説明

内視鏡

【課題】先端部が衝撃を受けても、先端部における内蔵物が容易に傾くことを防止できる細径な先端部を有する挿入部を具備する内視鏡を提供すること。
【解決手段】先端硬質部21は、先端硬質部21の外装体として形成され、先端部51aと基端部51bと先端部51aに配設される底面51cとを有する円筒部材51と、先端部53aと基端部53bとを有し、底面51cに形成される開口部51dに先端部53aが位置決めのために嵌め込まれて円筒部材51の内部に配設され、内蔵物と基端部53bにて連結する、または内蔵物を位置決めするように収納する円筒状の連結収納部53とを有している。また先端硬質部21は、円筒部材51の蓋部材として円筒部材51の基端部51bに配設され、円筒部材51に配設された際に、連結収納部53の基端部53bを位置決めする円盤状の位置決め部材65を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処置具挿通チャンネルと撮像ユニットとを含む内蔵物が挿入部を挿通している内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に内視鏡は、被検体に挿入される挿入部を有している。挿入部には、内蔵物が挿通している。このような内蔵物には、例えば、処置具挿通チャンネルと、送気・送水チャンネルと、撮像ユニットと、ライトガイドとが含まれている。
【0003】
内蔵物の先端部は、固定部によって挿入部の先端部の内部に固定されている。固定部は、挿入部の先端部の内部に配設されている。固定部には、内蔵物の先端部を固定部に固定するために内蔵物の先端部が嵌合する固定孔が成形されている。固定孔は、内蔵物の先端部が固定部に嵌合するように、先端部の外径と略同様の大きさを有している。このような固定部は、切削加工または射出成形によって成形される。
【0004】
径鼻内視鏡のように挿入部の先端部が細くなる場合、内蔵物同士の間隔は狭くなり、一方の固定孔と他方の固定孔との間の肉厚は薄くなる。これにより、固定孔を含む固定部の加工または成形は、困難となる。また内蔵物同士の間隔が狭くなると、挿入部の先端部における強度(肉厚)が低下し、組み立て時の作業性が低下する虞が生じる。
【0005】
そのため例えば特許文献1では、内視鏡先端部を組み立てる際に内蔵物同士が干渉することを防止して組み立て時の作業性を良好にし、且つ内視鏡先端部を小型化する内視鏡が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−174675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1において、内蔵物の先端部が内視鏡先端部に固定された後、内蔵物は外皮チューブ等により被覆されているのみである。そのため内蔵物は、内視鏡の運搬時や洗浄時において例えば周方向から加わる衝撃に弱くなり、衝撃を受けると傾く虞が生じる。これにより一方の内蔵物が他方の内蔵物に寄りかかり、他方の内蔵物が傾いてしまうといった不具合が生じ、他方の内蔵物が性能を効率的に発揮できない虞が生じる。このように、挿入部の先端部において内蔵物同士が互いに干渉する虞が生じる。
【0008】
そのため、傾きを防止しようとするために、強度を確保しようとすると、内視鏡先端部(挿入部の先端部)が肉厚、つまり太径化してしまい、例えば径鼻内視鏡には不向きになってしまう。
【0009】
このように、挿入部の先端部の細径化と、内蔵物の傾きの防止との両立は、非常に難しい。
【0010】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、先端部が衝撃を受けても、先端部における内蔵物が容易に傾くことを防止できる細径な先端部を有する挿入部を具備する内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は目的を達成するために、内蔵物が挿入部を挿通している内視鏡であって、前記挿入部の先端部の外装体として形成され、先端部と基端部と前記先端部に配設される底面とを有する円筒部材と、先端部と基端部とを有し、前記底面に形成される開口部に前記先端部が位置決めのために嵌め込まれて前記円筒部材の内部に配設され、前記内蔵物と前記基端部にて連結する、または前記内蔵物を位置決めするように収納する円筒状の連結収納部と、前記円筒部材の蓋部材として前記円筒部材の前記基端部に配設され、前記円筒部材に配設された際に、前記連結収納部の前記基端部を位置決めする円盤状の位置決め部材と、を具備することを特徴とする内視鏡を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、先端部が衝撃を受けても、先端部における内蔵物が容易に傾くことを防止できる細径な先端部を有する挿入部を具備する内視鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明に係る内視鏡システムの概略構成図である。
