光走査装置および該光走査装置を用いたプリンタ
【課題】 低雑音で、信頼性が高く、非常に小型で、安価な光走査装置およびプリンタを提供すること。
【解決手段】 走査系を、フォトニック結晶を強誘電体で形成し、フォトニック結晶(第2のフォトニック結晶13)に印加する電圧で制御(電圧制御部14)する偏向器と、強誘電体または誘電体(第1のフォトニック結晶12)で形成した偏向した光の偏向角を拡大する偏向角拡大器で構成し、かつ、少なくとも偏向拡大器を構成するフォトニック結晶(第1のフォトニック結晶12)において、光源からの光に対するバンドが1つのみ存在するように構成している。この構成によりレーザー光17の偏向角を120°以上にすることが可能となり、小型の光走査装置を実現することができる。
【解決手段】 走査系を、フォトニック結晶を強誘電体で形成し、フォトニック結晶(第2のフォトニック結晶13)に印加する電圧で制御(電圧制御部14)する偏向器と、強誘電体または誘電体(第1のフォトニック結晶12)で形成した偏向した光の偏向角を拡大する偏向角拡大器で構成し、かつ、少なくとも偏向拡大器を構成するフォトニック結晶(第1のフォトニック結晶12)において、光源からの光に対するバンドが1つのみ存在するように構成している。この構成によりレーザー光17の偏向角を120°以上にすることが可能となり、小型の光走査装置を実現することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査技術に係り、特にプリンタ等に用いられる光走査装置およびそれを用いたプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在普及しているプリンタには様々な方式があるが、そのなかの1つに光学的に書き込みを行う光書き込み方式がある。光書き込み方式の代表的なものとしては電子写真方式が挙げられる。
【0003】
光書き込み方式で自己発光型の代表的なものとして、銀塩方式がある。銀塩方式は、印画紙に直接光で書き込み、光が照射されたところが現像後に照射した光の色に発色するものであり、赤(R),緑(G),青(B)の3色の光を用いて書き込むことでフルカラープリントができる。
【0004】
また、自己発色型で最近注目されているものに、フォトクロミック材料を用いたものがある。フォトクロミック材料とは、光により色が可逆的に変化するもので、光を照射した部分がその光の色に変化し、さらに、色が変化した部分に紫外線を照射することで、元の色に戻すことが可能であるため、フルカラーで、光による書き込みおよび消去が繰り返し可能なリライタブルペーパーとして期待されている。
【0005】
一方、上述した光書き込み方式に用いられる従来の光走査装置には、電子写真方式プリンタ等で現在最も採用されているポリゴンミラー方式の光走査装置がある。ポリゴンミラー方式は、複数の反射面を有するポリゴンミラーを高速で回転させ、その反射面に光を当てることで、光を走査させることができる。
【0006】
以下、従来の光走査装置について説明する。
図12は、特開2003−202510号公報(特許文献1)に開示されたポリゴンミラー方式を説明するための図である。
【0007】
同図において、251は光源手段であり、4つのビームを出射する4ビーム半導体レーザより成っている。252はコリメーターレンズ、253は絞り、232はシリンドリカルレンズ、202は光偏向器であるポリゴンミラー、222は球面レンズ(第1の走査レンズ)、226はトーリックレンズ(第2の走査レンズ)、255は光学部材(間隔調整部材)としての平行平板ガラスであり、光検出器230により検出された量(感光ドラム上を走査する複数ビームの副走査方向の位置ズレ情報)に応じて、副走査方向に傾け制御することにより、感光ドラム(感光体)227上を走査する複数ビームの副走査方向の描画位置(走査開始位置)を調整している。
【0008】
また、従来の光走査装置の別の方式として、LEDや有機ELなどの発光素子をアレイ状に並べた光走査装置が提案されている。
【0009】
図13は、特開平9−226172号公報(特許文献2)に開示された光走査装置を説明するための図であり、有機EL素子をアレイ状に並べた構成を有し、任意の有機EL素子を制御して点灯させることにより光を走査させることを可能にしたものである。
【0010】
同図に示す光走査装置は、ガラス基板308上に、信号電極309が有機ELのドット数と略同数個配置されている。各々の信号電極309は絶縁膜の第1コンタクトホール310を介して透明電極311に電気的に接続されている。
【0011】
この透明電極311は、絶縁膜の第2コンタクトホール312において、正孔輸送層313と発光層314を挟んで、電子注入電極315と対向している。
【0012】
この絶縁膜の第2コンタクトホール312は発光領域に該当するので、一直線上に等間隔に配列されている。電子注入電極315は、保護膜の第1コンタクトホール316において、共通電極318と電気的に接続されている。保護膜の第2コンタクトホール317は、保護膜が信号電極309と透明電極311の層間に形成されているので、信号電極309と透明電極311を電気的に接続するために必要となっている。
【0013】
また、フォトニック結晶の大きな波長分散特性を用いた光走査装置も提案されている。
【0014】
図14は、特開2001−13439号公報(特許文献3)に提案された光走査装置を説明するための図であり、酸化シリコン膜431内に円柱状のシリコン432を周期的に並べたフォトニック結晶430と波長可変レーザ410を用い、波長可変レーザ410の波長制御子に流す電流を変化させ波長を650nmから660nmまで変化させることにより、フォトニック結晶430内での光ビームの進行方向を変化させ、これにより光ビームの偏向方向を大きく変化させて光走査を行うようにしたものである。
【0015】
また、本出願人が提案した特開2001−75040号公報(特許文献4)では、波長可変レーザとフォトニック結晶でレーザ走査システムを構成し、波長を連続的に変化させて、レーザ光を走査している。
【0016】
また、光位置センサ、または、スタート位置センサおよび終点位置センサを設け、センサからの情報をフィードバックしてレーザの波長を補正している。これは波長可変レーザという特殊なレーザを用いており、装置が高価になってしまう。
【0017】
また、本出願人が提案した特開2003−149419号公報(特許文献5)では、波長可変DBR半導体レーザとフォトニック結晶とレーザ光をフォトニック結晶に入射させるカップリングレンズとで光走査装置を構成している。
【0018】
波長可変DBR半導体レーザは、導波路を局部的に加熱するヒータを搭載し屈折率を可変する受動導波路加熱方式の半導体レーザであり、レーザ光の波長を変化させて、レーザ光を走査している。これは特開2001−75040号公報(特許文献4)と同様に特殊なレーザを用いており、装置が高価になってしまう。
【0019】
その他の従来技術として、後述する如き特開平11−70695号公報(特許文献6)、特開2003−54030号公報(特許文献7)、特開2003−1864号公報(特許文献8)、D. Scrymgeour, N. Malkova, S. Kim and V. Gopalan, Appl. Phys. Lett., 82, 3176 (2003)(非特許文献1)もある。
【0020】
【特許文献1】特開2003−202510号公報
【特許文献2】特開平9−226172号公報
【特許文献3】特開2001−13439号公報
【特許文献4】特開2001−75040号公報
【特許文献5】特開2003−149419号公報
【特許文献6】特開平11−70695号公報
【特許文献7】特開2003−54030号公報
【特許文献8】特開2003−1864号公報
【非特許文献1】H. Kosaka et al., Rhys. Rev. B 58, R10096 (1998)
【非特許文献2】D. Scrymgeour, N. Malkova, S. Kim and V. Gopalan, Appl. Phys. Lett., 82, 3176 (2003)
【非特許文献3】川島伊久衛,高橋裕幸,平野成伸,光学 32巻12号,707(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、上述したポリゴンミラー方式は、ミラーを機械的に回転させるという機械的駆動部が必要であるため、機械的摩耗が生じるという信頼性の面で問題があり、また、騒音が発生してしまうという問題がある。さらに、比較的大きな空間を占めてしまいプリンタが大きくなってしまうといった問題があった。
【0022】
一方、LEDや有機ELなどの発光素子をアレイ状に並べた光走査装置は、発光素子を並べて任意の発光素子を点灯させるので、機械的な駆動部がなく機械的摩耗や騒音が発生せず、また、占有する空間が比較的小さくプリンタ装置を小型化することができる。
【0023】
しかしながら、発光素子としてLEDをアレイ状に並べた光走査装置では、非常に長いLEDアレイチップを作製するのは非常に困難であるため、複数のLEDアレイチップを並べて実装する必要があるが、実装精度は印字品質に大きく影響するため、高精度の実装を行う必要があり、コストアップにつながっている。
【0024】
また、LEDアレイは、印字品質に大きく影響する発光ばらつきの問題がある。発光ばらつきに対して、特開平11−70695号公報(特許文献6)のように、電極の一部をレーザ光で切断して1ビット毎に調整する手段はあるが、工程数が増えることになりコストアップにつながる。
【0025】
発光素子として有機EL素子をアレイ状に並べた光走査装置では、特開平9−226172号公報(特許文献2)のように(図13参照)、長尺のものを一括で作製することができるため、実装工程がないため低コストにすることができる、また、発光ばらつきが比較的少ない。しかしながら、有機EL素子は、LEDに比べて寿命が短く、また、累積点灯時間が長くなるにつれて次第に輝度が低下するという問題がある。
【0026】
この問題に対しては、特開2003−54030号公報(特許文献7)のように、構造上単位面積あたりの発光強度を低下させて寿命を伸ばしたり、あるいは、特開2003−1864号公報(特許文献8)のように、有機ELアレイを複数ライン並べて、使用中のラインに寿命が来たら別のラインに切り替えて実質的に寿命を伸ばしたりするなどで対応しているが、構造が複雑になり、有機ELの低コストおよび小型化という利点が損なわれているという問題がある。さらに、有機ELアレイの寿命が短く、また、次第に輝度が低下するという問題の根本的解決にはなっていない。
【0027】
また、フォトニック結晶と波長可変レーザで構成した光走査装置は、機械的な駆動部がなく、騒音が発生せず、プリンタ装置を小型化することができる。しかしながら、波長可変レーザという特殊なレーザを用いる必要があり、装置が高価なものになってしまうという問題がある。
【0028】
本発明は、上記問題を解消し、低騒音で、信頼性が高く、非常に小型で、安価な光走査装置およびプリンタを提供することを目的とするものである。以下、各請求項毎の目的を具体的に述べる。
【0029】
a)請求項1および請求項2記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価な光走査装置を提供することを目的としている。
【0030】
b)請求項3から請求項8に記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価であり、かつ、光量の損失や迷光が少ない光走査装置を提供することを目的としている。
【0031】
c)請求項9および請求項10記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価で、かつ、高速走査が可能な光走査装置を提供することを目的としている。
【0032】
d)請求項11記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価で、かつ、多色のプリンタに用いられる光走査装置を提供することを目的としている。
【0033】
e)請求項12記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価で、かつ、フルカラープリンタに用いられる光走査装置を提供することを目的としている。
f)請求項13記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価な光走査装置を提供することを目的としている。
【0034】
g)請求項14記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価なプリンタを提供することを目的としている。
h)請求項15記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価なカラープリンタを提供することを目的としている。
