説明

光線追跡方法、プログラム及び光線追跡装置

【課題】振動などにより光学部品に偏心が生じ、追跡する光線が予想される光路軌跡をはずれても、精度良く、誤動作することなく正確に光線の停止位置を把握することができる光線追跡方法を提供する。
【解決手段】光学要素の全てを内包する光線停止要素を自動生成し、追跡する光線の位置座標と方向ベクトルを用いて、光線と光学要素または光線停止要素の遮光面の光学面との交点座標を計算し、光線と交点座標までの距離が最短である光学要素を選択し、選択された光学要素について、反射または屈折の法則を用いて、透過光線または反射光線の位置と出射光線ベクトルを順次求めていき、光線と交点座標までの距離が最短である要素が光線停止要素となった場合に、光線追跡を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光線追跡に関し、特にレンズとミラーを組み合わせたレーザー書込み光学系を持つプリンターの解析、設計に好適な光線追跡方法に関する。なお、本発明はかかるレーザー書込み光学系に適用した実施例に沿って説明するが、当然に直線及び曲線(非球面レンズ、多項式など)レンズ要素の連結によるレンズ系に適用可能であり、その他にも光学スキャナ、多面体反射板、シート状レンズなどに応用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、さまざまな光路追跡方法、光路表示方法、光路表示装置及びレンズの設計方法が知られている。これらの技術では光路をロジック化しプログラムで記述することで定義し、あるいは光路上のミラーやレンズ形状を定式化しプログラムで記述することで定義している。
従来例として、例えば特許文献1に記載の技術を挙げられる。特許文献1のように光路をロジック化するものでは、光路の変更をするためには光路ロジック部分のプログラム変更が必要である。また、光路上のミラーやレンズ形状などの光学面を定式化するものでは、光路の変更をするためには光学面形状のロジック部分のプログラム変更が必要である。すなわち光路上に存在するレンズやミラーの順番を指定する必要がある。また、反射光又は透過光の区別を指定する必要がある。
また、他の従来例として特許文献2に記載の技術を挙げられる。特許文献2の技術は、光路やレンズ形状に変更があっても、予想される光路軌跡を、短時間に十分かつ精度良く、誤動作することなく正確に把握することができる光路追跡方法である。
【特許文献1】特開昭63−253474号公報
【特許文献2】特開平9−259169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の光路追跡方法又はレンズの設計方法における光学シミュレーションでは、予め設定されたか予測された光路に沿って光線追跡を行なう。このため、偏心などの影響により、光路がずれて迷光となると追跡不能となるという問題がある。また、偏心がなくともプリンター書込み光学ユニットでは、レーザー書込みを開始する場合に、同期検知のセンサーが使用されるが、初回は感光体上の画像域でない場所に光線が飛ぶことで様々な迷光が発生し、問題となる場合がある。また、迷光の分布が明確にわからないと遮光などの具体的な対策ができないという問題があった。
本発明は上述の問題に鑑みてなされたものであり、光学部品が振動などにより偏心が生じ、予想される光路軌跡をはずれても、精度良く、誤動作することなく正確に停止位置を把握することができる光線追跡方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明では上記目的を解決するために、追跡する光路の位置座標を用いて、光線と各光学要素の光学面との交点座標を計算し、各光学要素について反射や屈折の法則などを適用し、入射光線ベクトル、光学面の法線ベクトル、入射角、屈折角、屈折率から、光線追跡で必要な透過光線及び反射光線を求めるようにして、これを光線停止要素である停止面で停止するまで繰り返すようにしている。なお、本発明では光線追跡の手法の前提として次の内容を用いる。
・光線は、始点と方向ベクトルを有する。
・光線が、レンズ面に遭遇したとき屈折率の違いにより屈折角の法則(スネルの式)が適用される。
・光線が、ミラー面に遭遇したときいわゆる正反射(入射角と出射角の大きさが等しい)が適用される。
すなわち、請求項1に記載の発明は、光源から出力される光ビームの走査により画像の書込を行う光ビーム書込み装置の光線追跡方法において、前記光源のデータと光学要素のデータとを入力するデータ入力ステップと、前記光源と前記光学要素のデータに基づいて、前記光源及び前記光学要素のすべてを内包する面から構成される多面体のそれぞれの面の中心位置と有効範囲を計算する有効範囲計算ステップと、前記有効範囲に基づいて前記光学要素の全てを内包する立体である光線停止要素を生成する光線停止要素自動生成ステップと、追跡する光線の位置座標と方向ベクトルを用いて、前記光線と前記各光学要素または前記光線停止要素の遮光面との交点座標を計算する交点計算ステップと、前記光線と前記交点座標までの距離を計算して、距離が最短である光学要素を選択する最短距離計算ステップと、前記光学要素について、反射または屈折の法則を用いて、透過光線または反射光線の位置と出射光線ベクトルを求める出射光計算ステップと、を有し、前記最短距離計算ステップで選択された光学要素が光線停止要素である場合に、光線追跡を停止させることを特徴とする。
