説明

光変調システム

【課題】
光変調器のバイアス点の監視に関し、動作点検出を正確に行う必要があった。
【解決手段】
光変調器のバイアス点の監視は、光変調器で変調された光信号を受信する受信手段を設ける。受信手段は、2光子吸収等の複数の光子吸収に応じて反応する光反応性物質で構成する。この光受信手段で検出した結果を光変調器にフィードバックする。このフィードバックは光信号の波形を反映し、光変調器の1つ以上のバイアス点を示ことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ネットワークの分野に関し、さらに詳細には、変調器バイアスの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
通信網は、光パルスとして送信される光信号を用いて情報を伝える。通信網のある装置では、光信号を変調する光変調器を含む。光変調器は、マッハツェンダ型導波路に電界をかけ、マッハツェンダ型導波路ないのアーム導波路を通る光の位相を制御して”1”または”0”、の変調信号を作る。導波路に電界をかける際に、変調効率の最も良いバイアス点でバイアスがかけられる。しかしながら、バイアス点は、例えば、温度変動によりドリフトする場合がある。既知のバイアス点監視技術は、光変調器のバイアス点を監視するため、信号の光パワーを測定する。しかしながら、これらの既知技術は、ある特定状況では満足いくものではない。バイアス制御のための公知技術として、特許文献1や特許文献2が知られている。
【特許文献1】特開平05―34650号公報
【特許文献2】特開平05―224044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、信号の状態に関係なく、性格なバイアス点制御を行う技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上述した目的を達成するために以下の構成を採用する。
【0005】
本発明の第1の手段として、光変調器と該光変調器の変調バイアス電圧点を制御する制御部からなる光変調システムにおいて、該制御部には該光変調器の出力の複数の光子の到達に応じて反応する光子反応性物質で構成された波形検出器と、該波形検出器の反応に対するフィードバックを該光変調器に行う変調器ドライバとを備る。
【0006】
本発明の第2の手段として、第1の手段の光変調システムにおいて、該波形検出器の該反応は二光子吸収により発生し、変調波形の変動に対応する。
【0007】
本発明の第3の手段として、第1の手段の光変調システムにおいて、該制御部は該波形検出器の出力のピークに一致するようにバイアス点を制御する。
【0008】
本発明の第4の手段として、第1の手段の光変調システムにおいて、該制御部は該光変調器の出力パワーを検出する光パワー検出器をさらに設け、該変調ドライバを制御する。
【0009】
本発明の第5の手段として、第3の手段の光変調システムにおいて、該制御部は該波形検出器の出力と光パワー検出器の検出した値が一致するようにバイアス点を制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の光子吸収による光モニタ(波形検出器)を用いて、光変調器の出力波形を測定するので、光変調器の動作点バイアス電圧を正確に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。本発明により、光変調を監視するための従来技術に関わる不利な点および問題点が減らされる、あるいは除去される。
【0012】
本発明の1つの実施例により、光変調器のバイアス点を監視するステップは、光変調器で変調された光信号を受信するステップを含む。光信号の光子は、所定数の光子の到達に応じて反応するよう作動可能な光反応性物質で受信される。反応は、光信号の光子の到達に応じて生じる。フィードバックはこの反応に応じて行われる。このフィードバックは光信号の波形を反映し、光変調器の1つ以上のバイアス点を示す。
【0013】
本発明のある実施例により、1つ以上の技術的利点がもたらされる。1つの実施例の技術的な利点は、変調された信号の波形を検出することで、光変調器のバイアス点が監視されるということである。この実施例によれば、変調される信号の波形におけるある変化がバイアス点における変動を示す。
【0014】
本発明のある実施例が、上記の技術的な利点について、いずれも含まない、一部含む、あるいは全て含む。1つ以上の他の技術的利点は、当業者であれば、ここに含まれる図面、説明、および請求項からすぐに明らかになる。
【0015】
本発明の実施例およびその利点については、図1から8の図面を参照することで最も良く理解されるが、さまざまな図画の類似の対応する部分に対して類似の数字が用いられている。
