説明

光学系及びそれを有する光学機器

【課題】 色収差を始めとする諸収差を良好に補正することが出来、全系が小型化で高い光学性能を有する光学系を得ること。
【解決手段】 光軸と瞳近軸光線の交わる点をPとするとき、点Pよりも拡大側で最も拡大側のレンズ面における近軸軸上光線の光軸からの高さの最大値が、点Pより縮小側で近軸軸上光線がレンズ面を通過する光軸からの高さの最大値よりも大きい光学系において、点Pより縮小側に、光入出射面が共に屈折面で固体材料から形成される少なくとも1つの負の屈折力の屈折光学素子Gnを含むレンズ群Lrを有し、該屈折光学素子Gnの材料のアッベ数、g線とF線に関する部分分散比νd(Gn)、θgF(Gn)、該屈折光学素子Gnと該レンズ群Lrの焦点距離FGn、Frを各々適切に設定したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系及びそれを有する光学機器に関し、例えば、銀塩フィルム用カメラ、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、望遠鏡、双眼鏡、プロジェクター、複写機等の光学機器に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、ビデオカメラ等の光学機器に用いられる光学系では、レンズ全長(光学全長、物体側の第1レンズ面から像面までの長さ)が短く、光学系全体が小型であることが求められている。
【0003】
一般に光学系の小型化を図るほど該収差、特に軸上色収差及び倍率色収差などの色収差が多く発生して光学性能が低下してくる。
【0004】
特にレンズ全長の短縮化を図ったテレフォトタイプ(望遠型)の光学系では、焦点距離を伸ばすほど(長くするほど)色収差が多く発生してくる。
【0005】
このような色収差の発生を低減する方法として、レンズの材料に異常部分分散材料を用いて色消し(色消しの補正)を行った光学系が知られている。
【0006】
テレフォトタイプの光学系において、色収差を補正するには、光軸からの近軸軸上光線の高さと、光軸からの瞳近軸光線の高さが共に高くなる光学系前方のレンズ群に、蛍石等の異常部分分散を持った低分散材料より成る正レンズを用いるのが良い。
【0007】
従来より異常部分分散を持った材料を用いて色収差を補正したテレフォトタイプの光学系が知られている(特許文献1、2)。
【0008】
又、従来より異常部分分散特性を持つ固体材料として透明媒体にIndium−Tin Oxide(ITO)微粒子を分散させた混合体から成る固体材料を用いて色消しを行った光学系が知られている(特許文献3、4)。
【0009】
又、異常部分分散特性を持つ固体材料として、透明媒体にTiO微粒子を分散させた混合体や樹脂から成る固体材料を用いて色消しを行った光学系が知られている(特許文献5、6)。
【0010】
一方、カメラ等の撮像装置に用いる撮影光学系(光学系)におけるフォーカシング方法としては、多くの場合撮影光学系全体を移動させるか、あるいは、撮影光学系の一部のレンズ群を移動させる方法で行っている。
【0011】
長焦点距離を有するテレフォトタイプの撮像光学系は一般に撮影光学系が大型で、又高重量である。この為、撮影光学系全体を移動させてフォーカシングを行う方法は、機構的に困難である。この為、テレフォトタイプの撮影光学系では、撮影光学系の最も物体側のレンズ群以外の比較的小型で軽量なレンズ群を移動させてフォーカシングを行う、所謂インナーフォーカス方式を用いたものが多い。
【0012】
物体側より像側へ順に、正の屈折率の第1レンズ群、負の屈折率の第2レンズ群、正の屈折率の第3レンズ群の3つのレンズ群を有し、第2レンズ群を光軸上を移動させてフォーカシングを行った撮影光学系が知られている(特許文献7)。
【0013】
この他、物体側より像側へ順に、正、負、正、負、正の屈折力の第1〜第5レンズ群を有し、第2レンズ群を光軸上に移動させることによりフォーカシングを行う、所謂インナーフォーカス式の光学系が知られている(特許文献8)。
【0014】
尚、特許文献8の光学系では第4レンズ群を光軸と垂直方向に移動させて光学系が振動したときに生ずる像ブレの補正、即ち防振を行っている。
【特許文献1】特公昭60−49883号公報
【特許文献2】特開平11−119092号公報
【特許文献3】特開2005−181392号公報
【特許文献4】特開2005−215387号公報
【特許文献5】特開2006−145823号公報
【特許文献6】特開2006−349948号公報
【特許文献7】特開平11−316341号公報
【特許文献8】特開2000−89101公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
テレフォトタイプの光学系において、レンズ全長を短縮しつつ色収差を改善するためには、例えば、蛍石等の異常部分分散性を持つレンズを用い、そのレンズの屈折力を強くするのが良い。しかしながら、蛍石のようなアッベ数の大きい低分散ガラスより成るレンズにおいて、屈折力を大きく変化させて、色収差を補正しようとすると、色収差以外の諸収差、例えば球面収差、コマ収差、非点収差などが多く発生してくる。
【0016】
これらの諸収差を、色収差補正とともに良好に補正するには、異常部分分散性を持つレンズの枚数を増加させる必要がある。しかしながらレンズ枚数を増加させると光学系全体が大型化、又重量が増加してくる。
【0017】
又、蛍石等の異常部分分散特性を有するガラス材料は、非常に加工が難しく、又表面が傷つきやすいため、多く用いるのは好ましくない。
【0018】
異常部分分散特性を示す材料として、特許文献3〜6に開示されているTiO、ITO、UV硬化樹脂等の固体材料は光学系の色消しを行うのに大変有効な材料である。
【0019】
このような有効な異常部分分散特性を有する固体材料より成る屈折光学素子を光学系中に用いるときは、その光路中の位置や屈折力等を適切に設定するのが重要と成ってくる。
【0020】
これらの条件が不適切であると、光学系全体の小型化を図りつつ、色収差を良好に補正し、高い光学性能を得るのが困難となる。
【0021】
本発明は、色収差を始めとする諸収差を良好に補正することが出来、全系が小型化で高い光学性能を有する光学系及びそれを有する光学機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の光学系は、光軸と瞳近軸光線の交わる点をPとするとき、点Pよりも拡大側で最も拡大側のレンズ面における近軸軸上光線の光軸からの高さの最大値が、点Pより縮小側で近軸軸上光線がレンズ面を通過する光軸からの高さの最大値よりも大きい光学系において、点Pより縮小側に、光入出射面が共に屈折面で固体材料から形成される少なくとも1つの負の屈折力の屈折光学素子Gnを含むレンズ群Lrを有し、
該屈折光学素子Gnの材料のアッベ数、g線とF線に関する部分分散比を各々νd(Gn)、θgF(Gn)、