i)請求項16記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価なリライタブルペーパー用プリンタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明は、上記目的を達成するために、走査系を、フォトニック結晶を強誘電体で形成し、フォトニック結晶に印加する電圧で制御する偏向器と、強誘電体または誘電体で形成した偏向した光の偏向角を拡大する偏向角拡大器で構成し、かつ、少なくとも偏向拡大器を構成するフォトニック結晶において、光源からの光に対するバンドが1つのみ存在するように構成している。この構成により偏向角を120°以上にすることが可能となり、より小型の光走査装置を実現することができる。以下、請求項毎の構成を述べる。
【0036】
a)請求項1および請求項2に記載の光走査装置は、光源と、強誘電体で形成されたフォトニック結晶と誘電体で形成されたフォトニック結晶に印加する電圧を制御する電圧制御部からなる偏向器と、強誘電体または誘電体で形成されたフォトニック結晶からなる偏向角拡大器と走査位置を検出する検出器とから光走査装置を構成し、検出器で検出した走査位置の信号を偏向器の電圧制御部にフィードバックして光を走査しており、かつ、偏向角拡大器を構成するフォトニック結晶を光源からの光に対するフォトニックバンドが1つのみ存在するように構成している。
【0037】
ここで、ある光に対してフォトニックバンドが1つのみ存在するとは、その光のフォトニック結晶中の伝搬状態が1つしかないということであり、2つのフォトニックバンドが存在する場合には2つの伝搬状態が存在し、フォトニックバンドが全く無い場合にはフォトニック結晶中には光が伝搬しない(光が存在しない)ということである。
したがって、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、かつ、特殊なレーザを必要としない光走査装置を容易に製造することができる。
【0038】
b)請求項3に記載の光走査装置は、請求項1または2に記載の光走査装置において、偏向器を構成する強誘電体のフォトニック結晶の光が入射する面と光が出射する面の両面、または光が入射する面と光が出射する面のいずれか一方の面に、反射防止手段を設けている。
したがって、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
【0039】
c)請求項4に記載の光走査装置は、請求項3に記載の光走査装置において、反射防止手段を、断面が三角形状をした構造を光源波長の1/2以下の周期で配置している。
したがって、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
【0040】
d)請求項5記載の光走査装置は、偏向器を構成するフォトニック結晶の形成と、断面が三角形状をした構造の配置とを同一工程で行っている。
したがって、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
【0041】
e)請求項6記載の光走査装置は、請求項1〜5のいずれかに記載の光走査装置において、偏向角拡大器を構成する強誘電体または誘電体のフォトニック結晶の光が入射する面と光が出射する面の両面、または、光が入射する面と光が出射する面のいずれか一方の面に、反射防止手段を設けている。
したがって、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
【0042】
f)請求項7記載の発明は、請求項6に記載の光走査装置において、前記反射防止手段を、断面が三角形状をした構造を光源波長の1/2以下の周期で配置している。
したがって、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
【0043】
g)請求項8記載の光走査装置は、請求項7に記載の光走査装置において、前記偏向角拡大器を構成するフォトニック結晶の形成と、前記断面が三角形状をした構造の配置とを同一工程で行っている。
したがって、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
【0044】
h)請求項9および請求項10に記載の光走査装置は、請求項1〜8のいずれかに記載の光走査装置を、主走査方向または副走査方向に2つ以上並べて構成している。
したがって、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、実効的な走査速度が速い光走査装置を容易に製造することができる。
【0045】
i)請求項11に記載の光走査装置は、請求項10に記載の光走査装置において、光源の波長の異なる光走査装置を副走査方向に2つ以上並べて構成している。
したがって、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、異なる波長の光を走査できる光走査装置を容易に製造することができる。
【0046】
j)請求項12に記載の光走査装置は、光源波長の異なる3種類以上の請求項1〜8のいずれかに記載の光走査装置を、副走査方向に3つ以上並べて構成している。
したがって、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、3つ以上の異なる波長の光を走査できる光走査装置を容易に製造することができる。
【0047】
k)請求項13に記載の光走査装置は、請求項1〜12のいずれかに記載の光走査装置において、フォトニック結晶をPLZTで形成している。
したがって、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要としなく、かつ、可視光領域の光を走査できる光走査装置を容易に製造することができる。
【0048】
l)請求項14に記載のプリンタは、請求項1〜10のいずれかに記載の光走査装置と、像担持体と、現像器と、転写器と、定着器とで構成している。
したがって、低騒音で、信頼性が高く、非常に小型で、安価な電子写真式プリンタを容易に製造することができる。
【0049】
m)請求項15に記載のプリンタは、請求項12に記載の光走査装置と、現像器と、定着器とで構成している。
したがって、カラープリンタが可能で、かつ、低騒音で、信頼性が高く、非常に小型で、安価な銀塩式カラープリンタを容易に製造することができる。
【0050】
n)請求項16に記載のプリンタは、請求項1〜13のいずれかに記載の光走査装置と紫外光光源とで構成している。
したがって、フォトクロミック材料からなるリライタブルペーパーにプリントすることができ、かつ、低騒音で、信頼性が高く、非常に小型で、安価なリライタブルペーパー用カラープリンタを容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0051】
以上のように、この発明によれば、信頼性が高く、非常に小型で、安価な光走査装置およびプリンタを容易に製造することができる。以下、請求項毎の効果を述べる。
【0052】
a)請求項1および請求項2のいずれかに記載の光走査装置は、光源と、強誘電体で形成されたフォトニック結晶と誘電体で形成されたフォトニック結晶に印加する電圧を制御する電圧制御部からなる偏向器と、強誘電体または誘電体で形成され光源からの光に対するフォトニックバンドが1つのみ存在するフォトニック結晶からなる偏向角拡大器と走査位置を検出する検出器とから光走査装置を構成し、検出器で検出した走査位置の信号を偏向器の電圧制御部にフィードバックして光を走査しているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、特殊なレーザを必要とせず、かつ、偏向角の非常に大きい光走査装置を容易に製造することができる。
よって、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価な光走査装置を容易に実現することができる。
【0053】
請求項3に記載の光走査装置は、請求項1または2に記載の光走査装置において、偏向器を構成する強誘電体のフォトニック結晶の光が入射する面と光が出射する面の両面、または光が入射する面と光が出射する面のいずれか一方の面に、反射防止手段を設けているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
よって、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価であり、かつ、光量の損失や迷光が少ない光走査装置を実現することができる
【0054】
c)請求項4に記載の光走査装置は、請求項3に記載の光走査装置において、反射防止手段を、断面が三角形状をした構造を光源波長の1/2以下の周期で配置しているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
よって、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価であり、かつ、光量の損失や迷光が少ない光走査装置を実現することができる。
【0055】
d)請求項5に記載の光走査装置は、偏向器を構成するフォトニック結晶の形成と、断面が三角形状をした構造の配置とを同一工程で行っているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
よって、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価であり、かつ、光量の損失や迷光が少ない光走査装置を実現することができる。
【0056】
e)請求項6に記載の光走査装置は、請求項1〜5のいずれかに記載の光走査装置において、偏向角拡大器を構成する強誘電体または誘電体のフォトニック結晶の光が入射する面と光が出射する面の両面、または、光が入射する面と光が出射する面のいずれか一方の面に、反射防止手段を設けているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
よって、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価であり、かつ、光量の損失や迷光が少ない光走査装置を実現することができる。
【0057】
f)請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の光走査装置において、前記反射防止手段を、断面が三角形状をした構造を光源波長の1/2以下の周期で配置しているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
よって、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価であり、かつ、光量の損失や迷光が少ない光走査装置を実現することができる。
【0058】
g)請求項8に記載の光走査装置は、請求項7に記載の光走査装置において、前記偏向角拡大器を構成するフォトニック結晶の形成と、前記断面が三角形状をした構造の配置とを同一工程で行っているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
よって、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価であり、かつ、光量の損失や迷光が少ない光走査装置を実現することができる。
【0059】
請求項9および請求項10に記載の光走査装置は、請求項1〜8のいずれかに記載の光走査装置を主走査方向または副走査方向に2つ以上並べて構成しているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、特殊なレーザを必要とせず、偏向角の非常に大きく、かつ、実効的な走査速度が速い光走査装置を容易に製造することができる。
よって、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価で、かつ、高速走査が可能な光走査装置を容易に実現することができる。
【0060】
請求項11に記載の光走査装置は、請求項10に記載の光走査装置を、光源の波長の異なる光走査装置を副走査方向に2つ以上並べて構成しているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、特殊なレーザを必要とせず、偏向角の非常に大きく、かつ、異なる波長の光を走査できる光走査装置を容易に製造することができる。
よって、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価で、かつ、多色のプリンタに用いられる光走査装置を容易に実現することができる。
【0061】
請求項12に記載の光走査装置は、光源波長の異なる3種類以上の請求項1〜8のいずれかに記載の光走査装置を、副走査方向に3つ以上並べて構成しているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、特殊なレーザを必要とせず、偏向角の非常に大きく、かつ、3つ以上の異なる波長の光を走査できる光走査装置を容易に製造することができる。
よって、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価で、かつ、フルカラープリンタに用いられる光走査装置を容易に実現することができる。
【0062】