【0016】
図1は、1つ以上の光変調器で変調された光信号の波形を検出するため、光子吸収法を用いるノードを含むネットワーク10の1つの実施例を示すブロック図である。変調された信号の波形における変化は、複数の光変調器の変調アラインメントにおける変動を示すため、この波形が変調アラインメント変動を監視するために用いられる。さらに、変調された信号の波形における変化は、光変調器のバイアス点における変動を示すため、この波形がバイアス点変動を監視するために用いられる。
【0017】
示された実施例によれば、ネットワーク10は信号を用いて通信を行う。信号は、光子を含む光パルスとして送信される光信号として言及される。光信号は、約1550ナノメートルの周波数、および、例えば、毎秒10,20,40あるいは40超のギガビットのデータ率をもつ。信号は、非ゼロ復帰(NRZ)、ゼロ復帰(RZ)、搬送波抑圧ゼロ復帰(CS−RZ)、CS−RZ差分位相偏位キーイング(DPSK)といった適当な変調技術、あるいは他の適当なオンオフキーイング(OOK)により変調される。信号は、典型的には、1つ以上の構成要素を含むが、ここで構成要素は、特定の波長あるいは波長範囲をもつ光の一部分について言及する。
【0018】
信号はパケットで情報を伝送する。パケットは、特定送信方法で構成されたデータバンドルを含み、フレームは、特定送信方法で構成された1つ以上のパケットのペイロードを含む。パケットは、音声、データ、音響、映像、マルチメディア、他の情報といった適当な情報、あるいは前述のものを組み合わせたものを保持する。パケットは、同期式光通信網(SONET)プロトコル上のイーサネット(登録商標)といった適当なプロトコルを用いて伝送される時分割多重(TMD)パケットといった適当な多重化パケットを含む。
【0019】
ネットワーク10は、図示されるとおり、アクセス機器24に結合されたリング20を含む。リングは、リング型トポロジーをもつ通信装置のネットワークについて言及する。1つの実施例によれば、リング20は光ファイバリングを備える。例えば、リング20は弾性パケットリング(RPR)を備える。
【0020】
リング20はファイバ26により結合されたノード28をもつ。ノードは、パケットが他のノードに伝送されるリング点について言及する。ノード28は、マッハ−ツェンダー変調器といった光変調器を含む送信機をもつ。光子吸収法は、1つ以上の光変調器で変調される光信号の波形を検出するために用いられる。
【0021】
光変調器を駆動する信号は、典型的には、適切に信号を変調するため、時間調整される。変調アラインメントは、駆動信号についての時間的アラインメントについて言及する。しかしながら、駆動信号間の相対遅れは変化する。変調アラインメント変動は、この相対遅れの変化について言及する。変調された信号の波形における変化は変調アラインメント変動を示す。したがって、波形を検出することで変調アラインメント変動が監視される。変調アラインメント変動を監視するよう作動可能な送信機の例については、図2から5を参照しながらさらに詳細に説明される。
【0022】
光変調器は、典型的には、バイアス点でバイアスがかけられる。通常のバイアス点は、光パワーのヌルポイントあるいは直交位相点を含む。しかしながら、バイアス点は変化しうる。変調された信号の波形における変化は、光変調器のバイアス点における変動を示す。したがって、波形を検出することでバイアス点が監視される。バイアス点変動を監視するよう作動可能な送信機の例については、図6から8を参照しながらさらに詳細に説明される。
【0023】
ファイバ26は、信号を伝送するよう作動可能な適当なファイバについて言及する。1つの実施例によれば、ファイバ26は光ファイバを示す。光ファイバは、典型的には、シリカガラスあるいはプラスチックでできたケーブルを備える。このケーブルは内部コア周りに外被覆材をもつ。内部コアは、外被覆材より若干高い屈折率をもつ。ファイバの屈折特性は、ファイバ内の光信号を保持するよう作動する。
【0024】
アクセス機器24は、リング20のノード28と通信するよう作動可能な適当な装置を含む。アクセス機器24の例には、アクセスゲートウェイ、エンドポイント、ソフトスイッチサーバ、トランクゲートウェイ、ネットワーク、アクセスサービスプロバイダ、インターネットサービスプロバイダ、あるい、リング20のノード28と通信を行うよう作動可能な他の装置20が含まれる。
【0025】
本発明の適用範囲から逸脱することなく、ネットワーク10に対して、変更、追加、あるいは省略を行ってもよい。ネットワーク10の構成要素は、特定の必要性に応じて統合あるいは分離される場合がある。さらに、ネットワーク10の動作は、さらに多くの、さらに少ない、あるいは他の装置により行なわれる。さらに、ネットワーク10の動作は、適当な論理を用いて行なわれる。論理は、ハードウェア、ソフトウェア、あるいはハードウェアおよびソフトウェアの組合せについて言及する。本文書で用いられるとおり、「各」は、セットの各々が各々のメンバー、あるいはセットのサブセットの各々のメンバーについて言及する。