【図2A】図2Aは、本実施形態の先端硬質部の概略斜視図である。
【図2B】図2Bは、先端硬質部の正面図である。
【図2C】図2Cは、先端硬質部の背面図である。
【図3】図3は、図2Bに示す3−3線における断面図である。
【図4】図4は、位置決め部材の正面図である。
【図5】図5は、収納連結部の先端部の位置決めの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1と図2Aと図2Bと図2Cと図3と図4とを参照して第1の実施形態について説明する。
図1に示すように、内視鏡システム10は、例えば所望する観察対象物を撮像する内視鏡12と、内視鏡12と着脱自在に接続し、内視鏡12と後述するモニタ16とを制御する制御装置14(例えばビデオプロセッサ)と、制御装置14と接続し、内視鏡12によって撮像された観察対象物を表示する表示部であるモニタ16と、内視鏡12と着脱自在に接続し、照明光を出射する光源装置18とを有している。この観察対象物とは、被検体(例えば体腔)内における患部や病変部等である。
【0015】
図1に示すように内視鏡12には、患者の体腔内に挿入される中空の細長い挿入部20と、挿入部20の基端部と連結し、内視鏡12を操作する操作部30とが配設されている。
【0016】
挿入部20は、挿入部20の先端部側から基端部側に向かって、先端硬質部21と、湾曲部23と、可撓管部25とを有している。先端硬質部21の基端部は湾曲部23の先端部と連結し、湾曲部23の基端部は可撓管部25の基端部と連結している。
【0017】
先端硬質部21は、挿入部20の先端部及び内視鏡12の先端部であり、硬い。先端硬質部21の詳細については、後述する。
【0018】
湾曲部23は、後述する湾曲操作部37の操作によって、例えば上下左右といった所望の方向に湾曲する。湾曲部23が湾曲することにより、先端硬質部21の位置と向きとが変わり、観察対象物が観察視野内に捉えられ、照明光が観察対象物に照明される。湾曲部23は、図示しない節輪が挿入部20の長手軸方向に沿って回動可能に連結されていることで、構成されている。節輪は図示しない網状管によって被覆され、図示しない網状管は樹脂やゴム等の図示しない外皮によって被覆されている。
【0019】
可撓管部25は、所望な可撓性を有しており、外力によって曲がる。可撓管部25は、操作部30の後述する本体部31から延出されている管状部材である。
【0020】
操作部30は、可撓管部25が延出している本体部31と、本体部31の基端部と連結し、内視鏡12を操作する操作者によって把持される把持部33と、把持部33と接続しているユニバーサルコード41とを有している。
【0021】
本体部31には、処置具挿入口35aが配設されている。処置具挿入口35aには、図3に示すような処置具挿通チャンネル73の基端部が連結している。処置具挿通チャンネル73は、挿入部20内において、可撓管部25から先端硬質部21に渡って配設されている。処置具挿入口35aは、図示しない内視鏡用処置具を処置具挿通チャンネル73に挿入するための挿入口である。図示しない内視鏡用処置具は、処置具挿入口35aから処置具挿通チャンネル73に挿入され、先端硬質部21側まで押し込まれる。そして内視鏡用処置具は、図3に示すように、先端硬質部21に配設されている処置具挿通チャンネル73の先端開口部73aから突出される。
【0022】
把持部33には、湾曲部23を湾曲操作する湾曲操作部37が配設されている。
【0023】
また把持部33には、処置具挿通チャンネル73を兼ねる吸引チャンネルのための吸引スイッチ39aと、後述する送気・送水チャンネル75のための送気・送水スイッチ39bとを有するスイッチ部39が配設されている。スイッチ部39は、把持部33が術者に把持された際に、術者の手によって操作される。吸引スイッチ39aは、先端開口部73aを兼ねる吸引開口部から吸引チャンネル(処置具挿通チャンネル73)を介して、粘液や流体等を内視鏡12が吸引するときに操作される。送気・送水スイッチ39bは、先端硬質部21において撮像ユニット77(図3参照)の観察視野(観察窓)を確保するために送気・送水チャンネル75から流体を送気・送水するときに操作される。送気・送水チャンネル75は、ユニバーサルコード41と操作部30と挿入部20とを挿通している。流体は、水や気体を含む。