請求項13に記載の光走査装置は、請求項1〜12のいずれかに記載の光走査装置のフォトニック結晶をPLZTで形成しているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、特殊なレーザを必要としなく、偏向角の非常に大きく、かつ、可視光領域の光を走査できる光走査装置を容易に製造することができる。
よって、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価で、かつ、可視光領域の光で使用可能な光走査装置を容易に実現することができる。
【0063】
請求項14に記載のプリンタは、請求項1〜10のいずれかに記載の光走査装置と、像担持体と、現像器と、転写器とで構成しているので、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価なプリンタを容易に製造することができる。
よって、高品質のプリンタを安価に実現することができる。
【0064】
請求項15に記載のプリンタは、請求項12に記載の光走査装置と、定着器とで構成しているので、銀塩式カラープリンタが可能で、かつ、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価な銀塩式カラープリンタを容易に製造することができる。
よって、高品質のカラープリンタを安価に実現することができる。
【0065】
請求項16に記載のプリンタは、請求項1〜13のいずれかに記載の光走査装置と紫外光光源とで構成しているので、フォトクロミック材料からなるリライタブルペーパーにプリントすることができ、かつ、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価なプリンタを容易に製造することができる。
よって、高品質のリライタブルペーパー用プリンタを安価に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
【0067】
<第1の実施例>
本発明の第1の実施例として、光走査装置について説明する。
図1は、第1の実施例の光走査装置の構成を示す図である。
【0068】
図1に示した光走査装置は、光源(半導体レーザ)11と、誘電体(TiO2)で形成された第1のフォトニック結晶12と、強誘電体(PLZT)で形成された第2のフォトニック結晶13と、電圧制御部14と、光走査位置検出器(フォトダイオード)15で構成されている。図中、16は像担持体(感光ドラム)、17はレーザ光、18は円孔である。
【0069】
強誘電体(PLZT)で形成された第2のフォトニック結晶13の上下両面には電極131,132が形成されている。電極131と132の間には電圧制御部14が接続されており、強誘電体(PLZT)で形成された第2のフォトニック結晶13の厚さ方向に電圧を制御して印加することができるようになっている。
【0070】
図2は、図1に示した光走査装置の上面図である。また、本実施例では第1のフォトニック結晶12を、2次元最密円孔配列構造で構成してある。図3は、TMモードのフォトニックバンド図である。
【0071】
屈折率の異なる透明材料を多次元的に周期配列した構造体は、フォトニック結晶と呼ばれ、フォトニックバンドギャップ、異方性、高分散性などの特性を有することが知られている。
【0072】
フォトニック結晶の高分散性は、光の波長を若干変えるだけで屈折角が大きく変化する特性であり、また、入射角を若干変えても、屈折角が大きく変化させることができることが報告されている(H. Kosaka et al., Rhys. Rev. B 58, R10096 (1998)(非特許文献1))。
【0073】
一方、強誘電体で形成したフォトニック結晶の場合には、光の波長や入射角が固定であっても、フォトニック結晶に印加する電圧を変えることで、屈折角を大きく変化させることができることが報告されている(D. Scrymgeour, N. Malkova, S. Kim and V. Gopalan, Appl. Phys. Lett., 82, 3176 (2003)(非特許文献2))。
【0074】
図1および図2に示した本実施例の光走査装置では、TiO2で第1のフォトニック結晶12を形成し、また、PLZTで第2のフォトニック結晶13を形成し、第2のフォトニック結晶13の上下面に形成された電極131,132に電圧制御部14が接続されているので、半導体レーザ11から出射され、第2のフォトニック結晶13に入射したレーザ光17は、第2のフォトニック結晶13に印加する電圧を制御して任意の方向に偏向することができ、さらに、第1のフォトニック結晶12に入射して偏向角を拡大することができる。したがって、電圧制御部14で電圧を制御して、レーザ光を走査することができる。
【0075】
フォトニック結晶は先に述べたように波長分散性が高いが、光走査位置検出器15で走査開始位置および走査終了位置を検出し、その信号を電圧制御部14にフィードバックすることで、環境温度の変化などで半導体レーザ11の発光波長が若干変動しても、正常にレーザ光17を走査させることができる。
【0076】
また、本実施例では、第1のフォトニック結晶12において、光源(半導体レーザ)11からの光(レーザ光)17に対するフォトニックバンドが1つのみ存在するように構成してある。ここで、ある光に対してフォトニックバンドが1つのみ存在するとは、その光のフォトニック結晶中の伝搬状態が1つしかないということであり、2つのフォトニックバンドが存在する場合には2つの伝搬状態が存在し、フォトニックバンドが全く無い場合にはフォトニック結晶中には光が伝搬しない(光が存在しない)ということである。
【0077】
本実施例の第1のフォトニック結晶12は、TiO2に円孔18を最密充填で配列した2次元最密円孔配列構造で、図3は、そのときの円孔半径rと円孔配列間隔(格子定数)aとの比r/aが0.45の場合のTMモードのバンド図である。
【0078】
このバンド図において、規格化周波数が0.593の場合(図中の破線で示してある)、band3 しか存在しないことがわかり、光源の波長に応じて規格化周波数(ωa/2πc)が0.593となるような格子定数a、かつ、r/aが0.45となるようなrの条件で第1のフォトニック結晶を形成している。
【0079】
具体的には、光源が赤(波長660nm)の場合は円孔半径rを176.1nm、格子定数aを391.4nmとしており、また、緑(波長532nm)の場合は円孔半径rを141.3nm、格子定数aを315.5nmとし、青(波長457nm)の場合は円孔半径rを121.4nm、格子定数aを271.0nmとしている。
【0080】
図4は、この場合の分散面を示す図であり、空気中から第1のフォトニック結晶12にθinで入射した光は、θpの角度に偏向されることを示している。
【0081】
図5は、入射角θinと偏向角θpの関係を示す図であり、入射角θinを±1.7°振ることで160°(+80°〜−80°)の偏向が可能であることを示している。
【0082】
なお、フォトニックバンドが2つ存在する場合でも、フォトニック結晶の高分散性を得ることは可能である。図6は、TiO2に円孔18を最密充填で配列した2次元最密円孔配列構造での、円孔半径rと円孔配列間隔(格子定数)aとの比r/aが0.25の場合のTEモードのフォトニックバンド図である。
【0083】
本例の場合は、規格化周波数が0.425のとき、band 2とband 3の2つが存在しており、この場合の分散面はband 2の分散面とband 3の分散面の両方が存在する(図7)。このような場合でもband 2の影響を受けないようにすれば(図7中の斜線領域)、入射角のわずかの偏向で屈折角を大きく変化することは可能である。しかしながら、連続的に可変できる偏向角は最大でも120°未満となり、120°以上の偏向角を得ることは不可能である。
【0084】
一方、本実施例の第1のフォトニック結晶で用いているように、フォトニックバンドが1つのみ存在するフォトニック結晶で構成することで、120°以上の連続的に可変できる偏向角を得ることができるので、偏向角拡大部を小さくすることができ、したがって光走査装置全体を小型化することができる。
【0085】
第1のフォトニック結晶であるTiO2の2次元フォトニック結晶12は、TiO2基板にEBリソグラフィ工程および金属膜蒸着工程、リフトオフ工程でメタルマスクを形成した後、フロン系のガスによるドライエッチング工程で作製することができる。
【0086】
第2のフォトニック結晶であるPLZTの2次元フォトニック結晶13は、ゲル状の感光性PLZT膜を紫外光でパターン露光し、酸性の水溶液で紫外光の未照射部分を溶解した後、400℃でベークすることで作製することができる。
【0087】
なお、本実施例では、第1のフォトニック結晶12を形成する誘電体材料としてTiO2を用いているが、光源波長に対して透明であれば他の誘電体材料でも良く、強誘電体材料でも良い。
【0088】
また、第2のフォトニック結晶13を形成する強誘電体材料としてPLZTを用いたが、光源波長に対して透明な強誘電体材料であればよい。しかしながら、PLZTは可視光領域で透明であり、かつ、電気光学特性が非常に優れており、本発明の光走査装置を構成するフォトニック結晶の材料として最適である。フォトニック結晶の構造についても、本実施例では、2次元最密円孔配列構造としているが、他の構造でも良い。
【0089】
また、上記実施例では、光走査位置検出器15で走査開始位置および走査終了位置を検出して、電圧制御部14にフィードバックしているが、光走査位置検出する場所は走査開始位置および走査終了位置以外の場所でも良く、例えば図8に示す構成のように、フォトニック結晶12から出射したレーザ光をビームスプリッタ19で分岐して、フォトダイオードをアレイ状に並べた位置検出器151で常に位置を検出して電圧制御部14にフィードバックしてもよい。
【0090】
さらに、本実施例の光走査装置を、主走査方向に、あるいは、副走査方向に複数並べても良く、複数並べた構成では、実効的な走査速度を速くすることができる。
【0091】
<第1の実施例の別の形態>
上記第1の実施例の別の形態として反射防止構造を有する光走査装置を、図15,16を用いて説明する。
図15は、第1の実施例の光走査装置の別の形態の構成を示す図であり、図16はその上面図である。
【0092】
図15に示した光走査装置は、図1に示した光走査装置と同様に、光源(半導体レーザ)11と、誘電体(TiO2)で形成された第1のフォトニック結晶12、強誘電体(PLZT)で形成された第2のフォトニック結晶13と、電圧制御部14と、光走査位置検出器(フォトダイオード)15で構成されている。
【0093】
誘電体(TiO2)で形成された第1のフォトニック結晶12において、光を入射する面および出射する面には、断面が三角形状をした構造を光の波長の1/2以下の周期で配置した鋸歯形状の反射防止構造31,32を形成している。
【0094】
強誘電体(PLZT)で形成された第2のフォトニック結晶13においても、光を入射する面および出射する面には、断面が三角形状をした構造を光の波長の1/2以下の周期で配置した鋸歯形状の反射防止構造33,34を形成している。
【0095】
角錐形状を波長の1/2以下の周期で配置した構造は、“moth eye” と呼ばれ反射防止効果のあることが知られている。図15に示した光走査装置において、誘電体(TiO2)で形成された第1のフォトニック結晶12の光を入射する面および出射する面、強誘電体(PLZT)で形成された第2のフォトニック結晶13の光を入射する面および出射する面のそれぞれに形成した鋸歯形状(31,32,33,34)でも、反射防止効果が得られるので、第1のフォトニック結晶12および第2のフォトニック結晶13へのレーザ光17の入射時や、第1のフォトニック結晶12および第2のフォトニック結晶13からのレーザ光の出射時に、不要な反射を抑えることができる。
【0096】
走査光学系での不要の反射は、光量を低下させるだけでなく、迷光となって感光ドラムに不要な書込みを行いプリンタ装置の画像品質低下の原因となるが、図15に示す構成にすることで、走査光学系での不要な反射を低減し、プリンタ装置の画像品質を向上させることができる。
【0097】
図15に示した本実施例の光走査装置では、反射防止構造として、入射面および出射面に三角形状を波長の1/2周期以下で配置した鋸歯形状にしているが、従来の誘電体多層膜による反射防止膜を形成しても良い。
【0098】
しかし、誘電体多層膜による反射防止膜を形成するためには、フォトニック結晶構造を形成工程とは別途の工程が必要なのに対して、本実施例では三角形状を波長の1/2周期以下で配置した鋸歯形状にしており、フォトニック結晶構造を形成する工程で同時に形成することが可能なため、製造コストを抑えることができ、安価に提供することができる。
【0099】
また、三角形状を波長の1/2周期以下で配置した鋸歯形状を形成する面は、第1のフォトニック結晶12の光を入射する面および出射する面、第2のフォトニック結晶13の光を入射する面および出射する面のうちいずれかの面だけでも良いが、本実施例のようにすべて面に三角形状を波長の1/2周期以下で配置した鋸歯形状を形成して反射防止構造を設けることが望ましい。
【0100】
<第2の実施例>
本発明の第2の実施例にとして、電子写真プリンタについて説明する。
図9は、第2の実施例に係る電子写真プリンタの構成図である。