【0026】
図2は、変調アラインメント変動を監視するよう作動可能なアラインメントモニタ54を含む送信機の1つ実施例のブロック図である。示された実施例によれば、送信機50は、光源60、光変調器64a、64b、変調器ドライバ66a、66b、光カプラ68、ファイバ70、および、図示されたように結合されたアラインメントモニタ54を含む。
【0027】
作動中、光源60は光信号を発生する。光変調器64は信号を変調し、光カプラ68はアラインメントモニタ54に対する変調された信号の部分にタップをたてる。アラインメントモニタ54は、変調アラインメント変動を監視し、変調アラインメント変動を示す変調器ドライバ68にフィードバックを送る。変調器ドライバ66は、このフィードバックに応じて光変調器64を調整する。
【0028】
示された実施例によれば、光源60は光線を発生し、レーザを含む場合もある。光変調器64a-bは光信号を変調し、変調器ドライバ66a-bにより提供される駆動信号によって駆動される。駆動信号は、例えば、データ信号やクロック信号を含む。光変調器64a-bは電気情報を光情報に変換する。例として、情報を伝送するデータ信号は、情報を伝送する変調された信号をもたらすよう光変調器64を駆動する。
【0029】
光カプラ68はアラインメントモニタ54に対して信号の部分にタップをたてる。光カプラ68は偏光維持光カプラを備える。ファイバ70は光信号を伝送するが、偏光維持光カプラを備える場合もある。
【0030】
示された実施例によれば、アラインメントモニタ54は、ファイバ72と、図示されているとおり光子反応性物質76をもつ波形検出器74とを含む。ファイバ72は、信号を光子反応性物質76に向けて焦点を合わせるよう作動可能なテーパのある光ファイバを備える。光子反応性物質76は、所定数の光子がこの物質に到着すると反応を行う物質を含む。例えば、この物質は、2つの光子といった所定数の光子が実質的に同一時間に、物質の実質的に同一場所に到達すると電子を放出する。実質的に、同一位置は、光子の数が反応を生じるところまで達するエリアについて言及する。実質的に、同一時間は、光子の数が反応を生じるところまで達する時間について言及する。物質76に到達する光子が多くなれば、所定数の光子が実質的に同一時間に到達し、これにより反応数が増加する可能性が高くなる。
【0031】
光子反応性物質76は、光信号の波形を監視するために用いられる。より狭い波形形状のパルスは、同一時間に物質76に到達する光子をさらに多くの含み、より広い波形形状のパルスでは、同一時間に物質76に到達する光子が少なくなる。より狭い波形のパルスは同一時間に物質76に到着する光子をさらに多く含むことから、より狭い波形パルスは広い波形パルスより多くの反応を行う。したがって、この反応は、信号の波形を示すフィードバックを含む。
【0032】
この物質は所定数の光子に応じて選ばれる。1つ実施例によれば、この物質のバンドギャップエネルギーEが、光子エネルギーhυをもつn個の光子に反応するよう物質が選ばれる。n個の光子を検出するため、式(8)にしたがってバンドギャップエネルギーEをもつ物質が選ばれる(8):
(n-1)hυ≦E≦nhυ (8)
例えば、2個の光子を検出するため、式(9)にしたがってエネルギーEをもつ物質が選ばれる:
hυ≦E≦2hυ (9)
1つの実施例によれば、検出器76は、シリコンアバランシェ光ダイオードといった光ダイオードを備える。シリコンアバランシェ光ダイオードは、シリコンといった半導体物質を含む。シリコンは、2個の光子が実質的に同一時間に、実質的に同一場所に到達すると、電子を放出する。すなわち、2個の光子が1つの電子−ホール対を生成する。光子流は入力電力の2乗に比例する。シリコンアバランシェ光ダイオードで2個の光子が1つの電子−ホール対を生成するためには入力する波長帯域を選択する必要がある。
【0033】
通常、図1のようなシステムで用いられる通信波長は1.5μm帯の光である。この波長の光のパワーを受信(1光子吸収による受信)するためには、GaInPのフォトダイオードが材料として用いられている。一般的に、GaInPはSiに比較すると高価である。一方、0.9μm帯の光を受信するためのフォトダイオードとしては、Si−PINフォトダイオード(PD)や、Si−アバランシェフォトダイオード(APD)が知られている。これらは、Siを材料としているため、GaInPに比べて安価である。ここで、注目すべきはことは、0.9μm帯の光のエネルギーは通信システムに一般敵に用いられる1.5μm帯の光のエネルギーの約2倍であり、Si−PIN PD、Si−APDは1.5μm帯に用いると、二光子吸収が発生することである。即ち、Si−PIN PD、Si−APDは1.5μm帯に用いると、一光子吸収による光パワーのモニタではなく、二光子吸収による分散の変動を検出することが出来る。