【0024】
また、把持部33には、後述する撮像ユニット77のための各種ボタンが配設されている。
【0025】
ユニバーサルコード41は、把持部33の側面から延出されている。ユニバーサルコード41の端部は分岐しており、それぞれにコネクタ41aが配設されている。コネクタ41aの一方は制御装置14に着脱可能となっており、コネクタ41aの他方は光源装置18に着脱可能となっている。
【0026】
上述した処置具挿通チャンネル73と、上述した送気・送水チャンネル75と、上述した撮像ユニット77と、後述するライトガイド79とは、内視鏡12内に内蔵される内蔵物71である。撮像ユニット77における図示しない撮像ケーブルとライトガイド79とは、先端硬質部21から操作部30とユニバーサルコード41を介してコネクタ41aに渡って挿通している。
【0027】
ライトガイド79は、コネクタ41aが光源装置18と接続した際に、光源装置18で発生した照明光を先端硬質部21側に導光する。また撮像ケーブルは、コネクタ41aが制御装置14と接続した際に、制御装置14と接続し、これにより撮像ユニット77が撮像した撮像画像がモニタ16に表示される。
【0028】
次に先端硬質部21について図2Aと図2Bと図2Cと図3と図4とを参照して説明する。
図2Aと図3とに示すように、先端硬質部21は、先端硬質部21の外装体として形成され、先端部51aと基端部51bと先端部51aに配設される底面51cとを有する円筒部材51と、先端部53aと基端部53bとを有し、底面51cに形成される開口部51dに先端部53aが位置決めのために嵌め込まれて円筒部材51の内部に配設され、内蔵物71と基端部53bにて連結する、または内蔵物71を位置決めするように収納する円筒状の連結収納部53と、円筒部材51の蓋部材として円筒部材51の基端部51bに配設され、円筒部材51に配設された際に、連結収納部53の基端部53bを位置決めする円盤状の位置決め部材65とを有している。
【0029】
図3に示すように、円筒部材51は、連結収納部53と、連結収納部53に収納されている内蔵物71とを収納している。そして円筒部材51は、連結収納部53と内蔵物71とを収納し、外部から連結収納部53と内蔵物71とに加わる衝撃を遮蔽し、衝撃から連結収納部53と内蔵物71とを保護する保護部材として機能する。そして円筒部材51は、衝撃を遮蔽し、衝撃によって連結収納部53と内蔵物71とが傾くことを防止する。
【0030】
このような円筒部材51は、上述したように先端部51aと基端部51bとを有している。図2Aと図2Bとに示すように、底面51cは、先端部51a側に配設されている。また図2Cに示すように、基端部51bには、底面51cに対向し、開口している開口部51hが形成されている。この開口部51hは、図2Aに示すように、上述した位置決め部材65によって蓋をされる。底面51cと開口部51hとの大きさは、円筒部材51の径方向における円筒部材51の大きさと略同一である。
【0031】
図2Aと図2Bとに示すように、底面51cは、連結収納部53と同数の上述した開口部51dを有している。開口部51dの大きさは、各連結収納部53の先端部53aと略同一の大きさである。図3に示すように、円筒部材51は、開口部51dの縁が円筒部材51の内部に向かって折れ曲がることで形成され、連結収納部53の先端部53aを位置決めするために連結収納部53の先端部53aに嵌り込む突起部51eを底面51cに有している。突起部51eは、開口部51d、つまり連結収納部53と同数形成されている。また突起部51eは、開口部51dの縁の全周に渡って形成されており、つまり円環状に形成されている。また突起部51eは、連結収納部53の先端部53aに嵌りこんだ後、水密を確保するために、連結収納部53の先端部53aと、レーザによって接合される、またはロウ付けされる。
【0032】
図2Aと図2Bとに示すように、円筒部材51は、基端部51bの縁に、位置決め部材65の後述する突起部65bが嵌り込む複数の溝部51gを有している。溝部51gは、基端部51b側から先端部51a側に向かって凹んでいる。また円筒部材51は、基端部51bに、湾曲部23における図示しない節輪と接続するための図示しない突片を有している。
【0033】
円筒部材51は、金属板が例えばプレスによる絞り加工によって底面51cを有する円筒形状に加工されることで、形成される。また開口部51d及び突起部51eは、底面51cが例えばバーリング加工されることで、形成される。