該屈折光学素子Gnと該レンズ群Lrの焦点距離を各々FGn、Frとするとき
−2.100×10−3・νd(Gn)+0.693<θgF(Gn)
0.55<θgF(Gn)<0.90
0.02<|FGn/Fr|<10.00
なる条件を満足することを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、色収差を始めとする諸収差を良好に補正することが出来、全系が小型化で高い光学性能を有する光学系が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の光学系及びそれを有する光学機器の実施形態について説明する。
【0025】
本発明の光学系は、望遠型(テレフォトタイプ)の光学系である。本発明の光学系の特徴は次のとおりである。
【0026】
光軸と瞳近軸光線の交わる点をPとする。このとき、点Pよりも拡大側で最も拡大側のレンズ面における近軸軸上光線の光軸からの高さの最大値が、点Pより縮小側で近軸軸上光線がレンズ面を通過する光軸からの高さの最大値よりも大きい。そして、点Pより縮小側に、光入出射面が共に屈折面で固体材料から形成される少なくとも1つの負の屈折力の屈折光学素子Gnを含むレンズ群Lrを有している。
【0027】
図1は、本発明のテレフォトタイプ(望遠型)の光学系の光学作用を説明する為の近軸屈折力配置の概略図である。
【0028】
図2は実施例1の光学系のレンズ断面図である。図3は実施例1の光学系が無限遠物体に合焦したときの収差図である。
【0029】
図4は実施例2の光学系のレンズ断面図、図5は実施例2の光学系が無限遠物体に合焦したときの収差図である。
【0030】
図6は実施例3の光学系のレンズ断面図、図7は実施例3の光学系が無限遠物体に合焦したときの収差図である。
【0031】
図8は実施例4の光学系のレンズ断面図、図9は実施例4の光学系が無限遠物体に合焦したときの収差図である。
【0032】
図10は実施例5の光学系のレンズ断面図、図11は実施例5の光学系が無限遠物体に合焦したときの収差図である。
【0033】
図12は本発明の光学系を備えるカメラ(撮像装置)の要部概略図である。
【0034】
各実施例の光学系は、望遠型の撮影レンズ系でありビデオカメラやデジタルカメラそして銀塩フィルムカメラ等の撮像装置に用いられる。レンズ断面図において、左方が物体側(前方)で、右方が像側(縮小側)(後方)である。
【0035】
尚、各実施例の光学系をプロジェクター等の投射レンズとして用いるときは、左方がスクリーン、右方が被投射画像となる。
【0036】
図1とレンズ断面図において、OLは光学系である。又iは物体側からのレンズ群の順番を示し、Liは第iレンズ群である。
【0037】
SPは開口絞りである。IPは像面であり、ビデオカメラやデジタルスチルカメラの撮影レンズとして使用する際にはCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面が置かれる。又、銀塩フィルム用カメラのときはフィルム面に相当する感光面が置かれる。
【0038】
収差図においてd、gは各々d線及びg線、S.Cは正弦条件である。ΔM、ΔSはメリディオナル像面、サジタル像面、倍率色収差はg線によって表している。ωは半画角、fnoはFナンバーである。
【0039】
まず、本発明に係る図1のテレフォトタイプの光学系の光学作用について説明する。図1において、G1、G2は、それぞれテレフォトタイプの光学系OLを構成する正の屈折力の前群(第1レンズ群)と負の屈折力の後群(第2レンズ群)である。問題を簡単にするために、前群G1、後群G2を構成する各レンズは全て薄肉単レンズとし、前群G1、後群G2内で、それぞれレンズ間隔が0で光軸上に配置されているものとしている。
【0040】
Qは近軸軸上光線、Rは瞳近軸光線であり、Pは瞳近軸光線Rと光軸Laとの交点である。ここで、点Pよりも前群G1側を拡大側(物体側)、点Pよりも後群G2側を縮小側(像側)とする。
【0041】
近軸軸上光線Qは光学系全系の焦点距離を1に正規化し、光学系の光軸と平行に、光軸から高さ1の光を入射させたときの近軸光線である。以下物体は光学系の左側にあるものとし、物体側から光学系に入射する光線は左から右へ進むものとして扱う。瞳近軸光線Rは光学系全系の焦点距離を1に正規化し、光軸に対して−45°で入射する光線の内、光学系の入射瞳と光軸との交点を通過する近軸光線である。
【0042】
各実施例の光学系は、点Pより縮小側に、光入出射面が共に屈折面で固体材料から形成される少なくとも1つの負の屈折力の屈折光学素子Gnを含むレンズ群Lrを有している。
【0043】
又、図1の本発明の光学系では、物体側より像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群を有している。このとき第2レンズ群の像側(縮小側)に1以上のレンズ群を有していても有していなくても良い。
【0044】
光路中(点Pの位置)に開口絞りを有している。そして、開口絞りよりも縮小側に、光入出射面が共に屈折面で固体材料から形成される少なくとも1つの負の屈折力の屈折光学素子Gnを含むレンズ群Lrを有している。
【0045】
尚、本発明の光学系に用いる屈折光学素子の固体材料とは、光学系を使用する状態で固体の材料を指し、製造時などの光学系を使用する前での状態は、どのような状態であっても良い。
【0046】
例えば、製造時には液体材料であっても、それを硬化させて固体材料としたものも、ここでいう固体材料に該当する。
【0047】
各実施例において、屈折光学素子Gnの材料のアッベ数、g線とF線に関する部分分散比を各々νd(Gn)、θgF(Gn)とする。
【0048】
屈折光学素子Gnと屈折光学素子Gnを含むレンズ群Lrの焦点距離を各々FGn、Frとする。このとき
−2.100×10−3・νd(Gn)+0.693<θgF(Gn)‥‥‥(1)
0.55<θgF(Gn)<0.90 ‥‥‥(2)
0.02<|FGn/Fr|<10.00 ‥‥‥(3)
なる条件を満足している。
【0049】
尚、本実施例の光学系に用いる屈折光学素子Gnの材料の異常部分分散特性とアッベ数は次のとおりである。
【0050】
フラウンフォーファ線のg線(波長435.8nm)、F線(波長486.1nm)、d線(波長587.6nm)、C線(波長656.3nm)に対する屈折率をそれぞれNg、NF、Nd、NCとする。アッベ数νd、g線とd線に関する部分分散比θgd、g線とF線に関する部分分散比θgFは次のとおりである。
【0051】
νd =(Nd−1)/(NF−NC)
θgd =(Ng−Nd)/(NF−NC)
θgF =(Ng−NF)/(NF−NC)
図2、図4、図6、図8に示す実施例1〜4の光学系OLは物体側より像側へ順にフォーカスの際に不動の正の屈折力の第1レンズ群L1、フォーカスのために光軸方向へ移動する負の屈折力の第2レンズ群L2を有している。そして開口絞りSP、フォーカスの際に不動の正の屈折力の第3レンズ群L3を有している。