【0101】
図9に示したプリンタは、実施例1で述べた、光源(半導体レーザ)11と、誘電体または強誘電体で形成された第1のフォトニック結晶12と、強誘電体で形成された第2のフォトニック結晶13と、電圧制御部14と、光走査位置検出器15とで構成された光走査装置と、像担持体(感光ドラム)16と、帯電器20と、現像器21と、転写器22と、定着器23とからなる。
【0102】
図9示した電子写真プリンタにおいて、まず、像担持体(感光ドラム)16が帯電器20によって帯電され、光走査装置で画像データに応じて強度変調されたレーザ光17を走査する。
【0103】
像担持体(感光ドラム)16上のレーザ光17が照射された領域は電荷量が減り、電荷量はレーザ光17の照射量の逆数に関係するので、像担持体(感光ドラム)16上に静電潜像が形成される。
【0104】
次に、現像器21で像担持体(感光ドラム)16上の電荷を帯びた部分にトナーを吸着させ、転写器22で像担持体(感光ドラム)16上のトナーを紙面(転写用紙A)に転写し、その後、像担持体(感光ドラム)16はクリーナ24でクリーニングし、再び同じ工程を繰り返す。したがって、これらの工程を順次繰り返し行い、最後に定着器23で紙面上のトナーを紙面(転写用紙A)に定着させることで、紙面(転写用紙A)に画像を形成することができる。
【0105】
<第3の実施例>
本発明の第3の実施例として、銀塩方式プリンタについて説明する。
図10は、第3の実施例の銀塩方式プリンタの構成図である。
【0106】
図10に示したプリンタは、第1の実施例で述べた光走査装置3つと、現像器と定着器とで構成される。3つの光走査装置において、光源(R)111,光源(G)112、光源(B)113の波長はそれぞれ異なり、赤(R)、緑(G)およびB(青)となっている。また、3つの光走査装置は副走査方向に並べてある。
【0107】
図10に示したプリンタの動作を説明すると、まず、銀塩ペーパーA1に、3つの光走査装置で画像データに応じて強度変調された3色の光を順次走査し、銀塩ペーパーを露光する。したがって、その後、現像器で現像し、次に定着器で定着し、乾燥させることで、銀塩ペーパーA1にプリントすることができる。
【0108】
なお、本実施例では、赤(R)、緑(G)およびB(青)をそれぞれ光源とする3つ光走査装置で構成しているが、2つ以上の光走査装置を用いることで、多色のプリントが可能となる。しかしながら、光源波長の異なる3つ以上の光走査装置で構成することで、フルカラーのプリントが可能となる。なお、赤(R)、緑(G)およびB(青)のようにフルカラープリントに適した波長を選ぶ必要がある。また、フォトニック結晶の構造は光源の波長に応じて変更する必要がある。
【0109】
本実施例では、銀塩ペーパーにプリントしているが、同様の方式で、カラーフィルムやその他のカラー記録媒体にプリントすることも可能である。
【0110】
<第4の実施例>
本発明の第4の実施例として、フォトクロミック材料からなるリライタブルペーパー用プリンタについて説明する。
図11は、第4の実施例のプリンタの構成図である。
【0111】
図11に示したプリンタは、第1の実施例で述べた光走査装置3つと、紫外光光源(紫外ランプ)とで構成される。3つの光走査装置において、光源(R)111,光源(G)112、光源(B)113の波長はそれぞれ異なり、赤(R)、緑(G)およびB(青)となっている。
【0112】
フォトクロミック材料とは、紫外光の照射により発色し、発色した材料が吸収する可視光の照射により消色するものである。波長460nm付近に吸収スペクトルのピークをもつイエロー材料と、波長530nm付近に吸収スペクトルのピークをもつマゼンタ材料と、波長630nm付近に吸収スペクトルのピークをもつシアン材料の3種類のフォトクロミック材料を混合して白色フィルム上に塗布したものは、紫外線の照射により全材料が発色した後、赤色光を照射した部分はシアン材料が消色して赤色を示し、緑色光を照射した部分はマゼンタ材料が消色して緑色を示し、青色光を照射した部分はイエロー材料が消色して青色を示し、フルカラー画像表示が可能である。
【0113】
また、紫外光を再度照射すると、全材料が発色して画像が消去できるため繰り返し書き換え可能なリライタブルペーパーとして使用することができる(川島伊久衛,高橋裕幸,平野成伸,光学 32巻12号,707(2003)(非特許文献3))。
【0114】
フォトクロミック材料とは、ある色の光を照射すると、照射した部分が照射した光の色になり、また、紫外光を照射すると、消去することができるため、繰り返し書き換え可能なリライタブルペーパーとして使用することができる。
【0115】
図11に示したプリンタの動作を説明すると、まず、フォトクロミック材料からなるリライタブルペーパー(フォトクロミックペーパーA2)に紫外光光源で紫外光を照射し、既に形成されている画像を消去する。
【0116】
次に、消去したリライタブルペーパー(フォトクロミックペーパーA2)に3つの光走査装置で画像データに応じて強度変調された3色の光を順次走査することで、リライタブルペーパー(フォトクロミックペーパーA2)にプリントすることができる。
【0117】
なお、本実施例では、赤(R)、緑(G)およびB(青)をそれぞれ光源とする3つ光走査装置で構成しているが、第3の実施例と同様に、2つ以上の光走査装置を用いることで、多色のプリントが可能となる。
【0118】
しかしながら、光源波長の異なる3つ以上の光走査装置で構成することで、フルカラーのプリントが可能となる。なお、赤(R)、緑(G)およびB(青)のようにフルカラープリントに適した波長を選ぶ必要がある。また、フォトニック結晶の構造は光源の波長に応じて変更する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】第1の実施例に係る光走査装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示した光走査装置の上面図である。
【図3】第1の実施例において、TiO2に円孔を最密充填で配列した2次元最密円孔配列構造での、第1のフォトニック結晶の円孔半径rと円孔配列間隔(格子定数)aとの比r/aが0.45の場合のTMモードのバンド図である。
【図4】第1の実施例における分散面を示す図である。
【図5】第1の実施例における入射角θinと偏向角θpの関係を示す図である。
【図6】第1の実施例において、TiO2に円孔を最密充填で配列した2次元最密円孔配列構造での、第1のフォトニック結晶の円孔半径rと円孔配列間隔(格子定数)aとの比r/aが0.25の場合のTEモードのフォトニックバンド図である。
【図7】第1の実施例において、規格化周波数が0.425のときのband 2の分散面とband 3の分散面を示す図である。
【図8】第1の実施例における光走査装置の変形例を示す図である。
【図9】第2の実施例に係る電子写真プリンタの構成図である。
【図10】第3の実施例の銀塩方式プリンタの構成図である。
【図11】第4の実施例のプリンタの構成図である。
【図12】特開2003−202510号公報(特許文献1)に開示されたポリゴンミラー方式を説明するための図である。
【図13】特開平9−226172号公報(特許文献2)に開示された光走査装置を説明するための図である。
【図14】特開2001−13439号公報(特許文献3)に提案された光走査装置を説明するための図である。
【図15】第1の実施例の別の形態の光走査装置の構成を示す図である。
【図16】図15に示した光走査装置の上面図である。
【符号の説明】
【0120】
11,111,112,113:光源(半導体レーザ)
12:第1のフォトニック結晶(TiO2)
13:第2のフォトニック結晶(強誘電体(PLZT))
131,132:電極
14,141,142,143:電圧制御部
15,1511:光走査位置検出器
16:像担持体(感光ドラム)
17:レーザ光
18:円孔
20:帯電器
21:現像器
22:転写器
23:定着器
24:クリーナー
25:レンズ
26:転送ローラー
27:紫外光光源(紫外ランプ)
31,32,33,34:鋸歯形状の反射防止構造
A:転写用紙
A1:銀塩ペーパー
A2:フォトクロミックペーパー
202:ポリゴンミラー
222:球面レンズ(第1の走査レンズ)
226:トーリックレンズ(第2の走査レンズ)
227:感光ドラム(感光体)
230:光検出器
232:シリンドリカルレンズ
251:光源手段
252:コリメーターレンズ
253:絞り
255:平行平板ガラス
308:ガラス基板
309:信号電極
310:絶縁膜の第1コンタクトホール
311:透明電極
312:絶縁膜の第2コンタクトホール
313:正孔輸送層
314:発光層
315:電子注入電極
316:保護膜の第1コンタクトホール
317:保護膜の第2コンタクトホール
318:共通電極
410:波長可変レーザ
430:フォトニック結晶
431:酸化シリコン膜
432:円柱状のシリコン
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査技術に係り、特にプリンタ等に用いられる光走査装置およびそれを用いたプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在普及しているプリンタには様々な方式があるが、そのなかの1つに光学的に書き込みを行う光書き込み方式がある。光書き込み方式の代表的なものとしては電子写真方式が挙げられる。
【0003】
光書き込み方式で自己発光型の代表的なものとして、銀塩方式がある。銀塩方式は、印画紙に直接光で書き込み、光が照射されたところが現像後に照射した光の色に発色するものであり、赤(R),緑(G),青(B)の3色の光を用いて書き込むことでフルカラープリントができる。
【0004】
また、自己発色型で最近注目されているものに、フォトクロミック材料を用いたものがある。フォトクロミック材料とは、光により色が可逆的に変化するもので、光を照射した部分がその光の色に変化し、さらに、色が変化した部分に紫外線を照射することで、元の色に戻すことが可能であるため、フルカラーで、光による書き込みおよび消去が繰り返し可能なリライタブルペーパーとして期待されている。
【0005】
一方、上述した光書き込み方式に用いられる従来の光走査装置には、電子写真方式プリンタ等で現在最も採用されているポリゴンミラー方式の光走査装置がある。ポリゴンミラー方式は、複数の反射面を有するポリゴンミラーを高速で回転させ、その反射面に光を当てることで、光を走査させることができる。
【0006】
以下、従来の光走査装置について説明する。
図12は、特開2003−202510号公報(特許文献1)に開示されたポリゴンミラー方式を説明するための図である。
【0007】
同図において、251は光源手段であり、4つのビームを出射する4ビーム半導体レーザより成っている。252はコリメーターレンズ、253は絞り、232はシリンドリカルレンズ、202は光偏向器であるポリゴンミラー、222は球面レンズ(第1の走査レンズ)、226はトーリックレンズ(第2の走査レンズ)、255は光学部材(間隔調整部材)としての平行平板ガラスであり、光検出器230により検出された量(感光ドラム上を走査する複数ビームの副走査方向の位置ズレ情報)に応じて、副走査方向に傾け制御することにより、感光ドラム(感光体)227上を走査する複数ビームの副走査方向の描画位置(走査開始位置)を調整している。
【0008】
また、従来の光走査装置の別の方式として、LEDや有機ELなどの発光素子をアレイ状に並べた光走査装置が提案されている。
【0009】
図13は、特開平9−226172号公報(特許文献2)に開示された光走査装置を説明するための図であり、有機EL素子をアレイ状に並べた構成を有し、任意の有機EL素子を制御して点灯させることにより光を走査させることを可能にしたものである。
【0010】
同図に示す光走査装置は、ガラス基板308上に、信号電極309が有機ELのドット数と略同数個配置されている。各々の信号電極309は絶縁膜の第1コンタクトホール310を介して透明電極311に電気的に接続されている。
【0011】
この透明電極311は、絶縁膜の第2コンタクトホール312において、正孔輸送層313と発光層314を挟んで、電子注入電極315と対向している。
【0012】
この絶縁膜の第2コンタクトホール312は発光領域に該当するので、一直線上に等間隔に配列されている。電子注入電極315は、保護膜の第1コンタクトホール316において、共通電極318と電気的に接続されている。保護膜の第2コンタクトホール317は、保護膜が信号電極309と透明電極311の層間に形成されているので、信号電極309と透明電極311を電気的に接続するために必要となっている。
【0013】
また、フォトニック結晶の大きな波長分散特性を用いた光走査装置も提案されている。
【0014】
図14は、特開2001−13439号公報(特許文献3)に提案された光走査装置を説明するための図であり、酸化シリコン膜431内に円柱状のシリコン432を周期的に並べたフォトニック結晶430と波長可変レーザ410を用い、波長可変レーザ410の波長制御子に流す電流を変化させ波長を650nmから660nmまで変化させることにより、フォトニック結晶430内での光ビームの進行方向を変化させ、これにより光ビームの偏向方向を大きく変化させて光走査を行うようにしたものである。
