッター20の支持軸21、21側)の脚部31aには、板ばね状の弾性部34が、シャッター20に向けて突設されている。この弾性部34は、基板固定用板金30から一体に形成されており、その中途部34aがホルダー10の中央側に屈曲され、先端部34bが、シャッター20の裏面に設けられた係止突部22に係合している。このように弾性部34の先端部34bが、シャッター20の係止突部22を押圧することにより、弾性部34は、シャッター20を閉じる方向に付勢するバネとしての機能を備えている。
【0021】
なお、図5に示す如くシャッター20の閉塞時にシャッター20の位置決めを行えるように、ホルダー10の一端には、シャッター20の飛び出し防止用の位置決め凸部17が設けられている。また、ホルダー10の側壁15aの内面には、シャッター20を開放した際に、弾性部34の先端部34bが弾性力に抗して弾性変形できるように、先端部34bを逃がすための逃がし凹部18が形成されている。
【0022】
次に、以上の構成からなる光伝送装置1を使用する場合について説明する。
【0023】
光伝送装置1は、基板固定用板金30を介して基板等に適宜固定される。そして、シャッター20の閉塞時(光伝送装置1の非使用時)には、弾性部34は、シャッター20を閉塞する方向に付勢している(図1参照)。このため、ホルダー10内部へのホコリ、異物の侵入防止や光漏れに対する目の保護が図れる。
【0024】
光ファイバーケーブル5のプラグ5aが、ホルダー10の挿入口15を介して収容部12内に挿入されると、このプラグ5aの挿入に伴いシャッター20が支持軸24、24を中心にしてホルダー10内側に回転し、ホルダー内部に収納される(図2参照)。このシャッター20の回転に伴い、弾性部34は、光ファイバーケーブル5のプラグ5aが完全に挿入された状態でホルダー10の側壁15aの逃がし凹部18内部にしなった状態で収納される。光ファイバーケーブル5のプラグ5aを抜くと、弾性部34の復元力により、シャッター20が元の閉じた状態に戻る。
(第二実施の形態)
図6〜図8は、本発明の第二実施の形態を示す。図6はシャッターが閉じた状態を示す断面側面図、図7はシャッターが開いた状態を示す断面側面図である。なお、前記第一実施の形態と同一部材は、同一符号を付してそれぞれの説明は省略する。
【0025】
本第二実施の形態は、前記光素子2の一部に弾性部34を設けたものである。光素子2は、ホルダー10に搭載する発光素子又は受光素子で、図8に示すように、クリアー樹脂で成型されたモ−ルド樹脂部2aに、複数のリード端子2b、2c、2dがインサートされたものである。そして、例えばGND端子に相当するリ−ド端子2bを形成する金属部品を延設することにより、延長部が形成され、該延長部が弾性部34を形成している。この弾性部34は、モ−ルド樹脂部2aの上面からリード端子2b、2c、2dに対して直角方向に屈曲されている。
【0026】
シャッター20は、上部の両側に支持軸21、21が設けられ、ホルダー10に前記光素子2を搭載することで、リード端子2bを形成する金属部品の一部からなる弾性部34が、ホルダー10の天壁14内面に沿っており、シャッター20の上部に設けられた係止突部22に係合している。そして、シャッター20の開閉により、弾性部34はシャッター20と干渉することでしなり、シャッター開閉に寄与する。
(第三実施の形態)
図9および図10は、本発明の第三実施の形態を示す。図9はシャッターが閉じた状態を示す断面側面図、図10はシャッターが開いた状態を示す断面側面図である。なお、前記第一実施の形態と同一部材は、同一符号を付してそれぞれの説明は省略する。
【0027】
本第三実施の形態は、ホルダー10の一部に、シャッター開閉に寄与する弾性部34が形成されている。例えば、ホルダー10の天壁14内面に、弾性部19をシャッター20に向けて一体成型する。この弾性部34は、天壁14内面に対して間隙を有するように設けられている。
【0028】
そして、シャッター20の開閉時、ホルダー10の一部である弾性部34が、シャッター20と干渉することで、弾性部34がしなり、シャッター開閉に寄与する。なお、ホルダー10は、単体のものを成型する以外に、複数の部材を一体に組み付けたものであってもよい。
【0029】
本発明は、前記それぞれの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の光伝送装置は、光信号の伝送を行うものであればよい。出力系に用いる場合は、デジタル光信号出力の出力を伝送装置で行う。また、オーディオ機器の入力系に用いる場合は、デジタル光入力を伝送装置で行う。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第一実施の形態の光伝送装置のシャッターが閉じた状態の断面平面図である。
【図2】同シャッターを開いた状態の断面平面図である。
【図3】本発明の第一実施の形態の光伝送装置に使用される基板固定用板金の斜視図である。
【図4】第一実施形態の光伝送装置の断面正面図である。
【図5】同正面図である。
【図6】本発明の第二実施形態の光伝送装置のシャッターが閉じた状態の断面側面図である。
【図7】同シャッターを開いた状態の断面側面図である。
【図8】本発明の第二実施形態の光伝送装置に使用される光素子の斜視図である。
【図9】本発明の第三実施形態の光伝送装置のシャッターが閉じた状態の断面側面図である。
【図10】同シャッターを開いた状態の断面側面図である。
【符号の説明】
【0031】
2 光素子
2b GND端子(リ−ド端子)
5a プラグ
10 ホルダー(保持体)
11 プラグ挿入口
20 シャッター
30 基板固定用板金(固定用金具)
34 弾性部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光または発光の少なくともいずれかを行う光素子を保持し、かつ、光信号伝送用のプラグを挿入するプラグ挿入口を備えた保持体と、該プラグ挿入口を開閉するシャッターと、該シャッターを閉じる方向に付勢する弾性部とを備えた光伝送装置であって、前記弾性部は、光伝送装置の構成部品の一部から構成されてなることを特徴とする光伝送装置。
【請求項2】
基板等の固定側に保持体を固定させる板金部材からなる固定用金具が搭載され、該固定用金具の一部に前記シャッター開閉に寄与する弾性部が形成されている請求項1に記載の光伝送装置。
【請求項3】
前記光素子の一部にシャッター開閉に寄与する前記弾性部が形成されている請求項1に記載の光伝送装置。
【請求項4】
前記光素子のGND端子に相当する部品を延設することにより、該部品には延長部が形成され、該延長部が弾性部となっている請求項3に記載の光伝送装置。
【請求項5】
前記保持体の一部に、シャッター開閉に寄与する弾性部が形成されている請求項1に記載の光伝送装置。
【請求項6】
前記請求項1〜5の何れかに記載の光伝送装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
前記請求項1に記載の光伝送装置に使用される保持体であって、一部にシャッター開閉に寄与する弾性部が形成されていることを特徴とする保持体。
【請求項8】
前記請求項1に記載の光伝送装置に使用される光素子であって、一部にシャッター開閉に寄与する弾性部が形成されていることを特徴とする光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−78768(P2006−78768A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262562(P2004−262562)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】