【0005】
また、請求項2に記載の発明は、光源から出力される光ビームの走査により画像の書込を行う光ビーム書込み装置の光線追跡方法において、予め予測された光路順を設定するステップと、予測された光路順に交点計算を行なう交点計算ステップと、予測された光路順に出射光線の位置と出射光線ベクトルを求める出射光計算ステップと、を有し、前記光線と予測された光学要素に交点が存在しない場合に、請求項1に記載の光線追跡方法を実行することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光線追跡方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、光源から出力される光ビームの走査により画像の書込を行う光ビーム書込み装置の光線を追跡する光線追跡装置において、前記光源のデータと光学要素のデータとを入力するデータ入力手段と、前記光源と前記光学要素のデータに基づいて、前記光源及び前記光学要素のすべてを内包する面から構成される多面体のそれぞれの面の中心位置と有効範囲を計算する有効範囲計算手段と、前記有効範囲に基づいて前記光学要素の全てを内包する立体である光線停止要素を生成する光線停止要素自動生成手段と、追跡する光線の位置座標と方向ベクトルを用いて、前記光線と前記各光学要素または前記光線停止要素の遮光面の光学面との交点座標を計算する交点計算手段と、前記光線と前記交点座標までの距離を計算して、距離が最短である光学要素を選択する最短距離計算手段と、前記光学要素について、反射または屈折の法則を用いて、透過光線または反射光線の位置と出射光線ベクトルを求める出射光計算手段と、を備え、前記最短距離計算手段で選択された光学要素が光線停止要素である場合に、光線追跡を停止させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、光路を予想しなくともレイアウト情報と光線と交点との距離計算から、十分かつ精度良く、誤動作することなく正確に光線の最終停止位置を把握することができる。また必要に応じて前記光学要素毎の透過光線及び反射光線の光路の軌跡分布を把握し、オプティカルブラック塗装による遮光などの不具合対策が容易にできる。
また、光路が予想される光路軌跡を通過しなくとも、十分かつ精度良く、誤動作することなく正確に停止位置を把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の第1の実施形態について図面に基づいて説明する。
本発明は種々のミラーやレンズなどの光学要素を含む光学系に適用可能である。
図1は本発明の光線追跡方法における書込み光学系の光学要素レイアウトと光線追跡結果の実施形態を示す図である。書き込み光学系としてレーザー書き込み光学系を使用した例である。
光源0から光線が発射され、光源0の光線から最短距離にあるカバーガラス1を通過し、カバーガラス1から出射された光線から最短距離にあるカップリングレンズ2を通過する。以下、同様に光線から最短距離にある光学要素を順次通過していく。カップリングレンズ2の次にシリンドリカルレンズ3を通過し、第1折返しミラー4、第2折返しミラー5で反射し、防音ガラス6に入り、ポリゴンミラー7で反射して、再び防音ガラス6を通過して、第1fθレンズ8、第2fθレンズ9を通り、第3折返しミラー10、第4折返しミラー11、第5折返しミラー12で反射して、防塵ガラス13を透過して、第1光線停止要素14である光線スポット位置で停止している。この実施例では、すべての光学要素を内包する第2光線停止要素15では光線が停止していない。
【0008】
図2は本実施形態の光線追跡方法における基本的手順を示すフローチャートである。この処理は例えば、32ビット又は64ビットのCPU(中央演算処理装置)を有するコンピュータにより実行することができる。光学要素の入力は、コンピュータに備えられたキーボードや、コンピュータが読み取り可能なファイルから行なわれ、設定したデータはコンピュータに備えられたハードディスクやRAMに保存される。本実施形態にかかる光線追跡方法をコンピュータに実行させるためのプログラムはハードディスクに記憶され、主記憶装置に転送されて実行することができる。
