説明

光偏向装置及び電気光学素子ユニット

【課題】高精度な偏向制御を行うことができる光偏向装置及び電気光学素子ユニットを提供する。
【解決手段】第1電気光学素子ユニット22には、電圧の印加によって生じる誘電体材料33の少なくとも第1及び第2電極31,32の対向方向への形状変化を規制するようにその誘電体材料33及び各電極31,32を覆うモールド部材34が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばレーザ加工装置に設けられる光偏向装置、及びその光偏向装置内の電気光学素子ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の光偏向装置は、第1及び第2電極間に誘電体材料を介在させてなる電気光学素子ユニットと、第1及び第2電極間に電圧を印加する電圧印加手段とを備えている。このような光偏向装置において、例えば特許文献1に示すものでは、第1及び第2電極は、誘電体材料に入射される入射光の光軸直交方向に互いに対向しており、電圧印加手段から印加される電圧の可変に応じた誘電体材料の屈折率変化によって入射光の光軸の向き(進行方向)を変更可能となっている。そして、特許文献1に示すレーザ加工装置では、このような光軸の向きを可変する技術がレーザ光の2次元走査に応用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−210580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような光偏向装置では、誘電体材料への電圧の印加時に、その誘電体材料が電界の影響により歪んでしまう所謂「電歪」が発生する。この電歪により誘電体材料の内部の屈折率が変化してしまうため、レーザ光を意図したように偏向させることが困難となり、偏向制御の精度の低下を招いていた。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、高精度な偏向制御を行うことができる光偏向装置及び電気光学素子ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、第1及び第2電極間に誘電体材料を介在させてなる電気光学素子ユニットと、前記第1及び第2電極間に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、前記電圧印加手段から印加される前記電圧の可変に応じた前記誘電体材料の屈折率変化により、該誘電体材料に入射された入射光の光軸に対する拡がり角度及び前記入射光の光軸の向きのいずれか一方を変更可能な光偏向装置であって、前記電気光学素子ユニットは、前記電圧印加手段からの電圧の印加によって生じる前記誘電体材料の少なくとも前記第1及び第2電極の対向方向への形状変化を規制するようにその誘電体材料及び前記第1及び第2電極を覆うモールド部材を有してなることを特徴とする。
【0007】
この発明では、誘電体材料及び第1及び第2電極を覆うモールド部材によって誘電体材料の少なくとも第1及び第2電極の対向方向への形状変化が規制されるため、電圧の印加によって誘電体材料に生じる電歪を抑制することが可能となる。その結果、誘電体材料の電歪による偏向誤差の発生を抑制することが可能となり、高精度な偏向制御を行うことが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光偏向装置において、前記モールド部材は、前記誘電体材料及び前記第1及び第2電極に対して一体成形されてなることを特徴とする。
【0009】
この発明では、モールド部材が誘電体材料及び第1及び第2電極に対して一体成形されるため、モールド部材を容易に形成することが可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の光偏向装置において、前記モールド部材は、焼成により形成されたセラミック系材料よりなることを特徴とする。
【0010】
この発明では、モールド部材が焼成により形成されたセラミック系材料よりなるため、誘電体材料の電歪をより強固に規制することが可能となる。特に、セラミック系材料は電気的絶縁性及び高熱伝導性に有するため、モールド部材に適しており、モールド部材が光偏向作用に与える影響を小さく抑えることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、電圧の印加により内部の屈折率が変化する誘電体材料が、第1電極及び第2電極間に介在されてなり、電圧の印加によって生じる前記誘電体材料の少なくとも前記第1及び第2電極の対向方向への形状変化を規制するようにその誘電体材料及び前記第1及び第2電極を覆うモールド部材を有してなることを特徴とする電気光学素子ユニットである。