【0034】
図2Bと図2Cと図3とに示すように、連結収納部53は、処置具挿通チャンネル73と、送気・送水チャンネル75と、撮像ユニット77と、ライトガイド79とのためにそれぞれ配設される。そして1つの連結収納部53は、1つの内蔵物71を収納する。または1つの連結収納部53は、1つの内蔵物71と連結する。このように連結収納部53は、内蔵物71と同数配設される。連結収納部53は、金属の平板が例えば円筒形状に加工されることで、形成される。円筒部材51に収納される連結収納部53同士は、互いに接触していても良いし、微小に離れていても良い。
【0035】
図3に示すように、連結収納部53の先端部53aには、連結収納部53の位置決めのために、上述したように突起部51eが嵌り込む。そのため、連結収納部53の先端部53aは、例えば、突起部51eが嵌り込む部分以外に比べて拡径している。詳細には、突起部51eが連結収納部53の先端部53aに嵌りこんだ際、突起部51eの内周面51fが先端部53aを除く連結収納部53の内周面53fと同一平面となるように、連結収納部53の先端部53a側は拡径するように形成されている。
【0036】
なお連結収納部53の先端部53aには突起部51eが嵌り込むため、連結収納部53の先端部53aは底面51cから突出しない。このように、突起部51eは、底面51cからの連結収納部53の突出(抜け)を防止する突出防止部でもある。
【0037】
図2Bと図2Cと図3とに示すように、連結収納部53は、処置具挿通チャンネル73と送気・送水チャンネル75とに連結する連結部55,57と、撮像ユニット77とライトガイド79とを収納する収納部59,61とから構成されている。
【0038】
処置具挿通チャンネル73と連結する連結部55と、送気・送水チャンネル75と連結する連結部57とは、略同一の構成のため、連結部55を例として説明する。
【0039】
連結部55は、円筒部材51(先端硬質部21)よりも長い。そのため図3に示すように、連結部55の基端部55bは、円筒部材51の基端部51bから湾曲部23側に突出している。
連結部55の基端部55bは、処置具挿通チャンネル73と接着または圧入によって接続している。このような場合、連結部55は、処置具挿通チャンネル73を兼ねる、つまり処置具挿通チャンネル73として機能する。
なお送気・送水チャンネル75のための連結部57において、この連結部57の基端部57bは、送気・送水チャンネル75と接着または圧入によって接続している。このような連結部57は、送気・送水チャンネル75を兼ねる、つまり送気・送水チャンネル75として機能する。
【0040】
収納部59は、撮像ユニット77を収納し、外部から撮像ユニット77に加わる衝撃を遮蔽し、衝撃から撮像ユニット77を保護する保護部材として機能する。収納部59は、衝撃を遮蔽し、衝撃によって撮像ユニット77が傾くことを防止する。図3に示すように、収納部59は、収納部59が収納している一方の内蔵物71(撮像ユニット77)と、他方の内蔵物71(例えばライトガイド79や処置具挿通チャンネル73として機能する連結部)との干渉を防止するために、内蔵物71(撮像ユニット77)を覆っている。
【0041】
また図2Bと図2Cとに示すように、収納部61は、ライトガイド79を収納し、外部からライトガイド79に加わる衝撃を遮蔽し、衝撃からライトガイド79を保護する保護部材として機能する。収納部61は、衝撃を遮蔽し、衝撃によってライトガイド79が傾くことを防止する。収納部61は、収納部59と同様に、収納部61が収納している一方の内蔵物71(ライトガイド79)と、他方の内蔵物71との干渉を防止するために、内蔵物71を覆っている。
【0042】
このような収納部59,61は、撮像ユニット77とライトガイド79とを収納し、撮像ユニット77とライトガイド79とを位置決め固定するために、撮像ユニット77とライトガイド79との形状に対応する形状を有している。
【0043】
図2Aと図3とに示すように、例えば、収納部59は、撮像ユニット77のために、金属板が例えば段差を有する円筒形状となるように絞り加工されることで、形成される。この場合、収納部59は、収納部59の基端部59bに向かって拡径している。または収納部59は、撮像ユニット77のために、金属のパイプがスウェージング加工により段付き形状に加工されることで、形成される。
【0044】
