説明

内燃機関用エアフィルタの目詰まり判定装置

【課題】内燃機関の吸気をろ過するエアフィルタにおける目詰まりの有無を、専用のセンサを用いることなく判定する。
【解決手段】エアフィルタにおける目詰まりの有無を判定させる場合に、ターボチャージャによる過給を最小にし(S2)、スロットルバルブ(吸気絞り弁)を全開に制御し(S3)、吸気を加熱する電気ヒータをオフに制御し(S4)、EGR装置34による排気還流を停止させる(S5)。そして、そのときのブースト圧PB(S8)と、大気圧及び吸気温度に基づき補正設定した判定値SL(S7)とを比較し(S9)、ブースト圧PBが判定値SL未満であれば、エアフィルタにおける目詰まりの発生を判定し、警告を発する(S10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアフィルタを介して吸気する内燃機関において、前記エアフィルタにおける目詰まりの有無を判定する目詰まり判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関に用いられるフィルタの目詰まりを検出する装置としては、例えば特許文献1に開示されるように、フィルタの前後差圧に基づき目詰まりの有無を判定する装置があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−157200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のものが目詰まりの有無を判定するフィルタは、排気中の微粒子を捕集するフィルタであるため、目詰まりが生じる周期が比較的短く、目詰まり判定のために圧力センサを配置しても、圧力センサを充分に活用できる。
しかし、内燃機関の吸気をろ過するエアフィルタの目詰まりは、排気の微粒子を捕集するフィルタに比べて大幅に長い周期で発生するため、エアフィルタの目詰まりを検出するために専用のセンサを設けても充分に活用することができず、無駄が多くなってしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、内燃機関のエアフィルタにおける目詰まりの有無を、専用のセンサを用いることなく判定することができる、目詰まり判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本発明では、ブースト圧センサが検出した内燃機関のブースト圧と判定値との比較に基づき、エアフィルタにおける目詰まりの有無を判定するようにした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、エアフィルタに目詰まりが発生すると(換言すれば、エアフィルタにおける異物の堆積が進行すると)、エアフィルタにおける吸気抵抗が増えてブースト圧を低下させることになるので、エアフィルタの目詰まりによるブースト圧の減少変化を、ブースト圧の検出値と判定値との比較に基づき検出する。
従って、ブースト圧の検出のために内燃機関に備えられるブースト圧センサを、エアフィルタの目詰まり判定に流用でき、目詰まり判定のために専用のセンサを用いる必要がなく、充分に活用されないセンサを設ける無駄の発生を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態においてエアフィルタの目詰まり判定装置を適用するディーゼルエンジンのシステム構成図
【図2】実施形態における目詰まり判定処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本願に係るエアフィルタの目詰まり判定装置を適用する、車両用のディーゼルエンジン(内燃機関)10を示す。
【0010】
ディーゼルエンジン10は、吸気管14及び吸気マニホールド12を介して空気を吸引する。吸気管14には、上流側から順に、空気中の埃などをろ過するエアフィルタ(エアクリーナ)16、吸気過給を行う可変ノズルベーン式ターボチャージャ18のコンプレッサ18A、コンプレッサ18Aを通過して高温になった吸気を冷却するインタークーラ20、吸気管14の開口面積を絞るスロットルバルブ(吸気絞り弁)21、低温始動時に吸気を加熱する電気ヒータ(プレヒータ)23を設けてある。
【0011】
尚、スロットルバルブ21は、モータ等のアクチュエータ21Aによって開駆動される電子制御式スロットルバルブであり、このスロットルバルブ21の開度を制御することで吸気流量を制御でき、このスロットルバルブ21と後述するEGR装置34のEGR制御弁34Cとが協同して、排気還流率(EGR率)を制御する。
【0012】
一方、ディーゼルエンジン10は、排気マニホールド22及び排気管24を介して排気を放出する。排気管24には、上流側から順に、ターボチャージャ18の排気タービン18B、連続再生式DPF装置26、還元剤前駆体としての尿素水溶液を噴射供給する噴射ノズルを有する還元剤噴射装置28、尿素水溶液から生成されるアンモニア(還元剤)を用いてNOxを選択還元浄化するSCR触媒30、SCR触媒30を通過したアンモニアを酸化させるアンモニア酸化触媒32を設けてある。
【0013】
排気タービン18Bは可変ノズルベーン(図示省略)を備え、ノズル面積をアクチュエータ18Cによって可変することで、AR比(通路断面積とスクロール半径の比)を変化させることができる構成である。
連続再生式DPF装置26は、一酸化窒素NOを二酸化窒素NO2へと酸化させるDOC(Diesel Oxidation Catalyst)26Aと、排気中の微粒子PM(Particulate Matter)を捕集・除去するDPF(Diesel Particulate Filter)26Bとを備える。
【0014】
また、ディーゼルエンジン10は、排気の一部を吸気側に還流させるEGR(Exhaust Gas Recirculation)装置34を備えていて、排気の一部を吸気側に還流させることで燃焼温度を低下させ、排気中のNOx濃度を低減する。
EGR装置34は、排気管24を流れる排気の一部を吸気管14に還流させるEGR管34Aと、EGR管34Aを流れる排気を冷却するEGRクーラ34Bと、吸気管14に還流させる排気量(EGR率)を制御するEGR制御弁34Cとを備える。
【0015】
また、ディーゼルエンジン10は、ディーゼルエンジン10の運転条件を検出するための各種センサとして、回転速度NEを検出する回転速度センサ44、ブースト圧PB(吸気マニホールド12内の吸気圧力)を検出するブースト圧センサ45、吸気マニホールド12内の吸気温度TAを検出する吸気温度センサ46、大気圧PAを検出する大気圧センサ47などを備えている
【0016】
そして、コンピュータを内蔵したコントロールユニット(ECU)42は、上記の各種センサからの出力信号を入力し、内蔵するROM(Read Only Memory)などの不揮発性メモリに記憶した制御プログラムを実行することで、スロットルバルブ21の開度、電気ヒータ23への通電、EGR制御弁34Cの開度、排気タービン18Bのノズル開度、還元剤噴射装置28による尿素水溶液の噴射量などを制御する操作信号を出力して、ディーゼルエンジン10の運転を制御する。
【0017】
また、コントロールユニット42は、上記の各種センサからの出力信号に基づき前記制御プログラムを実行することで、エアフィルタ16における目詰まりの有無を判定し、目詰まりの発生を判定した場合には、ディーゼルエンジン10を搭載した車両のコンビネーションメータに付設した警告灯48を点灯する。
即ち、コントロールユニット42が、制御プログラムを実行することで、目詰まり判定装置(目詰まり判定手段)の一例が具現化される。
【0018】
エアフィルタ16における目詰まりの発生を警告する手段としては、警告灯48に代えて又は警告灯48と共に、警告音を発生するブザー、図形や文字を表示できる表示装置などを用いることができる。
図2のフローチャートは、コントロールユニット42によって実行される、エアフィルタ16の目詰まり判定の制御プログラムを示す。
【0019】
図2のフローチャートに示す制御プログラムは、単位時間毎に繰り返し実行され、まず、ステップS1では、エアフィルタ16の目詰まり判定を行える条件であるか否かを判断する。
目詰まり判定においては、後述するように、ターボチャージャ18などのブースト圧PBを変化させるデバイスを、予め定めた状態に操作することで、係る操作状態に対応するブースト圧PBが発生するようにする。そして、このときに実際に発生したブースト圧の検出値PBと、前記操作状態に対応するブースト圧に基づく判定値SLとを比較することで、エアフィルタ16における目詰まりの発生によるブースト圧の低下を検出する。
【0020】
即ち、ターボチャージャ18などのブースト圧を変化させるデバイスを予め定めた状態に操作した状態であって、かつ、エアフィルタ16に目詰まりがない初期状態において発生するブースト圧を、予め実験やシミュレーションによって求め、この初期状態でのブースト圧を基準として、エアフィルタ16の目詰まりによるブースト圧の低下を判定するための判定値SLを設定し、係る判定値SLをコントロールユニット42が内蔵する不揮発性メモリに予め記憶させておく。
【0021】
ここで、前述のように、所期のブースト圧を発生させるべく、ターボチャージャ18などのブースト圧を変化させるデバイスを予め定めた状態に操作するから、係る操作が運転性(発生トルク、排気性状など)に大きく影響しない運転条件を、エアフィルタ16の目詰まり判定を行う運転条件として予め設定しておく。
そして、ステップS1では、そのときのディーゼルエンジン10の運転条件が、目詰まり判定を行うものとして予め設定されている運転条件に合致しているか否かを判断する。
【0022】
具体的には、例えばアイドル運転状態を含む低負荷かつ低回転の運転領域を、エアフィルタ16の目詰まり判定を行う運転条件とする。低負荷低回転領域であれば、元々過給圧が低く、また、排気還流(EGR)による燃焼温度の低下要求が比較的低いから、後述するようにして、過給を最小にしたり、EGRを停止しても、ディーゼルエンジン10の運転性が大きく悪化することを抑制できる。
また、低負荷低回転領域であることの他に、車両の停止状態であること、ディーゼルエンジン10に組み合わされる変速機がニュートラル状態であること、ブースト圧PBが略一定している定常運転状態であることなどを、目詰まり判定の実施条件として設定し、これらのうちの1つ或いは複数が成立している場合に、目詰まり判定を実施させるように構成することができる。
【0023】
但し、エアフィルタ16の目詰まり判定を行う運転条件を、前述の条件に限定するものではなく、ターボチャージャ18などのブースト圧PBを変化させるデバイスをどのような状態に操作するかなどに応じて、適宜設定することができる。
また、エアフィルタ16の目詰まりの進行は遅く、頻繁に目詰まり判定を行う必要がないので、例えば、最後に目詰まり判定を行ってから既定の走行距離以上走行していること、最後に目詰まり判定を行ってから既定のエンジン運転時間以上運転していることなどを、目詰まり判定を実行する前提条件とし、係る前提条件が成立していてかつ低負荷低回転領域であることなどの条件が成立しているときに、エアフィルタ16の目詰まり判定を実施させることができる。
【0024】
ステップS1で、ディーゼルエンジン10の運転中にエアフィルタ16の目詰まり判定を行える条件であると判断すると、ステップS2〜ステップS5へ進み、ターボチャージャ18などのブースト圧PBを変化させるデバイスを予め定めた状態に操作する。
まず、ステップS2では、ターボチャージャ18の可変ノズルベーンを制御することで、過給を最小にする。低負荷低回転領域で目詰まり判定を行わせる場合には、ノズル面積を大きくすることで、過給効率を強制的に低下させ、過給を最小にする。換言すれば、過給の最小状態で目詰まり判定を行わせるために、可変ノズルベーンを制御することで過給を最小にできる運転領域を、目詰まり判定を行わせる運転領域として、前述のステップS1における判定を行わせる。
【0025】
続いてステップS3では、スロットルバルブ(吸気絞り弁)21を全開に制御して、吸気絞りによる圧力の低下を回避して、ブースト圧PBが大気圧付近になるようにする。
更にステップS4では、電気ヒータ23をオフに制御して、ヒータ加熱による空気密度の低下を回避する。
【0026】
次のステップS5では、EGR制御弁34Cを全閉に制御して排気還流を停止させ、排気管24内の圧力がEGR管34Aを介して吸気管14及び吸気マニホールド12内に伝わることを阻止する。
上記ステップS2〜ステップS5の処理が、ターボチャージャ18などのブースト圧を変化させるデバイスを予め定めた状態に操作する処理である。
【0027】
本実施形態において、ブースト圧PBを変化させるデバイスは、ターボチャージャ18,スロットルバルブ(吸気絞り弁)21,電気ヒータ23及びEGR装置34であり、これらのデバイスを、ブースト圧(吸気圧)PBが吸気管内圧力に作用しないように操作する。
ステップS6では、吸気温度センサ46の出力から吸気マニホールド12内の吸気温度TAを検出し、また、大気圧センサ47の出力から大気圧PAを検出する。
【0028】
そして、ステップS7では、ステップS6で検出した吸気温度TA及び大気圧PA(換言すれば、吸気の密度)に基づき、予め記憶してある判定値SLを補正設定する。
予め記憶してある判定値SLは、基準の吸気温度TA及び基準の大気圧PAでのブースト圧に基づき設定した値である。一方、エアフィルタ16に目詰まりが発生していない状態で、ブースト圧PBを変化させるデバイスを予め定めた状態に操作したときの実際のブースト圧PBは、そのときの吸気温度TA及び大気圧PAに影響されて変化する。
【0029】
このため、吸気温度TA及び大気圧PAに基づいて補正していない判定値SLと、ブースト圧センサ45の出力に基づき検出したブースト圧PBとを比較すると、エアフィルタ16の目詰まりとは無関係な、吸気温度TA及び/又は大気圧PAの基準値に対するずれを要因とする偏差が、判定値SLとブースト圧PBとの間に発生し、エアフィルタ16の目詰まりを誤判定することになってしまう。
そこで、本実施形態では、判定値SLをそのときの吸気温度TA及び/又は大気圧PAに応じて補正することで、吸気温度TA及び/又は大気圧PAの基準値に対するずれを要因として、エアフィルタ16の目詰まりが誤判定されることを防止するようにしてある。
【0030】
具体的には、吸気温度TAが高くなるほど、また、大気圧PAが低くなるほど、空気の密度が低下し、ブースト圧PBはより低くなるので、吸気温度TAが高くなるほど、また、大気圧PAが低くなるほど、判定値SLをより低く補正する。
尚、本実施形態では、判定値SLをそのときの吸気温度TA及び/又は大気圧PAに応じて補正したが、ブースト圧センサ45の出力又は当該出力に基づき検出したブースト圧PBを、そのときの吸気温度TA及び/又は大気圧PAに応じて補正してもよいし、判定値SLと、ブースト圧センサ45の出力又は当該出力に基づき検出したブースト圧PBとの双方をそのときの吸気温度TA及び/又は大気圧PAに応じて補正してもよい。
【0031】
また、交換や整備を要するほどの目詰まりが発生していることを判定できればよく、高精度なブースト圧の判定は不要であるので、吸気温度TA及び/又は大気圧PAに応じた補正処理を省略することができる。
ステップS8では、ブースト圧センサ45の出力に基づきそのときのブースト圧PBを検出する。
【0032】
ステップS9では、ステップS8で検出したブースト圧PBと、ステップS7で吸気温度TA及び大気圧PAに基づき補正設定した判定値SLとを比較する。
そして、そのときのブースト圧PBが判定値SL以上であれば、エアフィルタ16に目詰まり(交換や整備を要するほどの目詰まり)は発生していないものと判断し、ステップS9を迂回して一連の目詰まり判定処理を終了させる。
【0033】
一方、そのときのブースト圧PBが判定値SL未満である場合には、エアフィルタ16に目詰まり(交換や整備を要するほどの目詰まり)が発生し、これによる吸気抵抗の増大によって、目詰まりが発生していない場合よりもブースト圧PBが低下したものと判断し、ステップS10へ進む。
ステップS10では、目詰まり発生判定信号に基づき警告灯48を点灯することで、車両の運転者に対し、エアフィルタ16に目詰まり(交換や整備を要するほどの目詰まり)が発生していることを警告し、エアフィルタ16の点検や整備を促す。
【0034】
上記の目詰まり判定処理によると、ターボチャージャ18などのブースト圧を変化させるデバイスを予め定めた状態に操作することで、所期のブースト圧PBが発生する状態とし、このときの実際のブースト圧PBが前記操作状態に見合う所期圧よりも低下している場合に、エアフィルタ16に目詰まり(交換や整備を要するほどの目詰まり)が発生しているものと判定する。
【0035】
ブースト圧PBを検出するブースト圧センサ45は、ターボチャージャ18の過給圧制御や燃料噴射量の制御などに用いられるものであり、エアフィルタ16の目詰まり判定のための専用センサではないから、エアフィルタ16に目詰まり判定を可能にするために新たにセンサを追加する必要がなく、既存のセンサを有効利用して目詰まり判定を行える。
即ち、ディーゼルエンジン10のコストを増大させることなく、エアフィルタ16の目詰まり判定を行え、エアフィルタ16に目詰まりが発生した状態のまま、ディーゼルエンジン10が運転されてしまうことを回避することができる。
【0036】
また、ブースト圧センサ45の検出値に基づき、エアフィルタ16の目詰まり判定を行う場合に、ターボチャージャ18などのブースト圧を変化させるデバイスを予め定めた状態に操作することで、所期のブースト圧PBが発生する状態とするから、運転条件に影響されて目詰まりの判定精度が悪化することがなく、目詰まりの有無を精度よく判定できる。
更に、ブースト圧センサ45の検出値と比較する判定値SLを、吸気温度TA及び大気圧PAに応じて補正するので、吸気温度TA及び大気圧PAに変動があっても、エアフィルタ16の目詰まりの有無を誤判定してしまうことを回避できる。
【0037】
また、エアフィルタ16の目詰まりの発生を判定したときに、警告灯48を点灯して、エアフィルタ16に目詰まりが発生していることを運転者に警告するから、エアフィルタ16の目詰まりによってディーゼルエンジン10の燃費性能などが低下した状態のまま、ディーゼルエンジン10が運転され続けることを未然に回避できる。
【0038】
上記実施形態では、エアフィルタ16の目詰まりを、目詰まりが発生している状態と、目詰まりが発生していない状態とに判別したが、ブースト圧PBが判定値SL未満であって、かつ、ブースト圧PBと判定値SLとの差が大きいほど、エアフィルタ16の目詰まりがより進行しているものと推定できるので、判定値SLとして相互に異なる複数種を予め設定し、ブースト圧PBがどの程度低下しているかによって、エアフィルタ16の目詰まりの進行度合いを複数種に判別することができる。
そして、目詰まりの進行度合いの判別結果に基づき、運転者に対して、例えば「要注意」「要点検」「至急点検」や「目詰まり:小」「目詰まり:中」「目詰まり:大」などに区別した警告を行わせる構成とすることができる。
【0039】
また、上記実施形態では、ブースト圧センサ45の検出値と比較する判定値SLを、吸気温度TA及び大気圧PAに応じて補正したが、係る補正を行う代わりに、吸気温度TAが標準温度付近であってかつ大気圧PAが標準圧付近であることを、エアフィルタ16の目詰まり判定を行う条件とすることができる。
また、ディーゼルエンジン10の停止状態でのブースト圧センサ45の検出値が、大気圧を示すものとして、目詰まり判定に用いることができ、係る構成とすることで、大気圧センサ47を備えないシステムとすることができる。
【0040】
また、本実施形態では、エアフィルタの目詰まり判定装置を適用するエンジンを、ディーゼルエンジンとしたが、ガソリンエンジンであってもよい。
また、1回の目詰まり判定で直ちに目詰まりの発生を警告するのではなく、何回か連続して目詰まりの発生を判定して初めて運転者への警告(換言すれば、最終的な目詰まり判定)を行わせるようにすれば、より判定精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0041】
10 ディーゼルエンジン
14 エアフィルタ
18 ターボチャージャ(過給機)
21 スロットルバルブ(吸気絞り弁)
23 電気ヒータ(プレヒータ)
34 EGR装置(排気還流装置)
42 コントロールユニット(目詰まり判定手段)
45 ブースト圧センサ
46 吸気温度センサ(密度センサ)
47 大気圧センサ(密度センサ)
48 警告灯(警告手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアフィルタを介して吸気する内燃機関であって、ブースト圧を検出するブースト圧センサを備えた内燃機関において、
前記ブースト圧センサが検出したブースト圧と判定値との比較に基づき、前記エアフィルタにおける目詰まりの有無を判定することを特徴とする内燃機関用エアフィルタの目詰まり判定装置。
【請求項2】
目詰まりの判定に用いるブースト圧を検出するときに、前記内燃機関においてブースト圧を変化させるデバイスを、予め定めた状態に操作することを特徴とする請求項1記載の内燃機関用エアフィルタの目詰まり判定装置。
【請求項3】
前記内燃機関が前記デバイスとして過給機を備え、目詰まりの判定に用いるブースト圧を検出するときに、前記過給機による過給を最小にすることを特徴とする請求項2記載の内燃機関用エアフィルタの目詰まり判定装置。
【請求項4】
前記内燃機関が前記デバイスとして排気還流装置を備え、目詰まりの判定に用いるブースト圧を検出するときに、前記排気還流装置による排気還流を停止させることを特徴とする請求項2又は3記載の内燃機関用エアフィルタの目詰まり判定装置。
【請求項5】
前記内燃機関が前記デバイスとして吸気絞り弁を備え、目詰まりの判定に用いるブースト圧を検出するときに、前記吸気絞り弁を全開に操作することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の内燃機関用エアフィルタの目詰まり判定装置。
【請求項6】
前記内燃機関が前記デバイスとして吸気を加熱するプレヒータを備え、目詰まりの判定に用いるブースト圧を検出するときに、前記プレヒータをオフ状態に操作することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の内燃機関用エアフィルタの目詰まり判定装置。
【請求項7】
前記内燃機関が、吸気の密度に相関する状態量を検出する密度センサを備え、
目詰まりの判定に用いるブースト圧の検出値と前記判定値との少なくとも一方を、前記密度センサの検出値に基づき補正することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の内燃機関用エアフィルタの目詰まり判定装置。
【請求項8】
前記密度センサが、大気圧と吸気温度との少なくとも一方を検出するセンサであることを特徴とする請求項7記載の内燃機関用エアフィルタの目詰まり判定装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−122336(P2012−122336A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271142(P2010−271142)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000003908)UDトラックス株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】