図2に記載された光線追跡方法のフローチャートについて説明する。まず、すべての光源の位置、方向ベクトル、波長と温度、すべての光線停止要素を含む光学要素の中心座標位置、有効範囲、面形状を記述する次数や係数、材料の光学特性のデータを入力する(ステップS1)。データの設定ができると、各光学要素の有効範囲であるレイアウト情報の点列座標から全光学要素を包含する最大最小位置を計算し、すべての光学要素を内包する光線停止要素(第2光線停止要素15)を自動生成する(ステップS2)。光線停止要素の自動生成については後述する。次に指定された光線が発射され光線追跡が開始される(ステップS3)。光線の位置座標と方向ベクトルに対し、すべてのミラーやレンズといった光学要素の光学面との交点計算が実行される。交点が存在しなければ(ステップS5でNo)、次の光学要素を計算する(ステップS4)。交点が存在すれば(ステップS5でYes)、光線の位置との距離を計算する。すべての光学要素との距離計算が終了した時に、光線から最短距離にある交点が選ばれる(ステップS6でYes)。また、このとき交点がある光学要素が光線停止要素であれば(ステップS7でYes)、光線追跡を終了する。最短の交点計算が終われば、当該交点からの出射ベクトルを計算する(ステップS8)。当該交点と出射ベクトルを次の光線の開始位置及び方向ベクトルとして、光線追跡を繰り返す(ステップS4〜S8)。これらのステップにより、光線追跡の順番を設定しなくとも任意の光線に対する光線追跡が可能となる。また、予測された光路を通過しなくとも、すべての光学部品を内包する第2光線停止要素15の遮光面により、光線追跡の停止が保証される。
【0009】
図3は、本発明の光線追跡方法による光線停止要素の自動生成フローチャートを示す図である。図2のステップS2に相当する。図3は、すべての光学要素を内包する光線停止要素の自動生成アルゴリズムを示している。図3では6面を持つ直方体を例に挙げているが、すべての光学要素を内包する立体が生成されれば良いので、もちろん球体を生成してもよい。光線停止要素を自動生成するためには、図2の光学データ入力(ステップS1)で設定された各光学部品レイアウト情報の点列座標を対象にXYZ座標の最大最小座標点を計算し、全部品を内包する最大最小範囲を特定することが必要である。
図3のフローチャートについて説明する。まず、各光学要素のレイアウト情報を取得する(ステップS21)。取得したレイアウト情報の点列座標からXYZ座標における最大最小位置Mを計算する(ステップS22)。前記光源と前記光学要素のデータから、前記光源及び前記光学要素のすべてを内包する面から構成される多面体のそれぞれの面の中心位置と有効範囲を計算する有効範囲計算ステップ上記の動作を全光学要素に対して行なう(ステップS23)。各光学要素の最大最小位置Mから全光学要素を包含する最大最小位置Nを計算する。Nから6つのストッパ面座標を算出する(ステップS24)。直方体を構成するレイアウトになるように座標変換計算する(ステップS25)。光線停止要素が所有する面として6面を設定する(ステップS26)。
【0010】
図4は、本発明の光線追跡方法により実施された光線追跡結果を示す図である。図に示すように、予測された光路を通過せずに自動生成された光線停止位置(図1の第2光線停止要素15)で光線追跡が終了している。
このように、本発明によれば、予想される光路軌跡を外れても自動生成された光線停止位置(第2光線停止要素15)で光線が停止する。従って、光路を予想しなくともレイアウト情報と光線と交点との距離計算から、十分かつ精度良く、誤動作することなく正確に光線の最終停止位置を把握することができる。また必要に応じて前記光学要素毎の透過光線及び反射光線の光路の軌跡分布を把握し、オプティカルブラック塗装による遮光などの不具合対策が容易にできる。
【0011】
本発明の第2の実施形態について説明する。
図5は、光路が予測できる光線追跡、いわゆる一般的な光線追跡のフローチャートを示す図である。通常は、まず、すべての光源の位置、方向ベクトル、波長と温度、すべての光線停止要素を含む光学要素の中心座標位置、有効範囲、面形状を記述する次数や係数、材料の光学特性のデータを入力する(ステップS1)。
このような処理フローでは、図4に示すような予測外の光線を追跡することはできない。しかし、通常は光線が予測の範囲を越えることは稀である。従って、効率的な光線追跡を行なうためには、通常は図5の一般的な光線追跡を実行するようにし、予測の範囲を越えた場合に、本発明の第1の実施形態に係る光線追跡を行なえばよい。
【0012】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る光線追跡方法を示すフローチャートである。通常は、図5に示された予測された光路について光線追跡を行なう。しかし、予測の範囲を越えた場合は図2、3に示された請求項1の光線追跡方法を実行する。
このように本発明によれば、光路が予想される光路軌跡を通過しなくとも、十分かつ精度良く、誤動作することなく正確に停止位置を把握することができる。
ここで、光線のミラー反射の定式化について説明する。図7は、光線のミラー面での反射モデルを示す図である。
光線の入射と反射は入射光のベクトルと反射面の方程式がわかれば、計算することが可能となる。
反射面の方程式は数式(1)を用いて任意の3点より以下のように得られる。
DxR+FyR+GzR+H=0
・・・・・・・・・・(1)
ただし、D、F、G、Hは定数である。
次に図7のモデルからK点の座標(xp,yp,zp)を求める。出射点P(xs,ys,zs)からQ方向に出た光はミラー面のどこに当たりどの方向に反射するかを計算する。ここでPK=Lとする。出射点と反射点およびミラー面との関係は以下の式で表すことができる。