上記において、収納部59の先端部59aは撮像ユニット77の先端部と略同一の大きさを有しており、収納部59の先端部59aには、撮像ユニット77の位置決めのために、撮像ユニット77の先端部が嵌り込む。なお撮像ユニット77の先端部には、撮像ユニット77の先端部が収納部59の先端部59aに嵌りこんだ際に、図3に示すように、収納部59の段差部59cに当接して、撮像ユニット77が収納部59の先端部59aから抜けることを防止するストッパーである抜け止め部77aが配設されている。抜け止め部77aは、例えば撮像ユニット77における複数のレンズを保持するレンズ枠を兼ねている。
【0045】
また図2Aに示すように、例えば、収納部61は、ライトガイド79のために、ライトガイド79が嵌り込む様に、金属の平板が例えば円筒形状となるように絞り加工されることで、形成される。収納部61は、ライトガイド79と略同一の大きさを有している。
【0046】
このような収納部59,61は、図2Aと図3とに示すように、円筒部材51(先端硬質部21)と略同一の長さを有している。また収納部59,61の基端部59b,61bは、円筒部材51の基端部51bと同一平面上に位置している。なお基端部61bの図示は、簡略化のために省略している。
【0047】
図2Aと図4とに示すように、位置決め部材65は、円筒部材51の基端部51bに配設された際に、連結収納部53の基端部53bが位置決め固定されるために嵌り込む開口部65aを有している。開口部65aは、連結収納部53と同数配設されており、各連結収納部53に対応するように連結収納部53の基端部53bと略同様の形状を有している。
【0048】
位置決め部材65は、金属の平板が、円盤形状となるように加工されることで、形成される。開口部51dは、例えばプレスの打ち抜き加工によって、形成される。
【0049】
また位置決め部材65は、位置決め部材65の周縁に形成され、溝部51gに嵌り込み、嵌り込むことで位置決め部材65を位置決めする突起部65bを有している。突起部65bは、位置決め部材65の径方向において、周縁から外側に向かって突出している。位置決め部材65は、突起部65bが溝部51gに嵌り込むことで、円筒部材51の長手方向と周方向とにおいて固定され、位置決めされる。つまり、位置決め部材65は、円筒部材51の長手方向における移動と、回転とを規制される。これにより位置決め部材65は、連結収納部53の基端部53bをさらに位置決めすることとなる。
【0050】
次に本実施形態における先端硬質部21の組み立て方法について説明する。
連結収納部53は円筒部材51に収納され、突起部51eは連結収納部53の先端部53aに嵌り込む。これにより、連結収納部53の先端部53aは、位置決めされる。このとき、連結収納部53は、突起部51eによって、底面51cからの抜けを防止される。また連結収納部53の内周面53fは、突起部51eの内周面51fと同一平面となる。そして連結収納部53の先端部53aは、水密を確保するために、突起部51eと、レーザによって接合される、またはロウ付けされる。
【0051】
次に連結収納部53の基端部53bが開口部65aに嵌り込むように、位置決め部材65は円筒部材51の基端部51bに配設される。これにより連結収納部53の基端部53bは、位置決めされる。またこのとき、突起部65bは溝部51gに嵌り込む。そのため位置決め部材65は、円筒部材51の長手方向と周方向とにおいて固定され、位置決めされる。これにより連結収納部53の基端部53bは、さらに位置決めされる。
【0052】
次に内蔵物71は、連結収納部53の基端部53bから先端部53aに向かって、連結収納部53に挿入されて連結収納部53に収納される、または連結収納部53の基端部53bに連結される。
【0053】
また図2Aと図3とに示すように、連結部55,57の基端部55b,57bは、円筒部材51の基端部51bから湾曲部23側に突出している。この状態で、連結部55の基端部55bは、処置具挿通チャンネル73と接続する。この連結部55は、処置具挿通チャンネル73として機能する。また連結部57の基端部57bは、送気・送水チャンネル75と接続する。この連結部57は、送気・送水チャンネル75として機能する。
【0054】
また例えば収納部59の先端部59aは、撮像ユニット77の先端部と略同一の大きさを有している。そのため撮像ユニット77は収納部59に収納されると、撮像ユニット77の先端部が収納部59の先端部59aに嵌り込むために、撮像ユニット77は収納部59に位置決め固定される。なお撮像ユニット77は、抜け止め部77aが段差部59cに当接することで、収納部59の先端部59aから抜けることを防止される。
また例えば収納部61は、ライトガイド79と略同一の大きさを有している。そのためライトガイド79は、収納部61に収納されると、収納部61に嵌り込むために、収納部61に位置決め固定される。
