説明

光学素子、固体撮像装置、携帯情報端末、および表示装置

【課題】周囲環境温度の影響を受けにくく、焦点距離を変えるための切り替えの応答性が良好である、光学素子、固体撮像装置、携帯情報端末、および表示装置を提供することを可能にする。
【解決手段】第1面に凸形状の複数のレンズが設けられ、第1面に対向する第2面は平坦形状となっているレンズアレイと、レンズアレイに対向する面に、レンズアレイの各レンズに対応して設けられた凹部を有し、この凹部は、凹部に対応する凸形状のレンズが嵌り込むことが可能なサイズを有しているレンズホルダと、レンズアレイおよびレンズアレイホルダの少なくとも一方を駆動して、レンズアレイの凸形状のレンズとレンズアレイホルダの凹部とを離間状態または接触状態にする駆動部と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光学素子、固体撮像装置、携帯情報端末、および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2次元アレイ情報として奥行き方向の距離を得ることができる撮像技術は、参照光を使用する方法、複数カメラを使用したステレオ測距方法など様々な方法が検討されている。特に近年は、民生用途での新たな入力デバイスとして比較的廉価な製品のニーズが高まっている。ライトフィールドフォトグラフィ技術を利用した撮像装置においては、ライトフィールドフォトグラフィ技術を用いない通常の高解像度での撮像モードと、ライトフィールドフォトグラフィ技術に基づく撮像モードとの切り替えが可能であり、前者の撮像モードではマイクロレンズが不要で、後者の撮像モードではマイクロレンズを光軸上に配置する必要がある。
【0003】
ライトフィールドカメラは、通常のカメラにおける絞りの機構を拡張したものとみなすことができ、光学的には多眼カメラにより実現される。ライトフィールドカメラでは、様々な画角で焦点の異なった複数の画像を同時に撮影する。このような画像データを解析することにより、領域全体で焦点の合っている画像を生成できる。さらに、被写界深度を利用した距離計測や、画像データ解析による光源方向の推定もでき、従来のカメラでは得られない情報も取得できる。
【0004】
そこで、多視差画像を得ることができかつ解像度低下を抑えるための構成として、結像レンズを持つ多眼方式の撮像装置が提案されている。この撮像装置は、撮像レンズ、撮像レンズを透過した光が入射するマクロレンズアレイ部、およびマイクロレンズアレイ部から出射された光を受光する撮像素子を備えており、マイクロレンズアレイ部を構成する各マイクロレンズは、印加される電圧に応じて焦点距離が可変となる可変焦点レンズである。
【0005】
可変焦点レンズの一例として、液晶レンズが挙げられる。この液晶レンズは、液晶をレンズ状の空間に封入し印加する電圧を調整することにより、液晶の見かけの屈折率を変化させるもので、同じ形状のレンズであってもそれを構成する材料の屈折率が変化させることによりレンズの焦点距離を変化させるものである。
【0006】
しかし、可変焦点レンズとして液晶レンズを用いた場合、所望の屈折率を実現する特殊な材料の選定が必要になるとともに、これらの材料を封止するレンズ構成は複雑なものとなり、製造コストの増大に繋がる。また、液晶レンズは環境温度の影響を受けやすく、周囲環境温度の変化に応じて焦点距離が変化する恐れがある。さらに、焦点距離を変えるための切り替えを、高速に行うことは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−167395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、周囲環境温度の影響を受けにくく、焦点距離を変えるための切り替えの応答性が良好である、光学素子、固体撮像装置、携帯情報端末、および表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態の光学素子は、第1面に凸形状の複数のレンズが設けられ、前記第1面に対向する第2面は平坦形状となっているレンズアレイと、前記レンズアレイに対向する面に、前記レンズアレイの各レンズに対応して設けられた凹部を有し、この凹部は、前記凹部に対応する前記凸形状のレンズが嵌り込むことが可能なサイズを有しているレンズホルダと、前記レンズアレイおよび前記レンズアレイホルダの少なくとも一方を駆動して、前記レンズアレイの前記凸形状のレンズと前記レンズアレイホルダの前記凹部とを離間状態または接触状態にする駆動部と、を備えていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態による固体撮像装置を示す断面図。