【0052】
更に光軸に対し垂直方向の成分を持つように移動して像を変位させる負の屈折力の第4レンズ群L4、フォーカスの際に不動の正の屈折力の第5レンズ群L5を有している。
【0053】
ここで条件式(1)〜(3)を満足する屈折光学素子Gnは第5レンズ群L5の物体側から数えて第3番目のレンズの像側に設けられている。
【0054】
尚、第2レンズ群L2は無限遠物体から近距離物体へのフォーカスに際して像側へ移動している。
【0055】
実施例1、2は屈折光学素子Gnの材料はUV硬化樹脂である。実施例3、4は屈折光学素子Gnの材料はTiO、3%−UV硬化樹脂2である。
【0056】
実施例5の光学系OLは物体側より像側へ順にフォーカスの際に不動の正の屈折力の第1レンズ群L1、フォーカスのために光軸方向へ移動する負の屈折力の第2レンズ群L2を有している。そして開口絞りSP、フォーカスの際に不動の正の屈折力の第3レンズ群L3を有している。
【0057】
ここで条件式(1)〜(3)を満足する屈折光学素子Gnは第3レンズ群L3の物体側から数えて第4番目のレンズの像側に設けられている。
【0058】
屈折光学素子Gnの材料はUV硬化樹脂である。
【0059】
尚、第2レンズ群L2は無限遠物体から近距離物体へのフォーカスに際して像側へ移動している。
【0060】
実施例4において、屈折光学素子Gnの光入射面のうち、少なくとも一方の面は非球面形状であり、これにより良好なる光学性能を確保している。
【0061】
実施例2、4では屈折光学素子Gnの光入射面のうち、少なくとも一方の面は空気に接している。
【0062】
次に前述の各条件式(1)〜(3)の技術的意味を説明する。
【0063】
条件式(1)〜(3)は、屈折光学素子Gnに関するものであり、主に倍率色収差を最適に補正するための条件式である。このうち条件式(1)、(2)は屈折光学素子Gnの異常部分分散特性に関するものである。条件式(1)において、部分分散比θgF(Gn)が下限値を下回ると、屈折光学素子Gnの異常部分分散性が小さくなり、第1レンズ群L1で大きく発生する、倍率色収差の2次スペクトルを補正するのが難しくなる。
【0064】
条件式(2)の下限値を下回ると、屈折光学素子Gnの異常部分分散性が小さすぎ、第1レンズ群L1で大きく発生する、倍率色収差の2次スペクトルを補正するのが難しくなる。条件式(2)の上限値を上回ると、屈折光学素子Gnの異常部分分散性が大きくなりすぎ、倍率色収差の2次スペクトルの補正が過補正となってくる。
【0065】
条件式(3)は、屈折光学素子Gnに与えるべき最適な屈折力に関するものである。条件式(3)の下限値を下回ると、屈折光学素子Gnの屈折力が強くなりすぎ、倍率色収差の2次スペクトルの補正が過補正となってくる。又、上限値を上回ると、屈折光学素子Gnの屈折力が弱くなりすぎ、倍率色収差の2次スペクトルが補正不足となってくる。
【0066】
なお、条件式(3)において、レンズ群Frは屈折光学素子Gnを有する群の焦点距離であると定義している。ここで言うレンズ群とは、フォーカシング、ズーミング、そして防振時などに一緒(一体的)に移動するレンズの集合、または、これらのレンズ群の前後に位置する固定されたレンズの集合をレンズ群と定義している。
【0067】
例えば、実施例1から4では、拡大側より、縮小側へ順に正、負、正、負、正の屈折力のレンズ群を有し、第2レンズ群L2でフォーカシングを行い、第4レンズ群L4を光軸に垂直方向の成分を持つように移動させることにより防振を行う光学系となっている。
【0068】
これらの光学系では、第5レンズ群L5に屈折光学素子Gnを配置することにより、倍率色収差の補正を良好に行っている。よって、条件式(3)における屈折光学素子Gnを有するレンズ群とは、第5レンズ群L5である。
【0069】
また、実施例5では、拡大側より縮小側へ順に、正、負、正の屈折力のレンズ群を有し、第2レンズ群L2でフォーカシングを行っている。この光学系では、第3レンズ群L3に屈折光学素子Gnを配置することにより、倍率色収差の補正を良好に行っている。
【0070】
よって、条件式(3)における屈折光学素子Gnを有するレンズ群とは、第3レンズ群L3である。
【0071】
各実施例では条件式(1)〜(3)を満足することにより、レンズ全長の短縮化や、フォーカス用のレンズ群の小型、軽量化によって悪化する倍率色収差を補正している。2波長での色消しのみならず、g線からC線までの広い波長帯域に渡って良好に補正した光学系を実現している。
【0072】
なお、条件式(1)の数値範囲は、以下の範囲とすることで更に良好に色収差を補正するのが容易となる。
【0073】
−2.100×10−3・νd(Gn)+0.693<θgF(Gn)<
−1.231×10−3・νd(Gn)+0.900…(1a)
更に望ましくは、以下に示す範囲とするのが良い。
【0074】
−2.100×10−3・νd(Gn)+0.693<θgF(Gn)<
−1.389×10−3・νd(Gn)+0.823 …(1b)
更に望ましくは、以下に示す範囲とするのが良い。
【0075】
−1.682×10−3・νd(Gn)+0.700<θgF(Gn)<
−1.682×10−3・νd(Gn)+0.756 …(1c)
条件式(2)の数値範囲は、条件式(1),(1a),(1b)又は(1c)を満足した上で、以下の範囲とすると更に良好な色収差補正効果が期待できる。
【0076】
0.555<θgF(Gn)<0.860 …(2a)
更に望ましくは、以下に示す範囲とするのが良い。
【0077】
0.555<θgF(Gn)<0.800 …(2b)
条件式(3)の数値範囲は、以下の範囲とすることで更に良好な色収差補正効果が期待できる。
【0078】
0.025<|FGn/Fr|<8.000 …(3a)
更に望ましくは、以下に示す範囲とするのが良い。
【0079】
0.030<|FGn/Fr|<5.000 …(3b)
以上のように、各実施例によれば全長を短縮し、全体を軽量にしつつ、フォーカシングの高速化を図りつつ、色収差を始めとする諸収差を良好に補正した高い性能の光学系が得られる。
【0080】
本発明の目的とする光学系は、以上の諸条件を満足することにより達成できるが、更に好ましくは次の諸条件のうち、1以上を満足するのが良い。
【0081】
屈折光学素子Gnのg線とd線に関する部分分散比をθgd(Gn)とする。
【0082】
屈折光学素子Gnが含まれるレンズ群Lrにいて、正の屈折力を有するレンズの材料の平均アッベ数をVp、負の屈折力を有するレンズの材料の平均アッベ数をVnとする。
【0083】
第1レンズ群L1の焦点距離をF1、第2レンズ群L2の焦点距離をF2、全系の焦点距離をFとする。
【0084】
このとき、
νd(Gn)<60 ‥‥‥(4)