【0055】
先端硬質部21は、このように組み立てられる。そして、先端硬質部21は、湾曲部23における節輪と回動自在に連結する。
【0056】
上述したように、連結収納部53は、円筒部材51に収納され、突起部51eと位置決め部材65とによって先端部53aと基端部53bとにおいて円筒部材51に位置決めされている。そのため内視鏡12が洗浄されたり運搬される際において、衝撃が先端硬質部21に加わっても、連結収納部53は傾くことを防止されている。
【0057】
また円筒部材51は、外部から連結部55,57に加わる衝撃を遮蔽し、衝撃から連結部55,57を保護する保護部材として機能する。そのため、処置具挿通チャンネル73として機能する連結部55と、送気・送水チャンネル75として機能する連結部57とは、円筒部材51によって衝撃を遮蔽され、傾きを防止される。
【0058】
また上述したように円筒部材51は、外部から収納部59,61に加わる衝撃を遮蔽し、衝撃から収納部59,61を保護する保護部材として機能する。さらに収納部59,61も、外部から撮像ユニット77とライトガイド79とに加わる衝撃を遮蔽し、衝撃から撮像ユニット77とライトガイド79とを保護する保護部材として機能する。そのため撮像ユニット77とライトガイド79とは、円筒部材51と収納部59,61とによって、衝撃を遮蔽され、傾きを防止される。
【0059】
また撮像ユニット77の先端部は収納部59の先端部59aと略同一の大きさを有しており、撮像ユニット77の先端部が収納部59の先端部59aに嵌り込むために、撮像ユニット77は収納部59に位置決め固定される。またライトガイド79は収納部61と略同一の大きさを有しており、ライトガイド79は収納部61に嵌り込むために収納部61に位置決め固定される。これにより、撮像ユニット77とライトガイド79とは、衝撃が加わっても、傾きを防止される。
【0060】
また本実施形態では、上述した固定部が配設される必要も無く、また固定孔が成形される必要も無い。また固定孔の成形に伴う、固定孔間の肉厚と、先端硬質部21における強度(肉厚)と、組み立て時の作業性の低下とを考慮する必要が無い。
【0061】
つまり、固定孔が成形されるのではなく、連結収納部53が底面51cを有する円筒部材51に収納され、連結収納部53は内蔵物71(撮像ユニット77とライトガイド79)を位置決めするように収納または内蔵物71(処置具挿通チャンネル73と送気・送水チャンネル75)と連結し、連結収納部53が突起部51eと位置決め部材65とによって先端部53aと基端部53bとにおいて円筒部材51に位置決めされている。これにより、連結収納部53は傾くことを防止され、一方の内蔵物71が他方の内蔵物71に寄りかかり、他方の内蔵物71が傾いてしまうといった不具合が防止される。そして、内蔵物71同士は性能を効率的に発揮し、内蔵物71同士の干渉は防止される。
また円筒部材51と連結収納部53とが金属製であり、連結収納部53が突起部51eと位置決め部材65とによって先端部53aと基端部53bとにおいて円筒部材51に位置決めされる。これにより、先端硬質部21の強度が確保され、円筒部材51と連結収納部53とは強度を確保した状態で薄肉となる。
また連結収納部53は内蔵物71を収納または内蔵物71と連結することで、組み立て時の作業性が向上する。
なお図3に示すように、例えば、内蔵物71である処置具挿通チャンネル73として機能する連結部55と、内蔵物71である送気・送水チャンネル75として機能する連結部57とが接触しているが、これら連結部55,57は上述したように傾かず位置決めされているために、これら接触は、上述した内蔵物71同士の干渉に当たらず、上述した強度と、組み立て時の作業性とには影響を与えない。
【0062】
そしてこの状態で、連結収納部53同士が互いに接触するように配設されることが可能であり、これにより内蔵物71同士の間隔、つまり連結収納部53同士の間隔は狭められ、先端硬質部21は細径化される。
【0063】
このように本実施形態では、底面51cを有する円筒部材51に連結収納部53を収納し、内蔵物71を連結収納部53に位置決めするように収納または連結させ、連結収納部53の先端部53aを突起部51eによって位置決めし、連結収納部53の基端部53bを位置決め部材65によって位置決めしている。これにより、本実施形態では、先端硬質部21が衝撃を受けても、先端硬質部21における内蔵物71が容易に傾くことを防止でき、先端硬質部21は細径にできる。
【0064】
また本実施形態では、連結収納部53を円筒部材51に収納し、連結収納部53に内蔵物71を位置決めするように収納または内蔵物71と連結し、連結収納部を突起部51eと位置決め部材65とによって円筒部材51に位置決めしている。これにより本実施形態では、上述したように、連結収納部53の傾きを防止でき、一方の内蔵物71が他方の内蔵物71に寄りかかり、他方の内蔵物71が傾いてしまうといった不具合を防止できる。そして本実施形態では、内蔵物71同士の性能を効率的に発揮でき、内蔵物71同士の干渉を防止できる。
また本実施形態では、円筒部材51と連結収納部53とを金属にし、連結収納部53を突起部51eと位置決め部材65とによって円筒部材51に位置決めしている。これにより本実施形態では、先端硬質部21の強度を確保でき、円筒部材51と連結収納部53とを強度を確保した状態で薄肉にできる。
また本実施形態では、連結収納部53に内蔵物71を収納または連結収納部53と内蔵物71と連結しているために、組み立て時の作業性を向上できる。
また本実施形態では、連結収納部53同士を互いに接触するように配設することで、強度を確保し、内蔵物71の傾きを防止した状態で、先端硬質部21を細径にできる。
【0065】
また本実施形態では、円筒部材51によって、連結収納部53と内蔵物71とを収納し、外部から連結収納部53と内蔵物71とに加わる衝撃を遮蔽でき、衝撃から連結収納部53と内蔵物71とを保護でき、衝撃によって連結収納部53と内蔵物71とが傾くことを防止できる。
【0066】
また本実施形態では、突起部51eが連結収納部53の先端部53aに嵌りこんだ際、突起部51eの内周面51fが連結収納部53の内周面53fと同一平面となるために、例えば送気・送水チャンネル75において、段差によって汚れが溜まることを防止できる。
【0067】
また本実施形態では、突起部51eを、連結収納部53の先端部53aに嵌め込んだ後、連結収納部53の先端部53aと、レーザによって接合する、またはロウ付けすることで、水密を確保できる。
【0068】
また本実施形態では、突起部51eによって、底面51cからの連結収納部53の突出を防止できる。また本実施形態では、突起部51eを連結収納部53の先端部53aに嵌め込むことで、連結収納部53の先端部53aを容易に位置決めできる。
【0069】
また本実施形態では、このような突起部51eをバーリング加工によって容易に形成できる。また本実施形態では、開口部51dと連結収納部53の先端部53aとを略同一の大きさにすることで、突起部51eを連結収納部53の先端部53aに容易に嵌め込むことができる。
【0070】
また本実施形態では、例えば連結部55の基端部55bを、円筒部材51の基端部51bから湾曲部23側に突出させることで、連結部55と送気・送水チャンネル75とにおける組み立て時の作業性を向上できる。
【0071】
また本実施形態では、連結部55,57を処置具挿通チャンネル73と送気・送水チャンネル75として機能させているために、処置具挿通チャンネル73と送気・送水チャンネル75とを先端硬質部21に直接接続させる必要は無い、あるいは直接接続させる必要はなく、部品を省略できる。
【0072】
また本実施形態では、湾曲部23は節輪と網状管と外皮とからなる3層構造を有しており、例えば連結部55と処置具挿通チャンネル73との接続部分はこのような湾曲部23内部に配設されている。そのため本実施形態では、衝撃に対する接続部分における強度を十分に確保できる。
【0073】
また本実施形態では、収納部59,61によって、撮像ユニット77とライトガイド79とに加わる衝撃を遮蔽でき、衝撃から撮像ユニット77とライトガイド79とを保護でき、衝撃によって内蔵物71が傾くことを防止できる。
【0074】
また本実施形態では、収納部59,61の形状を撮像ユニット77とライトガイド79との形状に対応するように形成することで、撮像ユニット77とライトガイド79とを収納部59,61に容易に位置決めできる。
例えば本実施形態では、収納部59の先端部59aを撮像ユニット77の先端部と略同一の大きさにすることで、撮像ユニット77の先端部を収納部59の先端部59aに嵌め込むだけで、撮像ユニット77を容易に位置決めできる。また本実施形態では、段差部59cを有する円筒形状となるように収納部59を形成し、撮像ユニット77の先端部に段差部59cに当接する抜け止め部77aを配設することで、撮像ユニット77が収納部59の先端部59aから抜けることを防止できる。