【0012】
この発明では、誘電体材料及び第1及び第2電極を覆うモールド部材によって誘電体材料の少なくとも第1及び第2電極の対向方向への形状変化が規制されるため、電圧の印加によって誘電体材料に生じる電歪を抑制することが可能となる。その結果、誘電体材料の電歪による偏向誤差の発生を抑制することが可能となり、高精度な偏向制御を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
従って、上記記載の発明によれば、高精度な偏向制御が可能な光偏向装置及び電気光学素子ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態におけるレーザ加工装置を示す概略構成図。
【図2】光偏向装置の分解斜視図。
【図3】第1電気光学素子ユニットの斜視図。
【図4】第1電気光学素子ユニットの断面図。
【図5】誘電体材料と第1及び第2電極の斜視図。
【図6】光偏向装置の偏向作用を説明するための模式図。
【図7】従来の電気光学素子ユニットを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に概略構成を示す本実施形態のレーザ加工装置10は、制御回路11の制御に基づいて、搬送ラインにて搬送されるワーク(加工対象物)Wの表面に文字・記号・図形等をマーキング加工するものである。
【0016】
レーザ加工装置10は、加工用のレーザ光を出射する加工用レーザ光源12を備えている。レーザ光源12はレーザ発振器からなり、制御回路11にてその発振が制御される。
レーザ光源12の後段に配置されたビームエキスパンダ13は、レーザ光源12から出射されたレーザ光のビーム径を一定の倍率で一旦拡大する。尚、本実施形態では、ビームエキスパンダ13からは、光軸Lに対して一定の拡がり角度で拡がるレーザ光が出射されるようになっている。
【0017】
ビームエキスパンダ13の後段には、光偏向装置14が配置されている。光偏向装置14は、ビームエキスパンダ13にて一旦拡大されたレーザ光の拡がり角度を制御回路11による制御に基づき可変する。
【0018】
光偏向装置14の後段に配置されたガルバノミラー15は、該光偏向装置14にて拡がり角度が可変されたレーザ光を反射してその照射方向を変更するものであり、例えば対をなすX軸ミラーとY軸ミラーとで構成されている。ガルバノミラー15は、制御回路11の制御に基づく駆動装置16の駆動により角度制御され、マーキングする文字や記号、図形等に基づいて2次元でレーザ光を走査する。
【0019】
ガルバノミラー15の後段に配置された収束レンズ(fθレンズ)17は、光偏向装置14にて拡がり角度が調整されたレーザ光をワークWの表面において所定のスポット径となるまで収束させ、マーキング加工に適したエネルギー密度まで高める。
【0020】
[光偏向装置の構成]
図2に示すように、光偏向装置14は、光軸L上に並設された偏光板21、第1電気光学素子ユニット22、λ/2波長板23及び第2電気光学素子ユニット24を備えている(入射側から順に列挙)。偏光板21は、通過するレーザ光を直線偏光に変えるものであり、λ/2波長板23は、直線偏光化されたレーザ光の偏光方向を90°回転させるものである。
【0021】
第1及び第2電気光学素子ユニット22,24は、レーザ光の光軸Lに対する拡がり角度を変化させるためのものである。第1及び第2電気光学素子ユニット22,24は、互いに同一構成であって、光軸L周りに互いに90°ずれた状態で配置されている。説明の便宜のため、以下には、第1電気光学素子ユニット22を例にとって説明し、第2電気光学素子ユニット24の構成部材に関しては第1電気光学素子ユニット22のものと同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0022】
図3〜図6に示すように、第1電気光学素子ユニット22は、第1電極31と、第2電極32と、それら第1及び第2電極31,32間に介在された誘電体材料33(電気光学結晶)とが、セラミック系材料よりなるモールド部材34にてセラミックモールドされてなる。第1及び第2電極31,32は、誘電体材料33に電界を加えるためのものである。誘電体材料33は、加えられる電界の強度に応じて屈折率が変化するものであり、本実施形態では、誘電体材料33はKTN(タンタル酸ニオブ酸カリウム)結晶からなる。
【0023】