−2.407×10−3・νd(Gn)+1.420<θgd(Gn)‥‥‥(5)
1.255<θgd(Gn)<1.670 ‥‥‥(6)
0.8 < Vp / Vn < 1.8 ‥‥‥(7)
0.2<F1/F<0.7 ‥‥‥(8)
0.1<|F2/F|<0.5 ‥‥‥(9)
なる条件のうち1以上を満足するのが良い。
【0085】
屈折光学素子Gnの材料のアッベ数が条件式(4)を満足することで、さらに、倍率色収差を良好に補正するのが容易となる。
【0086】
固体材料は、条件式(5),(6)をも満足することで更に倍率色収差を良好に補正するのが容易となる。
【0087】
条件式(5)、(6)は屈折光学素子Gnの異常部分分散特性に関するものである。条件式(5)において、部分分散比θgd(Gn)が下限値を下回ると、屈折光学素子Gnの異常部分分散性が小さくなり、第1レンズ群で大きく発生する、倍率色収差の2次スペクトルを補正するのが難しくなる。
【0088】
条件式(6)の下限値を下回ると、屈折光学素子Gnの異常部分分散性が小さすぎ、第1レンズ群L1で大きく発生する、倍率色収差の2次スペクトルを補正するのが難しくなる。
【0089】
条件式(6)の上限値を上回ると、屈折光学素子Gnの異常部分分散性が大きくなりすぎ、倍率色収差の2次スペクトルの補正が過補正となってくる。
【0090】
一般に、インナーフォーカス式の望遠型の光学系では、最も物体側の第1レンズ群で発生する倍率色収差を、第2レンズ群と最も像面側の最終レンズ群にて発生する倍率色収差にて打ち消しあうことで、全系の倍率色収差を低減している。
【0091】
フォーカス用のレンズ群を小型にするためは、フォーカス用のレンズ群を開口絞り近傍に配置するのが良い。開口絞り近傍は一般に、瞳近軸光線の光軸からの高さが低くなるため、フォーカス用のレンズ群を開口絞り近傍に配置するとフォーカス用のレンズ群で発生する倍率色収差量も低下する。
【0092】
そのため、第1レンズ群で発生する倍率色収差を最も像面側の最終レンズ群の倍率色収差のみで打ち消しあう必要があるため、倍率色収差が補正不足となる。特に、第1レンズ群にて発生する倍率色収差の二次スペクトルの発生は大きく、二次スペクトルの補正不足が光学性能を悪化させてしまう。
【0093】
そのため、第1レンズ群で発生する二次スペクトルそのものを小さくする必要がある。第1レンズ群で使用される蛍石等の異常部分分散性を持つレンズの屈折力を強くすることで、二次スペクトルの低減を行うことができるが、これらの硝材は低分散である。このため、倍率色収差の補正を行うと、大きな屈折力を必要とし、色収差以外の球面収差、コマ収差、非点収差などの諸収差が悪化してくる。
【0094】
また、最終レンズ群に負の屈折力を有する蛍石等の異常部分分散性を持つレンズを配置することで色収差の低減を図ることができる。しかしながら、やはり低分散であるため、屈折力が大きくなり、諸収差が悪化してしまう。
【0095】
特に光学系の全長の短縮を行うと、さらに第1レンズ群で発生する色収差量が増大するため、色収差とそれ以外の収差の補正を両立させることが困難となる。
【0096】
そこで各実施例では、条件式(7)を満足するようにして第2レンズ群を光軸方向に移動させることによりフォーカシングを行っている。
【0097】
この方式によれば光学系の最も物体側に位置するレンズ群やレンズ全体を繰り出すフォーカス方式の光学系に対し、フォーカス用のレンズ群の有効径を小さくすることができる。このため、例えば自動焦点検出装置を有するカメラに適用したとき駆動モータを小型化することができる。
【0098】
条件式(7)はフォーカス用のレンズ群のレンズ有効径を小型化するために望ましい条件である。フォーカス用のレンズ群を小型化するためには、フォーカス用のレンズ群を絞り近傍に配置するのが良い。それを実現するためには、正の屈折力の第1レンズ群L1で発生する倍率色収差を最も像面側の最終レンズ群(実施例1〜4では第5レンズ群L5、実施例5では第3レンズ群L3である。)のみで打ち消す必要がある。そのためには、最終レンズ群で正の倍率色収差を大きく発生させる必要がある。
【0099】
条件式(7)は、それを実現するためのものである。条件式(7)の下限値を下回ると、最終レンズ群で発生する倍率色収差が大きくなりすぎ、レンズ全系での倍率色収差が悪化してくる。
【0100】
また、上限値を上回ると、最終レンズ群で発生する倍率色収差が小さくなりすぎ、第1レンズ群L1で発生する倍率色収差を打ち消しあうことが難しくなり、レンズ全系での倍率色収差が悪化してくる。
【0101】
条件式(8)、(9)は主にレンズ全長を小型化・軽量化を行うためのものである。
【0102】
光学系全体の小型化と高性能化を実現するためには、各レンズ群のパワー配置を最適化する必要がある。条件式(8)の下限値を下回って、第1レンズ群L1のパワー(屈折力)が強くなりすぎると、レンズ全長の短縮には有利となるが、倍率色収差を始めとする諸収差の発生が大きくなり、これをバランス良く補正することが困難となる。
【0103】
上限値を上回ると、レンズ全長の短縮を行うことが困難になる。
【0104】
条件式(9)の下限値を下回って、フォーカス用のレンズ群のパワーが強くなりすぎると、フォーカシング時の収差変動が増大し、特に近距離物体において著しく光学性能が悪化してくる。
【0105】
また、上限値を超えてフォーカス用のレンズ群のパワーが小さくなると、フォーカシング時のレンズ群の繰り出し量が大きくなり、移動空間を確保する為にレンズ全長が増加してくる。
【0106】
その際、フォーカス用のレンズ群の有効径が増加し重量が重くなるため、フォーカシング時の駆動トルクが増大してくる。このため、例えば自動焦点検出装置を有するカメラに適用したときは駆動モータが大型化してくるのでよくない。
【0107】
各実施例において更に好ましくは前述の条件式(4)、(6)〜(9)の数値範囲を次の如く設定するのが良い。
【0108】
νd(Gn)<50 ‥‥‥(4a)
1.30<θgd(Gn)<1.60 ‥‥‥(6a)
1.00<Vp/Vn<1.50 ‥‥‥(7a)
0.30<F1/F<0.60 ‥‥‥(8a)
0.12<|F2/F|<0.40 ‥‥‥(9a)
次に各実施例のテレフォトタイプの光学系の特徴について説明する。
【0109】
テレフォトタイプの光学系は、拡大側より正の屈折力の前群(第1レンズ群)G1、負の屈折力の後群(第2レンズ群)G2を配置したレンズ構成である。
【0110】
そのため、最も拡大側の面を通過する近軸軸上光線Qの光軸からの高さh1と、後群G2の各面のうち近軸軸上光線Qの高さが最も高くなる面での近軸軸上光線の光軸からの高さh2を比較した場合、高さh1の方が高さh2よりも高くなる。
【0111】
次に、屈折光学素子Gnを導入する前の光学系について考察する。前群G1と後群G2について倍率色収差の収差係数(T)の式を立てると、
【0112】
【数1】