【0015】
また、本出願人が提案した特開2001−75040号公報(特許文献4)では、波長可変レーザとフォトニック結晶でレーザ走査システムを構成し、波長を連続的に変化させて、レーザ光を走査している。
【0016】
また、光位置センサ、または、スタート位置センサおよび終点位置センサを設け、センサからの情報をフィードバックしてレーザの波長を補正している。これは波長可変レーザという特殊なレーザを用いており、装置が高価になってしまう。
【0017】
また、本出願人が提案した特開2003−149419号公報(特許文献5)では、波長可変DBR半導体レーザとフォトニック結晶とレーザ光をフォトニック結晶に入射させるカップリングレンズとで光走査装置を構成している。
【0018】
波長可変DBR半導体レーザは、導波路を局部的に加熱するヒータを搭載し屈折率を可変する受動導波路加熱方式の半導体レーザであり、レーザ光の波長を変化させて、レーザ光を走査している。これは特開2001−75040号公報(特許文献4)と同様に特殊なレーザを用いており、装置が高価になってしまう。
【0019】
その他の従来技術として、後述する如き特開平11−70695号公報(特許文献6)、特開2003−54030号公報(特許文献7)、特開2003−1864号公報(特許文献8)、D. Scrymgeour, N. Malkova, S. Kim and V. Gopalan, Appl. Phys. Lett., 82, 3176 (2003)(非特許文献1)もある。
【0020】
【特許文献1】特開2003−202510号公報
【特許文献2】特開平9−226172号公報
【特許文献3】特開2001−13439号公報
【特許文献4】特開2001−75040号公報
【特許文献5】特開2003−149419号公報
【特許文献6】特開平11−70695号公報
【特許文献7】特開2003−54030号公報
【特許文献8】特開2003−1864号公報
【非特許文献1】H. Kosaka et al., Rhys. Rev. B 58, R10096 (1998)
【非特許文献2】D. Scrymgeour, N. Malkova, S. Kim and V. Gopalan, Appl. Phys. Lett., 82, 3176 (2003)
【非特許文献3】川島伊久衛,高橋裕幸,平野成伸,光学 32巻12号,707(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、上述したポリゴンミラー方式は、ミラーを機械的に回転させるという機械的駆動部が必要であるため、機械的摩耗が生じるという信頼性の面で問題があり、また、騒音が発生してしまうという問題がある。さらに、比較的大きな空間を占めてしまいプリンタが大きくなってしまうといった問題があった。
【0022】
一方、LEDや有機ELなどの発光素子をアレイ状に並べた光走査装置は、発光素子を並べて任意の発光素子を点灯させるので、機械的な駆動部がなく機械的摩耗や騒音が発生せず、また、占有する空間が比較的小さくプリンタ装置を小型化することができる。
【0023】
しかしながら、発光素子としてLEDをアレイ状に並べた光走査装置では、非常に長いLEDアレイチップを作製するのは非常に困難であるため、複数のLEDアレイチップを並べて実装する必要があるが、実装精度は印字品質に大きく影響するため、高精度の実装を行う必要があり、コストアップにつながっている。
【0024】
また、LEDアレイは、印字品質に大きく影響する発光ばらつきの問題がある。発光ばらつきに対して、特開平11−70695号公報(特許文献6)のように、電極の一部をレーザ光で切断して1ビット毎に調整する手段はあるが、工程数が増えることになりコストアップにつながる。
【0025】
発光素子として有機EL素子をアレイ状に並べた光走査装置では、特開平9−226172号公報(特許文献2)のように(図13参照)、長尺のものを一括で作製することができるため、実装工程がないため低コストにすることができる、また、発光ばらつきが比較的少ない。しかしながら、有機EL素子は、LEDに比べて寿命が短く、また、累積点灯時間が長くなるにつれて次第に輝度が低下するという問題がある。
【0026】
この問題に対しては、特開2003−54030号公報(特許文献7)のように、構造上単位面積あたりの発光強度を低下させて寿命を伸ばしたり、あるいは、特開2003−1864号公報(特許文献8)のように、有機ELアレイを複数ライン並べて、使用中のラインに寿命が来たら別のラインに切り替えて実質的に寿命を伸ばしたりするなどで対応しているが、構造が複雑になり、有機ELの低コストおよび小型化という利点が損なわれているという問題がある。さらに、有機ELアレイの寿命が短く、また、次第に輝度が低下するという問題の根本的解決にはなっていない。
【0027】
また、フォトニック結晶と波長可変レーザで構成した光走査装置は、機械的な駆動部がなく、騒音が発生せず、プリンタ装置を小型化することができる。しかしながら、波長可変レーザという特殊なレーザを用いる必要があり、装置が高価なものになってしまうという問題がある。
【0028】
本発明は、上記問題を解消し、低騒音で、信頼性が高く、非常に小型で、安価な光走査装置およびプリンタを提供することを目的とするものである。以下、各請求項毎の目的を具体的に述べる。
【0029】
a)請求項1および請求項2記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価な光走査装置を提供することを目的としている。
【0030】
b)請求項3から請求項8に記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価であり、かつ、光量の損失や迷光が少ない光走査装置を提供することを目的としている。
【0031】
c)請求項9および請求項10記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価で、かつ、高速走査が可能な光走査装置を提供することを目的としている。
【0032】
d)請求項11記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価で、かつ、多色のプリンタに用いられる光走査装置を提供することを目的としている。
【0033】
e)請求項12記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価で、かつ、フルカラープリンタに用いられる光走査装置を提供することを目的としている。
f)請求項13記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価な光走査装置を提供することを目的としている。
【0034】
g)請求項14記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価なプリンタを提供することを目的としている。
h)請求項15記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価なカラープリンタを提供することを目的としている。
i)請求項16記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価なリライタブルペーパー用プリンタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明は、上記目的を達成するために、走査系を、フォトニック結晶を強誘電体で形成し、フォトニック結晶に印加する電圧で制御する偏向器と、強誘電体または誘電体で形成した偏向した光の偏向角を拡大する偏向角拡大器で構成し、かつ、少なくとも偏向拡大器を構成するフォトニック結晶において、光源からの光に対するバンドが1つのみ存在するように構成している。この構成により偏向角を120°以上にすることが可能となり、より小型の光走査装置を実現することができる。以下、請求項毎の構成を述べる。
【0036】
a)請求項1および請求項2に記載の光走査装置は、光源と、強誘電体で形成されたフォトニック結晶と誘電体で形成されたフォトニック結晶に印加する電圧を制御する電圧制御部からなる偏向器と、強誘電体または誘電体で形成されたフォトニック結晶からなる偏向角拡大器と走査位置を検出する検出器とから光走査装置を構成し、検出器で検出した走査位置の信号を偏向器の電圧制御部にフィードバックして光を走査しており、かつ、偏向角拡大器を構成するフォトニック結晶を光源からの光に対するフォトニックバンドが1つのみ存在するように構成している。
【0037】
ここで、ある光に対してフォトニックバンドが1つのみ存在するとは、その光のフォトニック結晶中の伝搬状態が1つしかないということであり、2つのフォトニックバンドが存在する場合には2つの伝搬状態が存在し、フォトニックバンドが全く無い場合にはフォトニック結晶中には光が伝搬しない(光が存在しない)ということである。
したがって、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、かつ、特殊なレーザを必要としない光走査装置を容易に製造することができる。
【0038】
b)請求項3に記載の光走査装置は、請求項1または2に記載の光走査装置において、偏向器を構成する強誘電体のフォトニック結晶の光が入射する面と光が出射する面の両面、または光が入射する面と光が出射する面のいずれか一方の面に、反射防止手段を設けている。
したがって、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
【0039】
c)請求項4に記載の光走査装置は、請求項3に記載の光走査装置において、反射防止手段を、断面が三角形状をした構造を光源波長の1/2以下の周期で配置している。
したがって、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
【0040】
d)請求項5記載の光走査装置は、偏向器を構成するフォトニック結晶の形成と、断面が三角形状をした構造の配置とを同一工程で行っている。
したがって、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
【0041】
e)請求項6記載の光走査装置は、請求項1〜5のいずれかに記載の光走査装置において、偏向角拡大器を構成する強誘電体または誘電体のフォトニック結晶の光が入射する面と光が出射する面の両面、または、光が入射する面と光が出射する面のいずれか一方の面に、反射防止手段を設けている。
したがって、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
【0042】
f)請求項7記載の発明は、請求項6に記載の光走査装置において、前記反射防止手段を、断面が三角形状をした構造を光源波長の1/2以下の周期で配置している。
したがって、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
【0043】
g)請求項8記載の光走査装置は、請求項7に記載の光走査装置において、前記偏向角拡大器を構成するフォトニック結晶の形成と、前記断面が三角形状をした構造の配置とを同一工程で行っている。
したがって、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
【0044】
h)請求項9および請求項10に記載の光走査装置は、請求項1〜8のいずれかに記載の光走査装置を、主走査方向または副走査方向に2つ以上並べて構成している。
したがって、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、実効的な走査速度が速い光走査装置を容易に製造することができる。
【0045】
i)請求項11に記載の光走査装置は、請求項10に記載の光走査装置において、光源の波長の異なる光走査装置を副走査方向に2つ以上並べて構成している。
したがって、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、異なる波長の光を走査できる光走査装置を容易に製造することができる。
【0046】
j)請求項12に記載の光走査装置は、光源波長の異なる3種類以上の請求項1〜8のいずれかに記載の光走査装置を、副走査方向に3つ以上並べて構成している。
したがって、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、3つ以上の異なる波長の光を走査できる光走査装置を容易に製造することができる。
【0047】
k)請求項13に記載の光走査装置は、請求項1〜12のいずれかに記載の光走査装置において、フォトニック結晶をPLZTで形成している。
したがって、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要としなく、かつ、可視光領域の光を走査できる光走査装置を容易に製造することができる。
【0048】
l)請求項14に記載のプリンタは、請求項1〜10のいずれかに記載の光走査装置と、像担持体と、現像器と、転写器と、定着器とで構成している。