誘電体材料33は、直方体をなし、第1及び第2電極31,32とそれぞれ接触する第1及び第2電極配置面33a,33bを有している。第1及び第2電極配置面33a,33bは、互いに平行をなしており、誘電体材料33は、各電極配置面33a,33bがレーザ光の光軸Lと直交するように配置されている。各電極配置面33a,33bには、一対の金属箔35が蒸着されている(図5において第1電極配置面33a側のもののみ図示)。また、誘電体材料33の中央部は、レーザ光が通過する通過部33cとなっており、該通過部33cを通過するレーザ光は、第1電極配置面33aの各金属箔35間、及び第2電極配置面33bの各金属箔間を通過するようになっている。
【0024】
第1及び第2電極31,32は、金属板材からプレス加工等によりそれぞれ成形されるものであり、互いに同形状をなしている。各電極31,32の長手方向の一端部には、幅方向(短手方向)両端からそれぞれ直線状に延びる当接部36,37が形成されている。また、第1及び第2電極31,32は、当接部36の延出方向が互いに反対向きとなるように配置されている。第1電極31の各当接部36は、誘電体材料33の第1電極配置面33aの各金属箔35と接触され、これにより、第1電極31と各金属箔35とが電気的に接続されている。また、第2電極32の各当接部37は、第2電極配置面33bの各金属箔と接触され、これにより、第2電極32と第2電極配置面33bの各金属箔とが電気的に接続されている。
【0025】
モールド部材34は、焼成により形成されたセラミック系材料よりなり、直方体をなしている。本実施形態では、モールド部材34にジーマ・イナス(「ジーマ」は登録商標)を用いている。モールド部材34の中心部には、誘電体材料33が内包されている。モールド部材34には、レーザ光が通過する通過孔34aが形成されており、通過孔34aから入射するレーザ光が誘電体材料33の通過部33cに入射可能に構成されている。また、誘電体材料33において通過孔34aと通じる部分以外の箇所は、モールド部材34にて覆われている。本実施形態では、誘電体材料33の光軸L方向の寸法は4mmに設定され、モールド部材34の光軸L方向における誘電体材料33からの寸法は3mmに設定されている。
【0026】
第1及び第2電極31,32は、それらの一部がモールド部材34に内包されるとともに、一部がモールド部材34から突出するように構成されている。尚、第1及び第2電極31,32は、誘電体材料33から互いに反対方向に突出している。また、各電極31,32の当接部36,37は、誘電体材料33との接触面以外の全ての面がモールド部材34にて略覆われている(図4及び図6参照)。
【0027】
また、各電極31,32のモールド部材34からの突出部分は、電圧印加手段を構成する前記制御回路11と電気的に接続されるようになっており、各電極31,32には、制御回路11から電位差が与えられるようになっている。尚、本実施形態では、第1及び第2電気光学素子ユニット22,24の第1電極31はそれぞれ接地されており、第2電極32にはそれぞれ、等しい大きさの電圧が制御回路11から印加されるようになっている。また、制御回路11は、電源19からの電圧を直流電圧に変換し、距離センサ18の測定結果に基づく大きさの電圧を各電気光学素子ユニット22,24の第2電極32に印加する。
【0028】
このような光偏向装置14において、ビームエキスパンダ13から出射されたレーザ光は、偏光板21にて直線偏光化されて第1電気光学素子ユニット22に入射される。このとき、第1及び第2電気光学素子ユニット22,24の第1電極31は、それぞれ接地されるとともに、第1及び第2電気光学素子ユニット22,24の第2電極32には、制御回路11によってそれぞれ等しい大きさの電圧が印加される。
【0029】
このような光偏向装置14におけるレーザ光の偏向作用について説明する。ビームエキスパンダ13から出射されたレーザ光は、偏光板21にて直線偏光化されて第1電気光学素子ユニット22に入射される。尚、偏光板21を通過したレーザ光の偏向方向は、第1電気光学素子ユニット22の第1電極31の各当接部36の並設方向(図6における左右方向)と一致するようになっている。
【0030】
ここで、第1電極31と第2電極32との間に制御回路11から電位差が与えられると、図6に示すように、誘電体材料33内における第1及び第2電極31,32の当接部36,37間に光軸Lに対して線対称の電界が発生する。この電界の電気力線は、図6において破線で示すように、光軸L側に突出するように湾曲している。このとき、誘電体材料33は、加えられる電界の強度に応じてその屈折率が変化するため、誘電体材料33に入射したレーザ光は、誘電体材料33の中心線(光軸L)側に屈折しながら進み、そのビーム径が各当接部36の並設方向に収縮されるようになっている。即ち、第1電気光学素子ユニット22を通過したレーザ光のビーム径は、各当接部36の並設方向に収縮した楕円形状となる。