・・・・・・・・・・(2)

・・・・・・・・・・(3)

・・・・・・・・・・(4)

・・・・・・・・・・(5)
ただし、Qは単位ベクトルであり、Q=(Qx,Qy,Qz)である。
数式(5)に数式(2)〜(4)を代入し整理する。




・・・・・・・・・・(6)
数式(6)よりLを求め、数式(2)〜(4)に代入しK点の座標を求める。
【0013】
<光線のレンズ面屈折の定式化>
図8は、レンズ面での屈折モデルを示す図である。
図8(a)のように入射点P’(Xp’,Yp’,Zp’)から入射した光は光学面上の交点K’(Xk’,Yk’,Zk’)に当たって屈折し、出射光ベクトルT’=(Tx’,Ty’,Tz’)方向に屈折する。
光学面を回転対称な2次曲面と考えると光学面の方程式は以下のように表せる。

・・・・・・・・・・(7)
ここで、C:Conic定数(C>0楕円、C=0放物面、C<0双曲面、C=1球面)、r:基準球面の曲率半径である。
一方、P’K’=mとすると、P’とK’の2点間には以下のような関係がある。但し、入射光ベクトルQ’=(Qx’,Qy’,Qz’)である。
Xk’=Xp’+mQx’
Yk’=Yp’+mQy’
Zk’=Zp’+mQz’
・・・・・・・・・・(8)
数式(7)、(8)の連立方程式より、mを求め、求めたmを式(8)に代入することで交点K'の座標を求めることができる。
【0014】
次に出射光ベクトルT’=(Tx’,Ty’,Tz’)を求める。
図8(b)に示されるように屈折率Nの媒質から屈折率N’の媒質界面へ入射角iで入射した光線の出射角i’および屈折方向を計算する。
光学面の法線ベクトルEは光学面の勾配から計算できる。そこで数式(7)を変形し以下の式を得る。

・・・・・・・・・・(9)
勾配の各成分は式(9)を偏微分し、定数Bを用いて以下のように計算できる。

・・・・・・・・・・(10)

・・・・・・・・・・(11)