【0034】
アラインメントモニタ54は、変調アラインメント変動を監視するため、検出器74で起こる反応を測定する。反応数の変化は変調アラインメントにおける変化を示す。1つの実施例によれば、検出器74aからの検出器信号は、反応数における変化を検出するために用いられる。検出器信号の例が、図3aおよび3bを参照しながら説明される。
【0035】
図3aおよび3bは検出器信号100および104をそれぞれ示す。検出器信号100は、搬送波抑圧ゼロ復帰変調信号の監視から得られる。検出器信号104は、ゼロ復帰変調信号の監視から得られる。
【0036】
図2を再び参照すると、アラインメントモニタ54はアラインメント変動について変調器ドライバ68に通知する。例として、アラインメントモニタ54が変調器ドライバ68に検出器信号を送る。変調器ドライバ68は、弱いアラインメントに対する補償を行うため、光変調器64を調節する。
【0037】
本発明の適用範囲から逸脱することなく、アラインメントモニタ54に対して、変更、追加、あるいは省略を行ってもよい。アラニンメントモニタ54の構成要素は、特定の必要性に応じて一体化あるいは分離される場合がある。さらに、アラインメントモニタ54の作動は、さらに多くの、より少ない、あるいは他の構成要素により行なわれる。
【0038】
図4は、変調アラインメント変動を監視するよう作動可能なアラインメントモニタ154の他の実施例を含む送信機150のブロック図である。示された実施例によれば、アラインメントモニタ154は光変調器164bと一体化される。本実施例によれば、光変調器164bは、入力部180、信号経路182a−b、スプリッタ184、変調器出力部186およびアラインメントモニタ154を含む。
【0039】
入力部180は変調される光信号を受信する。入力信号は、信号、例えば、直線偏光された信号構成要素に分割される。第1の信号は信号経路182aに沿って伝送され、第2の信号は信号経路182bに沿って伝送される。光変調器164bは、第1の位相を変化させ、第2の信号は、信号が建設的あるいは破壊的に干渉するよう信号の屈折率を変化させる。建設的に干渉する1つの構成要素は、変調器出力部186を通して伝送される。
【0040】
スプリッタ184は、アラインメントモニタ154に対する変調された信号部分を分割するものであり、適当な光線スプリッタを備える。アラインメントモニタ154は、変調アラインメント変動を監視するため、信号の波形を検出するものであり、実質的に、図2のアラインメントモニタ154に類似している。
【0041】
本発明の適用範囲から逸脱することなく、アラインメントモニタ154に対して、変更、追加、あるいは省略を行ってもよい。アラニンメントモニタ154の構成要素は、特定の必要性に応じて一体化あるいは分離される場合がある。さらに、アラインメントモニタ154の作動は、さらに多くの、より少ない、あるいは他の構成要素により行なわれる。
【0042】
図5は、変調アラインメント変動を監視するよう作動可能なアラインメントモニタ254の他の実施例を含む送信機250のブロック図である。示された実施例によれば、アラインメントモニタ254は光変調器264bと一体化される。本実施例によれば、光変調器264bは、入力部280、信号経路282a−b、破壊的干渉出力部284、変調器出力部286およびアラインメントモニタ254を含む。
【0043】
入力部280は変調される光信号を受信する。入力信号は信号に分割される。第1の信号は信号経路282aに沿って伝送され、第2の信号は信号経路282bに沿って伝送される。光変調器264bは、建設的あるいは破壊的のいずれかに干渉するよう信号を結合する。破壊的に干渉する信号構成要素は破壊的干渉出力部284に沿って伝送される。建設的に干渉する1つの構成要素は、変調器出力部286を通して伝送される。
【0044】
アラインメントモニタ254は破壊的干渉出力部284から信号を受信する。アラインメントモニタ154は、変調アラインメント変動を監視するため、信号の波形を検出するものであり、実質的に、図2のアラインメントモニタ254に類似している。
【0045】
本発明の適用範囲から逸脱することなく、アラインメントモニタ254に対して、変更、追加、あるいは省略を行ってもよい。アラニンメントモニタ254の構成要素は、特定の必要性に応じて一体化あるいは分離される場合がある。さらに、アラインメントモニタ254の作動は、さらに多くの、より少ない、あるいは他の構成要素により行なわれる。
【0046】