【0031】
次に、第1電気光学素子ユニット22から出射されたレーザ光は、λ/2波長板23にてその偏光方向が90°回転される。このとき、レーザ光の偏光方向は変わるが、ビーム径の楕円形状は回転することなくそのまま維持される。λ/2波長板23を通過したレーザ光は第2電気光学素子ユニット24に入射される。尚、λ/2波長板23を通過したレーザ光の偏向方向は、第2電気光学素子ユニット24の第1電極31の各当接部36の並設方向と一致するようになっている。ここで、第2電気光学素子ユニット24の第2電極32には、上記第1電気光学素子ユニット22の第2電極32に対して適した電圧が制御回路11により印加されている。これにより、レーザ光は第2電気光学素子ユニット24によって楕円の長手方向に収縮され、そのビーム径は略円形となる。このように、光偏向装置14は、ビームエキスパンダ13から出射されたレーザ光の拡がり角度を可変する。尚、図6には、説明の便宜のため、第1電気光学素子ユニット22のみを図示し、レーザ光の拡がり角度の可変作用を模式的に示している。
【0032】
また、レーザ光の拡がり角度は、各電気光学素子ユニット22,24の誘電体材料33に加えられる電界強度の大きさ、即ち、制御回路11にて第2電極32に印加される電圧の大きさに応じて変更可能となっている。第2電極32に印加する電圧を大きくし電界強度を大きくすると、焦点位置が光軸Lに沿って収束レンズ17側に移動する。即ち、焦点距離が短くなる。一方、第2電極32に印加する電圧を小さくし電界強度を小さくすると、焦点位置が光軸Lに沿って収束レンズ17から遠ざかる位置に移動する。即ち、焦点距離が長くなる。このように、制御回路11による電圧制御によりレーザ光の拡がり角度が可変され、収束レンズ17にて収束される焦点位置が調整可能となっている。
【0033】
以上のように構成された光偏向装置の各電気光学素子ユニット22,24では、誘電体材料33と第1及び第2電極31,32とがセラミック系材料よりなるモールド部材34にてモールドされており、その誘電体材料33と第1及び第2電極31,32は、光軸L方向(第1及び第2電極31,32の対向方向)及び光軸L直交方向にモールド部材34と当接している。これにより、電圧の印加によって生じる誘電体材料33の形状変化(所謂、電歪)が規制されるようになっている。本実施形態の構成とは異なりモールド部材34を設けない構成(図7参照)では、誘電体材料103は、電歪によって幅方向(図7における左右方向)の中央部分が第1及び第2電極101,102の対向方向に縮むとともに、幅方向の両端部分が前記対向方向に伸びるように変形してしまうが、本実施形態では、このような変形を抑制することが可能となっている。その結果、本実施形態の光偏向装置14では、誘電体材料33の電歪による偏向誤差の発生を抑制することが可能となっており、高精度な偏向制御を行うことが可能となっている。
【0034】
尚、上記のモールド部材34の材質には、硬度、絶縁係数及び耐熱係数が誘電体材料33よりも高いものが用いられている。尚、モールド部材34の絶縁係数は、2kV/mm以上が好ましい。また、モールド部材34としては、縦弾性係数が3×e11{N/m}以上であって、ポアソン比が0.25程度のものを用いるのが好ましい。尚、上記のモールド部材34には、セラミックパウダーと樹脂材料の混合物(焼成温度が比較的低いもの)を用いてもよい。
【0035】
また、上記したような各電気光学素子ユニット22,24では、金型(図示略)内で誘電体材料33と第1及び第2電極31,32とを支持部材(図示略)により支持した状態で、その金型にセラミック系材料を流し込んで成形した後に焼成することでモールド部材34が形成されるようになっている。
【0036】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)本実施形態では、各電気光学素子ユニット22,24は、制御回路11からの電圧の印加によって生じる誘電体材料33の少なくとも第1及び第2電極31,32の対向方向への形状変化を規制するようにその誘電体材料33及び各電極31,32を覆うモールド部材34を有してなるため、電圧の印加によって誘電体材料33に生じる電歪を抑制することが可能となる。その結果、誘電体材料33の電歪による偏向誤差の発生を抑制することが可能となり、高精度な偏向制御を行うことが可能となる。また、この誘電体材料33の形状変化を規制する手段がモールド部材34からなるため、その規制手段を固定するための固定部材(例えば、ボルト)が不要となり、規制手段の電歪抑制効果を向上させることが可能となる。
【0037】
(2)本実施形態では、モールド部材34が誘電体材料33及び第1及び第2電極31,32に対して一体成形されるため、モールド部材34を容易に形成することが可能となる。
【0038】
(3)本実施形態では、モールド部材34が焼成により形成されたセラミック系材料よりなるため、誘電体材料33の電歪をより強固に規制することが可能となる。特に、セラミック系材料は電気的絶縁性及び高熱伝導性に有するため、モールド部材34に適しており、モールド部材34が光偏向作用に与える影響を小さく抑えることができる。
【0039】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、レーザ光の拡がり角度を変更可能な光偏向装置14に本発明を適用したが、特にこれに限定されるものではなく、誘電体材料に入射される入射光の光軸の向き(進行方向)を変更可能な光偏向装置(所謂、1次スキャナや2次スキャナといった走査装置)に適用してもよい。尚、光軸の向きを変更可能な光偏向装置では、第1及び第2電極は光軸直交方向に対向配置される。また、このような構成の場合、モールド部材34には、絶縁係数が10kV/mm以上がものを用いるのが好ましい。
【0040】
・上記実施形態では、誘電体材料33にKTN結晶を用いたが、これ以外に例えば、PLZT(ジルコン酸チタン酸鉛ラタン)結晶等を用いてもよい。また、誘電体材料としては、KTN以外の材料でもよく、主にポッケルス効果やカー効果を利用するもの、つまり、加えられる電界強度に応じて屈折率が変化するものであればよい。
【0041】
・上記実施形態では、モールド部材34に電気的絶縁性及び高熱伝導性を有するセラミック系材料を用いたが、このセラミック系材料以外で例えば、低融点ガラス材料や樹脂材料を用いてもよい。要するに、モールド部材34に用いる材料は、少なくとも被モールド部材(モールド部材により覆われる部材であって、上記実施形態では、誘電体材料33及び各電極31,32)よりも低融点のものであればよい。具体的には、例えば融点が500℃以下の低融点材料であればよい。
【0042】
・上記実施形態では、本発明の光偏向装置をレーザ加工装置に適用した一例を説明したが、これ以外に例えば、レーザ変位計等に適用してもよい。
【符号の説明】
【0043】
L…光軸、14…光偏向装置、22…第1電気光学素子ユニット、24…第2電気光学素子ユニット、31…第1電極、32…第2電極、33…誘電体材料、34…モールド部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2電極間に誘電体材料を介在させてなる電気光学素子ユニットと、
前記第1及び第2電極間に電圧を印加する電圧印加手段と
を備え、前記電圧印加手段から印加される前記電圧の可変に応じた前記誘電体材料の屈折率変化により、該誘電体材料に入射された入射光の光軸に対する拡がり角度及び前記入射光の光軸の向きのいずれか一方を変更可能な光偏向装置であって、
前記電気光学素子ユニットは、前記電圧印加手段からの電圧の印加によって生じる前記誘電体材料の少なくとも前記第1及び第2電極の対向方向への形状変化を規制するようにその誘電体材料及び前記第1及び第2電極を覆うモールド部材を有してなることを特徴とする光偏向装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光偏向装置において、
前記モールド部材は、前記誘電体材料及び前記第1及び第2電極に対して一体成形されてなることを特徴とする光偏向装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光偏向装置において、
前記モールド部材は、焼成により形成されたセラミック系材料よりなることを特徴とする光偏向装置。
【請求項4】
電圧の印加により内部の屈折率が変化する誘電体材料が、第1電極及び第2電極間に介在されてなり、
電圧の印加によって生じる前記誘電体材料の少なくとも前記第1及び第2電極の対向方向への形状変化を規制するようにその誘電体材料及び前記第1及び第2電極を覆うモールド部材を有してなることを特徴とする電気光学素子ユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−224003(P2010−224003A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68251(P2009−68251)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(000102739)エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 (265)
【Fターム(参考)】