したがって、低騒音で、信頼性が高く、非常に小型で、安価な電子写真式プリンタを容易に製造することができる。
【0049】
m)請求項15に記載のプリンタは、請求項12に記載の光走査装置と、現像器と、定着器とで構成している。
したがって、カラープリンタが可能で、かつ、低騒音で、信頼性が高く、非常に小型で、安価な銀塩式カラープリンタを容易に製造することができる。
【0050】
n)請求項16に記載のプリンタは、請求項1〜13のいずれかに記載の光走査装置と紫外光光源とで構成している。
したがって、フォトクロミック材料からなるリライタブルペーパーにプリントすることができ、かつ、低騒音で、信頼性が高く、非常に小型で、安価なリライタブルペーパー用カラープリンタを容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0051】
以上のように、この発明によれば、信頼性が高く、非常に小型で、安価な光走査装置およびプリンタを容易に製造することができる。以下、請求項毎の効果を述べる。
【0052】
a)請求項1および請求項2のいずれかに記載の光走査装置は、光源と、強誘電体で形成されたフォトニック結晶と誘電体で形成されたフォトニック結晶に印加する電圧を制御する電圧制御部からなる偏向器と、強誘電体または誘電体で形成され光源からの光に対するフォトニックバンドが1つのみ存在するフォトニック結晶からなる偏向角拡大器と走査位置を検出する検出器とから光走査装置を構成し、検出器で検出した走査位置の信号を偏向器の電圧制御部にフィードバックして光を走査しているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、特殊なレーザを必要とせず、かつ、偏向角の非常に大きい光走査装置を容易に製造することができる。
よって、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価な光走査装置を容易に実現することができる。
【0053】
請求項3に記載の光走査装置は、請求項1または2に記載の光走査装置において、偏向器を構成する強誘電体のフォトニック結晶の光が入射する面と光が出射する面の両面、または光が入射する面と光が出射する面のいずれか一方の面に、反射防止手段を設けているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
よって、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価であり、かつ、光量の損失や迷光が少ない光走査装置を実現することができる
【0054】
c)請求項4に記載の光走査装置は、請求項3に記載の光走査装置において、反射防止手段を、断面が三角形状をした構造を光源波長の1/2以下の周期で配置しているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
よって、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価であり、かつ、光量の損失や迷光が少ない光走査装置を実現することができる。
【0055】
d)請求項5に記載の光走査装置は、偏向器を構成するフォトニック結晶の形成と、断面が三角形状をした構造の配置とを同一工程で行っているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
よって、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価であり、かつ、光量の損失や迷光が少ない光走査装置を実現することができる。
【0056】
e)請求項6に記載の光走査装置は、請求項1〜5のいずれかに記載の光走査装置において、偏向角拡大器を構成する強誘電体または誘電体のフォトニック結晶の光が入射する面と光が出射する面の両面、または、光が入射する面と光が出射する面のいずれか一方の面に、反射防止手段を設けているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
よって、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価であり、かつ、光量の損失や迷光が少ない光走査装置を実現することができる。
【0057】
f)請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の光走査装置において、前記反射防止手段を、断面が三角形状をした構造を光源波長の1/2以下の周期で配置しているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
よって、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価であり、かつ、光量の損失や迷光が少ない光走査装置を実現することができる。
【0058】
g)請求項8に記載の光走査装置は、請求項7に記載の光走査装置において、前記偏向角拡大器を構成するフォトニック結晶の形成と、前記断面が三角形状をした構造の配置とを同一工程で行っているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、非常に小型で、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができる。
よって、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価であり、かつ、光量の損失や迷光が少ない光走査装置を実現することができる。
【0059】
請求項9および請求項10に記載の光走査装置は、請求項1〜8のいずれかに記載の光走査装置を主走査方向または副走査方向に2つ以上並べて構成しているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、特殊なレーザを必要とせず、偏向角の非常に大きく、かつ、実効的な走査速度が速い光走査装置を容易に製造することができる。
よって、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価で、かつ、高速走査が可能な光走査装置を容易に実現することができる。
【0060】
請求項11に記載の光走査装置は、請求項10に記載の光走査装置を、光源の波長の異なる光走査装置を副走査方向に2つ以上並べて構成しているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、特殊なレーザを必要とせず、偏向角の非常に大きく、かつ、異なる波長の光を走査できる光走査装置を容易に製造することができる。
よって、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価で、かつ、多色のプリンタに用いられる光走査装置を容易に実現することができる。
【0061】
請求項12に記載の光走査装置は、光源波長の異なる3種類以上の請求項1〜8のいずれかに記載の光走査装置を、副走査方向に3つ以上並べて構成しているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、特殊なレーザを必要とせず、偏向角の非常に大きく、かつ、3つ以上の異なる波長の光を走査できる光走査装置を容易に製造することができる。
よって、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価で、かつ、フルカラープリンタに用いられる光走査装置を容易に実現することができる。
【0062】
請求項13に記載の光走査装置は、請求項1〜12のいずれかに記載の光走査装置のフォトニック結晶をPLZTで形成しているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、特殊なレーザを必要としなく、偏向角の非常に大きく、かつ、可視光領域の光を走査できる光走査装置を容易に製造することができる。
よって、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価で、かつ、可視光領域の光で使用可能な光走査装置を容易に実現することができる。
【0063】
請求項14に記載のプリンタは、請求項1〜10のいずれかに記載の光走査装置と、像担持体と、現像器と、転写器とで構成しているので、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価なプリンタを容易に製造することができる。
よって、高品質のプリンタを安価に実現することができる。
【0064】
請求項15に記載のプリンタは、請求項12に記載の光走査装置と、定着器とで構成しているので、銀塩式カラープリンタが可能で、かつ、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価な銀塩式カラープリンタを容易に製造することができる。
よって、高品質のカラープリンタを安価に実現することができる。
【0065】
請求項16に記載のプリンタは、請求項1〜13のいずれかに記載の光走査装置と紫外光光源とで構成しているので、フォトクロミック材料からなるリライタブルペーパーにプリントすることができ、かつ、低騒音で、信頼性が高く、小型で、安価なプリンタを容易に製造することができる。
よって、高品質のリライタブルペーパー用プリンタを安価に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
【0067】
<第1の実施例>
本発明の第1の実施例として、光走査装置について説明する。
図1は、第1の実施例の光走査装置の構成を示す図である。
【0068】
図1に示した光走査装置は、光源(半導体レーザ)11と、誘電体(TiO2)で形成された第1のフォトニック結晶12と、強誘電体(PLZT)で形成された第2のフォトニック結晶13と、電圧制御部14と、光走査位置検出器(フォトダイオード)15で構成されている。図中、16は像担持体(感光ドラム)、17はレーザ光、18は円孔である。
【0069】
強誘電体(PLZT)で形成された第2のフォトニック結晶13の上下両面には電極131,132が形成されている。電極131と132の間には電圧制御部14が接続されており、強誘電体(PLZT)で形成された第2のフォトニック結晶13の厚さ方向に電圧を制御して印加することができるようになっている。
【0070】
図2は、図1に示した光走査装置の上面図である。また、本実施例では第1のフォトニック結晶12を、2次元最密円孔配列構造で構成してある。図3は、TMモードのフォトニックバンド図である。
【0071】
屈折率の異なる透明材料を多次元的に周期配列した構造体は、フォトニック結晶と呼ばれ、フォトニックバンドギャップ、異方性、高分散性などの特性を有することが知られている。
【0072】
フォトニック結晶の高分散性は、光の波長を若干変えるだけで屈折角が大きく変化する特性であり、また、入射角を若干変えても、屈折角が大きく変化させることができることが報告されている(H. Kosaka et al., Rhys. Rev. B 58, R10096 (1998)(非特許文献1))。
【0073】
一方、強誘電体で形成したフォトニック結晶の場合には、光の波長や入射角が固定であっても、フォトニック結晶に印加する電圧を変えることで、屈折角を大きく変化させることができることが報告されている(D. Scrymgeour, N. Malkova, S. Kim and V. Gopalan, Appl. Phys. Lett., 82, 3176 (2003)(非特許文献2))。
【0074】
図1および図2に示した本実施例の光走査装置では、TiO2で第1のフォトニック結晶12を形成し、また、PLZTで第2のフォトニック結晶13を形成し、第2のフォトニック結晶13の上下面に形成された電極131,132に電圧制御部14が接続されているので、半導体レーザ11から出射され、第2のフォトニック結晶13に入射したレーザ光17は、第2のフォトニック結晶13に印加する電圧を制御して任意の方向に偏向することができ、さらに、第1のフォトニック結晶12に入射して偏向角を拡大することができる。したがって、電圧制御部14で電圧を制御して、レーザ光を走査することができる。
【0075】
フォトニック結晶は先に述べたように波長分散性が高いが、光走査位置検出器15で走査開始位置および走査終了位置を検出し、その信号を電圧制御部14にフィードバックすることで、環境温度の変化などで半導体レーザ11の発光波長が若干変動しても、正常にレーザ光17を走査させることができる。
【0076】
また、本実施例では、第1のフォトニック結晶12において、光源(半導体レーザ)11からの光(レーザ光)17に対するフォトニックバンドが1つのみ存在するように構成してある。ここで、ある光に対してフォトニックバンドが1つのみ存在するとは、その光のフォトニック結晶中の伝搬状態が1つしかないということであり、2つのフォトニックバンドが存在する場合には2つの伝搬状態が存在し、フォトニックバンドが全く無い場合にはフォトニック結晶中には光が伝搬しない(光が存在しない)ということである。
【0077】