図6は、光変調器300、バイアス点モニタ304およびバイアス制御装置316が図示されているように結合された1つの実施例のブロック図である。作動時、光変調器300は光信号を変調する。バイアス点モニタ304は、光変調器300のバイアス点を監視するため、変調された信号の波形を検出する。バイアス点モニタ304は、バイアス点変動を示すフィードバックをバイアス制御装置316に供給する。バイアス制御装置316は、バイアス点変動に対する補償を行うため、フィードバックに応じて光変調器300を調節する。
【0047】
一般に、変調器は、典型的には、変調技術およびデータ様式に応じて特定点でバイアスがかかる。例えば、バイアス点は非ゼロ復帰変調に対して直交位相にある。他の例として、半データ率クロック信号に対するバイアス点がゼロであり、このデータに対するバイアス点が搬送波抑圧ゼロ復帰変調に対する直角位相である。バイアス点は温度変動に応じてドリフトする場合があり、この変動を監視するため、バイアス点モニタが用いられる。
【0048】
示された実施例により、光変調器300は、入力部310、信号経路314a−b、破壊的干渉出力部318a−b、光変調器出力320を含む。入力部310は変調される光信号を受信する。入力信号は信号に分割される。第1の信号は信号経路314aに沿って伝送され、第2の信号は信号経路314bに沿って伝送される。光変調器300は、建設的あるいは破壊的のいずれかに干渉するよう信号を結合する。破壊的に干渉する信号が破壊的干渉出力部318に沿って伝送され、建設的に干渉する信号が光変調器320を通して伝送される。
【0049】
バイアス点モニタ304は光変調器300のバイアス点を監視する。バイアス点モニタ304は1つ以上のバイアス点検出器324を含む。示された例によれば、バイアス点モニタ304はバイアス点検出器324a−bを含む。バイアス点検出器324は破壊的干渉出力部318から信号を受信する。示された実施例によれば、バイアス点検出器324aは破壊的干渉出力部318aから信号を受信し、バイアス点検出器324bは破壊的干渉出力部318bから信号を受信する。
【0050】
1つの実施例によれば、バイアス点検出器324aは、信号の波形を検出する波形検出器を備える。本実施例によれば、波形検出器は、図2の光子検出器74に実質的に類似している。バイアス点検出器324bは、信号の光パワーを検出する光パワー検出器を備える。例として、バイアス点検出器324bは、光ダイオード、あるいは信号のパワーを監視するよう作動可能な他の装置を備える。
【0051】
波形は、光パワーより正確なバイアス点の指示をもたらす。例として、波形のさらに検出可能なピークはバイアス点を示す、また、光パワーの検出可能性の低い直交位相がバイアス点を示す場合もある。したがって、バイアス点検出器324aは、バイアス点検出器324bよりさらに正確な監視をもたらす。バイアス点検出器324bからの検出器信号の例およびバイアス点検出器324bについては、図7を参照しながらさらに詳細に説明される。
【0052】
本発明の適用範囲から逸脱することなく、バイアス点モニタ304に対して、変更、追加、あるいは省略を行ってもよい。バイアス点モニタ304の構成要素は、特定の必要性に応じて統合あるいは分離される場合がある。さらに、バイアス点モニタ304の作動は、さらに多くの、より少ない、あるいは他の構成要素により行なわれる。
【0053】
図7は、図2の構成の二段目の光変調器64bに図6の構成を適用したもの特性を示している。図7の特性はCS−RZ信号を用いた場合の特性を示している。バイアス点と光波形の対応関係を測定した結果である。波形検出器および光パワー検出器からの検出器信号404および408の例を示す図400である。検出器信号404は光パワー検出器の出力を示し、検出器信号408は波形検出器の出力を示す。本例によれば、バイアス点は点412a、412b、412cとなる。点412a、412b、412cは、バイアス電流を変化させた場合における、波形検出器の検出器信号408のピークの値である。同時に、直交位相にある状態でもある。図示しないが、点412a、412b、412cにおけるアイパターンを観測するとアイが最も大きく開いていた。
【0054】
従って、複数の光子の到達に応じて反応する光子反応性物質で構成された波形検出器で検出した検出器信号408を用いることで、最適なバイアス動作点を容易に識別することができる。
【0055】
図8は、波形検出器および光パワー検出器からの検出器信号504および508の例を示す図500である。検出器信号の例504および508は、クロック信号により駆動されるマッハ−ツェンダー(MZ)変調信号の検出から得られる。信号の形式はリターンツウゼロ(RZ)信号である。検出器信号504は光パワー検出器の出力を示し、検出器信号508は波形検出器の出力を示す。本例によればバイアス点は、バイアス点512a, 512b, 512cである。バイアス点512a, 512b, 512cは波形検出器からの検出器信号508を用いて容易に識別される。