また本実施形態では、収納部61の先端部61aをライトガイド79の先端部と略同一の大きさにすることで、ライトガイド79の先端部を収納部61の先端部61aに嵌め込むだけで、ライトガイド79を容易に位置決めできる。
【0075】
また本実施形態では、位置決め部材65に、開口部65aを配設することで、連結収納部53の基端部53bを開口部65aに嵌め込むことで、連結収納部53の基端部53bを位置決めできる。
【0076】
また本実施形態では、突起部65bと溝部51gとによって、位置決め部材65を位置決めでき、これにより連結収納部53の基端部53bをさらに位置決めできる。
【0077】
なお本実施形態では、連結収納部53の先端部53aを位置決めするために、底面51cに突起部51eを配設したが、これに限定する必要は無い。例えば図5に示すように、連結収納部53の先端部53aは開口部51dに嵌り込む部分以外に比べて拡径しており、先端部53aが開口部51dに嵌りこんで位置決めされても良い。
【0078】
また本実施形態では、段付き絞り加工によって円筒部材を複数形成し、これら円筒部材を長手方向において連結することで、複数の段差を有する収納部59を形成しても良い。
【0079】
本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0080】
10…内視鏡システム、12…内視鏡、20…挿入部、21…先端硬質部、51…円筒部材、51a…先端部、51b…基端部、51c…底面、51d…開口部、51e…突起部、51g…溝部、51f…内周面、53…連結収納部、53a…先端部、53b…基端部、53f…内周面、55,57…連結部、59,61…収納部、65…位置決め部材、65a…開口部、65b…突起部、71…内蔵物、73…処置具挿通チャンネル、75…送気・送水チャンネル、77…撮像ユニット、79…ライトガイド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内蔵物が挿入部を挿通している内視鏡であって、
前記挿入部の先端部の外装体として形成され、先端部と基端部と前記先端部に配設される底面とを有する円筒部材と、
先端部と基端部とを有し、前記底面に形成される開口部に前記先端部が位置決めのために嵌め込まれて前記円筒部材の内部に配設され、前記内蔵物と前記基端部にて連結する、または前記内蔵物を位置決めするように収納する円筒状の連結収納部と、
前記円筒部材の蓋部材として前記円筒部材の前記基端部に配設され、前記円筒部材に配設された際に、前記連結収納部の前記基端部を位置決めする円盤状の位置決め部材と、
を具備することを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記円筒部材は、前記開口部の縁が前記円筒部材の内部に向かって折れ曲がることで形成され、前記連結収納部の前記先端部を位置決めするために前記連結収納部の前記先端部に嵌り込む突起部を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記円筒部材は、金属板のプレスによる絞り加工によって円筒形状に加工されることで、形成され、
前記開口部と前記突起部とは、前記底面がバーリング加工されることで、形成されることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記連結収納部は、金属板が段差を有する円筒形状となるように絞り加工されることで、形成される、または金属のパイプがスウェージング加工により段付き形状に加工されることで、形成されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記位置決め部材は、前記円筒部材の前記基端部に配設された際に、前記連結収納部の前記基端部が位置決め固定されるために嵌り込む開口部を有していることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記円筒部材は、前記円筒部材の前記基端部の縁に、溝部を有し、
前記位置決め部材は、周縁に形成され、前記溝部に嵌り込み、嵌り込むことで前記位置決め部材を位置決めする突起部を有していることを特徴とする請求項5に記載の内視鏡。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−161362(P2012−161362A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21773(P2011−21773)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】