【図2】第1実施形態の固体撮像装置に係る光学素子を説明する断面図。
【図3】図2に示す光学素子の機能を説明する図。
【図4】図2に示す光学素子の駆動方式の第1具体例を説明する図。
【図5】図2に示す光学素子の駆動方式の第2具体例を説明する図。
【図6】図2に示す光学素子の駆動方式の第3具体例を説明する図。
【図7】第2実施形態による固体撮像装置を示す断面図。
【図8】図8(a)乃至8(c)は第2実施形態に係る光学素子のレンズ要素の第1具体例を示す図。
【図9】図9(a)乃至9(c)は第2実施形態に係る光学素子のレンズ要素の第2具体例を示す図。
【図10】図10(a)乃至10(c)は第2実施形態に係る光学素子のレンズ要素の第3具体例を示す図。
【図11】第3実施形態による表示装置を示すブロック図。
【図12】第1または第2実施形態の固体撮像装置を用いた携帯情報端末の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号が付してある。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態の固体撮像装置を図1乃至図6を参照して説明する。第1実施形態の固体撮像装置の断面を図1に示す。この固体撮像装置は、半導体基板2と、この半導体基板2上に形成されたフォトダイオードを有する複数の画素4と、これらの画素4の上部に形成されたカラーフィルタ6と、半導体基板2に形成されて上記複数の画素4を駆動してこれらの画素4からの信号を読み出す駆動/読出し回路(図示せず)と、を有する撮像素子1を備えている。なお、複数の画素4は複数の画素ブロック(図示せず)に分けられる。また、画素4およびカラーフィルタ6が形成された半導体基板2の上方には、焦点距離が可変でかつ可視光を透過する光学素子10が設けられている。この光学素子10の構成および作用については、後で詳細に説明する。光学素子10は、画素が形成された撮像領域の周囲に設けられた樹脂材料のスペーサ8によって半導体基板2と接合される。なお、半導体基板2と光学素子10とを接合する際の位置合わせは、図示しない合わせマーク等を基準にして行う。
【0013】
また、半導体基板2には、画素4の読出し用電極パッド22が設けられ、この電極パッド22の下部には半導体基板2を貫通する貫通電極24が形成されている。そして半導体基板2は、貫通電極24およびバンプ26を介してチップ30と電気的に接続される。このチップ30には、撮像装置を駆動し読み出された信号を処理する駆動処理回路が形成されている。
【0014】
また、光学素子10の上方には結像レンズ40が設けられ、この結像レンズ40はレンズ鏡筒42に取り付けられ、このレンズ鏡筒42はレンズホルダ44に取り付けられる。レンズホルダ44は光学素子10のレンズが設けられていない周囲の領域上に接合される。この結像レンズ40の取り付け時に、押し付け圧と出力像の関係から結像レンズ40の焦点距離の調整をしても良い。なお、半導体基板2、光学素子10、およびチップ30の周囲には、不要な光を遮断するための光遮蔽カバー50が取り付けられる。そして、光遮蔽カバー50にチップ30と外部とを電気的に接続するモジュール電極52が設けられる。
【0015】
次に、光学素子10について、図2(a)乃至図3(b)を参照して説明する。この光学素子10は、レンズアレイ10aと、レンズホルダ10bとを有している。レンズアレイ10aは、一方の面に凸形状の複数のレンズが設けられ、他方の面は平坦形状となっている。なお、レンズアレイ10aの各レンズは各画素ブロックに対応して設けられる。複数のレンズが設けられている、レンズアレイ10aの一方の面はレンズホルダ10bに対向するように配置される。レンズホルダ10bは、レンズアレイ10aに対向する面に、レンズアレイ10aの各レンズと同一の曲率を有する凹部が各レンズに対応して設けられる。レンズアレイ10aと、レンズホルダ10bとは、レンズアレイ10aの各レンズと、レンズホルダ10bの凹部が組み合わさると、図2(a)に示すように接触状態である一体構造の光学素子となるが、図2(b)に示すように、所定の距離をおいて離間状態とすることも可能である。レンズアレイ10aと、レンズホルダ10bとを接触状態にするか、または離間状態にするかは、図示しない駆動機構によって行う。なお、レンズアレイ10aおよびレンズホルダ10bは、同じ屈折率を有しており、例えば同じ材料から形成される。