なる関係を用いて、
スネルの法則

・・・・・・・・・・(12)
を変形すると、出射光ベクトルT'は以下のように求まる。

・・・・・・・・・・(13)
ここでcosi’は以下のように計算できる。

・・・・・・・・・・(14)
ただし、signは符号のみを返す関数である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による光線追跡の実施例を示す図である。
【図2】本発明の請求項1の光線追跡方法を示すフローチャートであり、処理手順を示している。
【図3】本発明の光線追跡方法による光線停止要素の自動生成フローチャートを示す図である。
【図4】本発明の光線追跡方法により実施された光線追跡結果を示す図である。ここでは自動生成された光線停止位置で光線追跡が終了していることを示している。
【図5】いわゆる一般的な光線追跡の光路が予測されている光線追跡方法のフローチャートである。
【図6】本発明の請求項2の光線追跡方法を示すフローチャートである。
【図7】光線のミラー面での反射モデルを示す図である。
【図8】(a)、(b)は、レンズ面での屈折モデルを示す図である。
【符号の説明】
【0016】
0…光源、1…カバーガラス、2…カップリングレンズ、3…シリンドリカルレンズ、4…第1折返しミラー、5…第2折返しミラー、6…防音ガラス、7…ポリゴンミラー、8…第1fθレンズ、9…第2fθレンズ、10…第3折返しミラー、11…第4折返しミラー、12…第5折返しミラー、13…防塵ガラス、14…第1光線停止要素、15…第2光線停止要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出力される光ビームの走査により画像の書込を行う光ビーム書込み装置の光線追跡方法において、
前記光源のデータと光学要素のデータとを入力するデータ入力ステップと、
前記光源と前記光学要素のデータに基づいて、前記光源及び前記光学要素のすべてを内包する面から構成される多面体のそれぞれの面の中心位置と有効範囲を計算する有効範囲計算ステップと、
前記有効範囲に基づいて前記光学要素の全てを内包する立体である光線停止要素を生成する光線停止要素自動生成ステップと、
追跡する光線の位置座標と方向ベクトルを用いて、前記光線と前記各光学要素または前記光線停止要素の遮光面との交点座標を計算する交点計算ステップと、
前記光線と前記交点座標までの距離を計算して、距離が最短である光学要素を選択する最短距離計算ステップと、
前記光学要素について、反射または屈折の法則を用いて、透過光線または反射光線の位置と出射光線ベクトルを求める出射光計算ステップと、を有し、
前記最短距離計算ステップで選択された光学要素が光線停止要素である場合に、光線追跡を停止させることを特徴とする光線追跡方法。
【請求項2】
光源から出力される光ビームの走査により画像の書込を行う光ビーム書込み装置の光線追跡方法において、
予め予測された光路順を設定するステップと、
予測された光路順に交点計算を行なう交点計算ステップと、
予測された光路順に出射光線の位置と出射光線ベクトルを求める出射光計算ステップと、を有し、
前記光線と予測された光学要素に交点が存在しない場合に、請求項1に記載の光線追跡方法を実行することを特徴とする光線追跡方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光線追跡方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項4】
光源から出力される光ビームの走査により画像の書込を行う光ビーム書込み装置の光線を追跡する光線追跡装置において、
前記光源のデータと光学要素のデータとを入力するデータ入力手段と、
前記光源と前記光学要素のデータに基づいて、前記光源及び前記光学要素のすべてを内包する面から構成される多面体のそれぞれの面の中心位置と有効範囲を計算する有効範囲計算手段と、
前記有効範囲に基づいて前記光学要素の全てを内包する立体である光線停止要素を生成する光線停止要素自動生成手段と、
追跡する光線の位置座標と方向ベクトルを用いて、前記光線と前記各光学要素または前記光線停止要素の遮光面の光学面との交点座標を計算する交点計算手段と、
前記光線と前記交点座標までの距離を計算して、距離が最短である光学要素を選択する最短距離計算手段と、
前記光学要素について、反射または屈折の法則を用いて、透過光線または反射光線の位置と出射光線ベクトルを求める出射光計算手段と、を備え、
前記最短距離計算手段で選択された光学要素が光線停止要素である場合に、光線追跡を停止させることを特徴とする光線追跡装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate