説明

光送信モジュール

【課題】チャネル数が制限されることなく、省電力化が可能な光送信モジュールを提供する。
【解決手段】複数の波長の光信号を出力する光送信モジュール(100)において、複数のレーザダイオード(Ch1〜Ch4)は、直列に接続される。第1の電流調整回路(150)は、複数のレーザダイオード(Ch1〜Ch4)のアノード側に接続される電源(10)に直列に接続され、電源(10)からの電流を調整する。第2の電流調整回路(195)は、複数のレーザダイオード(Ch1〜Ch4)の各々に並列に接続され、第1の電流調整回路(150)により調整された電流のうち複数のレーザダイオード(Ch1〜Ch4)の各々に流れる電流を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光送信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光伝送に用いられる光送受信モジュールの小型化とデータ伝送量の大容量化との両立を図る技術が種々検討されている。例えば、特許文献1には、レーザダイオードの両端に差動型電流スイッチを接続することによって、簡易な実装によって消費電力を抑える光送信モジュールが記載されている。
【0003】
また、データ伝送量を大容量化する技術としては、互いに波長の異なる複数の光チャネルを多重化して伝送するWDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重)技術が知られている。例えば、波長1300nm前後の4つの光チャネルを多重化することによって、1つの光送受信モジュールにおいて、40Gbit/sの伝送速度を実現する40GBASE−LR4や、100Gbit/sの伝送速度を実現する100GBASE−LR4の規格に準拠した光送受信モジュール(CFP:100Gbit/s and 40Gbit/s Form-factor Pluggable)が知られている。
【0004】
光チャネルを多重化するためには、各レーザダイオード毎に電源が必要になるため、消費電力が増大する問題がある。このため、2つのレーザダイオードを直列(カスケード)に接続することによって、光送信モジュールが消費する電力のうち、レーザダイオードを発光させるために必要な電力以外の余分な電力を抑える技術が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−193489号公報
【特許文献2】特開2006−246390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の技術においては、2つのレーザダイオードを直列に接続することを前提としており、2つのレーザダイオードが1つの構成単位となるため、レーザダイオードの数を偶数にしなければならない。即ち、特許文献2の技術においては、光送信モジュールにおいて消費電力を抑えるためには、チャネル数が制限される問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、チャネル数が制限されることなく、省電力化が可能な光送信モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る光送信モジュールは、複数の波長の光信号を出力する光送信モジュールにおいて、直列に接続された複数のレーザダイオードと、前記複数のレーザダイオードのアノード側に接続される電源に直列に接続され、前記電源からの電流を調整する第1の電流調整回路と、前記複数のレーザダイオードの各々に並列に接続され、前記第1の電流調整回路により調整された電流のうち前記複数のレーザダイオードの各々に流れる電流を調整する第2の電流調整回路と、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、前記光送信モジュールは、前記複数のレーザダイオードの各々の両端に接続されたインダクタを更に含み、前記インダクタは、前記第2の電流調整回路に並列に接続される、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、前記光送信モジュールは、前記複数のレーザダイオードの各々に並列に接続された変調回路と、前記変調回路と前記複数のレーザダイオードの各々との間に接続されたキャパシタと、を更に含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、前記光送信モジュールは、前記複数のレーザダイオードの各々に並列に接続された変調回路と、前記変調回路と前記複数のレーザダイオードの各々との間に接続された抵抗と、を更に含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、チャネル数が制限されることなく、省電力化が可能な光送信モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】WDMを用いた光送受信モジュールの一例を示すブロック図である。
【図2】光送信モジュールの構成の一例を示す図である。
【図3】電気信号が変調される様子を示す波形図である。
【図4】変形例における光送信モジュールの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態]
以下、本発明に係る実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
[光送受信モジュールの全体構成]
図1は、WDMを用いた光送受信モジュールの一例を示すブロック図である。図1に示すように、光送受信モジュール1は、複数の波長の光信号を出力する光送信モジュール100と、複数の波長の光信号が入力される光受信モジュール200と、を含んで構成される。光送信モジュール100には、例えば、n(nは自然数。例えば、n=4又は10)chの電気信号が入力される。
【0016】
光送信モジュール100においては、例えば、マルチプレクサ110により複数の電気信号(nchの電気信号)がまとめられて1つの信号が出力される。当該出力された電気信号は、レーザドライバ121〜124を介して、TOSA(Transmitter Optical Sub-Assembly)131〜134によって、k(kは正数。例えば、k=25)Gbit/sの電気−光信号変換が行われる。TOSA131〜134は、例えば、互いに異なる波長λ〜λの光を発光するためのレーザダイオードを含んでなる。TOSA131〜134の各々により変換された光信号は、光合波器140により多重化されて送信される。
【0017】
一方、光受信モジュール200においては、多重化された光信号が入力される。当該光信号は、光分波器210により波長λ〜λの光信号に分波される。当該分波された光信号は、それぞれ、ROSA(Receiver Optical Sub-Assembly)221〜223によって、光−電気信号変換が行われる。変換された電気信号は、デマルチプレクサ230によって、nchの電気信号に分配される。
【0018】
なお、TOSA131〜134及びROSA221〜223は、それぞれ別の基板に備えられていてもよいし、集積化されていてもよい。例えば、電気−光信号変換又は光−電気信号変換を行う素子を集積化することによって、データ伝送量の大容量化と光送受信モジュール1の小型化の両立を図りつつ、光送受信モジュール1の構成を簡素化することができる。
【0019】
[光送信モジュールの詳細構成]
図2は、光送信モジュール100の構成の一例を示す図である。ここでは、光送信モジュール100のうち、TOSA131〜134に含まれるレーザダイオードを発光させるための回路について説明する。なお、本実施形態においては、当該回路が直接変調型で構成され、光送受信モジュール1により用いられる光チャネル数が4つである場合を説明するが、光送受信モジュール1の構成はこれに限られない。
【0020】
図2に示すように、光送信モジュール100は、直列に接続された複数のレーザダイオードCh1〜Ch4を含んで構成される。本実施形態においては、光チャネル数が4つであるので、それぞれ波長の異なる4個のレーザダイオードCh1〜Ch4が配置される。即ち、光チャネル数に対応する数のレーザダイオードが配置される。例えば、レーザダイオードCh1〜Ch4は、それぞれ波長λ〜λの光を発光する。
【0021】
レーザダイオードCh1〜Ch4のうち一のレーザダイオードのカソード(陰極)は、他のレーザダイオードのアノード(陽極)に接続され、アノードとカソードとが直列に接続されている。つまり、レーザダイオードCh1〜Ch4の順方向バイアスが同じ向きになるように、レーザダイオードCh1〜Ch4が直列に接続される。
【0022】
また、光送信モジュール100は、複数のレーザダイオードCh1〜Ch4のアノード側に接続される電源10に直列に接続され、電源10からの電流(全体レーザバイアス電流I)を調整する全体電流調整回路150(第1の電流調整回路)を含んで構成される。別の言い方をすれば、複数のレーザダイオードCh1〜Ch4のうち、アノードが他のレーザダイオードのカソードに接続されていないレーザダイオードのアノード側に、電源10が接続される。全体電流調整回路150は、レーザダイオードCh1〜Ch4と直列に接続されることになる。全体レーザバイアス電流Iは、電源10から複数のレーザダイオードCh1〜Ch4の全体に対して流れる電流である。
【0023】
例えば、全体電流調整回路150は、直列に接続されたレーザダイオードCh1〜Ch4の一端のアノード(例えば、レーザダイオードCh1のアノード。即ち、他のレーザダイオードが接続されていない側のアノード)に直列に接続される。また例えば、直列に接続されたレーザダイオードCh1〜Ch4の他端のカソード(例えば、レーザダイオードCh4のカソード。即ち、他のレーザダイオードが接続されていない側のカソード)は、グランドGNDに接続される。
【0024】
なお、光送信モジュール100の構成は、図2の例に限られない。他にも例えば、全体電流調整回路150は、電源10側ではなく、グランドGND側に接続されていてもよい。即ち、全体電流調整回路150は、レーザダイオードCh1〜Ch4のアノード側でなく、カソード側に接続されていてもよい。したがって、全体電流調整回路150は、電源10とレーザダイオードCh1〜Ch4との間に配置されていてもよいし、レーザダイオードCh1〜Ch4とグランドGNDとの間に配置されていてもよい。
【0025】
また、光送信モジュール100は、複数のレーザダイオードCh1〜Ch4の各々に並列に接続された変調回路(例えば、レーザドライバ121〜124)を含んで構成される。
【0026】
図3は、電気信号が変調される様子を示す波形図である。図3に示すように、レーザドライバ121〜124の入力波形の振幅ImodとレーザダイオードCh1〜Ch4の定電流(定電流開始時間t〜t以降の電流)とが加算されることによって、各光チャネルにおける変調後の波形を得ることができる。
【0027】
図2に戻り、本実施形態においては、各レーザダイオードCh1〜Ch4と各レーザドライバ121〜124との間には、キャパシタ161a〜164bと抵抗171a〜174bとが直列に接続される場合を説明する。別の言い方をすれば、各レーザダイオードCh1〜Ch4のアノードとカソードの各々が、キャパシタ161a〜164bと抵抗171a〜174bを介して変調回路に接続される。
【0028】
キャパシタ161a〜164bがレーザダイオードCh1〜Ch4とレーザドライバ121〜124との間に接続されることによって、レーザダイオードCh1〜Ch4のアノード−カソード間にかかる電圧変化がキャパシタ161a〜164bによって吸収されるので、当該電圧変化によるレーザドライバ121〜124の出力端子へ悪影響(例えば、駆動電圧の不足)を防ぐことができる。
【0029】
また、抵抗171a〜174bがレーザダイオードCh1〜Ch4とレーザドライバ121〜124との間に接続されることによって、当該抵抗171a〜174bがダンピング又は終端の役割を果たすので、電流の反射を抑制し変調された光波形の形状を整えることができる。
【0030】
また、光送信モジュール100は、複数のレーザダイオードCh1〜Ch4の各々の両端に接続されたインダクタ181a〜184bを含んで構成される。つまり、各レーザダイオードCh1〜Ch4のアノード及びカソードの両ノードには、インダクタ181a〜184bが配置される。
【0031】
インダクタ181a〜184bは、各レーザドライバ121〜124から入力される交流信号を振動させないようにすることによって、当該インダクタ181a〜184bに直接接続されているレーザダイオードCh1〜Ch4以外の光チャネルへの信号漏洩や、自身の光チャネルのバイパス電流が流れる回路への信号漏洩を抑制することができる。
【0032】
また、光送信モジュール100は、複数のレーザダイオードCh1〜Ch4の各々に並列に接続され、全体電流調整回路150により調整された電流(全体レーザバイアス電流I)のうち複数のレーザダイオードCh1〜Ch4の各々に流れる電流を調整するトランジスタ191〜194(第2の電流調整回路)を含んで構成される。なお、インダクタ181a〜184bは、トランジスタ191〜194に並列に接続される、
【0033】
トランジスタ191〜194の各々は、レーザダイオードCh1〜Ch4の各々と並列に接続される。トランジスタ191〜194に接続される光出力制御回路195は、当該トランジスタ191〜194に流れるバイパス電流i〜iを制御するために用いられる。例えば、光出力制御回路195は、各トランジスタ191〜194のエミッタ−ベース間の電圧を制御することによって、バイパス電流i〜iを制御する。
【0034】
本実施形態の光送信モジュール100は、トランジスタ191〜194に流れるバイパス電流i〜iが光出力制御回路195により制御されることによって、各光チャネルに対応するレーザダイオードCh1〜Ch4に流れるレーザバイアス電流I〜Iを調整することができる構成になっている。例えば、レーザバイアス電流I〜Iとバイパス電流i〜iとは、下記の式1の関係を有する。
=I+i=I+i=I+i=I+i・・・(式1)
【0035】
[光出力設定方法]
次に、レーザバイアス電流I〜Iの調整方法について説明する。光送受信モジュール1が正確な光通信を行うためには、レーザダイオードCh1〜Ch4の光出力が、予め種々の規格で規程された所定範囲内(例えば、−4.3dbm〜+4.5dbm)に設定される必要がある。
【0036】
レーザダイオードCh1〜Ch4は、個々の特性を有するため、当該レーザダイオードCh1〜Ch4に流れる電流に対する発光強度(即ち、発光効率)にはばらつきがある。即ち、レーザダイオードCh1〜Ch4に同じ値の電流を流したとしても、明るく発光するものもあれば暗く発光するものもある。そこで、レーザダイオードCh1〜Ch4の個々の特性に合わせて、当該レーザダイオードCh1〜Ch4に流れる電流の調整が行われる。なお、以下説明する調整は、技師により行われてもよいし、マイコンによるソフトウェア処理によって行われてもよい。
【0037】
まず、レーザバイアス電流I〜Iの全体の調整方法について説明する。
【0038】
光出力制御回路195の制御により、トランジスタ191〜194のベース−エミッタ間の電圧がゼロに設定され、トランジスタ191〜194をオフの状態に設定する。トランジスタ191〜194がオフになっているので、バイパス電流i〜iはゼロになる。したがって、全体レーザバイアス電流Iと、各レーザダイオードCh1〜Ch4に流れるレーザバイアス電流I〜Iと、が全て同じ値となるように設定される。
【0039】
上記のようにトランジスタ191〜194をオフにした状態で、全体電流調整回路150に電流を印加させはじめると、各レーザダイオードCh1〜Ch4には、全体レーザバイアス電流Iが流れ始める。この状態で、技師又はマイコンが、全体電流調整回路150の出力を除々に上げることによって、全体レーザバイアス電流Iが除々に上がる。
【0040】
各レーザダイオードCh1〜Ch4に流れるレーザバイアス電流I〜I(即ち、全体レーザバイアス電流Iと同値)が閾値電流を超えると、レーザダイオードCh1〜Ch4が発光し始める。先述のように、レーザダイオードCh1〜Ch4の特性には個体差があるので、この閾値電流値にもばらつきがある。
【0041】
本実施形態においては、レーザダイオードCh1〜Ch4のうち、最も発光効率の悪いレーザダイオード(例えば、レーザダイオードCh1)の光出力が規程範囲の下限値(例えば、−4.3dbm)以上になった場合、全体電流調整回路150の出力上昇が停止される。即ち、全体レーザバイアス電流Iが固定される。
【0042】
なお、発光効率とは、レーザバイアス電流I〜Iに対する光出力の程度のことである。発光効率が最も悪いレーザダイオードの光出力が規定範囲の下限値を超えると、当該レーザダイオードよりも発光効率のよい他のレーザダイオードの光出力は、当然のことながら、規定範囲の下限値よりも大きくなっている。光出力が規定範囲の下限値を超えたか否かは、例えば、光送信モジュール100に接続されるテスタ等によって検出される。
【0043】
このように全体電流調整回路150の設定が行われることによって、最も少ない全体レーザバイアス電流Iで、全てのレーザダイオードCh1〜Ch4の光出力を規定範囲の下限値よりも大きくすることができる。なお、レーザダイオードCh1〜Ch4の経年劣化等に起因する特性のために、消費電力に問題ない程度で、上記の電流値よりも少し多めの全体レーザバイアス電流Iを、全体電流調整回路150に設定しておいてもよい。
【0044】
次に、レーザバイアス電流I〜Iの個別の調整方法について説明する。
【0045】
上記のように全体電流調整回路150を設定すると、最も発光効率の悪いレーザダイオード以外のレーザダイオードの光出力が規格範囲の上限値(例えば、4.5dbm)を超えている場合がある。この場合、当該上限値を超えている光出力が規格範囲内に収まるように、光出力制御回路195によってトランジスタ191〜194が制御される。
【0046】
光出力制御回路195は、トランジスタ191〜194のうち、上限値を超えている光チャネルのレーザダイオードCh1〜Ch4(例えば、レーザダイオードCh4)に並列に接続されたトランジスタ(例えば、トランジスタ194)を制御する。光出力制御回路195は、トランジスタ191〜194のベース−エミッタ間の電圧を制御することによって、バイパス電流i〜iを増減させることができる。
【0047】
式(1)に示されているように、光出力制御回路195がトランジスタ191〜194を制御してバイパス電流i〜iが増加するほど、レーザバイアス電流I〜Iを減少させることができる。レーザバイアス電流I〜Iが減少するとレーザダイオードCh1〜Ch4の光出力が少なくなるので、規格範囲の上限値を超えた光出力を規格範囲内に設定することが可能になる。
【0048】
上記のように、本実施形態の光送受信モジュール1によれば、全体電流調整回路150が全体レーザバイアス電流Iを調整することによって、レーザバイアス電流I〜Iを大まかに調整し、光出力制御回路195がバイパス電流i〜iを調整することによって、レーザバイアス電流I〜Iを微調整することができる。また、レーザダイオードCh1〜Ch4を直列に接続する構成なので、チャネル数の制限なく実装することが可能になる。
【0049】
また、従来技術のようなレーザダイオードCh1〜Ch4に個別に電源が接続されている構成では、各レーザダイオードCh1〜Ch4の各々に電流調整回路が必要になるが、本実施形態の光送受信モジュール1は、電流調整回路を1つにまとめているので、必要な電圧を最小限にとどめることができ、省電力化が可能になる。
【0050】
具体的には、例えば、3.3Vの電源が4つのレーザダイオードの各々に接続されている場合、各レーザダイオードに流れる電流を0.2(A)とすると、3.3(V)*0.2(A)*4=2.64(W)の電力が消費される。一方、本実施形態においては、各レーザダイオードにかかる電圧を1.5(V)とし、各レーザダイオードに流れる電流を0.25(A)とすると(例えば、発光効率が最も悪いレーザダイオードに流れる電流を0.25(A)、発光効率が最も良いレーザダイオードに流れる電流を0.2(A)とする。)、最大でも、1.5(V)*0.25(A)*4=1.5(W)の電力消費に抑えることができる。
【0051】
なお、規格範囲の上限値を超えた光出力をするレーザダイオードCh1〜Ch4以外のレーザダイオードCh1〜Ch4を調整する場合も、上記と同様の処理が行われる。即ち、光出力制御回路195がトランジスタ191〜194を制御することによって、バイパス電流i〜iを変化させ、レーザダイオードCh1〜Ch4に流れるレーザバイアス電流I〜Iを制御することができる。例えば、全てのレーザダイオードCh1〜Ch4の光出力が規格範囲の下限値に近づくように、レーザバイアス電流I〜Iが調整されるようにしてもよい。
【0052】
[光出力断機能]
次に、レーザダイオードCh1〜Ch4の光出力断機能について説明する。一般的な光送受信モジュールにおいては、主に安全性等の目的のために、全光チャネルの光出力断機能を有することが要求されている。また、レーザダイオードCh1〜Ch4の個別の発光試験等の各種試験の目的で、各レーザダイオードCh1〜Ch4についての個別の光出力断機能を持つことも要求される。
【0053】
例えば、各レーザドライバ121〜124の出力を断とすることによって、又は、全体電流調整回路150を断とすることによって、各レーザダイオードCh1〜Ch4に流れる電流をゼロとすることできるので、全光チャネルの光出力断機能を実現することができる。ただし、この方法では、全てのレーザダイオードCh1〜Ch4に流れる電流がゼロになるので、個別のレーザダイオードCh1〜Ch4の光出力を断とすることはできない。
【0054】
本実施形態の光送信モジュール100においては、光出力制御回路195がトランジスタ191〜194を制御することによって、個別のレーザダイオードCh1〜Ch4の光出力を断とすることができる。ここでは一例として、レーザダイオードCh1のみ、光出力断とする場合を例に挙げて説明する。
【0055】
まず、光出力断とするレーザダイオードCh1に対応するレーザドライバ121の出力を断とする。そして、光出力制御回路195により、レーザダイオードCh1に対応するトランジスタ191を完全にオンの設定とする。これにより、トランジスタ191は、略短絡された状態となるので、レーザダイオードCh1のレーザバイアス電流Iをゼロにして、全体レーザバイアス電流Iの全てをバイパス電流iとすることができる。
【0056】
即ち、レーザダイオードCh1に流れる電流をゼロにすることができ、レーザダイオードCh1の光出力断機能を実現することができる。他のレーザダイオードについても同様に、光出力断にしたレーザダイオードに並列に接続されているトランジスタを完全にオンの設定にすることによって、個別の光出力断機能を実現することができる。
【0057】
[変形例]
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、光送信モジュール100の構成は、実施形態1の例に限られず他の変調器を用いることによって実現されるようにしてもよい。
【0058】
図4は、変形例における光送信モジュール100の構成の一例を示す図である。図4に示す例では、光送信モジュール100が、電界吸収型の変調器により実現される場合を説明する。変形例の光送信モジュール100においては、各レーザダイオードCh1〜Ch4は、レーザドライバ121〜124と直接的に接続されないため、レーザダイオードCh1〜Ch4に流れる電流は、直流電流成分のみであり変調信号成分は流れない。レーザダイオードCh1〜Ch4は、それぞれ定常出力光で発光することになる。
【0059】
電界吸収型変調器301〜304は、当該電界吸収型変調器301〜304に入力される変調電気信号に応じて定常出力光を部分的に吸収することによって、変調成分を持った光信号を生成する素子である。
【0060】
本変形例における全体電流調整回路150の設定方法は、実施形態と同様である。即ち、全体バイアス電流Iを制御する全体電流調整回路150は、各レーザダイオードCh1〜Ch4に流れるレーザバイアス電流I〜Iによる光出力が所定範囲の下限値を上回るように設定される。
【0061】
また、トランジスタ191〜194は、実施形態と同様に、光出力制御回路195の制御によって、各レーザダイオードCh1〜Ch4に流れるレーザバイアス電流I〜Iを適正なものに調整するために使用される。
【0062】
本変形例においては、先述したように、各レーザダイオードCh1〜Ch4には直流電流のみが流れるため、変量電流が不要になる。したがって、図2に示す実施形態の構成と比較すると、変調信号の経路が各レーザダイオードCh1〜Ch4に接続されていない。また変調信号の他回路への影響を与えないようあるいは変調信号自身の劣化を抑えるために各レーザダイオードのアノード及びカソードに接続されていたインダクタも不要になる。
【0063】
なお、光送信モジュール100は、実施形態及び上記変形例の変調器以外にも、種々の変調器によって実現されるようにしてもよく、他にも例えば、マッハツェンダー変調器により光送信モジュール100が実現されるようにしてもよい。
【0064】
また、全体電流調整回路150としては、公知の種々の電流調整回路が適用可能である。例えば、全体電流調整回路150は、トランジスタや3端子レギュレータを含んで構成されるようにしてもよい。同様に、光出力制御回路195としては、公知の種々のトランジスタ制御回路が適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 光送受信モジュール、10 電源、100 光送信モジュール、110 マルチプレクサ、121,122,123,124 レーザドライバ、131,132,133,134 TOSA、140 光合波器、150 全体電流調整回路、161a,161b,162a,162b,163a,163b,164a,164b キャパシタ、171a,171b,172a,172b,173a,173b,174a,174b 抵抗、181a,181b,182a,182b,183a,183b,184a,184b インダクタ、191,192,193,194 トランジスタ、195 光出力制御回路、200 光受信モジュール、210 光分波器、221,222,223,224 ROSA、230 デマルチプレクサ、301,302,303,304 電界吸収型変調器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の波長の光信号を出力する光送信モジュールにおいて、
直列に接続された複数のレーザダイオードと、
前記複数のレーザダイオードのアノード側に接続される電源に直列に接続され、前記電源からの電流を調整する第1の電流調整回路と、
前記複数のレーザダイオードの各々に並列に接続され、前記第1の電流調整回路により調整された電流のうち前記複数のレーザダイオードの各々に流れる電流を調整する第2の電流調整回路と、
を含むことを特徴とする光送信モジュール。
【請求項2】
前記光送信モジュールは、
前記複数のレーザダイオードの各々の両端に接続されたインダクタを更に含み、
前記インダクタは、前記第2の電流調整回路に並列に接続される、
ことを特徴とする請求項1の光送信モジュール。
【請求項3】
前記光送信モジュールは、
前記複数のレーザダイオードの各々に並列に接続された変調回路と、
前記変調回路と前記複数のレーザダイオードの各々との間に接続されたキャパシタと、
を更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光送信モジュール。
【請求項4】
前記光送信モジュールは、
前記複数のレーザダイオードの各々に並列に接続された変調回路と、
前記変調回路と前記複数のレーザダイオードの各々との間に接続された抵抗と、
を更に含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の光送信モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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