本実施例の第1のフォトニック結晶12は、TiO2に円孔18を最密充填で配列した2次元最密円孔配列構造で、図3は、そのときの円孔半径rと円孔配列間隔(格子定数)aとの比r/aが0.45の場合のTMモードのバンド図である。
【0078】
このバンド図において、規格化周波数が0.593の場合(図中の破線で示してある)、band3 しか存在しないことがわかり、光源の波長に応じて規格化周波数(ωa/2πc)が0.593となるような格子定数a、かつ、r/aが0.45となるようなrの条件で第1のフォトニック結晶を形成している。
【0079】
具体的には、光源が赤(波長660nm)の場合は円孔半径rを176.1nm、格子定数aを391.4nmとしており、また、緑(波長532nm)の場合は円孔半径rを141.3nm、格子定数aを315.5nmとし、青(波長457nm)の場合は円孔半径rを121.4nm、格子定数aを271.0nmとしている。
【0080】
図4は、この場合の分散面を示す図であり、空気中から第1のフォトニック結晶12にθinで入射した光は、θpの角度に偏向されることを示している。
【0081】
図5は、入射角θinと偏向角θpの関係を示す図であり、入射角θinを±1.7°振ることで160°(+80°〜−80°)の偏向が可能であることを示している。
【0082】
なお、フォトニックバンドが2つ存在する場合でも、フォトニック結晶の高分散性を得ることは可能である。図6は、TiO2に円孔18を最密充填で配列した2次元最密円孔配列構造での、円孔半径rと円孔配列間隔(格子定数)aとの比r/aが0.25の場合のTEモードのフォトニックバンド図である。
【0083】
本例の場合は、規格化周波数が0.425のとき、band 2とband 3の2つが存在しており、この場合の分散面はband 2の分散面とband 3の分散面の両方が存在する(図7)。このような場合でもband 2の影響を受けないようにすれば(図7中の斜線領域)、入射角のわずかの偏向で屈折角を大きく変化することは可能である。しかしながら、連続的に可変できる偏向角は最大でも120°未満となり、120°以上の偏向角を得ることは不可能である。
【0084】
一方、本実施例の第1のフォトニック結晶で用いているように、フォトニックバンドが1つのみ存在するフォトニック結晶で構成することで、120°以上の連続的に可変できる偏向角を得ることができるので、偏向角拡大部を小さくすることができ、したがって光走査装置全体を小型化することができる。
【0085】
第1のフォトニック結晶であるTiO2の2次元フォトニック結晶12は、TiO2基板にEBリソグラフィ工程および金属膜蒸着工程、リフトオフ工程でメタルマスクを形成した後、フロン系のガスによるドライエッチング工程で作製することができる。
【0086】
第2のフォトニック結晶であるPLZTの2次元フォトニック結晶13は、ゲル状の感光性PLZT膜を紫外光でパターン露光し、酸性の水溶液で紫外光の未照射部分を溶解した後、400℃でベークすることで作製することができる。
【0087】
なお、本実施例では、第1のフォトニック結晶12を形成する誘電体材料としてTiO2を用いているが、光源波長に対して透明であれば他の誘電体材料でも良く、強誘電体材料でも良い。
【0088】
また、第2のフォトニック結晶13を形成する強誘電体材料としてPLZTを用いたが、光源波長に対して透明な強誘電体材料であればよい。しかしながら、PLZTは可視光領域で透明であり、かつ、電気光学特性が非常に優れており、本発明の光走査装置を構成するフォトニック結晶の材料として最適である。フォトニック結晶の構造についても、本実施例では、2次元最密円孔配列構造としているが、他の構造でも良い。
【0089】
また、上記実施例では、光走査位置検出器15で走査開始位置および走査終了位置を検出して、電圧制御部14にフィードバックしているが、光走査位置検出する場所は走査開始位置および走査終了位置以外の場所でも良く、例えば図8に示す構成のように、フォトニック結晶12から出射したレーザ光をビームスプリッタ19で分岐して、フォトダイオードをアレイ状に並べた位置検出器151で常に位置を検出して電圧制御部14にフィードバックしてもよい。
【0090】
さらに、本実施例の光走査装置を、主走査方向に、あるいは、副走査方向に複数並べても良く、複数並べた構成では、実効的な走査速度を速くすることができる。
【0091】
<第1の実施例の別の形態>
上記第1の実施例の別の形態として反射防止構造を有する光走査装置を、図15,16を用いて説明する。
図15は、第1の実施例の光走査装置の別の形態の構成を示す図であり、図16はその上面図である。
【0092】
図15に示した光走査装置は、図1に示した光走査装置と同様に、光源(半導体レーザ)11と、誘電体(TiO2)で形成された第1のフォトニック結晶12、強誘電体(PLZT)で形成された第2のフォトニック結晶13と、電圧制御部14と、光走査位置検出器(フォトダイオード)15で構成されている。
【0093】
誘電体(TiO2)で形成された第1のフォトニック結晶12において、光を入射する面および出射する面には、断面が三角形状をした構造を光の波長の1/2以下の周期で配置した鋸歯形状の反射防止構造31,32を形成している。
【0094】
強誘電体(PLZT)で形成された第2のフォトニック結晶13においても、光を入射する面および出射する面には、断面が三角形状をした構造を光の波長の1/2以下の周期で配置した鋸歯形状の反射防止構造33,34を形成している。
【0095】
角錐形状を波長の1/2以下の周期で配置した構造は、“moth eye” と呼ばれ反射防止効果のあることが知られている。図15に示した光走査装置において、誘電体(TiO2)で形成された第1のフォトニック結晶12の光を入射する面および出射する面、強誘電体(PLZT)で形成された第2のフォトニック結晶13の光を入射する面および出射する面のそれぞれに形成した鋸歯形状(31,32,33,34)でも、反射防止効果が得られるので、第1のフォトニック結晶12および第2のフォトニック結晶13へのレーザ光17の入射時や、第1のフォトニック結晶12および第2のフォトニック結晶13からのレーザ光の出射時に、不要な反射を抑えることができる。
【0096】
走査光学系での不要の反射は、光量を低下させるだけでなく、迷光となって感光ドラムに不要な書込みを行いプリンタ装置の画像品質低下の原因となるが、図15に示す構成にすることで、走査光学系での不要な反射を低減し、プリンタ装置の画像品質を向上させることができる。
【0097】
図15に示した本実施例の光走査装置では、反射防止構造として、入射面および出射面に三角形状を波長の1/2周期以下で配置した鋸歯形状にしているが、従来の誘電体多層膜による反射防止膜を形成しても良い。
【0098】
しかし、誘電体多層膜による反射防止膜を形成するためには、フォトニック結晶構造を形成工程とは別途の工程が必要なのに対して、本実施例では三角形状を波長の1/2周期以下で配置した鋸歯形状にしており、フォトニック結晶構造を形成する工程で同時に形成することが可能なため、製造コストを抑えることができ、安価に提供することができる。
【0099】
また、三角形状を波長の1/2周期以下で配置した鋸歯形状を形成する面は、第1のフォトニック結晶12の光を入射する面および出射する面、第2のフォトニック結晶13の光を入射する面および出射する面のうちいずれかの面だけでも良いが、本実施例のようにすべて面に三角形状を波長の1/2周期以下で配置した鋸歯形状を形成して反射防止構造を設けることが望ましい。
【0100】
<第2の実施例>
本発明の第2の実施例にとして、電子写真プリンタについて説明する。
図9は、第2の実施例に係る電子写真プリンタの構成図である。
【0101】
図9に示したプリンタは、実施例1で述べた、光源(半導体レーザ)11と、誘電体または強誘電体で形成された第1のフォトニック結晶12と、強誘電体で形成された第2のフォトニック結晶13と、電圧制御部14と、光走査位置検出器15とで構成された光走査装置と、像担持体(感光ドラム)16と、帯電器20と、現像器21と、転写器22と、定着器23とからなる。
【0102】
図9示した電子写真プリンタにおいて、まず、像担持体(感光ドラム)16が帯電器20によって帯電され、光走査装置で画像データに応じて強度変調されたレーザ光17を走査する。
【0103】
像担持体(感光ドラム)16上のレーザ光17が照射された領域は電荷量が減り、電荷量はレーザ光17の照射量の逆数に関係するので、像担持体(感光ドラム)16上に静電潜像が形成される。
【0104】
次に、現像器21で像担持体(感光ドラム)16上の電荷を帯びた部分にトナーを吸着させ、転写器22で像担持体(感光ドラム)16上のトナーを紙面(転写用紙A)に転写し、その後、像担持体(感光ドラム)16はクリーナ24でクリーニングし、再び同じ工程を繰り返す。したがって、これらの工程を順次繰り返し行い、最後に定着器23で紙面上のトナーを紙面(転写用紙A)に定着させることで、紙面(転写用紙A)に画像を形成することができる。
【0105】
<第3の実施例>
本発明の第3の実施例として、銀塩方式プリンタについて説明する。
図10は、第3の実施例の銀塩方式プリンタの構成図である。
【0106】
図10に示したプリンタは、第1の実施例で述べた光走査装置3つと、現像器と定着器とで構成される。3つの光走査装置において、光源(R)111,光源(G)112、光源(B)113の波長はそれぞれ異なり、赤(R)、緑(G)およびB(青)となっている。また、3つの光走査装置は副走査方向に並べてある。
【0107】
図10に示したプリンタの動作を説明すると、まず、銀塩ペーパーA1に、3つの光走査装置で画像データに応じて強度変調された3色の光を順次走査し、銀塩ペーパーを露光する。したがって、その後、現像器で現像し、次に定着器で定着し、乾燥させることで、銀塩ペーパーA1にプリントすることができる。
【0108】
なお、本実施例では、赤(R)、緑(G)およびB(青)をそれぞれ光源とする3つ光走査装置で構成しているが、2つ以上の光走査装置を用いることで、多色のプリントが可能となる。しかしながら、光源波長の異なる3つ以上の光走査装置で構成することで、フルカラーのプリントが可能となる。なお、赤(R)、緑(G)およびB(青)のようにフルカラープリントに適した波長を選ぶ必要がある。また、フォトニック結晶の構造は光源の波長に応じて変更する必要がある。
【0109】
本実施例では、銀塩ペーパーにプリントしているが、同様の方式で、カラーフィルムやその他のカラー記録媒体にプリントすることも可能である。
【0110】
<第4の実施例>
本発明の第4の実施例として、フォトクロミック材料からなるリライタブルペーパー用プリンタについて説明する。
図11は、第4の実施例のプリンタの構成図である。
【0111】
図11に示したプリンタは、第1の実施例で述べた光走査装置3つと、紫外光光源(紫外ランプ)とで構成される。3つの光走査装置において、光源(R)111,光源(G)112、光源(B)113の波長はそれぞれ異なり、赤(R)、緑(G)およびB(青)となっている。
【0112】
フォトクロミック材料とは、紫外光の照射により発色し、発色した材料が吸収する可視光の照射により消色するものである。波長460nm付近に吸収スペクトルのピークをもつイエロー材料と、波長530nm付近に吸収スペクトルのピークをもつマゼンタ材料と、波長630nm付近に吸収スペクトルのピークをもつシアン材料の3種類のフォトクロミック材料を混合して白色フィルム上に塗布したものは、紫外線の照射により全材料が発色した後、赤色光を照射した部分はシアン材料が消色して赤色を示し、緑色光を照射した部分はマゼンタ材料が消色して緑色を示し、青色光を照射した部分はイエロー材料が消色して青色を示し、フルカラー画像表示が可能である。
【0113】
また、紫外光を再度照射すると、全材料が発色して画像が消去できるため繰り返し書き換え可能なリライタブルペーパーとして使用することができる(川島伊久衛,高橋裕幸,平野成伸,光学 32巻12号,707(2003)(非特許文献3))。
【0114】
フォトクロミック材料とは、ある色の光を照射すると、照射した部分が照射した光の色になり、また、紫外光を照射すると、消去することができるため、繰り返し書き換え可能なリライタブルペーパーとして使用することができる。
【0115】
図11に示したプリンタの動作を説明すると、まず、フォトクロミック材料からなるリライタブルペーパー(フォトクロミックペーパーA2)に紫外光光源で紫外光を照射し、既に形成されている画像を消去する。
【0116】
次に、消去したリライタブルペーパー(フォトクロミックペーパーA2)に3つの光走査装置で画像データに応じて強度変調された3色の光を順次走査することで、リライタブルペーパー(フォトクロミックペーパーA2)にプリントすることができる。
【0117】
なお、本実施例では、赤(R)、緑(G)およびB(青)をそれぞれ光源とする3つ光走査装置で構成しているが、第3の実施例と同様に、2つ以上の光走査装置を用いることで、多色のプリントが可能となる。
【0118】