【0056】
本発明のある実施例により、1つ以上の技術的利点がもたらされる。1つの実施例の技術的な利点は、変調された信号の波形を検出することで、光変調器のバイアス点が監視されるということである。この実施例によれば、変調される信号の波形におけるある変化がバイアス点における変動を示す。
【0057】
本開示はある実施例および一般的に関連付けられた方法に関して説明されたが、実施例および方法に対する変更および置換については当業者にとって明らかである。したがって、実施例についての上の説明は本開示に制限を加えるものではない。以下の実施例で規定されるとおり、本開示の考え方や適用範囲から逸脱することなく、他の変更、置き換え、改造も可能である。
【0058】
上述した実施形態は、以下の発明を開示する。以下の発明は、必要に応じて適宜組み合わせることができる。
【0059】
(付記1)
光変調器のバイアス点を監視するよう作動可能なバイアス点モニタであって、これが:
入力ファイバであって、これが:
複数の光子を含む光信号を受信し、この光信号が光変調器で変調されるよう作動可能な入力ファイバと;
光子反応性物質であって、これが:
所定数の光子の到達に応じて反応を生じ;
光信号の複数光子を受信し;
複数の光子の到達に応じて複数の反応を生じ;
複数の反応に応じてフィードバックを行い、このフィードバックが光信号の波形を反映し、このフィードバックが光変調器の1つ以上のバイアス点を示すよう作動可能な光子反応性物質と
を備えるバイアス点モニタ。
【0060】
(付記2)
請求項1のバイアス点モニタであって、2つの光子が実質的に同一時間に、物質の実質的に同一場所に到達すると、電子を放出するよう作動可能な物質を光子反応性物質が含むことを特徴とするバイアス点モニタ。
【0061】
(付記3)
請求項1のバイアス点モニタであって、フィードバックが、反応数のピークを反映することを特徴とするバイアス点モニタ。
【0062】
(付記4)
請求項1のバイアス点モニタであって、これがさらにバイアス制御装置を備え、これが:
フィードバックを反映する検出器信号を受信し;
フィードバックに応じて光変調器を調節するよう作動可能なバイアス点モニタ。
【0063】
(付記5)
請求項1のバイアス点モニタであって、これがさらに光パワー検出器を備え、これが:
光信号の光パワーを監視するよう作動可能なバイアス点モニタ。
【0064】
(付記6)
光変調器のバイアス点を監視するための方法であって、これが:
複数の光子を含む光信号を受信し、この光信号が光変調器で変調されるステップと;
光子反応性物質で光信号の複数光子を受信し、この光子反応性物質が、所定数の光子の到達に応じて反応を生じるよう作動可能であるステップと;
複数の光子の到達に応じて複数の反応を生じるステップと;
複数の反応に応じてフィードバックを行い、このフィードバックが光信号の波形を反映し、このフィードバックが光変調器の1つ以上のバイアス点を示すステップと
を含む方法。
【0065】
(付記7)
請求項6の方法であって、2つの光子が実質的に同一時間に、物質の実質的に同一場所に到達すると、電子を放出するよう作動可能な物質を光子反応性物質が含むことを特徴とする方法。
【0066】
(付記8)
請求項6の方法であって、フィードバックが、反応数のピークを反映することを特徴とする方法。
【0067】
(付記9)
請求項6の方法であって、さらにこれが:
バイアス制御装置でのフィードバックを反映する検出器信号を受信するステップと;
フィードバックに応じて光変調器を調節するステップと
を含む方法。
【0068】
(付記10)
請求項6の方法であって、さらにこれが:
光信号の光パワーを監視するステップを含む方法。
【0069】
(付記11)
光変調器のバイアス点を監視するためのシステムであって、これが:
複数の光子を含む光信号を受信するための手段であって、この光信号が光変調器で変調される手段と;
光子反応性物質で光信号の複数光子を受信するための手段であって、この光子反応性物質が、所定数の光子の到達に応じて反応を生じるよう作動可能である手段と;
複数の光子の到達に応じて複数の反応を生じるための手段と;
複数の反応に応じてフィードバックを行うための手段であって、このフィードバックが光信号の波形を反映し、このフィードバックが光変調器の1つ以上のバイアス点を示す手段と
を備えるシステム。
【0070】
(付記12)
光変調器のバイアス点を監視するよう作動可能なバイアス点モニタであって、これが:
入力ファイバであって:
複数の光子を含む光信号を受信し、この光信号が光変調器で変調されるよう作動可能な入力ファイバと;
2つの光子が実質的に同一時間に、物質の実質的に同一場所に到達すると、電子を放出するよう作動可能な物質を含む光子反応性物質であって、この光反応性物質が:
所定数の光子の到達に応じて反応を生じ;
光信号の複数光子を受信し;
複数の光子の到達に応じて複数の反応を生じ;
複数の反応に応じてフィードバックを行い、このフィードバックが光信号の波形を反映し、このフィードバックが反応数のピークを反映し、このフィードバックが光変調器の1つ以上のバイアス点を示すよう作動可能な光子反応性物質と;
光パワー検出器であって、これが:
光信号の光パワーを監視するよう作動可能な光パワー検出器と;
バイアス制御装置であって、これが:
フィードバックを反映する検出器信号を受信し;
フィードバックに応じて光変調器を調節するよう作動可能なバイアス制御装置と
を備えるバイアス点モニタ。
【0071】
(付記13)
光変調器で変調される光信号を監視するよう作動可能なモニタであって、これが:
入力ファイバであって、これが:
複数の光子を含む光信号を受信し、この光信号が1つ以上の光変調器で変調されるよう作動可能な入力ファイバと;
光子反応性物質であって、これが:
所定数の光子の到達に応じて反応を生じ;
光信号の複数光子を受信し;
複数の光子の到達に応じて複数の反応を生じ;
複数の反応に応じてフィードバックを行い、このフィードバックが光信号の波形を反映し、このフィードバックが1つ以上の光変調器と通信するよう作動可能であるよう作動可能な光子反応性物質と
を備えるモニタ。
【0072】
(付記14)
請求項1のモニタであって、2つの光子が実質的に同一時間に、物質の実質的に同一場所に到達すると、電子を放出するよう作動可能な物質を光子反応性物質が含むことを特徴とするモニタ。
【0073】
(付記15)
請求項1のモニタであって、光反応性物質が、複数の反応に応じてフィードバックを行うようさらに作動可能であり、この反応が:
1つ以上の光変調器のバイアス点を示すフィードバックを生じることによるものであるモニタ。
【0074】
(付記16)
請求項1のモニタであって、光反応性物質が、複数の反応に応じてフィードバックを行うようさらに作動可能であり、この反応が:
1つ以上の光変調器の変調アラインメント変動を示すフィードバックを生じることによるものであるモニタ。
【0075】
(付記17)
光変調器で変調される光信号を監視するための方法であって、これが:
複数の光子を含む光信号を受信し、この光信号が1つ以上の光変調器で変調されるステップと;
光子反応性物質で光信号の複数光子を受信し、この光子反応性物質が、所定数の光子の到達に応じて反応を生じるよう作動可能であるステップと;
複数の光子の到達に応じて複数の反応を生じるステップと;
複数の反応に応じてフィードバックを行い、このフィードバックが光信号の波形を反映し、このフィードバックが1つ以上の光変調器と通信するステップと
を含む方法。
【0076】
(付記18)
請求項17の方法であって、2つの光子が実質的に同一時間に、物質の実質的に同一場所に到達すると、電子を放出するよう作動可能な物質を光子反応性物質が含むことを特徴とする方法。
【0077】
(付記19)
請求項17の方法であって、さらにこれが、複数の反応に応じてフィードバックを行い、この反応が:
1つ以上の光変調器のバイアス点を示すフィードバックを生じることによるものである方法。
【0078】
(付記20)
請求項17の方法であって、さらにこれが、複数の反応に応じてフィードバックを行い、この反応が:
1つ以上の光変調器の変調アラインメント変動を示すフィードバックを生じることによるものである方法。
【0079】
(付記21)
光変調器で変調される光信号を監視するためのシステムであって、これが:
複数の光子を含む光信号を受信するための手段であって、この光信号が1つ以上の光変調器で変調される手段と;
光子反応性物質で光信号の複数光子を受信するための手段であって、この光子反応性物質が、所定数の光子の到達に応じて反応を生じるよう作動可能である手段と;
複数の光子の到達に応じて複数の反応を生じるための手段と;
複数の反応に応じてフィードバックを行うための手段であって、このフィードバックが光信号の波形を反映し、このフィードバックが1つ以上の光変調器と通信する手段と
を備えるシステム。
【0080】
(付記22)
光変調器で変調される光信号を監視するよう作動可能なモニタであって、これが:
入力ファイバであって、これが:
複数の光子を含む光信号を受信し、この光信号が1つ以上の光変調器で変調されるよう作動可能な入力ファイバと;
2つの光子が実質的に同一時間に、物質の実質的に同一場所に到達すると、電子を放出するよう作動可能な物質を含む光子反応性物質であって、この光反応性物質が:
所定数の光子の到達に応じて反応を生じ;
光信号の複数の光子を受信し;
複数の光子の到達に応じて複数の反応を生じ;
複数の反応に応じてフィードバックを行い、このフィードバックが光信号の波形を反映し、このフィードバックが1つ以上の光変調器と通信するよう作動可能であり、複数の反応に応じてフィードバックを行うことが、さらに:
1つ以上の光変調器のバイアス点を示すフィードバックを生じるステップと;
1つ以上の光変調器の変調アラインメント変動を示すフィードバックを生じるステップとを含むよう作動可能な光反応性物質とを備えるモニタ。
【0081】
(付記23)
光変調器と該光変調器の変調バイアス電圧点を制御する制御部からなる光変調システムにおいて、
該制御部には、該光変調器の出力の複数の光子の到達に応じて反応する光子反応性物質で構成された波形検出器と、該波形検出器の反応に対するフィードバックを該光変調器に行う変調器ドライバとを備えたことを特徴とする光変調システム。
【0082】
(付記24)
該波形検出器の該反応は二光子吸収により発生し、変調波形の変動に対応していることを特徴とする付記1記載の光変調システム。
【0083】
(付記25)
該制御部は該波形検出器の出力のピークに一致するようにバイアス点を制御することを特徴とする付記1記載の光変調システム。
【0084】
(付記26)
該制御部は該光変調器の出力パワーを検出する光パワー検出器をさらに設け、該変調ドライバを制御することを特徴とする付記1記載の光変調システム。
【0085】
(付記27)
該制御部は該波形検出器の出力と光パワー検出器の検出した値が一致するようにバイアス点を制御することを特徴とする付記3記載の光変調システム。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】変調された光信号の波形を検出するため、光子吸収法を用いるノードを含むネットワークの1つの実施例を示すブロック図
【図2】変調アラインメント変動を監視するよう作動可能なアラインメントモニタを含む送信機の1つ実施例のブロック図
【図3】図3Aおよび3Bは、検出器信号の例を示す図
【図4】アラインメントモニタの他の実施例を含む送信機のブロック図
【図5】アラインメントモニタの他の実施例を含む送信機のブロック図
【図6】光変調器、バイアス点モニタおよびバイアス制御装置の1つの実施例のブロック図
【図7】波形検出器および光パワー検出器からの検出器信号の例を示す図
【図8】波形検出器および光パワー検出器からの検出器信号の例を示す図
【符号の説明】
【0087】
60 光源
50 送信器
54 アラインメントモニタ
64a、64b 光変調器
68 光カプラ
70、72 ファイバ
74 波形検出器
76 光子反応性物質
154 アラインメントモニタ
182a、182b 信号経路
186 変調器出力部
250 送信器
254 アラインメントモニタ
264a、264b 光変調器
282a、282b 信号経路
284 破壊的干渉出力部
286 変調器出力部
300 光変調器
310 入力部
314a、314b 信号経路
316 バイアス制御装置
318a、318b 破壊的干渉出力部
320 光変調器出力
324a、324b バイアス点検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光変調器と該光変調器の変調バイアス電圧点を制御する制御部からなる光変調システムにおいて、
該制御部には、該光変調器の出力の複数の光子の到達に応じて反応する光子反応性物質で構成された波形検出器と、該波形検出器の反応に対するフィードバックを該光変調器に行う変調器ドライバとを備えたことを特徴とする光変調システム。
【請求項2】
該波形検出器の該反応は2光子吸収により発生し、変調波形の変動に対応していることを特徴とする請求項1記載の光変調システム。
【請求項3】
該制御部は該波形検出器の出力のピークに一致するようにバイアス点を制御することを特徴とする請求項1記載の光変調システム。
【請求項4】
該制御部は該光変調器の出力パワーを検出する光パワー検出器をさらに設け、該変調ドライバを制御することを特徴とする請求項1記載の光変調システム。
【請求項5】
該制御部は該波形検出器の出力と光パワー検出器の検出した値が一致するようにバイアス点を制御することを特徴とする請求項3記載の光変調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−86790(P2007−86790A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256929(P2006−256929)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】