【0016】
接触状態においては、レンズアレイ10aとレンズホルダ10bは同一の屈折率を有す透明材料であることから、見かけ上一体構造の透明基板を構成するため、レンズ機能が生じず、光学素子10の上部からの光は図3(a)に示すように一般的な平行光として、その下部に位置する撮像素子1に到達する。
【0017】
一方、離間状態においては、レンズホルダ10bに入射した光波は、その凹部により、光波は外側へと屈折して出射し、その後、下方に位置するレンズアレイ10aの各レンズへ入射する。各レンズは凸状の形状を有し、レンズホルダ10bから出射した光は、レンズに取り込まれる。そして、その下方、即ち撮像素子1の各画素ブロックに像を形成する(図3(b))。すなわち、光学素子10にはレンズ機能が生じる。
【0018】
つまり、レンズホルダ10bと、レンズアレイ10aの位置が、接触しているか、または離間しているかにより焦点が変化する。接触状態で通常の撮影モード、離間状態でライトフィールド撮影モードとなるように切り替えることが可能になる。本方式によれば、通常の撮影モード時も解像度を低下することが無く、高解像度の画像の出力を実現することができる。
【0019】
次に、光学素子10を駆動する方式について説明する。
【0020】
(第1具体例)
図4に、光学素子10を駆動する方式の第1具体例を示す。この第1具体例の駆動方式は、透明材料で形成された凸形状のレンズを有するレンズアレイ10aと、透明材料で形成された凹部を有するレンズホルダ10bとを対向配置する。そして、レンズホルダ10bの外周に圧電アクチュエータを有する圧電駆動部11を形成する。この圧電駆動部11と、レンズホルダ10bは一体となっている。そして、圧電駆動部11またはレンズホルダ10bと、レンズアレイ10aとは、4つの角部で接続部10cによって接続される。圧電アクチュエータには、ZnO、PZT(Pb(ZrTi1−x)O))、LiNbO、AiN等を用いることができる。凹部を有したレンズホルダ10bは、SiOのような絶縁性の光学的に透明な材料を用いる。また、有機系樹脂を用いても良い。レンズホルダ10bの外周に設置された圧電アクチュエータには、その上面および下面に外部から電圧の印加が可能な電極が設けられ、これの電極に電圧を印加することで圧電効果により下方へ変位する。下方へ変位したレンズホルダ10bは、凸形状のレンズを有するレンズアレイ10aと接触状態または離間状態(非接触状態)となり、焦点を可変とすることが可能になる。ここで、前述のとおり、レンズホルダ10bの光透過部の透明材料は、レンズアレイ10aを形成する材料と屈折率的に一致している必要がある。
【0021】
(第2具体例)
図5に、光学素子10を駆動する方式の第2具体例を示す。この第2具体例の駆動方式は、透明材料で形成された凸形状のレンズを有するレンズアレイ10aと、透明材料で形成された凹部を有するレンズホルダ10bとを対向配置する。そして、レンズホルダ10bの外周に圧電アクチュエータを有する圧電駆動部11を形成する。この圧電駆動部11と、レンズホルダ10bは一体となっている。そして、圧電駆動部11またはレンズアレイ10aと、レンズホルダ10bとは、4つの角部で接続部10cによって接続される。圧電アクチュエータは、第1具体例で説明した場合と、同様に、ZnO、PZT、LiNbO、AiN等を用いることができる。またレンズホルダ10bは、SiOのような絶縁性の光学的に透明な材料を用いる。また、有機系樹脂を用いても良い。また、この第2具体例においては、レンズアレイ10aの外周に設置された圧電駆動部11には、その上面および下面に外部から電圧の印加が可能な電極が設けられ、これらの電極に電圧を印加することで圧電効果により上方へ変位する。上方へ変位したレンズアレイ10aは、レンズホルダ10bと接触状態または離間状態(非接触状態)となり、焦点を可変とすることが可能になる。ここで、前述のとおり、レンズホルダ10bの光波透過部の透明材料は、レンズアレイ10aを形成する材料と屈折率的に一致している必要がある。