しかしながら、光源波長の異なる3つ以上の光走査装置で構成することで、フルカラーのプリントが可能となる。なお、赤(R)、緑(G)およびB(青)のようにフルカラープリントに適した波長を選ぶ必要がある。また、フォトニック結晶の構造は光源の波長に応じて変更する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】第1の実施例に係る光走査装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示した光走査装置の上面図である。
【図3】第1の実施例において、TiO2に円孔を最密充填で配列した2次元最密円孔配列構造での、第1のフォトニック結晶の円孔半径rと円孔配列間隔(格子定数)aとの比r/aが0.45の場合のTMモードのバンド図である。
【図4】第1の実施例における分散面を示す図である。
【図5】第1の実施例における入射角θinと偏向角θpの関係を示す図である。
【図6】第1の実施例において、TiO2に円孔を最密充填で配列した2次元最密円孔配列構造での、第1のフォトニック結晶の円孔半径rと円孔配列間隔(格子定数)aとの比r/aが0.25の場合のTEモードのフォトニックバンド図である。
【図7】第1の実施例において、規格化周波数が0.425のときのband 2の分散面とband 3の分散面を示す図である。
【図8】第1の実施例における光走査装置の変形例を示す図である。
【図9】第2の実施例に係る電子写真プリンタの構成図である。
【図10】第3の実施例の銀塩方式プリンタの構成図である。
【図11】第4の実施例のプリンタの構成図である。
【図12】特開2003−202510号公報(特許文献1)に開示されたポリゴンミラー方式を説明するための図である。
【図13】特開平9−226172号公報(特許文献2)に開示された光走査装置を説明するための図である。
【図14】特開2001−13439号公報(特許文献3)に提案された光走査装置を説明するための図である。
【図15】第1の実施例の別の形態の光走査装置の構成を示す図である。
【図16】図15に示した光走査装置の上面図である。
【符号の説明】
【0120】
11,111,112,113:光源(半導体レーザ)
12:第1のフォトニック結晶(TiO2)
13:第2のフォトニック結晶(強誘電体(PLZT))
131,132:電極
14,141,142,143:電圧制御部
15,1511:光走査位置検出器
16:像担持体(感光ドラム)
17:レーザ光
18:円孔
20:帯電器
21:現像器
22:転写器
23:定着器
24:クリーナー
25:レンズ
26:転送ローラー
27:紫外光光源(紫外ランプ)
31,32,33,34:鋸歯形状の反射防止構造
A:転写用紙
A1:銀塩ペーパー
A2:フォトクロミックペーパー
202:ポリゴンミラー
222:球面レンズ(第1の走査レンズ)
226:トーリックレンズ(第2の走査レンズ)
227:感光ドラム(感光体)
230:光検出器
232:シリンドリカルレンズ
251:光源手段
252:コリメーターレンズ
253:絞り
255:平行平板ガラス
308:ガラス基板
309:信号電極
310:絶縁膜の第1コンタクトホール
311:透明電極
312:絶縁膜の第2コンタクトホール
313:正孔輸送層
314:発光層
315:電子注入電極
316:保護膜の第1コンタクトホール
317:保護膜の第2コンタクトホール
318:共通電極
410:波長可変レーザ
430:フォトニック結晶
431:酸化シリコン膜
432:円柱状のシリコン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、該光源からの光を偏向する偏向器と、該偏向器によって偏向された光の偏向角を拡大する偏向角拡大器と、走査位置を検出する検出器とを具備し、
前記偏向器は、強誘電体で形成されたフォトニック結晶と、該強誘電体で形成されたフォトニック結晶に印加する電圧を制御する電圧制御部を有し、
前記偏向拡大器は、強誘電体または誘電体で形成されたフォトニック結晶からなり、少なくとも前記偏向拡大器を形成するフォトニック結晶において、光源からの光に対するフォトニックバンドが1つのみ存在することを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光走査装置において、前記検出器で検出した走査位置の検出信号を、前記偏向器の強誘電体で形成されたフォトニック結晶に印加する電圧を制御する電圧制御部にフィードバックして光を走査することを特徴とする光走査装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光走査装置において、
前記偏向器を構成する強誘電体のフォトニック結晶の光が入射する面と光が出射する面の両面、または光が入射する面と光が出射する面のいずれか一方の面に、反射防止手段を設けたことを特徴とする光走査装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光走査装置において、
前記反射防止手段は、断面が三角形状をした構造を光源波長の1/2以下の周期で配置したものであることを特徴とする光走査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光走査装置において、
前記偏向器を構成するフォトニック結晶の形成と、前記断面が三角形状をした構造の配置とを同一工程で行ったことを特徴とする光走査装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の光走査装置において、
前記偏向角拡大器を構成する強誘電体または誘電体のフォトニック結晶の光が入射する面と光が出射する面の両面、または、光が入射する面と光が出射する面のいずれか一方の面に、反射防止手段を設けたことを特徴とする光走査装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光走査装置において、
前記反射防止手段が、断面が三角形状をした構造を光源波長の1/2以下の周期で配置したことを特徴とする光走査装置。
【請求項8】
請求項7に記載の光走査装置において、
前記偏向角拡大器を構成するフォトニック結晶の形成と、前記断面が三角形状をした構造の配置とを同一工程で行ったことを特徴とする光走査装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の光走査装置を、主走査方向に少なくとも2つ以上並べたことを特徴とする光走査装置。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の光走査装置を、副走査方向に少なくとも2つ以上並べたことを特徴とする光走査装置。
【請求項11】
請求項10に記載の光走査装置において、副走査方向に並べた2つ以上の光走査装置の光源波長が少なくとも2つ以上であることを特徴とする光走査装置。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれかに記載の光走査装置を、副走査方向に少なくとも3つ以上並べ、かつ、光源波長が少なくとも3つ以上あることを特徴とする光走査装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の光走査装置において、前記フォトニック結晶を形成する強誘電体がPLZTであることを特徴とする光走査装置。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれかに記載の光走査装置と、該光走査装置からの光によって静電潜像が形成される像担持体と、該像担持体上の静電潜像を現像する現像器と、現像された像を転写用紙に転写する転写器と、前記転写用紙に転写された像を定着させる定着器とからなることを特徴とするプリンタ。
【請求項15】
請求項12に記載の光走査装置と、該光走査装置からの光によって銀塩式の記録媒体上に形成された像を現像する現像器と、現像された像を定着する定着器とからなることを特徴とするプリンタ。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれかに記載の光走査装置と、像を消去するための紫外光を発生する紫外光光源とで構成されることを特徴とするプリンタ。
【請求項1】
光源と、該光源からの光を偏向する偏向器と、該偏向器によって偏向された光の偏向角を拡大する偏向角拡大器と、走査位置を検出する検出器とを具備し、
前記偏向器は、強誘電体で形成されたフォトニック結晶と、該強誘電体で形成されたフォトニック結晶に印加する電圧を制御する電圧制御部を有し、
前記偏向拡大器は、強誘電体または誘電体で形成されたフォトニック結晶からなり、少なくとも前記偏向拡大器を形成するフォトニック結晶において、光源からの光に対するフォトニックバンドが1つのみ存在することを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光走査装置において、前記検出器で検出した走査位置の検出信号を、前記偏向器の強誘電体で形成されたフォトニック結晶に印加する電圧を制御する電圧制御部にフィードバックして光を走査することを特徴とする光走査装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光走査装置において、
前記偏向器を構成する強誘電体のフォトニック結晶の光が入射する面と光が出射する面の両面、または光が入射する面と光が出射する面のいずれか一方の面に、反射防止手段を設けたことを特徴とする光走査装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光走査装置において、
前記反射防止手段は、断面が三角形状をした構造を光源波長の1/2以下の周期で配置したものであることを特徴とする光走査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光走査装置において、
前記偏向器を構成するフォトニック結晶の形成と、前記断面が三角形状をした構造の配置とを同一工程で行ったことを特徴とする光走査装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の光走査装置において、
前記偏向角拡大器を構成する強誘電体または誘電体のフォトニック結晶の光が入射する面と光が出射する面の両面、または、光が入射する面と光が出射する面のいずれか一方の面に、反射防止手段を設けたことを特徴とする光走査装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光走査装置において、
前記反射防止手段が、断面が三角形状をした構造を光源波長の1/2以下の周期で配置したことを特徴とする光走査装置。
【請求項8】
請求項7に記載の光走査装置において、
前記偏向角拡大器を構成するフォトニック結晶の形成と、前記断面が三角形状をした構造の配置とを同一工程で行ったことを特徴とする光走査装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の光走査装置を、主走査方向に少なくとも2つ以上並べたことを特徴とする光走査装置。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の光走査装置を、副走査方向に少なくとも2つ以上並べたことを特徴とする光走査装置。
【請求項11】
請求項10に記載の光走査装置において、副走査方向に並べた2つ以上の光走査装置の光源波長が少なくとも2つ以上であることを特徴とする光走査装置。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれかに記載の光走査装置を、副走査方向に少なくとも3つ以上並べ、かつ、光源波長が少なくとも3つ以上あることを特徴とする光走査装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の光走査装置において、前記フォトニック結晶を形成する強誘電体がPLZTであることを特徴とする光走査装置。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれかに記載の光走査装置と、該光走査装置からの光によって静電潜像が形成される像担持体と、該像担持体上の静電潜像を現像する現像器と、現像された像を転写用紙に転写する転写器と、前記転写用紙に転写された像を定着させる定着器とからなることを特徴とするプリンタ。
【請求項15】
請求項12に記載の光走査装置と、該光走査装置からの光によって銀塩式の記録媒体上に形成された像を現像する現像器と、現像された像を定着する定着器とからなることを特徴とするプリンタ。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれかに記載の光走査装置と、像を消去するための紫外光を発生する紫外光光源とで構成されることを特徴とするプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−227545(P2006−227545A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−60254(P2005−60254)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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