【0113】
となる。 但し、
νG1i(λ)={NG1i(λ0)−1}/{NG1i(λ)−NG1i(λ0)}
νG2i(λ)={NG2j(λ0)−1}/{NG2j(λ)−NG2j(λ0)}
ここに、
φG1i: 前群G1を構成する、各薄肉単レンズの屈折力
φG2i: 後群G2を構成する、各薄肉単レンズの屈折力
νG1i: 前群G1を構成する、各薄肉単レンズの材料のアッべ数
νG2i: 後群G2を構成する、各薄肉単レンズの材料のアッべ数
hG1 : 前群G1へ入射する近軸軸上光線Qの高さ
hG2 : 後群G2へ入射する近軸軸上光線Qの高さ
HG1 : 前群G1へ入射する瞳近軸光線Rの高さ
HG2 : 後群G2へ入射する瞳近軸光線Rの高さ
NG1j: 前群G1を構成する、各薄肉単レンズの材料の屈折率
NG2i: 後群G2を構成する、各薄肉単レンズの材料の屈折率
λ: 任意波長
λ0: 設計波長
である。
【0114】
通常テレフォトタイプの光学系では、式(a)の倍率色収差の収差係数の波長依存特性において、全体の傾きが負で、下に凸状の波長依存特性を示す。
【0115】
次に、この状態から光学系に倍率色収差を補正する為の屈折光学素子Gnの符号と導入位置について考察する。
【0116】
導入する屈折光学素子Gnの倍率色収差係数をTGnとすると
TGn(λ)=hG1(λ0) HG1(λ0)φGn(λ0)/νGn(λ)…(b)
となる。但し、
νGn(λ)={NGn(λ0)−1}/{NGn(λ)−NGInλ0}} …(c)
である。
【0117】
(b)、(c)式において、1/νGn(λ)には屈折光学素子Gnの分散特性NGn(λ)の傾きと曲がり成分の傾向がそのまま反映される。屈折光学素子Gnを点Pより拡大側に配置する場合、φGn(λ0)>0のとき屈折光学素子Gnの倍率色収差の収差係数の波長依存特性は全体の傾きが正で、上に強い凸状の曲線となる。
【0118】
また、φGIT(λ0)<0のとき、屈折光学素子Gnの倍率色収差の収差係数の波長依存特性は全体の傾きが負で、下に強い凸状の曲線となる。
【0119】
一方、屈折光学素子Gnを点Pより縮小側に配置する場合、屈折光学素子φGn(λ0)>0のとき、屈折光学素子Gnの倍率色収差の収差係数の波長依存特性は全体の傾きが負で、下に強い凸状の曲線となる。
【0120】
また、φGn(λ0)<0のとき、屈折光学素子Gnの倍率色収差の収差係数の波長依存特性は全体の傾きが正で、上に強い凸状の曲線となる。
【0121】
従って、(a)式の全系における倍率色収差の収差係数の波長依存特性曲線の全体の曲がり成分をキャンセルする為には、屈折光学素子Gnを点Pより拡大側に配置する場合、前群G1内において、φGn(λ0)>0が必要となる。
【0122】
また、屈折光学素子Gnを点Pより縮小側に配置する場合、前群G1内において、φGn(λ0)<0が必要となる。
【0123】
各実施例のテレフォトタイプの光学系では、全系の小型化及び軽量化を図っている。各実施例のテレフォトタイプの光学系は、一般に、拡大側より縮小側へ順に正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群を有している。
【0124】
またフォーカシング用のレンズ群が大型で高重量であると、フォーカシング時の駆動トルクが増大し、例えば自動焦点検出装置等に適用したときは駆動モータが大型化してくる。又、フォーカスに多くの時間がかかり、良くない。
【0125】
このため、各実施例では、比較的全体が小型となる第2レンズ群を移動させることにより、フォーカシングを行っている。
【0126】
このようなテレフォトタイプの光学系では、最も物体側の第1レンズ群で発生する倍率色収差を、第2レンズ群と最も像面側の最終レンズ群(実施例1〜4では第5レンズ群L5、実施例5では第3レンズ群L3)にて発生する倍率色収差で補正している。即ち、双方が打ち消しあうことで、全系の倍率色収差を低減している。
【0127】
一般にフォーカシング用のレンズ群を小型にするためは、フォーカシング用のレンズ群を開口絞りSP近傍に配置するのが良い。開口絞りSP近傍は、瞳近軸光線の光軸からの高さが低くなるため、このフォーカス用のレンズ群で発生する倍率色収差量も低下する。
【0128】
そのため、第1レンズ群で発生する倍率色収差を最も像面側の最終レンズ群で逆方向に倍率色収差を発生させて打ち消しあう必要があるため、倍率色収差が補正不足傾向となる。
【0129】
特に倍率色収差の2次スペクトルの悪化が問題となる。そこで、各実施例の光学系では、条件式(1)〜(3)を満足する負の屈折力を有する屈折光学素子Gnを点Pよりも縮小側に配置している。
【0130】
又は、物体側より像側へ順に正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群を有し、かつ光路中に開口絞りを有する光学系において、開口絞りSPよりも縮小側(像側)に条件式(1)〜(3)を満足する屈折光学素子Gnを配置している。
【0131】
これにより、倍率色収差を悪化させることなくフォーカシング用のレンズ群の小型化を実現している。
【0132】
各実施例で用いている固体材料は、例えば樹脂である。又、固体材料としては、例えば無機微粒子を透明媒体に分散させた混合体からなっている。
【0133】
ここで無機微粒子は、例えばTitanium Oxide(TiO2)微粒子である。又、各実施例において固体材料としては、成形型を用いて光重合成形または熱重合成形されたものが適用できる。
【0134】
各実施例において、条件式(1)、(2)を満足する固体の光学材料の具体例としては、例えば樹脂が挙げられる。様々な樹脂の中でも特にUV硬化樹脂(nd=1.635,νd=22.7,θgF=0.69)やN−ポリビニルカルバゾール(nd=1.696,νd=17.7,θgF=0.69)は条件式(1)、(2)を満足する光学材料となる。但し、各実施例ではこれに限定するものではない。
【0135】
また、一般の硝材とは異なる特性を持つ材料として、下記の無機酸化物微粒子を合成樹脂中に分散させた混合体がある。すなわち、TiO(nd=2.304,νd=13.8),Nb(nd=2.367,νd=14.0),ITO(nd=1.8581,νd=5.53)がある。この他、Cr(nd=2.2178,νd=13.4),BaTiO(nd=2.4362,νd=11.3)等を挙げることができる。
この中では、TiO(nd=2.304,νd=13.8,θgF=0.87)微粒子を合成樹脂中に分散させた場合、条件式(1)、(2)を満足する光学材料となる。
【0136】
TiOは様々な用途で使われる材料であり、光学関連では反射防止膜などの光学薄膜を構成する蒸着用材料として用いられている。他にも光触媒、白色顔料などとして、またTiO微粒子は化粧品材料として用いられている。
【0137】
TiO微粒子の平均径は、散乱などの影響を考えると2nm〜50nm程度がよく、凝集を抑えるために分散剤などを添加しても良い。
【0138】
TiOを分散させる媒体材料としては、ポリマーが良く、成形型等を用いて光重合成形または熱重合成形することにより高い量産性を得ることができる。
【0139】
また、ポリマーの光学定数の特性としても、部分分散比が比較的大きいポリマー、あるいはアッベ数が比較的小さいポリマーか、両者を満たすポリマーが良く、N−ポリビニルカルバゾール、スチレン、ポリメタクリル酸メチル(アクリル)、などが挙げられる。後述する実施例ではTiO微粒子を分散させるホストポリマーとしてUV硬化樹脂、N−ポリビニルカルバゾールを用いるが、これに限定するものではない。
【0140】
ナノ微粒子を分散させた混合体の分散特性N(λ)は、良く知られたDrudeの式から導きだされた次式によって簡単に計算することができる。即ち、
N(λ)=[1+V{NTiO2(λ)−1}+(1−V){NP(λ)−1}]1/2
…(d)

ここで、λは任意の波長、NTiOはTiOの屈折率、NPはポリマーの屈折率、Vはポリマー体積に対するTiO微粒子の総体積の分率である。
【0141】
以下、実施例1〜5に対応する数値実施例1から5について具体的な数値データを示す。各数値実施例において、iは物体側から数えた面の番号を示し、Riは第i番目の光学面(第i面)の曲率半径である。Diは第i面と第(i+1)面との間の軸上間隔である。Ni、νiはそれぞれd線に対する第i番目の屈折光学部材の材料の屈折率、アッベ数を表す。
【0142】
UV硬化樹脂やTiO及びその微粒子分散材料のd、g、C、F線に対する屈折率、アッベ数は部分分散比θgd、θgFで示す。
【0143】
また、非球面形状は、Xを光軸方向の面頂点からの変位量、hを光軸と垂直な方向の光軸からの高さ、rを近軸曲率半径、kを円錐定数、B,C,D,E…を各次数の非球面係数とするとき、
【0144】
【数2】

【0145】
で表す。
【0146】
なお、各非球面係数における「E±XX」は「×10±XX」を意味している。又、前述の各条件式と数値実施例との関係を表1に示す。
【0147】

(数値実施例1)
R D Nd νd
1 ∞ 6.00 1.51633 64.1
2 ∞ 1.50
3 238.08021 18.94 1.43387 95.1
4 -526.27591 31.28
5 137.79350 16.20 1.43387 95.1
6 -18469.60605 1.63
7 -963.04958 5.90 1.72916 54.7
8 244.10184 46.34
9 78.71311 12.16 1.49700 81.5
10 201.58333 0.38
11 88.17068 5.50 1.73400 51.5
12 59.59035 102.64
13 258.37953 3.31 1.76182 26.5
14 -201.40525 2.00 1.88300 40.8
15 99.25718 53.67
16(絞り) ∞ 11.01
17 70.53447 1.80 1.80518 25.4
18 36.80733 5.04 1.51823 58.9
19 -162.67733 4.51
20 120.35557 2.58 1.78472 25.7
21 -129.55183 1.30 1.72916 54.7
22 50.65004 2.23
23 -105.41308 1.30 1.80400 46.6
24 102.01789 3.00
25 78.24830 4.32 1.51823 58.9
26 -45.46741 1.00 1.58144 40.8
27 -218.96863 17.30
28 182.54336 6.39 1.76182 26.5
29 -70.45924 0.10 NGn=1.63555 VGn=22.7
30 -186.32857 2.00 1.60311 60.6
31 -3634.71344 10.00
32 ∞ 2.20 1.51633 64.1
33 ∞
像面 ∞


各種パラメータ
焦点距離 780.00
Fナンバー 5.80
画角 3.18
像高 21.635
レンズ全長 484.47
BF 100.92

各群焦点距離
群 始面 焦点距離
1 1 322.16
2 13 -154.45
3 16 146.67
4 20 -43.75
5 25 76.49

各群焦点距離
群 始面 焦点距離
1 1 322.16
2 13 -154.45
3 16 1850.12

(数値実施例2)
R D Nd νd
1 ∞ 6.00 1.51633 64.1
2 ∞ 1.50
3 237.21251 19.21 1.43387 95.1
4 -498.14086 30.00
5 137.10524 16.31 1.43387 95.1
6 -9629.60466 1.68
7 -891.68458 5.90 1.72916 54.7
8 236.05771 47.03
9 78.66780 12.19 1.49700 81.5
10 202.26017 0.28
11 87.75966 5.50 1.73400 51.5
12 59.68341 103.02
13 250.26761 3.35 1.76182 26.5
14 -201.45971 2.00 1.88300 40.8
15 97.93061 53.68
16(絞り) ∞ 10.43
17 69.62879 1.80 1.80518 25.4
18 35.31274 5.23 1.51823 58.9
19 -169.95521 2.60
20 110.44535 2.63 1.78472 25.7
21 -126.27702 1.30 1.72916 54.7
22 49.77052 2.26
23 -104.91648 1.30 1.80400 46.6
24 107.80999 2.88
25 75.42582 3.14 1.51823 58.9
26 -122.66358 1.00 1.60342 38.0
27 -740.65578 15.50
28 174.90601 5.88 1.78472 25.7
29 -93.63960 0.10 NGn=1.63555 VGn=22.7
30 -719.95320 12.00
31 ∞ 2.20 1.51633 64.1
32 ∞
像面 ∞

各種パラメータ
焦点距離 780.00
Fナンバー 5.80
画角 3.18
像高 21.635
レンズ全長 485.15
BF 107.26

各群焦点距離
群 始面 焦点距離
1 1 322.36
2 13 -153.97
3 16 153.64
4 20 -45.32
5 25 77.05

各群焦点距離
群 始面 焦点距離
1 1 322.36
2 13 -153.97
3 16 1767.98

(数値実施例3)
R D Nd νd
1 ∞ 6.00 1.51633 64.1
2 ∞ 1.50
3 243.34679 18.76 1.43387 95.1
4 -521.90775 31.94
5 138.12638 16.36 1.43387 95.1
6 -14791.73587 1.61
7 -957.97578 5.90 1.72916 54.7
8 248.35920 46.34
9 78.58557 12.20 1.49700 81.5
10 200.59195 0.64
11 88.27562 5.50 1.73400 51.5
12 59.51346 103.09
13 250.07954 3.30 1.76182 26.5
14 -206.24598 2.00 1.88300 40.8
15 97.04491 51.64
16(絞り) ∞ 10.68
17 68.50991 1.80 1.80518 25.4
18 35.83004 4.47 1.51823 58.9
19 -162.50188 4.49
20 106.87404 2.53 1.78472 25.7
21 -168.06254 1.30 1.72916 54.7
22 48.53412 2.34
23 -98.23787 1.30 1.80400 46.6
24 111.45880 3.13
25 78.88390 4.40 1.51823 58.9
26 -43.86003 1.00 1.57501 41.5
27 -193.51173 18.51
28 223.27355 5.75 1.72151 29.2
29 -66.05508 0.10 NGn=1.55324 NGn=39.8
30 1632.25260 2.00 1.56384 60.7
31 5957.42397 39.02
32 ∞ 2.20 1.51633 64.1
33 ∞
像面 ∞

各種パラメータ
焦点距離 780.00
Fナンバー 5.80
画角 3.18
像高 21.635
レンズ全長 483.63
BF 71.84

各群焦点距離
群 始面 焦点距離
1 1 322.81
2 13 -152.42
3 16 143.81
4 20 -44.26
5 25 78.03

各群焦点距離
群 始面 焦点距離
1 1 322.81
2 13 -152.42
3 16 1766.15
(数値実施例4)
R D Nd νd
1 ∞ 6.00 1.51633 64.1
2 ∞ 1.50
3 248.99767 18.69 1.43387 95.1
4 -501.08310 32.11
5 140.36576 16.20 1.43387 95.1
6 -5818.51622 1.57
7 -892.72624 5.90 1.72916 54.7
8 254.61688 48.94
9 78.56861 12.01 1.49700 81.5
10 197.09971 0.53
11 88.10284 5.50 1.73400 51.5
12 59.90065 101.46
13 235.24205 3.25 1.76182 26.5
14 -214.42384 2.00 1.88300 40.8
15 95.72225 52.87
16(絞り) ∞ 11.79
17 66.15341 1.80 1.80518 25.4
18 33.21558 4.68 1.51823 58.9
19 -158.82635 2.77
20 93.65889 2.45 1.78472 25.7
21 -268.57721 1.30 1.72916 54.7
22 45.54849 2.48
23 -91.65730 1.30 1.80400 46.6
24 122.90763 2.98
25 78.85424 3.80 1.48749 70.2
26 -62.50992 1.00 1.62588 35.7
27 -255.98616 13.51
28 204.56517 6.50 1.74077 27.8
29 -59.45162 0.10 NGn=1.55324 NGn=39.8
30* -887.47572 12.00
31 ∞ 2.20 1.51633 64.1
32 ∞

各種パラメータ
焦点距離 780.00
Fナンバー 5.80
画角 3.18
像高 21.635
レンズ全長 485.38
BF 106.20

第30面 k= 0.000000E+00 b=-2.186288E-09 c=-7.104773E-12
d=-3.588118E-13 e= 6.479557E-16

各群焦点距離
群 始面 焦点距離
1 1 321.47
2 13 -154.64
3 16 146.54
4 20 -44.40
5 25 77.57

各群焦点距離
群 始面 焦点距離
1 1 321.47
2 13 -154.64
3 16 2050.46


(数値実施例5)
R D Nd νd
1 ∞ 6.00 1.51633 64.1
2 ∞ 1.50
3 236.92597 19.50 1.43387 95.1
4 -469.15176 36.59
5 134.37383 15.67 1.43387 95.1
6 5816.64898 2.17
7 -817.64426 5.90 1.72916 54.7
8 253.37464 47.29
9 79.58893 12.15 1.49700 81.5
10 224.55858 1.23
11 94.47835 5.50 1.73400 51.5
12 60.32167 98.06
13 482.85167 3.03 1.76182 26.5
14 -153.68009 2.00 1.88300 40.8
15 114.10052 50.39
16(絞り) ∞ 15.92
17 63.09136 3.55 1.51633 64.1
18 -174.78037 2.15
19 207.07427 2.66 1.58267 46.4
20 -88.48685 1.30 1.74400 44.8
21 47.49499 51.32
22 312.85056 7.58 1.74077 27.8
23 -40.24751 0.10 NGn=1.63555 VGn=22.7
24 -57.16762 2.00 1.76200 40.1
25 -1193.63059 10.00
26 ∞ 2.20 1.51633 64.1
27 ∞
像面 ∞

各種パラメータ
焦点距離 780.00
Fナンバー 5.80
画角 3.18
像高 21.635
レンズ全長 480.76
BF 100.92

各群焦点距離
群 始面 焦点距離
1 1 327.89
2 13 -144.51
3 16 863.19

【0148】
【表1】



【0149】
次に各実施例に示した光学系を撮影光学系として用いたデジタルスチルカメラの実施形態を図12を用いて説明する。
【0150】
図12において、20はカメラ本体である。21は実施例1〜5で説明したいずれかの光学系によって構成された撮影光学系である。22はカメラ本体に内蔵され、撮影光学系21によって形成された被写体像を受光するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)である。
【0151】
23は固体撮像素子22によって光電変換された被写体像に対応する情報を記録するメモリである。24は液晶ディスプレイパネル等によって構成され、固体撮像素子22上に形成された被写体像を観察するためのファインダである。
【0152】
このように本発明の光学系をデジタルスチルカメラに適用することにより、小型で高い光学性能を有する撮像装置(光学機器)が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】本発明の光学系の作用を説明する為の近軸配置概略図である。
【図2】数値実施例1の光学系の光学系断面図である。
【図3】数値実施例1の無限遠合焦状態での収差図である。
【図4】数値実施例2の光学系の光学系断面図である。
【図5】数値実施例2の無限遠合焦状態での収差図である。
【図6】数値実施例3の光学系の光学系断面図である。
【図7】数値実施例3の無限遠合焦状態での収差図である。
【図8】数値実施例4の光学系の光学系断面図である。
【図9】数値実施例4の無限遠合焦状態での収差図である。
【図10】数値実施例5の光学系の光学系断面図である。
【図11】数値実施例5の無限遠合焦状態での収差図である。
【図12】本発明の撮像装置の要部概略図である。
【符号の説明】
【0154】
OL 光学系
Gp 前群
Gn 後群
Q 近軸軸上光線
R 瞳近軸光線
GN 屈折光学素子
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
L3 第3レンズ群
L4 第4レンズ群
L5 第5レンズ群
SP 開口絞り
IP 像面
d d線
g g線
S.C 正弦条件
ΔM メリディオナル像面
ΔS サジタル像面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸と瞳近軸光線の交わる点をPとするとき、点Pよりも拡大側で最も拡大側のレンズ面における近軸軸上光線の光軸からの高さの最大値が、点Pより縮小側で近軸軸上光線がレンズ面を通過する光軸からの高さの最大値よりも大きい光学系において、点Pより縮小側に、光入出射面が共に屈折面で固体材料から形成される少なくとも1つの負の屈折力の屈折光学素子Gnを含むレンズ群Lrを有し、
該屈折光学素子Gnの材料のアッベ数、g線とF線に関する部分分散比を各々νd(Gn)、θgF(Gn)、
該屈折光学素子Gnと該レンズ群Lrの焦点距離を各々FGn、Frとするとき
−2.100×10−3・νd(Gn)+0.693<θgF(Gn)
0.55<θgF(Gn)<0.90
0.02<|FGn/Fr|<10.00
なる条件を満足することを特徴とする光学系。
【請求項2】
物体側より像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群を有す光学系において、該光学系は開口絞りを有し、開口絞りよりも縮小側に、光入出射面が共に屈折面で固体材料から形成される少なくとも1つの負の屈折力の屈折光学素子Gnを含むレンズ群Lrを有し、
該屈折光学素子Gnの材料のアッベ数、g線とF線に関する部分分散比を各々νd(Gn)、θgF(Gn)、
該屈折光学素子Gnと該レンズ群Lrの焦点距離を各々FGn、Frとするとき
−2.100×10−3・νd(Gn)+0.693<θgF(Gn)
0.55<θgF(Gn)<0.90
0.02<|FGn/Fr|<10.00
なる条件を満足することを特徴とする光学系。
【請求項3】
前記アッベ数νd(Gn)は
νd(Gn)<60
なる条件を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の光学系。
【請求項4】
前記屈折光学素子Gnのg線とd線に関する部分分散比をθgd(Gn)とするとき、
−2.407×10−3・νd(Gn)+1.420<θgd(Gn)
1.255<θgd(Gn)<1.670
なる条件を満足することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の光学系。
【請求項5】
前記屈折光学素子Gnの光入射面のうち、少なくとも一方の面は非球面形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項6】
前記屈折光学素子Gnの光入射面のうち、少なくとも一方の面は空気に接していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項7】
前記光学系は、物体側より像側へ順にフォーカスの際に不動の正の屈折力の第1レンズ群、フォーカスのために光軸方向へ移動する負の屈折力の第2レンズ群を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項8】
前記レンズ群Lrにおける、正の屈折力を有するレンズの材料の平均アッベ数をVp、負の屈折力を有するレンズの材料の平均アッベ数をVnとするとき、
0.8 < Vp / Vn < 1.8
なる条件を満足することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項9】
前記光学系は、物体側より像側へ順にフォーカスの際に不動の正の屈折力の第1レンズ群、フォーカスのために光軸方向へ移動する負の屈折力の第2レンズ群を有し、該第1レンズ群の焦点距離をF1、該第2レンズ群の焦点距離をF2、全系の焦点距離をFとするとき、
0.2<F1/F<0.7
0.1<|F2/F|<0.5
なる条件を満足することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項10】
前記光学系は、物体側より像側へ順にフォーカスの際に不動の正の屈折力の第1レンズ群、フォーカスのために光軸方向へ移動する負の屈折力の第2レンズ群、開口絞り、フォーカスの際に不動の正の屈折力の第3レンズ群、光軸に対し垂直方向の成分を持つように移動して像を変位させる負の屈折力の第4レンズ群、フォーカスの際に不動の正の屈折力の第5レンズ群を有し、前記屈折光学素子Gnは該第5レンズ群に含まれることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項11】
前記光学系は、物体側より像側へ順にフォーカスの際に不動の正の屈折力の第1レンズ群、フォーカスのために光軸方向へ移動する負の屈折力の第2レンズ群、開口絞り、フォーカスの際に不動の正の屈折力の第3レンズ群を有し、前記屈折光学素子Gnは該第3レンズ群に含まれることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項の光学系を備えていることを特徴とする光学機器。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2009−139543(P2009−139543A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314595(P2007−314595)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】