【0022】
(第3具体例)
図6に、光学素子10を駆動する方式の第3具体例を示す。
【0023】
第1および第2具体例においては、レンズホルダ10bおよびレンズアレイ10aの何れかを圧電駆動し、接触状態または非接触状態となるように駆動したが、勿論レンズホルダ10bおよびレンズアレイ10aの双方を駆動しても良い。これを第3具体例として説明する。この第3具体例の駆動方式は、レンズホルダ10bとレンズアレイ10aに、双方に対向する位置に電極を設け、平行平板型のコンデンサを構成する。そして上記電極に電圧を印加する静電駆動により、レンズホルダ10b、レンズアレイ10aの接触状態または非接触状態を実現する。
【0024】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態による固体撮像装置を図7(a)、7(b)を参照して説明する。図7(a)、7(b)は第2実施形態の固体撮像装置の動作を説明する断面である。この第2実施形態の固体撮像装置は、第1実施形態の固体撮像装置において、光学素子10を光学素子12に置き換えた構成となっており、光学素子12は、駆動回路200によって静電気的に駆動され、レンズ形状となるように変形される。なお、第2実施形態の撮像素子1は、支持基板100上に形成される。
【0025】
光学素子12は、撮像素子1上に設けられ、撮像素子1が設けられた側と反対側の表面に2次元に配列された複数の空孔12bが設けられた透明基板12aと、この透明基板12a上に設けられた可塑性の透明膜12cと、複数の空孔12bに対応する透明膜12の領域上に、透明膜12に接着するように設けられた複数の透明電極12dと、透明膜12cの周辺に設けられたスペーサ層12eと、複数の透明電極12dに対向するようにスペーサ層12e上に設けられた透明な対向電極12fとを備えている。したがって、複数の透明電極12dと、対向電極12fとの間には空洞(エアギャップ)13が形成される。
【0026】
可塑性の透明膜12cの材料として、ポリイミド、SU−8、PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂など透明樹脂膜等を用いることができる。また、透明電極12dおよび透明な対向電極12fとして、ZnOやITO等を用いることができる。透明電極12dは後述する可塑性の透明膜12cの変形とともに変形可能な厚さを有している。また、対向電極12fは剛性を高めるために透明基板に貼り付けることにように設けてもよい。この場合、対向電極12fの膜厚を薄くすることができる。
【0027】
複数の透明電極12dと、対向電極12fとの間に駆動回路200によって電圧を印加することによって、光学素子12は駆動される。複数の透明電極12dと、対向電極12fとの間に電圧が印加されない場合には、可塑性の透明膜12cは平坦な形状となっている(図7(a)参照)。複数の透明電極12dと、対向電極12fとの間に駆動回路200によって電圧を印加すると、エアギャップ13中に静電界が発生される。そして、可塑性の透明膜12cの下部に空孔12bが存在し、空孔12bの周囲が固定されているため、これらは電圧の印加に伴い静電気力により、可塑性の透明膜12cおよび透明電極は、対向電極12f側へ引き寄せられ、レンズ状の形状となる(図7(b)参照)。すなわち、電圧が印加されないときは、可塑性の透明膜12cは平坦な状態を保持し、単なる光の透過部材として作用する。一方、電圧が印加されたときは、可塑性の透明膜12cは各透明電極12dに対応する部分が変形して任意の曲率を有した複数のレンズ形状を保持し、レンズとして機能することが可能になる。したがって、光学素子12は、焦点を可変とすることができる。なお、可塑性の透明膜12cの透明電極12dに対応する部分(空孔12bに対応する部分)がレンズ形状に変形するとき、各透明電極12dも可塑性の透明膜12cの変形に沿った変形する(図7(b)参照)。各透明電極12dと、この透明電極12dに対応する可塑性の透明膜12cの部分がレンズ要素を構成する。そして、各レンズ要素においては、駆動回路200によって電圧が印加されない場合には透明電極12dおよびこの透明電極12dに対応する可塑性の透明膜12cの部分は平坦形状となり、駆動回路200によって電圧が印加された場合には、透明電極12dおよびこの透明電極12dに対応する可塑性の透明膜12cの部分はレンズ形状になる。
【0028】
(第1具体例)
この光学素子12における一つのレンズ要素の第1具体例の構成を図8(a)、8(b)、8(c)を参照して説明する。図8(a)にレンズ要素の第1具体例の断面図を示す。この第1具体例のレンズ要素は、表面に空孔12bが設けられた透明基板12a上に設けられた可塑性の透明膜12cと、この透明膜12c上に接着して設けられた透明電極12dと、ギャップ13を挟んで透明電極12dに対向するように設けられた対向電極12fと、この対向電極12fが形成される透明基板12gとを備えている。図8(b)に、透明電極12d側から見た対向電極12fおよび透明基板12gを示す平面図を示す。対向電極12fは、図7(a)、7(b)では、複数のレンズ要素に対して一つの共通な電極であったが、この第1具体例では、図8(b)からわかるように、各レンズ要素に対して、個別に設けられた構成となっている。各対向電極12fは矩形形状を有するとともに、各対向電極12fに対して電圧を印加するための配線12hが設けられている。図8(c)は、対向電極12fが設けられた透明基板12gの斜視図である。なお、第1具体例において、可塑性の透明膜12c上に設けられる透明電極12dは、複数のレンズ要素に対して共通な一つの透明電極としてもよい。
【0029】
また、対向電極を複数のレンズ要素に対して一つの共通な電極とし、可塑性の透明膜12c上に設けられる透明電極12dを図8(b)に示す形状となるように構成してもよい。この場合は、第1具体例に比べて、透明電極12dと対向電極12fとの位置合わせを精度良く行うことができる。
【0030】
(第2具体例)
光学素子12における一つのレンズ要素の第2具体例の構成を図9(a)、9(b)、9(c)を参照して説明する。図9(a)にレンズ要素の第2具体例の断面図を示す。この第2具体例のレンズ要素は、図8(a)乃至図8(c)に示す第1具体例において、透明電極12fの平面形状を図9(b)に示すような任意の間隔を有した渦状にした構成となっている。図9(b)は透明電極12d側から見た対向電極12fおよび透明基板12gを示す平面図であり、図9(c)は対向電極12fが設けられた透明基板12gの斜視図である。なお、第2具体例において、可塑性の透明膜12c上に設けられる透明電極12dは、複数のレンズ要素に対して共通な一つの透明電極としてもよい。
【0031】
また、対向電極を複数のレンズ要素に対して一つの共通な電極とし、可塑性の透明膜12c上に設けられる透明電極12dを図9(b)に示す形状となるように構成してもよい。この場合は、第2具体例に比べて、透明電極12dと対向電極12fとの位置合わせを精度良く行うことができる。
【0032】
(第3具体例)
光学素子12における一つのレンズ要素の第3具体例の構成を図10(a)、10(b)、10(c)を参照して説明する。図10(a)にレンズ要素の第3具体例の断面図を示す。この第3具体例のレンズ要素は、図8(a)乃至図8(c)に示す第1具体例において、透明電極12fを図9(b)に示すようにビラミッドのような厚さ方向に段を有した形状とした構成となっている。図10(b)は透明電極12d側から見た対向電極12fおよび透明基板12gを示す平面図であり、図10(c)は対向電極12fが設けられた透明基板12gの斜視図である。なお、第3具体例において、可塑性の透明膜12c上に設けられる透明電極12dは、複数のレンズ要素に対して共通な一つの透明電極としてもよい。
【0033】
また、対向電極を複数のレンズ要素に対して一つの共通な電極とし、可塑性の透明膜12c上に設けられる透明電極12dを図10(b)に示す形状となるように構成してもよい。この場合は、第2具体例に比べて、透明電極12dと対向電極12fとの位置合わせを精度良く行うことができる。
【0034】
第1具体例のように、各レンズ要素の透明電極として図8(b)に示す単純な矩形形状である場合には、透明電極の電極面積を大きくすることができるため、静電気力、即ち変位量を大きくすることができる。これに対して、第2または第3具体例にように、各レンズ要素の透明電極として図9(b)または図10(b)に示す形状である場合には、静電エネルギーの分布をもたらすことが可能になる。これにより任意の曲率を有したレンズ形状への変形も可能になる。第1乃至第3具体例においては、図8(b)、図9(b)、図10(b)に示すように、透明電極は矩形形状であったが、円形形状でも良い。
【0035】
なお、第1および第2実施形態の固体撮像装置は、スチルカメラばかりでなく、携帯情報端末、例えば図12に示す携帯情報端末400に適用することができる。図12に示す携帯情報端末は一例であって、符号1は第1または第2実施形態における固体撮像装置の撮像素子を示す。
【0036】
(第3実施形態)
第3実施形態による表示装置について図11を参照して説明する。図11は第3実施形態の表示装置を示すブロック図である。この第3実施形態の表示装置300は、2次元画像と3次元画像とを切り替えて表示することが可能な表示装置であって、表示パネル310と、駆動回路320と、焦点が可変な光学素子330とを備えている。表示パネル310は、画素がマトリクス状に配置された表示画面を有している。表示画面内に位置が定められた画素が平面的にマトリクス状に配置されているものであれば、直視型や投影型の液晶表示パネル、プラズマ表示パネル、電界放出型表示パネル、または有機EL表示パネルなどであってもよい。
【0037】
駆動回路320は、表示パネル310を駆動し、外部から送られてくる映像信号(表示データ)を表示パネル310に送って表示パネル310の画素に上記表示データを割り当て、2次元画像を表示するかまたは3次元画像を表示するように、表示パネル310を駆動する。なお、駆動回路320は表示パネル310と一体となっていてもよいし、表示パネル310の外に設けられていてもよい。
【0038】
光学素子330は、表示パネル310の前面に設けられ、表示パネル310の画素からの光線を制御し、焦点が可変な構成を有している。この光学素子330は、例えば、第1実施形態で説明した光学素子10または第2実施形態で説明した光学素子12であり、光線を直進させる機能およびレンズ機能を切り替えて用いることができる。例えば、表示装置が2次元画像を表示する場合には光線を直進させる機能を用い、3次元画像を表示する場合にはレンズ機能を用いる。光線を直進させる機能およびレンズ機能の切り替えは、駆動回路320に入力する映像信号に基づいて駆動回路340が自動的に行ってよいし、視聴者がリモートコントローラ350を用いて駆動回路340に指令信号を送り、この指令信号に基づいて駆動回路340が行ってよい。この場合、この表示装置300においては、外部から送られてくる映像信号が2次元映像信号であるときには、周知の技術を用いて2次元映像信号から奥行き情報を推定または検出し、推定または検出された奥行き情報を用いて3次元映像信号を生成する機能を表示パネル310または駆動回路320が備えていることが好ましい。奥行き情報の推定または検出は、例えば、画像の動きベクトルを求め、この動きベクトルを用いて行うことができる。
【0039】
また、光学素子310の各レンズには、第1および第2実施形態の場合と同様に、複数の画素(画素ブロック)が割り当てられる。光線を直進させる機能およびレンズ機能を切り替えて用いることができる光学素子310を、3次元画像が表示可能な表示装置に用いると、2次元画像を表示する際に解像度を低下させることなく、表示することができる。
【0040】
なお、第3実施形態の表示装置に用いる光学素子は、レンズ形状が半円柱状の形状、すなわちシリンドリカルレンズ形状であってもよい。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0042】
1 撮像素子
2 半導体基板
6 カラーフィルタ
8 スペーサ樹脂
10 光学素子
10a レンズアレイ
10b レンズホルダ
11 圧電駆動部
12 光学素子
12a 透明基板
12b 空孔
12c 可塑性の透明膜
12d 透明電極
12e スペーサ層
12f 対向電極
12g 透明基板
12h 配線
22 電極パッド
24 貫通電極
26 バンプ
30 チップ
40 結像レンズ
42 レンズ鏡筒
44 レンズホルダ
300 表示装置
310 駆動回路
320 表示パネル
330 光学素子
340 駆動回路
350 リモートコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面に凸形状の複数のレンズが設けられ、前記第1面に対向する第2面は平坦形状となっているレンズアレイと、
前記レンズアレイに対向する面に、前記レンズアレイの各レンズに対応して設けられた凹部を有し、この凹部は、前記凹部に対応する前記凸形状のレンズが嵌り込むことが可能なサイズを有しているレンズホルダと、
前記レンズアレイおよび前記レンズアレイホルダの少なくとも一方を駆動して、前記レンズアレイの前記凸形状のレンズと前記レンズアレイホルダの前記凹部とを離間状態または接触状態にする駆動部と、
を備えていることを特徴とする光学素子。
【請求項2】
前記レンズアレイおよび前記レンズホルダは同じ屈折率を有していることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
【請求項3】
前記駆動部は圧電駆動または静電駆動によって駆動することを特徴とする請求項1または2記載の光学素子。
【請求項4】
表面に複数の空孔が設けられた第1透明基板と、
前記複数の空孔を覆うように前記第1透明基板上に設けられた可塑性の透明膜と、
少なくとも前記複数の空孔に対応する前記透明膜の領域上に前記透明膜と接着するように設けられた第1透明電極と、
前記第1透明電極に対向するように前記第1透明電極と離間して設けられた透明な第2電極と、
前記第1および第2透明電極に電圧を印加して前記透明膜を変形させるように駆動する駆動部と、
を備えていることを特徴とする光学素子。
【請求項5】
前記駆動部によって前記第1および第2透明電極に電圧が印加された場合に、前記透明膜はレンズ形状に変形することを特徴とする請求項4記載の光学素子。
【請求項6】
被写体を撮像する撮像レンズと、
前記撮像レンズを透過した光が入射する請求項1乃至5のいずれかに記載の光学素子と、
前記光学素子から放射された光を受光する撮像素子と、
を備えていることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項7】
前記光学素子は、請求項1乃至3のいずれかに記載の光学素子であり、
通常の撮影モードの場合は、前記レンズアレイの前記凸形状のレンズと前記レンズアレイホルダの前記凹部とは接触状態にされ
ライトフィールド技術に基づく撮影モードの場合は、前記レンズアレイの前記凸形状のレンズと前記レンズアレイホルダの前記凹部とは離間状態にされることを特徴とする請求項6記載の固体撮像装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の固体撮像装置を備えていることを特徴とする携帯情報端末。
【請求項9】
画素がマトリクス状に配置された表示画面を有している表示パネルと、
前記表示パネルを駆動し、表示データを表示パネルに送って前記表示パネルの画素に上記表示データを割り当て、2次元画像を表示するかまたは3次元画像を表示するように前記表示パネルを駆動する駆動回路と、
前記表示パネルの前面に設けられ、前記表示パネルの画素からの光線を制御する、請求項1乃至5のいずれかに記載の光学素子と、
を備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項10】
前記光学素子は請求項1乃至3のいずれかに記載の光学素子であり、
前記2次元画像を表示する場合は、前記レンズアレイの前記凸形状のレンズと前記レンズアレイホルダの前記凹部とは接触状態にされ、
前記3次元画像を表示する場合は、前記レンズアレイの前記凸形状のレンズと前記レンズアレイホルダの前記凹部とは離間状態にされることを特徴とする請求項9記載の表示装置。
【請求項11】
前記光学素子は請求項4または5のいずれかに記載の光学素子であり、
前記2次元画像を表示する場合は、前記第1および第2透明電極に電圧が印加されず、
前記3次元画像を表示する場合は、前記第1および第2透明電極に電圧が印加されることを特徴とする請求項9記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−177773(P2012−177773A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40163(P2011−40163)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】